スピッツ大学

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141時限目:春の歌

【春の歌】


春の歌

春の歌

 

■アルバム『スーベニア』収録曲で、後にシングルカットされ、【テクテク】とともに、両A面シングルとして発売されました。通算30作目のシングル曲になります。個人的ランキング、195曲中44位でした。何回聴いても、この曲には勇気をもらいます…まぁ、もらうだけではだめですけどね、笑。僕も大好きな曲です。

 


この曲のシングル発売の経緯を話しておくと(wiki情報中心)、

 

まず、冒頭の通り、この曲はアルバム『スーベニア』の1曲目に収録されました。その後、コカコーラ「アクエリアス」のCMソングに選ばれました。確か【みそか】(同じく『スーベニア』収録曲)もそうでしたよね、どちらの曲もスポーツ選手とコラボしていて、曲の雰囲気とも相まって、爽快感や疾走感を感じました。

 

そういうわけで、【春の歌】の方は急きょシングルカットされ、PVも撮られました。プロモは、ライブ公演のアンコールの後に、そのままその会場で撮られたという低予s…ライヴの雰囲気が楽しめるよいプロモだと思います。

 

ちなみに、CMには、サッカー選手の中田さんと、水泳選手の北島さんが出ていたようです。

 


■ほんの少ししか見つけられなかったですが、草野さんが【春の歌】について話している一幕がある記事があったので、そこの部分だけ抜粋して載せてみます。ネットにて、Excite MUSICのインタビューの中で、「アルバムの中で、好きな曲を選ぶとしたら…」という質問にメンバーが答えています。

 



草野:オレは「春の歌」。アウトロでリズム・パターンがチェンジするんですよ。そこをみんなノリノリで演奏してたので、このアルバム一番の聴きどころかな(笑)。もう1曲目でハイライトが来ちゃったって感じなんですけど、そこを聴いてほしいですね。

 

だそうです。確かに、草野さんの言うとおり、1曲目でハイライトが来ちゃってますよね。1曲目にして、何か突き抜けていくような、そんな勢いをいきなり感じます。

 


■ということで、【春の歌】について、個人的な解釈を述べてみます。といっても、割と詩を読んだ通りの解釈になってしまうと思いますが…。

 

タイトルにも入っています、”春”という季節・言葉からは、誰もが、”何かが始まる時”というのをイメージするかと思います。学校で新学年が始まる時、新しい環境で仕事などを始める時など…劇的に環境が変わらずとも、よし、また1年頑張っていくか!と、気持ちを入れ替える時だと思います。

 

何も季節としての”春”ではなくても、例えば、恋愛の始まりを”春”と例えることもありますね。長いこと恋愛から遠ざかっていた人が恋に落ちることを、”春”が来た、と表現することもあったりします。

 

人の数だけ、色んな”春”があるかと思いますが、要はこの歌は、そんな色んな”春”を迎えた人たちへの応援歌、という解釈になると思います。

 


■いくつかの歌詞と、個人的イメージを紹介してみます。

 



重い足でぬかるむ道を来た トゲのある藪をかき分けてきた
食べられそうな全てを食べた

 

長いトンネルをくぐり抜けた時 見慣れない色に包まれていった
実はまだ始まったとこだった

 

まず、始まりの歌詞ですが、何か光景が浮かんでくるような歌詞ですよね。

 

トンネルをくぐるみたいに、真っ暗で何にも見えないところを、小さな光に向かって歩いてゆく。その光が少しずつ近づいてきて、ついに外へ出ると、今まで見たことのない光景が広がっていた、と。

 

例えば、受験生や就活生など、苦労した季節が長ければ長いほど、そういうことって感じると思います、あぁ、やっと長い冬を抜け出した!と。

 



春の歌 愛も希望もつくりはじめる
遮るな どこまでも続くこの道を

 

これがサビの歌詞です、気に入っているところを載せてみました。”愛も希望もつくりはじめる”という歌詞が良いですよね。良い意味でも、ひょっとしたら悪い意味でも、何もかもこれから始まっていくんだよ、という強い想いを感じます。

 


あと、個人的に大好きなのは、ここの歌詞、

 


平気な顔でかなり無理してたこと 叫びたいのに懸命に微笑んだこと
朝の光にさらされていく

 

ここを聴くと、何かいつも胸がぎゅーっとなります。自分がそうだったらって想像してみても、自分の周りにそういう人を見かけたと想像してみても、何か分かるなぁって思います。そういう、強がる瞬間って、誰しもにあると思います。

 


■ということで、この記事を書いている現在は、リアルタイムでは秋ですので季節はずれですが、この歌を聴いて、また”春”の気持ちで頑張っていきたいですね。

 

MV 春の歌

youtu.be

140時限目:春夏ロケット

【春夏ロケット】


春夏ロケット

春夏ロケット

 

■シングル『ホタル』にカップリング収録されている曲です。ちなみに、『ホタル』には【春夏ロケット】の他に、【ムーンライト】という曲もカップリング収録されています。アルバムとしては、スペシャルアルバム『色色衣』に収録されています。個人的ランキング、195曲中130位でした。

 

この曲は、まさにこの時期のスピッツの活動を表してる、激しいロックナンバーですよね。第2期(『Crispy!』~『フェイクファー』あたり)の楽曲が染み付いていた自分からしてみたら、当時は衝撃的でしたね。ギターの音は目いっぱい歪んでいて、ドラムも力任せにドカドカ鳴っていて、草野さんのボーカルもエフェクトが効いているせいか、余計に野性的に聴こえました。

 


■もう何度も書いてきたので、詳細は省きますが、この頃のスピッツに起こった出来事として、ベストアルバムを強行的に発売されるという、通称・マイアミショックがありました。

 


そもそも、何で”マイアミ”かと言うと、当時のスピッツは、アメリカに音探しの旅に出ていました。(その地で、ベストアルバムが発売になる、という話をメンバーが聞くことになるわけです。)

 

