スピッツ大学

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104時限目:TRABANT

【TRABANT】


TRABANT

TRABANT

 

■アルバム『とげまる』に収録されている曲です。個人的ランキング、195曲中154位でした。改めて聴きなおしてみると…むちゃくちゃかっこいい曲ですね、これ!見直しちゃいました!

 

なんでもこの曲は、ロシアっぽい、という理由で、仮タイトルを「シャラポワ」としていたそうです。

 

シャラポワ」って、笑。もし「シャラポワ」のまま発表されていたとしても、スピッツならば、違和感なかったのでしょうか…いやいや、さすがに「シャラポワ」はやり過ぎでしょうかね。にしても、ロシアっぽい物ならば、もっとたくさんあっただろうに、なんでシャラポワをチョイスしたのか、笑。他にも色々あったでしょうに…ピロシキとか、ボルシチとか、マトリョーシカとか、ね。

 

まぁ、結局「シャラポワ」は仮タイトルとして消えていき、【TRABANT】と名付けられました。まぁ、【TRABANT】も十分珍しいタイトルですけどね。

 


■それで、タイトルの”TRABANT”についてですが、読み方は”トラバント”です。英語かと思ってましたが、どうやらドイツ語なんですね。バンド名の"spitz"といい、草野さんはドイツがお好きなんですかね…ドイツと言うより、ドイツ語かな。

 

”TRABANT”の本来の意味は、”衛星”、”仲間”、”随伴者”などだそうですが、他にもこの言葉は、旧東ドイツの大衆乗用車にもつけられているそうです。

 

トラバント 参考情報(wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%88

 


言葉本来の意味は、上述のように色々あるとして、それじゃあ、この曲には、どういう思いを込めて、この"TRABANT"というタイトルをつけたんでしょうか。

 


■このブログでも、もうすでに何回も話をさせてもらってますが、【TRABANT】が収録されている『とげまる』というアルバムは、スピッツの20年と言う長い活動期間の中で、一番最後に発表されたアルバムであす。20年という長い期間を懐かしみつつも、20年をさらに越えて、まだまだロックの最前線を突き進んでいく、そういう思いを、『とげまる』という作品に込めたんだと思っています。

  

ということで、この作品は、”回想”と”冒険・旅立ち”という、2つの側面を併せ持つ作品だと個人的には思っています。

 

ならば、【TRABANT】という曲はどうでしょうか。個人的には、”冒険や挑戦”をテーマとして感じました。曲の雰囲気も、歌詞を読んでみても、そういうイメージが浮かんできました。

 


■例えば、サビの部分の歌詞を載せてみると、

 


曇り空を突き抜けて 君と旅に出たい
まだ前書きの物語 崩れそうな背景を染めていけ

 


高い柵を乗り越えて 君と旅に出たい
本当の温もりを想定して すすけてる鳩をとき放て

 

という感じです。”旅”という言葉が出てきています。しかしながら、”君と旅に出たい”となっているので、まだ願望の域を超えていないのでしょうか。最後のAメロも、

 


ギリギリの持ち物を とっておきのときめきを
君の分まで用意して 今日も夢見てる
その時が来ることを…

 

となっています。旅に出たいとは思っているけど、今はまだ夢を見ているだけだということを歌っているのでしょうか。君との関係性も気になるところですが。

 


■他の部分も見ていくと、何となく色々と想像できそうな言葉が多く出てきているんですよね。いくつか印象に残ったフレーズを書いてみると、

 

「草木もない灰色の固い大地」「古い機械」
「寸前の街」「しずくに群がるアリ」「配給される悦び」

 

などがあります。これらをつなげて、どんな物語が想像できるでしょうか。勝手な想像をひとつ紹介しておくと、例えば、

 

”灰色の大地”…コンクリートを表していて、何となく都会のイメージ
”古い機械”…パソコンや、工事につかう機械など、仕事で使う機械類
”しずく”、”配給される悦び”…給料やボーナスなどの報酬
”アリ”…せっせと仕事にいそしむ人たち

 

などと考えてみるとどうでしょうか。仕事漬けで、代わり映えしない、退屈な毎日を抜け出そう、としているのかもしれません。それを、”旅に出たい”と表現している、というのがこの解釈です。

 


■とにかく、何かある状況から抜け出したい、と夢見ながらも、未だ実行には移せていない、あるいは、そもそも抜け出せる見込みはない、というようなことを歌っているのだと思います。

 

もしかしたら、草野さんはこの歌に、自分達を重ねているのかもしれません。彼らは、そんなに悲観的な状況ではなかったと思いますが、この場合だと、20年目を迎えてもなお、ロックという荒野を突き進んでいく決意の歌なのかもしれませんね。