スピッツ大学

ステイホームしながら通える大学です!

スピッツ大学へようこそ!

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スピッツ大学へようこそ!

現在は、そんなに積極的には更新はしておりませんが、主に過去の記事を楽しんでいただければ幸いです。

 

 

今のところ、今一番新しい記事たちです↓

 

アルバム『ひみつスタジオ』の収録曲を少しずつ書いていきます。更新は、割と遅め&不定期です。目標は週1以上ですが…。

itukamitaniji.hatenablog.com

 

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 全30回

itukamitaniji.hatenablog.com

 

 

スピッツ大学 沿革(2021年更新)

https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/1000/01/01/000000

 


スピッツ大学 学長紹介(2021年更新)

https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2016/06/20/215848

 


スピッツ全曲研究セミナー

https://itukamitaniji.hatenablog.com/archive/category/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%84%E5%85%A8%E6%9B%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC

 


スピッツ全アルバム研究セミナー

https://itukamitaniji.hatenablog.com/archive/category/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%84%E5%85%A8%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC

 


スピッツ大学校歌

https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/1000/01/04/000000

260時限目:讃歌

ひみつスタジオ (初回限定盤)(SHM-CD+DVD)

 

讃歌

讃歌

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【讃歌】

 

■アルバム『ひみつスタジオ』の12曲目に収録されています。

 

アルバム全体についての記事は、また書こうと思っているのですが、アルバム『ひみつスタジオ』は、色んな聴き方ができるというか…収録曲の”路線”として、いくつかの流れが混在しているような気がします。

 

その一つの流れとしては、やはりこのコロナ禍によって変容してしまった世の中や生活の常識に対しての憂いだったり、そしてそこから少しずつ脱却していく世の中…みたいな、そういう時代の移り変わりを歌っている流れがあるかと思います(後者の方が強いんですかね)。

 

そういうことを考えながらアルバムを聴いている節が僕自身強いのですが、その軸となる曲が、1曲目の【i-O(修理のうた)】と、今回紹介する12曲目の【讃歌】であると、個人的には思っています。

 

1曲目に【i-O(修理のうた)】が入っていて、まぁ1曲目だからこそ、正真正銘このアルバムとの出会いとして、最初に聴いた曲だったのですが、もう最初に出会った頃から、アルバム曲の中ではこの曲がダントツで好きなんです。

 

そして、12曲目の【讃歌】…まぁ13曲目に【めぐりめぐって】という曲は入っているのですが、それはそれで別路線として考えて…最初の曲である【i-O(修理のうた)】と最後の【讃歌】が、アルバムに一つの軸を通しているというか、本で言うと、表表紙と裏表紙でパッケージしているような感じがするのです。

 


■まず、この2曲は曲調の雰囲気が似てるんですよね。

 

【i-O(修理のうた)】の方は、オルガンの音が何となく神々しさを感じさせますが、一方の【讃歌】の方も、バックで歌われているコーラスの影響もあってか、教会で歌われている聖歌のような、こちらも神々しさを感じる歌になっています。

 

バラード調で物静かな曲だなと思って聴いていたら、ダイナミックというかドラマチックというか、壮大に世界観が広がっていくような…先述の神々しさと多少無理やりつなげて言うならば、この俗世から魂が浄化されて、天に昇っていくような、特に【讃歌】の方はそんな雰囲気を感じます。

 

”讃歌”という言葉に似たものとして、”讃美歌”という言葉がありますが、”讃美歌”というと、wikipediaをそのまま引用させていただくと、「キリスト教(特にプロテスタント教会)において、礼拝や集会等で歌われる、神をたたえる歌」だそうです。たたえるものが、神と明確に決まっているようです。

 

一方の”讃歌”というと、”〇〇讃歌”という風な感じで、何かを讃える歌になりますかね。”生命讃歌”とか”青春讃歌”とか、”結婚讃歌”、”人生讃歌”など…そういえば、BUMP OF CHICKENには【東京賛歌】という曲がありましたが…要は何でもアリなんですかね笑

 

だから、タイトルを”讃歌”としながら、曲調としては”讃美歌”を意識して作られているんですかね。その辺りは、詳しくないから分かりませんが…。

 


■そして、歌われている内容の方も、2曲とも似たような感じです。

 

説明が難しいのですが…どちらの曲も同じ場面を歌っているが、その場面を違う視点から見ている、という印象です。

 

【i-O(修理のうた)】で歌われていることは、もうすでに記事を書いているので、そちらで詳しく述べていますが、要するに…

 

”i-O”とはアルバムジャケットに載っているロボットのことで、歌の内容としては、このi-Oくんが”故障”してしまったので、それを”修理”するという風に読むことができます。

 

ただし、このi-Oくんはロボットの姿をしていますが、実際は心が病んでしまった人間やその心を、あるいはさらに広く、例えばこのコロナ禍によって変容してしまった世の中そのものを象徴していると考えるとすると、i-Oくんを修理するという行為自体が、そのまま病んだ心や世の中を元通りにしていく、ということを表しているのではないか…

 

みたいなことを、個人的な考察として書きました。

 


■それを踏まえて、【讃歌】の歌詞を読んでみると、例えば、出だしの部分、

 


枯れてしまいそうな根の先に 柔らかい水を染み込ませて
「生きよう」と真顔で囁いて
ライフが少しずつ戻るまで 無駄な でも愛すべき昔の話
聞かせてくれた日から

 

僕がここの部分を読んで思い浮かべたのは、病室のベットで眠っている人と、その人に懸命に声をかけている人の姿でした。

 

”枯れてしまいそうな根”に”水を染み込ませる”という表現は、かなり痛々しい感じはしますが、尽きてしまいそうなギリギリの状態の命にも、あきらめずに”生きよう”と必死に声をかけて、励ましている人の姿が思い浮かびます。

 

そこから、”ライフが少しずつ戻るまで”という言葉が、カタカナが入っているからかやけに他の部分から浮いて見えるんですけど、例えばi-Oくんを充電している場面が思い浮かび(ライフが戻る=携帯電話を充電するみたいに電池残量が増えていく、みたいな?)、【i-O(修理のうた)】で歌われている状況に通じるものがあります。

 

そして、i-Oくんが病んだ心や世の中を象徴しているものだとするならば、そういうもののそばに寄り添い、声をかけて励ましているという感じが繋がっていると感じました。

 


■2番の歌詞では、

 


勇気が誰かに利用されたり 無垢な言葉で落ち込んだり
弱い魂と刷り込まれ

 

ここら辺は、心が病んだ原因を表わしているのでしょうか。

 

”勇気が誰かに利用された”…せっかく振り絞った勇気が、無駄に終わったことを表しているのでしょうか。自分の頑張りが誰かに踏みにじられたり、言葉通り受け取るならば、その頑張りを横取りされたり、意図しない方向へ使われるなど、そういう不当な状況を思い浮かべました。

 

”無垢な言葉で落ち込んだ”…個人的に思い浮かべたのは、SNSなどでの誹謗中傷などでした。無垢な言葉とは、要は何にも考えずに人を傷つけてしまうような言葉、というものが思い浮かびました。このSNS時代ならではの、同調圧力に紛れた、匿名で投げかけられる言葉みたいな感じですかね。

 


■ただ、そこから続きの歌詞を載せていくと、

 


だけどやがて変わり行くこと 新しい 歌で洗い流す
すべて迷いは消えたから

 

雪の中で 熱の中で 失わずに 目を開いてる
君のそばに いられるなら

 

先述の、心が病んでしまった原因と思われるような部分の歌詞の続きですが、冒頭の”だけど”という言葉で、曲の最後に向けて想いが変化していく場面を表しています。

 

先程までのマイナスな言葉から一変、"新しい歌で洗い流す"と、気持ちを切り替えるような描写だったり、"すべて迷いは消えたから"と、どこか吹っ切れたような強い言葉も続いています。

 

そして、"雪の中で 熱の中で 失わずに 目を開いてる"という言葉…冒頭では、"枯れてしまいそうな根"と表現されていたところから、依然として"雪の中"や"熱の中"などの厳しい状態に置かれてはいますが、"失わずに 目を開いてる"と、諦めずに生きようとしている姿が浮かびます。

 

続く歌詞が、"君のそばに いられるなら"ですから、そばに寄り添い、声をかけてくれていた"君"の気持ちに応えるようにと、もとい、"君"の気持ちがi-Oくんの力になっていることが歌われています。

 


■【i-O(修理のうた)】は、i-Oくんを修理しつつも、どちらかというとどこかコミカルに、i-Oくんと"君"の関係を描いていて、プロローグ的に、二人の関係を微笑ましく感じる部分もありました。

 

一方の【讃歌】の方は、同じような場面でも、特にi-Oくんの心情にもっと迫っている感じですかね。冒頭の歌詞とか、2番の心が病んでしまった原因と思われるような歌詞など…ザワザワさせられる、ちょっと苦しくなるような歌詞も多いのですが、最後に向かって、讃美歌のようなコーラスとも相まって、光や希望を感じるような展開になっているような気がします。

 

このアルバムの大きなテーマにもなっているようにも思える、コロナ禍によって変わって言った世の中が元通りになっていく感じ…2曲で紡がれるi-Oくんと”君”のストーリーには、そういうものが託されているのでしょうか。

259時限目:ときめきpart1

ひみつスタジオ (初回限定盤)(SHM-CD+DVD)

 

ときめきpart1

ときめきpart1

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【ときめきpart1】

 

■アルバム『ひみつスタジオ』の11曲目に収録されている曲です。

 

【ときめきpart1】は、同名の漫画が原作である、映画「水は海に向かって流れる」の主題歌になっている曲です。

 

youtu.be

 

改めて考えてみると、アルバム『ひみつスタジオ』には、映画の主題歌が3曲も入っているんですね。ちなみに他の2曲は、【大好物】が映画「劇場版『きのう何食べた?』」の主題歌、【美しい鰭】が映画「劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』」の主題歌になっています。3曲も映画主題歌が入っているアルバムは、初めて?part1?

 


■映画「水は海に向かって流れる」の主演は、広瀬すずさんです。ということで振り返ってみますと、広瀬すず関連のスピッツ主題歌と言えば、

 

連続テレビ小説なつぞら」では【優しいあの子】
映画「先生! 、、、好きになってもいいですか?」では【歌ウサギ】
あとはロッテガーナ(チョコレート)のCMで【春の歌】

 

など…他にもあるのでしょうか、分かりませんが…とにかく、これまでにも多くのスピッツ×広瀬すずがあったことが分かると思いますが、今回の作品でもそのタッグが実現しています。

 


■今回の主題歌【ときめきpart1】について、広瀬すずさんがコメントをしていますので、引用させていただきます。

 

広瀬すずさんのコメント>

映画が完成した最初の試写でスピッツさんの主題歌を初めて聞いて、嬉しく、ご縁があるなと思いました。
映画を観たすぐ後でしたので、榊さんの気持ちと曲がとてもリンクしました。

 

大人なんだけど大人じゃない。
子供なんだけど子供でもない。
絶妙なポジションにいる榊さんの中の、からまった糸がほぐれていくような印象を受けました。
榊さんへ「もっとフラットに生きていいんだよ」と言って頂いているようでした。

 

この曲はpart2があるのでしょうか…?(笑)

 

このコメント、めっちゃ好きなんですよね。どこがって言うと、最後の部分…”この曲はpart2があるのでしょうか…?(笑)”というところが、何とも言えないですよね笑。

 

すずさん、こういうことをするバンドなんですスピッツは!やっぱり思う人は思いますよね。part1って何だよ!?part2やpart3があるのかよ!ってね。

 

でも、以前には【三日月ロック その3】というものがありましてね…”その1”と”その2”をスルーされ、いきなり”その3”をぶっこんできた時のもどかしさに比べると、今回は”part1”なので、まだ考察はしやすいので平静は保てます。

 

(※ちなみに、【三日月ロック その3】の”その3”については、似たようなテイストで”その1”と”その2”はあるらしいけど、お蔵入りになっているとかいないとか…)

 


■一方で、草野さんもこの映画に主題歌を提供したことに際してコメントを寄せています。

 

