スピッツ大学

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11時限目:歩き出せ、クローバー

【歩き出せ、クローバー】


 

アルバム「ハチミツ」に収録。ネット等の情報(主にwikipedia)を参考にすると、マサムネさんはこの曲を、映画「フォレスト・ガンプ」を見て作った曲とのことです。この曲のように、とても優しい映画なんですが、若い人はもう知らないかもしれないですね、有名な作品なんですよ。

 

「生きること」をテーマにしていて、クローバー=幸せの象徴というものだそうです。クローバーで幸せと言うと、イメージとしては四葉のクローバーですかね。

 

ハチミツには、結構かわいい曲が多くって、この曲もそうなんですが、しかしこの曲が作られた頃に、地下鉄サリン事件があったりなんかして、明るい曲調や歌詞の影には、暗い部分や悲しみが隠れているのかもしれません。

 



歩き出せクローバー 止まらないクローバー
熱い投げキッス 受け止める空

 

サビがこういう歌詞です。歩き出せクローバー、とはおそらく、悲しいこと、寂しいことあるかもしれないけど、頑張って歩いて行こう、生きていこう、という、マサムネさん流の応援なのでしょう。

 

「熱い投げキッス 受け止める空」という表現なんか、すごく独特ですよね、この流れから、どう解釈したらいいのか悩みます。

 


この曲の中の、Cメロの歌詞がとても印象に残ります。

 


だんだん解ってきたのさ
見えない場所で作られた波に
削り取られていく命が

 

という歌詞なんですが、この辺なんかは、無差別に奪われてしまった命について歌っているのだと思います。見えない場所で作られた波、これはつまり被害者には全然関係のない事情で、という意味でしょう。全然関係ないところから生まれ始める、憎しみだったり悲しみだったり、そういうものが少しずつうねり出して、戦争とか、無差別テロとか、そういう事件・事故につながっていくのでしょうね、悲しいことです。

 


別の解釈、というか、僕にとってはダブルミーニング的なイメージですが、失恋の歌、とも受け取れる歌詞もたくさんでてきます。

 

「過ぎた恋のイメージに近いマーク」
「寝転がって眺めた 君のカード胸に当てる」
「君の声 優しいエナジー

 

カードとは写真のことでしょうか。君のことが好きだったけど、失恋してしまった。それでも、まだ君のことを思っている。君の声は、いつだって僕に力を与えてくれる…と、上記の歌詞をつなげると解釈できそうです。

 

 

※2017/03/19 追記

 

■最近、テレビで映画「フォレスト・ガンプ / 一期一会」を放映していて、それをたまたま見る機会がありました(途中からでしたが…)。この作品を見るのは、はじめてのことではありませんでしたが、そんなに何度も見た映画ではないので、新鮮に楽しむことができました。

 


ちなみに、この映画のあらすじ…説明することは難しいですが、個人的に説明してみると、以下のようになります。

 

まず、フォレスト・ガンプとは、そのまま主人公の名前で、映画は、そのフォレストが歩んできた波乱万丈な人生を、そのまま追っていくような形でストーリーが進んでいきます。

 

おそらく、フォレスト・ガンプ発達障害なんだと思われます(学習障害自閉症か?)。ちなみに、「ガンプ」とはスラングで、英語で”gump”と書き、意味は「うすのろ」や「愚か者」という意味だそうです。

 

独特な世界や考え方を持っているというか、変なこだわりを持っているフォレストですが、本人が意図せずとも、周りの人を何となく引きつけていきます。そうやって、たくさんの人との関わりが生まれて、その中でフォレストの物語が進んでいくのです。

 

…まぁ、見てみた方がよく分かると思います、笑。見たことない方は、良かったら映画をご覧ください、本当に素晴らしい作品ですよ。

 


■さて、冒頭で触れたとおり、【歩き出せ、クローバー】という曲は、草野さんが、この映画「フォレスト・ガンプ / 一期一会」を観て作った歌だそうです。

 

書籍「スピッツ」の中で、その辺りは詳しく語られています。長いので、全て載せるのはキリがないのですが、映画の中で印象に残ったシーンとして、”(フォレストが)ベトナム戦争に行って弾丸が戦場を飛び交っているシーン”を挙げて、こんな風に語っています。

 


草野さん:(クローバーは)青い時代の象徴でもあるしぬくぬく育った人間の象徴っていうか。『フォレスト・ガンプ』にしても、アメリカっていう物に恵まれた社会で生活してきた人が、戦場で生きるか死ぬかの場面に立たされたわけで。僕らにそういうことがいつ起こってもおかしくないって思ったし…

 

”僕らにそういうことがいつ起こってもおかしくない”という部分は、この時期に、阪神大震災地下鉄サリン事件などがあって、そういう出来事に対する憂いの気持ちから、草野さんが感じたことだったのかもしれません。要は、”人はいつ死ぬか分からない”や、”明日は何が起こるか誰にも分からない”という考え方に基づいたものだったのではないでしょうか。

 


■今回この映画を、どんなことを考えながら草野さんは見ていたんだろう、っていう視点で、僕自身も考えながら見てみましたが…分かるはずもないですよね。まぁ、【歩き出せ、クローバー】の歌詞が、具体的に浮かび上がるような歌詞にはなっていないとは思います。

 

ただし、映画の中で、フォレストの母親のセリフに「死は生の一部分なのよ」というのがありました。

 

草野さんの詩のテーマが、”死とセックス”…最近では”死と再生”などと語られてもいますが、何となく、この母親のセリフが過りますよね。考え方として、両者には近いものがあったんじゃないでしょうか。

 

数々の予期せぬ出来事に翻弄されながらも、たくましく生き続けたフォレスト・ガンプ。そして、この時期の日本では、色んな予期せぬ出来事が起こりました。そういう日常を憂いて、草野さんはフォレストに、”クローバー”の象徴として、自分の想いを重ねて託し、そうして【歩き出せ、クローバー】という曲が生まれたのかもしれません。