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87時限目:旅人

【旅人】


旅人

旅人

 

■シングル『渚』に、カップリング収録されています。また、アルバムとしては、スペシャルアルバム『花鳥風月』に収録されています。個人的ランキング、195曲中98位でした。

 

アルバム『花鳥風月』に収録されている、カップリング曲は、本当にどれもいい曲ばっかりですよね。個人的には、【スピカ】→【旅人】→【俺のすべて】→【猫になりたい】→【心の底から】というアルバムの流れは、最高だと思います。

 

つくづく、スピッツカップリング曲に良い曲が多いことを再確認できますね。

 


■この話(後述)をどの曲の時に入れようか悩んでいたけど、ちょうどいい機会なので…というより、書くネタも無いので、ここで入れようと思います。と、言うより、多分また同じ話をどこかですると思います。まぁ、何度も同じ話をしてもいいよね、だって、その記事その記事だけしか読まない、一期一会の人もいるでしょうしね。

 


スピッツ関係の書籍、その名も「スピッツ」という本の中に、この時期(シングル『渚』を発売したあたり)のインタビューが載せてありました。珍しく、三輪さんとインタビュアー(鹿野さん)の一対一のインタビューでした。

 

まず、【旅人】が収録されているシングル『渚』が発売になったのは、1996年9月9日です。しかし、元々、シングルを七夕に発売することにこだわっていました。しかし、タイミングなどが合わずに、結局は発売を延期したという話だそうです。

 

【渚】は完成していたらしいですが、カップリングをしっかり作りたいということで、【旅人】を作っていたそうです。

 

そんな中、このインタビューにも書いてありましたが、ギターの三輪さんは、ギターが全然弾けなくなるという、正体不明のスランプに陥ったようです。ちょうど、シングル『渚』が発売になったり、アルバム『インディゴ地平線』をレコーディングしていた時期だったそうです。

 

インタビュー記事の言葉を、いくつかそのま抜き取ってみると(全て三輪さんが喋っている言葉です)、

 

「…バッターもさ、フォームを忘れてスランプってのがあるでしょう?ああいうのになっちゃってギターがうまく弾けないんだよね。で、自分でも今ほんとにどうしていいかわかんない状態」
「1か月くらい前はもうかなりブルーでねぇ…」
「もうプライドっていうか『このまま音楽やっていいのか?』っていうぐらい」
「みんな気ぃ遣ってくれる」

 

などなど。とにかく、スランプに悩んで、初心に返って、克服して、という流れが語られています。三輪さんだけではなくて、この時期のスピッツは、いろいろ大変だったんだな、って思いますね。だから、メンバーの中で、アルバム『インディゴ地平線』は、”一番思い出深いアルバム”として語られているようです。

 


あと、【旅人】という曲に関してですが、インタビューの中で、Mr.childrenの話が少し出てきています。

 

それは、この時期に同じタイミングで、カップリングに『旅人』という曲が入ったシングルを発売したという話でした(ちなみに、『マシンガンをぶっ飛ばせ』というシングルのカップリング曲です)。

 

三輪さん曰く、「挑戦状は打ってないよね(笑)」「なんか逆に嬉しくなったりするよね」だそうです。

 


■さて、【旅人】についてです。

 

まず、何と言っても印象に残るのは、サビの”旅人にぃー↑”という、突然キーが高くなる部分ですね。一回聴くと本当に耳に残りますが、急にキーが高くなるので、草野さんのようにきれいに歌うのは難しいです。

 


歌詞については、【旅人】というタイトルという割には、何処かを旅しているような内容にはなっていません。何となく、普段はやらないことをやる時に…食べたことない食べ物を頼むときなどに、「ちょっと冒険してみようかな」と言うことってありますよね。何か、そういう感じに、”旅人”という言葉は使われているのかな、と感じました。

 

そして、【旅人】というと、どこか自分が居た場所からの、決別を意味する言葉でもありますよね。この歌でも、つまりは、何かから決別をしようとしているのではないでしょうか。じゃあ、何から?というところで、具体的にそれが分かりそうな部分はと言うと、この辺りでしょうか。

 


やっぱりダメだよ 目を覚ましてもあの瞳

君を抱きしめて 鼻スリ合わせた
稲妻の季節甘いランデブー

 


ばっさり切られて なんだそーなの 俺だけが

 


ぐったり疲れた だからどうしたこのままじゃ
ひっそり死ぬまで 空を食ってくだけの道


”君”という言葉が出てきますね。それに合わせて、”やっぱり駄目だよ”とか”ばっさり切られて”など、何となくマイナスな表現が多いので、もしかしたら、”君”とは恋人関係にあったがそれを解消した、あるいは、告白したけどフラれたのではないでしょうか。

 

そして、そういうことがあっても、”俺”はなかなか君を忘れることができないと。しかし、そのままでいるわけにはいかない、ということで、君のことを忘れようとしているのが、この歌だと解釈しました。

 


旅人になるなら今なんだ
冷たい夕陽に照らされて のびる影

 

夕陽は、”君”を隠喩しているのでしょう。”伸びる影”ということで、その君に背を向けて、離れていっている描写だと思います。トボトボと歩いている様子が浮かんできます。”旅人になるなら今なんだ”とは、つまり、君を今こそ忘れるんだ、という意味合いなんだと思います。