草野マサムネスピッツ)のコメント>

世の中ポジティブシンキングだけでは乗り切れないよなぁ、そんなことを考えさせられる、心に残るというより“心に引っかかる”お話です。
それでもやっぱり障壁を乗り越えて、出会いの「ときめき」を大事にしたい。なのであえてポジティブな曲を作ってみました。
元気なイメージの広瀬すずさんが今回は翳りのある役というのも楽しみです。

 

僕は、漫画も映画も見たわけではないのであらすじをざっと見たのですが、かなり一筋縄ではいかない物語という印象です。ネタバレにならない程度に、ざっくり言うと…

 

高校への通学のために、高校生の直達はOLの榊さんが暮らすシェアハウスで一緒に暮らし始めるのですが、2人の過去にはある因縁があったようです。そんな中でも、直達の方は榊さんに淡い想いを抱きつつ、2人は過去の因縁にも向き合っていくという…”恋愛”と”過去の因縁へ向き合っていくこと”が物語の柱になっているような物語のようです。

 

この映画の中で、榊さんを演じたのが広瀬すずさんのようなのですが、あらすじの通り、榊さんには”翳り”(かげり)というか、一筋縄ではいかないようなちょっとした”秘密”があって、そのことも意識しつつ、それでも高校生の直達との出会いによって、気持ちが変化していったという様子を、草野さんは歌にしたのだろうことを読み取ることができます。

 


■という風に、上述のことを思いながら歌詞を読んでいくと、割と素直に内容をなぞることができます。例えば、出だしの歌詞

 


会うたびに苦しくて でもまた会いたくなるよ
ラクリはわかってんだ 素直になれないだけさ

 

まぁ、ここの歌詞だけ読むと、榊さんの心情でも直達の心情でも、どちらでも成り立つような気はしますが、続く歌詞を読むと、

 


泥まみれ 君が投げたボール 素手で受け止めて

 

という風になっているのですが、何より”泥まみれ”という言葉からは、不器用で無邪気な感じを受け取ることができ、どちらかというと、やはり直達の純粋な気持ちを表していると捉えられるので、”君”という言葉には、直達が当てはまりそうです。

 

そして、”君が投げたボール”という言葉については、【運命の人】の歌詞を思い出しました。

 


晴れて望み通り投げたボールが 向こう岸に届いた
いつも もらいあくびした後で 涙目 茜空

 

両曲とも、相手へ自分の気持ちを届けることを、”ボール”を投げることに例えているという印象です。そこに、【ときめきpart1】では、先述しましたが”泥まみれ”という言葉がくっついている通り、不器用でも一生懸命に、自分の気持ちを榊さんに伝えようとしてる、若き直達の姿が浮かび上がってきます。

 

そして、”素手で受け止めて”というところも、また良い表現ですよね。”泥まみれ”になっても懸命に伝えようと頑張っている直達の気持ちを、榊さんは”素手で”…つまり、心を開いてありのまま受け止めようとしていることが読み取れます。

 


■一方、2番の歌詞では、

 


嫌われるのはヤだな いつしか無口になって
誰も気に留めないような 隙間にじっと隠れてた

 

この辺りは、榊さんがこれまで、過去の因縁に縛られて苦しんでいたことがうかがえる表現ですね。ただし、続く歌詞でも、

 


だけど恋して 後悔は少しもない 光を感じた

 

とあるように(でもどうなんですかね、榊さんはちゃんと直達に恋心を抱いたんですかね?)、直達との出会いによって、榊さんの気持ちが変わっていったことを読み取ることができます。

 


■そして、サビの歌詞、

 


ときめいてる 初めて? 怖いくらい
幸せはいつだって 届かないものだと
塗りつぶした小さい夢を ちゃんと描くため
白いページ わくわく開いてく

 

そもそも、”ときめき”という言葉がまたにくい表現なんですよね。心が躍るような、キラッと光っているような、恋愛などでもたらされる気持ちの変化を”ときめき”という言葉で表現しています。

 

そして、タイトルの【ときめきpart1】の”part1”については、”ときめいてる 初めて?”という表現がある通り、そのままこの”ときめき”が初めてであることを指して”part1”としているのだと思われます。

 

果たして、”part2”や”part3”はあるのでしょうか…まぁ、2人が付き合うことになるのであれば、一緒に過ごしていく時間が長くなれば、またこれから何度もときめくんじゃないでしょうかね?それは、2人のみが知るまた別のお話ということで…。

 

youtu.be

スピッツ大学学長が今の気分で本気で選んだ  ”割と最近”のスピッツで好きな曲BEST36

 

 

■おはこんばんちは、学長のitukamitanijiです。

 

とても暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?今年2023年の夏は、もうほとんどコロナ禍も抜け、以前の従来通りの休みの過ごし方をされている方も多いのではないでしょうか。

 

ただ、リアルタイムでこのお盆は台風直撃で大変でしたね。僕が暮らしている広島では、今回はそこまで影響はなかったのですが、各地で被害が出ているようで…ただただ皆さんのご無事を祈るばかりです。

 


■さて、早速本題に入ります。タイトルの通りですが、ずばり今回の記事では、

 

スピッツ結成36周年記念
スピッツ大学学長が今の気分で本気で選んだ
”割と最近”のスピッツで好きな曲BEST36

 

をお届けします。

 


まず、ここでいう”割と最近”についてですが、以前スピッツ大学ではランキング企画を行ったことがあるのですけど、その時の対象曲としては、インディーズ曲とカバー曲を除いて、デビュー~アルバム『小さな生き物』(シングル曲【雪風】は含める)までの、全ての発表曲とさせていただきました。

 

そこで、今回はそれ以降に発表された楽曲に絞って、結成36周年にちなんで、好きな曲を36曲選び、ランキングにして発表しようという内容でございます。

 

よって、今回の対象曲は、

 

〇アルバム『醒めない』収録曲
〇アルバム『CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection』に収録されている新曲【ヘビーメロウ】【歌ウサギ】【1987→】
〇アルバム『見っけ』収録曲
〇アルバム『花鳥風月+』に収録されている初出曲【353号線のうた】【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】(※バージョンが違うだけの曲は除きました)
〇アルバム『ひみつスタジオ』収録曲
〇42ndシングル カップリング曲【悪役】
〇43rdシングル曲【猫ちぐら
〇46thシングル カップリング曲【祈りはきっと】【アケホノ】

 

となります。全48曲が対象で、ここから36曲を絞りランキングを作りました。全然最近じゃないじゃん!というお声があるかもしれませんが、どうかご了承ください。すっかりおじさんなので(?)、アルバム『醒めない』は自分にとってまだ”割と最近”なんですよね笑

 

でも、ここでいう”割と最近”の曲を、リアルタイムで最近よく聴いていて、”割と最近”の曲の良さを改めて実感しています。それでも、ランキングを作ること自体が野暮なことであるかもしれませんが、まぁ余興だと思っていただいて、「あー分かる分かる!」「えーこの曲こんなに低いの!?何で!プンプン!」と、軽い気持ちで楽しんで頂けると幸いです。

 


かなり時間がかかりました…何なら、この記事を作りながら、ちょっとした旅行を挟んでますからね、部分的に旅先で書いたりしてます。なるべく短く…と思ってはいたのですが、全然短くならないのがスピッツ大学…グダグダと長くなっているので、適当につまんで読んでいただけたら幸いです。

 

では、参ります!!!

 

***

 

 


第36位 手鞠

 

手鞠

手鞠

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明るい曲調とかわいらしいタイトルの一方で、ところどころ毒っ気のあるような歌詞がちりばめられていて、そのギャップにドキッとする曲です。

 

が、アルバム『ひみつスタジオ』の収録曲では他の曲の方が印象に残っているので、手鞠さんファンの方には、この順位で申し訳ありません!

 

 

 

第35位 めぐりめぐって

 

めぐりめぐって

めぐりめぐって

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アルバム『ひみつスタジオ』のトリを飾る曲ですが、実際は「ヘーイ!スピッツのライヴへようこそー!」って感じで、1曲目の感じで作った曲だそうです。かなりロックな曲で、この曲が最後にあることで気持ちよくアルバムが終わります。

 

ちなみに、アルバム『ひみつスタジオ』には表題曲がないのですが、この曲の歌詞の中で、

 


秘密のスタジオで じっくり作ったお楽しみ
予想通りにいかないけど それでもっとワクワク

 

という風に、"秘密のスタジオ"という言葉が出てくるので、このアルバムを象徴している曲であると言えるかもしれませんね。

 

 

 

第34位 ヒビスクス

 

ヒビスクス

ヒビスクス

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ヒビスクス=ハイビスカスという意味です。何かに追い立てられる感じの、クライマックス感があるロックナンバーです。

 

個人的な解釈としては、記事を参照していただければと思うのですが、これこそ色々と想像ができそうな曲だと思います。特攻隊の歌?戦争の歌?みたいな解釈が割と広まってるんですかね。

 

 

 

第33位 353号線のうた

 

353号線のうた

353号線のうた

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元々は、インディーズ時代のとても古い曲ですが、アルバム『花鳥風月+』に未発表曲として収録されました。さすがインディーズ時代の曲、考察が難しい謎曲です。”パーパーパパーパパーパー”がやけに耳に残ります。

 

インディーズ時代の曲と言えど、【恋のうた】や【ヒバリのこころ】などと並んでこの時期の曲は、パンクロックバンドとして活動していたスピッツが、そこから今のようなギターロックバンドへと変わっていく、その境目にあるような、歴史を感じる曲群です。

 

 

 

第32位 快速

 

快速

快速

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アルバム『見っけ』収録曲です。アルバム『醒めない』でもそういう節はありましたが、特にアルバム『見っけ』には、割と今までのスピッツの音楽に、新しい試みがプラスアルファされたような曲が散見されるようになりました。

 

【快速】についても、駅でのアナウンスのようなナレーションがイントロで使われていて、それが何か近未来的に聴こえて、今までになかった新しいスピッツを感じます。

 

 

 

第31位 醒めない

 

醒めない

醒めない

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アルバム『醒めない』の表題曲です。このアルバム『醒めない』で、スピッツの結成30周年イヤーが始まった感じがして、とてもワクワクしたことを覚えています。

 

まさに、新しいスピッツのテーマソング…30周年を迎えたスピッツが、それでもまだ"醒めない"ロックに対する気持ちを、派手に高らかに宣言している、スピッツにとってもスピッツファンにとっても、重要な1曲です。

 

 


第30位 ときめきpart1

 

ときめきpart1

ときめきpart1

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映画「水は海に向かって流れる」の主題歌になった曲です。映画「先生! 、、、好きになってもいいですか?」の時といい、スピッツ×広瀬すずって、何か縁がありますね(そういう狙いとしか思えませんが…)。もう広瀬すず主演で、スピッツMVを作れば良いのに。

 

にしても、結成36周年を迎えたスピッツですが…何とまだ、こんなに瑞々しい曲を作るなんて、いつまでも若いバンドだなぁとつくづく実感させられるばかりです。

 

 

 

第29位 死にもの狂いのカゲロウを見ていた

 

死にもの狂いのカゲロウを見ていた

死にもの狂いのカゲロウを見ていた

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まず、タイトルのクセがすごいんじゃ!これぞまさに、スピッツインディーズという感じの曲ですね。

 

特に、スピッツの初期の頃の曲は、”セックスと死”というテーマが色濃くありましたが、1stアルバム『スピッツ』に通じる、まさにそういうマニアックな世界観を感じる曲です。

 

 

 

第28位 ありがとさん

 

ありがとさん

ありがとさん

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アルバム『見っけ』収録曲の中であれば、確か発売前にいち早く聴けた曲でした。僕はこの曲を、ラジオで聴いた記憶があります。

 

歌われている内容は、”亡くなった人”が”残された人”への気持ちを歌っているという設定の曲だそうです。ドスの効いたベースと、鍵盤の音が印象に残る曲です。

 

 

 

第27位 子グマ!子グマ!

 

子グマ!子グマ!

子グマ!子グマ!

