スピッツ大学

ステイホームしながら通える大学です!

149時限目:フェイクファー

【フェイクファー】


フェイクファー

フェイクファー

 

■アルバム『フェイクファー』に収録されています、タイトルを読んだ通り、アルバムのタイトル曲になっています。

 

個人的ランキング、195曲中3位です。堂々のベスト3にランクインの曲です!僕は、本当にこの曲が大好きなんです。

 


■この曲に出会ったのは、何ともうかれこれ20年近く前のことですよ。まず、僕は小学生の頃に、シングル曲【チェリー】を聴いて、スピッツに出会いました。

 

そして、そこから少しずつ、アルバム『インディゴ地平線』『フェイクファー』『花鳥風月』をレンタルショップで借りて聴いていきました。今はもう見かけることはなくなりましたが…カセットテープに録音して、何度も聴きました。兄から譲り受けた、もう壊れかけのウォークマンで、もう何処に行くにも(ちょっと盛ってますが)、カセットテープ3本と一緒でした。

 


そんなアルバムのタイトル曲である【フェイクファー】ですが、子どもの頃に聴いた段階では、ちょっと難しかっただろうなって思います。ちゃんと意味は理解できていなかったと思いますが(それは今もかも知れませんが)、色々感じることがありました。

 

何となく、最初聴いた時から、怖かったんです。メロディーは、すごくきれいだと思っていたんですが、何とも言えないザワザワ感が残っていたんです。それが何かくせになって、子どもながら取り憑かれたように、何度もこの曲だけ繰り返して聴いたりしていました。この曲が、アルバムの最後に入っていて、余韻に浸っていました。

 


■アルバム『フェイクファー』について、書籍(主に「旅の途中」)などを読んで、どういう作品だったのかを、少し話してみます。

 


このアルバム『フェイクファー』は、スピッツの作品では8作目のアルバムになるわけですが、このアルバムはスピッツにとって、”変化”のアルバムだったということがうかがい知れます。

 

このアルバムで、長年に渡って、スピッツの作品をプロデュースしてきた笹路正徳(具体的には、『Crispy!』~『インディゴ地平線』までをプロデュースされました)という方から、スピッツは離れることになるわけです。

 

そして、新たに棚谷祐一という方をプロデューサーに迎え入れました。この人はあれですね、アルバムの最初の曲に【エトランゼ】という曲があって、シングル『流れ星』にカップリング曲として、【エトランゼ(TANAYAMIX)】という曲が収録されていますが、この人の作品なんでしょう。

 

笹路さんが、”先生”的な人物であったのに対して、棚谷さんは、一緒に考えてくれる”兄貴”的な人物であったとありました。

 


信頼していた笹路さんを離れ、レコーディングは難航した様子が、書籍には綴られています。そんな中で作られた『フェイクファー』のことを、草野さんは書籍の中で、”いまだに聴きたくないアルバム”と評しながらも、”これもスピッツのある一面”であるとも語っています。

 

特に、サウンド面で納得いってないんだそうです。くぐもった感じ、暗い感じになってしまったとありました。僕は、これは意図的に行ったアレンジだろうと思っていましたが、どうやら違ったんですね。

 


■長くなりましたが、そんなアルバム『フェイクファー』の表題曲の紹介でございます。

 


まず、タイトルが”フェイクファー”ですからね、ここからもう不思議な魅力を感じます。英語では”fake fur”、"fake"は偽物、”fur”は毛皮、ということで、そのまま”偽物の毛皮”となりますが、一般的には、人口毛皮と訳されますね。

 

あくまで、”偽物”なんですよね、そこからも、何か草野さんらしさ・スピッツらしさを感じざるを得ません。いつか失ってしまうもの、欲しいものを得られずに遠くから眺めていること、などへの一種の美学がありますからね。

 


そういう感じで、歌詞を読んでいくと、”ザワザワ感”の理由が、色んなところに垣間見ることができます。いくつか抜き出してみると、

 


唇をすりぬける くすぐったい言葉の
たとえ全てがウソであったも それでいいと

 


分かち合う物は 何も無いけど
恋のよろこびに あふれてる

 


偽りの海に 身体委ねて
恋のよろこびに あふれてる

 

最初は、”柔らかな心を持った はじめて君と出会った”と、どこか幸せな恋愛でも始まるかのような歌い出しでしたが、読めば読むほど、何ていうか、悲しい歌ですよね、こんなにひねくらなくてもいいじゃんってね…苦笑。

 

”全てがウソ”、”分かち合うものは何も無い”、”偽りの海”…など、全ての言葉に、”フェイク”という言葉が隠れています。

 


■恋愛っぽい、偽物…と来れば、これも色々な物語を想像できると思います。

 


まず、真っ先に思ったのが、”体を売る女性との恋愛”という物語でした。

 

”唇をすりぬける くすぐったい言葉”というのが、まさにセールストークを思わせるなぁ、と思ったのが、この解釈の始まりでした。誰にでも言っている、本心からじゃない、褒め言葉や愛の言葉などが思い浮かんだんです。

 

あとは、”偽りの海に 身体委ねて”とかね。これは、愛の無いSEXでしょうか、いや、男の方は一方的に思っているかも知れませんが、女の方は仕事として割り切っているのでしょう。

 


他にも、”男女の許されない恋愛”という物語もありかも知れません。具体的にひとつ上げるとするならば、”不倫”とかね。

 

”偽りの海に 身体委ねて”とは、間違った形の恋愛に浸っているという感じでしょうか。それでも、”恋のよろこびに あふれてる”とね。

 


■という解釈を、極端に…というか、考えに考え抜くと、”男女の心中”、あるいは、”後追い自殺”などという物語に行き着きました。

 

この解釈は、最後の部分の

 


今から箱の外へ 二人は箱の外へ
未来と別の世界

 

というところを読んで、完成しました。”箱の外へ”というものを、”今生きている世界”の外と訳すとしたらどうでしょうか?また、”未来と別の世界”とは、もちろん間違った生き方として、許されない恋愛へと進んでいく二人、と考えることもできそうですが、これも、未来と別の世界=未来(生きること)を放棄する、と考えれば、これも”死”のイメージが浮かんできます。

 


ということで、どう考えても総じて、タイトルの”フェイクファー”とは、”偽物の温もり”とでも訳してみるとどうでしょうか。

148時限目:P

【P】


P

P

 

