スピッツ大学

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アルバム講義:11th Album『スーベニア』

スーベニア

11th Album『スーベニア』
発売日:2005年1月12日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. 春の歌
→ 141時限目:春の歌 - スピッツ大学

 

02. ありふれた人生
→ 10時限目:ありふれた人生 - スピッツ大学

 

03. 甘ったれクリーチャー
→ 9時限目:甘ったれクリーチャー - スピッツ大学

 

04. 優しくなりたいな
→ 187時限目:優しくなりたいな - スピッツ大学

 

05. ナンプラー日和
→ 122時限目:ナンプラー日和 - スピッツ大学

 

06. 正夢
→ 167時限目:正夢 - スピッツ大学

 

07. ほのほ
→ 160時限目:ほのほ - スピッツ大学

 

08. ワタリ
→ 208時限目:ワタリ - スピッツ大学

 

09. 恋のはじまり
→ 50時限目:恋のはじまり - スピッツ大学

 

10. 自転車
→ 70時限目:自転車 - スピッツ大学

 

11. テイタム・オニール
→ 97時限目:テイタム・オニール - スピッツ大学

 

12. 会いに行くよ
→ 1時限目:会いに行くよ - スピッツ大学

 

13. みそか
→ 180時限目:みそか - スピッツ大学

 


■通称「マイアミ・ショック」から、すっかり時間も経過して、ロックバンドとして生まれ変わったスピッツが、個人的に”板につきはじめた”、”ちょうどよくなってきた”などと感じたのが、今回のアルバム『スーベニア』辺りだったかなと記憶しています。

 

荒々しさで半ば押し切った部分もあった『ハヤブサ』から始まり、再度音楽をする意味を考えさせられた(であろう)『三日月ロック』で荒々しかった部分を少しずつ研磨していき、それらを経ての『スーベニア』は、色んな書籍やインタビューで語られていることによると、メロディーや言葉を、よりシンプルに伝えるように作られた作品のようです。

 


■アルバム『三日月ロック』では、プロデューサーとして新たに、亀田誠治さんを起用しましたが、引き続きアルバム『スーベニア』でも、亀田さんがプロデュースを務めました。

 

それに加えて、今回の作品では、レコーディング・エンジニアを、高山徹さんという方が務めました。高山さんが、初めてスピッツの作品に携わったのは、シングル曲の【夢追い虫】だったそうですが、その時の印象が強烈に残っていたようで、それから兼ねてより、スピッツメンバーは、高山さんと一緒に作品を作ることを望んでいたようです。

 

高山徹さんと言えば…というより、スピッツをプロデュースするまで知らなかったのですが、調べてみると、この人もまた、僕でも知っているような有名なアーティストをたくさん手掛けていることが分かりました。書籍の中で、スピッツメンバーが、高山さんを”日本一の”エンジニアと評していましたが、そう言われるのもうなづけます。

 

高山徹さん(とスピッツの関係について)の話は、下記の動画でたっぷり見ることが出来ます。時期としては、アルバム『とげまる』辺りですが、アルバム『スーベニア』についても少し話をしています。

 

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中でも、草野さんのボーカルについての、倍音構成云々の話は、専門的なお話でしたが、とても面白かったです。

 

これを聞くと、草野さんと対極に居るボーカルの一人として、どうやらBUMP OF CHICKEN藤原基央さんが挙げられるかなと、個人的には思いました。草野さんは、レストランなどの雑踏で抜けにくい声の持ち主で、藤原さんは逆に、メンバーの誰が呼んでも店員が来ない中、一声で店員を呼ぶことができたというエピソードを聞いたことがあります。

 


ということで、プロデューサー亀田誠治さん×レコ―デングエンジニア高山徹さんという、いわゆる”黄金コンビ”が、アルバム『スーベニア』で誕生しました。ちなみに、この2人のコンビは、現時点(2018年)での最新アルバム『醒めない』まで、ずっと引き継がれています。

 


■では、アルバム『スーベニア』がどういう作品だったか、考えてみます。エキサイト・ミュージックのサイトに、アルバム『スーベニア』についてのインタビューがあって、それも参考にさせていただきました。色んなことが書いてあって面白いです。

Excite エキサイト : ミュージック (音楽) インタビュー・スピッツ

 

まず、先述したとおり『スーベニア』は、メロディーや言葉をよりシンプルに伝えるように作られた作品だったようです。何でも、ツアー(おそらくゴースカ?)で弾き語りのコーナーをしたことをきっかけに、ストレートなメロディーや言葉を重視したようです。

 

そう言われると、歌詞が分かりやすいかなと思ったりします。あと、全体的に前向きな歌詞が多いです。暗いなって感じる曲は無いですよね。

 

特に、恋愛系の曲は、ストレートで前向きに感じます。と言って、何がありますかね…【ありふれた人生】、【優しくなりたいな】、【正夢】、【恋のはじまり】辺りでしょうか。もうタイトルから、イメージがしやすいですよね。

 


■その一方で、このアルバムを形容する言葉として、”旅”を意識したアルバムということも、先述のインタビューの中で語られています。

 


(タイトルの”スーベニア”という言葉の意味について)
草野さん:これは“お土産”っていう意味なんですけど、13曲並べてツルッと聴いた時に“旅”を思わせるような言葉とかがあったりしたのと、沖縄風やジャマイカ風の曲があったところからつけました。いろんなところを旅してるようなアレンジあり、ということで、旅を思わせるようないい言葉がないかなって思いまして。

 

沖縄風の曲と言えば、【ナンプラー日和】でしょうか。なんつータイトルなんだろうって思いますけどね笑。 三線の音や琉球音階を使ったりして、沖縄風になっているんですが、それでもスピッツになるのはさすがです。

 

ジャマイカ風と言えば、【自転車】ですかね。民族楽器のようなパーカッションの音は、崎山さんが実際に叩いている音だそうです。

 

他にも、【会いに行くよ】がハワイアン風(?)でゆるい感じだったり、【甘ったれクリーチャー】が四つ打ちのリズムでディスコ調だったりします。1曲1曲の雰囲気が、本当にコロコロ変わるので、草野さんの説明にあったように、アルバム一枚で色んな場所を旅しているような気分になります。

 

なので、シンプルに…ストレートに…とは言うものの、結局は色々と凝ったことをしているんですよね。

 


■アルバム『三日月ロック』と同様に、アルバム『スーベニア』にも表題曲がありません。つまり、”スーベニア”という曲が存在しないのです。

 

そして、これもアルバム『三日月ロック』の時に語りましたが、表題曲がないということは、気分によってどの曲も自分なりに表題曲(のよう)に添えることができて、色んな気分でアルバムを聴くことができると思います。

 

さらに、『スーベニア』には、シングル曲が1曲しかないんですよね。【春の歌】は、後にシングルカットされたものなので、アルバム発売時ではシングル曲ではなく、具体的にはシングル曲は【正夢】だけでした。

 

だから、初めて聴いた時は、知らない曲(新曲)がこれでもかと続いていくので、たくさんの新曲が聴ける、お得感が満載のアルバムという印象でした。

 


■ここまででも(アルバム紹介の記事にて)、スピッツのオリジナルアルバムもたくさん紹介してきたんですが、その時その時の気分によって変わりつつも、個人的には、このアルバム『スーベニア』が一番好きなアルバムだったりします。

 

個人的に、アルバムで印象に残っているのは、【ほのほ】、【ワタリ】、【テイタム・オニール】、【みそか】の、超ド級のロックナンバー達ですかね。これらの迫力は、どれを取ってもすさまじいものがあります。紛れもなく、スピッツがロックバンドであることを示している曲たちです。

 

さらに、この中でも特に好きなのが、【ほのほ】と【ワタリ】の、ドラマチックロックナンバーコンビ(って何だろう?笑)ですね。両曲とも、これまでの荒々しかったロックに留まらず、長い長い物語や冒険の1ページを切り取ったような、壮大でドラマチックな世界観を感じます。

 

この時点で、もう20年近くやってきたスピッツですから、こういうところには年季を感じます。このアルバムには入っていませんが、【夢追い虫】とかもそうですが、重厚さや渋さを感じるようになってきました。

 

ちなみに【ほのほ】については、元々アルバムのタイトルは「炎」とする予定だったそうなので、それとも関連があるのでしょうか。

 


それから、【会いに行くよ】なんかも名曲ですよね。これは、打って変わって、ゆったりとしたハワイアン調のように感じる曲ですが、何でも最初は、弾き語りで演奏されたそうです。色んなストーリーが想像できる曲なんですが、個人的には、悲しいかな、この歌には”墓参り”を当てはめましたが、果たして。大好きな曲です。

 

もちろん、シングル曲の【春の歌】も【正夢】も名曲ですが、やっぱりロックな曲のインパクトが残っていて、全体的にもロックなアルバムという印象が強いです。

 

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アルバム講義:Special Album『色色衣』

色色衣

Special Album『色色衣』
発売日:2004年3月17日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. スターゲイザー
→ 76時限目:スターゲイザー - スピッツ大学

 

02. ハイファイ・ローファイ(NEW MIX)
→ 129時限目:ハイファイ・ローファイ - スピッツ大学

 

03. 稲穂(NEW MIX)
→ 14時限目:稲穂 - スピッツ大学

 

04. 魚
→ 55時限目:魚 - スピッツ大学

 

05. ムーンライト
→ 184時限目:ムーンライト - スピッツ大学

 

06. メモリー
→ 185時限目:メモリーズ - スピッツ大学

 

07. 青春生き残りゲーム(NEW MIX)
→ 80時限目:青春生き残りゲーム - スピッツ大学

 

08. SUGINAMI MELODY
→ 74時限目:SUGINAMI MELODY - スピッツ大学

 

09. 船乗り
→ 152時限目:船乗り - スピッツ大学

 

10. 春夏ロケット
→ 140時限目:春夏ロケット - スピッツ大学

 

11. 孫悟空
→ 83時限目:孫悟空 - スピッツ大学

 

12. 大宮サンセット
→ 30時限目:大宮サンセット - スピッツ大学

 

13. 夢追い虫
→ 193時限目:夢追い虫 - スピッツ大学

 

14.僕はジェット(Previously Unreleased Track)
→ 165時限目:僕はジェット - スピッツ大学

 


■アルバム『色色衣』(”いろいろごろも”と読む)は、時期としては、10枚目のオリジナルアルバム『三日月ロック』と、11枚目のオリジナルアルバム『スーベニア』の、その間で発表されたアルバムです。

 

1999年に、スピッツは『花鳥風月』というアルバムを発表しましたが、『花鳥風月』は”スペシャルアルバム”と呼ばれ、カップリング曲や未発表曲などを中心に収録された、いわゆる特別なアルバムとして、オリジナルアルバムとは一線を画した作品になりました。

 

そして、今回の『色色衣』についても、この『花鳥風月』と同様で、カップリング曲と未発表曲が主に収録されており、第二作目のスペシャルアルバムになっています。

 


ちなみに、僕も持っている、このアルバムの初回限定盤には、”スピッツ色色衣リリース記念特別座談会”なる冊子が同封されています。(ちなみに、『花鳥風月』にも、「特別対談」とよばれる解説書が同封されたそうですが、『花鳥風月』は僕は持っていないので…)

 

内容は、スピッツメンバーと、スピッツのデビューからのマネージャーである坂口優治さん、スピッツのディレクターの竹内修さんが、収録曲やスピッツの歴史について語っています。かなりボリューミーで、面白い内容になっています。ここスピッツ大学で記事を書くのに、この”座談会”の冊子からたくさん情報を引用させていただきました。

 


■ということで、『色色衣』について紹介したいのですが、まずは、『99ep』という作品の話をしましょう。

 

