スピッツ大学

ステイホームしながら通える大学です!

186時限目:桃

【桃】


桃

 

■アルバム『さざなみCD』に収録されている曲です。個人的ランキング、195曲中177位でした。

 

自分の中では、あまり順位が振るわない結果になってしまいましたが(でも、好きな曲ですからね!)、ここスピッツ大学で現在進行で行っています、スピッツ大学ランキング企画において、途中結果ではありますが、第6位でした。他のスピッツファンの方のランキングでも、決まって上位に入っている人気曲だという感じなんですけど、どうなんですかね?

 

シングル曲などではなく、アルバム曲でそれもノンタイアップにも関わらず、こんなにも評価されるとは、すごいですよね。やっぱりスピッツには、シングル曲じゃなく目立っていなくても、アルバム曲にもカップリング曲にも、本当に名曲が多いということに改めて気づかされます。

 

これからスピッツをたくさん聴いてみようとしていらっしゃる方には、こういう曲を探すのも、ひとつの楽しみ方だと思います。ぜひ、自分に合う曲を探してみてください!

 


■この曲の情報については、あまり見つけることができませんでしたが、excite musicにおける、『さざなみCD』のインタビュー記事について、ほんの少しではありますが、【桃】について書かれていました。
(引用元http://ent2.excite.co.jp/music/interview/2007/spitz/interview01.html

 

”アルバムを作っていくうちに柱になりそうな曲は見えてきましたか?”という質問に対して、草野さん曰く、「曲っていうより、サウンド的には「桃」がそういう役割だったですかね…」だそうです。これに、田村さんが同意しています。

 

サウンドの柱…っていうのは、どういうことなんでしょうか。別な部分で、草野さんが「割とパキッとした音」という表現もされていますが、うーん…独特な表現ですね。

 


パキッと…潔いってことですかね?アルバム『さざなみCD』という作品は、前作『スーベニア』、そして前々作『三日月ロック』とともに、三部作だという風によく言われます。(例えば、書籍「旅の途中」などで)そして、その三部作の中で、アルバム『さざなみCD』が、一番バンド以外の音が少ない…つまり、バンドサウンドが多く占めていて、それゆえシンプルだという印象ですかね。

 

そして、【桃】に関しては、それに加えて、懐かしい感じがしますよね。スピッツのアルバム曲にはおなじみの、カッコかわいい恋愛ソングと言う感じですか。シングルでも全然違和感無いような感じですけどね。

 


■ということで、【桃】の解釈です。まず、個人的には、出だしの歌詞が印象に残っています。

 


切れた電球を今 取り替えれば明るく
桃の唇 初めて色になる

 

早速、”桃”という言葉が出てきています。”桃の唇”って、ちょっと…エッチなのかい?

 

そして、何より独特なのは、最初の”切れた電球を今 取り替えれば明るく”という表現ですね。いきなり唐突に、電球を替える話から入りますからね。でも、これは精神的な表現なのでしょうか。何ていうか、”心”の電球を取り替えると、世界が明るくなったように見える、という感じでしょうか。

 

今までは切れていた電球…とは、恋愛をしていない状況、または、恋愛が終ってしまった状況(失恋したとか、付き合っていた人と別れたとか)などをイメージしました。そして、その切れていた電球を取り替えるわけですから、これはつまり、新しい恋愛の始まりを意味しているのだと思います。

 

で、そこへきて、”桃の唇”です。まぁ、細かいことはとにかく、これは君を象徴しているものなんですかね。自分が、君に恋に落ちているということに気がついたということですかね。

 


■じゃあ、どんな恋愛をイメージするか、ですよね。歌詞を読んでみると、

 


つかまえたその手を 離すことはない

 


他人が見ればきっと 笑い飛ばすような
よれよれの幸せを追いかけて

 

など。前者だけを読むと、ひょっとしたら、もう意中の人と想いを共にすることができたのかもしれない、とも感じます。後者はどうでしょうか、”よれよれの幸せ”が、何を指すのか。前者と同様に、意中の人と過ごす日々を指すのかもしれませんし、または、まだ想い人を追いかけている途中なのか。

 

ただし、先述した出だしの歌詞からは(”切れた電球”云々の話)、何となく”恋のはじまり”を思い浮かべるんですけど、どうでしょうか。

 


■あとは、冒頭で少しふれましたが、”桃”という言葉についてです。

 

桃色(ピンク)は、その言葉自体も、桃尻とか、ピンク映画とかっていう風に、ちょっとエッチなイメージですよね。なので、この曲にも、エッチな解釈を当てはめても面白いかもしれません。その場合は、どうなるんでしょうか、”桃の唇”…うーん、ムフフ。

 

”桃”の花言葉は、「私はあなたのとりこ」「天下無敵」「気立ての良さ」などがありますが、この曲に似合うのは、一番最初の「私はあなたのとりこ」でしょうか。

185時限目:メモリーズ

【メモリーズ】

 


この記事は、【メモリーズ】と【メモリーズ・カスタム】両曲の紹介のつもりで書かせていただきました。
それで、記事のタイトルをどうしようかなと思ったんですが、書いてみた結果、全体的に【メモリーズ】に触れている部分が圧倒的に多くなったので、記事のタイトルは、【メモリーズ】にさせていただきます。ご了承を。


メモリーズ

メモリーズ

 



■まず、【メモリーズ】という曲が、【放浪カモメはどこまでも】とともに、両A面収録の22作目のシングルとして発売されました。その後、スペシャルアルバム『色色衣』に収録されました。

 

さらに、【メモリーズ】は、アルバム『ハヤブサ』のプロデューサーの石田ショーキチさんにより、新しいメロディーと歌詞(”大サビ”という位置づけ)が加えられ再アレンジされ、【メモリーズ・カスタム】が作られました。この【メモリーズ・カスタム】の方は、アルバム『ハヤブサ』に収録されました。

 

…というより、アルバム『ハヤブサ』に収録する用に、【メモリーズ・カスタム】が作られた、ということだそうです。
(どこで読んだか忘れましたが、アルバム『ハヤブサ』に収録するには、【メモリーズ】は合わないと、確か判断したんじゃなかったですっけ?それで、アルバムに似合うようにアレンジしたとか…定かではありませんので、情報求ム!)

 


■【メモリーズ】と【メモリーズ・カスタム】の相違点としては、

 


〇イントロ
【メモリーズ】にはギターのイントロがあるのに対し、【メモリーズ・カスタム】にはイントロが無く、ノイジーな音が最初に鳴ったあとに、すぐに曲がはじまります。

 


〇大サビ
先述した通り、【メモリーズ・カスタム】には、【メモリーズ】には無い大サビが付け加えられています。その部分の歌詞だけ載せておきますと、

 


嵐が過ぎて 知ってしまった 追いかけた物の正体
もう一度 忘れてしまおう ちょっと無理しても
明日を描いて 幾つも描いて

 

この部分が加えられ、アレンジし直されています。

 


〇全体的に…
一番顕著で印象的なのは、【メモリーズ・カスタム】はドラムがとても激しくなっています。Aメロから、もうこれでもかっていうくらい、ドカドカと手数の多いドラムの音が鳴っています。そして、極めつけは大サビです。大サビの終盤で、崎山さんの、もうどうなってるのか分からない程の、高速のタム回しが炸裂しております。

 

その他、【メモリーズ】は鍵盤の音が目立って聴こえていますが、【メモリーズ・カスタム】ではその代わりに、ギターやドラムの音が目立って聴こえ、ロックな曲をさらに引き立てています。全体的に、音が歪んでいるのが、【メモリーズ・カスタム】の特徴ですかね。

 


■上述のような曲のアレンジなどの理由があって、ライヴで演奏されるのは、【メモリーズ】よりも、【メモリーズ・カスタム】が多いです…というより、もう【メモリーズ・カスタム】しか演奏していませんよね。いつも、すごく盛り上がっている印象です。ライヴDVDなどでも、その演奏を見ることができますが、ほんとすごいんですよ、特に崎山さんのドラムプレイは必見です!

