スピッツ大学

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特講:小学生の時に、給食の時間に出てきたスプーンみたいな感じ

特講でございます。

 

今回は、2010年に発売されたアルバム『とげまる』について、中心にお話しできれば、と思っています。

 

…と言っても、実は、このアルバムが発売された当時(2010年10月27日に発売されました)、こことは違うブログでですが、僕はもうすでにあれやこれやしゃべっております。なので、今回の記事は、当時の記事を元にしているものになります。

 


 

2010年10月27日、スピッツの13枚目のアルバム『とげまる』が発売された。2010年のスピッツは、来る2011年には20周年を迎え、それまでの全MVが収録された『ソラトビデオCOMPLETE 1991-2011』を発売するなど、アニバーサリーを控えた時期にあったと言える。

 

ということで、必然的に『とげまる』は、スピッツの20年という長い活動の中で、一番最後に発売された、記念すべきオリジナルアルバム、と言える。

 


当時、アルバムのタイトルに拍子抜けしたことを覚えている…『とげまる』って、ゆるキャラかよ、笑。みたいな感じだった。これまでのスピッツのアルバムの名前も、どれも個性的なものばかりだが、この時ばかりは、とんだ悪ふざけが過ぎたな!と正直思った。

 

しかし、しかしだ、よくよく考えてみて、この『とげまる』 という言葉がまさしく、20年分のスピッツそのものを表している言葉だということに思いが至った。

 

『とげまる』、つまり「とがっているようで、丸い。」、もしくは「丸いようで、とがっている」は、まさにスピッツそのもの表している言葉なのだ。

 


スピッツの代表曲としては、未だに「空も飛べるはず」「ロビンソン」「チェリー」などが挙げられるが、この曲を聴けば、スピッツは、そんなに激しくない、割とゆる目の歌を歌うバンドなんだと、そういうイメージが付くだろう。

 

僕も、最初は実際そうだった。スピッツを聴き始めたのが、『インディゴ地平線』や『フェイクファー』とかの時期だったので。

しかし、色んなスピッツの曲を聴いてきて思うようになった…特に、アルバム『ハヤブサ』以降の楽曲を聴いてからだ。スピッツは、あくまでロックバンドなんだ、と。スピッツの真骨頂は、あくまでロックなんだ、と。

 


とがっているようで丸い、丸いようでとがっている、とはどういう意味か。

 

それは、スピッツの曲を聴けば明らかだろう。スピッツの歌は、例え激しくても、優しさを感じるし、逆に言えば、優しい歌の中にも、どこか暗い部分や過激な部分を潜ませている。

 

イメージとしては、小学生の時に、給食の時間に出てきたスプーンみたいな感じ。銀色で、全体的に見てくれはスプーンなんだけど、先っちょだけフォークになっている、不思議な「スプーン?フォーク?」だ。スピッツスピッツの音楽とは、まさにそんな感じ。ブスブスと刺してくるようで、実はフワっと掬おうとしているのだ。

 

そして、そういう風にさせているのは、他でもない、マサムネさんの唯一無二の声と、何より詩の世界観だと思う。

 

マサムネさんの詩のテーマは、「死とセックス」だという風に言われている…というより本人がそう語ったのは、事実としてあるらしい。

 

どこかで見たのか、それとも自分勝手な解釈か、本人がそう語ったのか分からないが、詩を読んでいて、マサムネさんは、とがっているもので「性的なイメージ」を、まるい物で「死」を表わしている、と常々感じる。

 


元々、「スピッツ」と言う言葉自体、ドイツ語で「とがっているもの」という意味がある。その響きには、ロックなイメージもあるし、もっと思いつめていけば、過激で性的なイメージを連想させるものにも繋がる。かなり分かりにくい場合もあるが、スピッツの曲には、性的なことを歌っている曲がたくさん存在する。

 

しかし、決してそれは、ただ淫靡なわけではではなくて、どうやらマサムネさんにとっては、セックス(性)=生、つまり生きているということ、という関係になっているらしい。人間の根源としての「性」を歌うことで、「生」を伝えているのだ。

 


その一方で、マサムネさんは、「丸いもの」に「死」をイメージしている…うーん、月、あわ、ビー玉など。初期の頃には、特にその傾向は顕著だったと思うのだが、どうだろうか。

 

そして、そうでなくても、スピッツの曲を聴いていると、明るいメロディーの中に、時々ふっと「死」のイメージが浮かんできて、はっとすることが、これまで何度もあった。

 


そういうわけで、一見すると、ふざけているようにしか思えない『とげまる』というタイトル。しかし、書いてきたように突き詰めていけば、スピッツにとって、そしてマサムネさんにとって大事な概念、「とがっている」ことと「まるい」こと、これらを組み合わせた、大事な言葉になっている、と考えることができそうだ。