一応は、『99ep』は”アルバム”という位置づけの作品なので、別記事で単独で紹介するべきかもしれませんが、収録曲が『色色衣』に全て含まれているので、ここで紹介させていただきます。

 


99ep』とは、1999年1月1日に発表になった、スピッツのEPです。EPというのは、いわゆるミニアルバムが5、6曲入りで、EPがそれよりも短い作品みたいな感じですかね。

 

99ep』の収録曲は、曲順に、【ハイファイ・ローファイ】【魚】【青春生き残りゲーム】の3曲です。時期としては、アルバム『フェイクファー』のツアーのすぐ後に、リリースを前提とせずに、ライヴ後の勢いそのまま、レコーディングされた3曲だそうです。3曲とも、セルフプロデュース曲(特定のプロデューサーは置かず、自分たちだけで進めていった作品)になっています。

 

ちなみに、1998年の『フェイクファー』のツアーより、今やスピッツには欠かせないメンバー、キーボードのクージーことクジヒロコさんが加わります。そして、そこからそのまま、このEPのレコーディングに参加しています。クージーが、スピッツ作品のレコーディングに参加するのは、ここが初めてのことのようです。

 


竹内さん:…この時は、特にリリースの予定を決めずに、新曲が出来たからクジさんを含めたツアー・メンバーで曲を固めてみよう、ということだったと記憶してるけど。
田村さん:『フェイクファー』のツアーが終わって、この勢いのままレコーディングに突入したら、いいのが録れるかもっていう思いがあって、この3曲にそれを閉じ込めたかった。ライヴ感とか。
草野さん:あと、クージーと1ツアー回ったことで、(彼女の)プロデューサー的な側面というか、いろいろ相談できるってことが分かって、5人で作ったんだな。

 

と、”座談会”の中でこのように語っています。

 


■しかしながら、草野さんは『99ep』を「中途半端な作品」と語っており、おそらくそういう理由から、後にスペシャルアルバム『色色衣』に全曲を録して、『99ep』は製造中止になりました。

 

ということで、『99ep』は、現在はわりとレア作品になっています。何回か中古で売っているのを見たことがありますが…僕は、現物を持っていないですね。レンタルして録音したものはMDとして残っているのですが。

 


ただ、『99ep』曲は、どれも名曲ですよね。3曲とも、僕は本当に大好きなんですが、特に【魚】が好きです。最初は、確かラジオで聴いたと記憶しているんですけど、その時にすでに、きれいな曲だなって思いました。確かに、そんなに目立ちはしないんですけどね、【魚】に関しては、ファンの中でもかなり人気のある曲だというイメージです。ここスピッツ大学のランキングの中でも、第17位にランクインしました。

 

先述したように、クージーのキーボードが、特に【魚】では良い雰囲気・世界観を作り出しています。

 

僕は、【魚】の解釈として、”魚”=”都会を泳ぐように、器用に生きる人たち”を表しているとして、この歌からは、「そんな魚になりきれない(おそらく)男女が、都会の隅っこでつつましく生きている様子」を読み取りました。そんな”都会”という、どこか冷たくて無機質な響き、そして、そこで生きている男女の抱える不安な気持ちなどを、ちょっと物寂しげなクージーの鍵盤の音がうまく表現していると思います。素晴らしい1曲です。

 


■上記の『99ep』曲以外の収録曲について、紹介していきます。

 

まず、シングル曲では、22th『メモリーズ』、24th『夢追い虫』、28th『スターゲイザー』が収録されています。

 

シングルの発売時期がバラバラになっている理由は、まぁ【スターゲイザー】は新曲ですが、【メモリーズ】と【夢追い虫】は、それぞれ直近のアルバムの『ハヤブサ』と『三日月ロック』には合わないと見送られた曲だったため、『色色衣』に初収録されました。

 


カップリング曲で収録されている曲は以下の通り。

 

【ムーンライト】(c/w 21stシングル『ホタル』)
【春夏ロケット】(c/w 21thシングル『ホタル』)
【船乗り】(c/w 23rdシングル『遥か』)
【大宮サンセット】(c/w 24thシングル『夢追い虫』)
【稲穂】(c/w 25thシングル『さわって・変わって』)
【SUGINAMI MELODY】(c/w 26thシングル『ハネモノ』)
孫悟空】(c/w 27thシングル『水色の街』)

 

何ていうか、改めてこう見ると、A面が静かな曲ならカップリングはロック寄り、逆に、A面がロックな曲ならカップリングは静かな曲になりがちなんですかね。前者だと「ホタル / 春夏ロケット(ムーンライト)」「遥か / 船乗り」「水色の街 / 孫悟空」、後者だと「夢追い虫 / 大宮サンセット」「ハネモノ / SUGINAMI MELODY」辺りですかね。

 


それから、最後に収録されている【僕はジェット】という曲は、1989年に発表されたカセットテープ『ハッピー・デイ』に収録されている(おそらく曲が誕生したのは、もっと前)とても歴史の古い曲です。

 

今回は、未発表曲はこの1曲のみですので、アルバム『花鳥風月』より、カップリング集の様相が強いです。

 


■『色色衣』に収録されている曲は、2000年~2004年にレコーディング・発表された曲たちで(中には、それ以前にもうすでにレコーディングされた曲もありますが)、実に4年に渡っています。

 

しかも、その頃のスピッツといえば、自分たちに合うエンジニアを探したり、その結果アメリカに渡り、レコーディングやミックスを試して自分たちの音を探し、その最中にマイアミショックが起こってしまいましたが、それもきっかけとして、ロックバンドとして新たに目覚めたりと、スピッツが変わっていった時期でした。

 

そういう、色んな意味で濃厚な時期にあったスピッツの、それも一番おいしいところが詰まっている作品が、実はこの『色色衣』だったりするのです。”座談会”の中でも、

 


田村さん:…今回は1曲1曲スピッツの中で実験したり冒険したりした色が強い。全曲、アルバムを作り終えて「次に何をしようか」というタイミングの曲たち。一番だしの濃いところが詰まってる。

 

と、このように田村さんは語っています。どこかのインタビューで、スピッツメンバーが、「カップリングは色々と試すことができる場所」という風に語っていましたが、まさに『色色衣』は、普段のシングル曲やオリジナルアルバムなどでは聴くことができない、スピッツの”面白い曲”が楽しめるアルバムになっています。

 


■ちなみに、アルバムタイトルの”色色衣”という言葉についてですが、「つぎはぎの服」という意味であるそうです。

 

「色衣(しきえ)」という、これ単独だと、高位のお坊さんが着る衣装の意味になるそうですが、かっこいい意味だけじゃないほうがいいということで、「色色」という言葉が、様々な、などの意味があるので、まぁそれらを組み合わせるという意味でも、「色色衣(いろいろごろも)」と名付けられたようです。

 

”座談会”の中で草野さんは、”ごった煮”という表現をなさっていましたが、まさに「色色」という言葉が、そういう”ごった煮”のごとく、ごちゃごちゃではあるけれど、しっかりと煮込んだスピッツの一番おいしいところが詰まっている、というアルバムの意味を表しているようですね。

 

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222時限目:ハチの針

【ハチの針】

 

ハチの針

ハチの針

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■アルバム『醒めない』の8曲目に収録されている曲です。

 

アルバムの中だったら、個人的には【ハチの針】と【コメット】が一番好きです。【コメット】は、発売前から割と聴けたので(ドラマの主題歌だったので)知っていたんですけど、【ハチの針】はアルバムが初聴で、最初に一通り聴いて、すぐに好きになった曲でした。

 

尖っていて、エッジの効いたロックな曲ではあるんですが、タイトルや歌詞などからは、かわいらしいイメージを受け取ります。ラップ調のCメロも特徴的です。

 


■この曲のLIVE映像は、映像作品『SPITZ JAMBOREE TOUR 2016 “醒 め な い”』で見ることができるのですが、”ブートレグ映像”という変わった形態のLIVE映像が収録されています。

 

ブートレグ / bootleg”とは、本来は”海賊版”という意味ですが、いわゆる、著作権などを無視して、製造・流通された作品という、まぁ良くないものですよね。しかし、このLIVE映像に限っては、”それ風”に映像と音質を加工してあります。何ていうか、LIVEの様子が盗撮されたような粗悪な画質・音質の映像が、わざと収録されているのです。面白いんですが…うーん、普通のも見たかった!

 

ちなみに、映像作品『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR "THIRTY30FIFTY50"』に付属のCDには、【ハチの針】のライヴ”音源”が収録されています。どうか、普通のライヴ映像も見せていただきたいです!僕が参加した、広島(1日目)の”3050LIVE”では、残念ながら【ハチの針】はしなかったんですよね。

 


■さて、この曲の解釈について、書いてみます。

 

この曲は…個人的には、最初に聴いた時から、思っていた解釈がありました。ずばり言うとこの歌は、”歓楽街に迷い込み、夜のお店に誘われて、初入店!”という解釈です!つまり、「もにゃもにゃ、大人になる!の巻」ですね笑。

 


まず、出だしのAメロから。

 


耳塞ぐ手を離して聞いた 魔女の予言
怖がるほどの地獄ではなく
分かれ道 松明もってより暗い方へ
子供の顔で鈴の音を待つ

 

どうでしょうか、”魔女”とか”地獄”とか”松明”とか、何となくRPGの冒険のようなものを思わせますが、何か現実のものを比喩していると考えるとすると…

 

”魔女”といえば、そのまま魔性の女ということで、夜の店で働く女性(あるいは勧誘係)、「何か怖いなぁ…”地獄”にでも連れてかれるんじゃないか?(多分、初めてなのでビビっている?)」とか思いながらも魔女にしたがって、ちょっと暗い路地、そして店内へ足を踏み込んでいく…という流れでしょうか。

 

”子供の顔で鈴の音を待つ”も、そういう店に来たのが初めてなのか、それとも緊張しているのか、そういうところだと思います。ドキドキしながら、自分が呼ばれるのを待ってるんでしょうね。

 


2番のAメロも、歌詞が変わってますが、おんなじようなことを思います。

 


賢そうな物腰で 話しかける亡霊
バカにもわかるように導かれる
でもすでに気づいちゃったんだ 甘い声の向こうで
ウラハラな汚れてる LOL

 

”話かける亡霊”は、歓楽街で誘ってくる兄ちゃん(姉ちゃん)で、それに誘われて導かれていくって、先程と同じ感じですね。

 

最後の”LOL”(laughing out loudの略)は、海外の人が笑い声を表す時に使う、ネット用語です。日本では、(笑)とかwwwとかを使いますが、それの英語圏バージョンですかね。”甘い声の向こう~汚れてるLOL”ということで、”甘い声”は女性の声で、”汚れてるLOL”は男性の声でしょうか。それか、”甘い声”でお金を搾取して、儲けて笑いが止まらない的な、そういう店側の人の笑い声かもしれません。

 


■そして、サビは、そういう店のサービス中というところでしょうか。

 


凄いよ 泳げるの?ハニー 滅びてなかったゲンゴロウ
バラバラがまとまる 反抗の風

 

二行目は不明ですが、一行目…それはもう、すっごいプレイだったんでしょうか?笑 ”ゲンゴロウ”って、あの丸っこい水生の昆虫ですよね(画像を見るのもちょっと苦手なんですが、あれにちょっと似ていて)。水の中を泳ぐ姿を、そのまま女性に当てはめてみると、何やらイヤーンな感じが…。 

 


あとは、”ハチの針”という言葉が出てくる部分として、

 


そんなのもうバレバレ キザに 狂った今を生きていこう
ハチの針だけ隠し持って イキがれ

 

こういう感じになっています。とすると、”ハチの針”は、男性器だったり、そうでなくても、男性が心に抱いている悶々とした気持ち・性欲などを比喩した言葉だと考えられるかもしれません。最後が、”イキ”がれってなってるところとかも、何だか、い・み・し・ん。

 


■という感じで、個人的には、スピッツお得意の大人な歌という解釈でしたね。

 

これと【ガラクタ】あたりが(あと【SJ】も解釈によっては)、アルバムの中では”イヤーンソング”担当という感じでしょうか、笑

 

でも、僕が変な解釈をしてるだけで、素直に聴いてみてください。何度も言うように、本当にかっこいい曲なんですよ!