 

ということで、僕の中では【メモリーズ】は、【メモリーズ・カスタム】として馴染んでいます。

 


■僕が高校生の頃、シングル『メモリーズ / 放浪カモメはどこまでも』が発売になり、リアルタイムで購入して聴いていたんですけど、ただでさえ【放浪カモメはどこまでも】がすごくロックな曲であったのに、【メモリーズ】は同じロックな曲でも、またちょっと路線が違っていました。

 

僕の中でずっとスピッツは、当たり前と言えば当たり前ですが、メロディーと歌詞がきれいな歌を作るバンド、というイメージでした。それまでの作品…ここでいう”それまで”とは、アルバム『フェイクファー』やスペシャルアルバム『花鳥風月』あたりまでですが、ほとんどの曲と言って良いほど、メロディーと歌詞が心地よかったのです。

 

そこへきて、【メモリーズ】ですが…Aメロには、メロディーの抑揚は無く、従来の心地よさという意味では、それはあまり感じられませんでした。サビもサビで、同じメロディーの繰り返しでした。歌詞に関しても、意味が分からない…という感じとも少し違っていて、何て表現したらいいんだろう、意味はあんまり無いんだろうなっていう感じでした。


そういう部分に違和感を感じて、【メモリーズ】は最初は好きになれませんでした。

 


■でもね、やっぱり不思議なんですよね。これがまた、徐々に好きになっていくんですよ。

 

当時、この【メモリーズ】は、僕の仲間内でもブーム…と言えば大げさになりますが、ちょっと話題になったんです。この曲の中に、”右手に小銭ジャラジャラ”という部分があるんですが、この部分を、ある友だちが”替え歌”して歌ってたんです。…何だったかな、”焼肉食べに長州長州”だったかな(”長州”じゃなかったかもしれませんが、地元にあった焼肉屋の名前が入ります)。そういうフレーズを、メロディーに合わせて歌ってたんですよ、笑。

 

僕は、何でかツボにはまって、頭から離れなくなって一緒に歌ってたんです。そこだけを延々ですよ、今となっては、何が楽しかったんだろうっていうね、笑。

 


でも、その時に感じたんだと思います。そうか、ここのメロディーって、こんなに耳に馴染むんだなぁって。スピッツの作る(草野さんの作る)メロディーって、そういうところありますよね、気付いたら耳に馴染んでいるというか、ふと頭の中を流れてるというか。

 

その時くらいからですかね、一気に【メモリーズ】だったり、この後に発売になるアルバム『ハヤブサ』などを好きになることができたのはね。すんなりと受け入れ始めて、大好きになったんです。違和感だったものが、スピッツらしさに変わるなんて、すごく不思議ですね。

 


■個人的なエピソードはこれくらいにしておいて、じゃあ『色色衣座談会』に少し書かれている、【メモリーズ】の情報をまとめてみます。僕なりに要約させてもらうと…

 

まず、スピッツにとって、アルバム『ハチミツ』は一つの壁だったそうです。これは、スピッツも、また、プロデューサーの笹路さんやエンジニアの宮田さんも一番ノリに乗っていた、という理由をひとつ上げています。

 

しかし、これ以降、スピッツは曲作りに悩むことになるわけです。具体的には、音に迫力を出したいのにそれができない、と感じていたようです。その一つの原因として、草野さんは自分の声が変わってきているから?と、自分の声のせいだと思うようになるわけです。

 

そこへきて、【メモリーズ】は、草野さんの声が目いっぱい歪められています。それについては、”聴く人が一番驚いたのは…”という風に書かれていました(僕もその一人ですね、笑)。

 

でも、草野さんはこれに対して、「助けられた」と表現しています。そして当時、インターネットの某掲示板にて高評価されているのを見て、「シメタな」とも思ったそうです。


要は、ミックスやアレンジに可能性を発見したというのもあると思いますが、自分の声でも、迫力のある曲を作ることができるいうことに気がついて(見つけることができて)、ふっ切れたんでしょうか。この辺りから、まぁマイアミショックなども起因となり、スピッツは新たなロックバンドとして、生まれ変わるわけです。

 


■ああ、長いですね。

 

この曲は、歌詞の解釈はやめときましょう。あとは、君の耳で確かめてくれ!

 

しかしまぁ、結局全体的に思うことは、遊んでいるな、って感じですね。ところどころで韻を踏んでいたり、言葉のリズム重視で作っている感が強いので、僕はこの曲の歌詞こそ、あまり意味を考えながら聴いたことがありません。そういう楽しみ方も、ありなんでしょうね。

 

もちろん、最後にMVは貼っておきます。曲同様、かなり謎で、遊んでいるMVですね。三輪さん、なんつー頭してるんだよってね、笑。ちなみに僕は、全草野正宗の中でも、このMVの草野正宗が一番イケメンだと思うんですけど、どうですか?

 

youtu.be

184時限目:ムーンライト

【ムーンライト】


ムーンライト

ムーンライト

 

■シングル『ホタル』に、カップリングとして収録されている曲です。後に、スペシャルアルバム『色色衣』にも収録されました。個人的ランキング、195曲中180位でした…あんまり印象には残っていませんでしたね。

 

『ホタル』には他にも、【春夏ロケット】という曲も収録されています。このシングルの収録曲、【ホタル】【ムーンライト】【春夏ロケット】って、何となく繋がっているような気がするんですよね。

 

共通項としては、”光って飛んでいるものを眺める”みたいな感じでしょうか。【ホタル】は言わずもがなですが、【春夏ロケット】は…実際は”男性器”とも訳しましたが(イヤーン)、まぁ言葉だけから想像すると、ロケット花火のイメージです。【ムーンライト】も、”月光”ということで、飛んでいるという解釈にはなりませんが、まぁ輝いて浮かんでいるものですね。

 

あと、どれも眺めていて、どこか儚い気持ちというか、ちょっとセンチメンタルに浸るようなものだと思っています。季節は、どれも夏っぽいでしょうか?

 


■この曲について、アルバム『色色衣』に付随している、”色色衣リリース記念特別座談会”にて、色々書かれていましたので、その内容などを少しまとめてみたいと思います。

 


まず、マイアミショック…これは、スピッツの意向に反して、ベストアルバムが強行的に発売された出来事ですが、この出来事の少し前より、スピッツは音作りに悩んでいました。

 

具体的には、書籍「旅の途中」によると、アルバム『フェイクファー』などは、ライヴのような、迫力のあるダイナミックな音を出すことができなくて、満足いかなかった作品だそうです。それでその後、アメリカでレコーディングしたり、ミックスをアメリカで行ったら、音は変わるのか?など、試行錯誤するようになるわけです。

 

例えば、【メモリーズ】や【春夏ロケット】などは、日本でレコーディングを行ったがミックスは残したものを用意しておいて、(おそらく)それとは別にアメリカのLAでも新たにレコーディングを行いました。【船乗り】は、レコ―ディングもミックスも日本で行ったものを用意しました。それらの曲を、アメリカに持っていき、ミックスによって、どれだけ音に変化が起こるのか、比較を行ったということらしいです。

 

【ムーンライト】は、【船乗り】同様、ミックスまで日本で行っていたものだそうですが、(おそらく)アメリカでもミックスをしてみて、音がどんな風に変わるのか、試したということです。

 

まぁ、そういう試行錯誤の最中に、マイアミショックが起こり、それも結果的にはきっかけになり、力強いアルバム『ハヤブサ』へと繋がっていくわけです。

 


※ちなみに…
レコーディング…歌や演奏を録音する作業
ミックス(ダウン)…録音した色んな音を、音量などを調節して配置する作業
マスタリング…作品全体でバランスを見て、各曲の音量などを調整する作業

 


■まぁとにかく、【ムーンライト】は、色々試していた時期に作られた曲だということですね。

 

曲調としては、Aメロからレゲェみたいな感じ…どこか、インドや東南アジアの民族音楽っぽくも聴こえますが、ちょっとゆるい雰囲気で曲がはじまって、Bメロを経て、サビで盛り上がっていくみたいな感じです。

 

ボーカルも、何かエフェクトが効いていて、どこか遠くから聴こえているような雰囲気を感じます。タイトルに無理やりつなげると、”月光”のように、空から降り注いでくるような、少し神々しさも感じます。

 


じゃあ、この曲はどんなことを歌っているのでしょうか。ほんと、何なんでしょうね、笑。

 

歌詞を読んだ感じ、具体的な物語のヒントを見つけることはできないので、これこそ物語を想像してみるしか方法はなさそうです。

 


■とりあえず、かなり大まかに解釈すると、まず、男女の二人が出会うんでしょうね。色々と物語は想像できそうですが、男女2人ということで、恋愛の話や、そこから性的な情事などに、必然的に繋がっていきます。

 


歌詞を少し拾ってみると、

 


ああ なぜ出会ったのか
ああ 小さな世界でも

 


ある晴れた夜に君 照らし出す ムーンライト
指からめたのは 気まぐれじゃなく ムーンライト

 

この辺りは、まさに男女2人が出会って、そういう逢瀬を楽しんでいる描写でしょうか。後者の歌詞(サビの歌詞)は、どこか性的な雰囲気も感じますよね。

 


■あとは、例えば、この辺りの歌詞、

 


心残りはあるけれど
表紙をめくったら

 


ああ 無いとわかったのさ
新しい罰など

 

”心残り”や”新しい罰”…他の部分にも、”逆回り 季節”や、”チャンスを待ったのは わけがあったのだ”など、独特な表現が見られます。この辺りを、どう恋愛の話に繋げるかですよね。

 


まず、”逆回り 季節”と”チャンスを待ったのは…”を繋げて考えると、例えば、長いこと好きな人が居て、ずっと気持ちを伝える機会を伺っていた、ということでしょうか。

 

”逆回り 季節”とは、恋愛はしばしば春に例えられることが多く、”あんまりグズグズ”しすぎたせいで、季節が巡るほどの長い時間が過ぎていった、ということでしょうかね。春→冬になることを、”逆回り 季節”と表しているか?