■アルバム『さざなみCD』に収録されています。タイトルは、アルファベット一文字でそのまま”ピー”と読みましょう。スピッツの曲の中で、アルファベット一文字の曲は、2曲ありますが、片割れがこれです…あともう一曲の方は、またお楽しみに。

 

個人的ランキング、195曲中173位でした。うーん…スピッツ屈指の名バラードには違いないと思いますが、『さざなみCD』の中では、印象は薄かったんですかね、無意識にですけどね…。

 


■ということで早速、この曲の紹介・解釈について語ってみようかと思うんですが、順を追って、いくつか歌詞を抜き出しながら見ていきたいと思います。

 


まず、出だしが、

 


全部それでいいよ 君はおてんとうさま
果てそうな時も 笑ってくれたよ

 

とありますが、この歌の主人公にとって”君はおてんとうさま”、つまり太陽のように、いつでも元気付けてくれるような、そんな存在なのだということが読み取れます。

 


周辺を読んでいくと、”電話しながら”というフレーズが出てきますが、会えない状況でも電話したりして、繋がっている関係を思い浮かべますが、どうでしょうか。

 


■あと、タイトルの"P(ピー)"という言葉が出てきている部分を抜き出してみると、2番のAメロに出てきます

 


ピー音で隠した 今じゃ当たり前の
古い言葉 道を転がる
寂しくてイラだち 真夜中に駆け出す 孤独を気取る余裕もなく

 

 

ここに”ピー(音)”という言葉が出てきていますが、この辺りを読んで、どんなことを思い浮かべるでしょうか。まさか、卑猥な言葉や言ってはいけない言葉を隠すピー音ではないでしょうしね、笑。

 

僕が真っ先に思い浮かべたのは、留守番電話でした…”ピーという発信音の後にメッセージを…”というやつですね。”電話しながら”という歌詞から想像してみました。

 

今はもう、留守番電話って使ってる方はあんまり居ないんですかね、職場でたまに見かけるような気がしますが…プライベートではまず使わないような気がします、もうこの時勢、メールやLINEなどの方が便利でしょうしね。

 


上述の歌詞の続きが、

 


君へと続く登り坂を すりへったカカトでふみしめて
こんなして 再び会えたから 笑おうとしたけれど何でだろ?
知らぬ間に戻される 恥ずかしき炎
知らぬ間に戻される 消せなかった炎

 

という感じなんですが、色々とつなげて考えてみますと、例えば、”君”に電話したら留守番電話になってて、急に寂しくなって、真夜中に直接会いに行くために家を飛び出した、とかそういう感じでしょうか、笑。

 


最後の”知らぬ間に戻される”は、平穏を取り繕おうとするんだけど、ようやく会えたことで気持ちが抑えられなくなってしまった、ということでしょうか。

 

あるいは、”炎”という言葉がありますが、ここから想像できるのは、気持ちの再燃というものもあると思います。別れた元恋人や、かつて好意を持っていた相手に久しぶりに出会って、気持ちがまた再燃してきた、ということも想像できるのではないでしょうか。

147時限目:ビギナー

【ビギナー】


ビギナー

ビギナー

 

■37作目のシングル曲として、両A面シングル『シロクマ / ビギナー』として発売されました。アルバムとしては、『とげまる』に収録されています。

 

【ビギナー】に関しては、シングル『シロクマ / ビギナー』として発売される前に、デジタルシングルとして(いわゆる、ネットでダウンロード販売)発売になりました。僕は、楽曲などをインターネットで買うなんてこと、反対だったんですけど、CMで聴いた時に本当にいい曲だなぁって思って、初めて”曲をダウンロードする”ということを試みた曲でした。

 


この、”曲をダウンロードする”という行為について、草野さんがとある動画で少し語っていますので、紹介しておきます。(ちなみに語っているのは、『小さな生き物』発売時なので、【ビギナー】を直接解説したものにはなっていないですが…)

 


最近さ、曲をダウンロードで聴いてくれるような人も多くなったんですけども、それだと例えば、なんて言うの、CDのブックレットに、こーゆーところで録りましたよ、とか、こーゆーミュージシャンに参加してもらいましたよ、とかいうのが解説があったりするんですけど、そういうのまで、中々目を通してもらえないのは、残念な気がするんですけど…

 

と語っておられました。肯定も否定もしていないのだとは思いますが、草野さんの、”曲をダウンロードする”という行為についての考え方の一つなのでしょう。

 


■個人的ランキング、195曲中26位でした。僕は、この曲が本当に好きなんですよ。

 

先述の通り、これはCMで使われていた曲で…詳しく言うと、『ゆうちょ銀行』TVCMソングでしたが、それで聴いて、すごく短い間でしたが、本当に印象に残りました。ちなみに、こんなCMです(6分07秒あたりから)↓

 

https://youtu.be/Gzes2ht8MJs

 

今聴いても、ジーンときます。

 

この曲が発売になった頃は、僕の中でも、特に仕事関係で色々と苦しんでいた時でした。もうすでにその仕事は辞めてしまっているので、”前の仕事”と表現しますが、前の仕事をやっていた時期の中でも、一番つらい時期だったと思い出します。

 

何がつらかったの、と具体的に言われても、うまく説明できる自信はないけれど、上司に一人鬼のように怖い人が居たり、仕事場はまるで釜の中に入っているのではないかと思うほど、暑くて劣悪な環境だったし、色々苦しかったんです。

 

そんな中でも、”同じ船に乗った仲間”的な、結束感とも少し違うような…そうだな、あれは鎖に繋がれて、自分が逃げればみんな海に落ちてしまうぞ的な、使命感・連帯責任感でもって繋がれた、妙な仲間たちとともに、何とか頑張っていました。だから、辞めなかったのは、まさに”同じ苦しみを共にしている仲間がいるから”が理由になっていましたね。

 

そういうのを一気に思い出します、この曲を聴くとね。

 


■ということで、この曲に対する思いや解釈を語ろうかと思うのですが…今日は、少し趣向を変えてみます。

 

実は、【ビギナー】という曲を、まさにダウンロードして聴いた時に語った記事が、手元に残っておりました。その記事を書いたのは、2010年07月16日…現在(2016年11月)からさかのぼって、実に6年前の記事になりますが、より生に近い記事だろう、ということで、いつもの記事の代わりに載せてみます。言葉などがかなりざっくりとしていますが、手直しなど(ほとんど)無しで載せますので、そこはご愛嬌ということでお願いします。