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親元を離れる子どもか、恋人同士の別れか、友人同士の別れか、色々と想像はできると思いますが、旅立ちの場面に際して、

 


子グマ!子グマ!荒野の子グマ
おいでおいでするやつ 構わず走れ
子グマ!子グマ!逃げろよ子グマ
暗闇抜けて もう少しだ

 

と、スピッツメンバーや亀田さん、Czecho No Republicチェコ・ノー・リパブリック)というバンドのタカハシマイさんらが、みんなでシンガロングして、旅立つ子グマのジャッキーを応援している、なんとも微笑ましい曲です。

 

 

 

第26位 見っけ

 

見っけ

見っけ

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2枚のアルバム『小さな生き物』『醒めない』は、東日本大震災の影響を感じる部分が多くあり、災害によって人々が負った悲しみに寄り添うことだったり、そこからの復興などをテーマとして、"死と再生"の物語を歌ったアルバムでした。

 

そこを乗り越えて、次のアルバム『見っけ』では、また新たな扉を開けたような、今までのスピッツとは少し違うような曲も多く入っていました。

 

それを象徴するように、表題曲である1曲目【見っけ】は、新しい扉を開けて、その入り口へと迎え入れてくれるような、キラキラした派手な曲です。この曲で”再会”という言葉が使われていたのも、印象に残りました。

 

 

 

第25位 初夏の日

 

初夏の日

初夏の日

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アルバム『見っけ』に収録されている曲ですが、実際は2005年あたりでもうすでに、ライヴで披露されていた古い曲です。”京都”という地名が出てくる通り、京都公演のライヴで演奏されていたそうです。

 

古い曲であることと、ゆったりとした草野さんの弾き語りを基調とした曲なだけあって、何か過去にタイムスリップしたような気持ちになる曲です。

 

 

 

第24位 ナサケモノ

 

ナサケモノ

ナサケモノ

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情けない獣を略して、”ナサケモノ”なのでしょうか。ペットと飼い主の関係のようにも読めるし、またはアッシー君が頑張っているようにも読むことができます。

 

何か、ずっとおもちゃをガチャガチャ遊んでいるような音が入っていて、これも一つの新しいスピッツの音楽の形っていう気がしました。

 

 

 

第23位 未来未来

 

未来未来

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ハードロックな感じでイントロが始まった…かと思いきや、「ハァアアア~~~~~~~」という女性の声に、最初はちょっと笑ってしまいました。

 

この声の主は、朝倉さやさんという民謡の歌い手の方で、何でも民謡の日本一にも輝いたことがあるのだとか。ちなみに、自身のYouTubeチャンネルでは、スピッツの曲を民謡風にカバーして歌っている動画がいくつか見ることができます。

 

歌詞の内容は、(草野さんにしては珍しく?)刺激的なことを歌っているなという印象です。「おいおい、今の世の中大丈夫か!?」「おいおい、あなたの人生それで大丈夫か!?」と、警鐘を鳴らしているように、個人的には思いました。

 

 


第22位 ブチ

 

ブチ

ブチ

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曲名になっている”ブチ(模様)”とは、普通は犬とか猫とかの動物の身体的特徴として使われる言葉だと思うのですが、この曲ではおそらく、身体的な特徴も含めて、人間の個性やクセに対して”ブチ”と表現されているのだと思います。

 

そういう個性やクセがあるから/あっても、君は君なんだよと、それで良いんだよと、草野節満載で背中を押している曲なんだと思います。

 

 

 

第21位 歌ウサギ

 

歌ウサギ

歌ウサギ

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【ときめきpart1】に続き、広瀬すずさん主演の映画「先生! 、、、好きになってもいいですか?」の主題歌になっている曲です。この曲のスペシャルショートムービーでは、映画とは別に広瀬すずさんが主演していて、これもめちゃくちゃ良いです。

 

ちなみに、僕が広島で行われた3050ライヴに行った際に、この曲が最新曲として披露されたんですけど、この曲のイントロが演奏された瞬間に、おそらく自分の後ろらへんに居たおばさんが、「ひぃっ!」と息を呑んだのが聞こえて、ちょっと面白かったです。この曲を楽しみになさっていたんでしょうね。

 

 

 

第20位 オバケのロックバンド

 

オバケのロックバンド

オバケのロックバンド

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結成36周年を迎えたスピッツですが、そんな長いバンドの歴史の中で初めて、この曲では草野さんとそれ以外のメンバー…﨑山さん、田村さん、三輪さんを含めた4人全員が、何とボーカルを務めているというサプライズに驚きました。

 

それでも最初は、コミックソング的というか、ただのお遊び的にしか聴けなかったんですけど、この曲のMVで4人が円形になって向かい合って演奏しているところを見て、ああそうか、4人はずっとこうやって一緒に活動をしてきたんだって思うと、感動に変わってきました。

 

スピッツを長く聴いてきたファンであればあるほど、この演出には驚くでしょうね。やっぱり、草野さんのボーカルは絶対的なものであるので、まさかそれ以外のメンバーがボーカルを務めるなんて…しかも、こんなに長く活動をしてきたバンドがそれをわざわざするのか!?ってね。

 

 


第19位 猫ちぐら

 

猫ちぐら

猫ちぐら

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草野さんのラジオ番組「SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記」にて、ある日突然発表された新曲【猫ちぐら】。何と、メンバーが直接会うことなく、リモートでデータをやり取りして、演奏などを繋げて作られた新曲であるようです。素人の自分からしてみると…そんなことできるの!?って感じですけど、それでも、ちゃんとスピッツの曲になっているのは驚きです。

 

そういう曲が作られた背景があったり、コロナ禍に行われたスピッツのライヴの名前にも”猫ちぐらの夕べ”という風に使われていたりと、まさにコロナ禍のスピッツの活動を象徴した1曲であると言えます。

 

ちなみに、アルバム『ひみつスタジオ』には、この【猫ちぐら】が収録されていないので、今の所は配信シングルとして、この曲を単独で聴く方法しかありません(よね?)

 

 

 

第18位 こんにちは

 

こんにちは

こんにちは

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この曲が、アルバム『醒めない』の最後に入っていることに、とても大きな意味があるのだと思っています。

 

2枚のアルバム『小さな生き物』『醒めない』は、いわゆる”死と再生”の物語を歌っているような内容になっているのですが、そのラストを締めくくる【こんにちは】は、どこか懐かしいパンクロックっぽい曲ですが、歌われている内容が”再会”を表わしているので、長く続いた物語が、ここでようやく報われたという感じがして、とても感慨深いものがあります。

 

 

 

第17位 花と虫

 

花と虫

花と虫

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【優しいあの子】が朝ドラの主題歌に選ばれたという背景がありますが、どうやらこの【花と虫】の方が、それ以前に朝ドラを意識して作られた曲だったようです。

 

そういうわけで、僕は【優しいあの子】と【花と虫】を、セットで姉妹ソングとして聴いています。それぞれがそれぞれのアンサーソングになっているような感じです。

 

ちなみに、【優しいあの子】はランキング外でした、すみません…個人的には、【花と虫】派です!

 

 

 

第16位 グリーン

 

グリーン

グリーン

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アルバム『醒めない』は、”モニャモニャ”(ジャケットに映っている、ネバーエンディングストーリーのファルコンのような生き物)の成長の物語ともとれるかと思いますが、この【グリーン】では、そのモニャモニャが緑いっぱいの大地を、自由に駆け回っているイメージですね。

 

そしてそれは同時に、”死と再生”の物語でいうと”再生”のイメージであり、明るく希望を感じる曲です。

 

 

 

第15位 大好物

 

大好物

大好物

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youtu.be

 

映画『劇場版「きのう何食べた?」』の主題歌となった曲です。こう考えてみると、アルバム『ひみつスタジオ』には、映画の主題歌になった曲が、3曲も入っているんですね。

 

【大好物】も、これまであったようで意外とないような曲ですよね。説明が難しいですけど、これもスピッツの音楽の新しい形であると言えるかもしれません。配信になった当初、その頃の通勤はバスと電車だったんですけど、朝にこの曲を聴きながら出勤して、気持ちを上げていました。

 

 

 

第14位 讃歌

 

讃歌

讃歌

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これはまたいつか、アルバム全体の紹介の記事を書くと思うんですけど、個人的にアルバム『ひみつスタジオ』では、1曲目【i-O(修理のうた)】と、12曲目【讃歌】で歌われていることが軸であるとして、アルバム全体を聴いています。

 

いわゆる、コロナ禍によって変わっていた世の中や、そこからまた少しずつ脱却していく世の中について、思いを馳せることは自分にとって自然なことでした。そういう意味では、1曲目に【i-O(修理のうた)】と12曲目に【讃歌】が入っているあたり、本でいうところの表表紙と裏表紙のように、この作品に1本の軸が通るように感じています。

 

 

 

第13位 ハチの針

 

ハチの針

ハチの針

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先程も紹介したとおり、アルバム『醒めない』は、”モニャモニャ成長記”と捉えることができそうですが、ともすると個人的にこの【ハチの針】は、”モニャモニャ大人になる!の巻”みたいな内容を当てはめています。

 

まぁ、そういう個人的な考察はさておき…曲調としては、かなりハードロックという感じ、ベースの音とかすごいゴリゴリしてて、めっちゃかっこいい曲です。

 

 


第12位 アケホノ

 

アケホノ

アケホノ

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シングル『美しい鰭』のカップリング曲なのですが、その後に発売になったアルバム『ひみつスタジオ』には入っていないので、今のところは、シングルのカップリング曲としてしか聴くことができない特別な曲です。

 

シングルには、表題曲の【美しい鰭】をはじめ、カップリング曲として【祈りはきっと】【アケホノ】の3曲が収録されているのですが、ダントツで【アケホノ】が好きです。

 

詳しくは、スピッツ大学の記事を参照していただければと思うのですが、この歌で歌われているのは、例えば、盟友への熱い気持ち…本当に長期に渡って、色々な苦労や困難を共に乗り越えてきた盟友だからこそ、分かち合える熱い気持ちを歌っている、いぶし銀な歌です。超熱い!

 

 

 

第11位 ラジオデイズ

 

ラジオデイズ

ラジオデイズ

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スピッツメンバー、特に草野さんがロックに目覚めたきっかけのひとつとして、”ラジオ”というものがあったということを歌っている曲です。

 

この記事でも何度も出てきていると思うですが、アルバム『見っけ』には、個人的に”はぐれ狼クロニクル”と呼んでいる、草野さん・スピッツメンバーがロックに目覚め、スピッツとして共に活動をしてきた物語を語っているような曲群があるのですが、とするとこの曲は、その入り口の曲であるといえるかもしれません。

 

 

 

第10位 跳べ

 

跳べ

跳べ

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アルバム『ひみつスタジオ』の中であれば、これぞスピッツロックというのが一番似合う曲だと個人的には思います。【i-O(修理のうた)】で、ゆったりとアルバムが始まって、続く【跳べ】のぶち上がりが気持ちいいです。

 

この曲こそ、コロナ禍からの脱却を歌ったような曲です。”己の物語をこれから始めよう”という風に、コロナ禍の影響で長く止まっていた時計の針を再び動かし始めよう!と、力強く歌われています。

 

 

 

第9位 悪役

 

悪役

悪役

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第12位の【アケホノ】と同様、シングル『優しいあの子』のカップリング曲であり、未だにアルバムに収録されていないので、この曲もまだシングルのカップリング曲としてしか聴くことができません。

 

【優しいあの子】が朝ドラの主題歌に選ばれ、それはとても喜ばしいことではありましたが、実際に曲を聴いたとき、もちろん良い曲ではあったのですが…正直物足りませんでした。

 

そこで、カップリングの【悪役】ですよ!「来たー!!!これだよ、これこれ!」と、飛び跳ねて喜びましたね!