 


■ただし、チャンスを待ったのには、”わけがあったのだ”…何か、理由があったんでしょう。

 

そこへ、”心残りはあるけれど”や、”新しい罰”などの表現です。何かしらの”心残り”がありつつも、君に対して気持ちが揺れ動いている、ということになるんでしょうね。

 

例えば、自分には付き合っている人が居るとか(心残りという言葉に合わせると、付き合ってい”た”人が居て、また未練がましく思っているとか?)、逆に、相手側に恋人が居たり、家庭があったりするのかもしれません。そういう”わけがあった”ので、踏み込むことができなかった、と。

 


それでも、サビの部分に、

 


ある晴れた夜に君 照らし出す ムーンライト
指からめたのは 気まぐれじゃなく ムーンライト

 

とあって、2人は結ばれることになりました、めでたしめでたし…とはなりそうにありませんが…。

 


”ムーンライト”は、どう解釈しましょうか。月の光に照らされた君が、すごくきれいに見えたとか妖艶に見えたとか、何か別のものを暗喩しているのかとか…まぁ色々考えられますね。


うーん、何とも歯切れの悪い解釈か…。

ほんの少しだけ、30周年ライヴ終了後のお話

■先日の記事でも触れた通り、10/1の宮城公演を以って、SPITZ30th ANNIVERSARY TOUR "THIRTY30FIFTY50"の全公演が、円満に終了を迎えたばかりの今日この頃。

 

改めて、スピッツメンバーの皆様、ライヴスタッフの皆様、お疲れ様でした&感動をありがとうございました。

 

これも記事で触れている通り、僕はスピッツのライヴに参戦したのが初めてのことで、とても楽しませてもらいました。やっぱり、ライヴは良いもんだなぁ、と感じつつ、ほんの少しだけライヴ熱が燃え上がり、最近他のアーティストさんのライヴも、機会(と時間)があったら見に行きたいなぁ、とちょっぴり思ったりしているところ。

 

ライヴレポートについては、もう十分たっぷりと書いたんだけど、何せライヴレポートを書いたのは、ずいぶん前の事なので、改めてもう一度少しだけ書いてみようかな、と思い、またキーボードを叩いている次第でございます。

 

itukamitaniji.hatenablog.com

itukamitaniji.hatenablog.com



 


■まず、これね。

 

https://rockinon.com/news/detail/167795

 

記事の中の、草野さんの言葉をそのまま抜粋すると、
「こんな僕らが30年間なぜ残る事ができたのか、いいのかな?と思ったけど、役割を与えられてるという事だと思うので、引退しません!」

 

これは、とんでもない、パワーワードだよね。

 

想像するに、ひょっとしたらこの言葉は、僕たちファンを安心させるために言った言葉であるかもしれないね。スピッツが引退・解散するなんてこと、もちろん僕は一度も考えたこともないけれど、中にはふと考えた人も居たかもしれない…もうスピッツのメンバーの歳だしなぁ…と。

 

そこへきて、この宣言!何とかっていうグループは、メンバーが卒業を発表することが、一種のお決まり・美学のようになっているけど、スピッツは、その逆の引退しない宣言ですよ。

 

こういう言葉が、どれだけの勇気をファンに与えるか、どれだけの生きていく希望を与えるか。

 


自分が小さな頃から、ずっと好きで居続けているものがある、ということは(スピッツに限らず言えることだけど)、本当に大切なことだよね。生きていく上で、それが道標になるし…僕は”セーブポイント”という表現をよく使っているけれど、つまりは精神的な意味で、何かモヤモヤした時に帰ってこれる場所があるということだろう。

 

ライヴの中でも、新しいアルバムの構想について(具体的には、ジャケットの構想云々)、少しだけ話した場面があったけれど、”新しいアルバム”という響きが、とても嬉しい。待っている時間も、とても大切なんだよね。だって、次のアルバムを聴くまで、確実にちゃんと生きないといけないもんな。

 


■お次は、これ。

 

natalie.mu

 

6枚組のアナログ盤も気になるけれど…なんと、ライヴ映像作品が早くも出ちゃうのね!作品の内容に関しては、ここに記すとなるとかなり長くなっちゃうので、割愛させてもらうけれど、かなりボリューミーな作品になっている!

 

デラックスエディションが、何々…2DVD+2CD+100ページ写真集で、14000円だと!これは、うーむ、買うしかないよね。自分が見に行ったライヴだから、余計欲しい。

 

広島公演ではやらなかった曲も入っていて、例えば、【夢追い虫】や【さらさら】や【波のり】はすごい楽しみ。あと、LIVE CDの【ハチの針】の嬉しい。

 

あと、気になる”結成30年の軌跡を辿る特典映像”とは何だろうね。

 


ということで、映像作品は2017年12月27日に発売予定。今年の年越しは、スピッツと共にだな。

 


■ライヴが終わって、”スピッツロス”になっていないだろうか。しかし、上述のように、映像作品が発売になったり、今年もスピッツに関するイベントが色々と開かれるみたいだし(ロックロックこんにちは!とか、ロックの細道とか)、30周年のお祭りは、もうちょっとだけ続くんじゃ。

 

youtu.be

 

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シン・ライヴレポート:SPITZ30th ANNIVERSARY TOUR "THIRTY30FIFTY50" 7月22日 広島グリーンアリーナ公演

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SPITZ30th ANNIVERSARY TOUR "THIRTY30FIFTY50"
7月22日 広島グリーンアリーナ公演
シン・ライヴレポート

 


■リアルタイムで本日(2017年10月1日)の宮城公演を以って、スピッツ3050ライヴツアーの全行程が終了を迎えました。スピッツのメンバー、ライヴスタッフの方々、本当にお疲れ様でした&おめでとうございます!

 

ということで、タイトル通り、2017年7月22日(土)に広島グリーンアリーナにて行われた、(長いので略称→)スピッツ3050ライヴの模様を、個人的な想いも踏まえつつ、ネタバレ解禁でお話していきます。一応、ツアー終了のタイミングでアップしましたが、それでもネタバレが嫌な方は、ここで回れ右をしてください。

 

広島公演(特に1日目)に参戦された方は、そうだったねー、そんなことがあったねー、と懐しみながら、また、広島公演以外に参戦された方や、今ツアーには参戦されなかった方は、そんなことがあったんだ!と、少しでもライヴの様子を楽しんでいただけたら幸いです。

 


このライヴレポートは、広島公演が終わってすぐ書いたものですが、ネタバレなども考慮して、3050ライヴツアーの全行程が無事に終了するまで、温めておきましたので、もうホカホカ…を通り越して、発酵しはじめております!笑。

 

そして、(こちらも長いですが)ネタバレなしの記事を、以前にもうすでに書いてありますので、こちらも良かったらどうぞ↓

 

ライヴレポート(early version)

http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2017/07/23/132744

 

 

 

■では早速…

 

まずは、セットリストから、バババンと紹介!

 

(入場曲:SUGINAMI MELODY)
1.醒めない
2.8823
3.涙がキラリ☆
4.ヒバリのこころ
(MC1)
5.ヘビーメロウ
6.スカーレット
7.君が思い出になる前に
(MC2)
8.チェリー
9.スターゲイザー
10.惑星のかけら
11.メモリーズ・カスタム
12.エスカルゴ
(MC3)
13.ロビンソン
14.猫になりたい
15.楓
16.夜を駆ける
(MC4 メンバー紹介)
17.日なたの窓に憧れて
18.正夢
(ちょっとMC)
19.運命の人
20.恋する凡人
21.けもの道
22.俺のすべて
23.1987→

 

ENCOLE
1.歌ウサギ
2.春の歌

 


広島公演は、7月22日(土)と23日(日)の2日間あったが、僕が参加したのは公演1日目だった。2日目は、またちょっとセトリが違っていて、【冷たい頬】【波のり】【夢追い虫】【ハチの針】【君は太陽】などをやったそうだ。【夢追い虫】とか大好きなんで、聴きたかったけどね、まぁセトリとは一期一会だからしょうがないか。それにこっちには、【エスカルゴ】があったからな!

 

 

 

■改めて、こうして全体的にセトリを見てみると、MCでリーダーも語っていたけれど、シングル曲が多めになっていたんだよね。結局、全部で25曲中14曲がシングル曲だったのかな(シングル集の新曲3曲は省いて、【メモリーズ・カスタム】をシングル曲に換算すると…)。

 

まぁ、シングル集が発売になった直後の、それも30周年のライヴだったので、まぁ必然と言えば必然なのだろう。個人的には、マニアックな曲も聴いてみたかったけど、全然問題なし!何が聴けても、本当に嬉しかった。

 

あと、構成がちょっと珍しいところもあったよね。リーダーは、それも新鮮で楽しいと言っていたけど。具体的には、例えば【8823】は後半の盛り上がりで、【けもの道】は前半の盛り上がりって、勝手にこれまでDVDなどを見ていて思ってたんだけど、今回は両曲の位置が逆になっていた。【8823】が2曲目って珍しいんじゃない?

 


ちなみに、僕はメモ帳を持ち込んで、終始メモを取りながらライヴを観戦した。セットリストはもちろん、MCの内容も断片的にだけど記録していった。特に、セットリストの記録に関しては、さながら独りイントロクイズだったね。全ての曲が、イントロを聴いただけで、何の曲か分かったもんな、これぞ20年の賜物よ!

 

ということで、そのメモ帳も見つつ、覚えている限り、色々と書いていきます。

 

 

 

■メンバー入場

 

入場曲は【SUGINAMI MELODY】…と言っても、原曲とは違い、何ていうか、行進曲っぽく、派手にホーンなどが鳴っているアレンジがなされていた。このバージョンの【SUGINAMI MELODY】は、醒めないのLIVE TOURのDVDでも、聴くことができるね。

 


そして、メンバーが入場!!!