 

雑誌MUSICAのインタビュー記事を少し紹介させていただくと、このように語っておられました。

 


インタビュアー「一番最後に録ったものって、ロックバンド然としたものが多いですよね。”ハチの針”は、ブリッドポップとかKula Shakerとか…」
草野さん「うん、これはKula Shakerですよ(笑)。こういう曲、今までもなくはないんですけど、確かに3曲ともロックな感じですね」

(ちなみに、ここでいう3曲は、アルバムの中で最後に録られた、【醒めない】と【ナサケモノ】と【ハチの針】を指しています。)

 

Kula Shakerクーラ・シェイカー)は、イギリスのロックバンドなんですが、個人的にはクーラ・シェイカーは聴いてなくて、同じボーカリスト(超イケメン!)のThe Jeevasザ・ジーヴァズ)の方をよく聴いていました。少ししか作品は持っていませんでしたが、【Once Upon a Time in America】という曲は、狂ったように好きでした。

221時限目:SJ

【SJ】

 

SJ

SJ

  • provided courtesy of iTunes

 

■アルバム『醒めない』の7曲目に収録されている曲です。

 

明るい曲が多く収録されているアルバムの中でも、暗いわけではないですが、どっしりとした重い曲です。

 


■何よりもまず気になるのが、この謎のタイトル”SJ”の意味ですよね。

 

ネットなどで情報を探してみたところ、ある時ラジオで草野さんが、この”SJ”という言葉について、「仮タイトルだったんですけど、意味は教えたくない、がっかりされると思うんで…」という風に語ったそうです。

 

その言葉通り、”SJ”という言葉の意味を、草野さんが語ったことは、どうやらなさそうです、笑。なので、探しても、ビタッとこれだという意味を見つけることはできませんでした。

 

ということで、想像してみるしかなさそうですが、とりあえず最後に置いておくとして、ヒントを探すべく、歌詞を読んでいきたいと思います。

 


■まず、出だしの歌詞(サビ)がこんな感じです。

 


夢のかけらは もう拾わない 君と見よう ザラついた未来
正しいと信じた 歩みが全て 罪なこと 汚れたことだとしても

 

”夢のかけらは もう拾わない”、その代わりに、”君と見よう ザラついた未来”という表現。ここでは、”夢のかけら”と”ザラついた未来”が対比されています。つまり、”夢のかけら”を諦めることと引き換えに、”ザラついた未来”を得るという流れになっています。

 


”夢のかけら”からは、明るくて前向きなイメージを受け取ります。”夢”という言葉は、本来前向きなものだと思うので、前向きに、何か目標を持って生きているという生活が思い浮かびます。

 

そういう、ある種の健全な生活を捨て去って、その代わりに、”ザラついた未来”へと進もうとしているということになると思います。

 


■ところで、草野さんが書く詞には、時々”ザラつく”とか”ザラザラ”とかっていう表現が出てきます。思いつく限り、紹介してみます…というより、あんまり無かったですかね!?

 

(プチクイズ!何の歌詞か分かるでしょうか?)

 


ハニー 君をジャマしたい
ごめんなさい 遅かれ早かれ
すべて解るはず 正直な ざらざらの世界へ

 


心をひとつにし ザラつく星に触れ
果ての果てを目ざせ

 


隠し事のすべてに声を与えたら
ざらついた優しさに気づくはずだよ

 

何か歌詞の中に、この類の言葉はいつも浮いていて、印象に残ってるんです。どういう意味で使ってるんでしょうか。

 


個人的には、2つの意味を受けとりました。

 

①まっさらな、素直な、という意味
これは、一つ目、三つ目の歌詞に、それぞれ当てはまりそうです。一つ目には”正直な”、三つ目には”隠し事~声を与えたら”という形容がくっついていて、そこからの表現になっているところから推測しました。

 

②予想できない、ちょっと道を外れたという意味
これは、二つ目の歌詞、そして、今回の【SJ】にも当てはまるのではないかと思います。つまり、今までの生活を捨てる→道を外れて予想もつかない生活へ、という流れになりますかね。 

 

(おまけとして、ひょっとしたら、③Gスポット、つまり女性器の比喩もあるか?Gスポットは、ザラザラと表現されることがあって…)

 


■他にも、

 


当たり前に近く さわれた法則も
迷わずに帰るための 小さな道標も
今宵の暖炉にくべて

 

というCメロのフレーズからも、同じような意味を受けとりました。”小さな道標も 今宵の暖炉にくべて”=退路を断ち、今までの生活を離れて、そこにはもう帰らない(帰れない)ことに対する、決意みたいなものを受け取ります。良い意味ではないかもしれないけれど、ここの歌詞は独特でかっこよくて好きです。

 


それから、

 


蔑みの表通りで 笑顔のコツを覚えたよ
フワフワに癒される リアルな妄想に囚われて

 

この辺りは、性的な意味を感じます。”フワフワに癒される リアルな妄想”というところで、”フワフワ”が、何となく女性の体を連想させますので、そういう性的でイヤーンな妄想に囚われている、と考えられます。

 


■ということで、歌詞の解釈をまとめてみると、おそらく主人公は男だと思われますが、男は今までの自分の生活を捨て去って、予想だに出来ない、今までとは違う未来へと向かおうとしている、ということだと思います。

 

そして、そういう未来には、”君”がセットになっており、他に、”罪なこと”や”汚れたこと”などという表現もくっついているので、必然的に、”君との逃避行(かけおち)”的な物語を想像しました。

 

この男には、今まで守ってきた生活があったのでしょう。人並みに夢を持ち、それを目標に生きている、ひょっとしたら結婚をしており、家庭を持っていたのかもしれません。だとすると、”君”との逃避行とは、不倫の果てに、家庭をも捨て去って離れていく結果だと考えられるかもしれません。

 


もしくは、最初から全部”男の妄想”だったとしたら…とも考えてみました。先程紹介した歌詞の中にも、”リアルな妄想に囚われて”という表現もありましたが、この歌の物語が、全部一人で完結していたら、と考えてみます。

 

そうなると、この歌詞に出てくる君は全て妄想であり、つまりはもう男の側には居ないと…ただ恋人関係を解消して別れただけなのか、あるいは、死別してしまったのか、など。それでも、いつまでも男は君の妄想に囚われていて、その妄想とともに生きる(あるいは死ぬ)決意をしたと、そういうことになりますかね。

 


まぁ、いずれにしても、あんまり良いイメージには解釈できそうにありませんね。何となく、前者の解釈の方が、個人的にはしっくりきました。

 


■さて。じゃあ、”SJ”という言葉の意味ですよ。

 

先述の通り、草野さんが語った経緯がどこにもないので、これは聴き手があれこれ想像するしかなさそうです。

 

僕が思ったのは、英単語を2つ並べて、”SJ”と略しているのではないか、ということでした。つまり、Sで始まる英単語と、Jで始まる英単語が続いている、2文節の英語ということになります。それで、ひょっとしたら、歌詞のどこかに英語に訳すとそういう部分があるのではないか、と思ったんです。しかし、見つけることはできませんでした…。

 

やはり、この歌に合うように、歌詞の言葉に囚われず、”SJ”を見つけるしかなさそうです。

 


ということで、僕も色々と考えてみました。

 

この歌の主題が何だったのかというと、個人的には、”男女の駆け落ち”、”不倫の末の逃避行”などを当てはめました。ということで、例えば”J”には、旅行、旅を意味する”Journey”という単語を当てはめてみました。

 

あとは、”S”ですが、どうしても”Sentimental”をくっつけて、”Sentimental Journey”(センチメンタルジャーニー)としたくなります、笑。ちなみに、意味は、傷心旅行、つまり、失恋によって負った心の傷みを癒す旅、という感じですかね。先程紹介した後者の解釈には、当てはまりそうですね。

 

他には、逃避行の果てに”死”が待っているのだとしたら、”Suicide Journey”で自殺(心中)に至る旅、エロの方に解釈を持っていこうとすると、”Sexual Journy”とか…。

 

ちなみに、”SJ”で、処女という意味もあるらしいですね。草野さんが、「がっかりされる…」と発言したのには、これも合いそうな気がしますがどうでしょうか。

 

…多分、全部違うんでしょうね、笑。まぁ、妄想するのが楽しいですから、あなたなりの”SJ”を当てはめて聴いてみてください。

アルバム講義:10th Album『三日月ロック』

三日月ロック

10th Album『三日月ロック』
発売日:2002年9月11日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. 夜を駆ける
→ 195時限目:夜を駆ける - スピッツ大学

 

02. 水色の街
→ 179時限目:水色の街 - スピッツ大学

 

03. さわって・変わって
→ 60時限目:さわって・変わって - スピッツ大学

 

04. ミカンズのテーマ
→ 178時限目:ミカンズのテーマ - スピッツ大学

 

05. ババロア
→ 143時限目:ババロア - スピッツ大学

 

06. ローテク・ロマンティカ
→ 204時限目:ローテク・ロマンティカ - スピッツ大学

 

07. ハネモノ
→ 136時限目:ハネモノ - スピッツ大学

 

08. 海を見に行こう
→ 22時限目:海を見に行こう - スピッツ大学

 

09. エスカルゴ
→ 25時限目:エスカルゴ - スピッツ大学

 

10. 遥か(album mix)
→ 139時限目:遥か - スピッツ大学

 

11. ガーベラ
→ 37時限目:ガーベラ - スピッツ大学

 

12. 旅の途中
→ 86時限目:旅の途中 - スピッツ大学

 

13. けもの道
→ 47時限目:けもの道 - スピッツ大学

 


■ここでも何度も語ってきましたが、”マイアミ・ショック”により、スピッツは一度”死”を迎え、そこからもう一度、純粋な”ロックバンド”として”再生”を果たしました。

 

個人的な分け方になりますが、マイアミ・ショックを境にして、スピッツの活動時期は、第三期に入ったと考えています。個人的に、第二期を「スピッツ黄金期」という風に紹介しましたが、第三期は「スピッツの死と再生」という感じでしょうか。

 

そして、今回紹介するアルバムは、記念すべき10枚目のオリジナルアルバム『三日月ロック』です。第三期を迎えてからだと、まだ間もない、第二作目の作品ということになります。

 


■前作の『ハヤブサ』のプロデューサーは、石田ショーキチさんという方が務めました。同世代のプロデューサーにお願いしたい、ということで、スピッツメンバーと年齢が近い石田さんに白羽の矢が立ったんだそうです。

 

石田さんとメンバーの年齢が近かったことや、共通している音楽がヘビィロックやメタルだということも、『ハヤブサ』がロックでパワフルな作品に仕上がったということに関係したのかもしれません。

 


そして、続く今作の『三日月ロック』のプロデューサーには、新しい人とやってみたいということで、亀田誠治さんが起用されます。

 

亀田誠治さんと言えば、もう言わずもがなですが、日本を代表する音楽プロデューサーの方ですよね。少し調べただけでも、本当にたくさんの錚々たるアーティストのプロデュースを手掛けてきたことが分かります。スピッツはもちろん、自分が好きなアーティストも、あれもこれも…という風に、たくさん見つけることができます。

 

元々、亀田さんはベーシストの方なんですよね。ライヴサポートのメンバーとしても活動されているようですし(今はそんなにないのかな?)、椎名林檎が中心となって結成された東京事変というバンドでは、がっつりとレギュラーメンバーとして活動されていました。Bank Bandとかにも参加しているんですね。