スピッツは、『インディゴ地平線』や『フェイクファー』という作品の音に納得がいかなくて、ずっと迷走していたそうなのです。具体的には、音がこもったような感じになって、迫力がない、と感じており、ライヴの盛り上がりのような、そんな迫力を、作品に閉じ込めたい、と考えていたそうです。

 

そんな時に、自分たちでプロデューサーやエンジニアを探すようになります。そこで白羽の矢が立ったのが、遥かアメリカの地の有名なエンジニア、トム・ロード=アルジという方でした。何でも、メンバーでCDを持ち寄って聴き比べていった結果、ピンときた曲たちに共通して、トム・ロード=アルジがエンジニアとして参加していたそうです。

 


そんな試みの中で生まれた曲が(”トム・マジック”という言葉が使われていました)、【春夏ロケット】や【船乗り】などだったのです。思えば、これらはアルバム『ハヤブサ』よりも先ですもんね。

 

【春夏ロケット】は、レコーディングもミックスも、アメリカで行われた曲だそうです。作詞作曲はもちろん、ある程度までは予め作られていたのでしょうけど、レコーディング・ミックスを行ったということで、純アメリカ産の曲、ということで、アメリカでの音作りの成果を閉じ込めた曲だと言えるかと思います。

 

この辺りの勢いが、アルバム『ハヤブサ』へと繋がっていくわけですね。第2期から第3期へと、スピッツが進化していく分岐点だったのでしょう。

 


■そんな、勢い溢れる【春夏ロケット】ですが、どんな曲なのか、考えてみたいと思います。

 

と、考えてみるんですが…やっぱり、この曲は、あっち系…いやいや、エッチ系…なんですかねぇ。直接的な表現は、あんまり見当たらないのですが、”ロケット”という表現が、やっぱり男性器を例えたものではないか、と思ってしまいます。安易かもしれませんが…。

 

端的に説明するならば、”春が何事もなく過ぎてった、夏も何事もなく過ぎてった。あぁ…悶々とする!オ〇ニーだ!”みたいな感じでしょうか、笑。

 



春 すっぱい思いが空に溶けてた
夏 赤い背中少し痛かった

 


最後のニトロで飛ばせ
狂った火花で飛ばせ飛ばせ

 

ここの部分のみを抜き出して、解釈してみただけです。あとの部分は、あんまりよく分かりません。

 

前者の、春と夏の描写は、何となく物寂しい雰囲気がうかがえますが、特に、春の”すっぱい思いが空に溶けてた”というフレーズから、想いを寄せている人に、自分の想いを伝えたけれど受け取ってもらえなかった、あるいは、そもそも伝えることができなかった、というイメージを受け取りました。そういうわけで、夏には、ひとりで過ごす羽目になってしまった、と。

 

で、後者の”最後のニトロで飛ばせ”につながるわけですね。僕は、ロケット(花火)と男性器をかけましたが、春に恋人を作って、夏にはイチャイチャするつもりだったのに叶わなかった→ひとりでロケット(花火)を飛ばしてしまえ=ひとり寂しくオ〇ニー、ということになりますね。

 


まぁ、別にエッチ方向につなげなくても、ただ夏を寂しく一人で過ごしていると…恋人とやるつもりだった花火を、もうやけっぱちになって、悔しいくて寂しい想い諸共、ひとりで空に向けて放っている、という感じでしょうかね。

139時限目:遥か

【遥か】


遥か(album mix)

遥か(album mix)

 

■23作目のシングル曲であり、アルバム『三日月ロック』にも収録されています。アルバム収録の方は、”album mix”としてリミックスされています。僕はシングルもアルバムも持っているので聴き比べられますが、wikiにも書いてある通り、イントロのギターの入りの部分が少し違っていたり、オルガンの音色が違っていたり、ベースの音は全体的に大分違って聞こえますね。どちらかというと、アルバムの方が全体的に明るく聴こえるような気がします。

 

この曲は、「Love Story」というドラマの主題歌でした。ドラマの内容自体は覚えていませんが(特に見てなかったので)、ドラマに使われていたことだけは、何か覚えています。

 

個人的ランキング、195曲中49位でした。良いですよね、この曲好きです。カラオケなどで歌うには、すごくきついですけどね。

 


■あまり、特筆すべきネタを見つけることはできなかったので、今回は早いとこ、曲の解釈・紹介に入ろうと思います。

 

この曲については、よく語られている解釈として、”自殺説”(や”心中説”)などがあります。まず、その解釈で話を進めてみるとすると、

 



すぐに飛べそうな気がした背中
夢から醒めない翼

 

これがサビの歌詞ですが、ここを”死”を想いながら読んでみると、例えば、人間なので飛べるはずはないので、実際は飛び降りている・落ちている描写である、と考えることができますね。

 

”夢から醒めない翼”とは、何か幻想に憑りつかれていて、その幻想を追いかけるあまり、現実との違いに気づかされ、嫌気がさし、”死”を選んでしまう、という感じでしょうか。

 



思い出からツギハギした 悲しいダイアリー
カギもかけず 旅立つのは 少し怖いけど

 

このあたりも、カギもかけずに旅立つのは、死ぬつもりだから、もう戻ってくる必要がないからだ、だとかっていう解釈もありました。

 


■じゃあ、何でこの人、つまり”僕”は、こんなに気が病んでいるのか、ということになりますが、全体的に読んでみると、恋愛関係のもつれ的な感じを読み取ることができます。

 



君と巡り合って もう一度サナギになった
嘘と本当の狭間で 消えかけた僕が

 

この辺りの歌詞は、結構この歌の核にもなるようなところだと思います。”サナギ”っていう言葉をどのように考えるかですが、例えば、殻に閉じこもってしまう、心を閉ざしてしまう、と考えることができます。

 

君に巡り合って”サナギ”になる、ですからね。マイナスな物語を想像してみると、例えば、浮気や不倫とかね、とにかく、信じていたのに悪い形で出会ってしまった、と。自分を裏切られたような気持ちになってしまって、それを”サナギ”と表現しているのかもしれません。そしてそれが、”死”に繋がってしまったのです。

 