 

僕にとっては、ついについに、初の生メンバ―との対面の瞬間だった。何か不思議な感覚…逆にリアリティーを感じないというかね。独りで、「おお、みんな動いてる!」って、当たり前なことに感動していた、笑。三輪さんの胸には、物販でも買える光るピンバッジが輝いていたね。クージーの胸にもあったかな。

 

そして、やっぱり、草野さんを目で追う。スピッツのメンバーの中で、草野正宗という人物は、自分の中で特別な存在である。20年以上もずっと側で歌ってくれていたが、その姿を生で見ることはなかった、まるでイマジナリ―フレンドのような存在…しかし、今はイメージではなく、確かにそこに、目の前に居る!その姿を、その光景を、しっかりと目に焼き付けようとした。

 


ちなみに僕は、ありがたいことにアリーナ席11列48番という、すごい席をいただいたので、草野さんを近くに、そして真正面に眺めることができた。

 

草野さんって、歌を歌いながら・ギターを弾きながら、アリーナ全体を見回すように視線を送るよね。その時の表情が、すごく優しくて、あぁ、本当に観客に愛を持って接しているんだなって思う。歌を歌ってないときも、時々口が動いていたりしててね、何て言ってるんだろうね、「ありがとう」とか言ってるのかな。

 

 

 

■そして、いよいよライヴがはじまる。

 

1.醒めない
2.8823
3.涙がキラリ☆
4.ヒバリのこころ

 


1曲目は、もうすっかりスピッツの新テーマソングになりつつある、【醒めない】でライヴが幕を開けた。

 

個人的に意外だったのが、M2【8823】とM4【ヒバリのこころ】。両曲とも、やるだろうな、とは思っていたけど、結構後半にやるイメージの曲だったので、あらら、もうここで?って感じだった。

 

【8823】は、やっぱりしびれたね。いきなり、会場がすごく盛り上がって、一気にボルテージが上がった。リーダーのはっちゃけぶりも、生で拝むことができて、本当に楽しかったし、何か人知れずジーンとしていた。

 

あと、【ヒバリのこころ】は、この日のライヴ前に聴いていて、自分の中で、その楽曲の素晴らしさを改めて実感したばかりだったので、聴けて良かった。”いろんなことがあったけど みんなもとに戻っていく”…まさに、そんな心境。自分がスピッツを好きになった頃のこと、そこから20年以上、いろんなことがあってここまできたこと。でも今夜は、そんな”いろんなこと”は(一旦は思い出したが)忘れて、ただスピッツとの思い出に浸っていたかった。

 

 

 

■MC1

 

ここで、最初のMC。短めに、草野さんがあいさつをする。「週末の貴重な時間を僕たちのために割いてくれて、どうもありがとうございます」という、いつもの調子の、謙虚すぎるほどの丁寧なあいさつ、笑。

 

そして、広島カープ戦と宮島花火大会が、自分たちのライヴに重なったため、チケットが売れないんじゃないか、という懸念をしていたことを吐露、笑。僕は、思わず会場を見回してみたけど、しっかり満席だった。

 

そういえば、光るピンバッジを胸などに装着されている方が観客にもたくさん居られて、見回すとそれがたくさんキラキラ光っていて、まるで星が輝いているように見えて、とてもきれいだった。

 

 

 

■続いて、温かい曲ゾーン。

 

5.ヘビーメロウ
6.スカーレット
7.君が思い出になる前に

 


先程も言ったように、シングル曲が多いセットリスト。その随所に、往年の名シングル曲が名を連ねた。

 

で、この辺りからちょっと気持ちが落ち着いてきて、色んな所を見れるようになってきた。例えば、照明の色などに注視してみると、【ヘビーメロウ】は緑色、【スカーレット】は温かい緋色、そして、【君が思い出になる前に】は青色など、まぁ当たり前と言えば当たり前だが、曲をイメージして変えているのに気付く。

 

舞台のバックには、バラバラにスクリーンが配置されていて、メンバーの演奏している生の姿や、その曲ごとにイメージされた映像を映し出していた。

 

 

 

■MC2

 

ここで、草野さんが広島カープの話を披露。驚くことに、何と去年のゴールデンウィークに、マツダスタジアムカープ戦を見たのだという。どよめく会場。

 

何でも、ヒスイ(※広島のチケット販売所のこと)で、指定席を取ろうとしたそうだけど取れずに、マツダスタジアムで自由席のチケットを望んで、2時間も行列に並んだんだという。さらに、どよめく会場。ま、まじかよ!笑。

 


それから、過去の自分たちの作品に、話が及んだ。

 

草野さん曰く、アルバム3枚目くらいまでの作品を、録り直したいと思っているのだそうだ。今だったらこういう風に歌うのにとか、もっと感情をこめて歌うのにとか、そういう風に思っているということを話してくれた。

 

で、それに対して、テツヤさんが、「俺もあの頃、サングラスかけとけばよかったなって思ってる」というツッコミをいれていました、笑。

 

セルフカバーの件、やってみたら面白いだろうね。今回のライヴでも、いくつか古い曲をやっていたけど、感じが全然違って聴こえたしね。きっと会場の誰もが、セルフカバーした古い曲も聴いてみたいと思ったことだろう。

 

 

 

■続いて、シングル&盛り上がりゾーン。

 

8.チェリー
9.スターゲイザー
10.惑星のかけら
11.メモリーズ・カスタム
12.エスカルゴ

 


ここのゾーンの楽曲は、本当にすごい盛り上がった…特に、僕自身が、笑。ここの【惑星のかけら】→【メモリーズ・カスタム】→【エスカルゴ】という流れが、本当に最高だったんだよ。

 

特に、個人的にかっこいいなって思ったのが、【惑星のかけら】ね。若い時は、実はこういう曲は苦手だった。どちらかというと、爽やかな曲の方が好きだったんでね。でも、こういう曲も、年を取って本当に好きになった。グランジのゴリッゴリで歪んだサウンドが、ライヴになるとさらに際立ち、怪しくも激しく聴こえて、すごくかっこよかった。

 

あと、【メモリーズ・カスタム】の崎山さんの鬼ドラムね、生で拝めてよかった、本当にすごかった。本当に、崎山さんはすさまじいドラムも楽しそうに叩くよね。こっちまで自然に笑顔になってる。続く、【エスカルゴ】も、ドラムが素晴らしかった。

 

 

 

■MC3

 

スピッツがデビューした1987年へとさかのぼり、その頃どんな歌が流行っていたか、という話になった。

 

そこで、おもむろに草野さんが、「命くれない / 瀬川瑛子」と「STAR LIGHT / 光GENJI」を歌ってくれた。ネタで歌ってはいたけど、うまかったね。「知っている人いる?」って、しきりに確認していたのが面白かった、笑。

 


続いて、ゲームの話になった。

 

そもそも、30年以上前、草野さんと田村さんが仲良くなったのは、田村さんの家にファミコンがあったから、という話。ブルーハーツショック後も、一旦はバンド活動を中断した両者だったが、それでも草野さんが、ファミコンのある田村さんの部屋に入り浸っては、愛を育んでいた(意味深…)。まぁ、この辺は、ある意味有名な話だよね。

 

そこから、最近のゲームの話になった。去年頃のメンバーは、みんな「ポケモンGO」に夢中だったという一方で、草野さんは一人、「ふなっしーのおさんぽ日和」なるアプリに夢中になっていたそうだ、笑。それは、いわゆる位置情報ゲーム(「ポケモンGO」のようなゲーム)であり、街を歩いてアイテムを収拾するのが目的だったそうだ。草野さん曰く、ドラゴンフルーツを手に入れるのがすごく大変だったらしい…知らんがな、笑。

 

しかし、そのゲームが、突然サービス終了してしまったそうだ。そこでその話を、半ば無理やりバンドに関連付け、「スピッツも、そんな風に急に終わらないようにしないとな」と草野さんは言った。観客からは拍手が送られたが、本人は微妙な反応を見せた、笑。

 


他にも、車の中で大声で、しかも変な癖をつけて歌っていたら、窓が開いていることに気付かず、隣の車の人に筒抜けになってしまっていた話だとか、田村さんの家で、友達のゲームの記録を消してしまって、その友達が1週間くらい、口をきいてくれなかった話などを披露。


…ゆるい!ゆるすぎるぞ!噂には聞いていたが、スピッツトークはゆるい、笑。でも、そのゆるさが何とも心地よかった。そして、メンバー同士が本当に仲が良いんだねって思わせてくれる、また演奏とは違った楽しみ方ができる瞬間だと思う。DVDなどでは、その模様はカットされているので、生で見ることができて、とても幸せだった。

 

 

 

■続いて。スピッツ名曲ゾーン。

 

13.ロビンソン
14.猫になりたい
15.楓
16.夜を駆ける

 


まさに、名曲ゾーン。スピッツでも、屈指の人気曲が、これでもかと並ぶ。やっぱり、【ロビンソン】って名曲なんだなってことを、改めて感じる。

 

で、【猫になりたい】の時。もちろん素晴らしかったんだけど、ここでちょっと珍しいことが起きた。アウトロの時に、何か崎山さんのドラムのリズムが、若干ずれたように聴こえた(多分、終わるタイミングを誤った?)。最初は、ん?アレンジかな?って僕も思ったんだけど、曲が終わった時に、崎山さんと田村さんが笑いながら目を合わせて、野球の審判みたいに「セーフ」とジェスチャーしたので、やっぱりずれてたんだろうね、笑。何か、珍しいなって思った。

 

続く、【楓】も【夜を駆ける】も最高でした!