 

ちなみに、亀田さん主催の「亀の恩返し」というライヴイベントがあるのですが、それにはスピッツも参加していました。それが、たまたまWOWOWでやっていたので、録画したのを今でも時々見ています。

 


■亀田さんが、一番最初に手がけたスピッツ作品が、シングル『さわって・変わって』の、【さわって・かわって】とカップリングの【ガーベラ】の2曲だったようです。まぁ、その流れから、アルバムのプロデュースということになったのだと思います。

 

亀田さんとのお話も、書籍「旅の途中」にたくさん載っていますので、詳しくはそちらを参照してみてください。

 

ちょっと紹介してみると、亀田さんは草野さんに対して、一つだけ要望をしたんだそうです。その要望とは、「リハーサルまでに歌詞を出来るだけ書き切ってくる」ということでした。これまで、歌入れの時まで歌詞が出来ていないということもしばしばあったようなのですが、それからは歌詞を書き切ってくるようになったようです。

 


■さて。

 

アルバム『三日月ロック』の発売日は、2002年9月11日となっていますが、これは奇しくも、「アメリ同時多発テロ」のちょうど一年後になります。意図的にそうなったわけではないようですが、草野さん自身、アルバムは911テロの影響を受けたと語っているところから、何か因縁のようなものを感じます。

 

この辺りのことも、書籍「旅の途中」の方に、たくさん書かれています。

 


911テロが起こった翌日、スピッツは『ハヤブサ』のツアーでライヴをしたんだそうです。そこで、草野さんの心の中に、「自分が歌う意味」に対しての疑問が渦巻いていたようです。

 


 いままでずっと、自分にとってそうであったように、誰にとっても音楽は必要不可欠なものなんだろうと漠然と思ってきた。
 でも、同時多発テロや戦争のような圧倒的な暴力の前では、音楽はあまりにも無力だ。しょせん、音楽は余剰なもの、贅沢品ではないのか。自分にとっても、ほかの誰かにとっても、生きていく上で本当に必要なものではないのではないか?

 

書籍の中で、こんな風に草野さんは語っています。アルバム『ハチミツ』の時も、阪神淡路大震災地下鉄サリン事件などに影響を受けたようですし、これはまた後に語ることになりますが、東日本大震災の時もそうですよね。

 

特に、草野さんという人は、感受性の強い音楽家なのだと思います。こういう大きな出来事に際する度に、どこか過剰に反応してしまって、苦しんだり悩んだりしてきたのでしょう。

 


■そんな中、草野さんがもう一度音楽への気持ちを取り戻したのが、シングル曲の【ハネモノ】だったようです。【ハネモノ】は、カルピスのCMソングとして依頼がきたものでした。CMで流れていたのを、微かにですが覚えています。

 


 ”9・11”の衝撃がようやく自分の中で消化されようとしていた。
 音楽は贅沢な楽しみかもしれない。それでも、心の中にある不安をなくすことはできなくても、和らげることができるんじゃないだろうか。
 俺は、俺の気持ちだけじゃなくて、世の中にある何かザワザワした不安を和らげるような、少しでも鎮めることができるような曲を作っていきたい。

 

書籍の中でこんな風に語っています。こういう流れから、アルバム『三日月ロック』へと進んでいくことになるわけです。

 

こういう話を聞けば、シングル『ハネモノ』やアルバム『三日月ロック』に対する想いが、がらりと変わってきますよね。草野さんが、人々の心の不安を少しでも和らげようとする気持ちが込められていると…何か感慨深いですよね。

 


■これも何度も語っていることですが、(個人的分類による)第三期に入って、スピッツの音楽は、ロック色の強いものへと変わっていきました。それは僕自身、最初は違和感を感じるほどでしたが、すぐに大好きになりました。

 

アルバム『ハヤブサ』とアルバム『三日月ロック』については、どちらもロックな作品であるとは思うのですが、雰囲気としては全然違うことを感じます。

 


もうすでに語ったことですが、『ハヤブサ』は、どちらかというと、スピッツのパーソナルなアルバムだという印象を持っています。マイアミ・ショックなどにより溜め込んだ、鬱憤ややり切れない思いを晴らすような、まさに”魂の叫び”という形容が近いのではないかと思います。

 

一方で、『三日月ロック』の印象は、先程紹介した草野さんの言葉を踏まえてっていう部分もありますが、激しいロックの中に、”優しさ”のようなものを感じます。

 

もちろん『ハヤブサ』にも、優しい曲はありますが、初めて聴いた時には、やっぱり”激しいアルバム”という印象が強かったです。ただ、『三日月ロック』は、そんな風には思いませんでしたね。まぁ『ハヤブサ』で耐性がついたってのもありますが、割と最初からすんなり入ってきたんです。

 


■アルバム『三日月ロック』には、表題曲がありません。つまり、アルバムのタイトルになっている”三日月ロック”という曲が入っていないんです。これは、オリジナルアルバムで言うと、アルバム『空の飛び方』以来のことなんだそうです。

 

表題曲がある作品は、もちろんその表題曲がアルバムの軸になり得ます。例えば、前作の『ハヤブサ』とかは、もうあきらかですよね。あのロック全開の疾走感あふれる【8823】という曲が、まさにアルバムを物語っているという感じです。

 

一方で、アルバム『三日月ロック』には表題曲がない分、ロックな方向に向いても聴けるし、優しい方向に向いても聴けるような、何ていうか、こういうアルバムだと限定させることなく、その時その時の状況に合わせて聴けると思うんです。盛り上がることもできるし、静かな気持ちで聴くこともできるしって感じです。

 

言い方を変えるならば、全曲が表題曲になり得るって感じですかね。このアルバムの中の曲で、どの曲を中心に据えて聴くかで、印象が変わってくるのではないでしょうか。

 


■印象に残っている曲をいくつか紹介させてもらいますと、まずは【ハネモノ】。

 

先述した通り、これは草野さんが音楽への気持ちを取り戻したきっかけの曲でもあります。何ていうか、応援歌とも鎮魂歌とも取れるような不思議な曲だと思うんですけど、先述のエピソードもあり、このアルバムを象徴している曲だと思っています。

 


ささやいて ときめいて
街を渡る 羽のような
思い通りの生き物に変わる

 

これがサビの歌詞ですが、僕はここを読むと、街のアスファルトの上に落ちている一本の白い鳥の羽が、風を受けて空に舞い上がっていくような、そんな光景を思い浮かべています。それは、魂が成仏して空に舞い上がっていくような、あるいは、生き物が生まれ変わっていくような、そういうイメージを想起させる光景だと思います。

 


それから、【旅の途中】も印象に残っています。

 

僕は、この曲が本当に大好きなんです。こういう、ロックとフォークソングの真ん中のような曲は、スピッツにとってはすごく重要ですよね。まさしく、優しいロックの代名詞のような曲だと思います。本当にきれいな曲だと思います。

 

タイトルにもなっています、”旅の途中”という言葉は、スピッツにとって大切な概念になっています。つまりは、いつだって自分たちが居る場所は、”旅の途中”なんだということを表しています。

 


■それから、何と言っても、【けもの道】という曲ですよ。

 

僕は、この【けもの道】という曲が、スピッツの全曲の中で一番好きなんです。この曲には、何度も何度も励まされてきて、それはこれからも変わらないです。アルバムの最後が、【旅の途中】→【けもの道】で締めくくりになるのですが、もう流れが最高ですよね

 

先程の、表題曲云々の話をしましたが、個人的に、この曲をアルバムの表題曲と位置づけて聴いています。

 

このアルバムに、草野さんが込めた想いとして、「人々の不安な気持ちを和らげる」というのがありましたが、全曲がそういう曲になっているわけではないとは思いますが、人を応援する気持ち・励ます気持ちを、このアルバムに込めているのだと思っています。

 

そこで、この【けもの道】は、まさにって感じです。

 


あきらめないで それは未来へ
かすかに残るけもの道
すべての意味を 作り始める
あまりに青い空の下
もう二度と君を離さない

 

サビのこの部分の歌詞。”あきらめないで”っていう言葉も、それまでの草野さんからすれば、こういう真っ直ぐで、あからさまな言葉は、ちょっと控えるような言葉なんですよね。シングル曲の【裸のままで】でも、”君を愛してる”という言葉を使うことにも抵抗を感じていたほどでした。

 

何ていうか、こう言うと失礼かもしれませんが、草野さん自身が、どこかフワッと生きているような感じがするのです。それは、一重に彼の人柄から来るものが強いと思いますが、実際に書籍「スピッツ」の中で、すごい初期の頃のインタビューの中で、”「元気に生きていこう!」より「フワッと死んでいこう!」がいい”と語っていました。

 

そこからも、草野さんという人が、”あきらめないで”という強い言葉を使ったことには、何かすごく大きな意味を感じてしまうのです。これは、スピッツを長く聴いてきた自分からすれば(もとい『三日月ロック』を初めて聴いたのは高校生の時でしたが、それでも)、半ば違和感に近い言葉だったほどです。

 

それでも、それだけそういう言葉を使わなければ表せない、強い想いがあったのだろうと想像しています。”俺は、俺の気持ちだけじゃなくて、世の中にある何かザワザワした不安を和らげるような、少しでも鎮めることができるような曲を作っていきたい。”という、先程紹介した言葉を物語る、紛れもない強くて優しい草野さんの応援歌なのです。

 

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アルバム講義:9th Album『ハヤブサ』

ハヤブサ

9th Album『ハヤブサ
発売日:2000年7月26日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. 今
→ 15時限目:今 - スピッツ大学

 

02. 放浪カモメはどこまでも album mix
→ 157時限目:放浪カモメはどこまでも - スピッツ大学

 

03. いろは
→ 16時限目:いろは - スピッツ大学

 

04. さらばユニヴァース
→ 59時限目:さらばユニヴァース - スピッツ大学

 

05. 甘い手
→ 8時限目:甘い手 - スピッツ大学

 

06. Holiday
→ 162時限目:Holiday - スピッツ大学

 

07. 8823
→ 138時限目:8823 - スピッツ大学

 

08. 宇宙虫
→ 209時限目:宇宙虫 - スピッツ大学

 

09. ハートが帰らない
→ 128時限目:ハートが帰らない - スピッツ大学

 

10. ホタル
→ 159時限目:ホタル - スピッツ大学

 

11. メモリーズ・カスタム
→ 185時限目:メモリーズ - スピッツ大学

 

12. 俺の赤い星
→ 34時限目:俺の赤い星 - スピッツ大学

 

13. ジュテーム?
→ 71時限目:ジュテーム? - スピッツ大学

 

14. アカネ
→ 5時限目:アカネ - スピッツ大学

 


スピッツ史に残る、特に重要な作品、9枚目のアルバム『ハヤブサ』です。

 

個人的に、オリジナルアルバムでスピッツの活動時期をいくつかに分けているのですが、5th『空の飛び方』~8th『フェイクファー』を、スピッツの活動時期として、第二期に位置付けています。

 

ということで、9th『ハヤブサ』からは、スピッツは新しく第三期へと突入したと思っています。この間で、ガラッとスピッツの音楽が変わったことを、アルバム『ハヤブサ』を聴いてみると感じるのではないでしょうか。

 


スピッツの第二期は、まさに”スピッツ黄金期”というべき時代でした。

 

100万枚を大きく越える売上を果たした、シングル『空も飛べるはず』『ロビンソン』『チェリー』をはじめ、出す作品出す作品がもれなくヒットを果たし、スピッツの名前が、どんどん日本全国に広まっていった時期を、第二期に位置付けています。”スピッツバブル”とも言われたりしますね。

 


