スピッツ大学

ステイホームしながら通える大学です!

スピッツ大学の一旦休止に際して 報告と思うこと

■おはこんばんちは、学長のitukamitanijiでございます。

 

これを打っている日時は、2018年12月29日でございます。リアルタイムで見ておられる方には、どうか良いお年を!

 


ということで、早速本題に入ります。

 

同じことを何度も書いていますが、2018年12月現在の時点で、これまでに書きたかった全ての記事を、一旦書き終えることができました。

 

ここスピッツ大学で、一番力を入れてやってきたことは、「スピッツが発表した全曲を紹介・解説すること」でした。具体的には、スピッツ全曲研究セミナーと、スピッツ全アルバム研究セミナーを書き終えることでした。インディーズの楽曲を除いて、いわゆる”普通に聴く”ことができる楽曲について、全て紹介することが目標でした。

 

期間にして、3年半くらいでしょうか…まぁ最初の方の記事は、前身のブログからのコピペだったので、そこを合わせると、合計4年くらいでしょうか。スピッツ全曲研究セミナーについては、アルバム『醒めない』の収録曲、その後に発表された新曲たちを経て、最後はおまけで【晴れの日はプカプカプー】まで…229時限目(記事)まで書き終えています。

 


…ということで、もうネタがございません!

 

まぁ、ネタなんて言うのは、本当は無理やり作ればいいのですが、ことスピッツ大学に関しては、先述の通り、スピッツの楽曲があって成立するところなので、それを全て紹介しつくした現状では、もうできることがありません。

 

つきましては、スピッツ大学の更新は、一旦ここで止めます。また、スピッツの活動に何か動きがあったら…特に新作の発表がありましたら、またここで思う存分書きたいですね。2019年には、スピッツの新しいシングルやアルバムが出そうですかね?それまで、いちファンとして、待ちたいと思います。

 


これまでずっと意欲が続いたのも、やっぱりたくさんの方が読んでくださっていたからだと思います。本当にありがとうございます。まぁ、全然終わりじゃないですからね、また新しい曲が出た時は、「そういえば、アイツ書いてるかもしれないな」とか思い出して、良かったらまた遊びに…いや、講義を受けに来てください。


…と、形式的にですが、あいさつとさせていただきます。本当にありがとうございました。

 

 

 

■ということで、ここからはまた、長くスピッツ大学を書いてきた、個人的な気持ちをダバダバと書いていくので、興味のお有りの方はこのまま読み進めてください。

 

今回、この一旦のスピッツ大学の終わりに際して、これまであまりやらなかったことですが、質問・ご意見などを募りました。そんなに集まってないのですが、それを基に、自分の気持ちを書いていきたいと思います。

 

 


「実は去年の広島ライブで斜め後ろくらいにいました。MCで座る気配が一向にないのが、私とitukamitanijiさんくらいだったのとメモに曲を書かれていて、すぐにわかりました!」

 

まずは、いきなりこちら笑。

 

何と、僕は目撃されていたようなのです、多分僕だったんでしょうね笑。もう、びっくりしちゃいました。

 

ここに書いてある通りなのですが、MCやアンコール待ちでも、一回も座らなかったんですよね。…と言うより、座れなかったんですよ、気持ちが昂っちゃって、もったいない気がしたんです。後ろの方々には、邪魔になってしまっていたら、申し訳なかったですね。変な行動を目撃されていなければ良いのですが、苦笑。

 


スピッツ大学に関しては、本当にいい時期に書いていたな、と思うんです。スピッツ結成30周年という、記念すべき時期をまたぐことができて、すごくタイミングとしては良かったんです。

 

そして、この時期にブログを書いていたからこそ、ライヴに行ってみようという気持ちになって、実際に初めてライヴに行くことができたわけですからね。30周年ライヴに参加できたのは、一生語り継げる宝物になりました。

 

 


「学長が、解釈を書いていて思い入れのある(楽しかった)曲」

 

これに関しては、全曲!…と言いたいところですが、やっぱり思い入れのある曲はあります。

 

基本的には、自分が好きな曲(個人的ランキング上位の曲)は、かなり思い入れを持って書いたつもりです。あと、シングル曲とかですかね、やっぱりいつもより気合いを入れて書かないとって、張り切っていました。

 

思い入れのある曲でダントツなのが、【1987→】【ロビンソン】【僕はきっと旅に出る】が3強ですかね。1曲ごとの紹介として書いた記事では、この順番で文量が多いんです。

 

特に、【僕はきっと旅に出る】に関しては、思い入れが強いです。震災のことを思ったり、自分が仕事を辞めた頃のことを思い出したりと、あまり明るい記事にはなりませんでしたが、まぁ明るく楽しいだけがスピッツ大学というわけではないですし。大切に書いた記事です。こういう記事を書くために、スピッツ大学をやっていた、と思える記事の一つですかね。

 

itukamitaniji.hatenablog.com

 

 

 

「昔の歌詞と今の歌詞の違い」

 

僕の中で、スピッツの歌詞の感じが変わったなと感じた時が3時点あると思っていて、それぞれ、

 

①アルバム『Crispy!』辺り
②アルバム『三日月ロック』辺り
③アルバム『小さな生き物』以降

 

なんです。

 


まず、アルバム『Crispy!』辺りのことで言えば、シングル曲の【裸のままで】において、”君を愛している”という言葉が使われています。アルバム『Crispy!』が、スピッツが売れ線を狙って、キャッチーなアルバムを目指して作ったアルバムだったので、そういう気持ちの変化が、歌詞や曲の雰囲気に、劇的な変化をもたらしたんだと思われます。

 

”君を愛してる”というフレーズを使ったことについても、インタビューの中で、

 


草野さん「もう『君を愛してる』っていう言葉は意味を持ってないって考えてもいいと思うんですよ。なんか『ポパイに載ってたからこの服を着てみよう』っていう感じの。みんなで歌ってるから一度ぐらいは歌ってみようっていう(笑)。例えば、今までは『ポパイに載ってるような服は絶対に着たくない』って言ってたわけですよ。」

 

という風に語っています。僕の想像も含めますが、草野さんは、ずっと直接的なフレーズを使うことに抵抗を示していたんだと思います。

 


それから、アルバム『三日月ロック』辺りで区切ってみると、僕の一番好きな曲が、【けもの道】なんですけど、この曲を聴いたときに(歌詞を読んだときに)、ちょっと今までとは違うなって感じたことがあったんです。

 

それは、歌詞に”あきらめないで”という言葉が使われていたことでした。

 


あきらめないで それは未来へ
かすかに残るけもの道
すべての意味を 作り始める
あまりに青い空の下
もう二度と君を離さない

 

こんな感じの歌詞です。先程の【裸のままで】の歌詞と同様、とても直接的な言葉が使われていると感じたんです。”あきらめないで”なんて、まさにそうですよね。他にも、曲の最後に”フレーフレーフレー”というエールも入っていて、かなり今までとは違うなって感じたことを覚えています。

 

ただし、この辺りは、アルバム『Crispy!』のときに、ちょっと無理してキャッチーな言葉を使っていた、というのとは少し違っているように思ったんです。この【けもの道】の歌詞は、そういう風に書かなければ伝えることが出来なかった想いを感じます。

 

アルバム『三日月ロック』は、アメリ同時多発テロによって、不安な気持ちに包まれている日本を、少しでも応援しようという草野さんの気持ちが大きく反映されていると思います。そういう気持ちを歌詞に込めるのに、より真っ直ぐな言葉が必要だったんだと思います。

 


そして、アルバム『小さな生き物』以降について。

 

最初の頃は、草野さんの歌詞のテーマは「セックスと死」、というものが中心にありましたが、東日本大震災を経て、「死と再生」というものに変わっていきました。アルバム『小さな生き物』やアルバム『醒めない』がそうですよね。

 

何となく”セックスと死”というと、”始まりから終わるまで”っていう感じじゃないですか。昔は、そこで終わりだったんです。

 

しかし、”死と再生”だと、”終わりからまた始まる”という感じになりますよね。これは例えば、未曽有の大災害によって、悲しみに包まれた日本とそこに住む人々が、少しでも悲しみから立ち直れるようにという、草野さんの気持ちが入っているのだと思います。

 

他にもあると思いますが、こういうたくさんの大きな出来事を前にして、草野さんの心境の変化っていうものは、歌詞に表れていると思います。

 


ここスピッツ大学では、初期の曲から、最新の曲まで紹介してきたのですが、やっぱり初期の曲は、世界観がマニアック過ぎて、自分なりの解釈を述べるのがとても難しかったのは事実です。一方で、最近の曲は、もちろん独特なものもありますが、ほとんどの場合は、かなり読みやすくなって、割とそのままだなと思う歌詞も多くありました。

 

全体的にまとめてみますと、最初は、”始まりから終わり”という、内に秘めた”閉じた世界”のことを書いていたと思っています。それはいわゆる、草野さんの妄想やファンタジーの要素が、色濃く反映されていました。

 

そこから、草野さんの歌詞は、より現実のものに影響を受けるようになってきたのだと思われます。直接自分の身に起こったこともそうですが、これまで書いてきた、現実で起こった様々な出来事を原因として、もっと自分と現実との関わりを、書くようになったのだと思われます。

 

…何かまとまってないですね、すんません。

 

 

 

「(この間の自分の妄想なのですが)もしもスピッツスペシャルプロデューサーになって「My SPITZ Mix」という題でスペシャルアルバムを作ることになったらどのような選曲をしますか?既存曲→15曲、カバー→1曲、アレンジを含む歌い直し→1曲」

 

今の気分だったら…

 

01.スピカ
02.放浪カモメはどこまでも
03.8823
04.ほのほ
05.ワタリ
06.魚
07.猫になりたい
08.漣
09.僕はきっと旅に出る
10.テレビ
11.夢追い虫
12.旅の途中
13.けもの道
14.1987→
15.フェイクファー

 

カバー:鱗 / 秦基博(単純に歌って欲しい)
歌い直し:晴れの日はプカプカプー(新録)

 

ですかね。【晴れの日はプカプカプー】は、切に願っています。

 

 

 

「心残りな解釈の曲はありますか?」

 

これは、無いですね。男なら、一発勝負ですよ!

 

自分の記事を書いた後で、他の人の解釈を読むことはあるんですけど、自分のと似ていたり、あるいは全然違っていたりします。でも、自分の解釈は、どれも一番大切にしたいし、記事は一発勝負なんですよね。ですんで、自分の記事で、心残りを感じたことはありません。

 

ただ、矛盾するかもしれませんが、最初の方の記事は、書き直してみたいなって思うときがあります。まだ自分でも書き方が確立されていなかったので、今になってまた同じ曲の記事を書くと、結構違うものになるかも?とは思っています。

 

 

 

「続けるって何でもそうですけど思ってるよりずっと大変で、だけどとても大切なことですよね。これが大きな力となってスピッツを愛する皆んなに届いているんですね。すごくステキな繋がりだと思います。」

 

これは、本当にそう思います。スピッツも30年続いて、まだまだこれからも続いていくということに関しても、アーティストとファンという関係以上に、人の生き方として尊敬できることがたくさんあります。自分も、そうでありたいなと、思うばかりですけどね。

 

ただ、読んでくださった方とのつながり、というものに関して言えば、そこらへんはそんなに自分からは、積極的にできなかったかったですかね。結構、一方通行的に、わがままに記事を書いていくだけで、自分からは積極的に裾野を広げるようなことはできませんでした。そういうことを、せめて少しでも考えて行った企画が、「スピッツ大学ランキング」だったんですけどね。

 

僕にとっては、たくさんの読者がついてくださって、それはとても嬉しいことなのですが、逆に、こちらから…という意味では、ほとんどやってないんですよね。申し訳ないです。

 

ただ、読んでくださった方には、本当に感謝しています。少しでも、楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

 

「ブログを書く上で、気を付けていることと、苦労していることは何ですか?」

 

(※これは、もう1年くらい前になりますが、ツイッターのDMかコメントかで、こういう感じの質問をされたことがありましたが…確か、答えようと思いつつ、結局無視しちゃったんです苦笑。だから、今一度ここでほじくり出して、答えてみようと思ったわけです。すみません。)

 


気を付けていることは、「具体的に書く」「分かりやすく書く」ということです。自分から勝手に始めたことだとしても、”解釈を書く”だの”考察を述べる”だの公言してしまっているので、その通りのことをまずしないといけないと思うのです。

 

その時に、読んだ方々に、意味が通じないようじゃ良くないなぁと。あんまり難しい言葉は使わずに(というより使えないだけですが)、あんまり不思議な言い回しは避けて、具体的に説明しようと思ったんです。

 

だから、別に僕の記事に、しっくりくるかこないかは良いんです。ただ、自分の言いたいこと自体がよく分からなくて伝わらないようじゃ、寂しいなって思うんです。

 


苦労していることは…最初から最後まで、ありませんでした!