 

 

 

■MC4 メンバー紹介

 

草野さんが、「普段とは違うことをしてみようと思います」と言って、メンバー紹介に入った。ちなみに、”違うこと”というのは、メンバーの呼び名を、普段と違う呼び方に変えたことだった。

 


「ベース、アキヒロ!」
まずは、田村さん。先述したとおり、セトリの流れがいつもと違うことについて、新鮮で楽しいと話した。

 

そして、スピッツが先日出したCYCLE HITを、”ベストアルバム”ではなく、”シングル集”であると協調しつつ、自分たちで「これがベストアルバムだ!」と言って発売されるベストアルバムの違和感を指摘。これは、「ベストアルバムは、自薦ではなく他薦で作られるべき」という考え方に基づくものであった。

 

その上で、ベストアルバムと言うならば、自分たちのベストアルバムは、常にオリジナルアルバムであると主張。つまり、いつだって、新しく出すオリジナルアルバムの一枚一枚が、ベストアルバムである!と。かっこいいぞ、リーダー!
the pillows山中さわおさんも、確か同じようなことを言っていたよね。いつだって、自分たちの一番新しいアルバムをおすすめしたい、というようなことを言っていたと思う。)

 

で、この辺りで、草野さんが、「新しいアルバムのジャケットのイメージは、もうできている」と唐突に発表!”新しいアルバム”という言葉に、会場は一際湧いた。次のアルバムがある!ということが、僕らにとって、どんなに希望になることか。早くも、次のアルバムへの期待が高まってきた!

 

ちなみに、そのジャケットのイメージとして、”モニャモニャを巨大化させる”なんて冗談も飛び出した、笑。…冗談よね?

 


「キーボード、ヒロコ!」
次は、クージー。この日着ていたTシャツが、何と30年前に買った、ザ・キュアー (The Cure)というバンドのライヴTシャツであると告白。

 

で、そのことを、メンバーに「30年前に買ったのに、色あせてないね」と言われた際に、「あせないのは、あなたたち(スピッツ)じゃない。」と返した…というエピソードが、今ツアーでクージーが良いことを言っている!と話題になっているので、ずっと話していくつもりだ、と言っていた、笑。

 


「ドラム、ドクタータツオ!」
次は、ドラムの崎ちゃん。おなじみの、シンバル頭突きのあと、タツオという呼び名が浸透しなかったという話から、またしても野球の話に。

 

何でも、広島市民球場時代に、広島カープ戦を観に行ったことがあるらしく、その時の話を披露。東出選手(現在は、カープのコーチ)が新人選手だった頃の試合だったそうで、外野席に座ってしまって、あのカープスクワットを体験したという、笑。楽しかった、とは言っていたけど…何よりです!

 


「ギター 三輪くん!」
次は、ギターの三輪さん。自身が夜に弱くて朝に強い、という話から、その日の朝に、広島の街を散歩したという話に。

 

その時に、おばあちゃんに話かけられ、「暑いですねー」なんて話をして、横断歩道でおばあちゃんと並んで待っていたら、「女性かと思った」と言われた、というエピソードを披露、笑。髪が長いから、女性に思われたんだろうね。

 

さらに、昔、祭りに参加した際に、ふんどしを巻いたことがあったらしいのだが、その時も髪が長かったため、女性がふんどしを巻いているように見えて、やばかったというエピソードも、笑。

 


「ボーカル 草野マサムネ!」
ラストは、草野さん。短めのあいさつで、「広島でもっと公演がしたいね」と言っていた。嬉しい限りですね。

 

 

 

■続いて。めでたいゾーン(?)。

 

17.日なたの窓に憧れて
18.正夢
(ちょっとMC)

 


「ちょっと古い曲を」と、【日なたの窓に憧れて】。これも素晴らしかったね。

 

続いて【正夢】。演出として、天井から、桃色の紙ふぶきが観客席へと降り注がれた。サビになる度に、天井の装置が作動して紙ふぶきが降り注ぐもんだから、とんでもない量の紙ふぶきが舞い、床に堆積した。紙ふぶきに気を取られたが、これはこれで楽しかった。ちなみに僕は、5枚だけ持って帰ってきました、笑。

 

 

 

■そして、ラストスパート、終盤で最高の盛り上がりゾーン。

 

19.運命の人
20.恋する凡人
21.けもの道
22.俺のすべて
23.1987→

 


盛り上がる曲が、ズラズラと並ぶ。特筆したい曲だけ書いていくと…

 

まず、【けもの道】。僕が、スピッツで一番好きな曲で、絶対やるだろうな、とは思っていたので、この曲が始まる時おなじみの、田村さんのベースソロが始まった瞬間に、来たーーー!!!って興奮した。

 

で、この日のベースソロで披露したのは、thee michelle gun elephantの【世界の終わり】のベースだったそうだ、現場では気付かなかったけど(というより、曲自体をそんなに知らない)。何でも、ミッシェルのメンバーであった、故アベフトシさんの命日が、7月22日だったそうで、しかもアベフトシさんが広島の人だというところから、ミッシェルの楽曲のベースを弾いたと、ファンの間では話題になっている。粋だね、リーダー。

 

もうとにかく、【けもの道】は最高だった!”広島の日の出 すごいキレイだな”という、おなじみの歌詞替えの歌い出しにも感動した。この曲には、もう何度も何度も励まされてきて、勇気をもらってきた。そういう記憶が、ドバっと一気によみがえってきて、テンションが最高潮に達した。

 


次、【俺のすべて】。まぁ、これももちろんやるだろうなって思ってたけど、楽器チェンジの時に、ギターを握らずにタンバリンを草野さんが持った時点で、これもまた、来たーーー!!!ってなったね。

 

この曲も、スピッツのライヴをずっと盛り上げ続けてきた、スピッツマストの曲だろう。この曲の歴史も、とても長い。その盛り上がりに参加できて、本当に幸せだった。

 

そして印象的だったのが、この曲の途中から、舞台袖からライヴスタッフが大勢出てきて、一緒になって飛び跳ねながら盛り上がっていた。何かすごい楽しそうで、こっちまで楽しくなった。

 


そして、ライヴ本編最後の曲、【1987→】。

 

やっぱり、これが最後だったね。もう、何も言うことはあるまい、ただただ感謝。

 

その全ての歌詞が響いて、心の中で会話をしていた。

 

”不思議な歌を作りたい”…これからもずっと作ってください。

 

”似たような犬が狼ぶって”…長い時を経て、スピッツは唯一無二の犬になったんだよね、笑。

 

”それは今も続いてる”…ひとつのことをずっと続けていくスピッツの姿に、これまでどれだけ勇気をもらってきたか。

 

”きっとザコキャラのまんまだろう”…僕(ら)にとっては、スピッツはずっとヒーローだったよね。

 


あぁ、終わる…ライヴ(本編)が終わってしまう…でも、全然寂しくなかった。寂しさよりも圧倒的に、満足感と幸福感の方が大きかった。

 

 

 

■ENCOLE

 

1.歌ウサギ
2.春の歌

 


余談だけど、スピッツのライヴは、MCやアンコール呼び込みで、座っちゃうんだね、笑。まぁ、座席が用意されているから、当然と言えば当然か。僕は、座席が用意されたライヴってのに、あんまり参加したことがなくって、よく分からなかったけど…まぁ、参加者の年齢層も加味して考えると、なおさらか、笑。

 

アンコールの呼び込みの時も、僕は立って拍手を送っていたわけだけど、周りが皆座るもんだから、あれ?俺も座った方が良いのかな?って思って、でも結局立ったまま、拍手を送っていた。自分の中で、それが精一杯の感謝の気持ち、もっと曲を聴きたいという気持ちを表す、一番の方法だと思ったからだ。邪魔になっていたのならば、申し訳ございません…。

 


で、はじまったアンコール。メンバーが、ライヴTシャツに着替えて再登場。

 

1曲目は、「ここで新しい曲を」と、【歌ウサギ】を披露。ちなみに、この曲のイントロが始まった時、僕の斜め後ろあたりに居たおばちゃん(だと思う、笑)が、「ひぇっ…!」って、大きく息を飲む瞬間があった。きっと、【歌ウサギ】が大好きな方で、楽しみにしていたんだろうね、笑。この曲は、すごくライヴ映えした。本当にぞくっとするほど、サビから大サビへの盛り上がりが鳥肌もんだった。

 


いよいよ、最後の曲…の前に、草野さんの短いMCが入る。

 

「30年やってきましたが、まだ通過点です。これからも面白い歌を作っていきますので、よろしくお願いします」

 

多分、こんな感じのことを言った。”面白い歌”という表現が、いかにも草野さんらしい。いやぁ、こういうスピッツの”未来”への決意を話してくれるのは、僕らも本当に嬉しいよね。そうなんだよ、当たり前だけど、スピッツはこれからも、続いていくんだよ。単純かもしれないけど、それが一番嬉しい。

 

次のアルバムが、もうすでに楽しみだ。これは、また3年後かな?その時は、またこスピッツ大学で、余すことなく書こうじゃないか!

