スピッツ大学

ステイホームしながら通える大学です!

無心で音楽を聴く気分にすらならないこんな夜でも

■深夜にこんばんは、itukamitanijiです。


ツイッターの方では報告していますが、ここ最近の僕は、インフルエンザB型に罹ってしまいまして、自宅療養を余儀なくされておりました。なんと、去年も同じように、同じ時期にインフルに罹って療養したので、2年連続ということになります。

いやー、またたくさんの人(とりわけ職場の方々)に迷惑をかける羽目になってしまって、つくづく自己管理の甘さを呪うばかりでございます。本当に情けない。仕事の形態のちょうど切れ目であったため、よし、また気持ちを入れ替えて頑張らねばと思っていた矢先でしたので、まさしく出鼻をくじかれたとは、このことでございます。

皆様も、体調にはお気をつけくださいね。僕は、結局インフルエンザB型だったんですが、インフルにしろ何にしろ、特に寒い日が続くここ最近ですのでね、お気をつけください。


■さて、ここスピッツ大学。

まぁ、このインフルの件だけが原因ではないのですが、長いこと記事を更新していません。全曲研究セミナーについては、もうかれこれ50日近く書いていないことになるわけですね。お、この筆者はついに飽きたか!?…と思われてはいけませんね、頑張りますよ!

今現在、年末の【夜を駆ける】が、今のところの最後です。次は、いよいよラ行に突入、今日は早速【ラクガキ王国】を書いていたのですが、あまり気が進まず、完成には至りませんでした。また、明日以降、なるべく早く書き上げることを目指します。

ということで、よろしくお願いします。また、ここも仕切り直しです。


■去年のインフルエンザ療養中は、何かスピッツの歌とか聴いていて、救われたーだとか言っていましたが…そうそう、ちょうどウォークマンが壊れた時期で、スピッツ全音源を、スマホに移植とかしてたっけな。

今回の療養中は、もう無心でしたよ。音楽を聴く気分にすらなれなくてね、静かにしていましたよ。


とか思っていたんですが、無心で音楽を聴く気分にすらならないこんな夜でも、つい今しがた、ロック大陸漫遊記を聴き始めました。僕は、広島に住んでいるので、ロック大陸漫遊記は広島FMで、日曜の深夜0時に始まるんです。

草野さんのラジオを、月曜日が始まってすぐ、もう眠らなきゃいけないのに、ど深夜に聴くことが、自分にとっての日課になりました。月曜日が始まることに関しては、ほとんどの人にとっては憂鬱だと思うんですけど、それが少しだけ紛れて眠れるんです。

こういう日課は、人には絶対に必要だと、改めて気付かされます。何でもいいじゃないですか、ただ毎週楽しみに待てるものがあるということが、どんなに幸せなのか、それを忘れてはいけません。


■ところで、草野ラジオ、皆さんどうですか?かなりマニアックな内容で、特に洋楽に関しては、本当に毎曲知らない曲ばかりで、それが楽しいところであり、逆にもどかしいところでもあるんです。

先週だったかな、邦楽特集をやってくれた時なんかは、特に楽しめましたけどね、僕が好きな、People In The Boxの曲とか流してくれたりしたしね。

個人的には、別に音楽の話ばっかりじゃなくても、スピッツの話とか、メンバーを呼んでグダグダ喋ったりするのも聞いてみたいですけどね。

まぁ、とにかく、毎週楽しく聴き続けていきますよ。そういえば、リクエストもしてみましたけどね、ある意味マニアックなリクエストだったのかもしれません、苦笑。万が一、選ばれましたら、ここでも報告させていただきます。


ということで、何だかんだ、僕にとってはグダグダと1月は過ぎていっちゃいましたが、改めて今年も頑張っていきます。

では、おやすみなさい。

12年ぶりのスピッツ年

■2018年も始まって、もうすでに2週間も過ぎているので、とっても今さらって感じなのですが、明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。

 

キャラを忘れた頃に、学長のitukamitanijiでございます。

 

すでに、年始よりひっそりと、"アルバムレビュー"として、とりあえずは1st『スピッツ』、2nd『名前をつけてやる』、そして、Mini『オーロラになれなかった人のために』の3作品の紹介から書き始めました。このアルバムレビューもコーナー化して、この先継続していこうと思っています。

 

ただし、未だメインとしては、1曲1曲を紹介する"全曲研究セミナー"であり、各アルバム内には、まだ紹介していない曲もあったりしますので(大分出揃ってきていますが)、アルバムレビューとして作品を紹介する際は、その収録曲の全曲を紹介した後に、作品ごとに随時、気が向いたときにでも書いていきたいと思っていますので、あらかじめよろしくお願いします。

 


■リアルタイムで、現時点(2018年1月)の全曲研究セミナーは、2017年末に書いた195時限目【夜を駆ける】で止まっております。さらに言うと、この曲でヤ行が終了しましたので、ラ行の曲に突入します。

 

これを踏まえて、今後の流れとしては、

 

① 残りの曲を、これまで通り50音順に紹介していく。
② これまで発表された曲の中で、①に含まれていない、インストの曲やボーナストラックの曲などを紹介していく。
③ アルバム『醒めない』以降の楽曲を紹介していく。

 

という順番になります。①~③の楽曲を合わせても、おそらく残り30~40曲くらいになると思われますので、順調にいけば、ここまでは2018年内に終わるかもしれませんね。

 


まぁ、あとは合間を縫って、上述のアルバムレビューや、映像作品の紹介(はやらないかも…)もしていきます。

 

そう、スピッツ大学のランキング企画もですね。これは、ランキングを取り始めたタイミングの都合上、アルバム『小さな生き物』までの曲でランキングを作っていますが、もういい加減、時期遅れになってきていますので、一応ノルマはあったのですが、頃合いを見て締め切った方がいいのかも、と考えております。

 


■2018年は、12年ぶりのスピッツ年(戌年)ということで、何かスピッツファンにとっては、心がザワザワしますよね。僕はやっぱり、シングルでもアルバム(は当分でないですかね)でも、何らかの形で、1曲でも多くの新曲を聴きたいと思っています。

 

いつまでも、過去を懐かしむことなかれ、30周年は30周年として素晴らしくも過ぎていき、また再び未来に向かっていくと、スピッツメンバーたちもきっと思っているでしょう。

 

ならば、それに僕たちも続かなければなりません。スピッツの曲を、しっかりと己の骨肉として、懸命に日常を生きていかなければなりません。そして、もらった元気や勇気は、しっかりと日常で使わなければなりません。そうでないと、スピッツの楽曲たちに、ひいては、スピッツに顔向けできないじゃないですか。

 


ということで、遅くなりました&短めですが、今年もスピッツ大学をよろしくお願いいたします。

 

スピッツ大学学長 itukamitaniji

アルバム講義:Mini Album『オーロラになれなかった人のために』

オーロラになれなかった人のために

Mini Album『オーロラになれなかった人のために』
発売日:1992年4月25日

 

■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01.魔法

→ 171時限目:魔法 - スピッツ大学

 

02.田舎の生活

→ 13時限目:田舎の生活 - スピッツ大学

 

03.ナイフ

→ 110時限目:ナイフ - スピッツ大学

 

04.海ねこ

→ 21時限目:海ねこ - スピッツ大学

 

05.涙

→ 119時限目:涙 - スピッツ大学

 


■2ndアルバム『名前をつけてやる』は、1stアルバム『スピッツ』が発売されてから、実に8ヵ月という短いスパンを経てから発売されましたが、続いて発売されたミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』も、2ndアルバムが発売されてから、さらに短い5か月というスパンを経て発売されました。改めて、発売順にまとめておくと、以下の通りです。

 

1991年3月25日 『スピッツ』発売
1991年11月25日 『名前をつけてやる』発売
1992年4月25日 『オーロラになれなかった人のために』発売

 


およそ1年の間で、実に3枚のアルバム(2枚のフルアルバムと、1枚のミニアルバム)を制作・発売させたということに関しては、今では考えられないほど、非常にアグレッシブなリリースペースですよね。まぁ、全ての作品が25日発売になっているのは、何か狙いがあってのことなのかは分かりませんが…。

 

2ndアルバム紹介の記事にて、1stアルバムと2ndアルバムは、発売時期も近いため、精神的には繋がりを感じているというようなことを書きましたが、今ミニアルバムも同様に、発売時期が近く、前2作品との繋がりを感じます。

 


■ミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』という作品は、スピッツにとって実験的な作品であるとされています。それどころか、ところにより、スピッツ作品の中でも、異質な作品であると言われることもあります。

 

まず、"ミニアルバム"という形を取っていることが珍しいですよね。1999年にスピッツは、ep盤として『99ep』を発表するのですが、結局その作品にしたって3曲入りであるので、あんまりepとかミニアルバムとかいう実感はありません。ですので、『オーロラになれなかった人のために』は、今のところ(ちゃんとした)ミニアルバムという形で発売された唯一の作品であると言えるかもしれません。

 


そして、このミニアルバムの一番の特徴は、何と言っても、そのほとんどの楽曲において、”ロックサウンドとオーケストラサウンドの融合”を狙いとしているという点です。

 

2ndアルバムに、【魔女旅に出る】という楽曲があります。この曲は、編曲者に長谷川智樹という方を招き、その方のプロデュースにより、オーケストラサウンドが大いに導入されています。実際に聴いてみると分かると思いますが、バンドサウンドに合わせて、ストリングスの音が響いて聴こえますよね。間奏のストリングスの演奏とか、本当に綺麗なんですよ。

 

