スピッツ大学

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27時限目:えにし

【えにし】

 

アルバム『とげまる』に収録されている曲です。ランチパックのCMに使われていた曲で、聴くといつも、ランチパックのあの四角いシルエットが浮かんでくるのは、ここだけの話です。

 

イントロから、疾走感が溢れています。遅刻しそうで、学校とか仕事場へ走っている時に、このBGMが脳内再生されそうですね。そして、もちろん口には、ランチパックをくわえて…という下りはもういいか。

 


前回の記事で、アルバム『とげまる』のことについて書かせてもらいました。その中で、このアルバムは、20周年を目前に控えたスピッツの、記念すべき、集大成的な一枚だと述べました。まぁ、彼らのことだから、そんな意識しながら、作ったわけではないでしょうけど。

 

それでも、この【えにし】という曲からは、スピッツメンバーの、とりわけマサムネさんの、20年分の想いがたっぷり伝わってきます。

 


”えにし”とは、漢字で”縁”と書き、別の読み方では、”えん”というのがあります。「ここで出会ったのも、何かの縁。」とか使うあれですね。意味は?っていうとなんだろうね、つながり、とか、めぐりあわせ、とかですかね。

 

そのタイトル通り、この歌は、”めぐりあわせ”とか”つながり”を歌っている曲なのだと思います。つまり、音楽によって生まれた、いや、今も生まれ続けている、人と人、音と人、の”つながり”や”めぐりあわせ”への喜びを歌っているという印象です。

 


まず、何と言っても見逃せないフレーズは、一番のAメロに出てきますこんなフレーズです。

 

「しかめ面で歩いた 汚れ犬の漫遊記」

 

やっぱり、汚れ犬=スピッツそのものを表しているのでしょうか。漫遊という言葉の意味は、そのまま辞書の表現を借りると、気の向くままに各地を回って旅すること、だそうです。そのまま、スピッツの活動に当てはまりそうな言葉ですね。

 


その他、印象的なフレーズを取り出して、解説してみます。

 


大切にしてた 古いラジカセから
聴こえてきてたような 実はよくあるストーリー

 

これは、マサムネさんの”願い”のような気がします。マサムネさんもきっと、少年時代、いや大人になってもかもしれませんが、ラジオやカセット、CDを聴いて、心を躍らせ、ミュージシャンへのあこがれを抱いたのでしょう、そんなあこがれに自分もなりたいと。

 

しかし、それを”実はよくあるストーリー”と表現しています。自分の歌、自分達の音楽、そもそもスピッツというバンドそのものは、決して遠くにあるものではなくて、自分が身近に感じていたミュージシャンたちのように、みんなの身近にいるんだ…というより身近にいたいんだ、と、そういう思いが伝わってきます。

 



何となく信じてた伝説すべて
わがままにねじまげて

美しい世界に 嫌われるとしても
それでいいよ 君に出会えてよかった

 

ここのフレーズは、ほんとに涙腺が緩みますね。

 

何度も書いてきましたが、スピッツは長いこと、自分たちがなりたかったバンドのイメージと、世間が抱くスピッツのイメージとの矛盾や差異に苦しんできたようです。

 

(この辺りは、僕が言うのもなんですが…)
確かに、自分たちは売れた。それはとても素晴らしかった、歌詞通り言えば、それは”美しい世界”だった。でも違うんだ、僕たちが本当にやりたい音楽は、ちょっと違うんだ、と。そういう想いが、アルバム『ハヤブサ』を完成させました。

 

今までの世間のイメージからは離れて、嫌われてしまうかもしれない、でもそれでもいい、本当の僕たちを知った上で、歌を聴いてくれる君に出会えたのだから、と。そんなことを表現しているのだと感じます。

 


ファンに向けて。そして、紛れもなくメンバーに向けて。
音楽を通じて生まれた、全ての【えにし】に感謝と喜びを込めて。
20周年の節目を迎えて、マサムネさんは、この歌を作ったのではないでしょうか。