 


そして、正真正銘、最後の曲は【春の歌】。

 

最後に、何かが始まっていくような、そんな歌で締めくくるのは、本当ににくい。”愛も希望も つくりはじめる”って歌って終わるなんてね。ここは、終わりでも何でもなく、通過点であることはおろか、始まりなんだと歌ってくれたんだ。

 

 

 

■ということで、ライヴ終了でございます。

 

この記事だけでは伝わらないこともあるかもしれないけど、読むだけで(書くだけで)、何かお腹いっぱいになる、笑。

 

18:00開始で、終わったのが20:30くらいだったのかな、たっぷりと2時間30分以上、全25曲の大満足なライヴだった。

 


改めて、全体を振り返ってみての感想を。

 

まず、ずっと話しているけど、僕はスピッツのライヴに参戦するのが、これが初めてのことだった。20年以上もスピッツを聴き続けて、今更初めてとはね。でも、すごく良い席をいただいたので、きっと、着実にスピッツポイントは20年以上かけて貯まっていたんだろうね、なんじゃそりゃ。

 

別に、頑なにライヴには行かない!と決めていたわけじゃないし、逆に、絶対いつか参戦したい!と思っていたわけでもない。僕は決して、現場ファンではないけれど、それでもやっぱりライヴは素晴らしいと思っている。あの雰囲気の中だと、いつも聴いている曲も、また一味違って聴こえた。

 


そして、何より、あの時間をたくさんの人と共有できたってのが、一番うれしかった。僕には僕の、スピッツとの20年以上の物語があったわけだけど、ライヴに参加した人数の分だけ、スピッツと過ごした物語があったわけで、それらが一堂に会して、あそこで同じ物語を共有したんだよね。そう考えると、本当に感慨深い。

 

スピッツ大学という、このブログを書いていますが、たくさんの人が見てくださって、コメントもたくさんいただいて、いつも本当にありがたく思っていますが、何せネット上のやり取りな分、実感が湧かない部分…正直言うとあるんです。

 

だからこそ、あの大きな会場で、たくさんのスピッツファンが集まっているのを見ると、本当に圧巻だったね。おいおい、こんなにたくさんのスピッツファン、これまで広島(や県外)のどこに隠れてたんだよってね、思うわけです、笑。

 

 

 

■…もういい加減、このくらいで締めようか。まだ足りないけど、笑。

 


ということで、これも何度目だっけな…

 

スピッツ30周年、本当におめでとうございます!お体に気を付けて、老眼や五十肩にも負けずに、いつまでもメンバー全員がお元気で、スピッツが続いていくことだけを、ただただ願うだけです、もう本当にそれだけです。

 

しかし、ここはまだ通過点だ!旅の途中だ!僕は、一生スピッツします!

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10月1日にお会い致しましょう!

■おはこんばんちわ、キャラを忘れた頃にどうも、学長のitukamitanijiでございます。

 

えー、在学生の諸君、スピッツ学の勉強、進んでおるかな?私自身が、何の理由もなく、スピッツ大学の記事を書くことを3週間くらい?止めてしまっているが、各自が自主的にスピッツ学の勉強に勤しんでいることでしょう。

 

それで、ついで…と言っては変な話だが、9月中は休校に致します。…あ、えーっと、記事を書くことを9月中は一時中断ということです。

 

どこかで書きましたが、10月1日に、スピッツ3050ライヴツアーの全行程が終了しますので、そのタイミングで、僕が参加した広島公演のライヴの模様を余すことなく書き記した、「シン・ライヴレポート」をアップする予定なので、キリが良いかなと。そこから再び始めたいと思いますので、またよろしかったら、読んでみてください。

 


■ということで、せっかく久々に書いたんだからと、今後のスピッツ大学について少しお話しておきます。

 

と言っても、基本的には、スピッツ大学は何も変わりません!今までのような調子で、のらりくらり書いていけたらと思っております。

 

一応、今後の予定を少し話しておきます。

 


①全曲研究セミナーにて、全曲紹介する

 

これが最優先ですね。現在、183曲目の【胸に咲いた黄色い花】を紹介したところで止まっておりますが、今後の順番としては、

 

1.アルバム『醒めない』まで全曲(【雪風】は含める)の紹介をする
2.アルバム『醒めない』収録曲、それ以降の新曲の紹介をする

 

といったところでしょうか。これには、インストゥルメンタルの曲や、ボーナストラック的な曲も含めておりますが、ざっと数えてみたところですね、残りあと44曲くらいですかね、順調に週一で書き続けていくと、1年もかからずに終わる感じです。

 

ちなみに、インディーズの曲(数曲は紹介できそうですが)やカバー曲は含めておりません。

 


②アルバム単位、映像作品単位での紹介をしたい

 

これもね、やりたいんですよ。イメージとしては、索引みたいな感じにしたいんです。アルバム単位で作品を紹介して、そこから個々の記事に飛んでいける、みたいな形にしたいと思っています。

 

ちなみに、ここで、スピッツトリビュートアルバム『一期一会』や、スペシャルアルバム『おるたな』に収録されているカバー曲も、ダバダバっと紹介したいと思っています。

 

あと、映像作品の紹介ですね。もういくつかは紹介している作品もありますが、せっかく映像作品も素晴らしいものがたくさんあるので、僕の手元にあるものだけでも紹介したいと思っています。

 

ただ、映像作品の紹介は、中々難しいんですよね、これが…orz

 


③ランキング企画を完結させること

 

調べて見ますと、おそらく2015年8月1日からランキング企画をはじめて、早くも2年2ヶ月くらい経過したことになりますね。

 

目標は、1000票と定めておりましたが、現在の票数がちょうど500票くらいなんですよ。ということは、単純にあと2年かかるということになりますね…。

 

この辺は、またおいおい考えてみます。予定通り、1000票までやるのか、どこか途中で締め切るのか、検討してみます。

 

まぁ、もうすでに途中結果などを載せておりますので、それでも十分傾向は分かるのですが、僕が決めた「はい、ここで終了!」というところで、きちっと最終ランキングをどこかで発表したいと思っています。

 


以上が、一応今思いつく限りで、やろうと決めていることですかね…というより、やらなければならないことです。

 

他にも、こういうことをやってみては?などの案があれば、ぜひコメントなどに残していただければ、検討してみたいと思います。

 


■それでは、10月1日にお会い致しましょう!

183時限目:胸に咲いた黄色い花

【胸に咲いた黄色い花】


胸に咲いた黄色い花

胸に咲いた黄色い花

 

■アルバム『名前をつけてやる』に収録されている曲です。個人的ランキング195曲中194位でした…低い、低すぎるぞ!

 

そんなに、自分の中に印象に残ってなかったんでしょうか…。うーん、聴き直してみると、もちろん良い曲だとは思うんですけど、聴き直すまで、Cメロのメロディーを思い出すことができませんでした。むしろ、Cメロあったっけっていう次元でしたが…。

 

しっかり、聴き直して、歌詞を読み返して、紹介しなければいけませんね!

 


■改めて、アルバム『名前をつけてやる』を聴いてみると、この辺から少しずつ、スピッツの路線変更が進んでいっていることが、今となっては分かります。

 

【恋のうた】なんかは、スピッツメンバー自ら、今のスピッツの路線変更へのきっかけになったと語られる曲ですし、この【胸に咲いた黄色い花】なんかも、メロディーもすごくキャッチ―で、歌詞なんかも優しい雰囲気で、聴きやすい曲になったなと…もしも当時リアルタイムでスピッツを聴いていたなら、そう感じたかもしれません。

 


■ということで、曲の解釈です。

  

割と読みやすい歌詞であることには違いないですが、その意味を考えてみると、まぁいつも通りですが、色々と想像しなければなりません。

 

そもそも、タイトルが”胸に咲いた黄色い花”という、ここから比喩表現になっていますからね。胸に花が咲くことなんて、現実には物理的にありませんから、きっと精神的なことを表わしていて、じゃあ”黄色い花”が何を指す言葉なのか、考えなければいけません。

 


そういうことで、歌詞を読んでみると、出だしのAメロで、”黄色い花”についてこんな歌詞が出てきています。

 


月の光 差し込む部屋
きのうまでの砂漠の一人遊び
胸に咲いた黄色い花 君の心宿した花

 

そしてサビ。

 


このまま僕のそばにいてずっと
もう消えないでね
乾いて枯れかかった僕の胸に

 


この辺りの歌詞から物語を想像すると、まず、この歌の主人公は、”きのうまでの砂漠の一人遊び”…つまり、独りで寂しく過ごしていた、と。”乾いて枯れかかった僕の胸”という表現から、”砂漠”は、僕の胸…つまり心(の状態)を表していると考えられると思います。

 

そんな乾ききった心に、黄色い花が咲くわけですが、歌詞を読んで、胸に咲いた黄色い花=君の心宿した花、という関係性になっていると考えられると思います。

 

じゃあ、君の心宿した花とは?普通に考えると、君のことを心で考えている…つまりそれは結局、君に恋をしたという描写なのかなと思いました。

 

ずっと独りで寂しく過ごしていたけど、君に恋をして、生きる希望を見出し、日々の生活が明るくなった、それを”黄色い花”という、きれいなもので表している、などと想像できます。

 


■という具合に、素直に読んでいけば、上述の流れで読んでいくことができると思いますが、残りの部分の歌詞についても、まだ考える余地があると思います。まぁ、この辺りは、どれだけ深読みするかだと思いますが、それもいつも通りですね、笑。

 


例えば、

 


君と笑う みんな捨てて
街の音にもまれながら

 


時の淀み 行く手を知り
明日になればこの幻も終わる

 

などという歌詞について。

 

”君と笑う”ためには、”みんな捨てる”必要があるし、しかもそれも”幻”で、”明日になれば”終わってしまう…と。この辺りを解釈に組み入れるとすると、どういう物語が考えられるでしょうか?

