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157時限目:放浪カモメはどこまでも

【放浪カモメはどこまでも】

 

■22作目の両A面シングル『メモリーズ / 放浪カモメはどこまでも』に収録され、アルバムとしては『ハヤブサ』に収録されていますが、こちらは、ジム・スコットという方によるリミックスバージョンになっています。

 

また、シングル『さわって・変わって』には、カップリングに、「SPITZ HAYABUSA JAMBOREE TOUR “純情2001”」でのライブテイクが収録されています。今考えると、シングル『さわって・変わって』は、かなり豪華なシングルだったんですね、4曲入りですからね。

 

個人的ランキング、195曲中13位でした。本当に大好きな曲です。僕は、この曲は最初のシングルで初聴でしたが、出た当時からもう印象に残りましたね。それは、最初は違和感に近かったですね、それまでのスピッツにはない、激しいロックな曲だったからです。何か、酔っぱらった時とかに、カラオケで周りもお構いなしに歌ったりしますね…今も、笑。

 


■もう何度も書きましたが、スピッツ史の中で、今や”マイアミ・ショック”と語られる、ベストアルバムを発売することを、レコード会社に半ば強行的に決定された出来事があります。時期としては、アルバム『フェイクファー』、スペシャルアルバム(カップリング集)『花鳥風月』発売後のことでした。

 

スピッツは、アルバム『フェイクファー』の出来に納得がいかず、音作りのために試行錯誤を繰り返していました。日本で合宿のようなことをしてみたり、アメリカでトム・ロード - アルジというエンジニアに出会ったりして、その音作りの旅は、成果を見せ始めました。

 

その最中に、マイアミ・ショックが起こるわけですが、それも結果として、スピッツをロックバンドとして再生させるきっかけになりました。これが俗に言う、スピッツの”死と再生”です。

 


書籍「旅の途中」によると、ベストアルバム『RECYCLE』発売後(このアルバムタイトルは、草野さんが名付け親らしいですね)、アルバムやライヴの予定が白紙になり、レコード会社との契約も分からなくなりました。

 

しかしながら、スタジオの予約は取れていたため、メンバーでスタジオに入って、音を出していたそうなのです。そこでは、これまでのスピッツの曲もしたんでしょうけど、”スピッツではあまりやらない曲”もカバーしていたんだそうです。何か、ここまでの経緯を考えると、こういうエピソードは泣けてきますね…泣かないですけど。純粋にロックバンドとして、音を出していたんでしょう。

 

で、【放浪カモメはどこまでも】ですが、この時期に原型が生まれたらしいことが、書籍や”色色衣座談会”に書かれています。仮タイトルは「ギター・ポップNo.1」だったそうです。出来上がった曲を聴いても、今までのスピッツの曲とは一味違う、ギターの音が激しく鳴っている曲…ポップというよりは、こういう場合はパワーポップですかね…になっていますね。まさに、音作りの旅で見つけた”スピッツの今の音”の結晶であるような気がしてなりません。何か、吹っ切れた感じがしますよね。

 

まぁ、個人的な解釈も含まれますが、それでも、こんな風に考えて聴いてみると、【放浪カモメはどこまでも】へ抱く印象が変わってきませんか?

 


■そんな、【放浪カモメはどこまでも】は、どういうことを歌っているのでしょうか、考えてみました。

 


最初に聴いていた頃を思い出してみると、この曲は「失恋から立ち直ろうとしている男の曲」だと思いました。歌詞をなぞってみると、

 


悲しいジョークでついに5万年
オチは涙のにわか雨

 


見ろ あの夕焼けを 美しい
上昇し続けることはできなくても また やり直せるさ

 


愛にあふれた短い言葉を たったひとつだけ

 

”5万年”、”オチは涙のにわか雨”は、5万年という時間は誇張表現でしょうけど、とにかく長いこと想っていた人がいたんだということを表していて、”オチは涙のにわか雨”ということで、それが悲しい結果に終わってしまった、つまりは、想い続けていたけどフラれてしまった、となります。

 

”夕焼け”に関しては、スピッツの曲には、人を想い続けて感傷的になっている場面や、恋愛の終わりの場面、などに出てくる言葉ですよね…【アカネ】、【恋は夕暮れ】、【夕焼け】などがそれに当たりますかね。

 

”愛にあふれた短い言葉”は、素直に捉えれば、相手への告白の言葉と考えることができますかね。

 


■しかし、先述のこの曲が出来上がった経緯を考えていけば、イメージがガラッと変わってきますよね。これは、紛れもなく、自分たちのことを、スピッツのことを歌っていることなのではないか、と。

 

”悲しいジョーク”や”オチ”などの表現は、そのままマイアミ・ショックを思わせますね。ずっと長いこと信じてやってきた自分たちの活動が、身勝手な”オチ”によって終ってしまうかもしれない、と。

 

”見ろ あの夕焼けを美しい”、そんな状況の中でも、希望を見出し始めます。例えば、音作りの旅だったり、例えば、メンバーでスタジオ入りしたことだったりするのでしょうか。

 

”上昇し続けることはできなくても また やり直せるさ”、これは決意表明でしょうか。一連の出来事で、スピッツは一旦”解散したのかもしれない”と書籍にありました。そして、また”甦った”とも書いてありました。

 


■そして、【放浪カモメはどこまでも】というタイトルの回収です。スピッツの曲の中には、”鳥の名前”が出てくることが多いですが、そういう曲には特別な思いが込められているという印象を持っています。【8823】や【鳥になって】なんかは、特にそうですよね。しばしば、”鳥の名前”は、スピッツ自体を表わしているのではないか、と思うこともある程です。

 


放浪カモメはどこまでも
恥ずかしい日々 腰に巻きつけて 風に逆らうのさ

 

この辺りの歌詞はまさしく、過去を忘れられずに(あるいは、忘れないということ自体も決意なのかもしれません)、さまよいながらも、どこまでも飛んでいこう、という強い決意の表明なのでしょう。再び、ロックバンドとして、スピッツとして生きていく決意です。

 

放浪カモメはどこまでも MV

youtu.be

 

このMVも印象的ですよね。良い意味で、”無理している感”もありますが、本当はこういうバンドなんだぜ!これから、こういう風にやっていくからな!ということを示しているように見えます。本当に、メンバーが良い顔をしていますね、吹っ切れた表情ですね。そして、まさかのキーボードはクージー?

 

いやぁ、本当にいつ聴いても、たぎってきますね。外へ出て走り出したくなってきますね、うぉーーー!!!