 

何ていうか、苦労を感じたら、きっと書くことを止めていたと思います。仕事でもなんでもなく、ブログでお金を稼ぐことなんて、これっぽっちも考えておらず、無償で書き続けています。ただ、スピッツが好きなことと、文章を書くことが好きで、その欲を満たす趣味を楽しんでいるだけなので、苦労を感じたら意味がないんです。ただ、楽しいから、続けているだけなのです。

 

最初から最後まで、個人的には、楽しく書かせていただきました。これからも、そうであってほしいし、そうでなければ書き続ける意味がありません。

 

 

 

■はい、という感じでございます。

 

まぁ、何度も言うように、全然終わりではないですので、僕も毎日スピッツ大学は覗いていますので、何かありましたら、どこの記事にでもコメントをいただければ、なるべく反応しようと思っています。

 

また長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださった方が居られましたら、どうもありがとうございます。

 

またお会いしますよ!お元気で! 

itumamitaniji 記

皆さんへお知らせとお願い

■平素より大変お世話になっております。おはこんばんちは、学長のitukamitanijiです。

 

 

早速ですが、今日はとりあえず、手短に話しておきます。

 

ここスピッツ大学で、現時点(2018年12月)までで書きたかったことを、全て書き終えることができました。具体的には、目標としていた、スピッツ全曲研究セミナーにて、自分が普通に聴くことが出来る全曲を紹介したつもりです。アルバムの方も、同様でございます。

 

ですので、スピッツ大学の総括的な記事を近いうちに(年内に)書いて、一旦スピッツ大学で記事を更新することを、一旦著しく減少させるつもりです。

 


■つきましては、このような節目において、

 

最後に何かこういうことを書いて欲しい(聞いてみたいこと)とか、スピッツ大学に感想などがありましたら、お聞かせください。それに触れつつ、記事を書こうかなと思っております。要は、インタビュー的な記事になれば面白いかな、とか思ったんですが…特に何も無ければ、勝手に独りで盛り上がって書こうと思いますので、あしからず…苦笑。

 

多分、週末くらいまでに書こうと思っていますので、短い期間になりますが、皆様の忌憚なき意見をお待ちします。この記事のコメント欄にでも書いていただけたら幸いです。

 

では、よろしくお願いします。 学長 itukamitaniji

229時限目:晴れの日はプカプカプー

【晴れの日はプカプカプー】

 

晴れの日はプカプカプー

晴れの日はプカプカプー

  • provided courtesy of iTunes

  

スピッツのインディーズ時代の楽曲です。1989年4月に発売になったらしい、自主制作カセット『ハッピー・デイ』に収録されているようです(ちなみに、スピッツの結成は1987年、スピッツのメジャーデビューは1991年)。

 

インディーズ時代のカセットのため、今では手に入れることがほとんど不可能である作品です。ネットオークションに、時々現れているようですが…。

 


カセット『ハッピー・デイ』の収録曲は、A面が【僕はジェット】【晴れの日はプカプカプー】、B面が【クモ少年が走る】【ハッピー・デイ】の全4曲。

 

これらの収録曲のうち、カセット以降で音源化(CDやDVDで聴くことができる)されているのは、【僕はジェット】と【晴れの日はプカプカプー】のみで、【クモ少年が走る】と【ハッピー・デイ】は、音源化されていないはずです(よね?)。

 

【僕はジェット】は、スペシャルアルバム『色色衣』にも収録されていて、聴くことができます。

 

そして、今回の【晴れの日はプカプカプー】についても、2016年1月1日に発売になった、映像作品『THE GREAT JAMBOREE 2014 “FESTIVARENA” 日本武道館』において、DVD・BDにライヴ映像が、そして、限定盤のCDにはそのライヴ音源が、それぞれ収録されています。僕自身は、通常版しか持っていないので、CD音源ではプカプカプーすることができないので、もっぱらライブ映像を見てプカプカプーしています。

 

おそらく、インディーズ時代の音源は、また違う感じの曲になっているのでしょうけど、スピッツ大学の原則として、インディーズ時代の楽曲は、”正当な方法”で僕自身が聴くことができる曲のみ、紹介させていただこうと思っていました。

 

ですから、【晴れの日はプカプカプー】は、映像作品『THE GREAT JAMBOREE 2014 “FESTIVARENA” 日本武道館』で聴くことができるので、そちらの音源を基にして書いています。

 


■それにしても、この【晴れの日はプカプカプー】は、インディーズ時代の楽曲ながら、とても素晴らしい曲です!

 

インディーズ曲の中でも、この【晴れの日はプカプカプー】は人気が高く、ライヴで演奏された回数が、比較的多い曲だそうですね(一番多いんですかね?)。この武道館ライヴだったり、ファンクラブイベント、通称・ゴースカでもやったことがあるようです。

 


まず、イントロからワクワク感が止まらないですね。最初は草野さんのアコギの音から始まって、そこからギター、ベース、ドラムが少しずつメロディーを変えながら集まっていく感じがたまりません。

 

特に、僕はアコギの音がすごく好きなんですよ、イントロとサビで、同じコード進行を繰り返しているだけなのに(アコギで、ミュートなしのパワーコードを弾いているか?)、すごい気持ちがいい音なんです。

 

この辺りはあれですかね、かつてスピッツはパンクロックバンドで活動していたわけですが、そこから少しずつ草野さんがアコギを弾きながら歌うという形に音楽性が変わっていったということを鑑みると、その変革期に生まれたような曲ですよね。全体的に、演奏もボーカルも優しいんですけど、パンクロックっぽさがその後ろに見え隠れしているような、何とも不思議な曲です。

 


そして、さすがはインディーズ時代からあった古い楽曲、やはり歌詞の世界観のクセがすごいんです。そもそも、タイトルから”晴れの日はプカプカプー”なんて、常人離れしたものになっていますからね。

 

ということで、さわやかなようで、どこか怪しい雰囲気が漂う歌詞…どういうことを歌っている曲なのか、ここからはそこら辺をメインに考えてみます。

 


■まず、この歌の現状が分かりそうな、2番Aメロの歌詞から。

 


変わっていく空の色と
消えていく大好きな匂い
だけどこんな日にはせめて
僕の周りで生き返って

 

何だか、悲しくて寂しいんですけど、好きな歌詞ではあります。

 


まず気になるのが、”僕の周りで生き返って”という部分です。”生き返って”は、”君”にかかっている言葉になるのですが、素直に読むと、”君”はもう亡くなってしまっており、故人である”君”に会いたいという気持ちから、”生き返って”という表現になっていると思われます。

 

もちろん、例えば「思い出が甦ってくる」みたいな言い方もあるので、”生き返って”という表現についても、別に故人を当てはめなくても、何らかの理由で別れた人と、せめて思い出や夢の中だけでも会わせてほしい、と願っている表現であると考えられなくもありません。

 

ただ、やっぱり全体的な流れを読むと、前者の、”君”は故人であるという物語の方が自然なのかな、と思います。何より、”変わっていく空の色と 消えていく大好きな匂い”というフレーズを受けての、”生き返って”の部分ですからね、思い出を振り返るだけにしては意味深すぎかなと思うのです。

 


それから、気になる表現としては、3行目の”こんな日にはせめて”の”こんな日”というフレーズです。タイトルには、”晴れの日”という言葉が使われているので、”こんな日”=”晴れの日”ということになるわけですが、もっと具体的にどういう日なんだろうって思うわけです。

 

しかも、”こんな日にはせめて 僕の周りで生き返って”という言葉があるので、何ていうか、故人である”君”が生き返って欲しいと願う特別な日である、という感じに捉えられます。

 


そういう風に考えていくと、”こんな日”としては、例えば、”お盆”が挙げられますかね。お盆というのは、日本の伝統的な風習であり、要するにこの日には、亡くなった人があの世(浄土)からこの世(現世)に帰ってくる日とされており、墓参りに行ったり、仏壇に線香を焚きお祈りをしたり、あとは精霊牛・精霊馬と言って、なす(牛に見立てる)ときゅうり(馬に見立てる)を飾ったりします。

 

まさに、この歌の歌詞でいうところの、”僕の周りで生き返って”と願う大義名分のある日ではあります。

 

あとは、ただ単に、故人の命日とかですかね。命日に、在りし日のその人のことを思い出して、悲しみに暮れながらも、命日という特別な今日一日だけでも、”君”に会いたいなという気持ちを吐露しているのかもしれません。

 


どういう日なのか、というヒントになりそうな言葉としては、同じく2番に、こんなフレーズがあります。

 


踏切の向こう側に
君の蜃気楼が映る

 

ここも、色々と想像できそうですが、一先ず”蜃気楼”という言葉から、夏の暑い日を思い浮かべます。タイトルには、”晴れの日”という言葉が含まれますので、夏のとても晴れた暑い日を当てはめることができます。

 


■そこからの流れとしては、出だしの歌詞、

 


自転車走らせてる
僕は空気に溶けていく
雫の落ちる音がする
終わらない下り坂で

 

この辺りは、”僕”の行動や様子を表わしている描写です。

 

”雫の落ちる音”という表現は、先程の”夏の暑い日”という解釈を思えば、”雫”とは滴り落ちる汗のしずくのことか、もしくは、”君が亡くなった”という解釈を思えば、悲しみから流している涙か、そういうものを表していると考えました。

 

”自転車”という言葉は、何となく、子どもの姿を思い浮かべさせられます。草野さんの少年時代の思い出なのか、それとも、架空の物語を書いているのか。

 

それから、ここの”終わらない下り坂”については、個人的にひとつ思い出すことがあって、それは「サイレントヒル」というホラーゲームにおいて、長い下り坂(多くは階段ですが)を下っていくことは、”精神世界へ潜っていく”ということを表わしている、ということが言われています。

 

曲に戻って考えれば、”終わらない下り坂”というのは、ただ単に自転車でとても長い坂道を下っている、と考えられるし(”終わらない”は、とても長いことを表わしている)、先程の「サイレントヒル」のように考えれば、自分の妄想や想像の世界に入り込んでいる描写とも取れます。

 

例えば、”君”という大切な人を亡くしたが、お盆や命日という特別な日を迎えて、その人との思い出の世界に浸っている、ということになります。

 


■その他、気になる表現としては、

 


今日は眠りの奥深く
逃げ込んだりしなくていい

 

逆に考えると、今日までは、眠りの奥に逃げ込む日々を過ごしていたと。それは、君を亡くした悲しみから、せめて夢や妄想の世界で会えるようにと願い、自分の精神の中に閉じこもっていた、と考えられます。

 

しかし、ここでも”今日”という、特定の日を表す言葉が出てきますが、これも先ほどと同様、お盆や命日といった特別な日を表しているため、夢や妄想ではなく、現実の世界で、君に会えるということを願っていると考えられます。

 



見えない翼で舞い上がる
それでも雲さえ掴めないかもね

 

不穏なのは、ここの部分です。ここを、”飛び下り自殺”などと考えると、またこの歌の世界観がガラリと変わってきます。要するに、”こんな日”や”今日”は、”僕”が死ぬことを決めた日であり、だからこそ”生き返って”や”逃げ込んだりしなくていい”という歌詞が散らばっていると考えられます。自分が死ぬんだから、故人である”君”に会えるから、もう自分の妄想に逃げ込まなくていい、とこういう流れですね。

 


■あとは、最大の謎…”プカプカプー”という言葉についてです。

 

曲の随所で、曲のタイトルにも使われています、”プカプカプー”という言葉が連呼されています。この言葉は、どこかの情報で得たことによると、”タバコを吸っている描写”であると草野さんが語ったそうです。”プカプカ煙草を吸う”とか言いますからね。

 

とすると、単純につなげれば、タバコをプカプカ吸いながら、今まで書いてきたようなことを思い出している、と考えられます。

 


ただ、僕は全然別のことを思ったんです。というところで、色々散らかったので、まとめてみます。

 

まず、”僕”は、自分にとって大切な人物であった”君”が亡くなって、悲しみに暮れていました。その悲しみから、夢や妄想に入り込んで、”君”との思い出の世界へと逃げ込んで、心を閉ざしてしまいます。

 

そんな時、”晴れの日”(”こんな日”や”今日”などと同意)が訪れるわけです。ここからの解釈は2つあって…

 


① 晴れの日=お盆や命日など、死者との距離が近い特別な日

 

この解釈に立てば、”僕の周りで生き返って”や”眠りの奥深く 逃げ込んだりしなくていい”という言葉は、そのまま素直に読んで、故人との思い出を振り返って懐かしみつつ、今日と言う日だけは、この世に戻ってきてください、と願っているという解釈になります。

 

そして、この場合の”プカプカプー”は、故人の魂が空に浮かんでいるという描写をイメージしています。暑い夏の日、とても晴れた空に浮かぶ雲…そういう光景を見上げて、この世に戻ってくる、あるいは、あの世へ帰っていく魂の姿を想像しているのかもしれません。

 


② 晴れの日=自分が命を絶って、個人の元へ行こうと決意した日

 

この解釈に立てば、先ほどの説明通りですが、”僕の周りで生き返って”や”眠りの奥深く 逃げ込んだりしなくていい”という言葉は、自分が命を絶ってあの世へ行くわけですから、”君”と会えるから、もう妄想の世界に逃げ込む必要はない、という意味になります。

 

そして、この場合の”プカプカプー”については、浮かんでいくのは、”僕”の魂になりますね。晴れた空にプカプカと、”君”のいるあの世へと浮かんでいく描写になると思います。

 


個人的には、①の解釈ですかね。矛盾するようですが、

 


見えない翼で舞い上がる
それでも雲さえ掴めないかもね

 

という部分で、結局は掴めなかったと歌っているわけですから、これは”あの世”へは届かなかった、という風に読み取ったからです。

 


■ところで、”僕”と”君”はどういう関係だったのでしょうか。

 

ここら辺は、特に僕個人的な想像が強いですが、”自転車”の下りで言ったように、個人的にこの歌の”僕”については、少年の姿を当てはめています。具体的には、小学生の低学年~中学年くらいでしょうか。要は、”死”というものが何なのか、そういうものを考え始めるお年頃という感じです。

 

おそらく、それくらいの時期に多くの人が、おじいちゃんやおばあちゃんなどが亡くなるという、最初の”死”に向きあう体験をすると思います。僕自身も、そうだったと記憶しています。

 

仮に、この歌の”僕”が草野さんであるとしたら、草野さんは、自分が子どもの頃に、おじいさんを短い期間で2人亡くされたという経験をしており、それが”死”を考える最初のきっかけになった、と書籍のインタビューにて語っておられました。ひょっとしたら、その辺りのことを思い返しながら歌った歌だったのかな、と思ったりしました。

 


そんな風に、【晴れの日はプカプカプー】は、誰しもが経験あるであろう、子どもの頃に、身近な人物を亡くした経験が思い出されるような、そういう不思議な歌であると、最終的な解釈として締めさせていただきます。

アルバム講義(特別編):Tribute Album『JUST LIKE HONEY ~『ハチミツ』20th Anniversary Tribute~』

JUST LIKE HONEY-「ハチミツ」20th Anniversary Tribute-

Tribute Album『JUST LIKE HONEY ~『ハチミツ』20th Anniversary Tribute~』
発売日:2015年12月23日

 


■収録曲
(オリジナル曲 / カバーアーティスト)

 

01. ハチミツ / 赤い公園

 

02. 涙がキラリ / 10-FEET

 

03. 歩き出せ、クローバー / NICO Touches the Walls

 

04. ルナルナ / 鬼龍院翔ゴールデンボンバー

 

05. 愛のことば / indigo la End

 

06. トンガリ'95 / LAMP IN TERREN

 

07. あじさい通り / クリープハイプ

 

08. ロビンソン / 9mm Parabellum Bullet

 

09. Y / GOOD ON THE REEL

 

10. グラスホッパー / ASIAN KUNG-FU GENERATION

 

11. 君と暮らせたら / 初恋の嵐 feat.曽我部恵一

 

bonus track. 俺のすべて / SCOTT MURPHY

 