しかし、そんな黄金期の陰で、スピッツは自分たちの音作りに長いこと悩んでいたという様子が、書籍「旅の途中」などから読みとることができます。特に、アルバム『インディゴ地平線』を経て、アルバム『フェイクファー』で顕著になっていったようです。

 

具体的には、ライブでの自分たちの演奏のような、ダイナミックな音作りをしたかったのだと、書籍の中で語っておられます。特に、ミックスダウン(楽器やボーカルの音を調整して、一つの音源にまとめること)にうまくいかずに、音が暗く、沈んだ感じになってしまったと感じたようです。

 

個人的にも、アルバム『インディゴ地平線』とアルバム『フェイクファー』は、少し音がくぐもって聴こえる気がするのですが、どうでしょうか。

 


■ということで、スピッツは、音作りについて試行錯誤するようになります。特に、ミックスダウンについて、大きな課題を感じていたようで、色んな人にミックスダウンを頼んだりしてみたようです。

 

日本での試行錯誤の結果(この辺りのことも、書籍「旅の途中」には詳しく書かれていますので、興味がありましたら読んでみてください)、海外の音楽・エンジニアまで興味が広がっていきます。その結果、全員一致の意見で、アメリカのエンジニアである、トム・ロード=アルジという人に白羽の矢が立ちます。

 

そういうわけで、日本でミックスダウンした曲と、アメリカでミックスダウンする用の曲を用意して、スピッツは渡米します。自分たち(日本チーム)で行ったミックスダウンと、海外で行ったミックスダウンに、どんな違いが出るのか、試そうとしたんですね。

 

アメリカでレコーディングやミックスダウンされた曲としては、シングル曲【メモリーズ】を含め、【船乗り】や【ムーンライト】や【春夏ロケット】などが挙げられます。

 


アメリカでの音作りの旅は、一定の成果を見せ始め、順調に活動を続けているように思えたスピッツでしたが、ここで思わぬ大きな出来事が起こってしまいます。それが、”マイアミ・ショック”と呼ばれている出来事です。

 

マイアミ・ショックを簡単に説明すると、レコード会社が、スピッツのいないところで、スピッツのベストアルバムを発売させることを強行的に決定、そして実際に発売させてしまう、という出来事です。

 

スピッツが、ベストアルバム発売の話を、アメリカのマイアミ滞在中に聞いたということから、この出来事を”マイアミ・ショック”と呼んでいます。

 


スペシャルアルバム『花鳥風月』を紹介した時にも書きましたが、スピッツは”アンチベストアルバム”を貫いていました。それは、「ベストアルバムは解散するときに出す」と語るほど強い考え方でした。

 

そもそも、カップリング曲や、インディーズ曲・未発表曲を収録したアルバム『花鳥風月』こそ、ベストアルバムブームに抵抗して作られた作品だったのです。

 


そういうわけで、この出来事に、スピッツメンバーは憤りと悲しみを感じます。

 


 スピッツはレコード会社といい関係が作れていると思っていたから、アーティストの意向を無視してベスト盤を出されるような騒動とは無縁だと考えてきた。なによりも、俺たちがベスト盤を出すことを、快く思わないことがわかっているはずなのに、どうしてそんな企画が出てきたんだ…俺は、正直、カチンと来た。

 

書籍の中で、田村さんはこのように語っています。

 


この出来事で発売されたアルバムが、『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』ですね(1999年12月15日発売)。シングル曲として、7th【君が思い出になる前に】~19th【楓】の13曲を収録したベストアルバムになりました。

 

このアルバムのタイトル”RECYCLE”という言葉は、せめて自分たちでつけたいという意向の下、スピッツで決めた名前だそうです。意味は、”使い回し”ということで、皮肉も込めてつけられた名前だったのでしょう。

 

ちなみに、後にシングルコレクション『CYCLE HIT Spitz Complete Single Collection』を発売させ(こっちは、”シングルコレクション”だからOK!)、2006年に『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』の方は製造中止になりました。

 


僕はと言うと、このベストアルバム『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』を、発売直後に買いました。中学生の時ですね、唯一のスピッツ仲間と一緒に街まで買いに行きました。その当時は、上述のような、スピッツの苦しみがあったことは知らなかったこともありましたが、スピッツの名曲がこれでもかと入っており、とても好きな作品でした。

 

ちなみに、大学の時に、このアルバムを友達に貸したのですが、そのまま返してもらうことなく、大学卒業を迎え、離ればなれになってしまいました。まぁ、この頃にはもう、マイアミショックのことを知っていたので、まぁいっか…という感じですね。でも、どうだろうな、廃盤になるんだったら、初回限定盤だったし、手元に置いておきたかったかな…。

 


スピッツの、長い間の苦悩としてもう一つ、世間が抱くスピッツ像と、自分たちの抱くスピッツ像に差異を感じていた、というものもありました。

 

僕自身の想像も含めますが、世間のスピッツ像は、どうしても『空も飛べるはず』『ロビンソン』『チェリー』を含めた、何ていうのか、世間受けするような、ポップで明るいスピッツだったと思います。

 

スピッツはかつて、インディーズ時代ではパンクロックバンドとして活動をしていたこともありましたが、バンドの方向性を変えたとしても、根底にあったのは、いつだって”ロック”だったのでしょう。あくまで、自分たちはロックバンドなのだという思いが、強くあったのだと思います。

 


マイアミショックで、スピッツは一度”死”を迎えました…というのは大げさかもしれませんが、書籍の中でも”死と再生”という表現があります。

 

マイアミショックの反動もあり、(おそらく)アメリカで本場のロックに触れたことも影響して、スピッツはこれを機に、もう一度ロックバンドとしてのスピッツに立ち返ることを決意します。これが”再生”の意味するところですかね。

 


■ということで、長くなりましたが…

 

今まで感じていた世間と自分たちのギャップへの違和感が、マイアミショックによって弾けて、アメリカでの音作りの経験が合わさって、純粋なロックへと気持ちが立ち返ります。

 

その結果、アルバム『ハヤブサ』という、非常にロックで攻撃的なアルバムが出来上がったのです。

 

僕は、このアルバムも、リアルタイムで高校生の時に購入して聴いたのですが、いやぁ、驚きましたね。当時の僕でも、スピッツは割と長く聴いてきていて、第二期のスピッツにどっぷり慣れ親しんでいたので、アルバム『ハヤブサ』を聴いた時に、これが今まで聴いてきたスピッツなのか!?と驚くほど、ロックで激しいアルバムでした。

 

それは、最初は違和感を感じる程でしたが、ちょうど僕自身も少しずつ邦楽ロックを好んで聴くようになった頃だったので、程なくしっくりきて、これもお気に入りの作品になりました。

 


■まず、何と言っても、印象的な最初の3曲です。

 

【今】→【放浪カモメはどこまでも】→【いろは】というこの流れ…本当に大好きな3曲です。何ていうか、スピッツがずっとため込んだ”鬱憤(うっぷん)”を、いきなり爆発させているように聴こえてなりません。「うぉお、お前ら!スピッツはこれからこんな風にやっていくからなー!あいさつ代わりで、メロメロにしてやる!」的な、とても強い気持ちを感じます。

 

 

その中でも、やっぱり【放浪カモメはどこまでも】がお気に入りです。アルバムの名前であり、表題曲にもなっている”ハヤブサ(8823)”という言葉もそうですけど、”カモメ”という鳥の名前が使われていて、スピッツの特別な気持ちがこもっていると思わざるを得ません。



悲しいジョークでついに5万年
オチは涙のにわか雨

 

でも放浪カモメはどこまでも
恥ずかしい日々 腰に巻きつけて 風に逆らうのさ

 

出だしの歌詞を書いてみました。

 

この曲をスピッツは、マイアミショックの直後、日本に帰ってきてから、レコード会社との予定が白紙の時期に、4人でスタジオ入りした時に原型を完成させたそうなのですが(仮タイトル「ギターポップNo.1」)、そんなエピソードを聞くと、ピンチの状態でも、スピッツの4人の絆だけは少しも揺らがなかったんだなと、とても嬉しく思い、感動してしまいます。そういう時期に作った曲なので、やっぱり自分たちのことを書いた曲なんですかね。

 


■そして、何と言っても、アルバムの表題曲である【8823】ですよ。

 

これはもう紛れもなく、スピッツの魂…と言うより、”魂の叫び”が聴こえてくるような曲ですね。ライヴでのマスト曲の一つであり、とても盛り上がる曲です

 

先程も紹介しましたが、スピッツの”鳥ソング”ですからね、これにもやはり特別な想いをこめていることは間違いないと思うのですが、何となく、スピッツのデビュー曲である【ヒバリのこころ】と比べてしまいます。

 


ところで、これは皆さんにも聞いてみたい話なんですけど、多分僕がアルバム『ハヤブサ』を購入した頃だと思うんですけど、その時に、

 

「小さかったヒバリは 大きなハヤブサに進化したのだ」

 

というフレーズをどこかで見かけたんです。微かに、購入したCDショップに飾られていたポップに書いてあったんだっけ…と思ってるんですが、かなり記憶があいまいです。

 

何かの雑誌に書いてあったかもしれないし、そのポップにしたって、何かに書かれてあった言葉を取ってきたのかもしれないし、ひょっとしたらショップ店員が個人的に作った言葉かもしれないし(だとしたら、良いセンスですね!)、よく分からんのです。

 

しかし、これだけ強烈に覚えているのに、こんなインターネットが発達したこの時代でも、情報を見つけ出すことができないのです!だから、ポップを書いた人の自作説か、僕が白昼夢でも見ていた説が濃厚なのですが…もし、見かけたことのある方がおられましたら、情報ください。

 

まぁ、こういうことがあったから余計に、”ヒバリ”と”ハヤブサ”を比較してしまうんですけどね。

 


この歌も、やはり出だしの歌詞が印象に残っています。

 


さよならできるか 隣り近所の心
思い出ひとかけ 内ポケットに入れて

 

あの塀の向こう側 何もないと聞かされ
それでも感じる 赤い炎の誘惑

 

さよならを言おうとしているのは”スピッツ”で、塀は”今までのスピッツを縛り付けていたもの”、例えば、レコード会社や世間が思うスピッツ像などを表していると考えると、ここはそのまま、そういう今までの自分たちに別れを告げて、新しく生まれ変わることへの決意を表明しているように聴こえてきます。

 

最初はちょっと静かに始まって、サビで爆発するところとか、助走をつけて、鳥が飛び立っていくような、そんな力強さを感じます。

 


■あとは、個人的に一番アルバムの収録曲で好きなのが、【アカネ】ですかね。初めて聴いた時から、アルバムの中で一番好きな曲だったんですけど、20年以上経った今でも、それは変わりませんね。アルバムの最後に入っていて、ロックな曲ではないんですけど、とても綺麗な曲だと思います。

 

その他、公認(?)のストーカーソングである【Holiday】、これも衝撃を受けました【メモリーズ・カスタム】、ロックなアルバムだからこそ逆に引き立って異質に思う【ジュテーム?】など、本当に個性的な曲が溢れています。

 

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220時限目:グリーン

【グリーン】

 

グリーン

グリーン

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■アルバム『醒めない』の6曲目に収録されている曲です。

 

前回紹介した【ナサケモノ】や、同アルバム曲ですと【子グマ!子グマ!】などと同じような、ノリノリなアッパーチューンになっています。雑誌やラジオなどで、”明るいアルバム”という風にこのアルバムを語っていましたが、まさにこの曲はその形容通りの曲ですよね。

 


■さて、もう何度も語っていますが、MUSICAのインタビューなどによると、アルバム『醒めない』に草野さんが込めた想いは、「死と再生」というものでした。そして、コンセプトアルバムとして、『醒めない』というアルバム一枚で、一貫した物語を作ろうと試みました。

 