■という具合に、”自殺説”を考えることはできますが、これだけ書いておいてなんですが、個人的に言わせてもらうと、この曲からは、僕はあんまり”死”のイメージは受け取っていないんですね。

 

スピッツの曲(草野さんが書く詩)において、”飛ぶ”という言葉には、言葉通りの”飛ぶ”という意味合いよりは、何となく精神的に”飛ぶ”…実際には飛んではいないけれども、それに似た心地になっている、という意味合いで使われることが多いような気がします。もちろん、それが”死”に直結することもありますが、この歌に関しては、そうじゃないことを思いました。

 

よく、すごく気持ちいい体験をしたり、おいしいものを食べたりした時、「あぁ…天にも昇る気持ちだぁ…」みたいな感じですね、笑。だから、この曲に関しても、君に出会ってよかった、日々に希望を感じることができるようになった、ということを、”飛べそうな気がした”などという言葉で表しているのだということです。

 


■単純に考えて、やはりここの歌詞、

 


君と巡り合って もう一度サナギになった
嘘と本当の狭間で 消えかけた僕が

 

ここは素直に、消えかけていた僕…これは、日々の生活を楽しめていない、あまり充実した生活を過ごすことができない状態にあったと考えられますが、それが君に出会って、恋におちて、希望を感じることができた、と解釈することができます。

 

”サナギ”というのは、胸に秘めた恋心を表わしているのだと思います。誰にも触れさせたくない、密かに秘めた自分の気持ちを大切に育てていく、いつか羽ばたく(つまり、相手にその気持ちを伝える、告白する)その日まで…こんな風に考えると、この歌に出てくる”飛ぶ”という言葉の意味が、がらりと変わってきますよね。

 



丘の上に立って 大きく風を吸い込んで
今 心から言えるよ ニオイそうな I love you

 


崩れそうな未来を 裸足で駆け抜けるような
そんな裏ワザも無いけど 明日にはきっと…

 

この辺りも、独特できれいな表現ですよね。マイナスなイメージというより、僕は希望を感じるんですけど、どうでしょうか。特に、前者の歌詞なんか、どうなんでしょうね、告白をすることを決意した場面か、それとも告白の練習でもしているんでしょうかね。

 


■全く逆の解釈を紹介してみましたが、ひょっとしたら、これらの解釈は、紙一重なのかもしれませんね。”生”の裏返しは”死”であり、”希望”の裏返しは”絶望”ですからね。

 

僕が目指す”遥かな場所”にあるのは、絶望でしょうか、あるいは、希望でしょうか。

 


遥か MV

youtu.be


そして、謎のMVです。通称”わらしべ長者MV"または”無限ループMV”と、僕は勝手に今名付けました、笑。リンゴを持った女性が、スピッツメンバーと物々交換していきます。

 

リンゴ → カンテラ(崎ちゃん)→ 鳥かご(テッちゃん)→ 金ぴかの腕時計(リーダー)→ ロバ(マサムネさん)、という順番です。ただし、最後のロバは結局はニセモノ(?)で、結局手元にはリンゴが帰ってきます。そして、女性はブチ切れて、窓にリンゴをなげつけます。何にも反応しないスピッツメンバーがシュールですね。

 

そして、物語は最初にループすると、そういうMVになっています。輪廻転生とか、結局は自分の持っているもの(自分らしさ)は取り替えられない、というコメント欄のコメントに、なんだか妙に納得しました。

138時限目:8823

【8823】

  

8823

8823

  • provided courtesy of iTunes

 

■アルバム『ハヤブサ』に収録されている曲です。”8823”というタイトルは、数字の語呂合わせで”ハヤブサ”と読みます。なので、アルバムの表題曲ということになります。言わずもがな、鳥の”隼”のことですね。

 

個人的ランキング、195曲中11位でした、惜しくもベスト10入りは逃しましたが、大好きな曲で、自分の中でもすごく印象に残っている曲のひとつです。

 


アルバム『ハヤブサ』や、その表題曲【8823】については、ここのブログですでに、存分にしゃべったことがあるので、詳しくはそちらを参照してもらえればよいかと思います。↓

 

http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2015/07/26/080239

 

…と、言っても、少しだけ(になるかは分かりませんが、笑)、この辺りのことを改めてしゃべってみようかなと思います。

 


■このアルバム発売前にあった出来事と言えば、通称”マイアミショック”という事件(?)です。

 

この出来事は、要するに、自分たちの(スピッツの)意向とは関係なく、自分たちのベストアルバムが強行的に発売された、というものでした。

 

スピッツは、「ベストアルバムを発売するのは、バンドが解散する時だ!」と公言していました。しかしながら、ベストアルバムを発売するということが、スピッツがいないところで決定したわけです。

 

この出来事に、メンバーは、憤りや悲しみを感じたようです。レコード会社とも、良い関係を築くことができていたと思っていたそうで、その想いが裏切られた時の気持ちは、一体どんなだったでしょうか。ベストアルバム=解散、という公式が成り立っていたため、発売と同時にスピッツを解散させる、という話まで出ていたそうです。

 


しかしながら、スピッツは解散しなかったのです。色んな想いを抱えつつも、活動を続けていくことを決めたのです。まさに、スピッツの”死と再生”です。書籍「旅の途中」の中で、その辺りの心情を、草野さんは端的にこう語っています…

 


もしかすると、このとき一度スピッツは俺の心の中で”解散”したのかもしれない。そして、甦った。『フェイクファー』からずっと抱えていた悩み、気がつくと消えていた。

 


■そして、そういう経緯があって、アルバム『ハヤブサ』は作られました。それは、今までのスピッツにないとてもロックなアルバムで、まさに、先ほどの草野さんの言葉通り、スピッツの”死と再生”となった作品でした。

 

アルバム『ハヤブサ』が発売になった当時、僕は聴いてびっくりしました。自分の中に今まで染みついていた”スピッツ像”とは全然違う、今までにない、ロック色の強い、攻撃的な作品だったからです。最初は違和感を感じたのを、よく覚えています。これが本当に、自分が聴いてきたスピッツか、と。