 


■まず、”みんな捨てて”というところに関してですが、これは、それくらいの覚悟で君に想いを抱いているだとか、君と居る時だけは悲しいことも忘れられる、などと読むと、先程の物語につなげられそうです。

 

ただ、後者には、”明日になればこの幻も終わる”という歌詞があり、どこか違和感を感じます。しかも、先ほど紹介したサビに、”このまま僕のそばにいてずっと”と願っているにも関わらず、明日には終わってしまう、と分かっている、と。

 


ということで、少し物語を妄想してみると、君はもう亡くなってしまっていて、僕はこの世に一人取り残されてしまったと。僕は、独り寂しく過ごしていたけど、どういうわけか、亡くなってしまった君が、この世に戻ってきた。それを、幽霊みたいな感じでこの世に君が降りてきたと考えると、もうファンタジーですね、面白いと思いますけど…。

 

僕としては、君が夢の中に出てきた、と考える方が妥当かなと思っています。夢に出てきた君と、現世の悲しみをみんな忘れて笑う。それは、とても幸せな時間で、もうこのまま消えて欲しくないと僕は願っています。しかしながら、これは全て夢の中の出来事なので、目を覚ませば(明日になれば)幻のように終わってしまうと…こういう感じの物語ですかね。

 


ちなみに、君が亡くなっているという根拠としては、冒頭の”月の光 差し込む部屋”という歌詞にあります。草野さんは、丸いものに”死”の概念を抱いていると言われています。この歌の中では、”月”がその役割を果たしているのではないかと考え、月の光=亡くなってしまった君、と繋げて考えてみました。

 

まぁ、夢で会う物語ですと、別に君は亡くなっていなくても成立しますね。密かに想いを寄せている相手と、夢の中でだけ会うことができて、一夜だけのランデブーを楽しんでいる…という感じです。

182時限目:ミーコとギター

【ミーコとギター】


ミーコとギター

ミーコとギター

 

■アルバム『名前をつけてやる』に収録されています。個人的ランキング、195曲中149位でした。

 

まず、何と言っても、タイトルが印象的ですよね。ミーコって誰?って話なんですが、wikiにはただ一言「ミーコとは架空の女の子の名前である」とあったので、まぁ、そういうことなんでしょうね。僕自身も、現実でミーコという名前の女性を見たことがないんですけどね、カタカナですし、何か漫画に出てくるような名前ですよね、笑。

 

曲調は、不思議なタイトルとは裏腹に、しっかりとしたロック調ですね。ジャキジャキ鳴っているギターの音と、ドスの効いたベースの音が印象的です。間奏なんかは、何かのエフェクトでしょうか、ボーカルの声が歪められていて、イヤフォンで聴くと不思議な気分になります。

 


■ということで、じゃあ、この曲はどんなことを歌っているのか、考えてみます。

 

まず、単純に考えてみます。タイトルが”ミーコとギター”ということで、”ギター”という具体的な楽器をイメージすることができます。そしてその持ち主は、ミーコなる人物ということになりますね。

 


歌詞を読んでいくと、例えば、

 


ミーコの声は誰よりも強い だけどはかない

 


手垢まみれのギターと今日も

 


ミーコのぎこちないギターもいい すごくせつない
そしてミーコのうたう恋のうたもいい なぜかうれしい

 

などのフレーズがありますが、ここだけを読めば、ミーコ=シンガーソングライターというイメージができると思います。ギターと書いてありますが、僕のイメージとしては、アコースティックギターですかね、アコギ一本で弾き語る、女性シンガーを思い浮かべます。

 

ただし、歌詞の中には、”憧れるだけで 憧れになれなかった”というフレーズも出てきていますので、夢は掴めなかったって感じですかね。シンガーソングライターとして、プロのミュージシャンは目指していたけど(あるいは目指している最中だけど)、それを叶えることはできなかった(未だできていない)と。ギターを弾いて歌っているような描写はありますが、ギターが手垢まみれなのは、手入れを怠っているからでしょうか。

 


■タイトルと歌詞をつなげていけば、上述のようなストーリーは思い浮かぶと思いますが、まぁそう一筋縄ではいかないんです。

 


そもそも、色々と謎めいた歌詞がたくさん出てくるんですよね。いくつか挙げてみますと、

 


そしてミーコの彼はミーコの彼じゃない
誰も知らない
いつかは二人で 幸せになりたかった

 


大きな”パパとミーコ”のようなギターと
今日も歌うよ裸の世界を

 

などですね、上述のシンガーソングライター物語には、少し余計な情報だなと思ったんです。

 

これらを、シンガーソングライター物語につなげるならば、例えば、ミーコはギターを”彼”だと思っている…つまり、恋人のように大切にしている、と考えれば、物語に差し支えはありません。”誰も知らない”のは、ミーコの妄想だから、そもそも人間ではないから、と考えることもできそうです。

 


■しかし、これはある意味で広まっている解釈だと思うんですけど、ずばり、ここでいうギターは、男性器を暗喩しているという解釈があるんです。ギター⇒男性器とすると、この曲の物語も、またガラリと変わってしまいます。

 

ただし、そもそもミーコは女性だと思われるので、ここでいうギターは、他人のギターであると考えることができます。そうなると、”手垢まみれのギター”ですからね…どんだけ執着してるんだって話ですよね、笑。

 


例えば、”声”や”歌(歌う)”というフレーズを(”恋のうた”というフレーズもありますが)、性行為中に出している声…つまり喘ぎ声と訳してみるとどうでしょうか。それに加えて、ギター⇒男性器ですからね、この歌が一気にSEXの描写を表しているように思えてきます。

 

あとは、”ミーコの彼はミーコの彼じゃない”という描写から、ミーコが彼を想像しながらのギターですからね…ミーコのオナニーという解釈にもつなげることができそうです。

 

”いつかは二人で 幸せになりたかった”というフレーズは、元々は付き合っていた相手が居て、その人と別れたことの腹いせに…って感じでしょうか。

 

大きな”パパとミーコ”のようなギターって何ですかね?お金を貢いでくれる人のことをパパと表すこともありますし、ひょっとしたら、パパみたいに大きなギターを想像しているのかもしれません、笑。

 


■まぁ、こんな感じですかね、笑。

 

余談ですが、これがアルバム『名前をつけてやる』に入ってるってのも、何か意味ありげですよね。これまでも、このアルバムの曲を紹介してきましたが、通常の言葉を、通常の意味で使っていないような歌ばかりなんですよね。そして、その大体が、エッチな方向に向いてしまうんです、苦笑。

 

ということで、【ミーコとギター】Hな暗喩ソング説、いかがでしょうか。

181時限目:未来コオロギ

【未来コオロギ】


未来コオロギ

未来コオロギ

 

■アルバム『小さな生き物』に収録されている曲です。これがアルバムの1曲目に入っているということに、何か特別な意味を感じてしまいます。

 

ただ単に、”コオロギ”とするだけではなく、”未来コオロギ”としているところに、何か特別な想いを込めたのでしょうか。…というより、そもそもこのタイトル自体が、アルバムタイトルの予定だったそうですね。

 


■あまり大した情報は得られないので、早速、曲の解釈へ入っていきます。

 

まず、歌詞に関して思ったのが、何かファンタジーだな、ということでした。

 

タイトルの”未来コオロギ”という言葉自体、どこかファンタジーなんですが、例えば、”パラレルの国”とか、”チョコレートは いかがでしょう”とか、あとは”不思議な絵の具”とかね、何となく、でたらめに塗り潰されたような…そう、「チャーリーとチョコレート工場」とか「アリスインワンダーランド」とか、そういう世界観を感じました。

 


出だしの歌詞が、

 


描いてた パラレルな国へ
白い河を 飛び越えて

 

となっているので、何となく、そういう不思議な世界へと、主人公が誘われてやってきた、とかいう物語を想像しました。

 


■それで、やっぱり気になる、”白い河”という表現です。

 

最近、【水色の街】の解釈を述べたばっかりですが、そこでは、河=三途の川として、それを渡るわけですから、水色の街を”死後の世界”、つまり”あの世”という風に繋げて解釈しました。

 

それと同じように考えるとすると、つまり、白い河=三途の川と訳すとどうでしょうか。

 


他に、気になる歌詞を繋げて考えてみると、例えば、

 


未来コオロギ 知らないだろうから
ここで歌うよ 君に捧げよう

 


顔上げて 遠くを見てくれよ
生き返った 鳥の群れを

 

この辺りは、前者は、知らないだろうから=主人公は死んだことにまだ気づいていない、みたいに考えると、それを知らせようとしている、という感じでしょうか、”歌うよ”となっているのは少し違和感がありますが。

 

後者は、これはそのまま”あの世”ということで、死んでしまった鳥が、あの世にやってきて、また生き返って(ただし、あの世で)羽ばたいているという描写でしょうか。

 


