スピッツ大学

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53時限目:コスモス

【コスモス】

コスモス

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■シングル『日なたの窓に憧れて』にカップリング収録され、後に、スペシャルアルバム『花鳥風月』にも収録されました。


何でも、ジャン・ポール・ベルモントという俳優が出た映画にインスパイヤされて、草野さんはこの歌を作ったそうです。なんの映画かは分かりませんが、主人公(ベルモントが扮した?)が死んでしまう、悲しい映画だったそうです。


個人的ランキング、195曲中82位。悲しい曲なんだけど、時々ふと思い出したように聴きたくなります。



■全体的に何となく、くぐもった感じのサウンドに聴こえるのは、何かしらの意図を感じますが、どうでしょうか。昔のことを思い出しているような、そんな雰囲気が漂ってきます。


この曲はまず、出だしから"鮮やかなさよなら 永遠のさよなら"という歌詞から始まるように、何かしらの別れの歌だということは、すぐに理解できます。


しかし、この曲もそうですが、スピッツの曲、つまり草野さんが作る歌は、その別れがどんな別れなのかということを、そんなに具体的には語らない歌がほとんどです。だからこそ、色んな物語を想像できるのですが。



■ただ、この歌に関して、2番のサビを見てみると、



あの日のままの秋の空
君が生きてたなら


という風に、はっきりと"君が生きてたなら"という、"君"という人物が死んでしまった様子を表す描写が出てきます。何か、珍しいですよね、こんなダイレクトに、"死"を思い起こさせる表現が出てくるなんて。



さらには、一番のAメロには、



君の冷たい手を暖めたあの日から
手に入れた浮力


というフレーズも出てきます。"冷たい手を暖める"という表現からは、亡くなって冷たくなった人の手を握って悲しんでいる、そんな場面が思い浮かび、やはり、死別を表していると捉えることをできます。



ここの"浮力"という言葉も、また独特な表現ですね。僕のイメージでは、大切な人を亡くして、生きる気力を失って、毎日をただふわふわと漂うように生きている、という印象を受けました。


もしくは、病床にいた人を看病していた日々から、その人物の死により、解放されたという意味かな、とも思えました。縛られていたものから、解放されたことを、"浮力"を手に入れたと、表現したのかもしれません。



■この歌を、真に紐解くためには、草野さんが見た映画を見て、おんなじ気分を味わう必要があるんですが、いかんせん映画の名前が調べても分からずじまいで、そこらへんは、想像するしかありません。


僕のイメージでは、この歌で亡くなったのは女性で、何となく病気のような気もしますが、とにかく女性の死により、男性の方が取り残されて、昔を思い出しながら、悲しみに暮れている、というものでした。


ただ、これもどこかで見たことだが、映画の中で亡くなったのはベルモント、だとすると、亡くなったのはつまり男性ということになります。この情報を鵜呑みにするならば、僕のイメージとは、根本が違うのかもしれませんね。



まぁとにかく、死別、そして、それによって感じる悲しみ、それらがこの歌のキーワードなのでしょう。決して、明るい気持ちになるような歌ではないですが、詩のテーマでもある、”死”の部分を描いている、重要な位置づけの歌なのでしょう。