 

 

***

 

<2010年07月16日 記事タイトル:ビギナー。>

 

今日初めて、携帯電話でCDを買った。

 

CDっても、ケースに入ってる見慣れたあれではなく、ダウンロード式のいわゆる配信限定ってやつ。

 


大体だ、CDっつーのはな、発売を待ちに待って、いざその日が来て自分の足でショップに行って、感動的に出会わくちゃいかん。そしてやっぱし、パッケージとか、歌詞カードとか、そーゆーのを眺めるのも大事なんだ。全部でCDであり「歌」ですから。

 

 

でも、まぁいーや。

 

買ったのは、スピッツの「ビギナー」という曲。

 

スピッツ先生がやられていることには間違いはありませんので、配信限定でも何でも、今回は特例で認めることにする、はいはい自分勝手。

 


ある日、CMで流れてて、一発でビビっときた。スピッツの新曲じゃん!ってなったけど、配信限定だと知って、がっくりきた。

 

アルバムで聴ける日を待とうと思ったけど、いや、どーしても今、全通しで聴きたい、ということで、思い切ってダウンロードに踏み切った。

 

懸念してた通り、全然買った気しねーな。

 

415円、加湿器…いやいや、歌詞付き。どう考えても、携帯でダウンロード中とか表示されて、メーターがグイーーーーーンってなるだけで415円のCDって、すげぇ騙されてる感じがした。

 

 

曲は、最高に良いです。今回のは、久々来たって感じ。

 

やっぱしね、草野正宗の書く詩は、ほんとに綺麗…だと思わない?日本一綺麗な詩に、日本一綺麗な声、最強の組み合わせだと思う、俺的に。

 


同じこと叫ぶ 理想家の覚悟
つまづいた後のすり傷の痛み
懲りずに憧れ 練り上げた嘘が
いつかは形を持つと信じている

 

この辺が、神懸ってると思う。全体を見ても、ひとつひとつ特別な言葉じゃなく、その辺にあるような簡単な言葉を繋いでるだけなのに、読むとすごく不思議な感じがするところに、この人の詩のすごさがある。

 


タイトルどおり、beginner…初心者っていう言葉どおり、この歌は、初心者、何か新しいことに踏み出した人に対して、優しくも厳しく、背中を押すような歌になっている。

 

ただ、単に「初心者」ってわけじゃなくて、そういう気持ち、最初に持っていた気持ち…夢とか希望とか恋愛とか、そーゆーものをいつまでも捨てれずに生きているような人も指しているんじゃないかなって、歌を聴いてて思ったんだ。

 


ぶちいい曲じゃけ、全員、買え!

 

***

 


■少し補足をさせてもらいます。

 

当時、新卒者に対する説明会にて、スピーチを任されたことがありました。一応は、同期のメンバーの中だと、頭はずいぶんと良い方だったので、任されたのだと思います。

 

そういうことがあって、”ビギナー”という言葉を聞くと、何となく新入社員というものも思い浮かべます。

 


ということで、ぶちいい曲じゃけ、全員、聴け!笑

思い出したように、たまには挨拶を

■おはこんばんちは。学長のitukamitanijiでございます。思い出したように、たまには挨拶を、と思い立ち、こうして筆を握り…いやいや、キーボードを弾いている次第ございます。

 

諸君、スピッツの研究は進んでおるかな?毎日欠かさず、聴いておるかな?…と、これに関しては、私自身がそういうわけではないので、何とも言えないが…。

 


■現在、絶賛進行中の全曲研究セミナーにて、146曲目【ビー玉】を紹介したところ。ちょいとここら辺で、何にもないけど、あいさつがてらしゃべってみようかな、と思った次第なわけです。最近は、ずっと曲を紹介し続けてばっかりなのでね、たまにはね。

 


にしても、146曲紹介したんですか…いや、よく続いてるな、と思う。

 

実は、こういうスピッツの曲を紹介しようと、ブログにあれこれ書くということをしたのは、初めてじゃなくってね。第一、第二の、スピッツ大学がかつてあったのよ…正確には、その時はスピッツ大学とは名乗ってなくて、しかもスピッツだけにフォーカスしたブログでもなくて、色々書くブログの中の、ひとカテゴリーに過ぎなかった。

 

確かどちらも、30~40曲くらいで飽きて止めちゃったんじゃなかったっけな。とにかく、続かなかったんですよ。

 

しかし、今回…というより、もう1年と4カ月くらい前ですけどね、スピッツ大学と、堂々と名前を掲げて、より専門的にしゃべってみよう、と思い立って始めたわけで。これも、きっと飽きちゃうんだろうな、とか思っていたけど、あれよあれよと、もう146曲目ですか。もう、ここまで来たからには、途中で止めたりはしないだろうとは思っている。

 


何よりね、今回は、ブログに訪れてくれる人数が多くて。1日2000人~3000人(以上)の方が来てくださっていて、それが、続けていこうと思える一つの要因だと思っています。本当に、皆様どうもありがとうございます。

 

そして、もしも、この記事でここの存在を知った方がおられたら、それもすごく嬉しいことです。今後とも、よろしくお願いします。きっと、時間はかかるけど、最後まで書き切る(全曲を紹介しきる)つもりなのでね。

 


■さて、今後の予定ですが、このブログで、もうすでに語っていることと重なる部分もあるかと思うけど、ご了承を。

 


まず、何と言っても、全曲紹介は終わらせなければなりません。これがメインなのでね。順番としては、

 

①シングル『雪風』までの全曲を五十音順に並べ、早い順に紹介していく。
②アルバム『醒めない』収録曲を紹介する。
③インストの曲や、その他特殊な曲(e.g. エスペランサ、あかさたな)などを紹介する。

 

という感じになると思う。その間で新曲が発売になれば、とにかくその都度後回しにして紹介していく、という感じで進めていくことにする。

 


あわせて、アルバム『一期一会』のトリビュート曲(ハチミツトリビュートは紹介済み)や、アルバム『おるたな』のカバー曲なども、これはアルバム単位で紹介していきたいなって思ってます。

 


■そして、個人的には、アルバム単位での、作品ごとの紹介もしたいな、とも思ってる。

 

もうすでに、そういう感じで書いちゃってる記事がいくつかあるけれども、これを全アルバムでも行ってみたい。

 

