スピッツ大学

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225時限目:ブチ

【ブチ】

 

ブチ

ブチ

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■アルバム『醒めない』の12曲目に収録されている曲です。この曲は、アルバムの情報が発表になる前に、もうすでにファンクラブ限定のライヴイベントにて、先に披露されていたそうです。

 

【ブチ】と、最後の曲の【こんにちわ】のみ、スピッツのセルフプロデュースになっていて(他の曲は、亀田誠治さんがプロデュースしている)、特に【ブチ】に関しては、編曲にクージーが加わっています。ということで、この2曲こそ、一番純度の濃いスピッツを感じられる曲と言えるかもしれません。

 

跳ねるようなリズムに乗って、身体が動いてしまいそうな、楽しい曲です。スピッツお得意の、”かわいらしい”と”かっこいい”を両方併せ持つ曲ですね。

 


■それで、いきなり主題になっちゃいますが、やっぱり気になるのが、タイトルの”ブチ”という言葉ですよね。

 

”ブチ”と言えばのう、わしぁ広島人じゃけ、たちまち”とても~”を意味する広島弁の”ぶち”が思い浮かんだんじゃ。それか、広島には”ぶち”っちゅう焼肉屋があってのう、そこのホルモンがもう絶品なんじゃ、もうビールがぶち進むわ。まーいっぺん来てみんさいや。

 

ほじゃけど、スピッツさんの”ブチ”を聴いた感じじゃ、その”ぶち”じゃなさそうじゃのう。じゃったらなんじゃっちゅう話なんじゃが…。

 

ところで、我らが広島カープのCS突破おめでとうございまーーーす!(2018年)新井さんもラストイヤーじゃけ、この調子で、日本一になってもらいたいのう。結局、今年も一度もマツスタに行けんかったが…飲み屋で見ながら飲んだことはあったんじゃ。今年のカープはのう、丸がようけホームランを打っt…

 


ということで、歌詞を読んだ限り、この歌の”ブチ”が表しているのは、動物の身体にある斑点模様のことを指していると思われます。犬とか猫とか、そういう動物の体に付いているような、水玉みたいな模様ですね。ダックスフンドとか、ダルメシアンとか…ちょっと思いつかないですけど。

 

とにかく、本来の意味では、人間の身体における特徴を表すような言葉ではないと思っているんですが、この歌における”ブチ”という言葉は、どうも人間に当てはめて使われていると読めるのです。

 


君はブチこそ魅力 好きだよ凄く
隠れながら 泣かないで yeh yeh

 


君はブチこそ魅力 小町を凌ぐ
本気出して 攻めてみろ wow wow

 

サビがこんな感じなのですが、”小町を凌ぐ”とは、また大きなことを言っているなという感じですね。あえて、人間の身体の特徴として当てはめるとすると、”ブチ”というと、シミ・そばかすとか、ほくろとか…?

 

それか、別に”ブチ”を、そういう身体的特徴にだけ限定させるんじゃなくて、もっと広義に、心身問わずその人に備わっている個性みたいなものを比喩していると考えるとどうでしょうか。

 

恐らく、この歌の”君”は、女性を表わしているのだと思うのですが、色んな個性を心身に備えた女性がいると思います。そういう個性について、広義で”ブチ”と置き換えて、その個性が君の魅力なんだよという風に歌われてるのかもしれません。

 


■ところで、これはアルバム全体の話になっちゃうんですけど。

 

この曲に限らず、というかこの曲を聴いて余計にそう思うんですが、このアルバムには、言い方が難しいのですが、人間と人間の関係や物語を、人と動物(ペット)の関係に置き換えているような節があったりしますよね。

 


例えば…

 

【子グマ!子グマ!】は、親子か恋人同士か、その辺りの関係はともかく、親しい関係にある者同士の別れの場面が歌われています。別れを惜しみつつも、離れていく者に向けて、”幸せになってな”という応援している言葉を、残る者が投げかけている場面ということになります。
この歌にしたって、まぁタイトルから”クマ”という言葉が使われていて、しかも、草野さんが”シートン動物記 くまの子ジャッキー”というアニメを思い浮かべながら書いたものなので、そのままストーリーをなぞって、クマと飼い主の別れを描いた物語を想像しても良いのです。

 

【コメット】は、”金魚のままでいられたけど”~”恋するついでに人になった”という言葉から、”せまい水槽に閉じ込められていた”=”自分の殻に閉じこもっていた”として、恋することで自分が変わることができたということを、”金魚”が水槽の外へ出ていくという比喩を使って表わしていると考えられます。

 

【ナサケモノ】は、これが一番分かりやすいんじゃないでしょうか。”足にもなる メシもつくる 涙はいただく”などというフレーズは、あくまで好きな人に尽くしているような表現で、人間的な表現ですよね。アッシーのように読み取れますが笑。
ただし、この歌も、タイトルが”ナサケモノ”(これは”情けない獣”を略したものだろう)になっていますし、全体的に読んでも、人間とペットの関係を表しているような歌詞に読めるのです。

 

あるいは、【モニャモニャ】。”モニャモニャ”とは、架空の生き物なのですが、スピッツはこの生き物の成長の物語に、自らのバンドストーリーを重ね合わせています。つまり、あんなに小さかった”モニャモニャ”が、こんなに大きくなるように、自分たちも、ロックに対する想いを育ててきたんだ、ということを歌っているのだと思います。

 


今回の【ブチ】もそうですよね。

 

先述のとおり、”ブチ”はどちらかと言うと、人間よりも動物に当てはまる言葉なのですが、それを人間に当てはめて、しかも、身体的特徴にのみ留めておくのではなく、もっと広義にその人の個性みたいなものを総称して”ブチ”と言っているのではないかと、個人的にですが読めました。

 

だから、シングル曲はともかく、アルバム曲に関しては、どれにも動物の姿がちらついているように読めます。一貫して同じ生き物のつもりで書いているのか、別の生き物で書いているのかは定かではないですけどね。まぁ、もともと、草野さんの書く詞には、動物や花の名前がたくさん出てきますのでね、珍しいことではないのかもしれませんが…。

 


■この歌は、とにかく詞が面白いんですよね。内容はともかく、韻を踏んでいるところがたくさんあります。

 


心は言葉と逆に動くライダー
鏡を見ながら手紙書くみたいな

 


しょってきた劣等感その使い方間違えんな
空見上げれば南に鶴が千羽

 


ムエタイの女の子みたいな蹴り食らって
足りないもの自問してさらにやばくなって

 

など、それぞれの文末で、韻を踏んでいるのが分かりますね。

 


それぞれの意味はなんでしょうね、言葉遊び的なので、ギャグの意味を解説するみたいに、意味をあんまり読み過ぎちゃうと興ざめしそうですけどね。

 


ムエタイの女の子みたいな蹴り食らって
足りないもの自問してさらにやばくなって
優しくない俺にも 芽生えてる 優しさ風の想い

 

君はブチこそ魅力 小町を凌ぐ
本気出して 攻めてみろ wow wow

 

この辺りが、この歌を一番表しているような部分ですかね。”蹴り”を食らったのは、”君”と考えると良さそうですかね。もちろん”蹴り”は比喩であり、自分の個性(ブチ)について、何か悪く言われたということなのかもしれません。それで落ち込んでしまい、自分に足りないものを自問して、さらにまた落ち込んでしまっている、という状況でしょうか。

 

そこで、”君はブチこそ魅力 小町を凌ぐ”と、”俺”がなぐさめているという場面ですかね。”そばにいてほしいだけ”という言葉も出てきますが、”俺”が”君”に抱いている想いは、恋心と言えるかもしれません。