そして、『オーロラになれなかった人のために』は、そんな【魔女旅に出る】において試みた、ロックサウンドとオーケストラサウンドの融合というものをコンセプトとして、それをさらに推し進めて作られたミニアルバムなのです。アルバム全編を通して、ストリングスやホーンや打楽器といった色んな楽器の音が、ロックサウンドに合わせて聴こえてきます。

 

全体的に、イントロやアウトロ、間奏の演奏が長くて、目立って聴こえる曲が多いので、極端な言い方ですが、バンド隊の演奏はメインではなくて、草野さんのボーカルと、オーケストラの演奏の方がメインなのかなと思えてきます。

 


■先述の通り、前2作品と発売が近いので、今作品もまたセットで、つながりを感じる作品ではあります。また、入っている曲数は5曲と少ないですが、少ないからこそ、オーケストラサウンドなどの、コンセプトをしっかりと体感できる作品だと思います。

 


そして、特徴的なアルバムのタイトルである”オーロラになれなかった人のために”ですが、「アラスカの北極圏に住む先住民の『死んだ人はオーロラになる』という言い伝えからとったタイトル」なんだそうです。死んだら”オーロラになる”のならば、”オーロラになれなかった”は何を表すのでしょうか。

 

例えば、これはこのブログで前に書いたことですが、オーロラになれる人というのは、何ていうか人生を全うして死んだ人のことを指すのではないか、とかいう解釈を与えました。そうなると、オーロラになれない=人生に未練を持っているため成仏できない、あるいは、不遇な死を遂げてしまった(例えば、自ら命を絶った)、などでしょうか。

 


…と考えていて、今回またひとつ新しく思ったことがありました。それは、オーロラになれなかった人=”大切な人を亡くして、この世に残された人”でもあるのかなってことでした。大切な人は死んでオーロラになった、だけど残された人は生き続けなければならないので、まだオーロラになれないと、そういう流れですね。

 

それを物語るかのように、別れの場面や残された人の歌が、今アルバムに入っています。まぁ、そればかりではないので、何とも言えないんですけどね…。

 

【田舎の生活】は、愛する人を亡くして田舎に籠ってひとり寂しく暮らす男の姿、【海ねこ】は、死別という解釈は与えませんでしたが、この歌にも別れの場面が描かれており、残された人の気持ちが表現されています。最後の【涙】は、個人的には、”死んで成仏していく様子”と”赤子の誕生”という真逆の解釈を与えましたが、前者であれば、これも残された人の姿が見えてきますし、後者であっても、赤子が母体から別れて、ひとりで生きていくようになると考えると、これもひとつの別れの場面であると(多少無理やりでが)考えることができるのかもしれません。

 


必ず届くと信じていた幻
言葉にまみれたネガの街は続く
さよなら さよなら 窓の外の君に さよなら言わなきゃ

【田舎の生活】より

 


今日 一日だけでいい
僕と二人で笑っていて

【海ねこ】

 


そして君はすぐに歩きはじめるだろう
放たれた魂で
月のライトが涙でとびちる夜に

【涙】より

 


■ということで、1stアルバム、2ndアルバム、そして、今回のミニアルバムと、この辺りの作品が、一番スピッツの・草野正宗さんの、濃厚で不思議な世界観が反映されているのではないでしょうか。

 

ただ、この作品あたりから、自分たちの活動に対して、少しずつ心情は変わっていったようで、書籍「スピッツ」には、この作品周辺のインタビューにて、草野さんのこんな語りが載っています。

 


あと、もっとなんでもやれるんじゃないかっていう、何やっても結局、スピッツっていうのから逸脱することはないのかなっていうか。もうちょっと広く、思いっきりいろいろやっちゃってもスピッツになるっていう自信があるから、そういう意味でもっといろいろやれんじゃないかって気がする。まだちょっと視野が狭かったなって

 

こういう心境の変化っていうのは、大きかったんじゃないでしょうか。オーケストラサウンドを導入してみたこともそうですが、新しいことを色々と取り入れるようになったということでしょうね。マニアックな世界は、もちろん残しつつも、それを自己完結されるのではなく、プロとして、しっかり外へ発信していくことへの自覚や覚悟を感じられます。

アルバム講義:2nd Album『名前をつけてやる』

名前をつけてやる

2nd Album『名前をつけてやる』
発売日:1991年11月25日


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01.ウサギのバイク
→ 19時限目:ウサギのバイク - スピッツ大学

 

02.日曜日
→ 124時限目:日曜日 - スピッツ大学

 

03.名前をつけてやる
→ 118時限目:名前をつけてやる - スピッツ大学

 

04.鈴虫を飼う
→ 75時限目:鈴虫を飼う - スピッツ大学

 

05.ミーコとギター
→ 182時限目:ミーコとギター - スピッツ大学

 

06.プール
→ 153時限目:プール - スピッツ大学

 

07.胸に咲いた黄色い花
→ 183時限目:胸に咲いた黄色い花 - スピッツ大学

 

08.待ち合わせ
→ 169時限目:待ちあわせ - スピッツ大学

 

09.あわ
→ 12時限目:あわ - スピッツ大学

 

10.恋のうた
→ 49時限目:恋のうた - スピッツ大学

 

11.魔女旅に出る
→ 168時限目:魔女旅に出る - スピッツ大学

 


■前アルバム『スピッツ』の発売が、同年3月25日でしたが、そこから、実に半年ちょっとという、非常に短いスパンを経て、今アルバム『名前をつけてやる』は発売されました。

 

書籍「旅の途中」に、そのアルバムレコーディング周辺の話が書いてあるので、少しまとめさせていただきます。

 

まず、前アルバムにおいて、計画性もなく、基準がよく分からないレコーディングを繰り返したということを反省して、今アルバムでは、プリプロダクション(通称:プリプロ。レコーディング前に、作品の方向性を確認したり、簡単なレコーディングや練習を行っておくこと)をきちんと行った上で、レコーディングに臨んだんだそうです。

 

当時、自分たちのライヴの出来に満足がいっていなかったようで、そのフラストレーションみたいなものをプリプロにぶつけたようで、その勢いはすさまじいものがあったそうです。しかしながら、その一方で、レコーディングに対しては、”記憶にないレコーディング”と表わされていました。

 

ちなみに、このアルバム収録曲に、何気に一曲もMVがないという…シングル曲にすらありませんからね。

 


■上述の通り、前アルバムからの制作が、短いスパンであるからか、前アルバムと今アルバムには、どこか繋がりを感じます。いわゆる、"セックスと死"の世界観はもちろん色濃く、同じ世界・時間軸の中に居るみたいに感じるので、2枚セットひとつながりで聴きたいアルバムです。

 

じゃあ、具体的に『名前をつけてやる』は、どういう内容のアルバムなのでしょうか。とりあえずは、印象的な歌詞を少し抜き出してみますと、

 



脈拍のおかしなリズム
喜びに溢れながら ほら
駆け抜けて 今にも壊れそうな
ウサギのバイク

【ウサギのバイク】より

 


晴れた空だ日曜日 戦車は唾液に溶けて
骨の足で駆けおりて 幻の森へ行く

【日曜日】より

 


名前をつけてやる 残りの夜が来て
むき出しのでっぱり ごまかせない夜が来て

【名前をつけてやる】より

 


ミーコのぎこちないギターもいい すごくせつない
そしてミーコのうたう恋のうたもいい なぜかうれしい
憧れるだけで憧れになれなかった
手垢まみれのギターと今日も

【ミーコとギター】より

 


君に会えた 夏蜘蛛になった
ねっころがって くるくるにからまってふざけた
風のように 少しだけ揺れながら

【プール】より

 


どうですかね?個人的には、なんてあからさま!イヤーン!とか思ってしまうんですが、笑。

 

先ほども言ったように、前アルバムと今アルバムはひとつながりであると思っているが故、同じ世界観であるとは言ったものの、似ている部分も違っている部分もあり、聴き比べると結構面白いんです。

 


■まず、個人的に、両アルバムの根本的なイメージとして、前アルバムは"死"のイメージが強く、今アルバムは"性"(恋愛系?)のイメージが強いように感じます。

 

ただし、言いたいことを、色んなものに置き換えているという点でいえば、相変わらず"分かりにくい"んですけどね、苦笑。例えば、個人的には、上述の歌詞群はすべて性的な表現を置き換えたものだと思っています。

 

【ウサギのバイク】はそのまま"SEXの描写"、【日曜日】は戦車は"男性器"で幻の森は"女性器"、【ミーコのギター】も、載せている部分だけは何とも言えないですが、全体的に読んでみると、ギターは"男性器"ではないか…などなど、それぞれ置き換えて読んだりしています。

 

そういう理由からか、曲調はともかくとして、全体的に今アルバムの方が、前アルバムより明るい感じがします。アルバムのジャケットの色が表している通り、『スピッツ』のイメージカラーが青色や水色などの寒色だとしたら、『名前をつけてやる』のイメージカラーは、赤色や桃色といった暖色でしょうか。

 


■あと、今アルバムは、全体的にメルヘンチックですよね。前アルバムも、妄想的という部分は同じなんですが、メルヘンという感じではないんですよ。メルヘンというより、暗号的というか、謎々でも解いている感じなんですよね。

 

その点、今アルバムは違うんです。上述のように、"言葉の置き換え"は相変わらず行われていますが、全体を通して、何かやけに物語っぽい気がするのです。前アルバムが、バラバラな静止画を並べてひとつの世界を作っているとすると、今アルバムは、動画で物語を流している感じなんですよね。

 