 

スピッツのトリビュートアルバムとしては、前作『一期一会 Sweets for my SPITZ』に続き、第2作目ということになります。

 

アルバムのタイトル通りですが、今作は、スピッツのオリジナルアルバムの中で一番売上枚数が多い(恐らく今後も越えられることはない)、6枚目のアルバム『ハチミツ』の発売20周年を記念して作られたトリビュートアルバムです。ちなみに、アルバム『ハチミツ』は、1995年9月20日に発売されました。

 

sp.universal-music.co.jp

 

前作『一期一会』の収録曲(カバーされている曲)については、シングル曲が多いものの、例えば【猫になりたい】や【田舎の生活】や【Y】とかっていう風に、カップリング曲もアルバム曲も、割と自由に収録されていました。

 

一方の今作については、先述の通り、アルバム『ハチミツ』の発売20周年の記念作品でもあるので、収録曲(カバー曲)は、曲順もそのまま、アルバム『ハチミツ』に入っている曲が収録されています。(+ボーナストラックとして、【俺のすべて】が入っています)

 


また、前作『一期一会』については、カバーアーティストとしては、ソロアーティストや女性アーティストなどが多かったのに対して、今作については、いわゆるロックバンドの比率が高くなっています。

 

それも、スピッツよりも随分若手のバンドが、カバーアーティストを務めています。このことについては、スピッツのディレクターであり、今作のプロデューサーでもある竹内修さんが語っておられます。

 

インタビュー記事はこちら↓

https://sp.universal-music.co.jp/compi/hachimitsu20/concept.html

 


当初はそんなに意図していたわけではなかったが、参加アーティストはバンド率が高くなった。そして男性比率も。どうしても「トリビュート」という側面を考えると、バンド編成、男性ヴォーカルのほうが企画意図と合致しやすいのだろう。これも、ソロ・アーティスト、女性ヴォーカルが半数くらいを占めた『一期一会』との大きな違い。

 

要するに、ロックバンドとして活動しているスピッツの楽曲をカバーするのに、同じ形態のロックバンドの方が自然だろうということでしょうか。

 

また、若手がたくさん参加していることに対しても、例えば、indigo la Endは、バンド名を”インディゴ地平線”から取ったものだということが知られているし、また、Nico Touches the Wallsのボーカルの光村さんも、スピッツに影響を受けて音楽活動を始めた、ということが知られていたりするので、”憧れのスピッツ”という感覚は前作より強くなっているのだと推測されます。アルバムの”トリビュート感”は、より強まったのではないでしょうか。

 


■ということで、このアルバムの感想については、前に書いたことがあるのですが、ゆっくり振り返る意味で、前の記事をコピペしつつ、書き直してみます。

 

 

01. ハチミツ / 赤い公園

もうずいぶん昔のことになりますが、確か、テレビ番組「LOVE LOVE あいしてる」だったと記憶しています。Kinki Kidsの番組で、毎回ゲストを招いて、色々とトークなどを繰り広げる番組でした。その番組で、Every Little Thing持田香織さんがゲストで呼ばれた際に、スピッツの【ハチミツ】をカバーしていて歌われていました。

 

そん時に、あっいいなって思った記憶があって、絶対に【ハチミツ】は、女性にカバーしてほしいと思っていました。歌詞がもかわいいですしね。

 

赤い公園はあまり聴いたことないんですけど、女性バンドということで、女性にカバーして欲しいという願いが叶ってよかったと思っています。少しサイケデリックで激しい演奏をバックに、かわいらしいボーカルが引き立っていて、そのギャップが楽しめるカバーになっています。原曲の【ハチミツ】は、ただただかわいらしい曲なのですが、赤い公園がカバーすると、そのかわいさの中に、どこかピリッと狂気を感じるようです。

 

ハチミツ

ハチミツ

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02. 涙がキラリ☆ / 10-FEET

広島にかつてあった”SETSTOCK”という夏フェスに、僕はある時期毎年行っていたのですが、10-FEETはその夏フェスの常連でした。もう毎年のように出ていたので、最初はあんまり知らなったんですけど、知らない曲でも飛び跳ねて盛り上がって、会場もとても盛り上がっていたので、段々愛着も湧いてきました。10-FEETを見るのが毎年の恒例のようになって、毎年楽しんでいました。

 

そういう思い入れが割と強いバンドだったので、10-FEETのトリビュートはとても楽しみにしていました。10-FEETスピッツをカバーすることは、とても意外だったのですが、原曲とは決してかけ離れることなく、されど10-FEETらしい、パンクロックの力強さと優しさを兼ね備えたトリビュートになりましたよね。

 

そういえば、スピッツの3050LIVEにて、【涙がキラリ☆】をスピッツがやったのですが、その時に僕個人的には、この10-FEETバージョンの【涙がキラリ☆】を思い出したんです。いかんせん、スピッツのライヴに行ったのが初めてのことだったので、さすがライヴだけあって、どの曲も普段聴いている時よりも、ダイナミックでロックな感じがしたのです。そういうわけで、【涙がキラリ☆】も、10-FEETバージョンっぽさを感じたのだと思います。何ていうか、逆カバー的な感じですかね?

 

涙がキラリ☆

涙がキラリ☆

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03. 歩き出せ、クローバー / NICO Touches the Walls 

ニコのボーカルの光村龍哉さんは、スピッツに憧れて、何と小学3年生の頃から曲をつくり始めたそうです(wiki情報より)。そういうわけで、スピッツのトリビュートアルバムに参加できることは、とても嬉しかったでしょうね。また逆に、スピッツ自身も、リスナーも(少なくとも僕は)、そういうスピッツに憧れを持つ人にカバーしてもらうことは、きっと嬉しかったのではないでしょうか。

 

ニコも、個人的にはとても好きなアーティストだったので、カバーはすごく楽しみにしていました。夏フェス(また先述のSETSTOCKにて)でですが、生ニコを一度だけ見たことがあります。かなり良かったです!

 

カバー曲の感想ですが、原曲はかなりゆったりした感じの曲なんですが、カバーはそれよりもテンポが速くなっていて、アグレッシブになっています。アコギの演奏が目立って聴こえてくるのが印象的で、アコタッチテイストを感じます。やっぱり、光村さんは声が良いですよね、特に好きな声のボーカルの一人です。

 

歩き出せ、クローバー

歩き出せ、クローバー

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04. ルナルナ / 鬼龍院翔ゴールデンボンバー

原曲の【ルナルナ】っていうのは、かわいさとかっこよさが混在した曲ですよね。その曲には、この人の声はクセが強すぎて、似合わなかったんじゃないでしょうか。女性ボーカルにでも歌ってもらった方が、もっとかわいかったんじゃないかなぁって思うんですけどね。…まぁつまり、僕はこの人(の声)が、好きではないということです。

 

バックの演奏はとても素敵でしたね。クレジットを見ると、かなり豪勢な演奏になっているようです、ホーンや鍵盤の音なども派手でかっこいいです。

 

ルナルナ

ルナルナ

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05. 愛のことば / indigo la End

先程も紹介しましたが、indigo la Endというバンド名の由来は、スピッツのアルバムタイトルであり、その表題曲でもある”インディゴ地平線”が由来になっているそうです。indigo la End=インディゴラエンド=インディゴの終わり・果て、という感じのつながりになるのでしょうか。

 

何ていうか、indigo la Endなどで活躍されている川谷絵音さん(の音楽や声)も、そんなに好きではないのですが、このカバーに関しては、サビの感じがすごい好きです。こういうサビみたいな雰囲気って、indigo la Endに近いんじゃないかなって思うんですけど、どうですかね?【心雨】とか、こういう感じの曲じゃなかったですっけ?

 

だから、Aメロ・Bメロなどの感じは、ちょっと残念かなって思っちゃったんですよね、まぁ好みの問題ですけど。サビの雰囲気がかなり好みだったので、それで全編アレンジしてくれたら、もっと好きなカバーになってたかもしれません。

 

愛のことば

愛のことば

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06. トンガリ'95 / LAMP IN TERREN

バンド名は、「ランプ・イン・テレン」と読むそうです。名前は聴いたことあるのですが、楽曲はあんまり聴いたことはありませんでした。

 

ROCKIN'ON JAPANが主催する、アマチュアのロックバンドの大会「RO69JACK」にて、2013年にグランプリを獲得して、そこから本格的に活動が広がっていったようです。

 

原曲の【トンガリ95'】は、ノリノリのギターロックの曲で、スピッツ屈指のライヴ盛り上がり曲ではあるのですが、どこかその中にかわいらしさを内包しています。一方のテレンの【トンガリ95'】は、ワイルドさが何割も増していると言いますか、曲名通りとがってますよね。またボーカルの声がかっこいい!

 

トンガリ'95

トンガリ'95

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07. あじさい通り / クリープハイプ

1番のAメロのアレンジが、ちょっと変わっていて面白いですね。2番からは、また普通に戻るんですけど、これは曲に似合うアレンジだと思っています。

 

尾崎世界観さんの声も、クセが強くてそんなに得意ではないのですが、【あじさい通り】という曲に、このアレンジとボーカルは似合っていると思います。

 

あじさい通り

あじさい通り

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08. ロビンソン / 9mm Parabellum Bullet

何ていうか、良い意味でも悪い意味でも、原曲崩壊ですよね。9mmらしいと言えば9mmらしいってことになるんですかね、こういう爆音のアレンジは。僕はあまり好みではないですけど。それでも、スピッツで一番のヒット曲で、ここまで挑戦的に崩壊させるのは、かなり勇気がいることだったと思うのですが、どうなんですかね。

 

ちなみに、9mmはストレイテナーのトリビュートアルバムにも参加しており、そこでは【Melodic Storm】という、結構テナーの中でも人気の高い楽曲をカバーしているのですが、そのインタビューにて、ボーカルの菅原さんはこんな風に語っていました。

 


Melodic Stormは、他のどれよりも「みんなの曲」だというイメージがあったから、それを壊したくなかった。9mmの可能な限り真っ直ぐにカバーさせていただきました。

 

…おい、【ロビンソン】はどうしたんだよ!?

 

ロビンソン

ロビンソン

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09. Y / GOOD ON THE REEL

この曲は、前作『一期一会』でも、GOING UNDER GROUNDがカバーしていましたが、その時のは、かなり陽気なアレンジがされていました。僕は、GOINGが大好きなので、GOINGっぽいのは嬉しかったのですが、【Y】が纏っている、壮大な感じだったり、どこか寂しい雰囲気だったりっていうのは失われていました。

 

そこへ来て、このGOOD ON THE REELのアレンジは、とても良いですね!今回は、ちゃんと本家の【Y】の曲に漂う切なさを残しつつ、でもそんなにバラードバラードしてない感じが好きです。ボーカルの声にちょっと癖があって、それがさらに曲の切なさを強調するのに、一役買っています。

 

あんまり聴いたことがなかったので、ちょっと聴いてみたのですが、良いバンドですね! 

 

Y

Y

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10. グラスホッパー / ASIAN KUNG-FU GENERATION

原曲にないシンセサイザーの音が目立って聴こえてきますが、このアルバムのカバー曲の中では、一番原曲に忠実なカバーかなって感じます。ゴッチの声も曲に合ってると思うんですけど、サビで喜多さんにボーカルチェンジしているのが印象的です。

 

そういえば、アジカンのラジオ番組にスピッツが出演した時(逆かな?スピッツのラジオ番組にアジカンが出た?)の音源を、どこかで聴いた記憶があるのですが、そこで草野さんと喜多さんのしゃべる声がとてもよく似ていて、しばしばシンクロしているようなことが起きていました。

 

この曲では、実際に喜多さんが草野さんのボーカルを歌っているのですが、何となく高音が似ているような感じがしますよね。

  

グラスホッパー

グラスホッパー

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11. 君と暮らせたら / 初恋の嵐 feat. 曽我部恵一

アルバム『おるたな』の記事でも少し紹介させていただいたのですが、初恋の嵐というバンドは、メジャーデビューを間近に控え、ボーカルの西山達郎という方が亡くなってしまうという、悲しい道を辿ったバンドです。

 

それでも、活動休止から9年が経ち、2011年に活動を再開させたそうなのですが、この【君と暮らせたら】のカバーは、その活動再開後の初めての音源なのだそうです。この楽曲では、ソロで活動をしておられる曽我部恵一という方がボーカルを務めています。

 

2012年に発表したアルバム『おるたな』において、初恋の嵐の【初恋に捧ぐ】という曲を、先にスピッツがカバーしています。今回の【君と暮らせたら】のカバーも、そういう経緯(お返し的な?)があって実現したものなんでしょうか。

 

さて、カバー曲の感想ですが…本当に素晴らしいんですよ。LOST IN TIMEカバーの【田舎の生活】と同様、個人的には本家より好みのカバーです。琴線に触れるとは、まさにこのことでしょうか。

 

【君と暮らせたら】は、個人的な解釈としては(と言うより、割と公式か?)”夢落ち”を当てはめました。歌詞を読むと、結構寂しい感じがするのですが、メロディーとしては結構明るめになっているんですよね。

 

そこへきて、この初恋の嵐バージョンの【君と暮らせたら】については、その寂しさをそのまま表現しているような感じのアレンジになっています。元々の”夢落ち”という解釈を当てはめるならば、実際にはこの歌の中の2人は一緒に居ないはずなので、何ていうか、街に独りきり取り残されて、2人の思い出がつまった街を、独りで歩いて回っているような、そういう光景が浮かんできて、胸がぎゅっとなるんです。

 

 

 

bonus track. 俺のすべて / Scott Murphy

【俺のすべて】は、シングル『ロビンソン』のカップリング曲であり、スペシャルアルバム『花鳥風月』にも収録されていますが、スピッツのアルバム『ハチミツ』には入っていない楽曲です。おそらく、この曲がスピッツのマスト曲・人気曲の一つであることなどを考慮されてのことでしょうか、今作にはbonus trackとして、Scott Murphyにカバーされたものが収録されています

 

Scott Murphyといえば、ALLiSTERというバンドのボーカルで、現在は細美武士さんんの属するバンドの一つである、MONOEYESにも所属しています。

 

ALLiSTERについては、その昔、スピッツの【チェリー】をカバーしたことがありました。それを初めて聴いた時は、良い意味でも悪い意味でも衝撃を受けたことを覚えています。【チェリー】のパンクロックバージョンという珍しいものが聴けます。マーフィーは、本当に日本がお好きなんでしょうね。