 

しかし、何度も聴いていくうちに馴染んでいくのが、スピッツマジック、草野マジックですよね。僕の中でも、今では大好きな作品になりました。第三期(個人的な見解による)の始まりとして、このアルバムは、スピッツにとって最重要な作品と言えるでしょう。

 


■前置き長くなりました。今日紹介するのは、そんなアルバム『ハヤブサ』の表題曲である、【8823】です。

 

音的には、Aメロのギターの音と、ドラムの音が、とても心地よくて好きなんです。どうしても、タイトルが鳥の名前なので、鳥をイメージしますが、Aメロは何となく助走をつけている感じに聴こえてきます。

 

そして、サビでの音の爆発ですよ。一気に浮かび上がって、空へと飛び立っていくような、力強いサビが、テンションを上げてくれます。

 

この、Aメロとサビの緩急も、【8823】の特徴でもあります。

 


■タイトルに関しては、wiki情報によると、西岸良平さんという方のマンガに登場するキャラクターから連想したそうです。

 

西岸さんの作品で、”地球最後の日”という、SF短編集みたいなのがあるらしくて、その中に、「普通の浪人生が連れ去られて海底人に改造される」ってお話があるそうなんですが(中々、カオスな内容、笑)、その海底人の名前が8823なんだそうです。曲のタイトルは、そこからつけたそうです。

 

(ちなみに、西岸良平という方は、映画化して有名になった、あの有名な”三丁目の夕陽”を書いた人だそうですね。初めて知りました。)

 


タイトル自体にあまり意味は無く、マンガのストーリーが曲に大きく関わっているというよりは、スピッツのパーソナルな部分が関わっている部分の方が多いと思います。つまり、”死と再生”ですね、そんな想いをこの曲に込めたのではないでしょうか。

 


■ということで、今までの話を意識しながら、もう何度も何度も読んできた歌詞ですが、今一度読んでみます。

 



さよならできるか 隣り近所の心
思い出ひとかけ 内ポケットに入れて

 

これが、出だしの歌詞になります。”入れて↑”で、いきなり高音になるのがポイントですね。

 

歌詞の意味はどういう感じでしょうか。まず、”さよなら”という言葉が出てきますが、誰が、誰に・何に、言おうとしているのでしょうか。

 

やはり、”誰が”に当たるのは、スピッツ自身、ひいては草野さん、ということでしょうか。”誰に・何に”に当たるのは、例えば、今までの自分たちだとか、今まで信じてきたレコード会社とかが考えられますね。しかし、”さよならできるか”ですからね、決断はしているでしょうけど、ちゃんとさよならできるか、まだ悩みはあるようですね。

 



あの塀の向こう側 何もないと聞かされ
それでも感じる 赤い炎の誘惑

 

ここも印象的ですよね。何となく、音楽業界に縛られていたスピッツ像を思い浮かべます。「ここよりいいところはないよ、こんなに塀に守られて、ここから出ていくなんてとんでもない!」と、ずっとスピッツは言われていたのだと想像してみます。しかし、そうやって、自分たちのことを守ってくれていたレコード会社に、結局は裏切られることになるわけですね。それで、初めて、塀の向こう側に意識が向くわけです。

 


あとは、サビの歌詞、

 


今は振り向かず8823 クズと呼ばれても笑う
そして 君を自由にできるのは 宇宙でただ一人だけ

 

最後の大サビの歌詞を書かせてもらいましたが、最期のところに”8823”というフレーズが出てきます。過去に別れを告げて、未来へと飛んでいく決意が、この辺りからうかがえます。

 

そして、何度も出てくる、”君を自由にできるのは 宇宙でただ一人だけ”という表現。別の部分では、”君を不幸にできるのは 宇宙でただ一人だけ”となっています。君を自由にできる存在=君を不幸にできる存在、ということになりますが、これも自分たちのことを言ってるんですかね。

 

恋愛に関したことだとしても、音楽的な活動に関したことだとしても、自分という存在が、良くも悪くも、君にとって唯一無二なんだと、あるいは、そうなりたい、と歌っているのでしょう。だから、ついてこいよ!と、そう力強く歌いたかったんでしょうね、世間では癒し系バンドだと思われていたはずの、あのスピッツが…ね。

 


スピッツにとって、この【8823】という曲は、本当に大切な曲なんです。まさに、スピッツの"死と再生"を象徴する曲だと思います。

 

生でライブを見に行ったことはないですが、DVDなど見ている限りでは、毎ライブこの曲をやっている感じですね。BUMP OF CHICKENの【天体観測】のように、the pillowsの【ハイブリッドレインボウ】のように、どんなバンドにも一曲はあるであろう、そのバンドの魂となっている曲。スピッツにとって、【8823】とは、そんな位置付けの曲なんだろう。

 

これからスピッツのファンになりたい、と思っている方は、チェックしておくべき曲だと思いますよ!

 


ちなみに【8823】は、アルバム『ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2009』にも収録されています。アジカン主催のライブフェスで”NANO-MUGEN FES”というのがあって、それに主演したアーティストの楽曲を収録した、コンピレーションアルバムです。

 

大学の時、アジカン好きな友達が居て、そいつが俺の家でこのアルバムを流した時に、スピッツの【8823】を聴いて驚いていました…これスピッツ?という感じでしたね。その反応が、何だか懐かしくて、嬉しかったです、笑。

137時限目:ハヤテ

【ハヤテ】


ハヤテ

ハヤテ

 

■アルバム『インディゴ地平線』に収録されている曲です。個人的ランキングでは、195曲中131位でした。初めて聴いた時から、かわいらしい曲だなという印象がずっとありました。

 

改めて聴いてみると、アルバム『インディゴ地平線』には、かわいらしい女の子や恋愛を描いた曲が多いと気づきます。【花泥棒】、【初恋クレイジー】、【ハヤテ】、【ナナヘの気持ち】、【バニーガール】、【マフラーマン】…他の曲もあるかもしれませんが、ほとんどの収録曲が該当しそうです。