 

とにかく、イントロからギターがめちゃくちゃかっこいいのなんの、疾走感が半端ないのなんの、そして草野さんお得意(?)の草食系男子が精一杯恋愛頑張る系の歌詞…もう完璧ですね。

 

何より、【優しいあの子】のカップリング曲のタイトルに"悪役''と名付けるあたり、スピッツやらかしてますね笑。

 

 


第8位 はぐれ狼

 

はぐれ狼

はぐれ狼

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第7位 ヤマブキ

 

ヤマブキ

ヤマブキ

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第6位 まがった僕のしっぽ

 

まがった僕のしっぽ

まがった僕のしっぽ

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第6位~第8位は、正直3曲ともセットで同じ順位という位置づけなので、バラバラにすることは難しく、あえて順位をつけるとしたら、こんな感じになりました。

 

3曲とも、アルバム『見っけ』に収録されている曲なのですが、そもそも今回の”割と最近”に含まれるオリジナルアルバム3枚の個人的な好みとして、『見っけ』>『ひみつスタジオ』>『醒めない』という感じです。

 

それで、本当はこの3曲に【花と虫】と【ラジオデイズ】を加えた5曲で、個人的に”はぐれ狼クロニクル”と呼んでいる、アルバム『見っけ』という作品の軸にもなっている物語があるんですけど、そういう意味で、この3曲を繋げてセットで聴いている節があります。

 

”はぐれ狼クロニクル”とはその実、草野さんやメンバーがロックに出会い、そのロックを一緒に追い求めていく仲間に出会い、これまで冒険してきた物語そのものであり、重要な3曲であるとして、ここに選ばせていただきました。

 

まぁ、そんなことはどうでもよくて、とにかく最新のスピッツロックといえばこんな感じ!を見事に体現した3曲です。

 

 

 

第5位 みなと

 

みなと

みなと

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この頃の曲には、まだ東日本大震災の悲しみが残っている印象を受けるのですが、だからこそ歌詞の深みを感じます。

 

しかし、そういう悲しみや切なさを、曲のタイトルを【みなと】として表現するのは、草野節と言えるでしょう。

 


船に乗るわけじゃなく だけど僕は港にいる
知らない人だらけの隙間で 立ち止まる

 

そこで暮らしている人、旅立っていく人、その旅立ちを見送る人、旅立った人の帰りをずっと待っている人…それぞれの思惑が錯綜している場所”みなと”…一気にそういう場所・場面に連れて来られ、世界観が広がっていくようなそんな曲です。

 

 

 

第4位 コメット

 

コメット

コメット

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ドラマの主題歌にもなった曲です。ピアノの旋律と、草野さんのギターボーカルと、もちろんメンバーの演奏と…それらが見事にマッチしていて、とてもきれいな曲です。

 

この曲も、【みなと】と同様に東日本大震災の影響を感じる曲なのですが、特にこの歌詞は印象に残っています。

 


見えなくなるまで 手を振り続けて
また会うための生き物に

 

ここの歌詞は、最初に聴いた時からずっと心に残っていて、今でもその意味を深く考え続けています。人の生き死にが関係しているのか、もう二度と会えない別れなのか、それともまたいつかどこかで再会するのか…そういうことをずっと考えさせらせれる歌詞です。

 

会いたい人には、別れた瞬間からもう会いたくなって(もう二度と会えないとしても)、だからこそその人に恥じないように生きないとなって、そういう大切な想いを抱かせてくれる曲だと思います。

 

 

 

第3位 i-O(修理のうた)

 

i-O(修理のうた)

i-O(修理のうた)

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アルバム『ひみつスタジオ』収録曲であれば、ダントツで好きな曲です。

 

これはいずれ、アルバム紹介で詳しく書くことになると思うのですが…アルバム『ひみつスタジオ』には、いわゆる表題曲がありません(最後の【めぐりめぐって】という曲の歌詞の中に、一応”秘密のスタジオ”という言葉が出てきますが…)。

 

表題曲のないアルバムだからこそ、リスナーがどの曲を中心に添えて聴くかによって、アルバムの雰囲気って、ガラッと変わるものだと思っています。

 

例えば【大好物】や【美しい鰭】などを中心に聴くと、新しいスピッツの雰囲気が感じられ、すごく爽やかなアルバムになる気がしますし、【オバケのロックバンド】や【めぐりめぐって】なんかを中心に聴くと一転、原点回帰的な作品になる気がします。

 

僕個人的には、【i-O(修理のうた)】(と【讃歌】)を中心に添えて聴くのがしっくりきています。やはりこの時勢的に、コロナ禍による人々の生活の変容だったり、またそこから脱却して変わりつつある、この世の中へ想いを馳せるのは、自分にとっては自然なことでした。

 

そういう目線でアルバム『ひみつスタジオ』を聴いていった時に、1曲目に【i-O(修理のうた)】を聴くと、それ以降のアルバムの全収録曲に、この【i-O(修理のうた)】がずっと見え隠れしている気がするんです。

 

まぁ、このアルバムを初めて聴いたのが車の中でしたが、一番最初に聴いた【i-O(修理のうた)】の衝撃が未だに残っているのも、ダントツでこの曲が好きな理由です。

 

 

 

第2位 1987→

 

1987→

1987→

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youtu.be

 

文句なしの大名曲です。この記事でいう、”割と最近”の曲の中では、一番古い曲群に属しているわけですが、スピッツの代名詞的な曲ですね。

 

スピッツが結成30周年を迎えたのは、もう6年前のことになるわけですが…全然色褪せないですね。僕も、スピッツのライヴに初めて参加させていただき、その記憶は今でも色濃く残っています。

 


それは今も続いてる ヒザをすりむいても
醒めたがらない僕の 妄想が尽きるまで

 

それは今も続いてる 泥にまみれても
美しすぎる君の ハートを汚してる

 

まさに、この曲で歌われていることは、スピッツの歴史、生き様そのもの。曲の随所から、スピッツの生き様が溢れてきて、感動の1曲です。

 

そして何よりもうれしいのが、6年前に30周年を迎えたスピッツが、そこからここまでずっと変わらずに続いてきたということ…もう本当にそれが一番尊くうれしいことです。これからも、スピッツがずっと続いていくことを、ただただ願うばかりです。

 

 

 

第1位 紫の夜を越えて

 

紫の夜を越えて

紫の夜を越えて

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youtu.be

 

…まぁこんなこと言うと元も子もないのですが、ベスト3の3曲の選曲や順番も、その時の気分で変わってくると思います。【1987→】という曲も、その曲の歴史的背景もあって相変わらずめちゃくちゃ強いですし、【i-O(修理のうた)】も、最近の曲という補正があるのは仕方ない部分はあります。

 

ただ、現状で1番特別な曲を選ぶ際に、迷わずまっ先に【紫の夜を越えて】が思い浮かびました。それでも、この曲に関しては、発表された当初からめっちゃ熱心に聴いていたというわけではなく、時間をかけてゆっくり聴いていく中で、この曲の良さを理解していったという感じです。

 

去年(2022年)に、2つの映像作品『スピッツ コンサート 2020 "猫ちぐらの夕べ"』『SPITZ JAMBOREE TOUR 2021 "NEW MIKKE"』が発売になり、僕も両作品ともゲットはしたのですが、映像の方はほとんど見ておらず、もっぱら付属されているライヴCDばっかり聴いています。

 

で、そこに収録されている【紫の夜を越えて】(NEW MIKKEライヴバージョン)…これを車の中で聴きながら帰るのが、特に2022年の自分の日課になっていました。

 

ライヴバージョンということもあって、イントロが2回繰り返されたり、草野さんのボーカルが違って聴こえたりして、シングルバージョンよりも、何割も増してライヴバージョンが自分にとってはめっちゃ刺さったんです。

 

仕事から帰る時は、夜の8時とか9時とかになっているんですけど、この【紫の夜を越えて】を流して運転しながら、1日の終わりに想いを馳せながら…今日はどうだったよ?と自分の心と対話しながら帰ってました。何か、労をねぎらい合える、盟友というか戦友というか、そういう感じの曲ですね。

 

この記事でいう、”割と最近”の曲の中では間違いなく1番よく聴いている曲なので、堂々の第1位とさせていただきました!

 

 

 


<…惜しくも、36位圏外だけど、まだまだ名曲揃い>

 

ヘビーメロウ
ラク
SJ
モニャモニャ
優しいあの子
ブービー
YM71D
ブランケット
美しい鰭
祈りはきっと
さびしくなかった
Sandie

258時限目:Sandie

ひみつスタジオ (初回限定盤)(SHM-CD+DVD)

 

Sandie

Sandie

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【Sandie】

 

■アルバム『ひみつスタジオ』の10曲目に収録されている曲です。

 

アルバム『ひみつスタジオ』が発売になったのが、2023年5月17日なのですが、その発売前の2022年11月に行われたファンクラブ限定ライヴ「Spitzbergen 30th Anniversary Tour "GO!GO!スカンジナビア vol.8"」にて、この【Sandie】は新曲として披露されたようです。

 


■曲名の【Sandie】についてですが、読み方は”サンディ”と読みます。この曲の由来について、ネットのJ-WAVEのインタビューで草野さんが話しています。

 


草野さん:このメロディーのアイデアとかは本当に昔から、20年くらい前からあった曲で、引っ張り出してきて。サンディ・ショーっていうイギリスの60年代に人気だったシンガーの『Tomorrow』って曲のリズムパターンに近いなって思って、「Sandie」って仮タイトルを付けて。

 

そのものずばり、サンディ・ショー(Sandie Shaw)という方の名前がそのまま曲名になっているようですね。そして、【Tomorrow】という曲も、YouTubeの公式チャンネルで聴くことができます。

 

youtu.be

 

何と言うか、僕は初めて聴くと思うのですが、何だか懐かしく思えるのはとても不思議な感覚です。個人的には、The Monkeesの【Daydream Believer】なんかがすぐに思い出させれました。

 


■曲の感じとしては、とても明るくポップな感じの曲です。イントロからピアノやラッパ(トランペット)の音が聞こえてきて、リズムとも相まって、どこか行進曲のように弾む感じが楽しい曲です。

 

ただ、このラッパの音などについては、最初にライブで行ったときにはそういうホーンの音は入っていなかったことを、先述のインタビュー記事で離されています。

 


草野さん:そのときのライブではホーンとか入ってなかったから、ホーンアレンジバージョンはこのアルバムで初めて聴いていただけてると思います。ちょっと60年代のイギリスのポップスみたいなイメージかな。

 

ライヴで披露した後に、またアレンジなどを加えて収録したのでしょうか。このアルバムの中には、ロックな曲も割と収録されているとは思うんですけど、またそれらとは違う感じのポップな曲ですよね。

 


■そして、歌詞の考察なんですけど…その前に、ここまでも何曲か紹介しているんですけど、何ていうかこのアルバムのそれぞれの曲の主人公って、”君”に救われ過ぎ感がありますよね笑

 

そもそも1曲目の【i-O(修理のうた)】から、”僕”の心が”故障”した状態を、”君”が”修理”したような描写に読めましたし、【手鞠】も【未来未来】も”君”が出てきて、その”君”との出会いにより、歌の主人公が何らか変化するような描写が読み取れます。この辺も、アルバムのテーマみたいなものになっているのでしょうか。

 

まぁ、その”君”に抱いた感情や、”君”との関係性というのは曲によって色々とあると思うんですけど…恋愛感情や、自分とは違う考え方や生き方に触れて自分が変わっていったりなど…今回の【Sandie】についてはどうでしょか。

 


というところで、【Sandie】の出だしの歌詞を見てみると、

 


初めて君に 出会った時から
僕の心は桃のようなカタチのまんまだよ

 

こんな感じで始まります。”僕”が”君”に出会ったことで、”心は桃のようなカタチ”になったということですが、”桃のようなカタチ”という言葉で思い浮かぶのは、その”桃のカタチ”を上下逆にすることで、ハートのマークが思い浮かびます。

 

というわけで、”心”がハートのカタチになった=”僕”は”君”に恋に落ちた、という表現に読むことができそうです。

 

ちなみに、そのものずばり、スピッツには【桃】という曲があるのですが(結構な人気曲です!)、この曲に関しても割と恋愛系の曲なのかなという感じですね。”桃”という言葉に、草野さんはそういうイメージを持っておられるのでしょうか。

 


で、そこから続く歌詞についてですが、

 


しがみついてた 枝を離れて
抜け道はすぐそばにあるって教えてくれたっけ

 

