スピッツ大学

ステイホームしながら通える大学です!

スピッツ大学へようこそ!

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スピッツ大学へようこそ!

現在は、そんなに積極的には更新はしておりませんが、主に過去の記事を楽しんでいただければ幸いです。

 

 

今のところ、今一番新しい記事たちです↓

 

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 全30回

itukamitaniji.hatenablog.com

 

 

スピッツ大学 沿革(2021年更新)

https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/1000/01/01/000000

 


スピッツ大学 学長紹介(2021年更新)

https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2016/06/20/215848

 


スピッツ全曲研究セミナー

https://itukamitaniji.hatenablog.com/archive/category/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%84%E5%85%A8%E6%9B%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC

 


スピッツ全アルバム研究セミナー

https://itukamitaniji.hatenablog.com/archive/category/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%84%E5%85%A8%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC

 


スピッツ大学校歌

https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/1000/01/04/000000

【ネタバレ注意】『優しいスピッツ a secret session in Obihiro』ライヴレポート

※注意※

 

セットリストやMCの内容にガンガン触れていきますので、全編ネタバレ注意です!

 

この放送をすでに観終わっていて、内容を振り返ったり感想を共有したい方
放送は観ていないけど(観る予定があるなし関わらず)、どんな内容だったかをを知りたい方

 

などに向けた記事です。ネタバレを避けたい方は、ここで回れ右をしてください!

 

 

 

 

www.wowow.co.jp

 

『優しいスピッツ a secret session in Obihiro』
1/29(土)夜8:00 WOWOWプライム

 

<セットリスト>

01.つぐみ
02.冷たい頬
03.ハヤテ
04.今
05.Holiday
06.空も飛べるはず
07.漣
08.優しいあの子
09.夕焼け
10.雪風
11.大好物
12.未来コオロギ
13.ガーベラ
14.名前をつけてやる
15.運命の人

 

 

 

01.つぐみ

1曲目は【つぐみ】。個人的に面白かったのは、この曲が始まる前に、テッちゃんがギターを鳴らしているんですけど、まさにその時に弾いてるフレーズが、【つぐみ】のイントロのフレーズで、「あ、これは1曲目【つぐみ】かな?」って思ったらしっかり【つぐみ】でした笑

 

で、この日にライヴをおこなっている場所と、【つぐみ】のMVが撮影されている場所のロケーションがすごく似ていて、最初同じ場所かな?って思って調べてみたんですけど…結局違う場所だったんですけど、でも本当に雰囲気が似ていて、だからこそ1曲目にぴったりだなと思いました。

 

【つぐみ】のアウトロで、今回のオリジナルライヴの名前「優しいスピッツ a secret session in Obihiro」が画面中央に映し出されます。ライヴというより、映画的な演出ですね。

 

***

 

MC

 

リーダーがペットボトルの蓋を落とす音が会場に響いて、それを見て崎ちゃんが笑うという微笑ましい一幕がありつつ、草野さんが「本番の方が、崎ちゃんのドラムの音が大きい気がする」とコメント。

 

***

 

02.冷たい頬

1曲目に続き、優しい曲が続きます。セットリストを先に載せていますが、この辺りで、「優しいスピッツ」というライヴタイトル通り、今回のライヴでは比較的優しい曲を中心にやるのかなと、個人的に予感しました。

 

それにしても、草野さんのボーカルは全然変わらないですねー。【冷たい頬】なんてのは、もう何年前の曲ですか、僕なんかはもうかれこれ20年以上も前にリアルタイムで聴いていた曲だけど、その頃から彼のボーカルは、本当に変わっていないです。

 

***

 

MC

 

リーダーがおもむろに口を開き、「次の曲って久々?」と草野さんに話しかける。それに対して、「ライヴではやってないね。10年以上…20年以上」と草野さんが答えました。一体、何の曲なんだと、期待が広がります。

 