 


■”ハヤテ”とは、漢字で”疾風”と書き、”シップウ”とも読みますよね。意味としては、突然強く吹く風とかでしょうか。何となく、忍者っぽい響きもありますけどね。

 

この曲は、要するに、恋に落ちる瞬間を、相手を”ハヤテ”に例えて、自分の身体に”ハヤテ”が吹いた、と表現しているわけですね。

 


気まぐれ 君はキュートなハヤテ
倒れそうな 身体を駆け抜けた

 

これが、この歌の始まりのフレーズです。”恋に落ちた瞬間”について、草野さんは、色んな歌で色んな表現をしていますが、この歌の表現も、独特で面白いですよね。ビュッと吹いて、すぐに言ってしまう”ハヤテ”のように、恋に落ちたのは、一瞬の出来事だったということがうかがえます。”キュートなハヤテ”というのも、かわいらしですよね。

 


■ということで、この歌から、いくつか素敵な歌詞を抜き出して、紹介してみます。

 



言葉はやがて恋の邪魔をして
それぞれカギを100個もつけた

 

”言葉はやがて恋の邪魔をして”という表現が、何か哲学的というか、うまいことを言ったもんだな、と思ってしまいます。

 

相手に対する自分の気持ちを表現する方法としては、やはり”言葉”が一番有効であると思います。「あなたが好きだ」と言ってしまえば、伝わるんでしょうけど、なかなか言えない。代わりに口をつくのは、何てことない平凡な言葉ばかり。言葉を飛び越えて、この気持ちがテレパシーのように、相手に伝わればいいのに、あー、もどかしいなー、とそういう感じでしょうかね。

 



なんとなく君の声が聞こえて
はりきってハートを全部並べて

 

男の子、がんばってますね!しかしながら、この歌詞に続くのは、”振り向くところで目が覚めた”ですからね、夢でも見ていたんですかね。

 



晴れそうで曇り 毎日 小雨
もう二度と壊せない気がしてた

 

”小雨”っていうのが、また草野さんらしい表現だなって思いました。”大雨”でも、ただの”雨”でもなくて、”小雨”なんですよね。ここは素直に、恋に落ちたことで、晴れない毎日に光が差した、ということを歌っているのでしょう。

 

ちなみに、”ハヤテ”、”(邪魔)をして”、”並べて”、”口笛”、”小雨”という風に、語尾を”え”の段でそろえて韻を踏んでるんですね。そのおかげで、全体的にすごく聴きやすくなっていますね。

 

 

という感じですかね。結構分かりやすくて、聴きやすい曲だと思います!

136時限目:ハネモノ

【ハネモノ】


ハネモノ

ハネモノ

 

■26枚目のシングル曲で、アルバムとしては『三日月ロック』に収録されています。ちなみに、シングル『ハネモノ』は、シングル『水色の街』と同時に発売されました。何となく、”陽”の『ハネモノ』、”陰”の『水色の街』という印象を持っています。

 

個人的ランキング、195曲中75位でした。好きなんですけどね、この曲。ランキングをつけてみるとこんな感じですか。

 


■この曲についての情報を(wikiばっかりですが…)、少しまとめてみます。

 

まず、シングル『ハネモノ』は、2002年8月7日に発売されましたが、発売のおよそ1年前(2001年9月11日)に、アメリ同時多発テロが起こりました。ビルに飛行機が突っ込んでいくという、ショッキングな事件でしたね、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。僕も、当時は高校生でしたが、その出来事が起こった時代背景や理由などは詳しくは分からなかったけど、「とてつもないことが起こったんだ」ということは、すぐに感じ取りました。

 

wikiの言葉をそのまま借りるならば、「一年前に起きた911テロ事件の後、草野は少なからず音楽をやる意味に疑問を感じていた」だそうです。東日本大震災の時もそうですが、草野さんは感受性が強いんでしょうね。それは、悲しいと言うべきか、優しいと言うべきか、単純には言い表せません。

 

そんな時、スピッツにカルピスからの楽曲依頼がきました、CMソングの依頼です。その依頼は、草野さんが「人々の不安を少しでも和らげることができる楽曲を作ろう」と思い立つ、きっかけになったそうです。

 

そうやってできた曲が、【ハネモノ】だったんですね。何気なしに聴いていたけど、そう思って聴くと、また色々感じるものがありますよね。

 


■ところで、wikiにはこうも書いてありました。

 

「当初は歌詞なしで、「ラララ」のハミングのみの弾き語りバージョン(未発売)がオンエアされ、問い合わせが殺到した」

 

歌詞ありの【ハネモノ】のCMは、何となく覚えていますが、歌詞なしのハミングバージョンの【ハネモノ】は記憶にありませんでした、そんなのがあったんですね。

 

 

■ということで、【ハネモノ】の自分なりの解釈について、色々としゃべってみたいと思います。

 

まず、そもそも”ハネモノ”って何?ということですが、これまたwikiに書かれていることによると、これは草野さんの造語で、「羽のような生き物」という意味だそうです。具体的に、何かの生き物を指している言葉ではないんですかね。

 

個人的には、この”ハネモノ”でいつも思い浮かべるものは、例えば、タンポポの綿毛とか、例えば、雪虫とか、例えば、ケセランパサランとかですかね。(おそらく、ケセランパサランだけは、実物を見たことないと思います。)

 

とにかく、”ハネ(羽)”と名前についてますが、羽のある生物…虫とか(雪虫は虫ですが…)鳥とか、そういうんじゃなくて、何ていうんだろ、真っ白な”ハネ”だけがフワフワと浮かんでいる光景が浮かんできます。それも、自分の意思があるのではなくて、風に乗って漂っている感じですね。

 


(余談ですが、こういう想像をしていると、”クラムボン”を思い出します。忘れていたので調べてみました。クラムボンとは、宮沢賢治の「やまなし」という話に出てくる生き物(?)なのですが、明確にこれがどんな生き物なのか語られていません。なので、本の中の描写から、色々と想像するしかありません…魚?光?子ども?など。小学校か中学校の教科書で読んだ覚えがあります。)