イメージとしては、そのアルバム紹介の記事から、アルバム収録曲を選んで、それぞれの記事に飛べるようにもしたいなって思っています。まぁこれは、まだまだ先だけどね。アルバムの収録曲を全曲紹介した作品が出てきた端からでも、やってみようかなって思う。

 


あとは、スピッツの曲を時々カバーしてみたり、そうそう、ランキングもね、キリがいいところで動画を作んないといけないし(パワポで、何にも凝らない味気ない動画にはなるけどね、笑)。ただまぁ、ランキングはまだまだ完成しなそうにないので、これもまだ先のことかな。

 


■大体、全曲紹介の記事は、週に1記事を目標に、調子いい時は、2記事くらいは書けるかなって思ってます。時間がないわけではなくって、何ていうか、書こう!って思えた時に書きたくて、それが大体週一くらいなわけなので、そういう感じになっちゃうかな、と。まぁ、何より、細く長く続けたいからね。

 

というわけで、何てことない記事だったけれど、今後とも、スピッツ大学をよろしくお願いいたします。別記事でも、お会いしましょう。ご精読、ありがとうございました。

 

itukamitaniji.hatenablog.com

146時限目:ビー玉

【ビー玉】


ビー玉

ビー玉

 

■アルバム『スピッツ』と、それと同時に発売されたシングル『ヒバリのこころ』のカップリング曲として、両方に収録されています。個人的ランキング、195曲中169位でした…あんまり印象には残っていませんでした…。

 

初期の謎曲のひとつですよね。タイトルが【ビー玉】と、割とかわいらしい名前で、いきなり軽快なリズムで「ラーンラララーンラララーンラララーンラーン」と始まったかと思えば、そのあと”おまえの最期を見てやる”なんて不吉なことを歌い出しますからね。

 


■このブログでも本当に何度も言ってきましたが、草野マサムネさんの詩のテーマは、”死とセックス”というものです。

 

”セックス”とは、”性”=”生”として、つまりは命や人間の根源を表しているもので、一方の”死”とは、その言葉通り人生の終わりを表しているものです。よって、”死とセックス”で、人生や命の”始まりから終わりまで”を表わしていると言えると思います。

 


さらに、その”死とセックス”についてですが、草野さんは、丸い物に”死”のイメージを持っているそうなのです…というより、歌詞の中に丸い物が出てくると、何となく”死”のイメージを感じます。

 

丸い物…例えば何がありますかねぇ、月、星(これも一応丸いんですかね)、あわ、飛行船、くす玉などでしょうか。ともすると、その中に、”ビー玉”も含まれるのではないでしょうか。

 

ちなみに、”セックス”のイメージの象徴は、とがっている物だそうです。

 


特に、”死とセックス”のテーマは、初期の曲に特に根強くあると思います。そしてそれが、色んな言葉や表現に隠されていて、読み解くことが困難なことも多いのです。

 

それは同時に、歌詞を読んでいくことへの楽しさへと繋がって、引いてはこのブログの存在理由でもあるんですけどね。何となく、国語の問題を解いているような感覚、あるいは、暗号とか謎々でも解いている感覚になることもあります。

 


■ということで、【ビー玉】の個人的な解釈です。

 


まず、先ほども少し書きましたが、この曲の始まりの歌詞は、こんな感じになっています。

 


おまえの最期を見てやる
柔らかな毛布にくるまって
ゆっくりうかんだら 涙の星になった

 

”おまえの最期を見てやる”という、フレーズからは、普通に考えてやっぱり、”死”のイメージを受けとりますよね。”最期”ですからね、何かが終わる瞬間と考えることが自然で、それに”おまえ”が引っ付いているわけですから。

 


続く歌詞も、

 


どうせパチンとひび割れて
みんな夢のように消え去って
ずっと深い闇が広がっていくんだよ

 

となっていますが、ここなんか、まさに”死”の表現ですよね。”どうせ”という言葉が使われていますが、”死”とは、誰しもに平等に訪れるもので、それに対する、半ば諦めの気持ちというか、もしくは妙に達観しているような、そういう気持ちが現れているような気がします。

 


あとは、サビの”タマシイころがせ チィパ チィパ チィパチィパ”とかですね。

 

”タマシイ(魂)”とは、本来は神々しくて尊いものであるにも関わらず、ころがせとか、チィパチィパとかね、何かそんなに重く捉えていないような、軽くあしらっているような感じを受けます。”チィパ チィパ”って何だよって話ですよね、笑。

 


■きっと、誰しもに、”死”を思い出させるような出来事ってあると思うんですよ。身内や大事な人を亡くなってしまったこととか、会ったこともないけど自分が好きだった有名な方が亡くなったこととか。あるいは、自分自身が、大病や大けがをして、死に近づいた経験がある、とかね。色々あると思います。

 


僕なりにこの曲を聴いて、思い出す”死”の記憶があります。いくつかあるんですけど、この曲を聴いて真っ先に思い出したのは、”寝ずの番”というものでした。知ってますかね、寝ずの番。

 

 

現在の日本では通常、人が死ぬと、通夜(死んだ人と過ごす最後の夜)があって、その次の日に葬式(親族や身内が故人に最後の別れを告げる儀式)があるわけですが、その通夜の夜に行われるのが”寝ずの番”というものです。

 

”寝ず…”という言葉が付いていますが、元々は夜を通して本当に寝ないで、線香を絶やさぬように、死んだ人の側に居る、という風習だったらしいですが、今はそんなに絶対的なものではなくなっているそうです。普通に眠りはするけど、遺体が安置されている空間で一緒に一晩を共に過ごす、ということで、別れを惜しむ気持ちを表す、というのが現在の”寝ずの番”というものになっているそうです…というか、僕自身が体験したのは、そういう感じでした。

 

僕は、父親を高校の時に亡くしたんですが、その時は、自宅に父親の亡骸を持って帰って、一緒の部屋で並んで寝ました。それも、”寝ずの番”の一種ですね。

 


■最近も…と言っても、4年前くらいかな、祖母が亡くなったんてすけど、その時も"寝ずの番"をしたんです。

 

確か、金曜か土曜かの夜に亡くなったので、親戚の皆が集まれたことに対して、「おばあちゃん、皆が集まれるように、休日前に亡くなってくれたんじゃねー」みたいなことを話したのを憶えています。


祖母は亡くなってすぐ、お寺に運ばれ、そのまま通夜が行われました。それで、供養などが色々一段落したあと、数名がお寺に残って、”寝ずの番”をすることになったのです。それで、僕と、親戚の兄ちゃんと、その兄ちゃんの子ども(当時、小学中学年くらいだったでしょうか)が残ったのです。