 

俺のすべて

俺のすべて

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アルバム講義(特別編):Tribute Album『一期一会 Sweets for my SPITZ』

一期一会 Sweets for my SPITZ

Tribute Album『一期一会 Sweets for my SPITZ
発売日:2002年10月17日

 


■収録曲
(オリジナル曲 / カバーアーティスト)

 

01. スピカ / 椎名林檎

 

02. ロビンソン / 羅針盤

 

03. 楓 / 松任谷由美

 

04. 青い車 / ゲントウキ

 

05. 冷たい頬 / 中村一義

 

06. 空も飛べるはず / ぱぱぼっくす

 

07. 夢追い虫 / セロファン

 

08. 田舎の生活 / LOST IN TIME

 

09. うめぼし / 奥田民生

 

10. 猫になりたい / つじあやの

 

11. チェリー / POLYSICS

 

12. Y / GOING UNDER GROUND

 

13. 夏の魔物 / 小島麻由美

 


■2002年10月といえば、スピッツの活動で振り返ってみれば、シングル『ハネモノ』『水色の街』、アルバム『三日月ロック』が発売になって間もない頃になります。

 

そもそも、”トリビュート・アルバム”というジャンルの作品があるってことを、初めて知ったのがこの作品でした。

 

※トリビュート・アルバム…功績のある人物、グループに対して称賛するために作られるアルバムのこと。 複数のミュージシャンによって対象となるミュージシャンの曲をカバーしたコンピレーション・アルバムのような形式になることが多い。

 


僕はこの作品を、発売してすぐに聴いたのではなくて、発売して割と後になって聴いたと記憶しています。CDをレンタルして、MDに吹き込んで聴いていたんですけど、MDは手元にあるものの、CD本体は持っていなかったため、本体を手に入れたいなと思っていたところ、最近中古ショップで見つけて購入いたしました。

 

しかし、当時最初聴いた時は、あんまり好きになれなかったんですよ。それは、やっぱりスピッツの唯一無二感は格別なので、どの曲も違和感があるという感じだったんです。

 

でも今は、トリビュートアルバムの性質を概ね理解しつつ、そういう違和感も楽しむ作品であると、昔よりは理解したつもりなので、これはこれで良いよねっていう感じの聴き方ができるようになりました。

 


■ということで、早速1曲1曲の感想を述べていきたいと思います。

 

正直な話、失礼ながら(当時でも今でも)知らないアーティストが多かったため、自分なりに調べてみたことを少し載せていますが、付け焼刃的になってしまっているので、先にお詫びをしておきます。

 

それから、アルバム『一期一会』の音源を、ituneで見つけてブログに貼ろうかと思っていたのですが、『一期一会』がituneにはないようですので、スピッツの原曲と、そのアーティストのオリジナルの曲を1曲貼り付けることにしました。(YouTubeに公式の動画があればそちらを、なければituneの音源をアップしています)

 

 

 

01. スピカ / 椎名林檎

椎名林檎さんの音楽は、ほとんど聴いて来なかったので、初めてまともにフルで聴いたのが、この【スピカ】のカバー曲だったと記憶しています。

 

逆に、2018年に発売になった林檎さんのトリビュートアルバムで、草野さんがボーカルを務めたスペシャルバンド、”theウラシマ’S”で、林檎さんの【正しい街】という曲をカバーするなど、両者にはそれなりの接点がありそうですね。

 

カバー曲の感想ですが、まず、歌詞が”です・ます調”の【スピカ】に、林檎さんが似合っているなって思ったんです。林檎さん自身の楽曲でも、ちょっと古語調?古文調?みたいな歌詞を書かれることが多いじゃないですか、古い感じで独特な日本語の使い方をしますよね。そういう林檎さんの歌詞の特徴に、いかにも日本語らしい【スピカ】の”です・ます調”が似合ったのかな…というより、そういうところも意識して選曲したのかな、とか想像しています。

 

曲の雰囲気は、林檎さんバージョンの方が明るいですかね。キーボードやホーンの音が派手に鳴っていたり、Cメロなんかは、プログラミングを多用してかなりアレンジが成されていたりと、聴いていて面白いです。

 

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02. ロビンソン / 羅針盤

羅針盤というバンドがカバーしたのは、スピッツ最大のヒット曲【ロビンソン】です。

 

本家の【ロビンソン】と比べると、ギターの音が極力少なくなっており、代わりにキーボードとシンセサイザーの音が目立って聴こえるようなアレンジになっています。

 

元々、本家の【ロビンソン】も、浮遊感というか、幻と消えてしまいそうな儚さを感じる曲なのですが、羅針盤バージョンのアレンジで、さらにそれを推し進めていったという感じです。ボーカルの声もやけにムーディーで、AOR感というかレトロ感というか、そういうものを演出しています。

 

失礼ながら、この羅針盤というバンドを、僕は知らなったのですが、3ピースのフォークロックバンドだったようです。バンドのドラムを担当していた、西浦真奈さん(チャイナと呼ばれていたそうです)が、交通事故によりお亡くなりになったことで、バンドは解散してしまったということです。

 

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03. 楓 / 松任谷由美

スピッツ往年の名バラードの【楓】は、大御所の松任谷由美さんによってカバーされました。

 

何よりまず、ユーミンの声と歌い方が独特なので、ユーミンが歌うだけでもう、世界観がユーミンっぽい楽曲になっちゃいますよね。もうこのまま、ジブリ映画のエンディングの楽曲に使われてても似合っちゃいそうな感じです。

 

ユーミンバージョンの【楓】は、ホーンやフルートの音がたくさん使われているアレンジになっており、本家の【楓】とはかけ離れて、派手で陽気な曲になっています。そういうわけで、本家の【楓】は”死別”を思い浮かべるのですが、ユーミンバージョンでは、あまりそこまで悲しい感じではないですね。

 

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04. 青い車 / ゲントウキ

元々は、スリーピースのバンドだったそうですが、紆余曲折あって2人組になったり、3人組になったりを経て、現在は田中潤という方のソロプロジェクトになっているようです。このバンドも、一番最初の結成から数えると、もう20年以上も活動している古いバンドのようです。

 

本家の【青い車】は、解釈としては、”男女の心中”というものが広まっています。一方で、別に人によっては、”男女がドライブデートに行く”という解釈もありますし、僕自身もそれも当てはまるのではないか、と思っています。

 

そういうことを考えると、このゲントウキバージョンの【青い車】は、後者の”男女のドライブデート”としての【青い車】のイメージですね。曲のテンポも大いに変わっており、かなりおしゃれなアレンジになっているので、カーステレオからこの歌が流れている、という感じで聴けば、素直に青い車で男女が海に出かけたという光景が浮かんでくるようです。

 

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05. 冷たい頬 / 中村一義

中村一義さん(と100s)は、ある時急激にはまったときがあって、その時にアルバムをまとめて大人買いしたことがあります…と言っても全部中古でしたけど。

 

何ていうか、このカバー曲の、特にAメロからは、にじみ出る【キャノンボール】感がありますよね。”エッジオンオンオン…”って聴こえてきそうな…(あそこ何て言ってるんですっけ?)

 

本家の【冷たい頬】は、Aメロがあって、サビでちょっと雰囲気が変わって盛り上がっていくという感じの曲なんですが、中村一義バージョンでは、それをもっと極端にしている感じです。それが、すごいかっこいいんですよね、さすがです。

 

それから、トリビュートカバーにおいて、楽曲の構成として、Aメロ・Bメロやサビの位置を少し変えながら歌うということは、よくあると思うのですが、この歌に関してはそれに加えて、歌詞まで変えて歌っているというところがあります。具体的には、サビの”壊れながら 君を追いかけてく”が”くずれながら 君を追いかけてく”に変わっているのですが…どうなんですかね、考えようによっては、歌詞替えは禁忌を破った感がありますね。

 

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06. 空も飛べるはず / ぱぱぼっくす

ぱぱぼっくすというバンドも、知りませんでした。調べてみたところ、ギターボーカル、ギター、ドラムという構成のスリーピースのバンドらしいですが、もう20年以上も活動をしている、スピッツと同様長く活動をなさっているバンドのようです。

 

オフィシャルのサイトから、楽曲がいくつか聴けたのですが、この【空も飛べるはず】のカバーもそうですが、にじみ出る”みんなのうた”感がありますね。それは特に、このバンドのボーカルのさわだともこさんという方の、優しくて丁寧な声が作り出す世界観なのだと思いますが、楽曲の雰囲気に関しても、スピッツっぽいところを感じる部分が少しあります。

 

何ていうか、こういう知る人ぞ知るという感じのバンドを探せば、素敵なバンドはたくさんあるのでしょうね。日本の音楽界の奥深さを感じます。

 

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07. 夢追い虫 / セロファン

セロファンというバンドも知りませんでした。1993年に結成後、現在は活動休止中、西池崇と河野薫はタマコウォルズというバンドで活動中のようです。ただ、このタマコウォルズというバンドも、2013年くらいから止まっている…?

 

カバー曲については、本家【夢追い虫】がいぶし銀で重たい感じのロックだったのに対して、かなり軽い感じの、おしゃれなアレンジがなされています。

 

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08. 田舎の生活 / LOST IN TIME

こういう言い方をするのはふさわしくないかもしれませんが、僕は【田舎の生活】に関してだけは、本家スピッツよりも、このLOST IN TIMEのカバーバージョンの方が好きです。

 

何ていうか、新しい意味というか命というか、そういうものを吹き込んだ、本当に素晴らしいカバーだと思っています。それは、決して原曲の意味を変えてしまったとかそういう次元ではなくて、何ていうか、完全にLOST IN TIMEの曲にしてしまっているような感じです。

 

個人的に言わせてもらえば、本家の【田舎の生活】からは、”死”の雰囲気が漂っていて、曲調とも相まって、ただただ悲しい感じがするのです。しかし、LOST IN TIMEの【田舎の生活】からは、”死”の雰囲気はあんまり感じなくて、むしろ、前向きな別れのようにも捉えることができます。

 

最初のドラムの音が、ローカル線が走る音を表しているように聴こえてくるし、アウトロの盛り上がりや(この時のLOST IN TIMEのギタリストは、榎本聖貴という方だったのですが、この方のギターの音がまた泣ける)、本家には無い”さよなら”の連呼もとても印象に残ります。何ていうか、こっちの【田舎の生活】は、田舎から上京していく光景が浮かんでくるようです。

 

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田舎の生活

田舎の生活

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09. うめぼし / 奥田民生

これはもう、ピッタリなカバーですね。2007年に、スピッツ奥田民生の【さすらい】をカバーするのですが、どちらがどちらの曲をカバーしても似合うなっていう感じです。

 

【うめぼし】カバーに関しては、てっきり弾き語りになるのかなと思いきや、最初アカペラで始まりはすれど、途中からがっつりバンドサウンドになっていて、それがまた男くさいというか、渋い感じがして、これはこれでありだなと思うのです。何より、民生さんのボーカルがこの歌に合っていて、これもナイス選曲だなと思います。

 

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うめぼし

うめぼし

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10. 猫になりたい / つじあやの

つじあやのさんと言えば、ウクレレミュージシャンで有名な方ですよね。ジブリ映画「猫の恩返し」の主題歌の【風になる】は、きっと多くの方が知っている曲なのではないでしょうか。

 

これもナイス人選&選曲ですね。つじあやのさんの作り出す雰囲気が、【猫になりたい】の世界観にばっちり合っていると思います。ウクレレの音の他に、クレジットによると、ウッドベースとパーカッションの音が加わって、のんびりとした雰囲気を作り出していて、本当に耳心地が良いカバーです。

 

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猫になりたい

猫になりたい

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11. チェリー / POLYSICS

POLYSICSもほとんど知らないんですけど、何かの夏フェスで(SETSTOCKくらいしか行ったことないので、多分それ)、わけも分からず”レッツダバダバ”をした経験はあります笑

 

アルバムの中だったら、一番原曲と雰囲気が違っているカバーなのではないでしょうか。プログラミングやシンセサイザーをめいっぱい使って、どこか違う世界にでもワープしてしまそうな感じです。途中でテンポが変わったり、かと思えばまた戻ったりと、めまぐるしく面白い曲ですね。

 

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12. Y / GOING UNDER GROUND

この作品のカバーアーティストの中だと、一番思い入れが強いバンドです。大学生の頃にこのバンドのことを知ってから、本当に大好きになりました。自分が音楽サークルに入って、下手くそながら弾き語りでカバーをさせていただいていました。

 

この時代のGOINGは、初期の5人組だったんですよね…それを思うだけでも、今となっては、もうおじさんは泣けてきちゃうのです…。

 

GOINGの【Y】は、原曲とはかなり変わっています。本家スピッツの【Y】は、もう王道バラードでしたが、GOINGの【Y】は、イントロからキーボードの音がふんだんに使われて、ドラムのリズムとも相まって、行進曲でも聴いているような感じです。そのため、本家の【Y】に内包されていた悲しい雰囲気はありません。

 

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Y

Y

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13. 夏の魔物 / 小島麻由美

小島麻由美さんも、失礼ながら知らなかったのですが、調べてみると、ワンピースの映画『ONE PIECE FILM GOLD』にて、【GOLD & JIVE ~ SILVER OCEAN】という劇中歌を歌っていたようです。映画は見たのですが、知りませんでした。

 

このカバー曲も、先程のぱぱぼっくすの【空も飛べるはず】のカバーと同様、”みんなのうた”感が強いですね。本家の【夏の魔物】には、とある不吉な解釈が広まっていますが、小島さんの【夏の魔物】は、子どもの頃の夏の思い出を歌っているような、そんな懐かしい感じのする曲だと思います。

 

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夏の魔物

夏の魔物

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228時限目:歌ウサギ

【歌ウサギ】

 

歌ウサギ

歌ウサギ

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■シングルコレクション『CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection』に収録されている曲です。

 

スピッツはこれまですでに、2枚のシングルコレクション、それぞれ『CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection』と『CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection』を発表していますが、結成30周年の記念日である、2017年7月17日を間近に控え、その続きとなるシングルコレクション『CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection』を発表しました。

 

新しいシングルコレクションには、これまでのシングル曲に加えて、新曲が3曲収録されているのですが、【歌ウサギ】はその内の1曲です。ちなみに、ここでいう3曲とは、【ヘビーメロウ】と【1987→】(すでに両曲とも、記事にしていますので、興味がありましたら読んでみてください)、そして、今回の【歌ウサギ】です。