 


■【ハネモノ】って、すごく不思議な歌ですよね。いつになく、一筋縄にいく気がしません、笑。

 

個人的に、この歌を聴いてイメージするのは、ざっくりと言ってしまえば、”生命の誕生”からの”人々への応援歌”です…何だか分かりませんね、笑。

 


まず、生命の誕生、と言うよりは、うーん…”魂が、何かある実体に憑依する瞬間”みたいなのをイメージしています。例えば、受精の瞬間とかですね。母体に生命が宿るような感覚…何も人間でなくても、生き物全て…犬でも、猫でも、鳥でも、何でも良いんです。

 

天国とかあの世とか、そういう場所があるとして、そこで魂が選ばれて、「じゃあお前は、あの生き物の、あの母親のお腹の中に宿るのだ!」と啓示を受ける。魂は、「分かりました!では行ってきます!」と、この世に降りてきて、自分の”体”になる場所を目指して、プカプカと漂っている、というような感じですかね。

 


ささやいて ときめいて
街を渡る 羽のような
思い通りの生き物に変わる

 

こういうところがね、何かそういう”生命の神秘”みたいなのを思い起こさせる表現だなって思うんです。ただ、ここを読むと、何に宿るかは、”魂”の意思に委ねられているのかもしれない、とも思えてきます。”思い通りの生き物に変わる”ですからね。

 


■で、そこからの、”人々への応援歌”ですよ。先述の通り、この曲は「人々の不安を少しでも和らげることができる楽曲を作ろう」と草野さんが思い立って作った曲でしたね。

 

新しく生き物が誕生する、というイメージと同時に僕は、生きている人が生まれ変わる、というイメージも持っています。

 

”思い通りの生き物に変わる”や、”望み通りの生き物に変わる”という表現。悲しいことがあっても、悲しみに打ちひしがれても、それでも気を確かに持って生きていこうよ!と、そう人々を応援する気持ちが、ここら辺の表現から受け取ることができます。気持ち次第で、あなたはどんな風にも生きていけるんだよ!という感じですね。

 


いつもならば、どこか特定の歌詞を紹介して、「ほら、ここがそういう表現になっているでしょ!」と語るんですけど、今回に関しては、全体ですね。全体から、ここまで書いてきたイメージを受け取りました。

 

あなたには、どんなイメージが浮かびますか?何か、イヤーンなイメージもあるらしいですけど、それでもいいんじゃないですかね?笑

 

ハネモノ MV

youtu.be

135時限目:ハニーハニー

【ハニーハニー】


ハニーハニー

ハニーハニー

 

■アルバム『惑星のかけら』に収録されている曲です。個人的ランキング、191曲中141位でした。

 

アルバム自体が、グランジ色の強い、歪んだ音色が特徴のアルバムだと評価されますが、そんなアルバムの中だと、割と軽い部類に入るんですかね。でも、曲名のゆるさとは裏腹に、しっかりとハードロックな感じもありますけどね。イントロから、おっ!と思わせるような、重厚なギターサウンドが響いてきます。

 

第一期(個人的な分類では)の曲ではありますが、今年に発売されました、武道館ライブのDVDで、【ハニーハニ―】を演奏・歌唱しているのを見ることができます。これも、いつも言っていることではありますが、昔の曲を今のスピッツでやると、とんでもなく化けますね!

 


■まず、この曲に関して、スピッツには(草野さんの詩には)珍しい、英語歌詞が入っています。サビの歌詞を書いてみると、

 


ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 僕らに
ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 天国が
落ちてくる日まで

 

となっています。”ハニーハニー(honey honey)”もそうですが、それよりも英語歌詞と言えば、”It's so brilliant!!”の方が珍しいですね。この辺りを、草野さんは、「踏み絵を踏むような気持ち」だった、と言っていたらしいです。

 

そういえば、どこかの何かで聴いたラジオ音源で確か(伊集院さんのラジオだったと思います)、草野さんは、サビが英語歌詞になる歌について言及していたのを、微かに覚えています。流行もののように、そんな歌が出回っていることに関して、自分はそんな歌は作らない、というようなことを確かおっしゃっていました。

 

”踏み絵”とは、その辺りのことを指して言ったのかな、と思います、笑。自分が自ら、やらないと言っていたことに足を踏み入れた、ということでしょうかね。色んな可能性を模索した結果でもあるのかもしれないですけどね。

 


■では、この歌は、どんなことを歌った歌なのか、考えてみました。

 

全体的に、歌詞を読んでみて、この歌からはまず、”許されない恋愛”というイメージが浮かんできました。

 

”抜けがらの街で会おうよ”…抜けがら、とは、何となく寝静まった、ひっそりとした街というイメージです。忍んで会っている、という感じですかね。

 

”罪の花をばらまきながら”…罪、という言葉が使われていますからね、その通りですね、罪深いことをしてしまっている、ということでしょう。

 


という風に読んでいくと、2番にこんな歌詞が出てきます。

 


ハニーハニー 本当のことを教えてよ
神の気まぐれ 箱庭の中
ハニーハニー 隠れた力で飛ぼうよ
高く 定めの星より高く

 

神、出ました、笑。ずっと言ってきましたが、草野さんが使う”神”や”神様”という言葉は、”死神”という意味で使われているのではないか説が、自分の中で定着しています。まぁ、死神は言い過ぎかもしれませんが、”死”や”運命”を司る存在として描かれているような気がしています。

 

とすると、ここの表現はどうでしょうか。”神の気まぐれ 箱庭の中”からの、”定めの星より高く”飛ぼうとしている、と。これは、決定づけられた運命や生活から抜け出そう、と読み取ることができそうですね。

 

例えば、不倫や浮気。結婚していて、もう一生を共に生きていこうと約束を交わした相手がいる…何なら、子どもも居たりして、決定づけられた生活が自分にあるという状況です。そんな時に、約束した相手とは別の人と、恋に落ちてしまった…落ちた、というよりここでは、堕ちた、ですかね。しかも、その恋に堕ちた相手も、結婚している人だった、ということにもなれば、余計にドロドロしてきますが…。