 

子どもなんかは、無邪気なもので、お友達の家にお泊りに行くような感じだったんでしょう。一緒に遊んだりして過ごしました。その子どもも眠ってしまい、親戚の兄ちゃんと仕事の話などをしたりして過ごしたりして、もういい加減俺も眠るかな、とか思ってたら、もう深夜1時くらいになった頃、他県にいる実兄が”寝ずの番”に参加するためにお寺に駆けつけ、ビールで献杯を行ったりしたんです。

 


何か、色々考えさせられたんですよね。それは、人が死んでしまった、という事実からはもちろんですが、親戚の兄ちゃんと仕事の話をしたこととか(その時にやっていた仕事は、僕の方はすでに辞めてしまっているけどね、笑)、その兄ちゃんの子どもと遊んだりしたこととか、実兄が駆けつけて一緒にお酒を飲み交わしたこととか、何かすごい印象的な夜だったことは、よく覚えています。まさに、”死”と”生”を、同時に感じることができた夜だったと思い出します。

 


■ということで、脱線しまくりですね、たまにはこんなのも良いんじゃないすか。

 

”おまえの最期を見てやる 柔らかな毛布にくるまって”という表現が、まさに”寝ずの番”っぽいなぁ、というわけで、この曲を久しぶりに今回聴いてみて、上述のようなことを、一気に思い出していました。

 

きっと、この曲を聴いて、思い出すことは、人によって違うんでしょうね。

145時限目:ヒバリのこころ

ヒバリのこころ


ヒバリのこころ

ヒバリのこころ

 

スピッツのデビューシングル曲であり、そのシングルと同時に発売された、これもデビューアルバムである、アルバム『スピッツ』に収録されています。

 

アルバムと、それに収録されている曲をシングルカットして同時に発売するなんて、珍しいですよね。しかもカップリング曲の【ビー玉】も、アルバムに入っているわけなのでね…え、アルバム買えばいいんじゃね?と思ってしまいますが、どうなんでしょうか。全作品をコンプリートするには、両方買わないといけない、的な感じでしょうか。

 

と、思って調べてみたら、少しだけバージョンが違うみたいですね…「アルバム収録版とはフェードアウトの開始位置が異なり、シングル収録版の方が30秒ほど短いバージョンとなっている。」だそうです。

 


■【ヒバリのこころ】はデビュー作品ではありますが、この曲はそれ以前に、もうすでに存在していた曲のようです。

 


スピッツのメジャーデビューは、デビューシングル&アルバム発売の1991年3月25日ですが、インディーズで活動していた期間があって、1990年3月21日にインディーズアルバム『ヒバリのこころ』を発売しています。

 

アルバム『ヒバリのこころ』収録曲は6曲…【ヒバリのこころ】【トゲトゲの木】【353号線のうた】【恋のうた】【おっぱい】【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】です。今でいうミニアルバム的な作品だったんですね。【353号線のうた】【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】以外は、メジャーデビュー以降のアルバムに収録されて聴けるようになっています。

 

今ではもう、このアルバム『ヒバリのこころ』には、相当なプレミアがついているようで、とあるオークションサイトで調べてみると、現在(2016年)でも24万円で取引されているのを発見しました!どうですか、買ってみては?

 


また、wikiによると、「1989年9月に「僕はジェット」と同時にレコーディングされたデモ音源」という記述もあり、【ヒバリのこころ】はとても古くからあった曲であることが分かります。

 

スピッツにとっても、思い入れのあった曲だったのでしょう、だからこそデビューシングルに選んだのでしょう。

 


■アマチュア時代、インディーズ時代の活動を経て、いよいよシングルとアルバム同時発売でメジャーデビュー!ということになるわけですが、書籍などを読んでみると、中々すんなりいかない部分もあったようです。

 

そのひとつのエピソードとして、デビューシングル&アルバムのレコーディング時の話が、書籍『旅の途中』に載っています。

 

変にナーバスになり過ぎて、まずチューニングから時間がかかり、録音してみてもそれぞれのパートが合っていないように感じる。次第に(というより最初から)何を基準にレコーディングして良いのかはっきりしておらず、ただただテイク数だけが重なっていく。そういう悪循環から、エンジニアが切れてしまった…。

 

などというエピソードが書かれていました。詳しくは、書籍を読んでみてください。

 


■僕がスピッツを知って好きになったのが、【チェリー】辺りの頃でしたが、デビュー曲を知って聴いたのは、割とあとだったと思います。

 

wikiなどを見て思い出していたのですが、この曲は(何故か)、1998年に「NHK長野冬季五輪」CMソングになっています。そういうわけで、僕はこの曲に寒いイメージを持っています。まぁ、歌詞にも”冬”という言葉が出てくるので、そのせいもあるかと思います。

 

2016年現在で考えて、およそ30年前の曲でありながらも、今でも度々ライヴで演奏される、スピッツのマスト曲のひとつですね。デビューアルバムの荒っぽい感じのも好きだし、武道館ライヴのDVDでも演奏しているのが見れるんですが、今のスピッツでやっているのも、ただただかっこいいんです。

 

やっぱり名曲は色あせませんね…というより、デビュー時点で、スピッツがこんなに大きくなることを誰が予想できたでしょうか。聴き比べてみると、本当に感動します。長いこと、同じことを続けていくことに対するリスペクトを僕は感じつつ、頑張らないと!頑張り続ければ!と勇気をもらいます。

 


■ということで、全ての始まりの曲、【ヒバリのこころ】の解釈を自分なりに語ってみたいと思います。

 


スピッツの曲には、鳥の名前が使われている曲がたくさんあります。覚えている限り列挙してみると、ヒバリ、カモメ、つぐみ、ハヤブサ、スワン、海ねこ…黒い翼からはカラスのイメージを受けますし、あとこれも古い曲になりますが、【鳥になって】なんかは、ダイレクトにタイトルから”鳥”という言葉が使われています。

 

曲によって、鳥の名前に込められた意味は違っているのでしょうけど、これだけ鳥の名前が多く使われているので、何かしらのこだわりはあるのでしょう。というところで、僕が印象に残っている言葉があるんですけど、それは、こんな言葉です。

 

「小さかったヒバリは、大きなハヤブサへと進化したのだ」

 

この言葉は、僕がスピッツのアルバム『ハヤブサ』を買った時に、その店で見かけた言葉…だったような気がします。ポップに書いてあった言葉だったかもしれません。だとしたら、その店の方が考えた言葉なのかもしれません。いかんせん記憶が曖昧なのですが、確かにどこかで見かけたので、こうして記憶に残っています。それとも、幻???(情報求ム!知っている方いませんか?)

