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151時限目:不死身のビーナス

【不死身のビーナス】


不死身のビーナス

不死身のビーナス

 

■アルバム『空の飛び方』に収録されています。個人的ランキング、195曲中37位でした。『空の飛び方』の曲の中でも、かなり印象に残っています。とにかく、疾走感が気持ちいい曲です。イントロやアウトロのギターがかっこよすぎでしょう!

 


■書籍「スピッツ」などを読んだ限り、『空の飛び方』というアルバムは、スピッツにとって、かなり前向きな想いを込めて作った作品だということがよく分かります。

 

スピッツの中でも、自分たちの活動が安定してきた時期だったので、自分たちの気持ちの面でも勢いがある、アルバムの名前を借りるならば、”飛んでいる”時期だったのでしょう、【不死身のビーナス】にも、それが前面に表れていますよね。

 

アルバムのタイトルも、元々は「飛び方」だったそうですが、字面などを考えて『空の飛び方』になったそうです。インタビュアーさんの言葉を借りるならば、スピッツなりの”飛び方の11の方法”紹介アルバム、といったところでしょうか、笑。

 


■そういう、ノリに乗っている時期の【不死身のビーナス】という曲ですが、例のごとく、wiki(など)の情報を少しまとめておきます。

 


まず、作った当初この曲は、「無敵のビーナス」というタイトルだったそうです。”無敵”と”不死身”では、全然ニュアンスが違いますが、実際に口に出して歌ってみると、”不死身”の方がしっくりとは来るんですよね。

 

あと、この歌の最後の方に、「不死身のビーナス ネズミの街」という歌詞が出てくるんですけど、ここの”ネズミの…”というところを、その時のライヴの開催地の地名にすり替えて歌って、盛り上げています…東京の街とか、広島の街とか、って感じですね、ライヴに参加した人は嬉しいでしょうね。(確か、【けもの道】もそうでしたね。)

 

もうとにかく、当時の勢いをそのまま表しているような、気持ちのいいギターロックという感じでしょうか。ライヴの盛り上げ曲として、今でも人気の高い曲だと思います。

 


■ということで、その【不死身のビーナス】についての解釈を少し考えてみます。

 

全体的に読んだ感じで、まず僕がこの歌でイメージしたのは、”別れることを決意したカップルの、最後の場面”というものでした。

 


書籍「スピッツ」における、この時期(アルバム『空の飛び方』辺り)のインタビューの中で、【不死身のビーナス】や【たまご】などを引き合いに出して、「恋愛を特別なものとして崇拝するんじゃなく、端から見て滑稽なものとして…」というインタビュアーの言葉があって、草野さんは「つまらないけれども、美しすぎるかもしれないっていう」と表現していました。

 

何ていうか、僕もあんまり恋愛を語れるような人間ではないんですけど、恋愛ってみっともない部分ってあると思うんですよ。簡単に、「俺ら、ずっと一緒に居ような」とか「いつか結婚しような」とか言ってしまえたりしてね、大学生のくせに同棲したり、就職なんてしてないのに「結婚しような」とか約束したりね。…でも、それは決して嘘でも何でもないんですよね、本当の心の底からの気持ちだったんですよね、守れるか守れないかは別としてね。

 

この【不死身のビーナス】のカップルにも、そういうのがイメージとして浮かんできます。”子どもじみていて、将来性も無くて、でも、本気の恋愛”みたいな感じです。草野さん曰く、「つまらないけれども、美しすぎるかもしれないっていう」に当てはまるのではないでしょうか。

 


■そして、そういうカップルの別れの場面です。印象に残った歌詞をいくつか抜き出して、場面をイメージしてみます。

 



雨降り朝までもう絶対泣かないで
知らないどこかへ行っちゃうその前に

 

ここの部分は、いかにもって感じですけどね。別れてしまうけど、悲しまないでね、っていう意味に取ることができそうです。

 



さよなら飲みほそう 生ぬるい缶ビールを
あくびが終わる勢いでドアを蹴飛ばす

 

ここは、先ほど紹介したインタビュアーの言葉、「恋愛を特別なものとして崇拝するんじゃなく、端から見て滑稽なものとして…」が当てはまる気がしますね。何ていうか、酔いの勢いでというわけではありませんが、別れの場面において、感情をごまかしている感じ、「泣いてないし!これはあくびだし!」みたいな感じ、笑

 



最低の君を忘れない
おもちゃの指輪も外さない
不死身のビーナス いつでも傷だらけ

 

これがサビの歌詞ですが、中学生の頃に聴いた時には、よく分かりませんでしたね…”最低”なのに、何で”忘れない”んだろうって。でも、今は何となく分かる気がします。

 

”おもちゃの指輪”って言葉も、とても印象に残りました。まさしくこれが、二人の恋愛の象徴だったのでしょう。指輪が本当におもちゃだったとも考えられますし、もしくは、本物は本物だけど、結局叶わなくなったので、その効果がなくなった=おもちゃみたいな物になってしまった、とも考えることができます。

 


■そして、(草野さんは)そういう相手のことを、”不死身のビーナス”という言葉で表しています。

 

”不死身”とは、言葉通りに考えると、”不死”つまり”死なない”という意味ですが、曲を聴いた感じだと、”どんな困難や苦しみにもくじけない、強い心を盛っている”という意味合いでしょう。

 

”ビーナス(Venus)”は、”美と恋の女神”や”金星”という意味合いがありますが、そういう特別なことを歌っているのではなくて、どこにでもいるような女性を当てはめた方が、聴いている感じには合います。

 

別れてもくじけずに生きていく女性の姿、あるいは、へこたれないようにと願う男性(草野さん)の姿が思い浮かびますね。

 


■まぁ、別にこの歌を恋愛に捉えなくても良い気がしますが、恋愛に当てはめた方が自然ですね。

 

あとは、この歌に、また例のごとく、心中や自殺を絡める解釈も存在しているようです。

 

もしくは、カップルではなくて、この歌の場面がただの”一夜限り”の関係として解釈を進めてみるとどうでしょうか…ガラッと変わってきますよね。そうなると、”不死身のビーナス”は、街で人気のデリヘル嬢とか当てはめるとどうですかね?笑。そのつもりで読んでみても、面白いかもしれません。