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62時限目:謝々!

【謝々!】


謝々!

謝々!

 

■18作目のシングル曲で、【冷たい頬】とともに両A面収録されています。そして、アルバム『フェイクファー』にも収録されています。中国語で”ありがとう”という意味ですが、その読み方を日本語で表すならば、正確には、”シエシエ”ということになるそうです。

 

個人的ランキング、195曲中19位。この曲は好きですねー、なんか聴いていて楽しくなりますよね。アルバム『フェイクファー』自体、自分の中で、それこそ小学生の頃に聴いていた作品なので、なんか古くから知っている幼馴染のような親近感を感じる曲です。

 

ホーンの音が響いていたり、聖歌隊のゴスペルのような歌声が入っていたりと、パレードやパーティーを思わせる、とにかくにぎやかな曲という印象です。子供心に、わくわくしながら聴いていたのを、よく覚えています。

 


■早速、歌詞の解釈をしてみます。まず、簡潔に状況を表していると思われる部分として、こんな一文があります。

 


やり直しても良いのです 今度は一人ぼっちでも
記号化されたこの部屋から ついに旅立っていくんです

 

ここだけ読んでも…まぁ読んだ通りですが、一人ぼっちで旅立っていく光景が浮かんできます。

 

そうすると、”記号化された部屋”とはなんでしょうか。例えば教室(1-2とか、3-Bとかの名前を”記号”と表現しているか)を思い浮かべると、この歌は卒業ソングということになりますし、例えば自分が住んでいた実家(住所を”記号”と表現しているか)を思い浮かべると、親元からの巣立ちの歌にもなります。

 

とにかく、”旅立っていくんです”という言葉が、否が応でも目に入ってくるので、上述のような、色々な旅立ちの物語を想像してしまいます。

 


■ここで、色んな旅立ちの物語の中で、また少し大胆に解釈を進めたいと思います。注目したのはこの部分、この歌の最後の部分になります。

 


くす玉が割れて笑い声の中
君を見ている

 

何となく、全体の歌詞の流れから、ここのフレーズが少し浮いているように思えるんです。特に、”くす玉”っていう言葉…まぁ、その意味通り捉えて、旅立っていく君のために、”おめでとう!”とか”頑張って行っておいで!”とかいうメッセージを伝えるために、割ったものと考えることができますが…何かあるんじゃないかと色々深読みしていくと、ある一つのことが思い浮かびました。

 


ずばり言うと、”くす玉”=妊婦のお腹、という解釈です。

 

”くす玉が割れた”=妊婦のお腹が割れた…これだけ読むと、ちょっとグロテスクですが、つまり、お腹から赤ちゃんが産まれ出てきた、という意味であると解釈を進めてみました。

 

ともすると、この歌は、”出産おめでとうソング”ということになります。そして、”君”とは、”母親のお腹から旅立っていく赤ちゃん”ということになります。

 

(余談ですが、ここのブログで前に書いた、【あわ】という曲の中で、”飛行船”という言葉を”妊婦のお腹”と訳したこともあります。)

 


■そういうつもりで、この歌詞を読み返してみると、また色々と見えてくるものがあります。

 


生まれるためにあるのです じかに触れるような
新しいひとつひとつへと 何もかも悲しい程に

 

この部分は、急に、哲学的というか、人生における格言のようなフレーズが出てきて、あれっと思いますが、この歌を出産ソングとするならば、ここの部分も、読み方が変わってきますね。

 



やり直しても良いのです 今度は一人ぼっちでも
記号化されたこの部屋から ついに旅立っていくんです

 

”やり直す”という言葉が、何を表すのかは分かりませんが、”一人ぼっち”とは、きっと、母親の胎内でずっと母親とつながっていたところから、お腹から産まれてきて、へその緒を切り離して、ひとり(ぼっち)になる、という意味だと捉えられます。時に、”人は一人で産まれて、一人で死んでいくものだ”なんて言われますしね、そういうことを表している部分かなと思いました。

 



大空に溶けそうになり ほら全て切り離される
鳥よりも自由にかなりありのまま

 

”切り離される”が、へその緒を切って、赤ちゃんと母親が離される、という瞬間の描写であると捉えました。それをここでは、”自由”と表しています。いよいよ、人生のスタートを切ったわけですね。それは、鳥が空を飛ぶように、自由に満ちているものなんだよ、と。

 


■そして、タイトルの【謝々!】というタイトルに込められた意味。これまでやってきた解釈だと、産まれてきた赤ちゃんや、出産を頑張ってやり遂げた母親への、感謝の思いであると捉えることができます。

 

”ありがとう”と言わずに、中国語で”謝々”と言ったのは、草野さんの言葉遊びか、それとも素直に曲のタイトルに”ありがとう”とつけるのはちょっと…と思う気持ちからか、そういうところだと思います。何となく”謝々”の方が、リズムに乗っていますしね。

 


…という解釈、いかがでしょうか。受け入れるか、突き放すかは、あなた次第ということで。