スピッツ大学

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201時限目:ルキンフォー

【ルキンフォー】


ルキンフォー

ルキンフォー


■32作目のシングル曲であり、アルバム『さざなみCD』にも収録されています。個人的ランキング、195曲中97位でした。

 

このシングルが発売されたのは、2007年(4月18日)のことですが、2007年に発売されたシングル曲は、この【ルキンフォー】と【群青】の2曲のみです。

 

2007年というと、スピッツが結成20周年を迎えた年でもあります。2017年(リアルタイムでは昨年のこと)に、結成30周年を迎えたのは記憶に新しいですね。だから、当たり前ですがその10年前のことになります。

 


スピッツ結成20周年っていうと、すごくめでたかったはずなのですが、実は僕自身、その当時の思い出が全くないんですね。あれですよ、記憶喪失とかそういうミステリーではなくですよ、笑。

 

僕自身、スピッツをあんまり熱心に聴いていなかった、いわば”空白の期間”があるんです。時期としては、アルバム『スーベニア』を聴いて、その熱が収まった後、そこからしばらくスピッツを聴いていませんでした。シングル曲もチェックすることなく、アルバム『さざなみCD』が発売されても、リアルタイムで聴くことは無く、しばらく時が経ちました。

 

それである時、大学近くのコンビニに入った時に、この【ルキンフォー】が流れていたんです。ああ、これスピッツの新曲かぁ…となって、(当時僕は、卒業研究真っただ中の研究生だったので)研究室帰ったら聴いてみるかってなって、【群青】と【ルキンフォー】のMVを見たんです。【群青】MVのアンガールズにびっくりしたことを覚えています、笑。

 

それで、やっぱりスピッツは良いなって思い、アルバム『さざなみCD』をレンタルしたんです。だから、アルバム『さざなみCD』の現品は、未だに持っていません。そして、僕にとって【ルキンフォー】(と【群青】)は、”スピッツに帰ってきた曲”という感じなんです…まぁ、一度も離れたとは思っていませんけどね。

 


■それで、先述したこと、そして後述することとも繋がりますが、この曲は個人的に、結成20周年の節目として作られた、記念曲であると思っています。最近で言うと、【1987→】のような曲ですね。【群青】と比べても、やっぱりこっちの方が、節目!って気もします。

 


それを語る上で欠かせないのが、何と言ってもMVです。

 

先に説明しておくと、【ルキンフォー】のMVには、過去のスピッツのMVに出てくる演出や小道具などが、その随所に散りばめられているのです。こういうのは、スピッツファンには嬉しいですよね。僕も最初見た時(まさに先述の研究室にて)、あれ、確かこの演出は、あの曲にも使われてなかったっけ…?あれ、ここも?あ、ここもかもしれない!という風にMVを見ていたのを記憶しています。

 

今回改めて、【ルキンフォー】MVを注意深く観察し、過去MVの演出を探してみました。

 

ということで、下はそれらをまとめたものでございます。参考までに、大体の時間も書いております。ちなみに、何度も出てきているものは、初出の時間で書いています。先にMV貼っておくので、良かったら、見比べながらご覧ください。

 

youtu.be

 

<【ルキンフォー】 MV観察記録>

 

・1:02
地面に楽器を持って、寝転がっている4人 → 【スパイダー】、【運命の人】
(【スパイダー】では、寝転がっているメンバーの向きが互い違いですが、【ルキンフォー】では同じ向き。【運命の人】では、ベッドの上で死んでました)

 

・1:27
バレリーナ → 【ハネモノ】
(【ハネモノ】では、バレリーナは子どもだったが、【ルキンフォー】では成人しています。同一人物ではないとは思いますが、時間の流れを表わした演出でしょうか)

 

・1:29
ベンチに座っているテッちゃん、干されている白いシーツ → 【空も飛べるはず
(個人的に、白いシーツからは、【夏の魔物】のイメージも浮かんできます。”生ぬるい風にたなびく 白いシーツ”という歌詞がありますので)

 

・1:52
双眼鏡を覗く草野 → 【青い車

 

・1:57
バレリーナの後ろの額縁、赤い部屋 → 【裸のままで】
(額縁の色が、両曲で似ていますが、【ルキンフォー】の方がちょっとくすんでいるか?だとしたら、これも時間経過か?)

 

・2:01~2:15
赤緑青の単色光の照明の演出、テッちゃんの3Dメガネ → 【楓】

 

・2:06
リーダーの野球のグローブ → 【空も飛べるはず
(【空も飛べるはず】では、崎ちゃんとリーダーがキャッチボールをしています。ちなみに、草野さんはサッカーボールを持ち、テッちゃんは自転車に乗って走っています)

 

・2:13
崎ちゃんのカンテラ → 【遥か】

 

・2:16
地球儀 → 【裸のままで】
ピエロ → 【渚】
(ずっと気になっていたんですが、【ルキンフォー】に出てくるピエロが、僕にはどうしても安田顕にしか見えないのです!笑。本当のところ、どうでしょう?切実に、情報求ム!)