草野「(前略)そういう一貫したストーリーがあるアルバムをつくったら面白いんじゃないかってなんとなく思って。……結果的にそこまでにはなっていないんですけど、再生の物語みたいなものを匂わせるコンセプトで作ってもいいかもって思ったところがありましたね」

 


そういうことも踏まえて聴いてみたときに、ここまで(5曲目の【ナサケモノ】まで)のアルバム『醒めない』の収録曲には、別れの歌が多かったというイメージを抱きます。

 

【醒めない】は、まぁ本の表表紙というか、ストーリーとは少し切り離して、スピッツの想いを歌っているような曲なのですが、続く【みなと】、【子グマ!子グマ!】、【コメット】、【ナサケモノ】は、曲調は明るいものもありますが、居なくなった人のことを想っているような歌だったり、大切な人の旅立ちに際して、寂しい気持ちはあるけれど、その人を応援するような曲になっています。

 

そこへきて、この【グリーン】にたどり着くわけですが、この曲でまた、アルバムの雰囲気がガラッと変わります。

 


■個人的に、この歌を聴いた時に、まず思い描いたのは、”震災からの復興”というものでした。アルバム『小さな生き物』を経て、アルバム『醒めない』にも、形は変わっていても、震災に対する想いが込められているようです。

 

草野さんがアルバムに込めた想いは、先述の通り「死と再生」というものでした。”死”とは、まぁ人によって”死”に対する記憶は様々あるかと思いますが、この場合は、震災によって亡くなった方々はもちろん、残された人の悲しみや、崩壊した街の姿などを表してると考えられます。

 

そして、それに対する”再生”ということで、震災により傷ついた街の再建や、悲しみを負った人々がもう一度立ち上がっていくことなどに繋がっていくと思います。

 



どん底から見上げた 青い空とか
砂漠で味わった 甘い水とか

 


今芽吹いたばっかの種 はじめて見たグリーンだ
憧れに届きそうなんだ 情念が
あふれているよ あふれているよ

 

それぞれ、出だしの歌詞と、サビの歌詞を取り上げました。

 

前者には、”どん底”や”砂漠”といった、辛く苦しかった体験を表わしているような言葉が出てきています。それに対して、”どん底”には”青い空”という言葉が、”砂漠”には”甘い水”という言葉が、それぞれにかかっていますが、そんな辛く苦しい状況の中でも、少しずつ希望を見出していったことを読み取ることができます。

 

後者にも、”今芽吹いたばっかの種”という言葉が出てきますが、これも少しずつ芽生えはじめた希望を表していると読み取れます。

 


そして、それらを象徴して、タイトルにもなっている”グリーン”という言葉が使われているという感じですね。”グリーン / green”とは、いわずもがな、色としての緑色という意味があり、そこから、草が茂っている様子や、人を形容する言葉として、若々しい、未熟な、などという意味もあります。

 

総じて”グリーン”という言葉には、若々しくてフレッシュなイメージを受けます。歌詞にも”芽吹いた”という言葉が出てきていますが、そのまま”希望の芽生え”とでも訳すことができるのではないでしょうか。荒廃した大地で、瓦礫の隙間から、小さな芽が出て、精一杯光を浴びて生きようとしている姿が思い浮かびます。

 


■他にも、印象に残った歌詞が出てきます。

 


コピペで作られた 流行りの愛の歌
お約束の上だけで 楽しめる遊戯
唾吐いて みんなが大好きだったもの 好きになれなかった
可哀想かい?

 

2番のAメロの歌詞ですが、こんなにあからさまな表現は珍しいような気がしますが、どうでしょうか。

 

流行はするものの、量産されるだけで、みな同じように聴こえる愛の歌。本来は自由であるはずが、色んなものに縛られ、何だかヤラセのように見える今時の遊戯。そういうものに対する皮肉とも、警鐘とも読み取れます。

 

この部分は、僕らの想いに当てはめてもよさそうですが、他でもない、作者である草野さん・スピッツの想いであると考えられます。

 


僕が言うのもなんですが、震災があって、草野さんは、自分が音楽をする意味を見失ってしまいました。あくまで想像ですが、そういうときには、ちまたに溢れている流行の歌が、どこか嘘っぽく聴こえたかもしれません。

 

また、そうでなくても、ひねくれ者(?)の草野さんです、流行ものを歌に取り入れることを、カッコ悪いこと・恥ずかしいことと捉えていた節があります。

 

例えば、ベストアルバムブームへのアンチテーゼとしてスペシャルアルバムを作ったり、古くは【裸のままで】で”愛してる”という言葉を歌詞に使うことにも抵抗があったようですし、歌詞に英語を使うことも”踏み絵”と言っていたほど抵抗を示していました、笑。

 


そういうことを踏まえ、続く歌詞を読んでみると、こんな感じです。

 


でも悩みの時代を経て 久しぶりの自由だ
ときめきに溺れそうなんだ 最速で
どこでも行くよ

 

何ていうか、そういうモヤモヤした気分が晴れて、ふっ切れた感じですかね。時代が変わったっていうより、考え方が変わったっていう感じですね。スピッツスピッツなんだと、自分たちは自分たちなんだと、結局はそういう答えに行き着いたということでしょうか。

 


■あとは、これまでの解釈とは別に、スピッツお得意の、恋愛の芽生えを描いた歌詞と読み取ることができます。先程も紹介しましたが、

 


今芽吹いたばっかの種 はじめて見たグリーンだ
憧れに届きそうなんだ 情念が 脳内の 火焔土器
あふれているよ あふれているよ

 

最後の歌詞を載せてみました。”情念”は、抑えることができない感情のゆらぎを表す言葉であるそうです。喜怒哀楽や、愛欲などの強い気持ちを表しているようですが、これをそのまま”君への恋心”と訳してみるとどうでしょうか。

 

なぜ”火焔土器”であるかは不明としても(燃えるような熱い想いを比喩しているのか?)、君と出会ったことで、自分の中に恋が芽生え、その想いがどんどん膨れ上がっていって、溢れているという意味にも捉えることができます。

 

このような解釈にすると、”グリーン”という言葉には、”恋心の芽生え”の象徴という意味を当てはめることができそうです。”はじめて見た”という言葉がくっついているので、もしかしたら”初恋”を表わしているかもしれませんね。

219時限目:ナサケモノ

【ナサケモノ】

 

ナサケモノ

ナサケモノ

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■アルバム『醒めない』の5曲目に収録されている曲です。

 

曲調は、スピッツロックの一つの王道と言える、カッコかわいい(カッコいい+かわいらしい)ロックチューンになっています。ミドルテンポで聴きやすく、ギターやドラムの音も軽いので、さくっと聴いて楽しくなれる曲だと思います。

 

そして、草野さんのボーカルやメンバーの演奏に合わせて…何の音と形容すればいいのか分かりませんが、曲の後ろで子どもがおもちゃで遊んでいるような音が随所で鳴っています。一番分かりやすいのがイントロの部分ですね、時計の針が動くような音、電話の受話器から聴こえるような音、おもちゃのゼンマイを巻いているような音などが、曲の終わりまで随所でガチャガチャなっていて、騒がしいですが、何だか楽しくなります。

 

ちなみに、wikiの情報によると、「曲中に聴こえるねじを巻いた音は、田村の家にあったムーミンキッチンタイマーの音」だそうです。

 

こういう曲は、スピッツにとっては珍しいんじゃないでしょうか…というより、これまでにこういう曲はありましたっけ?
(全然関係ないですが、僕はこの曲で、カミナリグモというバンドを思い浮かべました。残念ながら現在は活動休止中ですが、ボーカルの上野啓示さんのソロプロジェクトのかけらフィルムもおすすめです!)

 


■さて。

 

あんまり曲の情報が見つかりませんでしたので、早速自分の考えを語っていきたいと思います。

 


まず、このタイトルですよ、”ナサケモノ”って一体何だ?という感じですよね。最初は、”ナマケモノ”と空目した程です、笑。

 

”ナサケモノ”とは、この歌詞の中に、”情けない獣”というフレーズが出てくるのですが、それを縮めた言葉だと思われます。つまり、”ナサ”けない”ケモノ”で、”ナサケモノ”ということですね。

 

ただ、やはり言葉自体の意味は分かりません。”ナサケモノ”=”情けない獣”としたところで、じゃあ”情けない獣”って何だよって話です。その辺りは、歌詞を読んでいくしかなさそうです。

 


■ということで、少しずつになりますが、読んでいってみます。

 


憧れたり コケにしたり 愛おしい二文字
君の名前 つけた人は すごくセンスがいい

 

まず、出だしの歌詞ですが、いきなり草野節ですよねぇ。

 

ここの部分は、”君の名前”について触れられている部分ですね。”愛おしい二文字”とは、”君の名前”を指しているのでしょう。つまり、”君の名前”が二文字なんでしょうね。しかも、その名前を”つけた人は すごくセンスがいい”と、”君の名前”が素敵なことに加え、その名前をつけた人物まで含めて褒めています。

 

この歌には、”君”は出てきても、”一人称 / 僕、私、俺など”がひとつも出てこないですが、紛れもなく一人称側の目線でこの歌詞は描かれていると思われます。つまりは、”君の名前”が素敵だと、名前をつけた人のセンスが良いと褒めている”主人公”が居ること、合わせて、その”主人公”は、”君”のことを大切に思っていると、出だしの2行から読み取れると思います。

 


じゃあ、”主人公”と”君”の関係はどういうものなのでしょうか。両者の関係性が分かりそうな部分は、この辺りでしょうか。

 


本能でさらに強く 伝えたい気持ちがある
これを恋というのなら 情けない獣さ

 


足にもなる メシもつくる 涙はいただく
ギリリとゼンマイ 巻き上げたら すぐに元気だし
夢中で生きていられた ありがとう

 

キーワードは、まず”恋”という言葉。”これを恋というのなら”と、言葉を濁らせていますが、”伝えたい”と思っている以上、もう恋に落ちていると解釈しても差し支えは無いのだと思います。

 

後半3行も、面白いですよね、笑。要は、”主人公”が”君”に尽くしているということなんでしょうね。”夢中で生きていられた”とあるように、そういう日々に、”主人公”は喜びを感じていたことも読み取れます。

 


あとは、この両者の関係がどんな方向に向かっていったのかという様子が描かれいるような部分として、最後のサビにこんなフレーズが出てきます。

 


寂しさ消してやる そんな約束したのにさ
ついに叶えられず 逝けてない屍さ

 

つまり、何かの形で、両者の関係が終わってしまったことを読み取ることができそうです。

 


■ということで、少しまとめてみます。

 

まず、一番単純に読めば、「”君”に恋をした”主人公”が、”君”のために一生懸命尽くしたんだけど、”君”とずっと過ごすことが、何らかの形で叶わなくなってしまった」という物語を想像しました。

 

”主人公”は、”君”への恋心を自覚しつつも、恐らくそれを伝えることができず(それか、伝えたが、”君”にいい様にあしらわれているか)、それでもずっと”君”に尽くし続けたのでしょう。

 

”君”がどこへ行く時でも送り迎えをし(足にもなる)、”君”のためにご飯まで作ってあげ(メシも作る)、”君”が悲しんでいる時はなぐさめ元気づけてあげる(涙はいただく)、もう全てが”君”を想ってのことですかね。

 

しかしながら、最後の方で、”約束したのにさ ついに叶えられず”という表現があるように、”主人公”の願いが叶うこともなく、”主人公”と”君”の生活は終わりを迎えてしまいます。

 

終わった原因は何だったのでしょうか。”主人公”は、具体的に”君”に気持ちを伝えてなかったかもしれないので、甲斐甲斐しい努力がただの徒労に終わった、ということなのかもしれませんね。要は、友達関係の範疇を越えることが出来なかったということですかね。

 

ということで、一応は”君”の”寂しさ消してやる”と約束をしていたようなので(両者で誓い合ったか?それとも、”主人公”の一方通行か?)、それを叶えることが出来なくなって、自分は情けないなぁ…と思い、そんな自分自身を”情けない獣”と揶揄し、そのままタイトルの”ナサケモノ”にもつながるのでしょう。

 


■あとは、ちょっとひねくれて読んで、何ていうか、ペット(動物)と飼い主の関係を歌っているのかなって考えたりもしました。

 

そうなると、どうなるんですかね…”主人公”の方がペットで、”君”の方が飼い主になるんですかね。

 

”情けない獣”の”獣”は、そのまま自分が何らかの動物(獣)であることを表しているだとか(イメージは、猫や犬などのかわいらしい動物)、”涙はいただく”や”寂しさ消してやる”などは、飼い主を癒すという自分自身のペットとしての役割を表しているだとか、色々考えました。

 

ただ、結局はうまくつなげることができませんでした。例えば、”足にもなる”とか”メシも作る”とか、ここはむしろ逆だろうってね、ここだけ”主人公”ではなく”君”目線なのか?とか、色々考えてみたんですけど…どうですかね?

