89時限目:たまご
【たまご】
■アルバム『空の飛び方』の1曲目に収録されている曲です。
アルバム『空の飛び方』レコーディングの際、曲が足りなくて、草野さんが「中くらいの曲」と「速い曲」を持ってきたそうです。この2曲の内、「中くらいの曲」が【たまご】だったそうです。ちなみに、「速い曲」とは【スパイダー】のことだったそうです。
個人的ランキング、195曲中20位でした。見事ベスト20入り、良いですよね、この曲。”たまご”っていうタイトルが潔いですよね。
■アルバム自体も、初のオリコンチャート入りを果たした、僕にとっても思い出深いアルバムなんですが、そんな記念すべきアルバムの、肝心な出だしを飾る【たまご】という曲…この曲は分かりやすい!イヤーンな歌ですね!
該当する(であろう)歌詞を抜き出していってみます。
”バナナ浮かぶ夜”…バナナ、とは、男性器の隠語でしょうか。
”ヘタなピンボール”…ピンボールが、キ〇玉のことでしょうか。
”憧れたピストル”…これも、男性器か。
”さかずきのテキーラ”…女性器でしょうか。
”死にかけたマシンで はじき出された”…射精を表しているのでしょうか。
などなど、あからさまですね。これが、初のオリコンチャート入りを果たしたアルバムの1曲目に入れる曲ですか!?と思わされるほど、マサムネワールドが満載なのです。しかもこれを、爽やかで、すごく馴染むメロディーに合わせて、高らかに歌い上げるわけですからね、とんでもない策士ですよ、草野さんは。
■ということで、タイトルにもなっている”たまご”の意味ですが、”たまご”という言葉が使われているのは、サビの部分です。
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からめた小指で 誰も知らない約束
たまごの中には いつか生まれだすヒヨコ
君と僕のおかしなヒミツ
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うーん、これもあからさますぎやしませんか、笑。
”たまごの中には いつか生まれだすヒヨコ”ですからね。全体的に読んで、そっち系の歌詞でなければ、別に何も思うことはなかったんでしょうけど、あきらかに、そっち系のイメージしか浮かんできませんよ。
おそらく”たまご”とは、受精の瞬間を、つまり、受精卵を表しているのだと思います。
■しかし、この曲が表しているのは、そういうエロをも通り越えて、もっと壮大なことだと思います。最後のサビに、
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はじめて感じた 宇宙・タマシイの事実
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というフレーズがあります。草野さんの書く詩のテーマは「死とセックス」です。”セックス”とは、”性”=”生”ということで、つまりは生命の誕生、命のはじまり、人生そのものを表していると考えることができます。
”セックス”というのは、全ての命の始まり、根元であるのだと。この歌で歌われていることはそんな、ずっとずっと壮大な、人間の根本的な部分、生命の神秘であるのだと思います。それは、草野さんの書く詩がたどり着いた、一つの終着点なのだと思います。