 

色んな状況が考えられると思いますが、そんな”許されない恋愛”をイメージしました。

 


■ここから、少し飛躍して考えてみます。先ほども言ったように、神=死神であるとして、この歌に”死”のイメージを付け加えて考えてみました。

 

先ほど書いたサビの中に、”僕らに…天国が落ちてくる日まで”とあり、これも先述しました2番の歌詞にも、”隠れた力で飛ぼうよ…定めの星より高く”とありました。

 

この辺りは、”許されない恋愛”に堕ちた結果の”心中”というものにもつながる表現であるかもしれません。”天国が落ちてくる”なんて、すごい独特な表現ですよね、あくまで天国なんですね。心中して、この世とおさらばして、好きなように愛し合えるあの世を、”天国”と表しているのでしょうか。

 


…まぁ、この辺りは想像が色々とできそうですけどね。Cメロが、少しイヤーンな感じの歌詞だと思ったので、”飛ぼうよ”とかっていう表現も、そっちの方に解釈できるかもしれませんけどね。

 

ただ、とにかく”許されない恋愛”説は、拭えませんね。”ハニーハニー”なんてかわいらしい言葉を使っているくせにね、草野さんったら…もう!いじわる!めっ!

134時限目:花の写真

【花の写真】


花の写真

花の写真

 

■シングル『つぐみ』のカップリング曲であり、アルバムとしては『とげまる』に収録されています。個人的ランキングでは、195曲中163位でした。この記事を書くに当たって、久しぶりにちゃんと聴いたかもしれません…。

 

何ていうんでしょうか、こういう曲調、カントリー調?カントリーロック?田舎の農道を走りながら、軽トラの荷台に乗って弾き語るような、そんな牧歌的な雰囲気ですね…まぁ、そんなこと、したことないんですけどね、笑。

 

wikiの情報をそのまま抜粋すると、”ペダルスチール&マンドリンが使われ佐橋佳幸が参加している”とのことです。ペダルスチールという楽器は、初めて知りましたが、マンドリンと同様に弦楽器ではあるんですけど、ピアノみたいに台の上において演奏する弦楽器、琴とかに近いんですかね。 

 


■曲の解釈について語ってみます。

 

個人的には、こんな明るい曲調なのに、悲しくて寂しい歌だな、っていう印象をこの曲にはずっと持っていました。

 

これはいつものことですが、僕は一曲一曲について、物語を想像してみるんです。それは、その曲その曲の”僕”や(曲にとっては”俺”や”私”)、”君”が主人公の物語ですね。聴き手である僕らにとってはフィクションでも、その曲の登場人物たちにとっては、日常の物語なわけです。

 

それで、この曲についても、歌詞を読んで色々と物語を想像してみるんです。僕なりにこの曲の物語を想像したとき、何か胸がジーンとして涙が出そうになってくるんです。

 


■まず何と言っても、この曲を象徴しているものは、タイトルにもなっていますが、”花の写真”ですね。

 

歌詞にも出てきますが、二人をつないでいるのは、”花の写真”ということになります。実際の花ではなくて、あくまでその”写真”なんですよね。これに関しての解釈は、色々想像できると思います。

 


例えば、単純にカメラが趣味で、その趣味が高じて知り合ったカップルだとかね、笑。だとしたら、非常にほほえましい関係ですね。

 

自然に、付き合っているカップルを当てはめてしまうんですけど、単純にカメラ仲間でも当てはまるかもしれませんね。”遠くの君に 届きますように”というフレーズがあるように、全国に散らばるカメラ仲間のひとりに、「こんなきれいな花の写真とれたんだよ!見てよ!」みたいな感じで、”どうでもいいような文そえて”届ける、そんなイメージです。

 


■ただ、やっぱり先述の通り、この曲に漂う、何とも言えない悲しく寂しい雰囲気を払拭できません。

 

あくまで、二人をつないでいるものは、実物の花ではなくて、”花の写真”なわけで、そこから、君が実物の花を見に行くことができない状況、というのを想像しました。この辺りは、もうどんな風に想像するかどうかですが、例えば僕は、”君は病気で入院している”という物語を想像しました。そういうつもりで聴いてみると、この歌は切ないんです。

 



いつかは終わりがくることも 認めたくないけど分かってる
大げさにはしゃいでいても 鼻がツンとくる

 


こんなことしか できないけど
泣きそうな君が 笑いますように

 

曲調が明るいだけに、この辺りの歌詞が、何とも…僕の空元気といいますか、本当は君が病気で悲しいはずなのに、それを見せちゃいけない、君の前では明るく振舞わないと、という風に頑張っている姿が思い浮かんできます。

 


病院から出られない君を少しでも元気づけようと、街で撮影した、”花の写真”やきれいな風景の写真を持って、毎日のように病院に駆けつけるというイメージです。

 

”遠くの君に”とか、”どうでもいいような文添えて”とかいうフレーズがありますので、直接届けるのではなくて、自分が暮らしているところと、彼女がいるところに距離があって、手紙に写真を同封している、という解釈の方が自然かもしれません。

 

”靴擦れの痛みも気にしない”というフレーズも、何とも言えないですね…君を励ましたい一心で、歩き回って、健気に頑張っている姿を想像すると、胸がジーンとなりますね。

 

 

まぁ別に、病院云々の話は、個人的な想像ですからね。遠距離恋愛中の恋人や、遠く離れた友達とか、大事な人を元気づけようと”花の写真”を送っている、という解釈でもいいですけどね。よりドラマチックに物語を想像してみよう、とするのは、自分のクセではありますね。

 


■あと、これも個人的な解釈になるんですけど、僕はこの曲と、アルバム『ハチミツ』に収録されている【あじさい通り】という曲が、繋がっているように思えるのです、どうでしょうか。

 

あじさい通り】という曲も、落ち込んでいる”あの娘”を、何とか元気づけようと頑張る男の子の歌なんです。花を届けようとしている場面が伺えるフレーズがあったり、雨の描写も出てきたりと、共通点が多いです。

 

同じ場面を歌っているのか、それとも続きを歌っているのか、あるいは、やっぱり全く関係ないのか。まぁ、その辺は、聴いてみて確かめてみてください。

特講:貴重な草野さんのリンダリンダジャンプ

■とりあえず、先月発売になったアルバム『醒めない』の表題曲【醒めない】のPVがフルバージョンで公開になったので、貼り付けておく!

