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36時限目:楓

【楓】


楓

 

19作目のシングル曲として、両A面シングル『楓 / スピカ』に収録されています。オリジナルアルバムとしては、『フェイクファー』に収録されています。

 

シングル御三家(空も飛べるはず、ロビンソン、チェリー)と同じくらい、スピッツファンならずとも、人気のある曲なのではないでしょうか。

 

スピッツ屈指の名バラードとして、広く世に知られていると思いますが…正直なところ、聴き飽きた感があります、好きですけどね。もっと言えば、両A面のもう一面、【スピカ】の方が好みです。

 

しかし、僕はまず、この曲のタイトルが好きなんです。というより、この漢字が好きなだけかもしれませんが。”木”へんに”風”=”楓”で、かえで、ですからね、きれいな漢字だと思います。もしも将来、自分に子供ができたなら、こんな名前を付けたい、と密かに思っております。

 


歌詞の解釈です。

 

まず、サビの歌詞を読んでみます。例えば、こんな感じです。

 


さよなら 君の声を 抱いて歩いていく
ああ 僕のままで どこまで届くだろう

 

ここらへんの歌詞から察するに、まずは、男女が別れを迎えた、という解釈ができます。何らかの形で別れを迎えた男女ですが、その男の方の心情を歌っている、あるいは、思い出を振り返っている歌だというところまでは、容易につなげることができるのではないでしょうか。

 

しかし、その別れが、”死別”であるのか、”恋人関係の終わり”であるのか、解釈は人により分かれるようです。全体的に読んでみても、どちらとも解釈できそうですが、本当のところはどうなんでしょうか。

 


この歌詞の中で、自分の中で引っかかった、解釈のポイントとなるのは、ここです。

 


風が吹いて飛ばされそうな
軽いタマシイで
他人と同じような幸せを
信じていたのに

 

また出てきました、漢字で書けるのに、カタカナで書いちゃうシリーズです。もう何度も出てきましたが、僕はこういう時は、草野さんが、その言葉を本来の意味では使っていない時だ、ということを思っています。

 

漢字で”魂”と書けばよいところを、カタカナで”タマシイ”と書いています。つまり、魂という言葉を、本来の意味で使っていないのではないか、ということです。

 

僕は、ここで言う”タマシイ”=”命”、だと思っています。この辺りは、宗教的な話にもなりそうですが、本来は、厳密には”魂”と”命”というものは違うそうです。簡単に言うと、”魂”は心に宿るもの、”命”は体に宿るもの、という印象です。ある人が、生きているのに、死んだように生気を感じられないのは、その人に”命”はあるけど、”魂”がないということです。

 

何か、喋っている僕の方が難しくなりそうですが、単純に、”タマシイ”=”命”と訳してみるとどうでしょう。

 


”風が吹いて飛ばされそうな 軽いタマシイで”
イメージとしては、もう尽き果てそうな命、という意味でしょうか。これに、”風が吹いて”というフレーズと、タイトルの【楓】をつなげてみると、ベットの上から窓の外を眺めていて、木の枝に一枚だけぶら下がっている葉っぱを眺めている光景が浮かんできました。「あの葉っぱが落ちたら、私の命も尽きてしまうんだわ」みたいな、悲しい光景が浮かんできます。その葉っぱが、もしかすると【楓】なのでしょうか。

 

”他人と同じような幸せを 信じていたのに”
”信じていたのに”ですからね、”のに…”に繋がる言葉は、逆の意味を持つフレーズですよね。つまりここでは、信じていたのに、それも叶わなくなった、と繋がるのでしょう。

 

ということで、僕の解釈は、”死別”ということになります。おそらく彼女の方が、病気か何かで、危険な状況だった。だけど、ずっと信じていた、彼女の病気が良くなり、別に特別ではないけど、人と同じような幸せを築ける、と。でも結局、彼女は死んでしまった、もう願いは叶わない、という悲しい結末ですね。

 


改めてサビを読むと、”君の声を 抱いて歩いていく”ですからね。それでも前向きに歩いて行こう、という気持ちも見て取れますが、”君の声を抱いて…”ですから、彼女のことを、いつまでも忘れられないのでしょう。

 


あと印象に残ったフレーズとしては、

 

”ガラスの向こうには 水玉の雲が”
調べてみると、巻積雲、高積雲、という名前の雲がありました。これは、秋によく見られる雲で、水玉状の雲です。つまり、”水玉の雲”で、秋の様子を表わしているのだと思います。

 

”かわるがわるのぞいた穴から”
ここのフレーズの意味が、よく分かりません。穴を覗く…例えば、望遠鏡でしょうか、変わりばんこして、望遠鏡で何かを見ていたのでしょうか。ここの解釈は分かりませんが、印象に残るフレーズではあります。

 

などなど。

 


ちなみに、この解釈だと、死んだのは女性の方ではなく、男性の方だという解釈も出来そうです。この解釈だと、男が歩いて行こうとしている方向は、あの世、ということになります。

 

まぁ、死別でなくても、ただ単に、恋人関係の解消からの、男の未練を歌ったものと捉えてもよいと思います。いずれにせよ、物悲しい歌です。

 

 

【楓】(カラフル草野さん!)

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