続けて草野さんが、ギターをジャンジャンと鳴らしながら、「ここ、生音でも音が響くね」とコメント。

 

***

 

03.ハヤテ

手元に持っているいくつかの映像作品を調べてみると、『ジャンボリーデラックス LIVE CHRONICLE 1991-2000』に収録されている、1997年3月23日にNHKホールにて行われた「JAMBOREE TOUR '96-'97」のライヴ映像の中に、【ハヤテ】を演奏している映像がありました。これがもしも最後なのであれば、草野さんの言っている通り、20年以上も演奏をしていないことになりますね。

 

何か、【冷たい頬】といい、この【ハヤテ】といい、アルバムでいうと『インディゴ地平線』や『フェイクファー』辺りの曲って、自分がスピッツを好きになりはじめの頃の曲なので、いつ聴いても懐かしい気持ちでいっぱいになって、何かジーンときちゃいます。

 

***

 

04.今

今回のセットリストの中では、一番ロックだと感じた曲。この【今】で始まるアルバム『ハヤブサ』は、当時自分の中でも衝撃を受けたことを覚えています。しかもこの後に、【放浪カモメはどこまでも】と【いろは】が控えているのは、恐るべし。

 

そんな、ただでさえロックな【今】ですが、ライヴアレンジになると、またそこからさらにロックに聴こえました。

 

***

 

MC

 

草野さん「【今】も、久しぶり。つか今日、久しぶりな曲多いな」
テッちゃん「久しぶりな曲な上に、寒いからね。その感じが。ブラウン管じゃないんだよね、今は」

 

という風に、全然繋がっていないトーク笑 さらに、「ブラウン越しって若い子分かるの?」「チャンネルはそのままは分かるか」「チャンネルは回すって言うよね」など、ゆるく昭和なトークが続きます笑

 

***

 

05.Holiday

アルバム『ハヤブサ』収録曲が続きます。曲もさることながら、隣の部屋から、スピッツがライヴしているところをドア越しに覗き見ているような映し方だったり、スピッツメンバーを上から見下ろしているような映し方だったりと、普通のライヴ会場では出来ないようなライヴの映し方が、とても凝っていて面白いですね。

 

***

 

MC

 

テッちゃんがおもむろに、「次の曲も、何十年もやってないね」と言ったことに対して少し苦笑いした草野さんが、「実はね、影武者が演奏してるから」という風に答える。

 

さらにテッちゃんが、「目つぶっても弾けるよ」と言うと、草野さんが「目つぶっては弾けんじゃない?」と応えるが、リーダーが「テツヤ分かんないもん」(サングラスをかけているから、本当につむってるか分からない笑)とツッコんだ。

 

***

 

06.空も飛べるはず

そして演奏されたのは、【空も飛べるはず】…ワ―、ナンジュウネンモヤッテナイキョクダー、ビックリダー。もうこの辺の曲は、圧倒的な安心感に包まれます。

 

***

 

MC

 

テッちゃんの「今、鼻の頭冷たいねー」と言う言葉に対して、「ほんとだー」と言いながら、自分の鼻の頭を触るおじさんたち笑 かなり会場は寒かったんですかね。

 

で、ここまでこの記事で書いている様子から分かる通り、このライヴでは1曲1曲の間が非常にゆるく、毎曲間ごとにMCが入る構成になっています。MC…というより、無観客だからお客さんに向かって…って感じではなくて、メンバーが普段話しているように、ゆるく話をしている感じですね。

 

そういう構成のライヴについて、ここで少し話題になって、草野さんが「昔やろうとしたけど、けっこう微妙だった」と語った。

 

***

 

07.漣

7曲目は、何と【漣】。個人的には、【けもの道】は不動で1番好きな曲なんですけど、【漣】もそれと同じくらい好きな曲なので、聴けて嬉しかったです。今回のセットリストの中だと、一番うれしかったですね。というのも、【けもの道】は、もうライヴの定番曲って感じがするんですけど、【漣】ってあんまりしてないイメージなんですよね。

