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215時限目:ガラクタ

【ガラクタ】

 

ガラクタ

ガラクタ

  • provided courtesy of iTunes

 

■シングル『みなと』のカップリング曲であり、アルバム『醒めない』にも収録されています。

 

すでに紹介した通り、A面曲の【みなと】がしんみりとした、壮大な曲になっていますが、【ガラクタ】はまさにそれとは正反対の、明るく遊んでいるような曲になっています。

 

色んな音が聴こえてきて、やけにがちゃがちゃしていて、すごく賑やかです。CDクレジットを見た範囲で紹介すると、toy piano / トイピアノ、soprano recoder / ソプラノリコーダー、flexatone / フレクサトーン、samba whistle / サンバホイッスルなど、ちょっと聞きなれない楽器もありますが、色んな楽器が使われているようです。

 

しかし、それでいてメンバーの演奏などはしっかりとロックで、何ていうかそれらが妙にマッチしていて、聴いていて楽しい曲になっています。

 


■歌詞についても、結構遊んでいる感じなので、基本的には、あまり意味にとらわれることなく、言葉の持つリズム感や、ところどころで踏まれている韻を楽しんで聴くのが、結局は一番良いと思います。

 


あいつは何だ でっかい方のマンタ
しばらく会わないうちに 素敵になってジェラシー
風来坊のメッセージ 不思議な縁で
化けの皮全て脱いで 見つめ合った春の日

 

まず、こんなAメロで曲は始まります。”マンタ”(大きなエイのこと?)など、意味がよく分からない部分もありますが、そのまま言葉を拾っていって繋いで物語を妄想してみました。

 

(おそらく男性目線で)久しぶりに会った女性が、”しばらく会わないうちに”とてもきれいになっていて驚いた、という場面ですよね。ここからは、かつて自分が所属していたクラスや部活・サークルなどの旧友たちと久しぶりに会う、同窓会や飲み会みたいなものをイメージしました。

 

あとは、”素敵になってジェラシー”という言葉について、どういう場合にジェラシー(嫉妬)を感じるか考えてみた時に、例えば、再会すると綺麗になっていた女性が、かつて付き合っていた女性だった、とかだったら、あの時別れるんじゃなかったなぁとか思うかもしれません。

 

”ジェラシー”という言葉をもっと考えたら、その女性には付き合っている人が居たり、何なら、再会したらもうすでに結婚していた、とかだったら、余計に”ジェラシー”を感じるかもしれませんね。

 


■さらに続きを読んでいくと、2番のAメロではこうなります。

 


粟 稗 コーリャン 対象外のオーラ
出会っちゃいけない二人 燃え上がってランナウェイ

 

”粟 稗 コーリャン”の意味は、またしてもよく分からないですね…”粟”(あわ)はイネ科の植物、”稗”(ひえ)もイネ科の植物、”コーリャン”は中国語でいうところのモロコシを表すので、ひょっとしたら、ちょっと卑猥?男性器の比喩か?

 

そして結局、後半の”出会っちゃいけない二人 燃え上がってランナウェイ”に行き着きます。久々に出会った二人でしたが、燃え上がっちゃったんですね、笑。ということは、女性に再会して”綺麗になったな”と思った男性側だけでなく、女性の方もまんざらではなかったということですかね。

 

”出会っちゃいけない二人”という表現があるように、やっぱり、女性が結婚していた(あるいは、男性側も結婚していた)という状況のイメージが、余計に浮かび上がってきました。

 


ということで、物語をまとめてみます。例えば、こんな感じ…

 

付き合っていた過去がある男女が、時が経って、同窓会などで再会しました。女性の方がすっかり綺麗になっていて、男性の方は驚きます。しかしながら、女性の指には指輪が…女性は、もうすでに誰かの物になっていたのです。ああ、こんなにきれいになるんだったら、手放さなきゃよかったなと、男性の方は後悔、女性の心を射止めた男に嫉妬します。

 

しかし他方、女性の方も、まんざらではないようで、男性に再会して、心が揺れ動きます。

 

ということで、再会した2人は燃え上がり、もう”粟 稗 コーリャン”状態でランナウェイ状態ですよ(?)。恋人として付き合っていた時を思い出して、しかも、不倫などというふしだらな関係だったとしたら、余計に燃え上がるでしょうね。

 


■ということで、最後にサビを見てみます。

 


祝い風に舞う 黄色い花びら
もう恋なんてしない とか言ってたのに
ゴミ箱キラキラ ちょい新しいな
ゲスな指先 甘辛い ガラクタ ラブストーリー

 

ここも、これだけ見ると、何かキラキラしていて、恋のはじまりの喜びを歌っているようにも読めますが、やっぱり全体で読んだ感じがあるので、一筋縄で読むことができません、苦笑。

 

タイトルにもなっている”ガラクタ”という言葉が出てきていますが、どういう意味合いで使ったんですかね、”ガラクタ ラブストーリー”ってつながりも妙ですけどね。

 

何ていうか、そういうもの(先述のような不倫など)への皮肉っていうんですか、そういう気持ちを、草野さんが忍ばせたんでしょうか。

 


”ゲスな指先”という言葉とかね…ゲスな指先…ゲスな…ゲス?ゲス!?

 

はい、ということで、この歌は、あの”ゲス不倫”を皮肉っているのではないか?という解釈も、巷では少し広まっています…いや、時々見かける程度ですかね。

 

まぁ、先述のような歌のテーマと、この歌が”ゲス不倫”があった当時に作られた歌だということ、そして、ここにズバリ”ゲス”という言葉が出てきていること…これらを繋げて、そういう解釈が生まれたということだと思います。僕は、あんまり繋げて考えることはしませんでしたが…果たして。