 


■僕の記憶が確かならば、新曲3曲の中で、フルで公開になったのが、この【歌ウサギ】が最後だったような気がします。

 

【歌ウサギ】は、映画「先生! 、、、好きになってもいいですか?」の主題歌に選ばれました。なので、さわりと言うか、一部分だけは映画の情報解禁に合わせて聴くことができたのですが、【歌ウサギ】が収録されたシングルコレクションが発売になるまで、フルでは聴けなかった唯一の新曲だったと記憶しています。

 

シングルコレクションが発売になったのは2008年7月5日のことでしたが、映画の公開日が同年の10月28日のことだったので、曲の公開を極力避けていたのが、この曲のフル公開が最後になった理由だったのかな、と想像しています。

 

ちなみに、曲のMVにしても、【ヘビーメロウ】と【1987→】にはあるのですが、【歌ウサギ】には実質のMVはなく、映画が公開になった頃に合わせて、映画の風景とのコラボ的な形でショートムービーが公開になりました。映画に主演なさっている広瀬すずさんが出ています…かわいい。

 

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■この【歌ウサギ】を、最初にテレビでさわりのAメロを聴いた時に(と言うより今でも)、個人的に思ったのが「さだまさしっぽい!」でした笑。

 

聴いていただいたら分かると思うのですが、1番のAメロは草野さんの弾き語りで始まります。そこが、抑揚がない感じ…と言うか、ほぼ一音階でボーカルが続いていくので、”歌っている”というよりは、優しく”語りかけている”ように聴こえて、そこが”さだまさしっぽいな”って思ったんです。

 

その辺りを最初に聴いて、穏やかな曲かなと一旦思うんですけど、フルで聴くと、がらりとイメージが変わりましたね。最初は、”今歌うのさ…”の部分くらいまでしか聴けなくて、そこがサビかなとか思ったのですが、大サビ(と言った方が良いかな)があって、”何かを探して…”のところで、どんどん曲が盛り上がっていって、もちろんバラードには違いないんだろうけど、最初抱いた穏やかなイメージは払拭されていきました。

 

Aメロ→サビ→大サビという風に、徐々に曲の雰囲気が変わっていくのが、何ていうか、1曲で何度も得した気分になります。

 


ちなみに、シングルコレクションが発売になって間もない頃の3050LIVEで、この曲を聴くことが出来たんです。この曲はアンコールだったんですが、その一曲目でしたね。「じゃあ、ここで新曲を」と言って、草野さんが歌い始めたのが、【歌ウサギ】でした。

 

その時に、イントロが始まるや否や、自分の席の斜め後ろくらいに居られた(おそらく)おばちゃんが、「ひぇ…!」って息を呑むのが聞こえた瞬間がありました。きっと、この曲を楽しみにしていたんでしょうね。

 

先述の感想通り、出だしの弾き語りがとてもきれいで、そこからどんどん盛り上がっていく曲の雰囲気に、徐々に気持ちが高まっていき、ゾクゾクが止まりませんでした。

 


■さて、いつものことながら、珍しいタイトル”歌ウサギ”です。

 

スピッツの曲には、もう何度も紹介してきましたが、たくさんの動物・植物が登場します。例えば、この歌のタイトルにもなっている”ウサギ”もそうですよね。

 

【歌ウサギ】を初め、タイトルからでも、【ウサギのバイク】、【バニーガール】(バニー/bunnyで、ウサギの意味)、あと【田舎の生活】の歌詞にも、野うさぎが出てきます。すぐ思いつくのは、これくらいですが、他にもあるような…?

 


ところで、”ウサギ”と聞くと、どういう生き物が想像できますかね?赤い目と長い耳が特徴的で、ピョンピョンと跳ねる姿がかわいらしい生き物でしょうか。

 

それから、寂しいと死んでしまう生き物…これは嘘だそうですね。ウサギは、敵から自分の身を守るために、弱み(弱点)を見せないように、本能的に自分の体の不調を隠して平静を装うんだそうです。だから、傍らに誰かが居る時は元気なのに、放置していると死んでいる、ということが起こり、それが”寂しいと死んでしまう”に繋がったという説があるようです。

 

あとは、ウサギは自分の糞を食べる習性を持っているらしいですね。何でも、ウサギは、食べた物から体内に栄養素を上手に吸収することができないそうで、一旦体内で吸収しやすいように発酵させて、糞として排出したものを、再び食すのだそうです。

 


■さて、この歌がどんな歌であるのかを、具体的に想像しやすい部分としては、冒頭と末尾に同じように出てくる、ここの歌詞かと思います。

 


こんな気持ちを抱えたまんまでも何故か僕たちは
ウサギみたいに弾んで
例外ばっかの道で不安げに固まった夜が
鮮やかに明けそうで

 

まず、前半2行。”こんな気持ち”とは、どういう気持ちなんでしょうか。続きを読むと、”こんな気持ちを抱えたまんま…ウサギみたいに弾んで”と繋がっています。

 

”ウサギみたいに弾む”というのが、そんなに暗い感じはしない表現なので、それとの対比を考えると、”こんな気持ち”というのは、どこかマイナスなイメージを思い浮かべます。

 

例えば、ここで出てくる”僕たち”の、2人のうちのどちらか、あるいは、2人ともに、約束した相手(恋人や妻・夫)や、守らなければならない生活(結婚しているなら結婚生活とか)があって、それらに後ろめたい想いを感じていると…そういう気持ちを、”こんな気持ち”と表現しているのだと考えられるかもしれません。

 

もっと具体的に考えてみると、主題歌になった、映画「先生! 、、、好きになってもいいですか?」の物語の大筋が、”教師と生徒の恋愛”というものなので、否応なく”映画の物語”と”歌の内容”を関連付けて考えてしまいます。つまり、”こんな気持ち”に、自分たちが教師と生徒という関係であることに対して、後ろめたい気持ちを感じているということを、当てはめてみるとどうでしょうか。

 

”ウサギみたいに弾む”は、ただ単に、恋愛に浮かれている様子を表しているのかもしれませんし、ベッドの上で弾んでいると想像すれば、SEX中の描写とも考えられるかもしれません。

 


後半2行。”例外ばっかの道”も、まぁいわゆる、普通の形の恋愛ではなく、イレギュラーなものであることを表わしていると考えられます。

 

で、そういう状況から、いつかボロが出るかもしれない、という不安を感じながらも、2人で過ごすことで、一時的なものかもしれないけれど、その不安な夜も明けていくような気持ちになったということですかね。

 


■色々な想像ができるとは思うのですが、大筋の解釈としては、一筋縄ではいかない恋愛の渦中にいる2人を歌っていると考えています。

 

それを踏まえて、歌詞をもう少し読んでみます。

 



今歌うのさ ひどく不様だけど
輝いたのは 清々しい堕落 君と繋いだから

 


今歌うのさ フタが閉まらなくて
溢れそうだよ タマシイ色の水 君と海になる

 

サビの部分の歌詞ですが、共通して”今歌うのさ”という表現で始まっています。そもそも、曲のタイトルが、ただのウサギではなく、”歌ウサギ”なので、それに何らか関係していると思われます。

 

ここの”歌う”の意味として、まず素直に考えてみると、後者の表現から、溢れそうになっている気持ちをそのままに、言葉通り捉えて、”歌っている”と考えられるかもしれません。こう考えると、いかにもボーカルである草野さんらしい表現であると考えられます。

 

あるいは、歌う、という言葉が何かに置き換えれらている、と考えることもできそうです。単に、溢れそうな感情を、相手に(お互いに)ぶつけているとも考えられるかもしれませんし、先程のSEX云々の解釈につなげるならば、そういう行為中の声と考えられるかもしれません。(要は、”あえぎ声”…)

 

ただし、ここにも、”ひどく不様”だとか”清々しい堕落”だとかいう言葉があり、先述したような、一筋縄ではいかない2人を示していると考えられます。

 

”タマシイ色の水 君と海になる”という言葉も、すごい表現ですよね。思い出すのは、【フェイクファー】という曲に、”偽りの海に身体委ねて 恋のよろこびにあふれてる”という表現がありましたが、何ていうか、性的なイメージもわいてくるのですが、愛し合う2人が混ざり合って一つになるような、そういうイメージを”海になる”と表現していると考えられます。

 



「何かを探して何処かへ行こう」とか
そんなどうでもいい歌ではなく
君の耳たぶに触れた感動だけを歌い続ける

 

大サビの歌詞を載せてみましたが、ここの表現もすごいですよね。

 

ちなみに、ここの歌詞にはちょっとしたエピソードがあって、2018年現在放送中のラジオ番組「SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記」にて、草野さんが少し語っていました。ただ、僕自身うろ覚えであったし、録音したはずのラジオ音源を紛失してしまったので、少し調べてみたところ、どうやら2018年9月2日の番組内で語っていたようです。

 


どういう話かというと、【青い車】という往年のスピッツの名曲があるのですが、その【青い車】の中に、”おいてきた何かを見に行こう もう何も恐れないよ”という歌詞があります。ここの歌詞が、”何か”・”何も”という風に、”何”という言葉が続くのが、よく分からないことを歌っているなぁ、と反省したんだそうです。

 

その結果、【歌ウサギ】の”「何かを探して何処かへ行こう」とか そんなどうでもいい歌ではなく”という歌詞に繋がったんだそうです。

 


とは言え、両曲のつながりは、それ以外はあんまり感じないので、それぞれで聴けばいいと思います。

 

ここの”君の耳たぶに触れた感動だけを歌い続ける”なんて、素敵なフレーズじゃないですか。何ていうか、想いを寄せる相手にちょっとだけ触れて、ドキドキしたような、そういう小さな頃の甘酸っぱい初恋のような、そういう気持ちをずっと持ち続けているということですかね。

 

ただ、大元に帰れば、”一筋縄でいかない恋愛”からのここの表現ですからね。不倫であれ、浮気であれ、教師と生徒間であれ…どんな形であれ、人を愛することは純粋なものなんだよと、そういう解釈に最終的には行き着くんですかね。

 

そもそも、人をウサギに例えているわけですからね、先程のウサギの動物的特徴を、そのまま人に当てはめることもできそうです。

 

人は寂しいと生きていけない(はずだ)から、誰かを拠り所に生きていくとか、過去や思い出を(嫌なものならなおのこと)消化できたように思えて、いつまでも根に持ってたり、うんたらかんたら…

 

…なんか、人間とウサギって、似ているかもしれない?

227時限目:ヘビーメロウ

【ヘビーメロウ】

 

ヘビーメロウ

ヘビーメロウ

  • provided courtesy of iTunes

 

■シングルコレクション『CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection』に収録されている曲です。

 

スピッツはこれまですでに、2枚のシングルコレクション、それぞれ『CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection』と『CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection』を発表していますが、結成30周年の記念日である、2017年7月17日を間近に控え、その続きとなるシングルコレクション『CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection』を発表しました。

 

新しいシングルコレクションには、これまでのシングル曲に加えて、新曲が3曲収録されているのですが、【ヘビーメロウ】はその内の1曲です。

 


■【ヘビーメロウ】は、2017年4月より、朝の情報番組「めざましテレビ」のテーマソングに選ばれました。そこから、2018年3月末まで、実に1年間という長い期間、スピッツの曲を朝に聴くことができたことになります。

 

こんなに長い期間にまたがって、しかもほぼ毎日決まった時間に、スピッツの曲を聴くことができたのは、初めてのことじゃないですかね。

 

【ヘビーメロウ】が、テーマソングに選ばれたことに関して、草野さんがその想いを語っています。ロッキンオンの記事に、その言葉が載っていたので参考にさせていただきました。貼っておきます↓

 

スピッツ、新曲“ヘビーメロウ”が本日から『めざましテレビ』テーマソングに (2017/04/03) 邦楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

 


少しでもポジティブな気持ちになってもらえるような弾んだリズムの曲を作ってみました。ただ歌詞はスピッツの持ち味でもある、ちょっと卑屈でネガティブな要素もあるかも。

 

草野さんは、この曲についてこのように語っています。別に、スピッツの曲が朝に似合わないということは決してなくて、むしろ、朝に似合うようなさわやかな曲はたくさんあると思うのですが、選ばれたこと自体が、非常に珍しいことだったと思っています。

 

この曲が、「めざましテレビ」のテーマソングとして流れていた時期は、特にスピッツファンの方々は、少しだけ爽やかに、ご機嫌な朝を迎えることができたのではないでしょうか。

 


【ヘビーメロウ】が、めざましのテーマソングに選ばれた当初は、まだ新しいシングルコレクションの情報が出ていなかったので、最初は単純に、スピッツの新曲として聴いていました。

 

程なく、シングルコレクションの情報(このアルバムに【ヘビーメロウ】が入ること)が解禁になり、確か6月頃にこの曲が先行配信されました。そして、同時期にMVも発表されました。(どっちが先でしたかね?)

 


■さて、【ヘビーメロウ】はどんな曲なんでしょうか、個人的に思ったことを書いてみます。

 

先程紹介したように、曲調については、”少しでもポジティブな気持ちになってもらえるような弾んだリズム”という風に語っておられましたが、跳ねるようなリズムが楽しくて、聴くと爽やかな気分になります。ギターのカッティングの音も、心地いいですよね。

 

ただし、サビの始まりが、メジャーコード(多分)になっていて、ちょっと雰囲気が変わったりして、一筋縄ではいかないところが面白いなって思ったんです。初めて聴いた時は、正直あんまり好みじゃないかもって思ったりしたんですが、そういうところに気付いたら、一気にこの曲が好きになりました。

 


歌詞について見ていきます。まず、出だしがこんな感じです。

 


花は咲いたぜ それでもなぜ 凍えそうな胸
ヘビーメロウなリズムに乗って 太陽目指した

 

”花は咲いたぜ”と冒頭にあるのは、季節的な意味で、冬が終わり春がやってきて、少しずつ暖かくなってきた、ということでしょうか。あるいは、この曲が作られた経緯などを鑑み、朝がやってきた、とも考えられそうです。

 

しかし、”それでもなぜ 凍えそうな胸”…ここは、そんな暖かな春や朝の訪れとは裏腹に、主人公は何となく晴れない気持ちでいるという描写ですかね。

 

そこへ続いて、”ヘビーメロウなリズムに乗って”という風に、タイトルにもなっている”ヘビーメロウ”という言葉が出てきています。

 


そもそも、”ヘビーメロウ”という言葉はどういう意味なんですかね?