アルバム講義:Special Album『花鳥風月』

 

花鳥風月

Special Album『花鳥風月』
発売日:1999年3月25日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01.流れ星
→ 112時限目:流れ星 - スピッツ大学

 

02.愛のしるし
→ 3時限目:愛のしるし - スピッツ大学

 

03.スピカ
→ 78時限目:スピカ - スピッツ大学

 

04.旅人
→ 87時限目:旅人 - スピッツ大学

 

05.俺のすべて
→ 35時限目:俺のすべて - スピッツ大学

 

06.猫になりたい
→ 126時限目:猫になりたい - スピッツ大学

 

07.心の底から
→ 52時限目:心の底から - スピッツ大学

 

08.マーメイド
→ 176時限目:マーメイド - スピッツ大学

 

09.コスモス
→ 53時限目:コスモス - スピッツ大学

 

10.野生のチューリップ
→ 188時限目:野生のチューリップ - スピッツ大学

 

11.鳥になって
→ 105時限目:鳥になって - スピッツ大学

 

12.おっぱい
→ 32時限目:おっぱい - スピッツ大学

 

13.トゲトゲの木
→ 102時限目:トゲトゲの木 - スピッツ大学

 


■アルバム『フェイクファー』発売から、ちょうど1年後に発売になったアルバムです。詳しくは後述しますが、”スペシャルアルバム”という、ちょっと特殊な形態で、(当時の)スピッツのこれまでの楽曲を振り返るようなアルバムになっています。
(ちなみ、『フェイクファー』と『花鳥風月』の間、1999年1月1日に、『99ep』という3曲入りのEPが発売になりました。アルバム『色色衣』を紹介する時に、ちょっと詳しく話します)

 

当時、世の中は、ベストアルバムブームでした。しかしながら、ひねくれ者のスピッツメンバーたち、ベストアルバムに良い印象を抱いてはいませんでした。それどころか当時、「自分たちがベストアルバムを出す時は、解散する時だ!」と公言するほど、アンチベストアルバム派だったようです。

 


ちなみに、2017年に僕が参戦した、『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR "THIRTY30FIFTY50"』の広島公演にて、リーダーがベストアルバムというものについて語っていました。

 

まず、2017年当時に発売になった『CYCLE HIT』については、”ベストアルバム”なのではなく、あくまでも、過去のシングルを収録した”シングルコレクション”なのだと強調をしておられました。

 

合わせて、アーティスト側から出される、自薦の”ベストアルバム”についての違和感を指摘しつつ、「ベストアルバムは他薦で作られるべきだ!」と主張。そして、「”ベストアルバム”と言うならば、いつだって自分たちの一番新しいアルバムが”ベストアルバム”だ!」と言っておられました。しびれましたね!

 


■そういうわけで、アンチベストアルバム派のスピッツが、ベストアルバム(のブーム)に対抗するように発表した、アンチベストアルバム的な作品こそ、スペシャルアルバム『花鳥風月』だったのです。

 

最初は、この作品を”カップリング曲集”として制作を進めようとしたそうです。実際、このアルバムには、たくさんのカップリング曲が入っています。
(ちなみに皆さん、どの曲がどのシングルのカップリングだったか、正確に覚えていらっしゃるんですかね?僕は…曖昧です!)

 

【鳥になって】(c/w 3rdシングル『魔女旅に出る』)
【マーメイド】(c/w 4thシングル『惑星のかけら』)
【コスモス】(c/w 5thシングル『日なたの窓に憧れて』)
【心の底から】(c/w 6thシングル『裸のままで』)
【猫になりたい】(c/w 9thシングル『猫になりたい』)
【俺のすべて】(c/w 11thシングル『ロビンソン』)
【旅人】(c/w 14thシングル『渚』)
【スピカ】(両A面シングル『楓 / スピカ』より)

 

つまり、これまでのアルバムに未収録になっている、カップリング曲(+両A面の片割れの曲1曲)を網羅したということですね。このアルバムに入っていないカップリング曲も、それまでのアルバムで聴くことはできるようになっています。

 


■ただし、単純な”カップリング曲集”にするにはちょっと地味であるとして、未発表曲やインディーズ曲も収録し、”特別感”を演出したようです。カップリング曲以外の収録曲も、少し紹介しておきます。

 


【流れ星】
これは、インディーズ時代からあった古い曲で、元々はレゲェバージョンの曲であったそうです(どこかの動画サイトで聴けましたが…)。元々は、辺見えみりさんに提供された曲ですが、長い時を経て、ついに自分たちの曲として発表したのでした。この後、シングルカットもされました。

 

愛のしるし
元々は、PUFFYに提供した曲です。ちなみに、シングル『流れ星』のカップリングには、【愛のしるし (LIVE '98 version)】が収録されています。

 

【野生のチューリップ】
元々は、遊佐未森さんに提供された曲で、【流れ星】と同様、とても古くからあった曲であったそうです。

 

【おっぱい】【トゲトゲの木】
インディーズ時代のミニアルバム『ヒバリのこころ』に収録されていた、インディーズ楽曲です。

 


■ちなみに、このアルバムは、”スペシャルアルバム / Special Album”と名付けられています(と呼びましょう!)。他のアーティストでは、”スペシャルアルバム”なんていうのは、あんまり聞かないですよね、スピッツならではの呼び方なのでしょうか。

 

収録曲が、カップリング曲や未発表曲・インディーズ曲で構成されているので、他のオリジナルアルバムと差別化を図る意味で、特別なアルバムと名付けられたということなのでしょう。

 

また、草野さんが、”sp”とアルファベットが続く単語が好きだという、ちょっと変わった趣向をお持ちなので(これは、spitz / スピッツというバンド名の由来にもなっているようですが)、それとも関係して、”Special Album”という名前をつけたのかもしれません。

 


■またまた同じ話をしますが、個人的に、アルバム『インディゴ地平線』『フェイクファー』『花鳥風月』は、小中学生の時に、カセットテープに吹き込んで何度も聴き込んだ作品であり、僕がスピッツへの愛を深めていった、一番古い記憶として残っています。

 

当時、僕はスピッツの作品として、シングルを買ったりレンタルしたりする習慣がなかったんです。その時代の8cm盤のスピッツのシングルは、数える位しか持っておらず、スピッツの曲は、主にアルバムを聴いて楽しんでいました。

 

なので、シングルのカップリング曲を聴く機会がそんなになかったので、『花鳥風月』でカップリング曲がたくさん聴けるのは嬉しかったです。スピッツのカップリング曲にも名曲が多いなと、その時思いました。

 

ただし、カップリング曲も含めて、初めて聴く曲ばかりで、僕にとってはもうほとんど、新作のオリジナルアルバムを聴いている感覚でした。印象に残っている曲がたくさんあるので、ちょっと紹介してみます。

 


【流れ星】
まず、僕はこの曲がとても好きなんです。こういう静かな曲から、アルバムが始まるっていうのは良いですよね、【エトランゼ】とか【夜を駆ける】とかもそういう感じですけどね。

 

個人的に、この曲に対しての解釈として、”眠る前の想像タイム”を当てはめています。眠る前って、やけに壮大な想像をしたりすることありませんか?人は死ぬとどうなるんだろうとか、宇宙はどうなっているんだろうとか…子どもの頃は、そういう想像をしてしまって、眠れなくなったこともありました。

 

何かそういう、壮大な死生観みたいなものを、いつも考えさせられる曲だと思います。個人的に、とても大切な曲のひとつです。

 


【スピカ】
スピッツファンにとって、とても人気のある曲のひとつです。ここスピッツ大学にて、(2018年7月現在)つい最近まで行っていた、ブログを訪れてくださったスピッツファンの方々で、スピッツ人気曲ランキングを作る、”スピッツ大学ランキング企画”にて、なんと【スピカ】が第1位に選ばれました!!!

 

これは、意外でしたね。【スピカ】は人気曲であり、上位に入ることは予想していましたが、1位になる結末は予想してませんでした。結構、ぶっちぎってましたからね、笑。

 


個人的には、”受験頑張れソング”です。

 


この坂道も そろそろピークで
バカらしい嘘も消え去りそうです
やがて来る 大好きな季節を想い描いてたら

 

この辺りのフレーズに励まされ、当時は高校受験ですかね、頑張って乗り越えることができました。

 


【猫になりたい】
もう最初に聴いたときから、印象に残りっぱなしです。スピッツファンは、きっとここは一度は通る道だと思います、みんな大好きな曲ですよね。

 

大学生の時、この曲をアルバイトの女の先輩が、カラオケで突然歌ったんです。僕が、【猫になりたい】が好きであることはおろか、スピッツファンであることも知らせてなかったのに、突然歌い始めたので、僕は興奮して、そのまま恋に落ちていたのです、笑。

 


【おっぱい】
知らない人には、「こんなタイトルあり?」って思うでしょうね、笑。僕も最初はそうでした。スピッツファンは、みんな一度は通る道…というか、越える壁と言うべきでしょうか。この曲を越えれば、コアなスピッツファンの仲間入りです、笑。

 

もうタイトルから出落ち感が半端ないですが、聴いてみると、とんでもない美メロで、至って真面目な名曲なんです。

 


君のおっぱいは世界一 君のおっぱいは世界一
もうこれ以上の 生きることの喜びなんか要らない

 

とても切実な歌詞ですね、笑。この曲を聴いた初めこそ、何言ってんだって思いましたが、これだけ切実でストレートだと、逆に清々しさを感じるほどです。草野さんは、歌詞のテーマとして「死とセックス」を掲げていますが、まさしくそれを体現している重要な曲です。

 


■ということで、書いてきた通り、収録曲の作られた時代がバラバラな分(10年以上にわたって作られている)、良い意味で一貫性がなく、1曲1曲が特徴的で際立っているアルバムです。

 

オリジナルアルバムだと、僕はそのアルバム1枚で世界観をイメージして聴くのが好きなのですが、『花鳥風月』はそれとは少し違います。オリジナルアルバムが、ひとつの長編小説だとしたら、『花鳥風月』は、たくさんのお話が入っている短編集みたいな感じです。

 


古くは、アマチュア・インディーズ時代の楽曲から、スピッツの不遇の時代の楽曲を経て、スピッツバブル黄金期の楽曲、そして(当時の)最新のスピッツの楽曲まで、スピッツの10年以上の活動を、このアルバム一枚で網羅することができるので、名前の通り、特別な1枚です。

 

しかも『花鳥風月』は、収録曲が発表された時期が新しい方から古い方へと向かうように収録されているので、スピッツの活動をさかのぼっていく形で、作品を聴くことになります。何ていうか、タイムマシンで過去にタイムトラベルしていくような感覚です。

