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127時限目:ネズミの進化

【ネズミの進化】

 

■アルバム『さざなみCD』に収録されている曲です。個人的ランキング195曲中53位でした。

 

『さざなみCD』は、【トビウオ】→【ネズミの進化】→【漣】→【砂漠の花】という、最後の4曲の流れが最高なんですよね。ノリノリにさせておいて、徐々に締まっていく感じが好きなんです。

 

音的には、ロックではあるんだけど、アコギの音も聴こえてきますし、何ていう楽器だろう、ジャンベとかコンガの類だと思いますが、民族打楽器のような音も聴こえてくるのも、特徴的ですね。

 


■しかし、僕がまず思うのは、草野さんって、よく生き物(の名前)を、歌詞やタイトルに使うよね、ってことです。偶然、前回紹介したのは【猫になりたい】でしたが、他にも言い出したらきりがないですよね。【オケラ】、【トンビ飛べなかった】、【魚】、【海ねこ】、【放浪カモメはどこまでも】など…鳥率が高いですけどね、笑。

 

それが爆発(?)したのが、アルバム『小さな生き物』だったのかなって思います。生き物賛歌、と言いますか、草野さんの中に、全ての生き物を讃える気持ちがあるんでしょうね。

 

それぞれの生き物に、色んな人間の姿を当てはめているのだと思いますが、この【ネズミの進化】に込められた想いは何なのでしょう…ほんと、何なのでしょうね、笑。

 


■これ、タイトルからイメージを膨らませて、そこから歌詞を読んで考えてみると、ん?って思うんです。

 

まず、タイトルが【ネズミの進化】じゃないですか。そこで、まず考えてみるんです…”ネズミ”ってどういう生き物だろうって。ネズミと一括りに言っても、色々ありますよね、ハムスターなどのペットとして飼うネズミはかわいらしく思えるかもしれないですが、ドブネズミなどの汚らしい場所にいるネズミは、忌み嫌われる存在だと思います。

 

それでも、共通して誰もが思い浮かべるのは、小さくてちょろちょろと動く、弱々しい姿だと思いますが、どうでしょうか。

 

ということで、【ネズミの進化】なので、僕としては、そういう小さな弱々しい姿から、大きくて強い生き物へと進化していくような、そういうイメージをタイトルから膨らませたのです。

 


■しかし、そこで歌詞を読んでみると、

 


言い訳するだけ悲しくて 涙しょっぱくても
いつか 目覚めたネズミになる

 


遅い気がしても 行けるだけ 行ってみようかな
いいよね? 小さなネズミになる

 

など。つまり、歌詞を読んだ限りでは、ネズミから進化するのではなくて、進化してネズミになる、という歌なのかなって思い直したんです。進化した先が、ネズミなのだと、そういうことになります。


いや、少し違うか。ネズミはネズミらしく、ネズミのまま進化する、と言った方が正しいか。ネズミであることへの誇りみたいなものを感じます。


じゃあ、そこに、どういう意図があるんでしょうか、と考えていくと、(少々大げさに言うと)この世の中を生きていくメッセージのようなものを、受け取ることができます。

 


■この歌には、個人的にすごくジーンとくる…とは、少し違うかもしれませんが、好きなフレーズが、たくさん出てくるんです。いくつか紹介します。

 



奴らにも届かない場所がある
すぐに狭い抜け穴 逃げ込めるような
小さなネズミになる

 

”奴ら”とは、要は自分たち(弱い者)とは対極にいる存在、つまり強者ということになりますね。弱い者には、弱いなりの生き方があるんだと。強い者には、決して見ること、経験することができない、そんな景色や生き方があるんだと、そういうメッセージを感じとります。

 



じっとしていたらたたかれて
素直に進めば潰される
よく見りゃいくつも道があり
実はその先も分かれてた

 

ここのフレーズ、なんかいいですよね。止まっていても、進んでも、結局はダメじゃん!どうすりゃいいんだ、って思っちゃいますけどね。”よく見りゃいくつも道があり 実はその先も分かれてた”ってね、色んな生き方があって、小さく弱いなりにも、たくましく生きていく方法はあるってことでしょうね。

 


■ということで、すごいですよね、草野さんは、ネズミに対してもちゃんと、尊厳を持っているってことなんでしょうか。

 

ネズミという存在を決して見下しているのではなく、何ていうか、”弱いなりの誇り”とでも言いましょうか、そういうものを、この歌からは感じとって、わけもなく勇気をもらいます。