という感じです。先程紹介した冒頭の歌詞は、先述の通り”僕”が”君”に恋に落ちた描写に読めましたが、続くここの部分は、何て言うか恋愛にのみならず、”君”との出会いが”僕”を変えてくれた、という描写に読めます。

 


他の部分を読んでいっても、例えばサビの部分

 


違う世界があったから救われた
欲望とか悔しささえ 手に入れたし

 


違う世界を知ったから今日までも
明日からの自由な荒野も 楽しめそうさ

 

やけに”違う世界”という言葉が度々出てきて目立つのですが、それも”君”との出会いによって、自分が今まで知らなかった世界や、(恋愛)感情やそれによってもたらされる欲望や願いが叶わない悔しさなどを思い知った、と読み取ることができます。

 


■という風に読んでいくと、先程も「このアルバムのそれぞれの曲の主人公って、”君”に救われ過ぎ感」と冗談っぽく書かせていただきましたが、例えば、【手鞠】という曲、

 


可愛いね手鞠 新しい世界
弾むように踊る 君を見てる

 


かなり思ってたんと違うけど
面白き今にありついた

 

だったり、1曲目【i-O(修理のうた)】

 


愛をくれた君と 同じ荒野を歩いていくよ
ロンリーが終わる時 黄色い光に包まれながら
偽りのむこうまで

 

など、まぁ【さびしくなかった】や【未来未来】もそうですけど、”君”との出会いによって、今まで知らなかった世界や感情に触れて、”僕”が変わっていくという描写で、曲がつながっているように読めてきます。

 


■特に、【i-O(修理のうた)】において、”同じ荒野を歩いていくよ”という風に”荒野”という言葉が出てきていますが、今回の【Sandie】にも、”明日からの自由な荒野も 楽しめそうさ”と、共通して”荒野”という言葉が出てきています。

 

またアルバム全体の紹介として書くことになると思うのですが、アルバム全体を通して、1曲目の【i-O(修理のうた)】がずっと見え隠れしてる感じ…この辺が、結局アルバム全体の考察に繋がっていくのかなと感じています。

257時限目:未来未来

ひみつスタジオ (初回限定盤)(SHM-CD+DVD)

 

 

未来未来

未来未来

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【未来未来】

 

■アルバム『ひみつスタジオ』の8曲目に収録されている曲です。

 

イントロが勢いよくドラムの音から始まり、ギターの音とベースの音が加わってくるんですけど、特にベースの音なんかは重たくゴリゴリしている割には、流れるようなフレーズが印象に残ります。

 

ロックな曲ではあるんですけど、【跳べ】や【オバケのロックバンド】とはまたちょっと違う感じの、ハードロックというんでしょうか…歌詞の内容とも相まって、怪しい感じの渋いロックな曲になっています。

 


………と思いながらイントロを聴いていたら、唐突に入ってくる「ハァアアア~~~~~~~」という女性の声に驚きます。最初は、なんじゃそりゃ!と笑っちゃいました笑

 

この声の正体については、ネットのJ-WAVEのインタビュー記事などに詳しく書いていました。

 


草野さん「朝倉さやさんという民謡の歌い手さんに(ゲストボーカルを)お願いして。本物はすごかったですよ。スタジオで聴いて「うわー」って。本物だって思って」

 

草野さん「最初、いろいろサンプリングして遊んでたりしてたんですけど、自分の作ったリズムパターンに色んな音を乗っけたりして、その中の1つに民謡の声とか入れた曲もあって。(中略)民謡を入れるんだったらサンプリングじゃなくて、ちゃんと歌ってもらったほうがパワーはあるんじゃないかなって。朝倉さやさんがスピッツの曲をカバーして歌ってくれている動画とかあげてくれてたので、たぶん断らないだろうと(笑)」

 

クレジットにも書いてありますが、この「ハァアアア~~~~~~~」の声の主は、朝倉さやさんという山形県出身の女性シンガーです。民謡歌手の方で、何でも民謡の日本一に輝いたこともあるようです。

 

そして、草野さんが話している”朝倉さやさんがスピッツの曲をカバーして歌ってくれている動画”も、YouTubeにありました。

 

youtu.be

 

youtu.be

 

…すみません!失礼ながら、勝手な民謡歌手の印象として、着物をびしっと着た、貫録のある高齢の女性をイメージしていたのですが、全然でしたね。若くてかわいらしい普通の女性で、歌い始めるまでは、全くボーカルのイメージが浮かびませんでした。

 

【ロビンソン】カバーの方は、かなり民謡化しています、山形弁アレンジになっているのも面白いですね。

 

【楓】カバーの方は、どちらかというと、民謡とポップソングの融合的な感じで、きっとこういう挑戦をされている方なのだと理解することができました。

 


■ということで、この「ハァアアア~~~~~~~」に全てを持っていかれそうですが、それを抜きにしても、【未来未来】はかなり面白い曲になっています。

 

曲の雰囲気としては、【Na・de・Na・deボーイ】とか近い感じです。Aメロ部分は、【ハチの針】のCメロとかにも似てますね。

 

Aメロは、ボーカルにメロディーの抑揚はあまりなく、言葉の響きとかでリズムを取ってる感じで、ラップとは違いますが、まくしたてる感じに進んでいきます。

 

そこからBメロからサビにかけて、ボーカルがメロディック(?)になっていくのが面白いです。サビなんかは、かなり雰囲気が違って聴こえてきて、1曲の中で変わっていく曲の雰囲気が楽しい曲です。

 


■そういう、曲調の面白さというのは大いにあると思うのですが、一方の歌詞についてはどうでしょうか。

 

曲名に”未来”という言葉が使われている割には…本来”未来”は、希望や期待みたいなものを感じる言葉ではあると思うのですが、歌詞の内容は、むしろそれとは逆に、今の世の中を風刺しているような、あるいは、自虐的でネガティブなことを歌っているというような感じです。

 

どちらかというと、”未来”という言葉を使って、「おいおい、未来は大丈夫か!?世の中は大丈夫か!?」みたいな感じのことを歌っている感じですかね。結構、スピッツ・草野さんにしては、過激なことを歌っている…というか、考えさせられるようなことを投げかけている感じがしますよね。

 

例えば、まくしたてるように歌っているAメロ部分の歌詞を、抜き出して紹介してみると…

 



安全に気配って 慎重にふるまって
矛盾を指摘され 憂鬱の殻に入れば

 

何て言うか、ミスしないように頑張って取り組んだりしたことがうまくいかなくて、精神的に引きこもってしまった感じでしょうか。仕事だったり学校だったり、そういうものを頑張ってきたのに、なかなかうまくいかずに、鬱になっちゃったりしてね。そういう世の中の、生きづらさみたいなものを感じます。

 



虐げられたって 思い込んでたって
虐げていたのは こっちの方だなんてさ

 

これもなかなか考えさせられる言葉ですよね。SNSとかでも発生しそうな事案のように感じますが…絶えず色んな正義が戦っている世の中だからこそ、視点を変えて見てみると、誰が・何が正義だ敵だとは単純にはいかないって感じでしょうか。誰かにとっての正義は、別の誰かを苦しめている…みたいな構図が見えてきそうです。

 



遠くへ飛びたいとか 希望し必死こいてた
足元を見れば ほとんど同じ位置だ

 

ここに”希望”という言葉が出てきますが、やはり前向きな感じには読めません。”希望”を持って色んなことを頑張ってみても、なかなか物事が好転していかない感じですかね。

 



1000年以上も前から 語り継いだ嘘が
人生の意味だって 信じて生きてきたが

 

”1000年”という数字は比喩だとは思いますが、それだけ長い時間をかけて生きてきて、これまで何も疑問を持たなかった人生訓みたいなものが、がらりと変わっていっちゃうような、そういう常識や当たり前が通用しなくなっていく世の中を歌っている感じです。

 


■そして、サビの部分…”未来未来”という言葉を使って、こんな感じで歌われています。

 


こじ開けて 未来未来
今だけで余裕などない 嫌い嫌い
お願いだから側にいて 未来未来
誰も想像できない 君以外

 

”未来未来”と連呼しつつも、”今だけで余裕などない”と、やっぱりここからも、未来への希望というものは感じません。

 


それで、この【未来未来】という曲ですが、1曲前の【手鞠】と繋がる部分があると感じながら、両曲を聴いています。例えば、【手鞠】にはこういう歌詞が出てきます。

 


自分を探す旅の帰りに 独りが苦手と気づいて
手に入るはずだった未来より 素朴な今にありついた

 


かなり思ってたんと違うけど
面白き今にありついた

 

だから両曲とも、”未来”よりも”今”を選んだ曲なのかなぁ、という印象を受けました。ただし、【手鞠】単体の記事では、「割とシビアな歌詞だ」みたいなことを書きましたが、【未来未来】と比べると、まだそんなに悪い感じではないかなと、今は思い直しています。

 


■また、そういうある種”未来”を諦めた状況において、【手鞠】にも【未来未来】にも、”君”という存在が現れます。

 

【手鞠】の方は、”手鞠さん”なんて勝手に命名しましたが、常識に囚われて自由に生きていけず、自分を探していた”僕”が、まさに手鞠のように自由に跳ねるように生きている”手鞠さん”との出会いで、”面白き今にありついた”と、最後は割と明るい感じで曲が締めくくられます。

 

一方の【未来未来】はどうでしょうか。こっちにも”誰も想像できない 君以外”と言う風に”君”という人物が出てくるんですが…(また勝手に命名しますが)”未来さん”に”僕”はすがっているような感じですよね。

 

”今だけで余裕などない”と言いつつも、”お願いだから側にいて 未来未来”という風に、しがみつこうとしてる精神状態にもあるという、割と切迫している感じですよね。

 

まぁ、”僕”と”未来さん”の関係性は…例えば、身体を売る仕事をしている女性だったり、そうでなくても、浮気相手や不倫相手など…色々と想像できそうですが、とにかく信じられるのは”未来さん”だけで、”未来さん”こそが自分と未来を繋ぎとめる唯一の希望だと、そういう感じに読めました。

 


■そして、【未来未来】の歌詞は最終的に、

 


未来は泣いてんのか 未来は笑ってんのか
影響与えようよ 殻の外で

 

という風に、まぁ歌詞通りですが、殻を破って、ちゃんと社会と繋がって生きよう!って、強い言葉で締めくくられています。

 

何て言うか、例えば【けもの道】とかは、素直に応援歌として捉えることができましたが、応援とはまたちょっと違う雰囲気…ある種、この社会や日本人に対して警鐘を鳴らしているような、そういうメッセージソングとして受け取りました。

256時限目:手鞠

ひみつスタジオ (初回限定盤)(SHM-CD+DVD)

 

手鞠

手鞠

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【手鞠】

 

■アルバム『ひみつスタジオ』の7曲目に収録されている曲です。

 

【花と虫】とか【春の歌】みたいな…こういうのを16ビートというんですかね…跳ねるような軽快なテンポがクセになる曲です。

 

タイトルの”手鞠(てまり)”という言葉といい、サビでずばり”可愛いね手鞠”と歌っちゃっているところといい、かわいらしさを感じる曲ではあるんですけど、それとは裏腹に歌詞は割とドキッとさせられるようなことも歌っていて、個人的にはそういうギャップが一番印象に残った曲でもありました。

 


■その”かわいい”という言葉についてですが、この曲や、ひいてはアルバム『ひみつスタジオ』という作品について、キーワードとなっている言葉の一つだと思います。現に、書籍「スピッツ2」の中で草野さんは、このように語っています。

 


草野さん「(前略)でも今は時代も変わって、世の中が結構スピッツ化してきてるなと思うんですよ。俺としては、昔から出したいなと思ってたものを、思いっきり出せるようになってきた!と。だから、ちょっと気持ち悪いって言われてもいいから、かわいいものとかを入れていこうってのは、ここ10年ぐらい思ってますね。」

 

余談ですが、自分の職場の人にも、いかにも”おっさん”って感じの人でも、パソコンの壁紙がかわいいキャラクターだったり、かわいいキャラクターのハンコを使っていたり、デスクの上に”ちいかわ”のフィギュアが飾られていたり、ポケモンが好きだったり…多少無理矢理ですが、草野さんが話していることと繋がるのかな、と思ったりしました。