■この頃のスピッツは、プロミュージシャンになったことに対する重責を背負いつつも、良いか悪いか、まだ売れることに対してはこだわっておらず、まだプロとアマチュアの間をさまよっている感じであったのだと、書籍のインタビューなどから読み取れます。

 

そして、この頃のスピッツは、あくまでも、とにかく控えめなんです。マイナス思考なわけではないとは思いますけど…書籍「スピッツ」における、発売当時のインタビューにおいて、

 


レコードを出すっていうのは、自己顕示かな、わかんない(笑)。でも、おおっぴらに目立ちたいっていうのもそんなにないしなぁ。やっぱり、聴いてくれる人がいたら気持ちいいっつうのはあるかな…………うん、そうですね。人が聴いてくれて気持ちいいっていうのはあるとは思いますよ、人並みに。

 

と語られています。要は、作品のリリースも、ライヴについても、全て自己完結してしまっていたんですよね。その一方で、書籍「旅の途中」においては、

 


いま振り返ると、草野マサムネの作詞家としての独特な感じは、もしかしたら二枚目の『名前をつけてやる』で終わっていたのかもしれない。
(中略)
人がやっていないことをやっているっていう自負が、売れていなくても、反響がなくても精神的な支えになってくれていたんだろう。

 

とも語られています。

 


今でこそ、爆発的なヒットを記録して、国民的に名前を知られるようになったロックバンド・スピッツですが、しっかりと、今アルバム『名前をつけてやる』も、前アルバム『スピッツ』も評価されています。この2作こそ、スピッツ草野マサムネの深い詩の世界観が一番表されている作品であるとして、未だにコアなファンも多いのではないでしょうか。

 

僕も、最初こそ苦手ではありましたが、歌詞を読むことに興味を持つようになってからは、この2作品も大好きになりました。どちらかというと、僕は『スピッツ』派ですかね。でも、『名前をつけてやる』だったら、【プール】とか【あわ】とか【魔女旅に出る】とか、すごく好きですけどね。

アルバム講義:1st Album『スピッツ』

スピッツ

1st Album 『スピッツ
発売日:1991年3月25日

 

■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. ニノウデの世界

→ 125時限目:ニノウデの世界 - スピッツ大学

 

02. 海とピンク

→ 20時限目:海とピンク - スピッツ大学

 

03. ビー玉

→ 146時限目:ビー玉 - スピッツ大学

 

04. 五千光年の夢

→ 54時限目:五千光年の夢 - スピッツ大学

 

05. 月に帰る

→ 94時限目:月に帰る - スピッツ大学

 

06. テレビ

→ 99時限目:テレビ - スピッツ大学

 

07. タンポポ

→ 91時限目:タンポポ - スピッツ大学

 

08. 死神の岬へ

→ 64時限目:死神の岬へ - スピッツ大学

 

09. トンビ飛べなかった

→ 107時限目:トンビ飛べなかった - スピッツ大学

 

10. 夏の魔物

→ 115時限目:夏の魔物 - スピッツ大学

 

11. うめぼし

→ 23時限目:うめぼし - スピッツ大学

 

12. ヒバリのこころ

→ 145時限目:ヒバリのこころ - スピッツ大学

 


正真正銘スピッツのメジャーデビューアルバムです。シングル『ヒバリのこころ』とともに、当アルバムが同時リリースされて、スピッツはメジャーデビューを果たしました。

 

実際は、1987年に現メンバーが揃ったスピッツが結成され、そこからアマチュア・インディーズ時代を経て、1991年にメジャーデビューという流れになりました。およそ4年間は、アマチュア・インディーズで活動していたことになるんですね。

 

ちなみに、シングル『ヒバリのこころ』には、【ヒバリのこころ】と【ビー玉】が入っています。その2曲がそのままアルバムに入っちゃっているところから、え、シングルを発売した意味があるの?とか思ってしまいますが、調べてみたところ、【ヒバリのこころ】のバージョンが少し違うらしいです。

 


さて、このアルバムのレコーディングの模様は、書籍「旅の途中」を読むと少し書かれています。

 

チューニングからとにかく時間がかかり、慣れない雰囲気でレコーディングを進めていくが、テイク数だけが重なっていき、中々OKが出ない…というより、何を基準にして誰がOKを出せばいいのか、プロデューサーも含めて誰もその基準を持っておらず、挙句の果てには、エンジニアが怒ってしまった…みたいなことが書かれていました、苦笑。

 


■デビューアルバムでありながら、僕がこのアルバムを聴いたのは、スピッツを聴きはじめてから、ずっと後になってのことでした。詳細は覚えていないですが、スピッツを好きになったのが小学生の頃で、多分デビューアルバムとセカンドアルバムは、高校生の時に聴いたと記憶しています。

 

僕が初めて1stアルバムを聴いた当時のスピッツは、いわゆる”マイアミ・ショック”後の(個人的に呼んでいる)第三期に差し掛かっていたので、リアルタイムで聴いているスピッツの歌の感じとは、かなり違って聴こえました。草野さんのボーカルの雰囲気も違っていたし、メロディーの雰囲気も違っていましたが、何より衝撃を受けたのは、その歌詞の世界観でした。

 


個人的には、最初にして最大の謎アルバムと思っているこのデビューアルバム『スピッツ』ですが、その所以はやはり、歌詞の世界観に他ならないと思います。その収録曲のほとんどが本当に奇妙で、率直に言うと、何が言いたいのか分かりませんでした。いくつか歌詞を挙げてみますと、例えば…

 



タンタンタン 石の僕は空を切り取った
タンタンタン 石の僕は空を切り取った

【ニノウデの世界】より

 


五千光年の夢が見たいな うしろ向きのままで
涙も汗も吹き飛ぶ 強い風に乗って

【五千光年の夢】より

 


君のベロの上に寝そべって
世界で最後のテレビを見てた
いつもの調子だ わかってるよ
パンは嫌いだった

【テレビ】より

 


うめぼしたべたい
うめぼしたべたい僕は今すぐ君に会いたい

【うめぼし】より

 


などなど、常人では思いつかないような、奇妙な世界観の歌詞です。しかし、こういう言葉を、すごくきれいなメロディーに乗せて歌うのだから、またこれがギャップにやられてしまいます。何か、歌っていることはよく分からないけど、やけに耳に残るような、そんな歌ばかりでした。

 

こういうことがあって、僕はもっとスピッツのことを、草野正宗さんのことをもっと知りたいと思うようになったのだと思います。特に、詩の世界観について、この頃から色々と考えを巡らすようになりました。

 


草野正宗さんが書く詩のテーマとして、よく挙げられるのが、”セックスと死”というものです。特に、初期の頃の歌に、そういう世界観が色濃く反映されていると思います。多分、色んなところで語られていると思うのですが、書籍「スピッツ」にて、アルバム『空の飛び方』辺りのインタビューで、草野さん自らがしゃべっているのを見つけました。

 


俺が歌を作る時のテーマって”セックスと死”なんだと思うんですよ。で、そのセックスに対するイメージが変わってくるのに従って、死っていうのがテーマとして大きくなってきてるかもしんないんですよね。

 


あとやっぱ子どもの頃の感覚に返ると、セックスも死も恐怖の対象だったと思うんですよ。だから、そういう部分をずっと引きずってるとこもあると思うし。

 

この他、「どうせ死ぬんだよな」という思いから物の収集ができないだとか、子どもの頃、1年のうちに2人立て続けにおじいさんを亡くされて、それが死を考えるきっかけになっただとか、死生観について様々な話が出てきており、そのひとつひとつが、歌詞の世界観を生み出していることが分かります。

 


こういう話を聞いたから、余計にそう感じる部分もありますが、特に初期の頃の歌の多くは、”セックス”か”死”か、割とそのどちらかをテーマにしている歌に大別できるのではないかと、個人的にですが思っています。

 

例えば、【テレビ】であれば”葬式”や”お墓参り”を歌っているのではないか、【うめぼし】のうめぼしは”女性の乳首”を表しているのではないか、【五千光年の夢】や【タンポポ】は”成仏”を表しているのではないか、【夏の魔物】は”赤ちゃんの中絶や流産”などをテーマに書かれているのではないか、などなど…もちろん、これらは個人的な解釈です。

 

草野さんにとって、”性(セックス)”と”死”は表裏一体であるものなのでしょう。”性”とは、人間が持つ欲求の中でも強いものであり、”性”=”生”ということで、生きとし生けるものの全ての根元・始まりを意味します。一方で、”死”とは、万物に訪れる終わりを意味しています。

 

つまり、”セックスと死”で、人が生まれて、生きて、そしてやがて死んでいくということを表しているのです。そして時には、人生の終わりを飛び越えて、魂の成仏や、死後の世界、輪廻転生などへと、詩の世界観が拡げられています。

 


■それから、書籍「スピッツ」にて、ちょうどこのアルバム発売時のインタビューで、草野さんが自身の作詞観を語られています。

 


言葉っていうのも全然関係ないようなとこからポッと入れたりとか、全然その曲のタイトルとつながらないような言葉とかをたくさん入れて、それで結局タイトルの言葉っていうのは出てこなかったにしてもそのタイトルをイメージさせるデッカいイメージみたいなものが構築されたらなっていう…

 

この辺りは、結構納得ですよね。特に、初期の頃の歌に顕著だと思いますが、およそタイトルとは関係のないような言葉が散らばっていて、時にまるで暗号を読むように、ひとつずつその言葉を拾って繋いでいくと、何となく全体で意味が分かるような(分かった気になったような)、そんな感じになります。

 

真っ直ぐに、”愛している”だの、”君が好き”だの言えば良いものの、そうはなっておらず、言いたいことが色んなものに置き換えられているものだから、要するに”分かりにくい”んですよね、苦笑。

