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98時限目:テクテク

【テクテク】

 

■両A面シングル『春の歌 / テクテク』に収録されている曲。アルバムとしては、スペシャルアルバム『おるたな』に収録されています。

 

個人的ランキング、195曲中120位でした。【春の歌】のカップリング曲だと思ってましたけど、両A面だったんですね、そういう印象はなかったです。【春の歌】の印象が強かったですんでね…。

 


■まず、この曲に関して、一番紹介したいものは、MVです。この【テクテク】という曲のMVが、本当に独特で、笑いあり、そして、切なさありの、スピッツとしては珍しいストーリー性の強いMVになっています。独特なタッチの絵も、何とも言えない世界観を作り出しています。

 

何はともかく、見ていただきたいと思います。これ以降、MVの内容にも触れていきますので、先に見てから読み進めていくことをお勧めします。出来れば、最低でも2回は見ていただきたい。

 

テクテク MV

youtu.be

 

 

ストーリーとしては、まず、森の中で少女が、謎の生物に出会います。木に成っている果実(みかんや洋なしに似た果実)が命を持って動き出した、ちょっと不気味な化けもn…いや、かわいらしい生き物です。便宜上、名前を”テクテクくん”としておきましょう。少女とテクテクくんは、仲良くなって、森で遊んだりして、日々を過ごします。

 

しかし、ある日、少女はテクテクくんにお別れを言いに来ます。どんな理由があったのかは定かではないですが、引っ越して、その森を離れることになるわけです。テクテクくんに、自分がかぶっていた帽子を預け、少女は馬車に乗って去っていきます。

 

テクテクくんは、別れを受け入れていないような様子で、また森に少女が遊びにやってくる、ということを長いこと待ち続けます。しかし、やがてテクテクくんは気付くわけですね、少女はもう森にやって来ない、ということに。急に寂しくなり、少女に会いたくなって、少女の大好きな果実を持って、少女のもとへとテクテクくんは走り出します。

 

町では珍しいものを見るような目で見られ、森では狼に襲われそうになり、それでもお構いなしに、雨の中を走っていくテクテクくん。

 

そして、ついに少女の家にたどり着きました。そこでテクテクくんが見たものは、少女のそばに寄り添う、少年の姿です。少年から、一輪の花をプレゼントされて、喜ぶ少女…そんな少女を見て、テクテクくんが抱いた感情はどんなものだったでしょうか。「そうか、少女にはもう大切な人ができたんだ、僕はもう必要ないかな。でも、本当に元気そうでよかった、嬉しい」…とても複雑な感情だったのでしょうね。

 

そして最後は、そんな彼女の姿を見守るように、テクテクくんは、彼女の家のそばで、自分が成っていた木に戻っていくのです。いつまでも見守っているからね、いつでも君の好きな果実を用意するからね、と。

 


…ネタバレと言うより、もろに最初から最後までストーリーを書いてしまいましたが。

 

このMVを見た後、本当に何とも言えない気分が残ります。テクテクくんが少女に抱いていた感情は、恋愛感情に近いものでもあったんじゃないかな、と思います。そこで、少女と少年が、仲睦まじくしているところを目撃して、少女にも気づかれないところで、ひとりひっそりと、自分の気持ちを諦めた、ということでしょう。何とも、切ないラブストーリーじゃないですか。日常でもこういうことってありますよね…というより、そういうものを示唆したストーリーなのだと思います。

 


■ということで、MVの解説が長くなってしまいましたが、曲本体の紹介・解説をさくっといきましょう。

 


まず、MVが珍しいのは分かっていただけたかと思いますが、曲の雰囲気もすごく独特なんです。

 

最初、のっけから草野さんのアカペラで始まって、ちょっとドキッとします。これがまたきれいな歌声なんですよね。

 

そこから続く曲の雰囲気は、なんて説明したらいいんだろう…アコーディオンの音からは、なんだかヨーロッパの街角の雰囲気を感じます。僕は、ドイツに一度だけ行ったことがあるんですけど(その時やっていた仕事の関係でしたが)、街を歩いた時、アコーディオン奏者が街の路上で演奏をしていました。なんか、そんな雰囲気をこの曲から感じます。

 

そして、ヨーロッパっぽいと思いきや、崎山さんは、アフリカの民族楽器の太鼓であるジャンベを演奏していて、その辺りは民族音楽っぽい感じがしてきます。ジャンベなんですが、これは僕も演奏したことありますよ、大学の時に弾き語りサークルに属していたんですが、曲の雰囲気に合わせて、ドラムの代わりに叩くことがありました。

 


■そして、歌詞に関してですが、MVの印象が強すぎて、もうテクテクくんのことしか思い浮かびません、笑。

 


全体的なイメージがわいてくるフレーズとしては、

 


同じこと二度とない 悲しいけど
さびしいけど 僕は歩いてく
雨の中を 日差しの中を

 


優しすぎる君のメール 読み返してる
また会えるよ またいつの日か

 

特別って呼びたい もう迷わない
ふりむきつつ 僕は歩いてく

 

この辺りですかね。テクテクくんの心境と重なる部分もありますが、解釈としてはおそらく、僕は君と何らかの形で別れを迎えたと…それが寂しいけど、がんばって歩いて行こう、生きていこう、という気持ちを歌った歌だと思います。

 

どういう状況で別れたのか、というところは、まぁ色々想像できると思います。テクテクくんのように、君への気持ちを諦める、ということを別れと取ることもできますし、恋人関係を解消することかもしれません。あるいは、”死別”と考えることもできるかもしれませんね。

 

とにかく、君との別れの場面、そして、それでもがんばって歩いて行こうとする僕の姿が思い浮かんできます。

 


あとは、曲のタイトルにもなっている”テクテク”とは、言わずもがな、”テクテク歩いていく”という意味で使われる擬音だと思います。この曲の、ゆったりとした雰囲気にも、”テクテク”という言葉は似合いますね。