 

”ヘビー / heavy”の意味は、重い、太った、という意味をはじめ、激しい(e.g. heavy rainで、激しい雨とか言いますよね)、大量に…する人(e.g. heavy smokerで、煙草をたくさん吸う人)などという意味もあります。

 

一方、”メロウ / mellow”の意味は、熟している、豊かで美しい、などという意味があります。

 

うーん…つなげると、どういう感じになるんですかね?イメージがしにくい言葉なんですが、”リズム”っていう言葉が付いているので、こういう音楽用語があるんですかね?”どんなリズムなんでしょうか、”重くて熟しているリズム”とは一体…?

 

個人的には、全体的に読んだイメージから、何となく”ヘビー”という言葉のイメージが強く残りました。なんか気分が乗らないなぁ、心も体も重たいけど、布団から起きて出かけないとなぁ…っていう心情を表していると感じました。

 


■そこから、続く歌詞はこんな感じです。

 


嗤ってくれ 時代遅れ 俺も独りさ
やめないで習いに逆らった この日のため

 

ここは、先程の主人公の心境としては、何事にも意欲的になることが出来ずに、世間の流れから取り残されているような状況でしょうか。

 

あるいは、スピッツ自身の歴史を歌っていると考えることもできそうですよね。30年という長い間活動してきた自分たちを、”時代遅れ”と多少自虐的に振り返りつつも、それは同時に、時代の流れに囚われることなく、自分たちの音楽を貫いてきたことも表しています。

 

まぁ、全体的な流れで、一本の物語を通すとしたら、前者ですかね。



■とにかく、主人公の気持ちは後ろ向きなんですが、さらに読み進めていくと、そういう気持ちにも変化が見られます。

 


偶然という名の運命で出会った ヘンテコな女神
紐をほどいて 折り目伸ばして 気球を操って
広い空で遊ぶ術を 授けてくれた

 

主人公にとって、嬉しい出会いがあったようです。ここで、”女神”というフレーズが出てきているので、自然に考えれば、主人公は男性で、偶然出会ったのが女性ということになるんですかね。となると、必然的にここは、恋に落ちた描写だと考えられるかもしれません。

 

ここは、かなり印象的な描写ですよね。”気球”だったり、”広い空で遊ぶ術”など、面白い表現がたくさん出ていますが、共通項としては、世の中や周りの目などに縛られることなく、自由に自分のやりたいことをやっていいんだよと、その女神から勇気をもらった、ということなんでしょうね。

 

ここも、もちろん主人公の心境の変化とも、スピッツ自身の歴史になぞらえても読むことができますね。

 


■それから、サビの部分の歌詞。例えば、こんな感じです。

 


君になりたい 赤い服 袖ひらめいて
確かな未来 いらないって言える幸せ
信じていいかい? 泣いてもいいかい?

 

ここは、どう読むべきでしょうね?この歌を、恋愛に絡めるか絡めないかで、ここの印象も変わってくると思うんですよね。

 

恋愛に絡めるとしたら、ここは、自分が恋をした相手に、自分自身がなりたい、と歌っているというような、ちょっと変な感じになっちゃいますね。まぁ、恋愛だなんだいう前に、自分を変えてくれた相手に対して、人間として尊敬をしていると、そういう気持ちが、”君になりたい”と言うまで膨らんでいるということですかね。

 

まぁ、全体的に読んだ感じ、これが一番自然でしょうか?

 


あるいは、個人的には別に、恋愛に絡めなくても、色々と想像できそうな気はしています。男女にしても、別に恋愛関係ばっかりではなくて、人間的なつながりでもいいわけで、たくましく生きる女性の生き方に、男性が憧れてもいいわけですよね。

 

めざましテレビ」のテーマソングに選ばれた、というところとこの歌をもう少し繋げて考えてみると、主人公が憧れた人物は、テレビの中の人物かもしれません。朝から笑顔を振りまいて、人々に元気を届ける、それこそ「めざましテレビ」のキャスターに元気づけられ、憧れたのかもしれません。

 


■ということで、最後に行き着くのが、こんな歌詞です。

 


夜は明けたぜ 鶏も鳴いたぜ 期待裏切る
なんちゃってファンキーなリズムに乗って 生命灯せ

 

最初は、”ヘビーメロウなリズム”になっていたところから、”なんちゃってファンキーなリズム”になっているところとか、まさに主人公の心境の変化を表していますね。

 

そう考えると、やっぱり”ヘビーメロウ”っていう言葉は、主人公の重たい気持ちを象徴した言葉だったのかな、って思いますし、冒頭の部分では、主人公にとっては(精神的な意味で)、春や朝が訪れていなかったんだろうと想像します。

 

 

そこから、”女神”に出会ったことで、気持ちが少しずつ乗ってきて…つまり”なんちゃってファンキー”状態になって、本当の意味で朝を迎えることができた、ということでしょうね。

 

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アルバム講義:15th Album『醒めない』

醒めない(初回限定盤)(DVD付)

15th Album『醒めない』
発売日:2016年7月27日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. 醒めない
→ 216時限目:醒めない - スピッツ大学

 

02. みなと
→ 214時限目:みなと - スピッツ大学

 

03. 子グマ!子グマ!
→ 217時限目:子グマ!子グマ! - スピッツ大学

 

04. コメット
→ 218時限目:コメット - スピッツ大学

 

05. ナサケモノ
→ 219時限目:ナサケモノ - スピッツ大学

 

06. グリーン
→ 220時限目:グリーン - スピッツ大学

 

07. SJ
→ 221時限目:SJ - スピッツ大学

 

08. ハチの針
→ 222時限目:ハチの針 - スピッツ大学

 

09. モニャモニャ
→ 223時限目:モニャモニャ - スピッツ大学

 

10. ガラク
→ 215時限目:ガラクタ - スピッツ大学

 

11. ヒビスクス
→ 224時限目:ヒビスクス - スピッツ大学

 

12. ブチ
→ 225時限目:ブチ - スピッツ大学

 

13. 雪風
→ 192時限目:雪風 - スピッツ大学

 

14.こんにちは
→ 226時限目:こんにちは - スピッツ大学

 


スピッツの結成年月日としては、1987年7月17日が知られています。この日に現スピッツのメンバー4人が、文化服装学園の文化祭にて初めてライヴを行ったことで、この日が結成日として位置付けられているようです。

 

それから、本当に長い長い時が経ち、2017年7月17日、スピッツは結成30周年を迎えました。長くスピッツを聴いてきた僕自身も、ファンの一人としてとても喜んだことを覚えています。これまで行ったことがなかった、スピッツのライヴにも参加することができ、昨日のことのようにその様子を思い出します。

 

結成30周年を目の前にして、さまざまな記念すべきイベントやリリースがありましたが、そんな30周年イヤーを控えた2016年に、15枚目のアルバム『醒めない』が発売になったのです。と言うより、このアルバムで、記念すべき30周年イヤーへとスピッツが動きはじめた感じですよね。

 

そんな、記念すべきアルバム『醒めない』を実際に聴いて、また、アルバムの情報を色々と得ていく中で、このアルバムにスピッツが込めた想いを、2つ受け取ることができました。それらを中心に、アルバムを紹介していきたいと思います。

 

 

■一つ目
「ロックやバンドに対する気持ちを、”醒めない”でずっと持ち続けてる」

 


まず、いつも通りながらアルバムタイトルが、”醒めない”というとても特徴的なものになっています。

 

アルバムが発売される前から、すでに語られ始めていたのですが、この”醒めない”という言葉に込められた想いは、要するに、草野さんが・スピッツのメンバーが、「ロックやバンドに対する気持ちを、”醒めない”でずっと持ち続けてる」ということでした。

 

先述の通り、スピッツは2017年に結成30周年を迎えました。しかも、未だに第一線で活躍している、日本の音楽史に残るロックバンドになりました…という言い方も、もう全然誇張ではないですよね。

 

件の結成30周年のライヴにおいても、僕が参加したのは広島公演(1日目)でしたが、その時にも草野さんが、「30年やってきましたが、まだ通過点です。これからも面白い歌を作っていきますので、よろしくお願いします」という風に、声高らかに宣言をしていたのを、とても印象深く覚えています。

 


そして、そういう想いが凝縮されているのが、表題曲の【醒めない】ですね。

 

アルバム『醒めない』の発売に先立って、表題曲【醒めない】のMVが公開され、いち早く聴くことができました。確か、Mステのスペシャルライヴでも、アルバム曲であるのに、珍しく【醒めない】を披露していました。



カリスマの服真似た 忘れてしまいたい青い日々
でもね 復活しようぜ 恥じらい燃やしてく

 


まだまだ醒めない アタマん中で
ロック大陸の物語が
最初ガーンとなった あのメモリー
今も温めてられてる さらに育てるつもり

 

【醒めない】において、印象に残ったフレーズを引用してみました。

 

前者。ここは、かつてパンクロックバンドとして(大成することを目指して)活動していた、自分たちを歌っているのでしょうか。そこから、ブルーハーツショックなどにより、自分たちの音楽の方向性を変えていったという歴史もあります。

 

一方で、この【醒めない】のMVでは、アニメ―ションのキャクターにデフォルメされた、過去の姿のスピッツメンバーや、(MVの最後には)革ジャンを着たスピッツメンバーを見ることができます。この辺りは、多少自虐的に、原点回帰を試みた結果でしょうか。


後者。ここはもう、先述したような、”醒めない”自分たちの想いを歌っている部分ですよね。まさしく、自分たちがロックに出会って衝撃を受けた時から、ずっとロックに対する想いを醒めずに持ち続け、しかも、まだこれからもその想いを育てていくんだと、その未来のことまで、力強く歌われています。

 

ちなみに、印象的な”ロック大陸”という言葉は、2018年に始まった、草野さんがパーソナリティーを務めるラジオ番組のタイトルにも使われています。

 

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■それから、アルバムの中に【モニャモニャ】という曲が入っていますが、曲の内容はともかく、独特とも思えるこの”モニャモニャ”も、ロックに対する想いを代弁したものになっています。

 

”モニャモニャ”の正体は、アルバムのジャケットに写っている、猫ともウサギとも(個人的には、ネバーエンディングストーリーの聖獣ファルコン)見える、巨大な生き物のことですが、スピッツはこの生き物の物語に、自分たちが育ててきたロックやバンドの物語を重ねたのです。

 

音楽雑誌MUSICAのインタビュー記事において、”モニャモニャ”について説明を求められた草野さんは、このように語っています。

 


草野さん「…このジャケットのモニャモニャとこの子は小さい時から一緒にいて、その頃はこの子に抱かれるくらい小っちゃかったモニャモニャがこんなにデカくなっても、こうやって一緒に『醒めない』でいられるっていう」

 

個人的な想像も含めますが、つまり、小さかったモニャモニャが大きくなっていった=バンドやロックに対する気持ちを育てていった、ということになるわけでしょうね。

 

 

 

■二つ目。
東日本大震災のことにも通じる、”死と再生”の物語」

 


一つ目については、1曲目の【醒めない】や、”醒めない”という言葉自体に込められた想いなどを考えても、草野さんやスピッツのパーソナルな部分を歌っているというイメージが強くありました。

 

ただ、【醒めない】に関しては、アルバムの中でも最後にレコーディングされた曲であるらしく、元々このテーマに向かってアルバムを作っていったというよりは、おそらくアルバムを作っていく上で湧き上がってきた想いを、最後に締めるという形で作られた曲なのかな、と想像しています。アルバムのタイトルが『醒めない』になったことすらも、後の方だったと書いてありました。

 


その一方で、実際にアルバムを聴いてみると、全部の曲ではないですけど、同じような場面だったり、あるいは、曲をまたいで物語が続いているような場面を感じる部分があったりします。

 

その辺りについては、再びMUSICAのインタビューにおいて、草野さんが語っておられることとも一致していました。

 


草野さん「まぁ、『小さな生き物』が旅に出る前の不安と期待が入り混じったアルバムだとすると、”雪風”は再生を匂わすものになっていたと思うんで、そういう意味ではアルバムのスタートにはなっていると思いますね。」

 


草野さん「…そこからコンセプトに囚われた時期に入っていって。まぁ結果的に今回はコンセプトアルバムってほど縛りのあるものではないんですけどね。そうやってひとつのテーマでストーリーを構築するんだったら『死と再生』で作るのが今の心境なのかなって思ったんですよね」

 

例えば、その”死と再生”と関連があるものと言えば、やはり未だに東日本大震災があるのかな、と思います。直接の明言はないものの、先程紹介したインタビューの中でも、『小さな生き物』は”旅に出る前の不安と期待が入り混じったアルバム”、【雪風】が”再生を匂わすもの”になっていると語られています。【雪風】が、アルバム『醒めない』に至る入り口のような曲だったとすると、この想いはそのままアルバムへと引き継がれたのではないでしょうか。

 

アルバム『小さな生き物』は、震災があってまだ間もない頃だったので(と言っても、2年以上経っていましたが)、曲調としては明るい中にも、歌詞を読むと悲しみが潜んでいたりして、先程の草野さんのインタビュー通り、”不安と期待の入り混じった”気持ちを表していたのかもしれません。

 

一方で、アルバム『醒めない』は、もちろん震災の悲しみは完全には消えていないのかもしれないけど(完全に消すことはできないとも言える)、曲を聴いた感じでは、別に取り立てて震災を思い起こすようなものにはなっていなくて、それよりはむしろ、その後どういう物語があったか、というものを描いているような気がしています。それを、コンセプトとして、”再生”と表現しているのだと思います。

 


■ちなみに、アルバム曲(アルバムで初めて聴けた曲)としては、【醒めない】をはじめとして、【子グマ!子グマ!】【コメット】【ナサケモノ】【グリーン】【SJ】【ハチの針】【モニャモニャ】【ヒビスクス】【ブチ】【こんにちは】があります。

 

そして、インタビュー記事には、こんなことも書かれてもいます。

 


草野さん「…一緒に写っている人とモニャモニャとの物語みたいなのが自分のイメージとしてあったんです。だから曲によって、この人が歌ってる曲、モニャモニャが歌ってる曲っていうふうに視点を変えようって最初は思ったんです。実際そうやって聴いてもらえると、『これはモニャモニャの視点かな?』『これは私の視点かな?』って思うと思うんですけど」

 

つまり、一つの物語で曲たちがつながっているのではないか、と考えると、これはかなりロマンを感じてしまいますし、そういうことならば、繋げてみたいなぁ…とか思っちゃうんですよね笑。

 


■ということで、勝手ですが、僕はこんな感じの物語を想像しながら、いつも聴いています。まとめてみますね笑

 


1-①
便宜上、モニャモニャの飼い主を”モニャ子”とさせていただきます笑 子どもの頃から、モニャ子とモニャモニャは、いつも一緒にいました。それは、飼い主とペットという関係よりも深い、親友関係でした。(【モニャモニャ】で語られているのが、その回想シーン)

 

 

1-②
雑誌のインタビューにも、「くまの子 ジャッキー」のストーリーを追っているようなことを語っていましたが、どういう場面でか、モニャ子とモニャモニャが離ればなれになる出来事が起きてしまいます。(【子グマ!子グマ!】がその別れのシーン)

 

 

1-③
離ればなれになった場所では、結局モニャモニャは、自分らしく振舞うことが出来なかったのです。そういうわけで、モニャモニャは、自分らしく生きられる場所へと帰っていくことになるわけです。つまり、大好きだったモニャ子の元へ戻っていくわけです。いかにも、モニャモニャは空を飛べそうな出で立ちですから、空を飛んでモニャ子の居る所へと帰ったかもしれません。(【グリーン】は、まさに窮屈な場所から抜け出した喜びを感じているシーン)

 

 

1-④
そして、モニャ子とモニャモニャの再会です。もしかしたら、お互いの生死や居場所も分からない状況であり、この再会そのものにも、またドラマがあったかもしれません。(これが最後の【こんにちは】)

 


大筋の物語としては、こんな感じですかね。あとは、難しいのが、【コメット】と【ナサケモノ】と【SJ】のラインをどう位置付けるかですね。ひょっとしたら、別ラインでの物語があるのかもしれません。例えば、モニャ子と別れている間の、モニャモニャと新しい飼い主との日々だとか…。

 


2-①
モニャ子と別れた後、モニャモニャは新しい飼い主に引き取られます。その飼い主にも愛されようと、しっかりと尽くすわけです。(【ナサケモノ】で語っていることか?)

