スピッツ大学

ステイホームしながら通える大学です!

156時限目:ほうき星

【ほうき星】


ほうき星

ほうき星

 

■アルバム『インディゴ地平線』に収録されている曲です。個人的ランキングでは、195曲中157位でした。

 

この曲は、作詞は草野さんですが、作曲はリーダー(田村さん)になっています。まぁ確かに、そう言われると、曲の感じが違いますよね。何となく、ベースが目立って聴こえる気がします、自分の担当なのだからでしょうか。

 


インディゴ地平線』には他にも、1曲目の【花泥棒】が三輪さんの作曲となっています。書籍「旅の途中」によると、アルバム『ハチミツ』のレコーディングの際に、プロデューサーの笹路さん(スピッツのブレイク期~黄金期までを支えていた人)が、草野さん以外のメンバーに対しても、曲を作るように促したそうなのです。結局は、『ハチミツ』には草野さんの曲しか入りませんでしたが、この試みは『インディゴ地平線』でも続き、こちらでは先述の通り、【花泥棒】と【ほうき星】が収録になりました。

 

三輪さん作曲の曲は、初期に何曲かアルバムにも収録されていますが(【月に帰る】、【鈴虫を飼う】など)、リーダーは初めての収録曲ですかね。ちなみに、崎山さん作曲は、未だ収録されていません。作ってはいたんでしょうけどね。

 


■ということで、曲の個人的な解釈に移ります。

 

まず、タイトルの”ほうき星”という言葉ですが、これは”流れ星”や”彗星”と同じ意味合いで使われる言葉です。スピッツの曲には、【流れ星】というタイトルがありますし、”星”や”星の名前”がつくタイトルだと、他にも、【俺の赤い星】【スピカ】【スターゲイザー】【惑星のかけら】などがあります。

 

それぞれの曲で使われている、星の意味合いは違うでしょうけど、全体的に何となく、”儚いもの”の例えとして使われている、と感じること多いです。まぁ元来、星は人間に比べるとずっと大きくて、とてつもなく長生きではあるのでね、”星の存在が儚い”というより、”それと比べて人間は儚い”という意味合いですかねぇ。

 

そこから派生して、”人の生き死に”や”死生観”なども感じることがありますけどね、【流れ星】とかは特に感じました。

 


■じゃあ、【ほうき星】は、どういう曲なんでしょうか。

 

何となく、曲の雰囲気が読みとれそうなのが、最初のAメロです。こんな歌詞で始まっていきます。

 


錆びついた扉が はじめて開くよ
僕らは ほうき星 汚れた秋空
ゆらゆら さまよう 魂を巻き込む
祈りを受けとめて流れに逆らって

 

この辺を読んで僕は、”魂が人の肉体に入っていく”様子、または、”魂が成仏していく”様子を思い浮かべました。

 

”錆びついた扉”という言葉は、例えば、魂が存在している”あの世”的な場所があるとして、”あの世”と”この世”をつなぐ扉という印象を受けました。その扉が開いて、魂がこの世に流れ込んできた、という感じでしょうか。そして、その魂を、この歌では、”ほうき星”と例えているのかな、と思っています。

 

暗闇に魂が放たれて、ゆらゆらとさまよっている感じが、”ほうき星”に見えるということでしょうか。

 


■前者(魂in)の解釈だと、放たれた魂は、自分が宿るべき肉体を探してさまよっている、ということになります。

 

ところで、その人が”その人”と成る、つまり、その人に魂や心といったものが入り込むのは、どの時点なんでしょうかね…受精した瞬間でしょうか?母体の中で成長していき、人の形が見えてきた時でしょうか?それとも、まさにこの世に生まれてきた瞬間でしょうか?

 

まぁとにかく、そういう瞬間に向けて、自分が宿る肉体を探して、暗闇をふらふらとさまよっている、という解釈です。

 


後者(魂out)の解釈だと、前者とは逆、役割を終えた肉体から魂が抜け出して、あの世へと帰っていく、つまり成仏していくところだと考えられます。

 

僕は、何となく、こっちの解釈がしっくりくるんですけどね。”祈りを受け止めて流れに逆らって”の”流れ”という言葉…自然に考えれば、人生における流れの”方向”とは、生まれて、時が経って年を取っていって、老いて死んでいく、というものだと思います。(生→死という流れ)

 

その流れに逆らう、ってことですからね、”生→死”という方向の逆と考えて、”死→生”という方向ということで、成仏はもちろん、もっとその先…輪廻転生という死生観も感じました。

 


■何か、宗教的(?)というか哲学的(?)というか、妙な記事になってしましましたね。僕の方も、何かよくわかんなくなってきそうです、本末転倒!

 

まぁ、魂などと難しい話は抜きにしても、上述の後者の解釈だと、”自ら命を絶った”という解釈もありうるかもしれません。

 


今 彗星 はかない闇の心に そっと火をつける
弾丸 桃缶 みんな抱えて 宙を駆け下りる

 

サビはこんな感じですが、”宙を駆け下りる”ってのが、飛び降り自殺を示唆しているようにも読めるかもしれませんね。

 


あと、謎フレーズの”弾丸 桃缶”についてです。他の部分には、”哀愁 街中”というフレーズも出てきます。両方とも韻を踏んでいますが、どちらとも意味は謎です。

 

書籍「スピッツ」によると、インタビュアーさんにそこら辺を突っ込まれた上で、草野さんが、「あと、ヘンな言葉とかも今回ちょっとあったし、あの”ほうき星”とか」「あの、”アジアの純真”みたいな感じで、《ペキン ベルリン》みたいな(笑)」と答えています。”アジアの純真”とか、懐かしいですよね、若い人は知ってるんですかね、笑。

 

ということで、まぁ、言葉自体にはあまり意味は無い、ということですね。アルバム『インディゴ地平線』は、草野さん以外が作った曲が入っていたり、特に【花泥棒】なんかはそうですけど、割と遊んでいる部分がところどころにあるんですよね。