 

しかし、だからこそ、歌詞の世界観に深みが生まれ、また、この歌詞はどんなことを歌っているんだろうと、考える楽しさを感じることができます。それは、歌詞を読んでいるというより…しばしば草野さんの歌詞は、現代詩のようだと例えられますが…まさに現代詩、ちょうど学校で読む教科書に載っている詩を読んでいる感覚に近いのかな、と思っています。

 


■非常にマニアックな詩の世界観と、不思議と耳に馴染むメロディーを併せ持つ、不思議な歌の宝庫、1stアルバム『スピッツ』です。

 

まだまだ大衆を狙った作品ではなかったものの、(おそらく)マニアックな一部のリスナーにはじわじわと、彼らの歌が拡がっていったのです。

 

しかし、紛れもない、ここがスピッツの始まりです。そして、後に大ヒットを記録する作品を生み出し、日本中に名前が知れ渡るようになるとは、まぁそれはまた別のお話で。

 

youtu.be

特講:スピッツの未来を見届けていくことが、僕(ら)の一つの使命だ

SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR

SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR "THIRTY30FIFTY50"(デラックスエディション-完全数量限定生産盤-)

 

※本記事は、少々この作品のネタバレを含んでおります。まだ発売されて間もないですし、ネタバレを見たくない方は、どうか回れ右をお願いします。

 


■2017年の終わり、スピッツ結成30周年を締めくくるように、スピッツから届けられた素敵な贈り物である。

 

僕は、ぜひとも初回限定生産盤を手に入れたいと思い、事実それを手に入れたわけだが、まず店頭でびっくりしたのは、その大きさと重さ…でかい!重い!店員さんに渡された時、思わず反応してしまって、俺「でかいっすね…」店員さん「…あ、はい(愛想笑い)」的なやり取りがあった、笑。

 

ただし実際は、最初に行った、結構大きめのCDショップには初回限定盤がもうすでに無かった。(通常版は置いてあったので、それを持って店員の所まで行って)俺「あの、すみません…このスピッツのDVDなんですけど、これの…」店員「初回限定盤ですよね?もうないんですよ…」的に、店員さんが食い気味に言うことには、入荷待ちで、業者に問い合わせても中々回してもらえない、ということらしかった。そして、僕と同じように、その日に別のお客様から、結構問い合わせをもらっているとのこと。結構出てるのかな、14000円(DVD盤)もするのに?

 

まぁそういうわけで、今年最後のあいさつにと、広島のレコードショップの総本山タワーレコードに赴き、ようやくこのDVDを手に入れたわけである。

 


■さて。先ほど言ったように、”でかい”初回限定盤。

 

①LIVE本編 DVD or Blu-ray
スピッツ30周年記念 DVD or Blu-ray SPITZ INSIDE DOCUMENTARY「THE HISTORY 1987→」
③LIVE音源 CD(2枚)
④100ページ以上に渡るライヴ写真集

 

という豪華な内容になっている。このうち、②③④が限定盤特典なので、限定盤はでかいし、(DVD盤は)14000円という少々値が張るものになっているのだが、僕はもうおじさんなので、大人買いしたのです(?)

 

ということで、いつも思う…映像作品の内容や感想を話すのは、すごく苦手なんだが、せっかくなので少しずつ内容だったり感想だったりってのを語ります。

 


■まず、特典映像ディスクの内容について。

 

これは、スピッツの30年の活動に大いに関わってきた人たちに、鹿野さんがインタビューするという形で、スピッツの活動を振り返っていくという内容。

 

スピッツ所属の事務所「ロード&スカイ」(現在のスピッツは、分社化された「グラスホッパー」に所属)の社長である高橋信彦さん、スピッツのデビューからのマネージャーの坂口優治さん、スピッツが大きく成長するのを手助けしその黄金期を支えた笹路正徳さん、特にアルバム『ハヤブサ』以降の作品に大きく関わるようになった、プロデューサーの亀田誠治さんやレコ―ディングエンジニアの高山徹さんなど…僕自身も名前だけは知っていたけど、顔は初めてみるという方も居て、皆さん多分そんなに顔を出すような人ではないだろうに、本当に貴重な映像だと思う。

 

インタビューの内容は、デビュー当時の苦悩から、スピッツの黄金期の話、そして最近の話まで、スピッツの歴史を追うように語られているのだが、このインタビューを聴いていて終始思うのが、誰もがずっとスピッツが秘めている才能を認めていて、そしてそれを何とかして、多くの人に届けようと尽力されていたんだな、ということだった。要は、誰もがスピッツを”愛して”いたんだよね。

 

インタビューの最後の方で、鹿野さんが高橋さんに対して、「出会った当初、この30年後っていうのは想像できていましたか?」と問うた際に、高橋さんが「出来るわけないですよね」と言って、それで皆さんで笑ってらっしゃったところとか、もうこの部分に全てが込められているよね。メンバーはもちろん、この方々も非常に感慨深く感じているんだろうなって…でもどんなに想像してもしきれないな、その気持ちは。

 

まぁ、斯く言う僕も、20年以上スピッツを聴き続けることになるとは、あの小学生の頃は思ってなかっただろうね。こんなおじさんになって、まだ同じように【チェリー】とか聴き続けるなんてね。想像できるかい、今目の前にある曲を、20年後も聴き続けているなんて、そして、それがこれからも続いていくことを。

 

まぁ、特典ディスクなので、初回限定盤にしか入っていないが、気になる方は、どうか購入して、実際に見てみてください。

 


■じゃあ、本編ディスクの紹介・感想です。

 

まず、収録されている内容は、神奈川県は横浜アリーナ公演の模様。僕は、広島公演に参加したのだが、それと微妙に曲目が違っているところがあって、そこもすごく楽しめたし、もちろん同じ曲でも、自分が参加した公演を思い出しながら楽しむことができた。

 

そう、今回のDVD鑑賞に当たって、いつもと決定的に違うのが、自分が実際に参加したツアーだった、という点だ。僕は、今回の3050ツアーで初めてスピッツのライヴに参加したんだけど、今までだったら、映像は全く始めてみる光景だったのが、今回に限っては、そうそう、こういう感じだったよなぁ…とか思い出しながら見ることができて、それはそれで楽しかった。

 

そういう感じで、本編のLIVE映像を見るわけだけど、まぁ、スピッツのLIVE DVDというのは、もうすでに何枚も持っているけれど、いつもより特別な気持ちで見ていた。それは、上述のように、自分が初めて参加したLIVEだったからというのもあるんだけど、何より30周年記念LIVEということで、LIVEに実際に参加した時と同様、色んなことを思い出しながら見ていたからだった。

 

ということで、全曲・全編を語るには多いので、印象に残った曲などを抜粋しながら書いてみます。

 


2曲目 【8823】
今回のLIVEで珍しいなと思ったことの一つが、2曲目がこの【8823】だったというところだった。これは勝手なイメージかも知れないけど、従来のLIVEでここら辺の盛り上がりと言えば、【けもの道】だったんだけど、その【けもの道】は終盤に演奏されている。そして、【8823】は終盤…最後の盛り上がりで演奏されることが多いが、それが2曲目に演奏されている。位置的には、それらが逆転しているっていうところに、広島公演でもちょっと意外だったし、僕を含めてお客さんの反応も少し、えっ!?って感じだった。しかし、そんなのは、曲が始まってしまえば関係ないね、田村さんは早速動き回るし、一気に会場のボルテージが上がっていることが、映像からもよく分かる。

 


3曲目 【涙がキラリ☆
今回のLIVEに限ったことではないかもしれないけれど、全体を通して感じたことは、全ての曲がレコードで聴くバージョンよりも、非常にロックでアグレッシブに聴こえてくるということだった。この【涙がキラリ☆】なんかも聴いてみて、特にアグレッシブだよね、ギターの音色なんかが、原曲よりもジャキジャキ鳴っていてさ、こんなにノリノリな曲だったっけなって思った。そういえば、2015年に発売された、アルバム『ハチミツ』のトリビュート盤にて、【涙がキラリ☆】を10-FEETがトリビュートしていたけれど、あのトリビュートも原曲に忠実ではあるんだけど、原曲よりもアグレッシブさが加えられていて、ちょうどそういう感じを思い出した。

 


4曲目 【ヒバリのこころ
これデビュー曲なんだぜ。スピッツ自身も、これまで数えきれないくらいこの曲は歌ってきたはずだろうけど、今でもLIVEでは定番の曲だよね。もうさすがに、メンバーも軽々やっていて、その姿には貫録さえ感じるけど、今だに全然色褪せてなくて、新しく聴こえるのは不思議だよね。”いろんなことがあったけど みんなもとに戻っていく”という歌詞は、何度聴いても震えがくる。スピッツを聴くときだけは、今になっても、いつだって心がゼロに戻っちゃうんです。

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10曲目 【惑星のかけら】
このDVDの中でもそうだし、自分が参加した広島公演でも、一番印象に残っている曲を挙げるとしたら、この【惑星のかけら】を挙げたい。アルバム『惑星のかけら』自体、子どもの頃は苦手だったんだけど、大人になって一気に好きになった作品。その中でも、【惑星のかけら】は、特に好きになった曲だった。子どもの頃の印象は、”君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い”しかなかったんだけど、笑。このLIVE映像も、もうグランジっぽさはあんまり感じないけれど、それでもどこか不気味で怪しくて、でもめちゃくちゃかっこよかった。しかしながら、未だにこの歌詞の世界観を完全に理解するまでには至っていない、というより、きっと永遠に来ないんだろうな、スピッツの歌詞面白すぎでしょ!