 

 

2-②
何ていうか、やっぱりモニャ子と別れた後のモニャモニャは、自分らしく振舞うことが出来なかったような感じですね。しかし、それでもモニャモニャは、新しい飼い主と生きていくことを誓うわけです。(【SJ】か?)

 

 

2-③
そして、モニャモニャと新しい飼い主との別れですね。結局、上手くいかずに、新しい飼い主とも別れてしまいます。これが結果として、モニャ子の下へ帰るという決意に繋がったのだとしたら…(これが【コメット】かな?)

 

こうだとすると、2のストーリーは、1-②と1-③の間でしょうか?それとも、やはり2のストーリーも、モニャ子との話なのか、うーむ…と考えることが、もうこの上ない楽しみなんですよね笑

 

ちなみに、番外編として、【ハチの針】は”モニャモニャが夜の店に行って大人になる”みたいなストーリーを妄想していますが…まぁこれは別に良いです笑

 


■ただ、このモニャモニャの物語も、先程紹介したように、スピッツの物語や、ひいては、震災に離ればなれになった人たちの再生・再会の物語に置き換えられると思います。

 

大筋としては、離ればなれになった状況から、最後の【こんにちは】で再会した、という展開を考えれば、これはとても壮大で感動的な物語を想わざるを得ません。


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アルバム講義:14th Album『小さな生き物』

小さな生き物 【デラックスエディション(完全数量限定生産盤)】(SHM-CD + 2Blu-ray)

14th Album『小さな生き物』
発売日:2013年9月11日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. 未来コオロギ
→ 181時限目:未来コオロギ - スピッツ大学

 

02. 小さな生き物
→ 92時限目:小さな生き物 - スピッツ大学

 

03. りありてぃ
→ 199時限目:りありてぃ - スピッツ大学

 

04. ランプ
→ 198時限目:ランプ - スピッツ大学

 

05. オパビニア
→ 33時限目:オパビニア - スピッツ大学

 

06. さらさら
→ 58時限目:さらさら - スピッツ大学

 

07. 野生のポルカ
→ 189時限目:野生のポルカ - スピッツ大学

 

08. scat
→ 210時限目:scat - スピッツ大学

 

09. エンドロールには早すぎる
→ 28時限目:エンドロールには早すぎる - スピッツ大学

 

10. 遠吠えシャッフル
→ 101時限目:遠吠えシャッフル - スピッツ大学

 

11. スワン
→ 79時限目:スワン - スピッツ大学

 

12. 潮騒ちゃん
→ 63時限目:潮騒ちゃん - スピッツ大学

 

13. 僕はきっと旅に出る
→ 161時限目:僕はきっと旅に出る - スピッツ大学

 

14.エスペランサ(Bonus track)
→ 212時限目:エスペランサ - スピッツ大学

 

(デラックスエディション版Blu-ray、DVDに収録)
あかさたな
→ 213時限目:あかさたな - スピッツ大学

 


■アルバム『小さな生き物』は、前アルバム『とげまる』から、およそ3年後に発売になりました。

 

アルバム『小さな生き物』は、スピッツにとっては初めての、複数の形態で発売になったアルバムでした。何かの情報によると、複数形態でアルバムを発表した経緯としては(wikiにも情報がありますね)、「もうCDというものがどうなるかは分からない、ひょっとしたら無くなってしまうかもしれない時代なので、出来ることをしておきたい」というようなことを語っておられました。

 


ちなみに、発売の形態は3種類で、それぞれ「通常版」「期間限定盤」「デラックスエディション盤」があります。それぞれ、

 

<通常版>
①アルバム『小さな生き物』ディスクのみ

 

<期間限定盤>
①アルバム『小さな生き物』
②PV集
 収録曲:【さらさら】【野生のポルカ】【小さな生き物】

 

<デラックスエディション盤>
①アルバム『小さな生き物』
 +Bonsu Track【エスペランサ】収録
②PV集
 収録曲:【さらさら】【野生のポルカ】【小さな生き物】
③撮り下ろしライヴ映像ディスク
 1.運命の人
 2.あかさたな(未発表曲)
 3.さらさら
 4.りありいてぃ
 5.夕焼け
 6.潮騒ちゃん
 7.エンドロールには早すぎる

 


つまり、デラックスエディション盤でのみ、【エスペランサ】と【あかさたな】の新曲2曲を聴くことができるということですね。【あかさたな】に関しては、今のところCDで音源化されていなくて、このライヴディスクでの映像でいしか聴くことができない、レアな曲になっています。

 

PV集の【野生のポルカ】のPVとかもレアですよね(ちなみに、ぶちかっこいいPVです)。youtubeスピッツのチャンネルでも発表されていませんからね。

 


■ということで、まずは、アルバム発売前までの経緯について語っていきます。もうすでに何度も語ったことが出てきますが、重複して申し訳ございません…。

 


まず、前アルバム『とげまる』の発売は、2010年10月27日でした。スピッツは、1991年にメジャーデビューを果たしたので、来たる2011年にメジャーデビュー20周年イヤーを控えていました。アルバム『とげまる』は、そういう意味では、20周年の記念的な作品だったと言えるかもしれません。

 

しかしここで、2011年3月11日、あの未曽有の大災害、東日本大震災が起こってしまいます。

 

それによって、3月に発売予定だった『ソラトビデオCOMPLETE 1991-2011』の発売が延期になったり、さらには、草野さんが急性ストレス障害を患われて、スピッツの活動が少し止まったりしました。

 


それから時が経ち、確か2012年の終わりか、2013年の始まりだったか、とにかくその頃だったと記憶していますが、スピッツが2013年の発売を目指して新しいアルバムの制作をはじめて、そのアルバムから先行シングルが発売になるという、嬉しい情報が流れてきました。ちなみに、そのアルバムが『小さな生き物』であり、先行シングルは『さらさら / 僕はきっと旅に出る』でした。

 

シングル『さらさら / 僕はきっと旅に出る』は、前シングル『シロクマ / ビギナー』からおよそ2年半ぶり、アルバム『とげまる』から数えても2年以上も経っていたので、本当に久しぶりの新曲という感じがしました。その間に、スペシャルアルバム『おるたな』は出てはいるのですけど、スピッツの新曲という感じではなかったですからね。

 

【さらさら】は、”J-WAVE「春のキャンペーン TOKYO NEW STANDARD」テーマソング”に選ばれ、その後MVが発表されました。最初に、【さらさら】のMVを見たとき、何ていうか、粛々と鎮魂歌でも歌っているような感じを受けたんです。照明を比較的抑えたほの暗いスタジオで、静かに4人だけで演奏・歌唱をしている様子は、まさに鎮魂のように見えたのです。

 

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一方で、【僕はきっと旅に出る】の方は、これもタイアップとして、”JTB「夏旅2013」CMソング”に選ばれましたが、こちらは一聴すると、最初は明るい曲だなという印象を受けました。しかしながら、陽気にも思えるこちらの歌の方こそ、実は震災に際しての想いが詰め込まれた歌だったのだと知ることになるわけです。

 


■そういう流れを経て、アルバム『小さな生き物』が発表されました。

 

まず、このアルバムタイトルですよ。草野さん・スピッツらしいタイトルだと思うのですが、かわいらしさの中に、アルバムを発表したあの頃ならではの、伝えたかった想いが詰め込まれている重要な言葉だと思います。

 

そもそも、これまで草野さんが作ってきた歌には、生き物や植物(花)の名前が出でくる歌が本当にたくさんあります。特に、鳥の名前なんかは、とてもたくさんの種類で細かく出てきます。”鳥になって”から始まって、ヒバリ、トンビ、海ねこ、ハヤブサ、つぐみ、など…もっとありますかね。

 

ほんと色々出てきますよね、生き物や植物の名前…猫、ネズミ、モグラ、犬、狼、ウサギ、魚、トビウオ、ドルフィン、シロクマ、蛾、クモ、オケラ、アリ、蜂、鈴虫、あじさい、チューリップ、ハイビスカス(ヒビスクス)、コスモス、楓、桜、ヘチマ(の花)、トゲトゲの木(?)…などなど、キリがないですね。

 


書籍「スピッツ」の中で、草野さんが幼少時代の自分を語っているインタビューが載っているのですが、草野さんの生き物に対する想いというのは、そういう小さな頃の思い出が素地になっているようです。

 


「いやあ、物心ついた頃から、草ぼこだとか林の中に入っていったりとか、神社の鉄柵を乗り越えていったりとか、目に見えない部分に物凄い興味があったというのはすごく記憶ありますね」

 

「今考えたら汚ねぇとこだなあと思うんですけど。1回ね、なんか目の周りにデキモンがバーっとできて、すごくなったことあるんすよ」

 

「やっぱ、昔は昆虫が好きでしたね。今でもいろいろ興味はありますけれども。まずクモが好きで。あれを捕まえてきて、自分の家の庭に放して、次の日に巣が張ってあるのを見て楽しんだりとか」

 

などなど。子どもの頃、草原や林など、色んな場所に分け入っては、昆虫などを観察したり、採集していたというエピソードがたくさん出てきます。

 

何ていうか、草野さんに”生き物を讃える心”みたいなものが、強くあるんだと思います。そういうところが、詩のテーマにもなっている”セックスと死”に繋がったりしたんでしょうね。

 


アルバム『小さな生き物』にも同様に、たくさんの生き物が出てきています。

 

コオロギ、金魚、オパビニア、魚、スワン、初夏の虫、カモメ…あとは、生き物っぽいイメージの言葉としては、”遠吠え”や”野生(種)”などなど。

 

当然のことながら、生き物の名前が使われているからといって、その生き物自体のことを歌っているのではなくて、何かを比喩したものになっているのが通常です。

 

”コオロギ”は、スピッツなどのアーテイストを比喩した言葉だという解釈があったり、”金魚”は、自分の世界に閉じこもって外へ出られないような人物を、”オパビニア”は、恋愛に不器用で時代に取り残されているような人物を表していたりします。

 

草野さんは、人間と”人間以外の生き物”という垣根を越えて、全てを同じ目線で見ているような印象を受けるんですよね。【手のひらを太陽に】って歌であるじゃないですか、”ミミズだって オケラだって アメンボだって みんな みんな生きているんだ 友だちなんだ”って、あんな感じですかね。(ちなみに、作詞は、アンパンマンでおなじみ、ヤナセ・タカシさん)

 


■特に、震災があって、ご自身も体調を崩されたりして、それは一旦は回復したものの、新作が出るまでのおよそ3年という期間で、本当に色んなことを考えて悩んだりしたはずです。

 

もちろん、途方もない悲しみを感じたのは間違いないですが、結局最後に行き着く(行き着かなければならない)答えはきっと、”それでも懸命に生きていく”…ミュージシャンである彼らにとっては、”懸命に音楽を続けていくこと”だったと思います。

 

アルバム『小さな生き物』については、草野さんが、「聴いてくれた人が、少しでも気を楽に持ってくれるような作品に」と、どこかで語っておられました。ちょっと、物悲しくなるような曲も入っていますが、いつも通りスピッツらしい作品に仕上がっていて、長く待って、やっと聴けた喜びを強く感じました。

 


■アルバムを象徴する曲としては、何と言ってもやっぱり、表題曲の【小さな生き物】ですよね。

 


負けないよ 僕は生き物で
守りたい 生き物を
抱きしめて ぬくもりを分けた
小さな星のすみっこ

 

サビに、こんな歌詞が出てきますが、このアルバムに込めた想いがここに集約されている気がします。

 

”生き物”という言葉には、我々”人間”をも含めているのだと思います。昆虫や動物と同様に、人間もちっぽけな存在ですが、生きているという括りでは同じであり、生きているからこそ、生き物を大切にできるのだと。あの時は、誰もが助け合わないとって思ったはずですよね、”生きている”ことをとても大切に思ったはずですよね。

 

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あとは、【スワン】なんかも、とても印象に残りました。

 

この歌なんかはまさに、悲しみから少しずつ立ち上がって、光に向かって歩いていくような印象を受ける曲です。”スワン(swan)”という言葉は、白鳥、という意味がよく知られていますが、実は、詩人、歌手、という意味もあるということを、この歌を調べている時に初めて知って、ますますこの歌に対する想いが深まりました。

 


■それから、何と言っても、【僕はきっと旅に出る】という曲。

 

