スピッツ大学

ステイホームしながら通える大学です!

158時限目:惑星のかけら

【惑星のかけら】


惑星のかけら

惑星のかけら

 

■4作目のシングル曲であり、アルバム『惑星のかけら』の表題曲にもなっています。個人的ランキング、195曲中90位でした。

 

ちなみに、曲やアルバムのタイトルの読み方は「ホシノカケラ」です。”惑星”で”ホシ”と読みましょう。まぁ、パソコンで打つ時は、”ワクセイノカケラ”じゃないと出ませんけどね、笑。

 

と言うより、珍しいですよね、シングルとして発売済みの曲のタイトルを、またアルバムのタイトルに掲げて、表題曲にするとは…あんまりないイメージですけどね。ぱっと思いつくのは…宇多田ヒカルの『First Love』でしょうか。

 


■初期3部作と言われる、アルバム『スピッツ』『名前をつけてやる』、ミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』を経て作られたのが、アルバム『惑星のかけら』です。

 


『惑星のかけら』とは、どんなアルバムだったのでしょうか。

 

このアルバムを紹介しているところではよく、グランジ、退廃的、などという言葉を見かけます。初期3部作を経て、よりマニアックに、自分たちの世界に入り込んでいったという感じがしますね。

 

そして、それらを一番物語っているのが、【惑星のかけら】という楽曲そのものだという印象です。これから、この曲を紹介するわけですけど、本当に何ですかね、この曲は、笑。さぁ大変だ、どうする、未来の自分!?

 


wikiの情報によると、「作詞にあたっては、アイザック・アシモフアーサー・C・クラークSF小説をイメージしている。」とありました。

 

そして、書籍「スピッツ」を読んでみると…詳しくこのアルバムや楽曲についての情報はないものの、この頃のインタビューにて、何故か草野さんの”妄想癖”について取り上げられていました。

 



草野さん:なんか日本的なSFなんですけどね。アシモフみたいな本格的なやつじゃなくて、ちょっと思いついたアイデアとかイメージみたいなのをちっちゃいストーリーにしたりとか…

 

草野さん:…あの、つたが壁をはい回ってる家ってありますよね? それが福岡の海岸にあって……という妄想を膨らまして、で、本当にそこにあるはずだっていう気になっちゃって。実際見に行ったらなかったという(笑)

 

後半のやつは、読んでて途中で、”!??”ってなっちゃいましたけどね、妄想かよ!?って。何となく、【アパート】とか、ふいに思い浮かびました。

 


その他、アルバム『惑星のかけら』という作品について、「レトロSF」「夢のような世界」などという言葉で形容されていました。上述のような、草野さんの妄想の世界が、この頃の作品に反映されている、というイメージです。

 


■そこへ来て、【惑星のかけら】という曲ですよ。

 

よく使われる”グランジ”という概念…グランジ?あぁ、ニルヴァーナかな?って繋がっちゃうんだけど、よく分からないままなんですよね。wikiの説明によると、「パンク・ロックのような簡素で性急なビートと、ハード・ロックのようなリフ主体の楽曲構造とが融合」だとか、「『静と動』のディストーションギターのサウンド」だとか書いてあります。

 

めいっぱい歪んだギターが鳴っていて、かと思いきや、静かになっていきなり重厚な低音が目立ち出して、そんな中で、よく意味が分からない歌詞をぼそぼそと歌っている、という感じが、上述のグランジという説明に合うのかな…まぁ、ニルヴァーナとは何か違いますけどね。グランジというより、シューゲイザー的な感じでしょうか。

 

こういう感じの曲は、僕は今もあんまり聴かないんですけどね、【惑星のかけら】に関しても、かっこいいなぁって思うには、それなりの時間がかかりました。

 


■歌詞を読んだ感じでは、そうですね、ここまでで出てきた言葉を借りるのならば、「夢のような世界」が当てはまりますかね。全体的に読んでみても、全然物語が繋がっていなくて、パッ、パッとシーンが変わっていく感じは、まさに夢でも見ているようなイメージです。


よくこの歌に、性的なイメージを見出す解釈も多いようですが、その主な理由は、この辺りの歌詞でしょうか…

 


君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い
オーロラのダンスで 素敵に寒いひとときを

 

何やってるんだ!?って話ですけどね、笑。盗んだスカートを履いちゃってるんですかね、それで鏡の前でポージングして、おいおい!ちょっと待てよ自分!落ち着け!(苦笑)的な、我に返る展開ですか、笑。

 


それから、出だしの歌詞は、

 


知らないふりをしてたんだ 君の夢を覗いたのさ
二つめの枕で クジラの背中にワープだ!

 

という感じですが、例えば、”二つめの枕”からは、”君の隣にある枕”というものをイメージしてみるとどうでしょうか。実際に、君が眠っている間に、部屋に(君の寝床に)忍び込んで、隣で添い寝しちゃう…というのは飛躍しすぎでしょうが、まぁ、ベッドの上でいちゃいちゃしている、くらいですかねぇ…実際にしていなくても、場面を妄想しているのかもしれません。妄想して、何をしているのかは…イヤーン。

 


「クジラの背中」とか、あとは、「ベチャベチャのケーキの海」や「オーロラのダンス」などの歌詞も出てきますが、この辺りの歌詞からは、メルヘンなイメージを受けますね。これは、君に対するイメージの具現化でしょうか。夢で見た光景を、そのまま言葉にしたようにも読めます。

 


■あとは、最大の謎、”惑星のかけら”という言葉そのものが、何を表しているのか、という話ですよ。

 


うーん…何でしょうね、笑。一応、歌詞には、こんな風に出てきますよ。

 


骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら
骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ

 

思えば、【日なたの窓に憧れて】では、”君が世界だと気づいた日から”などという歌詞があったり、【僕の天使マリ】では、君は”天使”になっちゃってますし、【ローランダー、空へ】や【リコシェ号】なんかは、世界を飛び越えて、どっか別の世界に行っちゃうイメージですよね。

 

惑星の”かけら”ですからね、色んな妄想の断片という意味か、”君”そのものを表わしている言葉なのか…本当のところ、なんでも良いような気がします。

 

性的と言えば性的だし、妄想的と言えば妄想的だし…なんかとてつもなく大きなものと言われればそんな感じかもしれませんし、逆に、全然そんな大したものじゃないと言われればそうかもしれません。


性的な行為の果て、あるいは、自分の中で繰り広げられる妄想の果てに、ちょっとだけ指先で触れた(ような気がした)、この世の”真理”のようなもの…人の生き死にから、性的なもの、夢や妄想、愛について、そういうものをフワッとまとめて、"惑星のかけら"と言っているような印象です。そう言えば、なんか宗教的・哲学的な話にも繋がっていきそうですけどね…。

 

うーん…どう思いますか?