■…というような解釈もできそうなんですが、個人的には、もうちょっと考える余地があるような気がして、うーんうーんと唸っていました。

 

ここでいう”未来”とは何なのか、誰に対しての・どんな”未来”なのか、というところをね、ずっと考えていたんです。しかも、それに”コオロギ”がくっついていて、余計によく分かんなくなっていました、苦笑。

 


それでも色々と考えて、歌詞を繋げて考えてみた時、まず思いついたのはこういう解釈でした。

 

例えば、主人公はひょんなことから、未来の国へと迷い込んでしまったと。しかしながら、ここがどこなのか、主人公が分かっていないので、”未来コオロギ”なる…これは未来の自分とかでしょうか、それとも、未来の国のマスコットキャラクター的なやつとか…それが出てきて、主人公に知らせるわけですよね。ここは未来だけど、慌てないで、とりあえずチョコでも食って落ち着けや、と。

 

もちろん、きっとこれらは、主人公の精神的な世界の中で繰り広げられたものだと思いますが、この解釈だと、ここから上手く繋げられなかったんです。例えば、

 


行ったり来たり できるよこれから
忘れないでね 大人に戻っても

 


消したいしるし 少しの工夫でも
輝く証に 変えてく

 

とか、意味分かんないなってなって詰まってしまいました。

 


■そうしてさらに考えたのが、上述とは逆で、主人公が迷い込んだのは”過去”か、あるいは、そもそも「パラレルな国」なので、”違う現在”(言葉通り、時間軸の違う”パラレルワールド”)なのではないか、と。

 

ただし、これもやはり主人公の精神的に繰り広げられてることだと思うので、考えられるのは、現状に希望が持てずに、自分の妄想の世界に逃げ込んでしまった、という感じになると思います。

 


ということで、ちょっとまとめて書いてみますと…

 

主人公にとって、何か現在の自分や世界の状況に、受け入れたくない、目を背けてしまいたいことがあった。それでついに、自分の殻に閉じこもってしまった…自分の過去や都合の良い現在を妄想して、そこに閉じこもってしまった、と。”大人に戻っても”という表現があるので、自分が子どもだった、無邪気で楽しかった頃を思い出している、という解釈が合うのでしょうか。

 

そして、”未来コオロギ”です。”未来”とは、つまり、その主人公が元々いる現在のことだと考えると、”未来コオロギ”とは、主人公に対して、そんなところに閉じこもっていないで、早く現在に戻ってこいよ、と言っている(歌っている)存在であると考えられます。

 


時の流れ方も 弱さの意味も違う
でも最後に決めるのは さっきまで泣いていた君

 


消したいしるし 少しの工夫でも
輝く証に 変えてく

 

前者は、これは”未来コオロギ”が、泣いている主人公に向けて言ったものでしょうか。立ち直って、閉じこもっている世界から抜け出すことを決めるのは、結局は自分次第だよということですね。

 

後者も、忘れたい出来事があるけれど…なかなかそれを、”輝く”証に変えることは難しそうですが、まぁ…そういう出来事も乗り越えていくという表現になるんですかね。

 


ただ、まぁなぜコオロギなんですかね。コオロギが鳴くということが、”泣いている”にかかっているとか、はたまた”歌うよ”にかかっているとか…どうなんでしょうね。

 


■ちなみに、今回は特に触れませんでしたが、アルバム『小さな生き物』は、東日本大震災の後の一番近い時期に発売された作品なので、どうしても両者の関係を考えてしまいます。

 

【未来コオロギ】と震災にも、何らかの関係があるのかもしれませんね。例えば、主人公が泣いているのは、震災に際したからであって、そこから立ち直れなくなってしまっている…という解釈につなげられそうです。

180時限目:みそか

【みそか】


みそか

みそか

 

■アルバム『スーベニア』に収録されている曲です。個人的ランキング、195曲中16位でした。ランキング上位入賞には、文句なしの名曲です。

 

wikiの情報を見て思い出していましたが、この曲は、2006年のアクエリアスのキャンペーンソングでした。疾走感あふれる曲調が、CMにぴったりだったことを、少し思い出しました。

 


■さて、このタイトル”みそか”という言葉ですが、僕は、この言葉が単体で意味を成すことは知りませんでした。つまり、”おおみそか”という言葉はもちろん知っていましたが、”みそか”という言葉には、馴染みがなかったんです。

 

ちなみに”みそか”とは、漢字で、三十日、晦日などと書き、「月の最後の日」という意味です。三十日(みそか)と書くと、〇月30日のような気がしますが、一般的には、29日であろうと31日であろうと、とにかく月の最後の日を表す言葉であるそうです。

 

言わずもがな、”おおみそか”は、漢字で大晦日と書き、「年の最後の日」つまり12月31日を表す言葉です(大三十日とは書かない)。

 


■何ていう、国語の授業はこれぐらいにしておいて…。

 

とにかく、こんなタイトルで曲が作れるとは…という感じなんですが、こんなゆるいタイトルでありながらも、実際は、スピッツ屈指のロックナンバーになっています。ハードロックとかヘビィロックとかって言うんですかね、メタルとはやっぱり違いますけど、ギターの音がギャンギャン鳴っていて、ベースもドラムスも荒れ狂っている感じ、また今までのスピッツのロックな曲とは一味違った曲になっています。

 

スピッツ?あぁ、空も飛べるはずかな?ロビンソンかな?」というところで止まっている人に、ぜひ聴いてみて欲しい一曲ですね。きっと驚くでしょうね。

 

しかし、それに乗っかるのは、草野さんのいつものクリーンなボーカルです。曲調が、あっちこっち色んな方向にいっても、草野さんの声が乗っかるだけで、確かにスピッツの曲を成すようになるのは、不思議ですよね。

 


■ということで、じゃあ、この歌はどんなことを歌っているのでしょうか。ちょっと考えてみます。

 


まず、先ほど紹介しました、”みそか”という言葉の意味、そしてこの曲がアルバムの最後の曲だということ、あとはサビの歌詞…例えば、

 


越えて 越えて 越えて行く 命が駆け出す
悩んで 悩んで はじまるよ 必ずここから

 

という部分などは、何となく繋げて考えることができそうです。

 

みそかとは、(ひと月の)最後を表わしている言葉ですが、その最後は、必ず(次の月の)始まりへと繋がっています。最後を”越えて”、また新しい始まりへと向かっていく…それは何も、暦(こよみ)の上に限ったことではなくて、何となく精神的な部分も表していると感じます。

 

そして、この曲がアルバムのトリを飾っている意味…これも、アルバムはこれで最後だけれど、まだスピッツはずっと続いていくからね、という、スピッツ自身の気持ちをも表していると考えました。

 

何も、月や年をまたがずとも、また新たな気持ちで頑張っていこうと、歌詞を用いれば、困難なことも”越えて”行こうと。そういう気持ちに燃えている人の背中を押してくれる、そんな歌であると感じます。

 


■他に、印象に残った歌詞を書いてみると、

 



周りに合わせない方が良い感じ
誰かが探しに来る前に

 

これは、この歌の主人公や、ひいては、第三者的な立場から、僕たちに言っている言葉とも捉えることができますが、スピッツ自身のことを歌っているとも考えられますね。例えば、エキサイトミュージックにおいて、アルバム『スーベニア』について、メンバーが語っているインタビューがあるんですが、その中で、草野さんがこのように語っていました。
(引用:http://ent2.excite.co.jp/music/interview/2005/spitz/01.html

 


草野:…でも、今だと何を入れてもスピッツになっちゃうっていう自信っていうんじゃないですけど、開き直りみたいなものはありますね。曲に合うアレンジであれば、迷うことなく、取り入れていくっていう感じです。

 

ちなみに上記は、同アルバムに収録されている【ナンプラー日和】に、三線の音が入っているということに関して述べた言葉ですが、スピッツの曲全般に言えることだと思います。今回の【みそか】に関しても、こんなにゴリゴリなヘビィロックでありながらも、確かにスピッツなんですよね。

 

周りに合わせるんじゃなくて、自分たちが望む音ならば何でも加えてみよう、と。そういう、音楽(ロック)に対する飽くなき挑戦心みたいなものを感じます。

 


あとは、これまでの解釈の流れに読んでいくと、ん?って思うんですけど、

 


君をさらっていこうかな
例え許されないことでも

 

という歌詞。自分の強い気持ちを真っ直ぐに歌っていると思いきや、唐突な”君”の出現です。しかも、”さらっていこうかな”なんて、ちょっと意味深なことも、さらっと歌ってみたりして、苦笑。

 

そうか、この歌は僕と君の歌なのかな、という想像を一旦してしまえば、また全体的な歌の解釈もがらりと変わってしまうのが、また不思議なところです。例えば、

 


尖った山のむこうから
朝日が昇ればすぐに

 


越えて 越えて 越えて行く 命が駆け出す

 

などの表現が、一気に性的な表現にも思えてくるんですよね、笑。特に前者なんかは、一見すると、”初日の出”なんかを思わせる、はじまりの決意を示した表現に思えますが、”尖った山のむこう”、”朝日”ですからね…うーん。

 


■まぁ、いつも通り、色んな解釈はできそうなんですが、細かいことはとりあえず置いといて、疾走感を楽しむべき、スピッツ屈指のロックナンバーですね。