 

まぁ真相はともかく、この言葉が僕は何か好きなんです。まさに、長く活動してきたスピッツの歴史を、的確に表わしている言葉だと思います。

 


■ということで歌詞を読んでいくと、サビがこんな歌詞なんです

 


僕らこれから強く生きていこう
行く手を阻む壁がいくつあっても
両手でしっかり君を抱きしめたい
涙がこぼれそうさ ヒバリのこころ

 

ここを読む度にいつも思うんですけど、これはラブソングなんですかね?”僕ら”という言葉や、”君を抱きしめたい”という言葉…他の部分でも、”僕が君に出会ったのは 冬も終わりのことだった”とか”顔じゅういっぱい 僕に微笑んでよ”など、何か恋人をイメージするんですが、どうなんでしょうね。

 


■まぁ個人的には、デビュー曲ということで、この曲を”スピッツはじまりの曲”として、いつも聴いています。というより、大半の人がそうなのではないでしょうか?

 


”僕ら”という言葉を、”スピッツメンバー”として置き換えて考えてみるとどうでしょうか。”君を抱きしめたい”云々を、メンバーに向けて…として考えちゃうと、また変な感じになっちゃいますが、その辺りはあまり深く考えないこととします。

 

または、スピッツメンバーを含めた、当時の草野さんを取り巻いていた人間関係全体と考えても良いかもしれません。

 

スピッツとして生きていく決意、音楽業界に飛び込んでいく決意、どんなことがあっても強く生きていこうという決意、などをこの曲から受け取ります。

 


あとは、個人的に好きな歌詞が、

 


いろんなことがあったけど
みんなもとに戻っていく
ここにいれば大丈夫だと信じてた

 

ここです。何か、よく分かんないですけど、不思議と引き寄せられます。うまく説明できないんです。でも、そういうことってありません?理由はなんか分かんないけど、なんか良いんですよね。”水槽の熱帯魚…”云々のところも好きです、こっちも理由は分かりませんが…。

 


■ヒバリとは、小さな鳥で、春を告げる鳥、と言われています。そういえば、”僕が君に出会ったのは 冬の終わりのことだった”という歌詞があります。そう考えると、やっぱり、恋愛に例えることができるかもしれません。

 

スピッツの始まり、として考えるとすると、自分たちのことを、小さな鳥と例えたのかもしれません。全ての始まりとして、小さな鳥でも、強く生きていこう、というメッセージを受け取ることができます。

 


ということで、スピッツ始まりの曲、【ヒバリのこころ】を、しかと目に焼き付けておきましょう!全員、若いですね!それよりも、脚立に座って演奏って、シュールすぎる、笑

youtu.be

 

144時限目:日なたの窓に憧れて

日なたの窓に憧れて


日なたの窓に憧れて

日なたの窓に憧れて

 

■アルバム『惑星のかけら』に収録されている曲で、後に5作目のシングル曲としてシングルカットされました。個人的ランキング、195曲中112位でした…こんなに低いのかぁ、全く無意識でつけたのでしょうがないですが、この曲は結構好きです。

 


■この曲についての情報を…まずは、いつも通りwiki頼りですが、色々書いてみたいと思います。

 


まず、スピッツはこの曲で初めて、テレビ番組のスタジオ出演をしたそうですね。

 

アルバムやシングルが発売になったのは1992年のことなので、今(2016年)からさかのぼること、実に24年前のことですか。もちろん、記憶にはないですし、見たこともありません。

 


あと、バックで終始流れ続けるシーケンスが印象的ですが、これは草野が発案したものである、とありました。

 

ここでいうシーケンスとは、バックでなっている、電子音とでもいうんでしょうか、同じリズムで繰り返し鳴り続けているのが聴こえますね。何となくこれがあるおかげで、全体的に明るく聴こえるような気がします。

 


■続けて、この曲についての解釈を、自分なりに語ってみます。

 


まず、サビの部分から。

 


君に触れたい 君に触れたい 日なたの窓で
漂いながら 絡まりながら
それだけでいい 何もいらない瞳の奥へ僕を沈めてくれ

 

まず、これもwikiにあったことですが、「歌詞は、当時日の当たらない家に住んでいた草野の思いが込められている。」とのことです。

 

ここで、”君”という言葉が使われていて、”君に触れたい”と歌われています。草野さんの思いが込められていると考えると(まぁどの曲にも草野さんの思いは込められているのは当たり前な話の気がしますが)、”君に触れたい”と思っているのは、他でもない、草野さん自身であると考えることができるかもしれません。

 


あとは、出だしやCメロの歌詞などを読んでみると、

 


君が世界だと気付いた日から 胸の大地は回り始めた
切ない空に浮かべていたのさ かげろうみたいな二人の姿を

 


メリーゴーランド メリーゴーランド 二人のメリーゴーランド
メリーゴーランド メリーゴーランド 二人のメリーゴーランド
ずっと このまま ずっと ずっと

 

この歌にはひとつ、”回る”という言葉がキーワードになっているのかもしれません。具体的には、”胸の大地は回り始めた”、”メリーゴーランド”などのフレーズが出てきます。

 

特に、”メリーゴーランド”というフレーズは、あんまり草野さんの曲では聞かないフレーズなので、気になるところです。確かに楽しそうでメルヘンチックなものですが、その場でグルグルと同じところを回っているだけのもの、という印象は何かを象徴しているのでしょうか。

 

例えば、追いかけているものにいつまでたっても追いつけない状況、とかどうでしょうか。そうなると、”君”は恋人というより、想いを寄せている相手として妄想している、と考えることができます。

 

あるいは、【ロビンソン】風にいうと、誰も触れない二人だけの国、とでも言いますか。そう読み取ると、やっぱり恋人同士なんですかね。先述した、”日の当たらない家に住んでいた草野の思い”を考えると、決して満足のいく生活をしていたとは言い難いですが、”君”という存在を支えに、細々と生きている様子も感じることができます。

 


