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39時限目:君が思い出になる前に

【君が思い出になる前に】

 

■アルバム『Crispy!』に収録されている曲です。そこからシングルカットされて、7作目のシングル曲になりました。

 

いつか詳しく書こうとは思っていますが、僕がスピッツを好きになったのは、シングル曲の【チェリー】を聴いてからでした。その同時期、この【君が思い出になる前に】も聴いていた記憶があります、ひょっとしたら、【チェリー】以前に聴いていたかもしれません。とにかく、この時期のシングル曲が、自分のスピッツに関する、最も古い記憶です。

 

確か、もう廃盤になってしまった、ベストアルバム『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』の一曲目が、この曲でしたね。案外古い曲なんですよね。

 

君が思い出になる前に(草野さんの頬がすごくこけて見える)
https://youtu.be/LrwC2Xu2POs

 


■もともと、パンクロックバンドだったスピッツですが、その片鱗は、メジャーデビューした後も垣間見えていました。そこから草野さんは、ドノヴァンという、スコットランドのミュージシャンを意識してかららしいですが、フォークギターを演奏しながら歌うようになるわけです。

 

個人的には、アルバム『Crispy!』辺りにはもう、第二期のスピッツ(オリジナルアルバムで言うと『Crispy!』~『フェイクファー』までを、個人的にはそう呼んでいます)に差し掛かっていて、いわゆる、草野さんがフォークギターを演奏しながら歌い、それを他のメンバーの演奏が引き立てる、というスタイルが定着し始めた時期だと思っています。

 

そういう意味で、【君が思い出になる前に】は、第二期の入り口として、スピッツの中で重要な意味を持つシングル曲なのではないでしょうか。

 


■前置きが長くなりました、曲の感想・解釈ですね。

 

正直で分かりやすいタイトルだと思います。そのタイトル通り、別れの場面において、君が思い出になる前に…と、君との別れを惜しんでいる様子が見て取れます。

 

出だしの歌詞を載せると、こんな感じです。とてもきれいで、そして切ない歌詞ですね。

 


あの日もここではみ出しそうな 君の笑顔を見た
水の色も風のにおいも 変わったね
明日の朝僕は船に乗り 離ればなれになる
夢に見た君との旅路は かなわない

 

まず、”あの日もここで…”というフレーズから、何処か、二人の思い出の場所でのワンシーンであると察しました。

 

場所としては、”海”が思い浮かびます。”水の色も風のにおいも 変わったね”という表現において、水は海の水、風は潮風を表していて、時間の流れも感じます。

 

”明日の朝僕は船に乗り…”というところは、日時も手段もちゃんと示されていて、すごく具体的だな表現だな、と思いました。この具体的な表現からも、草野さんが、売れ線の曲を作ろうとしていたということが見て取れます。この曲は、全体的に具体的で分かりやすいのが特徴なんですよね。

 


■そして、サビはこんな感じです。

 


君が思い出になる前に もう一度笑ってみせて
優しいふりだっていいから 子供の目で僕を困らせて
君が思い出になる前に もう一度笑ってみせて
冷たい風に吹かれながら 虹のように今日は逃げないで

 

”もう一度笑って見せて”というフレーズは、出だしの歌詞の”あの日もここではみ出しそうな 君の笑顔を見た”にかかっているのでしょうね。別れを明日に控えて、悲しい顔をしている恋人に対して、そんな顔をしないでよ、あの日みたいに笑ってよ、と、男は言ったのでしょう。

 

”優しいふりだっていいから”とか、”子供の目で僕を困らせて”とか、ここのフレーズも素敵です。きっと、二人にしか分からないたくさんのエピソードがあるのでしょう。

 


■少しまとめてみます。

 

何らかの理由で、僕は住み慣れた土地を去っていくことになった(例えば、就職や大学に通うためか、あるいは夢を追うために上京するとか)。その別れを明日に控え、恋人と二人で、思い出の場所である海へとやってきた。思い出の海にたたずんで僕は思う。
「この場所はいつ来てもきれいな場所だな。でも水の色も風のにおいも変わった、同じように見えて、実は色んな物事は、時間の流れとともに変わってしまうんだ。僕たちの関係もそうかもしれないな。」
そして、別れを目前に控えて、恋人はずっと悲しい顔をしている。
「何だよ、いつものお前らしくないじゃないか、いつものように笑って見せてくれよ」
君が思い出になる前に、今日という日を心に閉じ込めて、僕は旅立つから。

 

とまぁ、こんな感じですね。

 

解釈に心残りがあるとするならば、この後の二人の関係です。具体的には、男が旅立つことを機に、二人は恋人関係を解消したのか、あるいは、遠距離恋愛により恋人関係を継続させたのか、という2通りの結末がありそうです。個人的には、悲しいですが、前者の方がしっくりきます。それでも、それぞれの心の奥にはきっと、ずっと二人の思い出が残っているのでしょう。