個人的に、とても大切な歌なのです。震災についても、色々と思い出すんですが、僕自身が、【僕はきっと旅に出る】という曲が出た当時、ちょうど仕事を辞めて、次の仕事への準備期間のような日々を過ごしていたので、なんか自分なりにこの歌と気持ちをシンクロさせながら聴いていたのです。

 

この歌の中に、出てくる歌詞で、

 


きらめいた街の 境目にある
廃墟の中から外を眺めてた
神様じゃなく たまたまじゃなく
はばたくことを許されたら

 

というところを読んだ時、気持ちが溢れて、涙が出たことがありました。本当に、草野さんはすごいなぁって、改めて思ったんですよね。

 

…ということを、延々と語っていくと止まらなくなるので、詳しくは個々の曲の紹介にお任せします。

 

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アルバム講義:Special Album『おるたな』

おるたな

Special Album『おるたな』
発売日:2012年2月1日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. リコリス
→ 200時限目:リコリス - スピッツ大学

 

02. さすらい
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:奥田民生

 

03. ラクガキ王国
→ 196時限目:ラクガキ王国 - スピッツ大学

 

04. 14番目の月
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:荒井由実

 

05. 三日月ロック その3
→ 177時限目:三日月ロック その3 - スピッツ大学

 

06. タイム・トラベル
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:原田真二

 

07. 夕焼け
→ 191時限目:夕焼け - スピッツ大学

 

08. まもるさん
→ 175時限目:まもるさん - スピッツ大学

 

09. 初恋に捧ぐ
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:初恋の嵐

 

10. テクテク
→ 98時限目:テクテク - スピッツ大学

 

11. シャララ
→ 65時限目:シャララ - スピッツ大学

 

12. 12番目の雨の日
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:はっぴいえんど

 

13. さよなら大好きな人
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:花*花

 

14.オケラ
→ 31時限目:オケラ - スピッツ大学

 


■今回紹介するアルバム『おるたな』は、アルバム『花鳥風月』、アルバム『色色衣』に続く、スピッツ史上3枚目の”スペシャルアルバム”になっています。

 

スペシャルアルバムについては、もうこれまで説明してきた通りなんですが…要するに、オリジナルアルバムに収録されなかったカップリング曲や、インディーズ曲・未発表曲などを収録した、オリジナルアルバムとは一線を画した、言葉通り”特別なアルバム”のことです。

 

そもそも、スペシャルアルバムというものが生まれた背景には、スピッツのベストアルバムに対するアンチテーゼの意味合いがあるのですが、この辺りのお話は、アルバム『花鳥風月』やアルバム『ハヤブサ』などの記事にまとめてありますので、そちらも読んでいただければ幸いです。

 


■ただし、今回のスペシャルアルバム『おるたな』に関しては、今までの2枚のスペシャルアルバムとは異なった構成になっています。

 

具体的に言うと、アルバム『おるたな』には、カップリング曲に加えて、スピッツが他のアーティストの楽曲をカヴァーした曲が多く収録されているところが、これまでとは異なっています。

 

そのカヴァー曲についても、各アーティストのトリビュートアルバムなどに収録されすでに音源化されていたカヴァー曲と、今回のアルバムのために新録されたカヴァー曲とがあるようです。この辺り、詳しくは後述します。

 

収録曲14曲のうち、6曲がカヴァー曲を占めており、スピッツのカヴァー曲がまとめて聴ける、今までとは趣の異なったアルバムになっています。個人的にはもっとスピッツ自身の未発表曲が聴きたかったなぁって思ったりしますが…まぁそういうアルバムとして、楽しんで聴くことができました。

 


■まずは、収録されているカップリング曲を、発売の早い順にまとめてみます。

 

【三日月ロック その3】(c/w 28thシングル『スターゲイザー』)
リコリス】(c/w 29thシングル『正夢』)
【テクテク】(30thシングル『春の歌 / テクテク』より)
【シャララ】(c/w 31thシングル『魔法のコトバ』)
ラクガキ王国】(c/w 32thシングル『ルキンフォー』)
【夕焼け】(c/w 33thシングル『群青』)
【まもるさん】(c/w 34thシングル『若葉』)
【オケラ】(c/w 35thシングル『君は太陽』)

 

※ちなみに、【テクテク】にのみMVがありますので、先に載せておきます。

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ある時期から、スピッツカップリング曲は、何ていうか実験場のようになっており、シングル曲やアルバム曲とは、雰囲気の違う曲が多くなった気がしています。特に、このアルバムに含まれているカップリング曲には、非常に変わった曲が多くて、1曲1曲が印象に残ります。

 

サビが一音階だけで構成されている【リコリス】、個人的にはヨーロッパで見たことがあるストリートライヴを思わせるアコーディオンが印象に残る【テクテク】、ハードロック全開な【ラクガキ王国】、アルバム『惑星のかけら』の時期のグランジ曲を思わせる【オケラ】など。

 

それから、人気の高い【三日月ロック その3】もありますね。”その1”と”その2”を華麗にスルーして、満を持しての”三日月ロック”ですよ。ここスピッツ大学で行ったランキング企画においては、第23位でした。今でも、ファンに人気のある曲です。

 

個人的には、【リコリス】と【夕焼け】が大好きです。【リコリス】に関しては、これは記事でも話していますが、実はあんまり聴いていなかった曲だったので、記事を書くときに、改めて繰り返し聴いたんですが、ある夜にイヤフォンで聴きながら眠ってしまい、そのイヤフォンが外れることなく、エンドレスに一晩中【リコリス】が頭の中で流れてしまった結果、洗脳されたように、しばらく頭の中で【リコリス】が流れているという状況に陥りました。

 


ここに収録されている曲は、発表時期が2003年~2009年という、およそ7年という長きに渡っています。オリジナルアルバムでも、収録曲の発表時期がこんなに長くバラけることはないので、こういうところが楽しめるのも、スぺシャルアルバムの醍醐味と言えますね。

 


■ということで、カップリング曲については、個々の曲の記事に任せるとして、カヴァー曲について、これまでほとんど触れてこなかったので、この記事でメインに紹介していきます。

 

また、各オリジナル・アーテイストや原曲について、知らないことの方が多かったので、付け焼刃的で申し訳ないですが、自分なりに調べてみたことを、少しだけまとめてみました。

 

 

02.さすらい

さすらい

さすらい

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オリジナル・アーティストは、奥田民生です。スピッツによるカヴァー曲は、2007年10月24日に発売された、民生さんのトリビュートアルバム『奥田民生・カバーズ』に収録されました。

 

バラエティ番組の『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』のテーマ曲として、本家の【さすらい】ではなく、(何故か)スピッツカヴァーの【さすらい】が選ばれています。広島では、よく土曜とか日曜とかの昼に放送されており、この曲がいつも流れています。

 

おそらく、民生さんの曲の中でも、一二を争うほどの有名曲なのではないでしょうか。ユニコーンは、ある時期に結構聴いていたのですが、民生さんのソロと、最近のユニコーンはめっきり聴いていないですね…。

 

それでも、このアルバムのカヴァー曲だったら、一番好みです。かなり原曲に忠実で、それでもギターの演奏・アルペジオは、ちゃんとスピッツっぽさを強調しているし、この曲のゆったりとした雰囲気が、草野さんのボーカルにも合っていると思います。

 

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04. 14番目の月

14番目の月(おるたな Mix)

14番目の月(おるたな Mix)

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オリジナル・アーティストは、荒井由実です。松任谷由実、あるいは、愛称でユーミンと呼んだ方が、馴染みがありますね。

 

スピッツによるカヴァー曲は、2002年12月11日に発売された、松任谷由実のトリビュートアルバム『Queen's Fellows:yuming 30th anniversary cover album』に収録されましたが、アルバム『おるたな』の【14番目の月】に関しては、新たに高山徹さんがミックスを行った”おるたなMix”が収録されています。

 

アルバム『おるたな』に同封されている「おるたな制作ノート」によると、”スピッツがカヴァーする曲の多くは、テンポやアレンジの基本を大きく崩さないパターンが多いが、この曲はオリジナルとはガラリと違うアレンジになっている”とあります。共同アレンジ&レコーディングメンバーとして、クージーが参加して、原曲とはかなり違ったアレンジがなされました。

 

本家の【14番目の月】は、おそらく当時だったら、最先端の新しい曲だったでしょうね。シンセサイザーの音もふんだんに使っていて、ポップで派手な曲になっています。一方で、スピッツカヴァーの【14番目の月】は、イントロからヘビーなギターで始まってからの、Aメロでいきなり落ち着いて、そこからまたサビへと盛り上がっていくという、ダイナミックでドラマチックな展開になっています。

 

ちなみにユーミンは、スピッツのトリビュートアルバムにて、【楓】をカヴァーしています。

 

14番目の月

14番目の月

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06. タイム・トラベル

タイム・トラベル

タイム・トラベル

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オリジナル・アーティストは、原田真二です。新録音のカヴァー曲です。

 

この曲は、カヴァー曲でありながら、ドラマ『僕とスターの99日』の主題歌に選ばれました。最初は、このカヴァー曲が聴きたいがためにドラマを見ていたんですが、ドラマ自体も面白い内容だったので、楽しんで見ていました。

 

これも、本家の【タイム・トラベル】に忠実なカヴァーになっています。原田さんも草野さんも、高音のボーカルが魅力的なので、草野さんのカヴァーも合っていると思います。個人的に、オリジナルから好きな曲だったので、スピッツのカヴァーはとてもうれしかったです。歌詞も、ファンタジー要素が強くて、映画でも見ているようで、面白いですよね

 

ちなみに、今回カヴァーしたアーティストたちのうち、民生さんと原田さんが広島出身の方なので、広島人の自分にとっては、何か嬉しいです。どうだ、広島はすごいだろ!っていう感じです笑

 

タイム・トラベル

タイム・トラベル

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09. 初恋に捧ぐ

初恋に捧ぐ

初恋に捧ぐ

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オリジナル・アーテイストは、初恋の嵐です。新録音のカヴァー曲です。

 

恥ずかしながら、初恋の嵐というバンドのことも、オリジナルの【初恋に捧ぐ】のことも知らなったので、スピッツカヴァーでいい曲だなって思った後、逆に辿って聴いてみたことがあります。これも、原曲に忠実なカヴァーになっています。スピッツの音楽性に、かなり近いポップなロックソングだと思います。

 

初恋の嵐というバンドについては、元々スリーピースのバンドであったそうなんですが、メジャーデビューが決まって、バンドとしてもこれから…というところで、ボーカル・ギターの西山達郎さんが、25歳という若さでお亡くなりになってしまったそうです。何ていうか、悲しい物語を辿ってしまったバンドだったんですね。

 

西山さんの死後、制作途中であった音源を完成させました。この時期、本家の【初恋に捧ぐ】が収録された1stアルバム『初恋に捧ぐ』も音源化されたようです。

 

ちなみに、スピッツのアルバム『ハチミツ』の発売20周年を記念して制作されたトリビュートアルバム『JUST LIKE HONEY ~『ハチミツ』20th Anniversary Tribute~』において、”初恋の嵐 feat. 曽我部恵一”名義で、【君と暮らせたら】をカヴァーしています。このカヴァーがね、本当に素晴らしいんですよ。本家よりも、個人的には好きかもしれない…。

 

初恋に捧ぐ

初恋に捧ぐ

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12. 12月の雨の日

12月の雨の日

12月の雨の日

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オリジナル・アーティストは、はっぴいえんどです。スピッツによるカヴァー曲は、2002年5月22日に発売された、はっぴいえんどのトリビュートアルバム『HAPPY END PARADE~tribute to はっぴいえんど~ 』に収録されています。

 

今思えば、細野晴臣大瀧詠一松本隆鈴木茂(この方のみ知りませんでした…すみません)という、すごいメンバーだった…ということだけは、詳しくない自分でも理解できます。はっぴいえんどと言えば、【風をあつめて】が有名ですよね…というより、それくらいしか知りませんでした。

 

はっぴいえんどというバンドを、調べれば調べるほど、日本の音楽史に残る、すごいバンドだったんだなってことがよく分かります。1969年~1972年という短い期間しか活動していなかったようですが、要するに、「日本語でロックをやる」ということ自体を世に広めた、まさに日本語ロックの神様のような方々なんですよね。

 

解散してからも、メンバーが個々に活躍しているのもすごいですね。大瀧詠一さんが、個人的には一番分かるかなって感じです…ドラマ「ラブジェネレーション」の主題歌の【幸せな結末】、最近のCM(思い出せなかったので調べてみると、金麦のCMでした)にも使われている【君は天然色】など、耳にしたことがある曲は多いです。

 


そんなメンバーの中でも、スピッツの草野さんと特に関わりが深いのが、松本隆さんですかね。松本隆さんの情報をwikiで調べただけでも、ご自身の音楽活動はさることながら、作詞家として携わった曲に、これでもかというほど、有名な曲が並んでいます。先程紹介した、原田真二さんの【タイム・トラベル】も、松本隆さんの作詞のようですね。

 

そして、その中に、Chappieというバンドの【水中メガネ】という曲があるのですが、この曲の作曲者が草野正宗さんなんです。松本隆さんの作詞家生活45周年を記念して発売になったトリビュートアルバム『風街でうたう』にて、草野さん自身が、この【水中メガネ】をカヴァーしています。これがまた、素晴らしいんですよね。これを『おるたな』に入れてくれれば良かったのに…。

 

12月の雨の日

12月の雨の日

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水中メガネ

水中メガネ

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13. さよなら大好きな人

さよなら大好きな人

さよなら大好きな人

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オリジナル・アーティストは、花*花です。新録音のカヴァー曲です。

 

花*花は、2000年代はじまりの頃、かなりブームになりましたよね。今何してるんだろうって調べてみると、地道に活動をしているようですね。【さよなら大好きな人】も、この時代を生きた女子たちが、失恋した時に歌っていたのを何回か聴いたことがあります笑。

 

それを、スピッツがカヴァーするなんて、かなり意外なんですが、もう草野さんは何歌ってもお上手で驚きます。

 

さよなら大好きな人

さよなら大好きな人

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■ということで、全6曲の非常にバラエティに富んだカヴァー曲たちです。

 

音源化されているスピッツのカヴァー曲は、そこまで多くは無いのですが、ライヴなどではたくさんの曲をスピッツはカヴァーしています。スピッツのファンクラブ会員限定のライヴでは、カヴァー曲を披露するのが毎回恒例になっています。ひょっとしたら、第二・第三のカヴァーアルバムが、これから生まれるかもしれませんね。