 


11曲目 【メモリーズ・カスタム】
ファンにはたまらない、崎ちゃんドラム炸裂タイム。すさまじいタム回しは、このLIVEでもまったく衰えていない。定期的に、このタム回しは映像で見たくなる。ちなみに、広島公演では、この曲の次が【エスカルゴ】だったんだけど、2曲続けて崎ちゃんドラムが炸裂していました。

 


12曲目 【波のり】
で、【メモリーズ・カスタム】からの【波のり】ですよ。これは、会場に居た古くからのスピッツファンの方もびっくりしただろうね。ライヴでは永らくやっていない曲の一つだったそうだけど、まさにレア曲。…にしても、これをDVDに入れるとはね、”僕のペニスケースは人のとはちょっと違うけど”って。しかし、ライヴ映像は、本当に素晴らしい。この曲も、【ヒバリのこころ】や【惑星のかけら】と同様、とても古い曲なんだけど、全然古臭く聴こえないのが不思議なんだよね。

 


16曲目 【夜を駆ける】
広島公演を思い出してみても、この辺りは、少し落ち着いた雰囲気で聴いていた記憶がある。でも、【夜を駆ける】とかは、まさにそういう象徴だと思うけど、スピッツのLIVEは本当に不思議なんだよ、炎はしっかり燃えているんだけど、赤いんじゃくて、青い炎が静かに、でも激しく燃えている感じがする。この曲なんて、激しい曲ではないけれど、でもしっかり激しくて、でも寒気がするくらい震えが来て…ちょっと何言ってるか分かんないけど、とにかく不思議な感覚を味わった瞬間だった。

 


18曲目 【正夢】
まさに、”幸せな時間”という言葉が似合うよね。本当に、幸せな雰囲気に満ち溢れている。本来は、この曲は恋愛がテーマの曲なんだろうけど、スピッツ自身には”おめでとう”と、お客さんには”ありがとう”という気持ちが、心から込められている演奏だと思う。ところどころ差し込まれるメンバーの顔が、本当に感慨深そうに花吹雪を眺めているのを見て、こっちまで胸がぐっとなるよね。ちなみに、この紙吹雪を、僕は5枚持って帰りました、笑。

 


21曲目 【けもの道】
先述したように、【けもの道】は、前半の盛り上がりで演奏される曲だと、僕は勝手に思っていたのだけれど、まさかのこの位置とはね。まぁ、必ずやるだろうなとは思っていた曲だったけど。何度も、それこそ何百回も何千回も聴いてきた曲ではあるんだけど、いつ聴いても胸がスカッとなるよ。それは、これからもきっと変わらないんだろうなぁ。

 


23曲目 【1987→】
本編の最後の曲は、これだろうなって、予想はついていた。だから、この曲のイントロが流れた途端に、あ、LIVE終わっちゃうなぁって思ったことを覚えている。リーダーが”1987→ Tシャツ”一枚で、しかもベースの位置を目いっぱい下げて、一際アグレッシブに演奏しているのは、パンクロックを意識してのことだろうか、笑 崎ちゃんとかも、ほんとに楽しそうにドラムを叩いているし…まぁ全体的に楽しそうに叩いていたけれどね。もう何も言うことはあるまい、何度聴いても、スピッツと自分が過ごしてきた過去と、それがこれらも続いていくという未来を感じることができる、本当に大切な曲のひとつとして心に刻まれた。

 


■その他、どの曲も、本当に自分が参加した広島公演も思い出すけれど、キリがないので、このくらいで。あとは、ご自分の目と耳で、このLIVEの素晴らしさを体験してください。

 


最後の方に、草野さんのMCが少しだけ入っていて、広島公演でも言っていたことだが、「今日は通過点という感じなので…」と言っていた。

 

2017年、1年間かけて、スピッツ結成30周年の祭りがずっと続いていった。レコードや映像作品のリリース、全国ツアーの開催、タワレコカフェなどのちょっと変わったイベントもあったりもした。

 

そのすべてが、スピッツ結成30周年を祝うように、本当に嬉しい出来事ばかりだったので、僕を含めて、スピッツファンにとっては、本当に幸せな1年になったよね。

 

しかし、何が一番嬉しいことかって、何より、これからもスピッツが続いていくということ。【1987→】の”→”に込められた意味は、まぁこれもすでに語ったことなんだけど、過去を懐かしむことではなく、これからも未来に向かっていくこと。早くも、今から次の作品が楽しみだし、行くかどうかは分からないけど、次のLIVEだって楽しみだ。スピッツの未来を見届けていくことが、僕(ら)の一つの使命だ、だから頑張って生きるんだよ。

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特講:2017年のスピッツ総復習

■リアルタイムで、2017年も残すところ、もうすぐ1週間となる今日この頃でございます。

 

僕自身の2017年は、まぁ今年も例年と同じように過ぎていくんだろうな、とか思いつつ過ごしていたら、最後の最後になって、特にこの11月12月に新しいことを始めてみたり(始めさせていただいたり)と、割と忙しく過ごさせてもらっているところです。

 


そんな2017年は、上述のことは、もちろんすごく大切なことではあるんだけど、それより何より、もっともっと特別なことがありました。それはもちろん…


2017年、スピッツは結成30周年を迎えました!


本当に本当にほんとおおおおにおめでたい。自分のことのように嬉しいんです。僕とスピッツの付き合いは、かれこれ20年以上…正確には、多分22年くらいになると思うけど、長きにわたって、スピッツの曲に僕は救われてきた。

 

メンバーが一人も変わらずに、バンドが30年も続いていくこと自体すごいことだと思うし、そのバンドを僕自身が20年以上も好きで居続けたこともすごいことなんだと思う。すごいこととすごいことが重なって、もうこれは奇跡と呼んでも良いと思う。良いバンドを好きになったなって、数少ない僕自身を誇れることだ。

 


ということで、結成30周年を迎えたスピッツにとって、今年は記念すべき1年ということもあって、作品のリリースに、全国ツアーに、その他様々なイベントに…例年にも増して精力的に活動をしてきました。

 

今回の記事では、まぁ全部を網羅はできないですが、それを少しずつ(になるかは分からんが…)振り返ってみようと思います。

 

 

 

■2017年1月25日
スターゲイザー】がスバルのSUVフォレスター」のCMソングに起用

 

スターゲイザー】はかつて、2004年に発売され、恋愛バラエティ番組「あいのり」の主題歌にも選ばれた曲だったが、再びこういう形で、しかも一昔前の曲が選ばれるとは思いもよらなかった。まさしく、草野さん・スピッツの作る歌が、いつまでも色あせないことを改めて確認できる出来事だったと思う。

 

ちなみに、このCMの主題歌は、【渚】→【ヒビスクス】→【スターゲイザー】というスピッツリレーだった。よっぽと、スピッツの反響がよかったんだろうね。

 

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■2017年4月3日~
【ヘビーメロウ】が2017年のめざましテレビのテーマソングに

 

この時は、確か30周年記念のCYCLE HIT BOXの発売の知らせは、まだだったんじゃなかったかな。だからこの曲は単純に新曲で、その発表はとても嬉しかったし、どういう形で発売になるんだろうってのも楽しみだった。

 

ただし、この年末になっても、未だにめざましテレビで流れているのはまともに聴いていないというね、苦笑。

 

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■2017年4月5日
【渚】が「NexTone Award 2017」Gold Medalを受賞

 

「NexTone Award」とは、そのままネットでの説明を借りると、


著作権管理する楽曲の中で、著作権使用料分配額上位作品の著作者・音楽出版社と、NexToneが手がけるデジタルディストリビューション事業(音楽配信アグリゲーション事業等)やキャスティング事業(ライブビューイング等)で大きな実績・話題を創出したプロジェクトを表彰するというもの。

とのこと。まぁ要するに、大きく話題になった楽曲を表彰するみたいな感じだろうかね。それのGold Medal…つまりは、一番話題になったと表彰されたわけだ。

 

先述の通り、CMにも使われたりしたことがきっかけにもなって、たくさんの人が耳にした結果なんだろうね。【渚】に関しては、シングル発売が1996年…もうかれこれ20年以上前の曲になるわけで、これもやはり、【スターゲイザー】と同様に、スピッツの曲がいつまでも色褪せず残ることを、確かに示していると思う。

 

僕自身・ファンの方も、こういうのは嬉しいよね。僕なんかは、【渚】は子どもの頃に聴いていた曲なので、またこうやって話題になって、それで聴きなおして、懐かしく感じるんだけど、過去から未来へとその思いが繋がることがね、とても嬉しい。

 

www.barks.jp

 

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■2017年4月22日~
4月22日より公開になった映画「3月のライオン」の主題歌に、スピッツの【春の歌】(藤原さくらカバー)

 

【春の歌】は、原作者の羽海野チカさんが、作品の構想を練りながら聴いていた曲であるらしいので、選曲については納得できたが、なぜカバーだったのか、少し違和感のあるアレンジは必要だったのか、原曲じゃだめだったのか…など色々ありますが、まぁいっか。

 

映画「3月のライオン」は、まだ見ていないけど、原作は大好きなので(全巻持っている)、いつか見たいとは思っている。それなりに楽しめるといいけど…。ちなみに、「3月のライオン」では、二海堂が好きです。

 

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■2017年5月3日
映像作品『SPITZ JAMBOREE TOUR 2016 "醒 め な い"』が発売

 

そういえば、このDVDについての記事を、書こうと思っていたけど、書いていないなぁ…まぁいつかまたね。

 

内容は、もちろん素晴らしかった!僕の中で、特別に好きな曲の【アカネ】のライヴ映像が見られたのが一番うれしかったかな。あと、【ハチの針】のブートレグ映像も面白かった。

 

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■2017年6月23日~ 
タワーレコードにてコラボカフェ『SPITZ 30th ANNIVERSARY CAFE』

 

ちなみに、僕が暮らす広島では、このコラボカフェはなかったため(タワレコはあるんだけど…)、僕は行っていません。なので、各地で催された様子の画像などを見て楽しむしかなった。

 

 

■2017年7月1日〜 
スピッツ結成30周年記念ツアー『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR "THIRTY30FIFTY50"』

 

ついに、静岡より結成30周年記念ツアーが始まった!いよいよ、スピッツ30周年のお祭りが幕を上げました!