 


■ちなみに、アルバムのタイトル”花鳥風月”についても考えてみました。

 

”花鳥風月”という言葉は、日本人が大切にする(べき)、日本の美しい自然の風景や風流を指すという意味と、もう一つ、詩や歌や絵画などを楽しむという意味もあるそうです。アルバムタイトルの意味として当てはめるとしたら、後者ですかね。

 

あと、”花鳥風月”とは、人間が歳をとっていくにつれて、趣を感じるようになるものの順番であるそうです。若い頃には、花や鳥を愛でて、歳をとっていくと、風の流れや月の満ち欠けにさえ趣を感じるようになると、どこかで聞いた記憶があるのです。(ちなみに、こちらの意味は、調べてみてもそういう情報が得られなかったので、話してくれた方の持論だったのかもしれません。)

 


まぁ、草野さんが書く歌詞や歌のタイトルには、花の名前や鳥の名前、そして天体の名前などがよく出てきますので、そもそも初めから、草野さん自身が一番、”花鳥風月”を大切にしていたんですよね。

 

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アルバム講義:8th Album『フェイクファー』

フェイクファー

8th Album『フェイクファー』
発売日:1998年3月25日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01.エトランゼ
→ 26時限目:エトランゼ - スピッツ大学

 

02.センチメンタル
→ 81時限目:センチメンタル - スピッツ大学

 

03.冷たい頬
→ 96時限目:冷たい頬 - スピッツ大学

 

04.運命の人 (Album Version)
→ 24時限目:運命の人 - スピッツ大学

 

05.仲良し
→ 111時限目:仲良し - スピッツ大学

 

06.楓
→ 36時限目:楓 - スピッツ大学

 

07.スーパーノヴァ
→ 72時限目:スーパーノヴァ - スピッツ大学

 

08.ただ春を待つ
→ 85時限目:ただ春を待つ - スピッツ大学

 

09.謝々!
→ 62時限目:謝々! - スピッツ大学

 

10.ウィリー
→ 18時限目:ウィリー - スピッツ大学

 

11.スカーレット (Album Version)
→ 73時限目:スカーレット - スピッツ大学

 

12.フェイクファー
→ 149時限目:フェイクファー - スピッツ大学

 


■僕は個人的に、スピッツのオリジナルアルバムで、活動時期を勝手にいくつか分けているのですが、その中の第2期「スピッツ黄金期」(要は、スピッツの名前が全国に広がって、作品の売り上げも絶頂を迎えた時期)として、5th『空の飛び方』~8th『フェイクファー』を位置付けています。つまり、第2期が、この『フェイクファー』で終わったことになります。

 

アルバムに入っているシングル曲は、【スカーレット】【運命の人】【冷たい頬】【謝々!】【楓】の5曲と盛りだくさんです。どの曲も、スピッツのシングル曲として、非常に知名度の高い曲ですね。

 

余談ですが、シングルにおいて【謝々!】は、カップリング曲ではなく、【冷たい頬】とともに両A面の曲だったんですよね。【冷たい頬】の方が、目立って知名度が高いので、影に隠れがちですが、個人的には【謝々!】の方が大好きです。

 


■さて、このアルバム『フェイクファー』において、スピッツは、ひとつの大きな転機を迎えることになります。

 

スピッツのこれまでのアルバム…4th『Crispy!』~7th『インディゴ地平線』は、笹路正徳という方が、長いことプロデュースを務めてきました。期間にして、およそ4年くらいになりますか。酸いも甘いも、スピッツとともに経験してきて、お互いの信頼関係は相当なものであったのだろうと察します。まさに、スピッツを世に送り出したプロデューサーと言っても過言ではないでしょう。

 


そして、転機というのは、まさにその笹路さんのプロデュースから、アルバム『フェイクファー』で離れることになるのです。書籍「旅の途中」にも、その話が載っていますが、少し紹介してみます。

 


 このアルバム(これは『インディゴ地平線』のこと)で笹路プロデュースによるスピッツのアルバムは四枚になった。そして、笹路さんが「そろそろかな」とそれとなく、いずれスピッツのプロデュースから離れる時期が来ることを口にするようになった。
「僕がプロデュースする若いバンドは途中で卒業していく。その後もしっかりやっていってもらえればそれが一番嬉しいよ」
 それが笹路さんの考えだと何度も聞いていた。

 

改めて、笹路正徳さんをネットで調べてみますと、プロデュースしたアーティストに、錚々たる名前が並んでいます。僕が好きなアーテイスト・ある程度は知っているアーティストだけでも、THE BLUE HEARTS、THE YELLOW MONKEYS、コブクロユニコーンなどの名前を見つけました。そして、その中に、しっかりとスピッツの名前もあります。ブルーハーツスピッツがつながっているのが、何か嬉しいですね、笑。

 

書籍「旅の途中」などを読んで思ったのが、笹路さんは、”たくさんのバンドの親”みたいな人だなってことでした。ちゃんと独り立ちするまで面倒を見て、大丈夫だなって思ったら離れる、これはまさに”親心”と言うべき感情に似ているかもしれません。

 


■そして、笹路さんから離れたスピッツは、アルバム『フェイクファー』のプロデューサーとして新たに、棚谷祐一という方を起用します。

 

書籍の中で、棚谷さんのプロデューススタイルとしては、”スピッツの五人目のメンバーのように、メンバーと同じ目線でアレンジ、レコーディングに参加してくれた”と紹介してありました。ただ、慣れ親しんだ笹路さんのプロデュースから離れたこともあって、当時のスピッツに余裕がなく、レコーディングを楽しむことが出来なかったと書いてありました。どこまでやればOKなのか、ジャッジを下す役割が居なくなり、混乱したとも書いてありました。

 


ちなみに、後に発売になるシングル『流れ星』において、カップリングに【エトランゼ (TANAYAMIX)】という曲が入っています。これはタイトル通り、アルバムに入っていた【エトランゼ】を、棚谷さんがリミックスしたものであり、実に8分以上の長い音源になっています。

 

僕は、【流れ星】が好きだったので、このシングルを持っているのですが(8cm時代の古い方を持っています!)、この曲が入っていて、すごく得した気分です。【エトランゼ (TANAYAMIX)】は、何ていうか、インスト?サウンドトラック?みたいな感じで、草野さんのボーカルなどはもはや目立ってないのですが、棚谷さんのミックスは、僕はこれはこれで好きなんです。

 

【エトランゼ(TANAYAMIX)】は、このシングルでしか聴けませんので、良かったら聴いてみてください。(今だったら、ダウンロードとかできるのかな?分からんけど)

 


■ということで、新たな体制でレコーディングされたアルバム『フェイクファー』ですが、前作『インディゴ地平線』と同様、またしてもミックスダウンが上手くいかなかったと記されています。音が暗い、ライヴのような迫力のある音が出ない、などと評価されていましたが、そういうこともあり、草野さんはこの作品を、”いまだに聴きたくないアルバム”と評しておられました。

 

しかし、それと同時に、”ファンの中には『フェイクファー』がいちばん好きだと言ってくれる人もいる”とも記されています。まさに僕自身も、第2期のアルバムの中では、『フェイクファー』が一番好きなんです。

 


いつも同じようなこと書きますが、『インディゴ地平線』『フェイクファー』『花鳥風月』は、小中学生の頃、カセットテープに吹き込んで何度も聴いた、自分の中で一番記憶の古いスピッツ作品なので、どれも思い入れが強いのですが、その中でも特に、アルバム『フェイクファー』がお気に入りでした。

 

うまく説明ができないんですけど、子ども心にも、アルバム『フェイクファー』って他の作品とはちょっと違う感じがしたんです。作品で言うと、例えば『空の飛び方』だったり『ハチミツ』の方が聴きやすいんですけどね、音も雰囲気も明るいですし。それでも、僕は『フェイクファー』が好きなんです。

 


■その理由として大きかったのが、やっぱり表題曲であり、アルバムの最後に入っている【フェイクファー】という曲だったと思います。とにかく、この曲のインパクトが強くて、その魅力に憑りつかれ、この曲だけをずっと繰り返し聴いたこともありました。

 

当時は、学校でちょうど英語を本格的に勉強し始めた頃だったんですけど、”フェイクファー / fake fur”という言葉は、単語としての意味は、”fake”は偽物、”fur”は毛皮という風に、すぐに理解できたんです。

 


fur / 毛皮というと、包まれると温かさを感じるもので、何ていうか、”温もりの象徴”みたいなものですよね。アルバムの中にも、そんな温もりを感じるような、何だかほっこりとする曲が入っています。

 

個人的にはプロポーズソングのように感じている【運命の人】


バスの揺れ方で人生の意味が 解かった日曜日
でもさ 君は運命の人だから 強く手を握るよ

 

幼い男の子の甘酸っぱい恋心を描いた【仲良し】

いつも仲良しいいよねって言われて
でもどこかブルーになってた あれは恋だった

 

個人的には出産を当てはめた(書籍には、笹路さんへの感謝・スピッツの旅立ちを表したとも?)、とにかく派手で明るい【謝々!】

いつでも優しい君に 謝々!!
大人も子供も無く
涙でごまかしたり 意味もなく抱き合う僕ら
今ここにいる

 

これも幸せな雰囲気が漂っている【スカーレット】

離さない このまま 時が流れても
ひとつだけ 小さな 赤い灯を
守り続けていくよ

 


こういう曲が続いていって、最後に【フェイクファー】という曲が入っているのです。

 

僕は、このアルバムの最後に【フェイクファー】が入っていることに、何とも言えない不思議な気持ちというか、”怖い”気持ちになったことを覚えています。

 

ファーはファーでも、フェイクですからね。アルバムを聴いてきて、温かくなるような楽しい曲も入っていて、それで行き着いた最後に、”偽物の温もり”と歌われているわけです。もちろん、一曲一曲で違うことを感じれば良いんですけど、表題曲であり最後に入っている【フェイクファー】を、どうしてもアルバム全体の主題のように聴いたのです。

 

これまで歌われていたことが、全部”偽物でした”と突き付けられたような、大げさに言ってしまえばそういう感じです。今までのアルバムの世界観が、この【フェイクファー】という1曲によって、ガラッと変わってしまうような感じがして、聴き終わって、何とも言えない余韻に浸るのが好きだったんです。

 


■”フェイク”というタイトル通り、歌詞の中には、”ウソ”や”偽り”、あとは他の部分では”分かち合う物は 何もないけど”などのフレーズが入っています。そんなに頑なに、嘘だの偽りだのって歌わなくても…とか思ったりするんですが、歌詞の続きを書いてみると、こんな感じになっているのです。

 


唇をすり抜ける くすぐったい言葉の
たとえ全てがウソであっても それでいいと

 


偽りの海に 身体委ねて
恋のよろこびに あふれてる

 

嘘や偽りでも、君に出会ったこと、恋に落ちたこと、身体を重ねたこと、それらに喜びを感じていると。要は、当事者にとっては、偽物だろうが幻だろうが、真剣に信じているから、立派な本物なんだよって、そういうことですよね。

 

触れられない、届かない、許されない…そんな願いや恋愛(の成就)を、妄想的に描くのは、草野さんの美学と言いますが、詩の世界観のひとつになっていると思います。

 


■何気にアルバム『フェイクファー』は、10年経ったスピッツが初めて出したアルバムなんですよね。厳密には、1987年が結成年ですから、11年経っていることになります。

 

書籍「スピッツ」では、”囚われないスピッツ元年”という言葉でスピッツを表現していましたが、先述の通り、笹路さんのプロデュースから離れたり、極端に作品が売れた”スピッツバブル”も一段落して、スピッツはまた新しい局面へと突入していきます。

 

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