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アルバム講義:7th Album『インディゴ地平線』

インディゴ地平線

7th Album『インディゴ地平線
発売日:1996年10月23日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01.花泥棒
→ 133時限目:花泥棒 - スピッツ大学

 

02.初恋クレイジー
→ 132時限目:初恋クレイジー - スピッツ大学

 

03.インディゴ地平線
→ 17時限目:インディゴ地平線 - スピッツ大学

 

04.渚
→ 113時限目:渚 - スピッツ大学

 

05.ハヤテ
→ 137時限目:ハヤテ - スピッツ大学

 

06.ナナへの気持ち
→ 117時限目:ナナへの気持ち - スピッツ大学

 

07.虹を越えて
→ 123時限目:虹を越えて - スピッツ大学

 

08.バニーガール
→ 142時限目:バニーガール - スピッツ大学

 

09.ほうき星
→ 156時限目:ほうき星 - スピッツ大学

 

10.マフラーマン
→ 170時限目:マフラーマン - スピッツ大学

 

11.夕陽が笑う、君も笑う
→ 190時限目:夕陽が笑う、君も笑う - スピッツ大学

 

12.チェリー
→ 93時限目:チェリー - スピッツ大学

 


■前アルバム『ハチミツ』に引き続き、スピッツ黄金期に発売になったアルバムです。

 

収録曲の中で、シングル曲は【チェリー】と【渚】の2曲ですが、どちらも爆発的なヒットを記録したシングル曲ですね。全シングルの中で、シングル『チェリー』は第2位(およそ160万枚)、シングル『渚』は第5位(およそ84万枚)の売上枚数を記録しています。

 

そんな、記録的なシングル曲を含めたアルバム『インディゴ地平線』は、前アルバム『ハチミツ』に引き続き、オリコンチャート1位を記録します。こちらも、オリジナルアルバムの売り上げ枚数では、『ハチミツ』に引き続き、第2位の作品になっています。

 


■このように、数字だけを見れば、スピッツの順風満帆な黄金期を想像することができますが、書籍やネットの情報などによると、この時期のスピッツは、色々と苦労・迷走をしていたことが読み取れます。

 

書籍「旅の途中」では、この時期のスピッツについて、”スピッツ・バブル”という言葉で表現されていました。自分たちの作品や活動が評価されることに、喜びを感じないはずはなかったと思いますが、続く”スピッツ・バブル”に対する”スピッツ・バブル疲れ”とでも言いますか、何かそういう状態になっていたんだろうと察します。

 


また、この時期のスピッツは、自分たちが目指すスピッツ像と、世間が求めるスピッツ像に、早くもズレを感じ始めていたことも読み取ることができます。

 


 しかも、スピッツが世間から求めれるイメージが、健全でさわやかな青春バンドだということがわかるにつれ、フラストレーションを感じるようにもなっていた。
 バンドとしてのスピッツはあいかわらずだったけど、周囲のスピッツへの目線が変わってきたような気がしていたんだ。

 

書籍「旅の途中」において、田村さんはこのように語っておられます。これらのことが、より表面化していって、後の”マイアミ・ショック”などへとつながっていくのですが、まぁそれはまた別のお話ということで…。

 


■そして、こういう状況の中で行われた、シングル『渚』やアルバム『インディゴ地平線』などのレコーディングだったわけですが、その最中に、ギターの三輪さんが突然、一時的にギターがうまく弾けなくなってしまうというピンチを迎えてしまいます。

 

この辺りのことは、書籍「スピッツ」に、三輪さんのインタビューとして載っていました。

 


「う~ん……ちょっとね、今までこんな経験はなかったんだけど、バッターもさ、フォームを忘れてスランプっていうのがあるでしょう? ああいうのになっちゃってギターが上手く弾けないんだよね。で、自分でも今ほんとどうしたらいいかわかんない状態」

 

「最近、笹路さんに行きも帰りも迎えに来てもらってさ、『どうしてこうなったんだろうねえ?』みたいな、二人ともいろいろ…だからとにかく今は初心に戻って練習しかない! いろいろ考えたってもうこういう状況になっちゃったんだから、ほんとに基本から練習する地味な作業をやるしかない」

 

スピッツのスケジュール的な忙しさがあって、そこから肉体的な疲れ、精神的な疲れなどが出て、それらが原因となったことだったのでしょうか。

 


■また、アルバム『インディゴ地平線』は、ミックスダウンに非常に苦労されたアルバムであるとも語られています。

 

ミックスダウンとは、予め別々にレコーディングされた楽器やボーカルの音を、ひとつにまとめる作業のことです。音量のバランス、高音や低音のバランス、音色のバランスなど、バラバラなものを整えて、ひとつの作品に仕上げるための、重要な作業になります。

 

アルバム『インディゴ地平線』では、チームの中でも、イメージしている音に”ズレ”があったそうで、ミックスダウンに、とても時間がかかったようです。しかしながら、それでも『インディゴ地平線』の音作りには、最後まで納得できなかったようです。

 


具体的には、ライヴの演奏のような、迫力のある音づくりを目指していたようですが、それが実現できなかったようです。これは実際に聴いてみてもわかると思うんですが、アルバム『インディゴ地平線』って、全体的に少し音がくぐもって聴こえませんか?まぁ、アルバム『フェイクファー』も同様なんですけどね。

