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103時限目:トビウオ

トビウオ

 

■アルバム『さざなみCD』に収録されている曲です。個人的ランキング、195曲中71位でした。

 

スピッツのことをあんまり知らなくて、知っていたとしても、シングルの有名な曲だけ(【空も飛べるはず】とか【チェリー】とか)しか知らない人だとか、スピッツって何かゆるいバンドだなぁ、とか思っている人には、ぜひとも聴いてもらいたい一曲ですね。

 

きっと驚くんじゃないでしょうか。驚いて、分かってもらえると嬉しいです、スピッツってロックバンドなんだな、って。それで好きになってもらえると、もっと嬉しいんですけどね。アルバム曲には、【トビウオ】のような、シングル曲からは到底イメージできないくらい、ロックロックした曲も多いですからね。そういう曲を、アルバムで聴くことも、スピッツの醍醐味なんです。

 


■とあるところで見つけたインタビューにて、メンバーが話していたことに、少し触れてみます。

 

”制作期間が長かった分、曲作りにもいろんな要素が入ってきたんじゃないですか”というインタビュアーの質問に対し、草野さんは、”季節が違ったりするだけで、かなり雰囲気が変わります”、”寒い時期に作ると、やっぱりちょっと、ゆったりした曲に…(中略)…夏に作ると「トビウオ」みたいな曲になる…”という風に答えていました。

 

アルバム『さざなみCD』は、1年以上の期間で、4回に分けてレコーディングされた作品だそうです。制作時間が長かった分、その時その時の気分や、季節の雰囲気によって、作る曲の雰囲気も変わってくるのは、何となく分かる気がします。この作品は、スピッツの春夏秋冬、静から動まで詰まっているアルバムだということですね。タイトルには、”さざなみ”と、何となく夏っぽい言葉が含まれていますけど。

 


■そういうわけで、スピッツの夏が詰まっている、疾走感あふれる、ロックチューンである【トビウオ】です。

 

まず、この曲を聴いてみて、全体を通して、似たような表現があることに気づきます。具体的に言うと、

 


替わりがきかない 宝を取り戻せ 君を

 


思い出そうぜ トビウオになれ …

 


その勢いで 気付かせたいぜ 今さらながら

 

これらのフレーズです。”取り戻せ”、”思い出そうぜ”、”気付かせたいぜ”などの表現は、詳細はよく分かりませんが、何となく響きが同じような印象を受けますが、どうでしょうか。

 

失いそうになっている、あるいは失ってしまった大事な何かを”取り戻せ”、忘れてしまった大事なことを”思い出そうぜ”、そして、それがどんなに大事だったのかを”気付かせたいぜ”、という風に、言い方は違うだけで、どれも同じことを言いたいんだと思います。

 

じゃあ、具体的にそれが何なのか。そのあたりは、まぁいつも通り、色んな想像ができそうなところではあります。

 


■何を取り戻そうとしているのか、何を思い出そうとしているのか、色んなストーリーが思い浮かぶと思います。

 

先に書いたフレーズのひとつに、”替わりがきかない 宝を取り戻せ 君を”というのがありましたが、この文章を読む限りでは、”宝”=”君”という解釈につなげることもできると思います。

 

それならば、”君を取り戻す”とは、どういう意味なのか、またまた考える余地が出てきます。

 


僕が真っ先に…勝手に想像したストーリーは、ドラマでよく見る場面(いや、最近はあまり見ないか、笑)ですが、例えばこんな感じです。

 

ある女性が、どこか遠くへ旅立って行ってしまうという時が近づいている。それにも関わらず、その女に想いを寄せている男は、気にしていないふりをして、仕事をしている。そこで、仲間が言うわけです…「本当に行かせていいのか?お前、好きなんだろ!行ってやれよ」と。そういう熱い展開もあり、男は「分かった!俺行ってくる!」と、仕事場を飛び出して、空港に行くわけです。そこで、間一髪で(なぜか、笑)女性に出会って、ようやく気持ちを伝える、と。

 


他にも、例えば、結婚式会場に、”その結婚、ちょっと待ったー!!!”と男が突入して言って、花嫁を半ば強引にさらっていく、という物語なども思い浮かびましたが、どっちにしろ僕の勝手な想像です。

 


■ぶっ飛んだ想像はともかくとして、男があるとき気付いたわけです…ひょっとしたら、別れが差し迫った最期の最期でかもしれませんが…自分にとって、本当に大切なのは、”君”だったんだ、と。

 


うれしいってもっと 素直に言えたなら
抱きしめたい 見つめていたい くたばる前に

 


遠回りしたけど 解りはじめた

昔から僕らが 持っていたもの

 

間に合うかどうかはともかくとして、その気持ちを”君”に伝えるために、君の元へと急ぐ男。迷いを吹っ切るように、跳ねるように颯爽と駆けていく…まさに”トビウオ”のように…というのが、この曲のタイトルから受け取った、個人的なイメージです。

 


■まぁ別に、上述の通りでなくても、”取り戻す”という物語は、色々考えられると思います。例えば、自分らしさを忘れてしまった”君”に、元気づける意味でも、何とかして自分らしさを思い出させよう、という奮闘なんかも、物語としては面白いんじゃないでしょうか。