 

・2:18
脚立の上のリーダー → 【ヒバリのこころ

 

・2:33
三角錐のモニュメント → 【メモリーズ】

 

・2:34
額縁の宇宙飛行士の写真 → 【流れ星】

 

・2:53
バレリーナの手の)リンゴ → 【メモリーズ】、【遥か】

 

・3:03~随所
スロー演出 → 【青い車

 

・3:23
バレリーナが)リンゴを投げて窓ガラスを割る → 【遥か】

 

・3:30
ピン球 → 【冷たい頬】 玉がばらまかれる演出 → 【正夢】
(ここは、二つの演出がミックスされていますかね。【正夢】では、ばらまかれる玉はカラフルなのですが、【ルキンフォー】では、(おそらく)オレンジ色のピン球がばらまかれています)

 

・3:32
帽子を被った西洋風の少女 → 【テクテク】
(【テクテク】ではアニメで描かれている少女が、実写になって表れています)

 

・その他
白い部屋で演奏をする4人を映すアングルが変わる → 【さわって・変わって】?

 


僕が見つけたのは、大体これらですかね。他に何かありますか?ここはこのMVなんじゃね?などがありましたら、コメントください!あと、ヤスケン情報も!笑

 


■ということで、長くなりましたが、歌詞の解釈をしてみます。この曲の歌詞は、不思議ですよね。何か、素直なようで、色んな風に読めるなぁって思うんです。

 

まず、先述のように、この曲はスピッツ結成20周年記念の曲で、スピッツ自身のことを歌っているように感じます。スピッツの生き様、歩んできた音楽人生が、この歌には詰まっているような気がします。

 

一方で、例えばwikiにもありますが、”応援歌”にも聴こえますよね。アルバム『三日月ロック』から、こういう”僕たち(世の中の人々)を前向きに応援する歌”という系譜が続いているような気がします。

 


その辺り、印象に残った歌詞を紹介してみると、

 


疲れた目 こすった先に
探し求めていた 灯りを見た
ルキンフォーどこまでも つづくデコボコの
道をずっと歩いていこう

 


ダメなことばかりで 折れそうになるけれど
風向きはいきなり 変わることもある ひとりで起き上がる

 


ルキンフォーめずらしい 生き方でもいいよ
誰にもまねできないような


最初の4行については、スピッツの音楽人生にそのまま置き換えて読むことができます。30年間(当時でも20年間)、本当に長く長く歩いてきて、それこそ順調ばかりではなかった、”デコボコの道”ですよ。それでも、自分たちが”探し求めていた灯り”が、ようやく見えたということですよね。

 

2段目の2行についても、”風向きはいきなり 変わることもある”とは、これはスピッツにとっても、僕たちにとっても人生訓になり得る言葉です。長く何かを続けていけば、良い方にも、もしかしたら悪い方にも、自分の人生の方向が変わることがあると。だから人生は分からないし、捨てたものではないと、そういうことを歌っているんですね。まさしく、そういうことを経験してきた、スピッツにこそ歌える言葉だと思います。

 

最後の2行は、これはもう草野節ですよ。”めずらしい生き方でもいいよ”なんて、簡単に使えるような言葉ではないですけど、草野さんであれば、スピッツであれば説得力が備わるものだと思います。他でもない、ひょっとしたら”めずらしい生き方”を一番貫き通しているのがスピッツですからね。

 


こうしてみると、スピッツが自らの歴史や生き様を歌うことと、僕らに勇気や元気を与えることは、ほとんど同義であるような気がするのです。色んなことがありながら、それでも30年間(当時でも20年間か)ずっと自分たちの音楽を、ひたむきに続けてきたことは、ロックミュージシャンである前に、一人の人間の生き方として憧れるものであります。

 


■あと、上述のとは別の読み方をするならば、歌詞の中の”君”というフレーズに目が留まります。その部分、抜き出してみると、

 


初めてだらけの 時から時へと
くぐり抜けた心 君につなげたい 届きそうな気がしてる

 


燃えカス時代でも まだ燃えそうなこの
モロく強い心 君につなげたい かないそうな気がしてる

 

この辺りでしょうか。”君”という言葉が出てくると、どうしても歌詞の解釈を恋愛系に持っていきたくなります。まぁ、まさにそういう片思いの状況に自分があるのだったら、そういう風に読みたくなりますけどね。

 

でも、スピッツ目線でこの歌を読んでみると、”君”というのは、ファンなどの歌を届けたい相手を指しているのかな、と思えてくるのです。

 


こういうところが、きっとこの【ルキンフォー】の歌詞の真骨頂だと思うのです。つまり、自分の状況によって、この歌から受け取る印象って、変わりませんか?