 

音作りに対しては、スピッツはこの時期から、長いこと悩み続けることになるわけです。これもまた、後のアメリカでのレコーディングや、マイアミショックなどにもつながっていくのですが、また別のお話で、ということで…。

 


とにかく、本当に色んな苦労を強いられながら、レコーディングされたのであろう『インディゴ地平線』については、その苦労などを思い出してのことでしょうか、メンバーにとって、「一番思い出深いアルバム」として語られています。

 


■僕個人的にも(全然理由は違いますが)、『インディゴ地平線』は、とても思い入れのある作品です。

 

インディゴ地平線』『フェイクファー』『花鳥風月』は、カセットテープに吹き込んで、何度も何度も聴いた作品です。通称:カセット三部作と、僕だけが呼んでいますが、時期としては、僕が小学生~中学生の頃に出会った作品たちです。僕がスピッツに出会った頃の、最も古いスピッツの記憶であり、子ども心にスピッツの深い世界観に触れはじめ、少しずつスピッツへの愛を育んでいきました。

 

子どもの頃は、やっぱり明るい曲が好きだったので、【初恋クレイジー】や【バニーガール】や【夕陽が笑う、君も笑う】などがお気に入りでした。特に、【夕陽が笑う、君も笑う】なんて、どれだけ聴いても飽きなかったですね。

 


同じ時期に、カセットテープに吹き込んで聴いていたので、オリジナルアルバムとして『インディゴ地平線』と『フェイクファー』は、何となく2枚セット、双子のような感じです。

 

インディゴ地平線』が夏でイメージカラーは青、『フェイクファー』は秋・冬でイメージカラーは赤やオレンジって感じですかね。決して、どちらにも季節を感じるような曲はそこまでたくさん入っていないんですけど、そういう風に分類しています。

 

アルバム『フェイクファー』に関しては、また次回話すとして、アルバム『インディゴ地平線』については、個人的に「開放的になれるアルバム」だという印象を持っています。夏というイメージから想起されるところが大きいのかもしれません。

 


■内容としては、恋愛系の歌が多く入っている印象ですが、どうですかね。

 


恋する相手に気持ちを懸命に伝えようとしている【花泥棒】

どうせ一度なら 心が向かうまま 花泥棒 花泥棒
あの娘に似合いそうな花を見つけたぞ 花泥棒 花泥棒

 

初恋に浮かれる様子を描いた【初恋クレイジー】

見慣れたはずの街並も ド派手に映す愚か者
君のせいで大きくなった未来

 

ひと夏の恋愛を描いているような【渚】

柔らかい日々が波の音に染まる 幻よ 醒めないで
渚は二人の夢を混ぜ合わせる 揺れながら輝いて

 

一瞬にして恋に落ちた情景を表している【ハヤテ】

きまぐれ君はキュートなハヤテ
倒れそうな身体を駆け抜けた

 

ギャルを口説いている【ナナヘの気持ち】

街道沿いのロイホで 夜明けまで話し込み
何も出来ずホームで 見送られる時の
憎たらしい笑顔 よくわからぬ手ぶり
君と生きていくことを決めた

 


などなど、純粋に恋愛を感じる曲は、この辺りですかね。色んな恋愛の形が描かれています。やっぱり、こういう曲が多いから、全体的にも明るくて開放的な作品のように感じるんでしょうか。

 


■作品としては、書籍「スピッツ」によると、ここにも書いてきた色んな苦労や忙しさと裏腹に、遊び心や余裕を見せることを心がけたんだそうです。

 

例えば、草野さん以外が作曲を務めた曲、具体的には、三輪さん作曲の【花泥棒】と、田村さん作曲の【ほうき星】が収録されていることもそうですね。【花泥棒】なんかは、草野さん自身も、”自分では決して作れない曲”と評していましたが、1曲目から面白いですよね。

 

いかにマンネリ化しないように、色々と挑戦していたのでしょうか。しかし、作品が大ヒットしたことで、スピッツの名前が知れ渡りましたが、先述した通り、世間のスピッツのイメージと、スピッツ自身が目指すスピッツのイメージにズレが生じていました。

 

書籍には、スピッツというバンドに対して、”異端でいることにプライドを持っていたバンド”という表現がありましたが、本当はスピッツって、もっと”変テコなバンド”なんだよって、もっと”異端なバンド”なんだよって、アルバムでは伝えたかったのかなって、個人的には思います。

 

シングル曲では猫被っていた分、アルバム曲ではちょっと舌を出してみるかって感じですかね、笑。

 


それでも、初期の頃の作品(例えば『スピッツ』や『名前をつけてやる』など)と比べてみると、十分分かりやすく、とっつきやすい作品になっていることは事実です。書籍の中で草野さんは、

 


「目をつぶって遠くに飛んでいけてもね、ほんとに遠くに行ったことにはならないってことがわかってきて。目を開けて歩いていくことによって初めて遠くへ行けるっていうことだと思うんですよね」

 

という風に語っていますが、アルバム『ハチミツ』の記事でも書いたように、要はファンタジーではなく、より現実に近いところを歌うようになってきたということでしょうか。

 

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