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スピッツ大学

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64時限目:死神の岬へ

【死神の岬へ】

 

■アルバム『スピッツ』に収録されている曲です。これこそ、初期の曲!って感じがする曲です。そしてこの曲は、作詞は草野さんですが、作曲は三輪さんなんですね、珍しいです。

 

個人的ランキング、195曲中96位でした。割と、高評価だと思います。

 

タイトルに”死神”なんて、物騒な言葉が付いている割には、なんかピクニックにでも行くような、そんな楽しそうなテンポで歌がはじまり、続いていきます。こういうギャップが面白いですよね、特に初期の頃なんかは、楽しそうでも、実はさらっととんでもないことを歌っているような、そんな歌がよくありますね。

 


■曲の感想・解釈ですが、歌詞を追いつつ、この歌の解釈を行っていきたいと思います。

 


まず、最初の部分から。

 


愛と希望に満たされて 誰もかもすごく疲れた
そしてここにいる二人は 穴の底で息だけしていた

 

まず、”誰もかも”っていう表現があるんですね、あんまり使わないと思うんですけど、初めて知りました。”何もかも”はありますが…。”誰もかも”の意味は、そのまま、誰もが、といったところでしょうか。

 

ここの歌詞から、何となく生きづらい状況にある2人の姿が浮かんできます。”愛と希望に満たされて”とはじまりますが、2人はその逆、愛にも希望にも見放されてしまっているのでしょう。

 



古くてタイヤもすりへった 小さな車ででかけた
死神が遊ぶ岬を 目ざして日が昇る頃でかけた

 

こんな歌詞へと続いていきます。ここで、”死神が遊ぶ岬”というフレーズが出てきます。

 

”死神”とは、言葉の通り、死を司る神様です。”死神”が遊ぶ岬というのは、おそらく、自殺の名所と考えることができそうです。死神が手招きをするように、人々を死へといざない、自殺者が絶えない場所、というイメージです。”岬”となっているので、切り立った崖のような場所が思い浮かびます。例えば、日本だったら有名どころだと、東尋坊などがありますかね…。

 

で、その”死神の遊ぶ岬”へと2人で出かけた、とあるので、やっぱり目的は、自殺(飛び降りて、心中自殺する)だと考えることが自然だと思います。出だしで、2人が生きづらい状況にあることを察しましたが、それを苦に、自殺の計画を立てたのでしょう。

 


こういう流れで、2人は自殺をした…のでしょうか?

 


■しかし、終わりに、こんな歌詞が出てきます。

 


そこで二人は見た
風に揺れる稲穂を見た
朽ち果てた廃屋を見た
いくつもの抜け道を見た

 

年老いたノラ犬を見た
ガードレールのキズを見た
消えていく街灯を見た
いくつもの抜け道を見た

 

ここは、”死神の岬”に行く途中、または、”死神の岬”に着いてから、二人は色んなものを見た、その見たものリストとでも言いましょうか、笑。

 

色々考えることができそうなんですが、一番キーになるのは、やはり”いくつもの抜け道を見た”というフレーズです。

 

この”抜け道”という言葉は、”生きづらい人生を、それでも生きていくための抜け道”と解釈しました。人生は一本道ではない、ある時自分が歩いている道が行き詰ってしまって、歩く道が無くなっても、どこかにきっと”抜け道”、つまり新しい道がきっとある、ということです。その道を、また気持ち新たに歩いていけばいいのです、そうやって人は生きているのです。

 

何がヒントになったのかは分かりませんが、この2人もきっと、そんな抜け道を見つけることができたのでしょう。つまりは、抜け道を見つけたことで、自殺を思い留まることができたと、そういうことを言っているのだと思います。

 


■という具合に、僕は2人の生存ルートを解釈としましたが…というより、願わくば、生存ルートであってほしいですが、やはり、”抜け道”という言葉の解釈には迷うところであります。

 

”抜け道”を、”生きることからの抜け道”と訳してしまうと、そのまま生きていくことから抜け出す道、ということになり、やっぱりこの2人は自殺を決行した、ということになります。

 


果たして、2人は生きることを選んだのでしょうか、それともやっぱり死を選んだのでしょうか。いずれにせよ、草野さんの詩のテーマでもあります「死とセックス」、つまり人の死と生、それらの狭間を歌った、重要な歌だと思います。