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200時限目:リコリス

リコリス


リコリス

リコリス

 

■シングル『正夢』のカップリング曲であり、スペシャルアルバム『おるたな』にも収録されています。個人的ランキング、195曲中132位でした。

 

個人的に、あまりランキングも振るわなくて、そんなに印象に残っていたわけではなかったので、今回の記事を書くに当たって、改めてよく聴きなおしてみたところです。

 

最近、この曲1曲だけを、エンドレスリピートでイヤフォンから流しながら聴いていて、そのまま眠ってしまった夜がありました。眠ってはいましたが、イヤフォンが外れることなく、一晩中【リコリス】を聴いてしまい…まるで洗脳されたかのように、日中も【リコリス】のメロディーが頭の中でずっと響いている、という状況に陥りました、苦笑。

 

その結果、クセになってしまって、この曲ばっかり聴いていたこの頃です、すっかり大好きになりました。何度も聴いていると、何だか心地よくなってきます。決して派手な曲ではないですが、心が安らぐというか、何か浮遊しているような心地になる、不思議な曲です。

 


■そして、何よりこの曲は、演奏が素晴らしくきれいなんです。だからこそ、それとも相まって、上述のような思いを抱くのだと思います。

 

まず、草野さんのアコースティックギターの音と、エフェクトがかかってどこか遠くから聴こえるようなボーカルが印象的です。バックのスピッツメンバーの演奏はもちろんきれいですが、随所に聴こえるオルガン(クレジットによるとハモンドオルガン)はクージーの演奏だそうで、良い味出していますよね。

 

個人的には、この曲の間奏とアウトロがお気に入りです。ギターのアルペジオが、とてもきれいなんですよ。

 


メロディーの面でいうと、さらに特徴的な部分としては、サビのボーカルが一音だけで構成されているというところですね。調べてみると、”ミ”の音だそうですが、一音だけで、”ふーれーあーうーこーとーかーらーはーじーめーるー”などと歌われているものだから、最初はびっくりしました。

 

一音でもサビは作れるんだなって、最初は違和感でしかなかったんですが、今ではこのサビ以外はあり得ない!と思っています。

 


■アルバムに同封されている「おるたな制作ノート」の情報にも、少し触れてみます。

 

まず、”この曲(と「正夢」)のレコーディングから、プロデューサー亀田誠治とエンジニア高山徹(そして青葉スタジオ)という、2011年現在までスピッツのレコーディングの基本となる組み合わせがスタートした”そうです。今では、スピッツの曲に欠かせないゴールデンコンビの原型が、ここにあるんですね。

 

それから、”印象的なフレンチ・ホルンは、「魔女旅に出る」にも参加していた藤田乙比古”とありました。【魔女旅に出る】は1991年の楽曲、そして【リコリス】は2004年の楽曲なので、実に13年(ぶりなのかな?)もスピッツに関わっていらっしゃった方なんですね。

 


■さて、肝心の歌詞の内容の解釈ですが…さっぱり掴めません、苦笑。

 

まず、タイトルの”リコリス”という言葉は、”リコリス味”というフレーズで出てきますし、これは”リコリス菓子”というお菓子を指していると思われます。外国のお菓子(調べてみると北米・北欧あたりのお菓子)で、飴やグミに近い食べ物だそうですが、基本的に日本人には向かない味になっているそうです。僕は、このお菓子は食べたことはないのですが、リコリスの匂いがするペンを匂ったことがありますが、とんでもなく臭かった記憶があります…。

 


そのフレーズですが、冒頭に出てきます。

 


おもしろく哀しい 旅人の話 めくる頁の先に
いきなり現れ 外した口笛 その笑顔はリコリス

 

といったところで、リコリス味の笑顔って何だろうって思うんですよね。先ほども言ったように、きっつい匂いなんですよ、苦笑。…とりあえず、ここは置いておきましょうか。

 


■全体的に読むと、”君”という人物が出てきていますよね。ということで、実際に歌詞には出てこないですが、相対的に考えて”僕”がいるわけですよ。

 

例えば、2番のBメロやサビの部分、

 


つまらないことなのに 言い出せないまま
煙と消え去る前に

 

触れ合うことからはじめる 輝く何かを追いかける

 

この辺は、”僕”の心情を表しているものでしょうか。君に何か伝えたいことがあるけれど、中々伝えることができない。だから、君を追いかけることしかできない、という感じでしょうか。”追いかける”というのは、実際に追いかけているかもしれないですし(この場合だと、じゃれながら追いかけっこしている感じ)、例えば、目で追っているとも考えることができるかもしれません。

 

そうすると、少し謎めいた冒頭の部分も、”恋に落ちた”描写に読めてきます。”頁の先”、”いきなり現れ”など、この辺りから連想すると、何ていうか予期せぬ恋に落ちた様子が浮かんできます。

 


■あとは、先述した、一音だけで構成されている印象的なサビについてです。”触れ合うことからはじめる 輝く何かを追いかける”がそれに当たります。ここの”触れ合うことからはじめる”とは、何なのでしょうか。

 

”触れ合う”っていうと、実際に体が触れ合っていなくても、例えば、心と心の触れ合い、みたいな感じでも使われますよね。先述したとおり、”僕”は君に何かを言いそびれている状態なのだとしても、精神的な部分では、もうすでに”僕”と君が繋がっている、という描写に取れなくもないです。

 

ただ、やっぱりここの描写は、体の触れ合いのように思うのです。といっても、SEXとかそういうあからさまなところまではいかない感じです。個人的には、指先と指先が触れ合うような感じですかね。

 



ねむたい目をしてさ 君は風の中
乾いて荒れてる指で

 

こういう歌詞が出てきますが、イメージとしては、君が無邪気に”僕”の前を歩いていて、ずんずん進むものだから、そのままどこかへ行っちゃうんじゃないかと”僕”は思う。自分の気持ちを伝えないといけない、と思いつつも言葉は出てこない。だから、君がどこかへ消えてしまう前に、その指先をつかまえると…そういう感じですかね。

 


…で、結局、”その笑顔はリコリス味”って何なのでしょうね???まあ…それぞれの想いに委ねるとします。