 

草野さんが言っている”10年ぐらい”で(いや、もっと昔からかもしれませんが)、ネットやスマホの存在が大きくなり、アニメだったりアイドルだったりキャラクターだったり…そういうカルチャーとの距離が、一般人の我々とも近くなってきましたよね。それも、年齢や性別を問わず、誰でもアクセスできるようになりました。

 

僕が若い時は、こんな時代が来ることなんて、想像だにしませんでしたが、そういう事も相まって、”かわいい”というカルチャーは、広がっていたのだと思います。

 


■さらに、スピッツと”かわいい”についてですが、僕自身これはずっと思ってきたのは、スピッツって、何と”かわいい”と”かっこいい”をうまく同時に表現できるバンドだな!ってことでした。それは、何も最近ではなく、古い時代から感じていたことでした。

 

曲でいうと、挙げ出すとキリがないですが…例えば、【優しいあの子】【子グマ!子グマ”】【潮騒ちゃん】【花の写真】【桃】【ありふれた人生】【ミカンズのテーマ】…各アルバムから1曲ずつ挙げようとしましたが止めました。

 

挙げた曲は、ほんの一部だと思うんですけど、”かわいい”けど、でもどの曲も”かっこいい”ですよね。”かわいい”と”かっこいい”を同時に表現できるって、ほんとスピッツ唯一無二だよなぁって思うんです。

 


■かなり脱線しましたが…【手鞠】の話に戻します、すんません。

 

それで、この曲は2人の人物が描かれているように読めます。1人はこの歌において”自分”と表現されている人物、もう1人は”君”という人物です。

 

まずは、前者の方…特に一人称があるわけではないので、仮に”僕”としておきます。”僕”という人物は、どういう人物像なのでしょうか。実際に、”僕”の状況や心境を表していると思われる歌詞を抜き出してみると…

 


自分を探す旅の帰りに 独りが苦手と気づいて
手に入るはずだった未来より 素朴な今にありついた

 


常識を保つ細いロープで 体のあちこち傷ついて
感動の空気から逃れた日 群れに馴染めないと悟った
誰のことももう愛せないとか 決めつけていたのかも

 

などなど。色々想像できるんですけど、例えば”常識を保つ細いロープ”という表現…常識に縛られていたということでしょうか。別に悪い意味ではないですけど、世の中の常識というか、”こうでなければならない”という考え方や行動原理に縛られて、これまで生きてきたというような人物像が思い浮かびます。

 

そこから、”感動の空気から逃れた”とか”群れに馴染めない”とか”誰のことも愛せない”とか…マイナスとも取れるような表現が並んでいますが、何となく人と距離を置いているような性格も伺えます。

 

そういう”僕”ですが、”手に入るはずだった未来”より”素朴な今にありついた”ということで、つまりは人生を長い目で見ることを止めて、目先のことを考えるようになったと…何かきっかけがあってのことなのでしょうか。

 


■では、”君”という人物についてはどうでしょうか。

 

曲のタイトルにもなっている”手鞠”という言葉を使って、”僕”は”君”に呼びかけているように感じます。

 


可愛いね手鞠 新しい世界
弾むように踊る 君を見てる

 


可笑しいね手鞠 変わりそうな願い
自由きままに舞う 君を見てる

 

”手鞠”というと、要は”鞠(まり)”のことですよね。”鞠”というと、社会の教科書で見た、貴族が着物の裾を手でまくり上げて、鞠を蹴り合っている”蹴鞠”をしてる、平安時代か何かの挿絵が一番記憶に残っています。

 

蹴って遊んだり、子どもたちであれば地面について遊んだりしますかね。今の時代で言うところの、ボールのようなものでしょうか。

 

”鞠”はともかく、ボールであれば誰しもが触ったことがあるでしょう、壁に投げて当たったり、地面や体育館の床に当たったりすると、色んな方向に跳ねていきますよね。そういう特徴を、”君”という人物にそのまま当てはめて、つまりは”手鞠”=”君”という関係にあるかと思うのですが、とすると、”僕”と”手鞠さん”は対比して描かれているように読めてきます。

 


■”僕”は、先程の説明から”何かに縛られている”ような人物でしたが、一方の手鞠さんはというと、”自由”だったり”舞う”や”踊る”と言った言葉から、何かに縛られているというのとは対極にあるような、歌詞通り”自由気まま”な性格の人物だという印象を受けます。

 

そういう、自分とは対極に”自由”に生きているように見える手鞠さんとの出会いにより、手鞠さんに恋愛感情を抱いたのかもしれないし(”好きだよ手鞠”という表現から、そう考えるのが自然でしょうか)、そうではなかったとしても、もっと自由に生きても良いんだ!何かに縛られながら窮屈に生きなくても良いんだ!と、”僕”は救われたのかもしれません。

 

そういう手鞠さんとの出会いによる、”僕”の心境の変化としては、最初の方では、

 


手に入るはずだった未来より
素朴な今にありついた

 

と歌われていたのが、

 


かなり思ってたんと違うけど
面白き今にありついた

 

と変わっているところからも、前者は、未来を諦めて、しょうがなく今にありついたという印象を受けるところから、後者は、そういう今も別に面白いじゃん!っていう風に、前向きに考えることができるようになっています。

 


■あるいは、これらの解釈を少しひねくれて考えてみますと…

 

実は、この曲を聴いて歌詞を読んだときに、ちょっとイヤーンだなぁって思った節もありました(今でもそうですが…)。その所以というのが、”弾む”とか”舞う”という言葉でした。

 

スピッツの曲の中で、”跳ねる”とか”弾む”という言葉って、割とイヤーンな表現だと思ってます。

 


こんな気持ちを抱えたまんまでも何故か僕たちは
ウサギみたいに弾んで

 


こっそり二人 裸で跳ねる
明日はきっとアレに届いてる

 

2曲しか思い浮かびませんでしたが…ほとんど後者の歌詞に引っ張られ過ぎているところもありますが…”跳ねる”とか”弾む”とかは、SEXの行為中を表した言葉にも感じます。

 

とすると、この”手鞠”という言葉にも、そういう行為中の女性の姿が思い浮かんできます。

 

さらに言うと、先程紹介した”手に入るはずだった未来より 素朴な今にありついた”や”かなり思ってたんと違うけど 面白き今にありついた”という表現…”未来”を追い求めるのを止めて”今”を選んだと…

 

そして

 


好きだよ手鞠 清らかなせせらぎ
バレバレの嘘に笑う 君を見てる

 

ここの”バレバレの嘘”という表現とかも気になるところではあったんですけど…例えば、長く付き合っていた女性との未来より、それとは違う手鞠さんを選んで”弾んでいる”んじゃないかとか、男性を相手にするお仕事をしている手鞠さんと”弾んでいる”という解釈もできるかもしれません。

255時限目:オバケのロックバンド

ひみつスタジオ

 

オバケのロックバンド

オバケのロックバンド

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【オバケのロックバンド】

 

■アルバム『ひみつスタジオ』の6曲目に収録されている曲です。

 

もう何度も話をしていますが、僕はこのアルバムを仕事帰りにフラゲし、そのまま車の中で流しながら帰った、というのが最初の出会いなのですが、その時に、とりあえずこの【オバケのロックバンド】までを聴くことができました…そこまでで家に着いちゃって、後は家で聴いたっていう意味です。

 

そして、この曲に関しては、もうそれはそれはびっくりしましたね!車を運転しながら、ひっくり返りそうになりました。詳しくは、後述します。

 


■曲の雰囲気としては、かなりロックな曲ではあるのですが、すでに紹介しました【跳べ】とは、また少し雰囲気が違うロックチューンだという印象です。

 

【跳べ】は、疾走感あふれる中にも、ハンドクラップが入っていたり、サビではベルの音が聞こえてきたりと、色々とロックな曲にプラスの要素が加えられていて、少し一筋縄にはいかない感じでした。

 

一方の【オバケのロックバンド】は、こちらもパンクロックっぽいところはあるのですが、どちらかというと、ギターの音がよく聴こえるギターロックって感じですかね。

 

うまく表現できないですが、曲名の”ロックバンド”という言葉通り、ロックバンドサウンドというんですかね、ロックバンドとしての演奏と歌唱を、ひねらずにそのまま素直に前面に出しているという感じです。

 

ちなみに、この【オバケのロックバンド】という曲は、スピッツのインディーズ時代の曲で【こどもおばけ】という曲があるのですが、その曲のメロディーの一部分を自らオマージュしています。これはあれですね、【1987→】でインディーズ時代の曲の【泥だらけ】を引用したのと同じですね。

 


■という感じに、上述の説明のみだと、ロック調の曲かと、そういう説明で終わるのですが、この曲ではこれまでのスピッツではありえなかった、これはもうスピッツ史に残る事件と言っても過言ではないことが起こっているのです。

 

ずばり、この【オバケのロックバンド】では、ボーカルの草野正宗さんだけではなく、草野さんを含むスピッツメンバー4人…草野さん、﨑山さん、田村さん、そして三輪さんの4人全員が、何とボーカルを務めているのです!コーラスじゃないですよ、全員にソロパートが用意されていて、しっかりとボーカルを務めちゃってます。

 

これにはね、本当にびっくりしましたよ、先程の運転中の最初の出会いの時は、リアルで「えーーーーっ!!!」って叫んでました笑

 

スピッツの魅力と言えば、やはり草野さんのボーカルにあって、それは別にスピッツの熱心なファンでなくても、いわゆるシングル御三家(【ロビンソン】、【空も飛べるはず】、【チェリー】)などの有名な曲しか知らなくても、分かっていただけるのではないかと思います…「スピッツのボーカルって、とてもきれいな声をしてるねー」と、誰もが聴けばそう思うはずです。

 

それだけ、草野さんのボーカルは唯一無二であり、”スピッツ=草野さんのボーカル”がずっと当たり前だったからこそ、良い意味での裏切り、遊び心ですよね。

 

こういう感覚っていうのは、長くスピッツを聴いてきた人ほど、感じるはずです。スピッツは、今年で結成36周年を迎える、本当に長く活動をしているバンドであり、僕も25年以上もスピッツを聴いてきたのですが、まだこんな引き出しがあるのか!まだこんな面白いことをしてくれるのか!と、感動したものです。

 


■しかし、最初は正直なところ、コミックソング的に、ただの遊び心満載の曲という感じでしか、この【オバケのロックバンド】は聴いていませんでした。アルバムの曲の中の箸休め的な、BUMP OF CHICKENでいうところの”隠し曲”的な感じでしか聴いてなかったんです。

 

ただですねー、やっぱり聴いていくうちに不思議と、それが感動に変わっていったんです。特に、この【オバケのロックバンド】のMVを見た時に、曲に対する印象ががガラッと変わったことを覚えています。

 

(ちなみに、【オバケのロックバンド】のMVは、アルバム『ひみつスタジオ』の初回限定盤かデラックス・エディションに付属している、MV集のDVD/BDでしか見ることができないので、ご覧になりたい方は、何とか手に入れてください!)