 

ちなみに僕は、これまで(2017年まで)、スピッツのライヴに行ったことがなくて、夏フェスなどでも、生でスピッツを見かけたことがなかった。それで、今年の春だったかな、スピッツの30周年記念の全国ツアーが開催されることが発表されて、でもそこでもまだ僕は、行こうとは思っていなかった。

 

それで、僕が暮らす広島での公演の、チケット予約の期限がどんどん近づいて、やたらテレビでスピッツのCMが流れるもんだから、30周年かぁ…と思っていたら、やけにもったいなく思えてきて。そうして、ようやくチケット予約締切の前日になって、チケットサイトにて(登録すらしていなかったので、そこからだった)予約を入れたというね、笑。

 

 

■2017年7月5日 
『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX』発売

 

これも、本当に待ちに待ったよね。ちなみに、僕は、CYCLE HITは前作2作品とも持っていなかったため、このBOXで、新しい作品も含めて、3枚とも手に入れることができて嬉しかった。ただし、【めざめ】と【夢追い虫 -early version-】の音源は、BOXには入っていないため、残念ながら手に入らず仕舞いだった。

 

この作品には、新曲としては、【ヘビーメロウ】、【歌ウサギ】、【1987→】の3曲が収録された。新曲たちが、少しずつ解禁されていく感じが、本当に楽しかった。

 

この中でも、【1987→】を聴いたときは、特に感動した。この曲は、スピッツにとっても、スピッツファンにとっても、本当に特別な曲になったんじゃないかな。

 

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★2017年7月17日
スピッツ結成30周年記念日!

 

そして、ついに訪れる、スピッツ結成30周年記念日!これに関しては、僕自身が勝手に調子に乗って、40分以上も長く喋っている動画を作ったので、その動画を貼り付けておきます、よかったらご視聴ください。

 

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■2017年7月22日 
スピッツ結成30周年記念ツアー『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR "THIRTY30FIFTY50"』広島公演に参戦!

 

先述の通り、7月1日より、スピッツの30周年記念ライヴツアーが開始。そして、満を持して、7月22日に広島グリーンアリーナ公演!ちなみに、今ツアーでスピッツは初めて、グリーンアリーナにてライヴをするのだという。

 

ほんとにほんとに素晴らしかった!これも先述の通り、スピッツのライヴに参戦するのは、僕は初めてのことだったので、感動は人一倍だったと思う。

 

itukamitaniji.hatenablog.com

 

itukamitaniji.hatenablog.com

 

 

■2017年10月28日 
映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』の主題歌に【歌ウサギ】

 

結局、フルでの解禁は、この【歌ウサギ】が最後になったのかな。確か、BOX発売まで、テレビで流れている短いバージョンのやつしか、聴けなかったんじゃなかったっけ?

 

最初この曲を聴いた時、何だかさだまさしの曲みたい、って思った、Aメロとかまさにさださんっぽいなって、笑。でも、全部通して聴いてみたら、大サビまであって、そう単純にはいかない、本当にすごい曲だなって感激した。

 

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■2017年12月27日
映像作品『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR "THIRTY30FIFTY50"3050ツアー』発売(予定)

 

今年行われた、3050ツアーの模様を、早くも映像作品としてリリースすることが決定しております!横浜アリーナ公演の模様を収録した1枚であるそうだが、ライヴに参加した人も参加していない人も、絶対に楽しめること間違いないよね!

 

何より、今年の最後の最後に、スピッツからこんな良いスーベニア…あ、お土産があるとは、良い年越しになりそうだね。

 

youtu.be

 

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■多分もっと色々あったんだろうと思うけど、これくらいにしておきます。

 

いやぁ、本当に幸せな1年だった。変な言い方だけど、今年はたくさんスピッツを聴いたと思う。例年も、もちろんたくさん聴いているんだけど、今年は特にたくさん聴いた。

 

こういうブログを書いているから…ということもあるけれど、これまで気づかなかった、あるいは、もともと好きだったけどまた新しく、1曲1曲の素晴らしさに気づくことができた。子どもの頃は、そんなに好きじゃなかった曲も、大人になって聴いてみると、全然違って聴こえることもよくあるんですよ。

 


30周年を迎えたスピッツ…だが、自らがおっしゃっている通り、ここはまだ通過点、まだまだ旅の途中。来年も、再来年も、再々来年も、再々々来年→→→→→→も、ずっとスピッツと共に生きていきます。


…ということで、これでスピッツ大学は書き納め…と言いたいところですが、おそらく今年のスピッツ大学は、3050ツアーDVDを見ての感想記事で書き納めになると思うので、もうちょっとだけ続くんじゃ。

 

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195時限目:夜を駆ける

【夜を駆ける】


夜を駆ける

夜を駆ける

 

■アルバム『三日月ロック』に収録されている曲です。個人的ランキング、195曲中35位でした。

 

現在進行形で行っています、ここスピッツ大学におけるスピッツランキング企画にて、まだ途中結果ではありますが、この【夜を駆ける】は、堂々の第3位になりました。リアルタイムで今現在も、ランキングでは上下していますので、さらに上位になる可能性もあります。

 

スピッツファンには、とても人気のある曲ですよね。こういうランキングを見たときには、大体いつも上位に入っている印象なんですが、どうでしょうか。

 

まぁとにかく、これを聴かずにスピッツファンは名乗れないとも言える、文句なしの名曲です!

 


■【夜を駆ける】は、アニメ「ハチミツとクローバー」の挿入歌として使用されたそうです。同アニメでは、スピッツ(とスガシカオさん)の楽曲が多く挿入歌として使われたそうなので、【夜を駆ける】は、数ある挿入歌の一つだったんでしょうけどね。

 

ちなみに、「ハチミツとクローバー」の原作者と言えば、羽海野チカ先生ですが、現在連載中の「三月のライオン」において、漫画のchapter.32のタイトルが、そのものずばり"夜を駆ける"だったりします。羽海野先生がスピッツ好きなのは周知な事実なので、これには関連性があると思わざるを得ません。

 


■とにかく、アルバムの一曲目からこの曲っていうのが、何ともにくいですよね。wikiによると、「アルバム『三日月ロック』中1番演奏時間の長い曲」だそうですが、もう一曲目からいきなり、スピッツ・草野さんの世界観に引き込まれてしまいます。

 

イントロから鍵盤とアコギの音にハッとさせられ、そこに草野さんのクリーントーンなボーカルが乗っかり、少しずつ音が増えて集まってきます。

 

後述のこの曲の解釈にも関係してきますが、この曲からは怪しさというか、危うさというか、何か迫られている感じがして胸がザワザワするんです。でも、それが心地よくて、クセになってしまいます。

 


■ということで、この曲の解釈を書いてみたいと思います。

 

まず、この曲の解釈において、よく見かけるのが、"不倫"だったり"忍んで会う男女"といったものですかね。いくつか歌詞を抜き出してみますと、

 


研がない強がり 嘘で塗り固めた部屋
抜け出して見上げた夜空
よじれた金網を いつものように飛び越えて
硬い舗道を駆けていく

 


似てない僕らは 細い糸で繋がっている
よくある赤いやつじゃなく

 


君と遊ぶ 誰もいない市街地
目と目が合うたび笑う

 

この辺りでしょうか。単純に、"夜に会う男女"と解釈するには、色々と余計で複雑な表現が出ています。

 


一つ目の4行は、そのまま出だしの歌詞になりますが、"金網"や"飛び越えて"などは比喩表現だとしても、全体的に、誰にも見つからないように、ひっそりと逃げるように会いに行こうとしている感が溢れています。しかも、それを"いつものように"とも歌っているので、二人が常習的に夜の逢瀬を楽しんでいると考えることができます。

 


二つ目の2行、これまたかなり独特ですよね。よく両想いで繋がっている男女のことを指して、"赤い糸で繋がっている"と表現しますが、ここでは、糸は糸でも"赤いやつじゃなく"と歌われています。

 

赤くはなくても、一応は繋がっているようなので、例えば、両者が想い合っているとしても、それが"健全な恋愛"ではないということを指していて、やはり"不倫"のような、一筋縄ではいかない恋愛を思い浮かべます。そういう危うい関係で繋がっている男女ということでしょうか。

 


三つ目の2行、"君と遊ぶ 誰もいない市街地"という表現。時間としては夜…というよりは、もう夜中と言うべき、とても遅い時間であると察します。

 

似たような表現として、"大きな木もざわめきやんで 二人の呼吸の音だけが浸みていく"という表現が出てきます。いずれにせよ、そういう誰もいなくなって静まり返った暗がりで、ようやく二人が自由に会うことができると、そういうことを指しているのでしょう。

 


■割としっかりと繋がってはいる解釈だと思うので、上述でも十分だとは思いますが、僕自身はずっと、この歌にもっと劇的な物語を妄想して聴いていました。

 