■別に恋愛に絡めなくても、自分の生活に光が当たるように願っている草野さんの状況は変わりはないと思います。具体的には、自分たち(スピッツ)の活動に対してでしょうか。

 

アルバム『惑星のかけら』は、いわゆる初期のスピッツでは、一つの終着点であったと、書籍の中でも語られています。やりたかったことは、全てやりつくしたんだと。

 

しかし、この後に、売れ線を意識した作品『Crispy!』を作るわけですから、そうはいっても、やはりタイトル通り、自分の作品に光が当たること…つまり”日なた”に憧れはじめたんでしょうか。

 


その辺りに関して、書籍『スピッツ』によると、かつて草野さんは、以下のように語っています。

 


日なたの窓に憧れて”の歌詞も、最初は少し違ってて。(中略)そっちに近づいていくと最後には痛い目に遭うというような言葉を入れちゃってたんですよ。どっかで人を憎むとか死ぬとか、そういう言葉が入っていないと気が済まない。

 

幸せとか、安定した状況の中にいると、ちょっとお腹痛いのが胃癌じゃないかと思えてきたり、ホントに気が狂いそうになってきちゃうんですよ。

 

あと、これは特に恋愛に関してだけど、ある程度不安材料を与えてくれる人の方がいいんですよね。イライラさせるような、とか。急にいなくなっちゃうんじゃないか、とかね。

 


まぁ、何となく分かる部分もあるにはありますけどねぇ…。

 

どこかでメンバーが語っていたことで、(確か【チェリー】がヒットした頃だったですが)、”陰のスピッツ、陽のミスチル”というのがありました。何ていうか、自虐的に、自分達には”日なた”は似合わない、とでも思っていたのでしょうか。

 

きらびやかなところに安心するのではなくて、あくまで自分たちは細々とやっていくこと。”日なた”とは、ぬくぬくと安心して留まる場所ではなくて、憧れる場所であるくらいがちょうどよい、だからそこに居ることに慣れてしまってはダメだ、と。何ていうか、活動に対する、草野さんなりの美学やこだわりみたいなものを感じます。

143時限目:ババロア

ババロア


ババロア

ババロア

 

■アルバム『三日月ロック』に収録されている曲です。個人的ランキング、195曲中153位でした。

 

この曲もまた、独特ですよね。テクノっぽいと言いますか、ディスコ調と言いますか。そういう意味では、スピッツっぽくない曲だと言えるかもしれません。

 

wikiの情報によると、「スピッツ初のダンスビート。全編にわたってドラムが打ち込みで作成されている。」とありましたが、同時に、「随所で崎山の生ドラムも入っている」とのことです。打ち込みで入っているドラムの音が、「ドゥ、ドゥ、ドゥ、ドゥ…」って腹に響くのが、心地よいと同時に、何となくくすぐったい感じがします。

 


■さて、またまた難解な曲にぶち当たってしまいましたが、色々と考えてみたいと思います。

 

まず、曲とのつながりはさておき、”ババロア”って何だろう、って思うんですけど、何となくお菓子の種類?という程度の解釈しか持っていなかったので、そこから調べてみました。

 

意味としては、”牛乳・砂糖・卵・ゼラチンなどを混ぜ、型に流して冷やし固めた菓子”だそうです。何ていうか、ムースとかプリンとかに近い感じの、滑らかなお菓子っていうのをイメージしています。

 

ババロア”という言葉は本来、”バヴァロワ”と書き、「バイエルンの」を意味する形容詞である、ともwikiにありました。

 

うーん、どちらにせよ、曲とのつながりは見えてこないですね、笑。

 


■タイトルはともかく、どういう曲なのか、考えてみます。

 

冒頭で述べたように、この曲はドラムが打ち込みで、規則正しく鳴っていますが、それが何となく、切迫感というか、何か焦らせるように胸に響いてくるんです。うまく言葉にはできないですけど、何か急かしているような感じがするんです。

 


驚いて欲しいだけの 見えすいた空振り
ナイーブで雑なドラマ
もっと不様なやり方で 宇宙の肌に触れる
ババロア 会いに行くから

 

サビはこんな感じですが、最後の部分に”会いに行くから”とあります。この辺りが、先ほどの急かされているイメージに繋がっているのかもしれません。つまり、”急いでいる”、”焦っている”のは、僕が君に会いに行く、という場面に当てはめることができるかもしれません。

 

全体的に歌詞を呼んだ感じでは、夜でしょうか。離れた場所に居て、ふとしたことから、君に会いたくなって、僕は急いで君の元へと向かっている、そういうイメージです。

 

”驚いてほしいだけの…”というフレーズも出てきますが、これは、急に会いに行ってびっくりさせたい、という男の気持ちの表れかもしれません。

 


そして、ここに”ババロア”という言葉が出てきていますが…よく分かりませんね。そういえば、アルバム『三日月ロック』に、【ガーベラ】という歌がありますが、その歌でも、相手に呼びかける感じで、”ガーベラ…”と歌われています。何なんでしょうね、草野さんなりの、女性に対する独特なあだ名なんでしょうか、笑。それだと、何となく柔らかい感じの女性が思い浮かびます。

 


■さて、この”会いに行く”というところを、色々と深読みしてみると、歌詞の中に、色々と考えさせられる表現があることに気がつきます。

 


もっと不様なやり方で 宇宙の肌に触れる
ババロア 会いに行くから

 


着地する日まで 暖かい嘘も捨てないでいる

 


君がいた夏の日から止まらないメロディ
まっすぐに咲いた白い花

 

まずこの辺り、”不様なやり方”、”着地”、”君がいた夏の日”などの表現を(多少無理矢理)つなげて考えてみると、死んだ君に会うために、飛び降り自殺して、あの世まで会いに行く、という解釈につなげることができませんか?