 

まだ見たことない方も、曲すら聴いたことない方も、何度も何度も繰り返し見たい方も、大人も子供も、おねーさんも、この機会に29年目のスピッツの勇姿を目に焼き付けておこう。

 

【MV】醒めない / スピッツ

youtu.be

 

最後の革ジャンのメンバー、渋くてかっこいいね。あの格好での演奏風景をもっと見たかった気もするけどね、短い!というね、笑。あと、パンクロッカー姿の草野さんの挙動が、完全に甲本ヒロトを彷彿とさせるよね、人形姿ではあるけど、貴重な草野さんのリンダリンダジャンプが…笑える、笑。パンクロックの路線でいってたら、こんな風に飛び跳ねてたんだろうか、笑。

133時限目:花泥棒

【花泥棒】


花泥棒

花泥棒

 

■アルバム『インディゴ地平線』に収録されている曲です、アルバムの1曲目ですね。個人的ランキング、195曲中134位でした。印象には、かなり残る曲ですけどね。

 

前回紹介した【初恋クレイジー】が、同アルバムの2曲目でしたので、奇しくも、連続で収録曲を紹介することになりました。

 


■この曲の印象は、短くて(1分50秒)潔いパンクロック、といったところでしょうか。作詞は草野さんですが、作曲は三輪さんです。この曲を、草野さんは、「俺には絶対に作れない」と評したそうです。

 

三輪さんが作曲した曲だということで、他のアルバムの曲と感じが違いますよね。アルバムの始まりに弾みをつける、パンチの効いた曲ですよね。

 

その辺の話について、ネットでインタビュー記事を見つけたので、少し抜粋して載せてみます。(イ:インタビュアー、三:三輪さん、草:草野さん)

 



三:俺は、どっちかっていうとマサムネよりの曲を作ってくることが多くてね。マサムネには作れないような曲を作りたいとも思っていたし、こういう曲はマサムネは作ったとしても、アルバムには入れないだろうし。こういう曲を入れることによって、アルバムに広がりが出来たと思いますよ。

 

イ:1曲目でド胆を抜かれましたね。

 

草:1曲目でもう”スピッツ、ノッてま~す!”って感じだよね(一同爆笑)

 

三:現在しか出来ないことをいつもやりたいと思っているから、そういう意味でも勢いもつけばいいと思って。それにこの曲2分もないし、一体なんなんだ!と思わせといて2曲目でホッとさせるという。(一同爆笑)これはねセ~の!で音を出して、マイク2本立てて録ったのね、ほぼ一発録り。

 

イ:そういう勢いは充分に感じられますよね。

 

草:こういう曲だからこそ、泣きの入る詞にしたかったのね。悲しいイタリア映画みたいな。一人よがりの恋であり、ストーリーを考えていて自分で泣いちゃいました(笑)。それから、1曲目候補にはこれと『渚』しか考えられなくなって、結果的に『花泥棒』になりました。

 

”そういう意味でも勢いもつけばいいと思って。それにこの曲2分もないし、一体なんなんだ!と思わせといて2曲目でホッとさせるという。”って辺り、すごい分かりますよね。確かに、おっと思いますよね。それで、2曲目に【初恋クレイジー】ですからね。

 


ちなみに三輪さんというと、この時期の三輪さんは、突然ギターが弾けなくなるというスランプに陥って大変だったそうです。

 

アルバム自体も、作るのに相当苦労した作品で、メンバーでも「一番思い出深いアルバム」と言われている作品です。この【花泥棒】に関してもそうですけどね、田村さん作曲の曲(ちなみに、【ほうき星】という曲)も収録されてましたし、色々試していた時期でもあったんでしょうね。

 


■この歌に関しても、色んなストーリーが想像できると思いますが、何と言っても、歌の中で何度も連呼されている、”花泥棒”というフレーズが目立ちますね。

 

”花”というのは、そのまま”花”としても良いとも思いますが、僕の”あの娘”への気持ちを例えたものと考えるのが妥当かと思います。

 

”あの娘に似合いそうな花を見つけたぞ”からの、”この花を渡せたら それが人生だ!”というフレーズの流れになっていますが、”あの娘に似合いそうな花”とは、口説き文句か、シャレていなくても、いよいよ自分の気持ちを伝えようと考えた言葉などが当てはまるんじゃないかと思います。

 

それを渡そうとしているわけですからね、何なら、”それが人生だ!”とまで言ってるわけですからね、並々ならぬ想いを抱いているのでしょう。

 


しかしながら、2番では、”逆に奪われて すべて奪われて”からの、”夢で会う時は すごくいいのにさ”となっています。

 

”逆に奪われて”という部分の解釈が、少し迷いますかね。例えば、想いを寄せているあの娘は相当モテる娘で、モタモタしていたら、他の輩に取られてしまっていた、というのとか、例えば、単純に気持ちを伝えることができずに、なかなか夢で見るようには(頭の中のシミュレーションのようには)うまくいかない、というイメージですかね。

 


■ということで、”花泥棒”っていうのは、彼女の心を奪おうと頑張っているけど、うまくいかずに、逆に彼女に自分の心を奪われている男、ということでしょうか。

 

ただ、草野さんが思い描いたストーリーは、イタリア映画みたいな、という例えもありましたが、もっと切なくて、凝ったストーリーだったかもしれませんね。”ストーリーを考えていて自分で泣いちゃいました”、それほどなんですからね、笑。

 

メンバー全員で連呼する、最後の”花泥棒”が、花泥棒へのエールに聴こえてきますね。