もう何年も前のことになりますが、「タイヨウのうた」という映画がありました…皆さん知っていますかね。アーティストのYUIが主演を務めて、それなりに話題になった映画でした。

 

その内容の大筋は、太陽の光に当たれない病気("色素性乾皮症"というらしい)を抱えた女の子の日常を描いたストーリー、というものでした。

 


要するに、この【夜を駆ける】の主人公にも、そういう"陽の光に当たることができない病気"を当てはめました。陽の当たらない夜だけが、僕が自由に活動できる時間で、夜になると"僕"はしょっちゅう病院を抜け出して、陽の出る朝までの短い時間だけ、"君"に会いに行った、という物語になります。

 

まぁこれだと、君の方も同じ病気であるとか、逆に君の方だけがそういう病気であって、僕は君を夜にこっそり病院から連れ出すとか、もっと言うと、陽の光に当たれない病気でなくても、重い病気なので、普段は外に出られないから夜にこっそり抜け出す(連れ出す)など…色々と(自分勝手に)妄想を膨らませています。

 


とにかく、そういう解釈になると、

 


夜を駆けていく 今は撃たないで
滅びの定め破って 駆けていく

 

この辺りが、主人公たちの何と悲痛な叫びに聞こえてくることか。"滅びの定め"というのが、"いつか死んでしまうという運命"を表していて…そうだとしても、"今は撃たないで"と…もうすぐ死んでしまうのは分かっているけど、今だけは二人で居させてほしい…と。

 


■まぁ、2つの別々の解釈を紹介しましたが、設定こそ(特に後半の解釈はぶっ飛んでいる、笑)違っていますが、大前提はどちらにも変わらず、"夜にこっそり会う男女"というものがありますね。

194時限目:夢じゃない

【夢じゃない】


夢じゃない

夢じゃない

 

■アルバム『Crispy!』に収録された曲で、後に、16作目のシングル曲として、シングルカットされました。個人的ランキング、195曲中60位でした。

 


■まずは、この曲が辿った歴史を、少しまとめておきます。

 

1993年、4枚目のオリジナルアルバム『Crispy!』が発売になりました。ここでも何度か話していることですが、この作品は、草野さんが特に売れ線を意識して作ったアルバムでした。しかし、良い結果を残すことができず、草野さんは意気消沈してしまったそうです。

 

まぁ結局は、このアルバムから【君が思い出になる前に】という名曲が生まれて、スピッツの名前が知れ渡り始めたという意味では、あながち悪い結果ではなかったんでしょうけどね。

 

【夢じゃない】は、そんなアルバムの一収録曲でした。

 


そして時が経ち、1997年…アルバム『Crispy!』が発売されてから4年後のこと、【夢じゃない】が、テレビドラマ『ふたり』の主題歌に選ばれました。また、【君だけを】も同ドラマの挿入歌に選ばれました。

 

僕は、ドラマの内容は全然覚えていないんですが、【夢じゃない】よりも、【君だけを】の方を微かに覚えているんです。何故か、ドラマの中で流れていた記憶が、こちらの方にだけ微かに残っているんです、苦笑。

 

ドラマ起用に伴って、ここでようやく【夢じゃない】がシングルカットされるわけです。そして、【君だけを】も、このシングルのカップリング曲として収録されました。ちなみに、僕自身は【君だけを】派です!

 

【夢じゃない】はアルバム音源をリミックスしたものが収録され、【君だけを】はアルバムのオリジナル音源が収録されました。

 


これはあれですね、【空も飛べるはず】が辿った歴史に近い…というより、ほとんど同じですかね。まぁ、爆発的なヒットを記録した【空も飛べるはず】には及ばないですけど、【夢じゃない】の方も、スピッツの曲としては認知度の高い曲だという印象なんですが、どうでしょうか。

 


■また、この曲を語る材料のひとつとして、何と言っても、MVは欠かせません。見てもらった方が早いので先に載せておきますが…これは何て言うんだろう、人形劇のような作りで、物語の世界観もとても独特なため、とても惹きつけられます。

 

ということで、今回、このMVの物語を考察してみました!すみませんが、長いですので、あらかじめご了承ください!


夢じゃない MV

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【序】
見渡す限りに砂漠が広がった、荒廃した終末的な世界で、人型のロボットが暮らしています。
(※男性にみえるので、便宜上"男ロボット"と呼ぶことにします)
(※朽ち果てた建物の残骸が、至るところに残されているのを見るに、かつては、街や村として機能していたのかもしれません)

 

男ロボットは、自分の住処から出て歩いて、たくさんの金属片のガラクタが積み上げられて山を作っている、ごみ捨て場のような場所に辿り着きます。
(※もしくは、そこを訪れることが、男ロボットの毎日の日課だったか?)

 

ごみ捨て場の空中には、太い金属管のようなものが突き出ており、男ロボットの回想シーンの中で、男ロボット自身が、その金属管を通って落ちてきたような描写が出てきます。そんなことを思い出しながら、男ロボットが金属管を見上げているちょうどその時、金属片のガラクタが落ちてくるところを目撃します。

 


【破】
男ロボットが、ごみが落ちてきた場所に回ってみると、そこには、自分と似た姿をしているロボットが横たわっていました。ただし、原型は少し留めている様子ですが、腕や足が破損しており、もう動かなくなっています。
(※落ちてきたロボットは、女性に見えるので、便宜上"女ロボット"としておきます)
(※ひょっとしたらこんな風に、本来は動かなくなったロボットなどが捨てられる場所なのかもしれません。しかしながら、男ロボットは、生かされたままそこに落とされてしまった?…と想像してみると、男ロボットが抱えていた孤独は、とてつもないものだったと思えるのです)

 

またここで、男ロボットの回想が入ります。その中で、かつて男ロボットと女ロボットが一緒に過ごしていた描写が挟まれます。両ロボットの周りには、たくさんのロボットが映っています。両ロボットは"夫婦"や"恋人"に、ロボットの集団は"家族"や”仲間”に見えるので、このロボットたちには、"家族"や"仲間意識"という概念があったと推測します。
(※落ちてきた壊れた女ロボット=回想の中のロボット、という解釈で進めています)

 


【急】
男ロボットは、自分の住処に、女ロボットを持ち帰り、何とかして直そうと試みます。金属片を持ってきては、腕や脚など破損した箇所に、ごまかしごまかし繋いでいきます。しかし、根本的にロボットを動かす動力が欠けているようで、女ロボットは動きません。

 

そこで、男ロボットは、自らの体から金属棒のようなものを抜き出し、女ロボットの胴体に差し込みます。おそらく、この金属棒が、ロボットの動力(電池のようなもの?)だと思われます。

 

男ロボットの動力により、女ロボットは動き始めますが、早急的に作られた体ではバランスが取れずに、すぐに傾いて倒れてしまいます。
(※ここで、女ロボットも力尽きたのかは不明。バランスがとれずに倒れただけなのか?)

 

そして最後は、動力を失って床に倒れた男ロボットのカットで終わります。その背中には、MVの冒頭より男が大切にしていた、どこに行くにも肌身離さず大切に背負って持って行った機械が、男ロボットの背中で、男ロボットが力尽きてもなお動き続けているのでした。
(※僕は、この機械を、"音楽プレーヤー"の一種であると想像しています。この機械の動きに合わせて、男ロボットがリズムを取るように横に揺れている描写があったからです。さらに、回想の中で、これを背負ったまま女ロボットと踊っている描写もあったので、二人の思い出の品だったのかもしれません。さらにさらに、この音楽プレーヤーが流していた歌こそ、【夢じゃない】だとしたらと考えると…)

 


■じゃあ、この歌はどういうことが歌われているのか、考えてみます。

 

どうしてもMVの印象が強すぎて、曲を聴くとその映像が浮かび上がるのですが、歌詞を読んだ限りでは、繋がりはなさそうです。

 

僕は、深読みとかはせずに(と言うより出来なくて)、割と素直に、この歌の歌詞は読んでいます

 


まず、草野さんの歌は、いつだって出だしの歌詞が魅力的です。この歌も、とても印象的な歌詞で始まります。

 


暖かい場所を探し泳いでた
最後の離島で
君を見つめていた 君を見つめていた

 

"泳いでいた"とか"離島"とかいう言葉は、きっと何かの比喩になっているのだと思われますが、"探し…"とか"最後の…"とかいう言葉は、言葉通りに捉えてみることにします。

 

主人公には、何となく男を当てはめていますが、男に何があったのかは分かりませんが、何もかも諦めてしまおうかと思っていたところで、最後の最後に、君との出会いがあったと、そういうことでしょうか。

 

続く歌詞には、"同じリズムで揺れてたブランコ"という言葉が出てきますが、これは、主人公と出会った君の心が、シンクロしたことを表現しているのかもしれません。例えば、同じような悩みや悲しみを抱えていたとか、それを互いに慰めあったという風に考えられると思います。

 

自分が悲しみに暮れていて、そこに自分と同じような悲しみを共有できる"君"に出会った場面というものを想像しました。

 


■あとは、サビの部分についてです。

 


夢じゃない ひとりじゃない 君がそばにいる限り
汚れない獣には 戻れない世界でも

 

夢じゃない ひとりじゃない 君がそばにいる限り
いびつな力で 守りたいどこまでも


"汚れない…"とか"いびつな…"とかいう言葉は、ひょっとしたら恋愛にかかっているのかもしれません。

 

前者は、"汚れない獣には 戻れない世界でも"と歌われていますが、これはどこか性的な意味合いも含めているような気もします。つまり、君と性的に交わってしまったことを、"汚れた"と表現しているとも考えられ、逆に言えば、君を知ってしまった今はもう、君なしの世界には戻れない、ということでしょうか。