 

【オバケのロックバンド】のMVは、言葉で説明しますと、花いっぱいのスタジオの中に、メンバー4人が円形になって、真ん中を向き合って演奏しているという、まぁよくあると言えばよくあるシンプルなMVではあるんですけど、これがまたシンプルがゆえに、4人の演奏シーンを余すことなく楽しむことができて良いんです。

 

そして、先述したように、この曲は4人ともがボーカルを取り、それぞれがソロで歌うパートがあるのですが、このMVではそのパートをそれぞれがソロで歌うシーンが描かれます。具体的には、﨑ちゃんがドラムを叩きながら、リーダーがベースを弾きながら、テッちゃんがギターを弾きながら、それぞれがソロで歌うシーンが挟まれます。

 

もうこれがメンバーが本当に楽しそうでね、草野さんなんかは、まるで「おーおー、みんな歌ってる歌ってるwww」って感じで、どこか満足気に半笑いで眺めてるのが、これまた面白いんです。

 

それを最初は、僕も微笑ましく見てたんですけど、何か段々感動に変わってきちゃって…ああそうか、この人たちはずっとこうやって、大学生の頃から変わらず、4人でロックンロールを奏でてきたんだね…と、しみじみ感じてしまうんです。特に、長くスピッツを聴いてきた人ほど、ここはそういうことを思うのではないでしょうか。

 


■という感じで、もう延々と語っていますが、とにかくこの曲は4人でボーカルをチェンジしながら歌っていく、という構成になっています。

 

具体的には、1番のAメロを、草野さん→﨑山さんと繋いで歌い、2番のAメロを、田村さん→三輪さんと繋いで歌っています。そして、サビは4人でユニゾンで歌っています。

 

で、それぞれのパートで歌われていることなんですけど、自己紹介?ではあるのかもしれませんが…おそらく、4人が”オバケ”になってしまったという設定の下での自己紹介…みたいな、聴いていない人にとっては、ちょっと何言ってるのか分かんない状態だと思いますけど、ほんとにそんな感じです。

 

歌詞を全部紹介するとキリがないので割愛しますが、それぞれのメンバーのイメージにあった言葉が、歌詞の中に散りばめられています。

 

草野さん…”誰もが忘れてた”とか”物置き小屋の奥”など、割と卑屈な言葉が並んでいるのも、これまた草野さんらしさでしょうか笑

 

﨑山さん…”木霊”や”雷神”、”ゴミ箱叩くビート”などから、太鼓などの何かをドカドカ叩くイメージが浮かんできます。

 

田村さん…”爆音で踊ってたら”という言葉は、もうライヴ中に動き回るリーダーの姿が浮かんできます。

 

三輪さん…”暗闇に紛れて”でサングラスをイメージしました。あとは、”壊れたギター”という、あからさまに”ギター”という楽器名が出てきます。

 

などなど。そして、各パートの終わりは必ず”オバケ”という言葉で締めくくられている徹底ぶりも面白いです。それぞれのメンバーを”オバケ”に見立てて、そのイメージで草野さんが詩を書いたのでしょうか。

 


■じゃあ、そもそもこの歌の”オバケ”という言葉に込められた想いというのは何なのでしょうか。そもそも、”オバケのロックバンド”ですからね、どういう意味が込められているのでしょうか。

 

というところで、この歌を全体的に聴いて、また、MVを見て、”オバケ”という言葉に感じた想いというのが、個人的には2つあったので、紹介しておきます。

 


①活動をずっと長く続けてきた / 続けていくことに対する決意表明

 

サビの歌詞にこんな歌詞が出てきます

 


子どものリアリティ 大人のファンタジー
オバケのままで奏で続ける
毒も癒しも 真心込めて
君に聴かせるためだけに

 

”オバケ”という言葉の意味は、”お化け”と漢字でも書くように、死んだ人や時には動物?などが、その言葉通り”化けて”出てきたもの、という感じになると思うのですが、その意味通りに捉えるならば、不謹慎ですが…スピッツメンバーが死んで、”オバケ”になって出てきたと…。

 

そこで、”オバケのままで奏で続ける”とありますが、この辺りを安易に繋げて考えるならば、死してもなお、ロックンロール魂を忘れることなく、スピッツとして4人は活動し続けていると、そういう決意表明のように聴こえてきます。

 

まぁその、”死んでも”とか”死しても”とか、そんな不謹慎なことを言わなくても、”オバケ”という言葉には、スピッツというバンドがこれからも長く続いていくことを示していると思います。

 

”化け猫”ってあるじゃないですか。wikipediaでちょっと調べてみたんですけど、12年とか13年とか長く生きた猫が化け猫になるとか、我が広島県では、7年以上飼われたネコは飼い主を殺す(!?)などの伝承もあるそうです。長く生きた猫は、尾の数が増えるとかいう都市伝説も聴いたことがあります。

 

”化ける”というのは、何も”死んで”とかに限らず、長く生きていくと、その姿形が”異形”と化す、みたいな感じで捉えるとするならば、それって、まさにスピッツそのものじゃん!?って思ったりします。長く活動をしている、そして、これからもそれは続いていく、という自分たちの存在に、”オバケ”という言葉を当てはめたのかも知れません。

 


②ロック界の”化けロックバンド”としての存在表明

 

Bメロの歌詞は、こんな感じです。

 


少しでも微笑みこぼれたら
そのしずくで俺生きていける
忙しけりゃ忘れてもいいから
気が向いたならまたここで会おう

 

ここの後半部分の表現が、すごい好きなんです。”忙しけりゃ忘れてもいいから”なんて、何て自虐的なことか笑 

 

でも、”気が向いたらならまたここで会おう”なんてのも合わせて、押しつけがましくないというか、ついてこいよ!とか、ずっと応援してね!ではなくて、”忘れてもいいから”、”気が向いたら”とかね、あくまでその人のペースを尊重している感じが、スピッツらしさなんでしょうか。

 

そんな風に、”オバケ”という言葉には、これは自虐的な部分もあると思いますが、”居るか居ないのかよく分からないもの”みたいなイメージもあって、それをスピッツに当てはめている、という解釈もできました。

 

そもそもスピッツ自体が、そんなにグイグイ前に出てくることなく、むしろ自分たちのペースを守りつつ、(だからこそ)長く活動を続けることがでてきているバンドです。

 

控えめで、それでいて愚直で、真ん中というよりは、どちらかというと、控えめに隅っこの方…そんな存在自体が、まさに”化けロックバンド”的な、まさにロック界の”オバケ”的な存在であるスピッツを、この”オバケ”という言葉は、不思議と言い得て妙だなぁと思うわけです。

 


■そして、再びサビの歌詞のこの部分…

 


毒も癒しも 真心込めて
君に聴かせるためだけに

 

ここにも、”オバケ”という言葉が見え隠れしていて、”君に聴かせるためだけに”ということで、何て言うか、E.T.みたいな”ひみつの友達”みたいな、見つけてくれてありがとう、お礼に君だけに歌ってあげるよ!的にも感じるのですが、そうでなくても、”毒も癒しも”とか”君に聴かせるためだけに”という言葉が、何ともファン泣かせですよね。

 

ちなみに、アルバム『ひみつスタジオ』の楽曲の歌詞を基にした歌画本「ひみつストレンジャー」の帯には、”毒も癒しも 真心込めて”と書いてあったり、この【オバケのロックバンド】の歌詞を基にした歌画も、上述のような”ひみつの友達”的な物語になっているので、良かったら読んでみて下さい!

254時限目:さびしくなかった

ひみつスタジオ

 

さびしくなかった

さびしくなかった

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【さびしくなかった】

 

■アルバム『ひみつスタジオ』の5曲目に収録されている曲です。

 

ロックな曲である2曲目【跳べ】、3曲目【大好物】と4曲目【美しい鰭】のシングル曲も賑やかに続き、少し落ち着いた雰囲気の5曲目【さびしくなかった】へと続いていきます。

 

イントロもなく、ひっそりとギターの音と草野さんのボーカルのみで曲が始まり、そこからミディアムテンポのゆったりとした、優しく心地よい曲調で進んでいきます。

 

個人的には、【聞かせてよ】とか【ありふれた人生】みたいな雰囲気を思い出しました。

 


■ということで、早速この曲の個人的な解釈を話してみます。

 

まず、曲名が”さびしくなかった”ということで、やはりこの曲で草野さんは、”さびしい”という気持ち、感情について歌っているのかな、と思うことは自然なことだと思います。

 

それで、タイトルが”さびしくなかった”ということで、じゃあどういう状況の時に”さびしくない”という気持ちになるのか、と考えてみるんですけど、例えば、大切なものが側にあったから”さびしくなかった”、大切な人と一緒に過ごすことができたから”さびしくなかった”、というイメージが最初に浮かんできました。

 

逆に言うと、その大切なものを失くしてしまって、大切な人と別れてしまって”さびしい”と感じると…そういう風につながっていったのも、ごく自然なことでした。

 


ただ、この曲の歌詞を読んでみると、ちょっと違う印象を受けるんですよね。例えば、出だしの部分、

 


さびしくなかった 君に会うまでは
生まれ変わる これほどまで容易く

 

もうこの部分が、この曲の全てを言い表していると言っても過言ではないのですが…

 

”さびしくなかった 君に会うまでは”と、ここの部分を読んだだけでも、君に会うまでは”さびしくなかった”と…逆に言うと、君に出会ったことで”さびしさ”を感じると、そういう風に歌われているんです。

 

この、ある種”さびしくなかった”という言葉の裏返しが、この曲のポイントになっていると個人的には思います。

 


■例えば、【さびしくなかった】の歌詞をもう少し紹介してみると、こんんな感じです。

 


さびしくなかった 君に会うまでは
ひとりで食事する時も ひとりで灯り消す時も

 


さびしくなかった 君に会うまでは
ひとりで目を覚ます朝も ひとりで散歩する午後も

 

ひとりで食事をする時、ひとりで灯り消す時(おそらく眠りに就く時のことを言っているのでしょう)、ひとりで目を覚ます朝、ひとりで散歩する午後…これらは全て、何ら特別なことではない、日常の風景ですよね。

 

そういう日常の生活を、これまでは独りで生きてきたのだけど、”君”に出会ったことで、そういう日常を独りで生きていくことに”さびしさ”を感じるようになっていったということが読み取れます。

 

何て言うか、”さびしくなかった”というよりも、どちらかと言うと、”さびしいという感情をこれまで知らなかった”と考える方がふさわしいと思います。”さびしい”という感情を、感じるように”なってしまった”と、そういうことですよね。

 

で、その理由としては、間違いなく”君”に出会ってしまったから、ということなのだと思います。

 



眼差しに溶かされたのは 不覚でした
かき乱されたことでわかった 新しい魔法

 


離れていても常に思う 喜ぶ顔
以前とは違うキャラが行く しもべのハート

 

”眼差しに溶かされた…”とか、”離れていても常に思う 喜ぶ顔”などの表現を読んだ限りでは、やはり”君”に抱いた気持ちは、恋愛感情なんでしょうか。そういう恋愛感情から、”君”と一緒に居た時間を思い出したり、ふとした日常生活の中で、”君”が側に居てくれたら…と想像をすることで、”さびしさ”を感じているのでしょう。

 

そして、”キャラ”という言葉…これは、シングル曲【大好物】の歌詞でも”取り戻したリズムで 新しいキャラたちと踊ろう”という風に出て来ているのですが、両曲のつながりを感じる部分でもあります。

 


■それから、この曲で草野さんが歌っている”さびしさ”という概念について考えた時に、僕が真っ先に思い出した別の曲がありました。その曲とはずばり、BUMP OF CHICKENのシングル曲【グッドラック】という曲です。

 

youtu.be

 

ボーカルの藤原基央さんは、【グッドラック】の中で、”寂しさ”についてこんな風に歌っています。

 


君と寂しさは きっと一緒に現れた
間抜けな僕は 長い間解らなかった
側にいない時も 強く叫ぶ心の側には
君がいる事を 寂しさから教えてもらった

 


君と寂しさは ずっと一緒にいてくれていた
弱かった僕が 見ようとしなかった所にいた
そこからやってくる涙が 何よりの証
君がいる事を 寂しさから教えてもらった

 

どうでしょうか、【さびしくなかった】と【グッドラック】、心情的には同じようなことを歌っているような気がしませんか?

