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26時限目:エトランゼ

【エトランゼ】


エトランゼ

エトランゼ

 

アルバム『フェイクファー』の1曲目に、そして、シングル『流れ星』の2曲目にカップリング収録されている曲です。アルバムの方が原曲で、シングルには、【エトランゼ(TANAYAMIX)】として収録されています。

 

タイトルの”エトランゼ”とは、フランス語で”etranger”と書き(正式には、”e”の上に点が付きます。”エトランジェ”とも発音?)、その意味は「見知らぬ人。異国の人」です。

 


そのバージョンの違いにより、歌詞こそ同じであるが、全然別曲のようになっている両曲です。

 

まず、収録時間が全然違います。【エトランゼ】の収録時間は1分33秒、これはスピッツの全曲の中で、一番短い曲になっています。その一方で、【エトランゼ(TANAYAMIX)】の方は、収録時間が8分29秒、スピッツの曲の中で一番長い曲になっています。一曲にして、スピッツの曲の中で、一番短い曲と長い曲を同時に実現させていることになるわけです。まぁ、片方はリミックス音源ですので、これをスピッツの曲とするかは考えどころですが(曲名通り、棚谷祐一さんという人が中心となってつくられたらしいです)。

 

曲の感じは、【エトランゼ】は、ほとんどマサムネさんのアカペラのような曲です。音は少なく、シンプルで、マサムネさんのボーカルに存分に浸れる曲になっています。

 

一方の【エトランゼ(TANAYAMIX)】は、収録時間が8分以上と言えど、マサムネさんのボーカルが入っている部分は少なくて、残りはサウンドトラック的な感じに仕上がっています。なんて言うか、潜水艦が海の底を進んでっているような、少しくぐもったようなサウンドが印象的です。

 

僕は、偶然というか何というか、シングル【流れ星】を持っていて(マキシの方ではなくって、昔の小さな8cmの方)、棚の奥から取り出して改めて聴き直しました。CDの作りが、これがまた面白いんです。というのが、【エトランゼ(TANAYAMIX)】の歌詞が、CDのジャケットではなくって、ディスク本体に、ぐるっと取り囲むように書かれているのです。

 


【エトランゼ】も【エトランゼ(TANAYAMIX)】も、歌詞は同じで、とても短いので、全文載せてみます。

 


目を閉じてすぐ 浮かび上がる人
ウミガメの頃 すれ違っただけの
慣れない街を 泳ぐもう一度
闇も白い夜

 

これだけしかないんです。しかしながら、その解釈ですが…さっぱり分かりません、笑。短いだけに、色々想像ができて、面白いと思います。

 

なんか、”なぞなぞ”みたいな歌詞ですよね。ゲームとかに出てくる、謎解きのような、不思議な雰囲気です。この文章をヒントに、ゲームの中でからくりを解いて、先へ進める、みたいなね。

ということで、色々想像してみます。

 


「目を閉じてすぐ 浮かび上がる人」
これは、片思いがイメージされます。好きな人の姿が焼き付いていて、目を閉じてその人のことを描いている、そんな光景が浮かんできます。

 

「ウミガメの頃 すれ違っただけの」
”すれ違っただけの…”に関しては、前述の”浮かび上がる人”にかかっているような気がします。つなげて考えてみると、偶然すれ違っただけの人に、片思いをしてしまった、とそういうことでしょうか。

 

で、この歌詞の中で印象的な”ウミガメの頃…”っていう部分ですが、何を意味してるのでしょうね。”ウミガメ”と聞くと、とてもきれいな海をゆったりと泳いでいる光景と、涙を流しながら砂浜で産卵している光景が浮かんできます。そして、ウミガメの”頃”と表現しているところ、これは言葉通り受け取ると、自分がウミガメだった頃があって、今は違っている、ということを示しているのでしょうか。

 

「慣れない街を 泳ぐもう一度 闇も白い夜
最後の”闇も白い夜”に関しては、何となく都会的なイメージが浮かびます。いつまでも明るい、賑やか街のイメージです。

 

そういう街のことを、”慣れない街”と表現しています。都会の暮らしになじめず、慣れていないのでしょうか。しかし、続けて”泳ぐもう一度”とあることから、何かのきっかけで、もう一度”ウミガメ”だった頃のように泳いでみよう、と思い立つわけですね。

 


断片的な解釈を無理やりつなげてみます。

 

まだ、私の心も若くて純粋だった頃(例えば学生時代とか?)、ずっと憧れていた人がいた。深い仲になったわけではなくて、遠くから眺めたり、すれ違うことしか出来なかったが。
時が経って、私は都会で暮らし始めた。都会の生活は、自分には馴染まずに、心も体もすっかり汚れて、疲れ切ってしまった。そんな時、偶然、街であの人のことを見かけた…私が昔、思いを寄せていたあの人を。
なんだか、自分の心が、純粋な頃に戻ったような気がした。そして、色んなことを思い出した。まだ、自分は自分でいられるんだ、と。
「大丈夫、私はまだ泳げる」もうちょっと、この場所で頑張ってみよう。

 

という感じです。この歌詞に関しては、本当に自由な想像が試されます。

 


この曲を知っている、知っていない、に関わらず、あなたにはどんなストーリーが想像できますか、と、逆にこっちが尋ねたいくらいです、笑。