 

後者の、"いびつな力"も、前者と同様のことを感じます。"いびつ"とは、漢字では"歪"と書きますが、これは"歪んだ(ゆがんだ)"という意味ですから、君(人)を好きになること(恋愛)は、どこか歪んだことであるのかもしれないということなのかもしれません。

 


しかし、いずれにせよ、最後には"守りたいどこまでも"と、しっかりと歌われています。

 

最初は、自分自身がいっぱいっぱいで、最後だと思いつつ探していたわけですからね。そう考えると、君との出会いはとても大きなきっかけになり、主人公が大きく心変わりしたであろうことが読み取れます。

 

これは何となく、【空も飛べるはず】だったり、【ロビンソン】における"誰も触れない 二人だけの国"などにも通じているような気がしますね。

193時限目:夢追い虫

夢追い虫


夢追い虫

夢追い虫

 

■24作目のシングル曲であり、アルバム『色色衣』にも収録されています。個人的ランキング、195曲中6位でした。

 

個人的ランキング全体でもかなりの上位であり、シングルにのみランキングを絞ると、1位の曲になっています。ただ、この個人的ランキングには、アルバム『小さな生き物』以降の曲は反映されていませんので、今現在ランキングをつけ直すのであれば、1位は【僕はきっと旅に出る】に取って代わられると思います、笑。

 

しかしまぁ、僕は【夢追い虫】が、本当に本当に好きなんですよ。ロックなスピッツの曲はたくさんあるけれど、僕にとってこの【夢追い虫】には、”特別なロック”を感じるんです。何ていうか、さわやかだったり、疾走感だったりとは違って、いぶし銀ゴリゴリのしぶくて重たい感じのロックっていうのかな、そこが何か一味違いますよね。それを、”夢追い虫”なんていう、一見かわいらしいタイトルでやってのけるわけですから、面白いですよね。

 


■それでは手始めに、この曲が辿った歴史をまとめておきます。僕も引用させてもらいましたが、詳しくは、『色色衣座談会』などに書いてありますので、参考にしてください。

 

シングル『夢追い虫』が発売になったのは、2001年10月11日のことですが、レコーディング自体は、アルバム『ハヤブサ』が発売になった後、2000年10月頃に、実はもうすでに済んでいたそうです。ミックスダウン(音のバランスをはかって、1曲にまとめて仕上げること)は高山徹さんです。高山さんがスピッツの曲に関わったのは、ここが初めてですかね。しかし、曲のレコーディングは済んだものの、リリースのチャンスは当分なかったそうです。

 

それで、2001年に発売された、ライヴDVD『ジャンボリー・デラックス LIVE CHRONICLE 1991-2000』にボーナストラックとして、『SPITZ JAMBOREE TOUR “放浪2000”』でのライヴ映像を収録しました。この当時は、全くの新曲であったそうです。このライヴ映像は、後にそのままMVにもなりました。

 

この後、映画「プラトニック・セックス」からタイアップの誘いがあり、同映画の主題歌に決まりました。そして、ここでようやく、シングル化するという運びになりました。

 


■その他、いくつか情報を載せておきます。

 

まず、この【夢追い虫】には、【夢追い虫(early version)】という別バージョン…というより、初期バージョンが存在します。

 

この【夢追い虫(early version)】は、シングルコレクション『CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection』 の初回限定盤に付随された、ボーナスディスクに収録されました。
(ちなみに、『CYCLE HIT 1991-1997…』の初回限定盤のボーナスディスクの方には、【空も飛べるはず】のデモ音源である【めざめ】が収録されています。)

 

僕は、シングルコレクションの初回限定盤は持っていないので(BOXは買いましたが、それにはボーナスディスクは付いていない)、手元に【夢追い虫(early version)】の音源はありません。ただ、昔に聴いたことがあるので、その微かな記憶と、ネットの情報により、【夢追い虫】と【夢追い虫(early version)】の違いを紹介しておきます。

 


〇コーラスの違い
夢追い虫】のコーラスは、石田ショーキチさんとクジヒロコさんですが、【夢追い虫(early version)】のコーラスは、真城めぐみさんという別の方だったそうです。

 


〇Cメロの違い
ここはいくつか違っていて、まず、”うれしくて 悲しくて 君と踊る”の後に、【夢追い虫】ではブレイク(演奏の空白部分)が入りますが、【夢追い虫(early version)】にはブレイクが無く、そのまま続いていきます。

 

また、その後の歌詞も違っていて、【夢追い虫】は”上見るな 下見るな”となるところが、【夢追い虫(early version)】では”下見るな 下見るな”になっています。

 

あと、Cメロ全体の、ドラムなどのリズムが違っているみたいです。詳しくは、音源で確認してみてください。

 


〇最後のサビの違い
夢追い虫】は、最後のサビが2回繰り返されます。歌詞としては、

 


ユメで見たあの場所に立つ日まで
僕らは少しずつ進む あくまでも

 

ユメで見たあの場所に立つ日まで
削れて減りながら進む あくまでも
あくまでも

 

となって終わるのですが、【夢追い虫(early version)】では、2回目のサビがなく、1回サビがあって終わります。

 


■それからもうひとつ。

 

この曲は、アウトロがまた特徴的で、何ていうか、早回しにした人の声が歌っているように聴こえます。例えば、キテレツ大百科の「はじめてのチュウ」だったり、”おらはしんじまっただ”という歌詞が特徴的な「帰って来たヨッパライ」などのボーカルに近い感じでしょうか。一聴すると、ちょっと怖い感じもします。

 

普通に聴くと、アウトロは何を歌っているのかは聴き取れないんですが、ここの部分の正体は、実はAメロの逆再生であるのだそうです。

 

そういう事実があるということは知っていましたが、何とそれを検証している動画を、某動画サイトで見つけることができました。アウトロを逆再生した音源を載せてあるのですが、確かにAメロが聴こえるんですよ!こういう小ネタが隠されていたんですね。

 


■長くなりましたが、ようやく【夢追い虫】がどんな曲なのか考えてみます。

 

まず、何と言ってもタイトルですよ。言葉としては”夢追い人”というのがありますよね。意味はそのまま、”夢や目標を追っている人”という感じだと思いますが、それを文字ってかは分かりませんが、タイトルは”夢追い虫”ですよ。”人”と”虫”が違っていますが、同じような意味合いで使っているのでしょうか。

 

…と考えながら、この歌の歌詞を読んだ時に、2つ気になる箇所があるんです。

 


まず、1つ目。この歌の対象になっているのは、1人ではなく、2人(でセット)だということです。歌詞でいうと、

 


笑ったり 泣いたり
あたり前の生活を
二人で過ごせば
羽も生える 最高だね!

 


ユメで見たあの場所に立つ日まで
僕らは少しずつ進む あくまでも

 

”二人”で過ごせば、”僕ら”は少しずつ進む…夢を追っているのは、1人ではなくて2人だということになるんですかね。1人であれば、後者は、”僕”は少しずつ進むになっていてもいいのに、”僕ら”となっています。

 


2つ目。しばしば、このブログでも話すことがあるのですが、草野さんの書く詩の中には、時々”漢字で書けるのにカタカナ”が出てきます。そういう時に、僕が決まって言っているのが、”その言葉を、本来の意味通り使っていないのではないか”ということです。

 

夢追い虫】では…これも不思議ですよね、この曲の一番の主題でもあろう”夢”という言葉、タイトルではしっかり漢字表記になっているにも関わらず、歌詞の中では、一つも漢字表記の”夢”は出てこないのです。

 


ユメで見たあの場所に立つ日まで

 


おかしな ユメですが
リアルなのだ 本気でしょ?

 

という具合です。今までと同じように考えたら、”夢”という言葉を、本来の意味合いで使っていないのではないか、となるのです。

 


■”夢”を本来の意味合いで使っていない…?何だそりゃ?と。色々考えたことを語っても良いんですが、ここは出来るだけ絞りたいと思います。

 

まず、夢というのは、本来どこか”崇高”なものです。その一方で、ユメには、その”崇高”さが含まれていないのではないか、と。要は、そんなに”たいしたものではない”のではないか、というのが基本的な解釈です。

 


しかも、このユメは、二人で追い求めているもの、一人では叶えることはできないもの、ということ。しかも、

 


吐きそうなくらい 落ちそうなくらい
エロに迷い込んでゆく
おかしな ユメですが
リアルなのだ 本気でしょ?

 

という風に、”エロ”に迷い込んだ先に、ユメがあると歌っています。

 


例えば、一番単純な解釈は、ユメ=”二人でいつかエッチをすること”でしょうか、笑。しかし、Cメロでは、”うれしくて 悲しくて 君と踊る”とありますが、ひょっとしたら、ここがSEXの描写なのかな、とか考えたりもします。

 

とすると、ユメはその先にあるものと考えると、もっと広い意味で、2人で過ごせる生活(”性”活か?笑)のことを指しているのかもしれません。

 


■そして、最終的にそれが”虫”であると。

 

これはおそらく、”エロ”を追い求めること自体は、人間誰しもに備わった、一番基本的な欲望の一つなのだということを表しているのだと思います。暗闇の中、電灯に群がる虫のように、同じようにエロいことばっかり考えて、同じようにその欲望に集まる人間の様子は、まさに虫のようだと、そういうことですかね、笑。

 

それは、くだらなくも、まさしく、人間の根源を表しているもの…草野さんの詩のテーマ”死とセックス”の一端を表しているのでしょう。

 

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