 

つまり、両曲が歌っているのは共通して、君と出会って、君と過ごす時間や君が側にいることを知ってしまったからこそ、それが逆接的に、君といつか離れてしまうことや、自分が独りで過ごす時間に対して、”さびしさ”を感じるようになってしまったと…要するに、先述した通り、”さびしい”という感情を知ってしまったんですよね。

 

例えば、この歌の主人公は、これまでずっと独りで生きてきたのかも知れません。または、ずっと独りで…とまではいかなくても、自分にとって、かけがえのない大切なものや人があった経験がなく、これまでを生きてきたと。

 

そこへ、自分にとっての”君”という大切な存在ができてしまったことにより、それと同時に、その大切な存在がいつか離れていってしまうことへの”さびしさ”を理解してしまったということだと思います。

 


■ということで、個人的な解釈は上述のような感じで十分なのですが、2つほど補足しておきます。

 


1つ目は、”優しい”という言葉についてです。

 

まぁ、古くは【優しくなりたいな】という曲もありましたが、最近でも、記憶に新しい朝ドラの主題歌にもなった【優しいあの子】、それからWOWOWで放映され、最近その劇場版が公開になったオリジナルライヴの名前も「優しいスピッツ a secret sessino in Obihiro」だったりと、何かと”優しい”という言葉がよく使われています。

 

そして、アルバム『ひみつスタジオ』の収録曲の中にも、”優しい”という言葉が出てくる歌があります(たぶん2曲だけ?)。

 


ここは地獄ではないんだよ
優しい人になりたいよね

 


いつか失う日が 来るのだとしても
優しくなる きらめいて見苦しく

 

それぞれ、【跳べ】と【さびしくなかった】の歌詞なのですが、最近のスピッツでは”優しい”という言葉がひとつのテーマになっているのでしょうか…ということで、最近ゲットしたばかりの書籍「スピッツ2」には、こんなインタビューが載っていました。

 


インタビュアー「《ここは地獄ではないいだよ / 優しい人になりたいよね》って、究極のスピッツメッセージですよ」

 

草野「スピッツっぽいですよね。今回、さっきの話じゃないですけど、『優しい』とか『かわいい』が多いんですよね。だから、ああ、そういうモードなんだなっていう。かわいいものを愛でて、優しい人になりいたい(笑)」

 

という感じです。僕は、昔からスピッツを聴いてきてずっと思っているのは、スピッツって、優しさ・かわいさとかっこよさを、何と上手に同時に表現できるバンドなんだろう!っていうことなんです。だから、ここのインタビューを読んだときに、「おー納得納得」って、何か嬉しくなりました笑。

 


それから2つ目…今まで書いてきたことを、少し極端に突き詰めて考えていった時に頭に浮かんだのが、”i-O”(アイオー)の存在でした。

 

”i-O”は、アルバム1曲目のタイトルにもなっていますが、アルバムジャケットに映っているロボットの名前でもあります。

 

ロボットと言うと、基本的には人間の感情を理解することはありませんよね。つまり、当然”さびしい”という感情も理解していないと考えることができるかもしれません。

 

物語的に考えるのならば、例えば、i-Oくんは”さびしい”という感情をこれまで知らなかったところへ、”さびしい”という感情をインプットされてしまったとかね…こういう風に考えると、一気に【さびしくなかった】という歌の意味が変わってきます。

 

ただ、1曲目【i-O(修理のうた)】でも書いたように、”i-O”は実は人間だったり、もっと広く、このコロナ禍で”故障”してしまったこの世の中を象徴するものだったとしたら、やっぱり何かに”さびしさ”を感じるということは、実に人間らしい感情なんだろうなって思えてきます。

253時限目:跳べ

ひみつスタジオ

 

 

跳べ

跳べ

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【跳べ】

 

■アルバム『ひみつスタジオ』の2曲目に収録されている曲です。

 

【i-O(修理のうた)】の記事でもうすでに書きましたが…僕はアルバム『ひみつスタジオ』を仕事帰りにゲットして、その帰り道で車の中で流して聴いたんですけど、その時に【跳べ】という曲も初めて聴きました。

 

イントロのギターのリフからの、Aメロでそれがちょっと落ち着いて、サビで爆発っていう、割とスピッツにある感じの展開ですが、このアルバムの中では一番疾走感のあるロックチューンであると感じます。

 


■個人的には、特にイントロの部分のギターリフで、GREEN DAYの【American Idiot】とか【Westbound Sign】を想起しました。高校生の時、GREEN DAYとか、海外のパンクロックを割と聴いていた時期があったんですけど、何かすごい懐かしい気持ちになりました。

 

スピッツの楽曲で例えると、【1987→】みたいな感じですかね…ポップパンク?パワーポップ?何て言うのか分かりませんが…とにかく、パンクっぽくはあるんだけど全然重たく感じなくて、疾走感があって軽く聴けるのは、そこはさすがスピッツだなって思いました。

 

楽器隊の演奏はこれでもかとゴリゴリなんだけど、サビ(Bメロ?)のハンドクラップとか、サビで鳴っているbell(ベル)の音とか、そしてやっぱり、草野さんのボーカルの影響は大きいんだろうなって思いますが、そこに草野さんのボーカルが乗っかると、単純なパンクという括りから、スピッツだなぁってなっちゃう感じ…すごいですよね。

 


■そして、タイトルは”跳べ”…と、これまためっちゃ潔いタイトルですよね。

 

アルバムの収録曲のタイトルが発表になった時に、”跳べ”という言葉自体のインパクトと、曲順が2曲目ということもあって、1曲目の【i-O(修理のうた)】はインストで(勝手に思ってました笑)、続く2曲目の【跳べ】はロックな曲に違いないと思っていましたが…インストは違ってましたが、【跳べ】はそのイメージ通りでした。

 

そして、このタイトルを見て(多くの人が思ったかもしれませんが)Mr.Childrenの楽曲にも同じタイトルがあるなぁって思いました。ミスチル版の【跳べ】は、サビで「跳べぇぇぇーーーー」って桜井さんが大声で歌い放つのが印象に残っているんですけど、じゃあスピッツはどうなのか。

 

スピッツの【跳べ】でも、サビの最後に”跳べ”という歌詞は出てくるのですが、そこはスピッツ・草野さんらしさと言っていいんですかね、何という申し訳ない程度の”跳べ”…”跳べ”は添えるだけ、控えめな”跳べ”です。まぁ、最後のサビの終わりの部分で、若干の熱量アップはしますが、それでもミスチルの「跳べぇぇぇーーーー」には遠く及びません笑

 


■それはそうと、僕の印象では、スピッツは”跳ぶ”よりも”飛ぶ”のイメージなんですよね。あんまり、”跳ぶ”の印象はありませんでした。

 

往年の名曲も【空も飛べるはず】、古い楽曲でも【トンビ飛べなかった】…スピッツの曲にはよく”鳥の名前”が出てきますが、鳥と言えば”跳ぶ”より”飛ぶ”のイメージです。そして、アルバムでも『空の飛び方』…その頃のインタビューにおいて草野さんが、

 


草野「(アルバムタイトルを)初めは『飛び方』にしようとか言ってたんだけど、字面がイマイチっつうのがあって『空の飛び方』にしたんですけど。まぁ、昔から”飛ぶ”っていうのをテーマにしている部分が多いし。」

 

と語っていたので、割と意識して、”飛ぶ”という言葉を使ってこられたのでしょうか。そして、”飛ぶ”という言葉自体についても、

 


草野「これはもう幽体離脱ですよ(笑)。まあ瞑想でも夢でも宗教でもなんでもいいんですけど、もっと荘厳なイメージというか」

 

という風に語っておられました。

 


■個人的にも、”飛ぶ”という言葉からは過去の記事で書きましたが、

 

「魂や精神が(あの世へ)トブということで、”成仏”…もっと簡単にいうと、”死”を表している」
「喜びのあまり、気持ちが天にもトブような気持ちになる…として、しばしば、性的に”快楽”に溺れることや、”絶頂”に達することを表している」

 

この2つのイメージだったんですけど、じゃあ”跳ぶ”の方はどうなのか考えてみたときに…とりあえず歌詞を調べると、”飛”はめっちゃ出てくるんですけど、”跳”の方は”飛”に比べると極端に少ないんです。一部、紹介してみると…

 

 


やめないで 長すぎた 下りから ジャンプ台にさしかかり
マグレにも 光あれ どこまでも 跳べるはずさ二人

 


こっそり二人 裸で跳ねる
明日はきっとアレに届いてる

 


今すぐ抜け出して 君と笑いたい
まだ跳べるかな

 


会いたくて 今すぐ 跳びはねる心で
水色のあの街へ

 

あえて曲名は伏せますが、皆さん全曲分かりますかね!?

 

とにかく、どちらかと言うと”性的な表現”が多いんですかね。”跳ぶ”というよりも、”跳ねる”(はねる)の印象に近いかなと思うんですけど、そうなると、ベッドで跳ねて、イヤーンなことををしているイメージですかね。

 

あるいは、4つ目に関しては”跳びはねる心”なんで、気持ちがウキウキしている感じの意味合いですかね。でも、こっちのイメージはあんまりないかなぁ…やっぱり前者のイメージが強いです。

 


■まぁ、一番シンプルに考えると、”飛ぶ”は割と長いスパン飛んでいる感じですよね。鳥や虫や飛行機が空を飛んでいるイメージです。一方の”跳ぶ”だと、自分の前にちょっとした、例えば穴だったり水溜りだったり、そういうものを避けるという意味での”跳ぶ”みたい感じです。

 

じゃあ、今回の【跳べ】はどうなのかと、そこから改めて歌詞を読んでみると、この歌の”跳べ”からは、”自分の目の前にある何かしらの障害を乗り越える”みたいな感じのイメージを受け取りました。

 

という感じで考えていくと、もちろんこの曲を聴いた我々一人一人にあるであろう、今の自分が乗り越えるべき課題を乗り越えていく、という風に、誰しもが当てはめやすい普遍性はあるとは思いますが、やはり一つ思い浮かぶのは、”このコロナ禍からの脱却”というテーマでした。

 



ここは地獄ではないんだよ
優しい人になりたいよね

 

色んなことが制限されていって、身動きが取りづらくなっていった世の中、極端に言えば、ウィルス感染による”死”と隣り合わせになってしまった世の中…それでも、我々は生きているじゃないか!と、”ここは地獄ではないんだよ”と、希望を見出そうと歌っているのだと思います。

 



落ちにくい絵の具で汚されたり 弄りの罠ですりむいたり
心だけどこに逃げようかと
探しているのなら すぐに来て

 

ここは、コロナ禍というよりは、もっと広く、この世の中に生きにくさを感じている人へのメッセージと捉えることができます。

 

”落ちにくい絵の具”とは、何か自分で貼って・誰かに貼られて、はがれなくなったレッテルでしょうか。

 

”弄りの罠”とは、これも色々と解釈できそうですが、例えば単純に学校や社会でいじられている人だったり、この時勢だとSNSでのいじりとかね、そういうのも当てはまるのかもしれません。

 

そういうところからの、”心だけどこに逃げようかと 探しているのなら すぐに来て”という言葉…これもスピッツ流の応援なんでしょうか。自分たちの音楽やライヴで、せめて気持ちを楽にしてほしい、という願いを込めて歌っているのだと思います。

 



泣きながら捨てた宝物
また手に入れる方法が七通りも

 

個人的には、”泣きながら捨てた宝物”という言葉が、この歌の歌詞の中で一番響きました。

 

このコロナ禍で、色んな人が色んな事を諦めざるを得ない状況にありました。学生にとっては、楽しみにしていた、本来であれば一生に一度しかないような学校での行事などが中止になり、残念に思ったかもしれません。

 

そうでなくても、日常に生きる人が皆、何かしらの制限を強いられて、会いたい人に会えなかったり、行きたい場所に行けなかったり、やりたいことができなかったり…そういう自分にとって、”宝物”になり得るものを諦めなければいけない場面があったはずです。

 

だから、そういう制限された生活から解放されて、また自分たちが諦めて放棄してしまった”宝物”を取り戻そう、と歌っていると解釈しました。

 


そして、添えるだけの”跳べ”が出てくるサビにおいても

 


己の物語をこれから始めよう
暗示で刷り込まれてた 谷の向こう側へ
跳べ

 

”暗示”とは、先述と同じく、色んなことに制限をかけられていた世の中を表していて、そこからの解放ということで、”己の物語をこれから始めよう 谷の向こう側へ 跳べ”と歌われています。

 

長かったコロナ禍という障害を、ようやくそれぞれが乗り越えて、”己の物語”を取り戻そう、そして新たに始めよう、と力強く歌われているのだと個人的には思います。

 

ただ、この時勢的にコロナ禍を当てはめていますが、先述した通り、この曲を何か障害にぶち当たった時に聴くと、そういう障害を乗り越える勇気を与えてくれるような、そういう1曲になっていると感じます。