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スピッツ大学

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166時限目:迷子の兵隊

【迷子の兵隊】

 

■アルバム『空の飛び方』に収録されている曲です。個人的ランキング、195曲中135位でした。ドスの効いたベースの音と、同じメロディーの繰り返しのサビが特徴的で、力強いんだけど、どこかけだるく聴こえる曲です。あまり印象に残っていませんでしたが、こういう感じの曲も好きになれるようになりました…年齢を重ねたせいでしょうか、笑。

 

歌詞に関しては、(後述しますが)結構パーソナルなことを歌っているとは思うんですけど、ある意味”ファンタジー”ですよね。表現のほとんどが比喩なので、解釈が難しいですが…。

 


■まず、wikiによると、この歌について、「迷子の兵隊への応援歌」とありました。この辺りのことは、書籍「スピッツ」に少し書いてありましたので、紹介させてもらいます。

 


草野:1年前の”黒い翼”を持った男の子が迷子の兵隊になっているような状況じゃないスか(笑)。だから”黒い翼”っていう曲はある程度、逃避の意味もあったと思うんですよ。でも、”迷子の兵隊”の場合は、今いるところが闇だって設定ですよね。

 

という感じですけど、ここを読んでも、まだ難しいですね、笑。草野さんはアルバム『Crispy!』収録曲の【黒い翼】を引き合いに出しています。【黒い翼】は”逃避”、【迷子の兵隊】は”闇の中”…これは、闇の中に迷い込んだけれど、逃げないで立ち向かっている、という意味でしょうか?

 


■このブログで僕は、もう既に【黒い翼】については書かせてもらいました。詳しくは↓でお願いします。

http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2015/08/10/144352

 

それによると(個人的な解釈ですが)【黒い翼】は、「嫌われ者、はぐれ者としての誇りを持って生きていく」、あるいは、「誇りを持ったまま(誇りを守るために)死んでいく」みたいなことを書きました。何というか、こう書くと、全然逃げている感じはしないですけどね、笑。まぁ、後者は、確かに生きることからの逃避ではありますけど…

 

あと、タイトルから分かる通り、【黒い翼】は”飛んでいる”んですよね。そういう意味で言うと、こっちの方が『空の飛び方』に近い気もしますけど…実際に『空の飛び方』に収録されているのは、【迷子の兵隊】の方で、こちらはどちらかと、地に足をつけて”歩いている”感じなんですよね。

 


■ということを踏まえて、【迷子の兵隊】の歌詞を読んでみます。やっぱり印象的なのは、タイトルでもある”迷子の兵隊”というフレーズが連発されるサビだと思いますが、こんな感じです。

 


迷子の兵隊 黒い旗振る いばらの中で
迷子の兵隊 砂金のうずを 蹴散らしながら
迷子の兵隊 サソリのような 言葉を秘めて
迷子の兵隊 闇を切り裂く 稲妻となれ

 


まず気になったのが、出だしの”黒い旗”という言葉です。

 

しばしば”白い旗”が、降参の意を表す言葉として使われますよね、白旗を上げる、とか言ったりします。一方で、黒い旗に関しては、これにもちゃんと意味があって、まずは(主にF1などで)反則を犯した者に掲げられる旗、あるいは”無政府主義者”が掲げる旗、などの意味もあります。

 

この内、後者の意味を考えてみると、無政府主義者(既成の国家や政治などを好ましく思っていない人のこと)を英語で”アナキスト”と言いますが、かつてスピッツはインディーズで【アナキスト】という歌を作っています。心情としては、繋がっている部分もあるんでしょうか。

 


”いばらの中”というのは、危機的というか不利な状況ですよね、動いたら動いただけ、傷ついてしまうような、そんな状況です。それにもかかわらず、黒い旗を振っている=既成の物は信じない、と。

 

この辺りが、【黒い翼】と違うところなんでしょうか。はぐれてしまっても(迷子になってしまっても)、降参しないぞ!信じないぞ!と抵抗している感じですかね。

 


他にも、”砂金のうず”を蹴散らしたり、”サソリのような言葉”を秘めていたりと…前者からは、おいしいものも信じないぞ!的な気持ちを受け取れるし、後者からは、チャンスをうかがっていて、隙あればブスっといってしまうぞ!という気持ちも受け取ります。

 


■あとは、

 


撃ち落せる雲に 同情しては

 


しがみつく鳥を探している
終わりなき旅

 

という歌詞も出てきます。飛ぶものの象徴として、”雲”と”鳥”が出てきていますが…前者だけだったら、飛ぶこと(逃避)に対する皮肉と捉えることができますが、後者もありますからね、結局飛ぶことに未練があるんですかね?

 

まぁ雲は漂うだけで、鳥は自分の意志で飛んでいる、という書き分けをしているのかもしれませんが。

 


■ということで、色々書いてきましたが、”迷子の兵隊”は紛れもなく、スピッツ自身を表しているんでしょうか?

 

先述の草野さんの言葉に、”1年前の”黒い翼”を持った男の子が迷子の兵隊になっているような状況”と、”男の子”という表現をしていますが、本を読んだ限りでは、やっぱり自分のことを語っていると思えるんですよ。

 

アルバムの名前を『空の飛び方』としながらも、この時期あたりに、フラフラ漂うのではなくて、ちゃんと地に足をつけてやっていこうという決意を抱いたのかなとか思いました。