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集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第6回

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幼いだけの密かな 掟の上で君と見た
夏の魔物に会いたかった
僕の呪文も効かなかった
夏の魔物に会いたかった

 

 

■2作目のシングル曲【夏の魔物】の歌詞を紹介します。

 

まるで、白昼夢でも見ているような、夢と現実の間をさまよっているような、そんな不思議な雰囲気の漂う曲です。

 

紹介している歌詞は、最後のサビに出てくる部分なのですが、改めて読むとすごい歌詞ですよね。

 


■この【夏の魔物】の歌詞には、あるひとつの考察が広まっています。

 

ずばりいうと、特徴的なタイトルになっている"夏の魔物"とは、赤ちゃんのことなのでは?という考察です。さらに、その赤ちゃんには、何らかの理由で会うことができなかった…例えば、流産した、あるいは堕胎した、などが挙げられます。

 

紹介している部分の歌詞ですと、まず"幼いだけの密かな掟の上"という言葉…ここはつまり、二人がまだ若くして赤ちゃんができてしまった、ということを表していると考えられます。

 

"幼いだけ"という言葉から、若気の至りというのを感じますが、"掟の上"という言葉は、人間の生き死に関する、人生における強いルールのようなものを感じるので、その両側面のギャップが、また危うい雰囲気を生み出しています。

 

ここだけ読むと、赤ちゃんを中絶した、とも考えられるのですが、続く歌詞に"僕の呪文も効かなかった"、とあるので、つまりは赤ちゃんに何らかの問題が生じて、命の危機にさらされてしまった中で、それでも僕は赤ちゃんの無事を祈った、と考えられます。

 

他の部分には"殺してしまえばいいとも 思ったけれど"という恐ろしい歌詞もあり、中絶することを悩んだ、もしくは、延命措置を止めることを悩んだ、と捉えることができそうです。

 

そして、"夏の魔物に会いたかった"という主題となる歌詞…幼い二人は、自分たちにできた子どもに、会いたかったんですよね。でも、それは何らかの形で叶うことはなかった、と。

 

真偽はもちろん不明ですが、"夏の魔物"…本当にすさまじい歌詞ですよね。改めて読むと、いつもそう思います。2番のAメロの歌詞、”大粒の雨”とか”クモの巣”などという言葉が出てくるところも、不穏な雰囲気を醸し出しています。

 


■ただ、個人的な解釈としてはもうひとつあって、それは、"夏の魔物"=幼い頃の夏の思い出をまとめた総称、という解釈です。

 

排水溝の最奥にアメーバ星人なる生き物が居て、それに会うために排水溝を冒険したとか、裏山の向こうにはUFOの秘密基地があって、それを見つけに山に入っただとか、坂道の途中にある謎の小屋は実は人焼き場だとか、全部、僕の子どもの頃の思い出です。夏じゃないのもありますが笑

 

子どもの頃、僕は風邪をこじらせて入院したことがあったんですけど、詳細は省きますが、退院してすぐの時、幽霊らしきものを実際に見たことがあるんです。

 

とにかくそういう、思い出…とは言い難いですけど、結局は子どもの頃の空想や噂話などですね、そういう得体の知れないものたちを、ごちゃごちゃにまとめて、"夏の魔物"と表現していると思ったりしてます。

 

僕は、【夏の魔物】の歌詞を読むと、何故か子どもの頃を懐かしく思い出すんですけど、それはきっと上述のような解釈を持っているからですね。