 

”着地する日まで 暖かい嘘も捨てないでいる”って表現、死のイメージがつきまとうとしても、僕ここすごく好きな歌詞なんですよね。

 


■あとは、先述しましたが、サビの歌詞、もう一度書いてみますが、

 


驚いて欲しいだけの 見えすいた空振り
ナイーブで雑なドラマ
もっと不様なやり方で 宇宙の肌に触れる
ババロア 会いに行くから

 

ここがひょっとしたら、自慰行為の描写なのかなっていう想像もしました。”見え透いた空振り”とかは、いかにもって感じがしますし、”宇宙の肌に触れる”なんかも意味深に思えてきます。

 

だから、この場合は、会いに行くといっても、夢の中だったり、妄想の中だったりっていうことになると思います。

 


■で、ババロアって、結局なんでしょうね。なんなのでしょうね、考えてみましょうね!おしまい!笑

142時限目:バニーガール

【バニーガール】


バニーガール

バニーガール

 

■シングル『チェリー』のカップリング曲にして、アルバム『インディゴ地平線』にも収録されています。個人的ランキング、195曲中38位でした。

 

【チェリー】に関して言えば、もう説明が要らないほど有名な曲ですが、そのカップリング曲である【バニーガール】も、隠れた名曲ですよね…まぁスピッツファンにとっては、別に隠れてはないですけどね。

 

でも何か、この曲に出会ったことに、すごく得したと感じた記憶があります。自分だけが知っているような秘密…本当は全然そんなことないのにね、スピッツのカップリング曲に、とても魅力を感じ始めたきっかけでもありました。今でも、本当に大好きな曲です、気持ちがスカッとロックナンバーですね。

 


■この曲について、色々と話してみます。

 

まず、草野さんがどこかでしゃべった(?)ことによると、この曲は「欽ちゃんの仮装大賞」を見ていて思いついた(作った)曲だということです。

 

「欽ちゃんの仮装大賞」、今の若い人はご存じですかね?ま、まさかの、おっさんおばさんだけしかもう知らない?最近もやってるようですけどね、あんまり見なくなりましたね、昔は見ていた記憶があるんですが。

 

で、草野さんがこの番組を見て思いついた、というところですが、そのものずばり、アシスタントの女性が、番組内で”バニーガール”に扮しているんです。そのバニーガールを見て、曲とどう繋がっているかは分かりませんが、草野さんは【バニーガール】という曲を思いついたんだそうです。

 

 

■続いて、書籍「スピッツ」には、こんな風に書かれていました。語っているのは、草野さんです。

 


他の人達との一番大きい違い、すごいポップであることは否定できないんだけど、その違いはすごいポップなものの中にある変態性みたいな部分なんで、そういうものを大事に守るという(笑)

 

だから、今回も”チェリー”1曲だったら変態度が足りないと思って”バニーガール”って曲を入れるとか(笑)…

 

これはもう…何て言ったらいいか、笑。僕もこれまで、スピッツの曲に対して散々、変態、変態と言ってきたんですけど、そこには多少の申し訳なさと言いますか、少しは自重しよう的な考え方はあったんですよね。でも、ここを読んだ限りでは、もう遠慮する必要はないのかな、笑。

 


■ということで、上述のことを…どう踏まえたらいいのか分かりませんが…曲の解釈をしてみたいと思います。

 


これも結構な謎曲だと思うんですよ。まずね、出だしがこんな感じです。

 


寒そうなバニーガール 風が吹いた
意地悪されて 震えていた
恋は恋は 何故かわがままに
光のシャワーを 闇に向けた

 

歌詞を読んだ限りでは、恋愛のもつれみたいなものがあって、ちょっと落ち込んでいる女性の姿がイメージできます。

 


しかしですよ、この後にこう続きます。

 


俺もまたここで続けられそうさ
そんな気がした曇りの日

 

唐突な”俺”の出現です。しかも、”ここで続けられそうさ”ですからね、どこがどうつながっているんでしょうか。例えば、単純に考えてみると、”俺”は落ち込んでいる女性に恋に落ちた、とかでしょうか。

 

2番では、”名も知らぬ君に 気に入られようと”というフレーズも出てきますので、落ち込んでいる女性を励ましたい、という気持ちから、自分の存在や気持ちに気付いてほしい、弱っている君の側に居たい、と頑張っている”俺”の姿を想像しました。

 


■つづいて、2番にこんな歌詞があります。

 


「いいなぁ いいなぁ」と人をうらやんで
青いカプセルを 噛み砕いた

 

ここの”青いカプセル”については、薬を飲んで命を絶とうとしている、という解釈もあるようです。”青”が”青酸カリ”の隠語になっているとか、色んな派生はあるようですが、とにかく自殺を図っている解釈があります。そうなると、今度は”俺”との関係性がまた謎になってきますが…。

 


■あとは、サビですね。

 


Only youの合図で 回り始める
君と落ちてく ゴミ袋で受け止めて

 

ここの歌詞は、”落ちてく”とありますが、ここも先ほどの自殺云々の解釈につなげて、飛び降り自殺や、薬で朦朧としている解釈があります。あとは、SEXをして、快楽に堕ちていくという解釈もありだと個人的には思います。"君と…"という言葉がかかっているので、自殺にしろ、性的な表現にしろ、二人で落ちていく、という意味合いに取ることができるかもしれません。

 


そして、”ゴミ袋で受け止めて”という独特な言い回しに関してですが、これも書籍「スピッツ」の中で、”受け止める”という言葉に関して、ちょっと触れられている部分がありました。インタビュアーが「今回、すごくびっくりしたのは、”受け止める”という歌詞がたくさん入ってるんですよね(アルバム『インディゴ地平線』に対して)」としゃべっています。

 

それに対して、草野さんは、「あぁ、”受け止める”多いんだあ。逃げないように(笑)。無意識、無意識。」と語っています。ここの、”逃げないように”という言葉が、ちょっと引っかかります。

 

意味はよく分からないですが、君がどこにもいかないように、という”俺”の気持ちを表しているのでしょうか。

 


■ちょっと解釈が散らかったので、まとめてみます。

 

”バニーガール”という言葉から、草野さんは、例えば、都会に住むある女性のストーリーを想像したのかもしれません。”寒そうな”という言葉から、細々と暮らしているような、そんな様子を受けました。

 

そこに、”俺”の出現です。これは、草野さんが”バニーガール”に対して思ったことを具現化したものであり、想像の物語に出現させた”バニーガール”の相手
だということになります。

 

もしかしたら、この(勝手な)想像で、草野さんは”バニーガール”を救おうとしたのではないでしょうか。この”バニーガール”は、恋愛でうまくいってないかもしれない、周りから意地悪をされているかもしれない、と、わざと不遇な生活を想像したのです。その上で、でも大丈夫だよ、”俺”はここにいるから、と。

 

感受性の強い草野さんのことだから、「欽ちゃんの仮装大賞」なんて派手な番組で、ひとり立ちつくす”バニーガール”にさえ、自分の姿を重ねたのかもしれません。俺も頑張るから、君も頑張ってね、という風にね。