 

相変わらず、力強くもやっぱり綺麗な曲ですね。クージーのフルートや、テッちゃんのギターの音がめっちゃ美しい。あと、アルバム曲はフェイドアウトで終わるところが、ライヴアレンジされている終わり方もかっこよかったです。

 

***

 

MC

 

「こうやって、やっと帯広に来れたなって感じだね」と草野さんが話し始めます。MIKKEのホールツアーで来る予定だったがそれが叶わなくなったことに触れ、今回無観客とは言え、帯広でツアーができたことに喜びと感謝をメンバーが語ります。

 

【優しいあの子】の曲を作るときに、取材旅行と称して、十勝・帯広を訪れたことを草野さんが語ります。車で曲をイメージしながら走り、インスピレーションを与えてくれた場所だったんだとか。

 

それから、会場になっている建物にも触れて話をしています。何でも、100年以上も前に建てられた建物のようで、音響をあんまり考えて作られているわけではない場所で演奏をすることに対して、「音のまわり方が違うことに、最初は違和感を感じたがそれが楽しくなってきた」と語りつつも、「アマチュアの頃に学園祭などで回った体育館を思い出した」と懐かしく話していた。

 

***

 

08.優しいあの子

 

ということで、MCの流れから【優しいあの子】です。ライヴのタイトルにもなっている”優しいスピッツ”という言葉を、まさに体現しているような曲だなと改めて実感できます。いわば、このライヴの主題歌といったところでしょうか。

 

この曲を、北海道の帯広で演奏することには、とても大きな意味があるんだろうなって感じますね。

 

***

 

09.夕焼け

これもあんまりライヴでやっているイメージのない曲ですね、名カップリング曲のひとるである【夕焼け】です。照明の演出がとてもにくいですね。

 

***

 

10.雪風

次は【雪風】です。個人的には北海道といえば、【優しいあの子】というより、ミスターどうでしょうこと鈴井貴之や、そこから水曜どうでしょうなどが思い浮かぶ【雪風】ですかね笑。

 

【優しいあの子】は北海道を舞台とした朝ドラの主題歌、【雪風】はスピッツでは珍しく冬の歌、という風に…【夕焼け】については、別に北海道や雪にはちなんでいませんが(むしろ夏や秋って感じ?)、ここの流れ…【優しいあの子】→【夕焼け】→【雪風】という3曲の流れは、個人的にめっちゃ好きです。

 

***

 

MC

 

テッちゃんが、ギターの練習をしている様子が流れますが、その曲が明らかに次の曲【大好物】のギターフレーズだとすぐに分かります。1曲目の【つぐみ】同様、公式のネタバレですね笑 それについてリーダーが「めちゃくちゃ練習してるじゃん」と言って、笑うメンバー一同でした

 

***

 

11.大好物

現在のスピッツの最新曲【大好物】です。まだ、【大好物】をライヴで聴くことは新鮮…とか思っていたら、後述の通りライヴなどの人前で演奏するのは初めてだったんですね。

 

***

 

MC

 

その【大好物】について、リハやレコーディングなどを除いて、人前でちゃんと演奏するのは初めてだからぎこちない、と語る草野さん。そこにテッちゃんが、「でも、意外とこれもそうだけど、【夜を駆ける】とかも弾きやすいよね」と、いきなり【夜を駆ける】を持ち出して話します。リーダーに、「突然【夜を駆ける】?」とつっこまれるが、どうやらテッちゃんは、【紫の夜を越えて】と言いたかったらしい。

 

***

 

12.未来コオロギ

選曲も意外で面白かったんだけど、この曲が始まると、わざと画面の両端に黒い帯が出てきて、真ん中にこの曲の映像を映すという、これも映画的で面白い演出が施されています。

 

***

 

MC

 

「意外とアウトロが緊張するね」「あとちょっとってところで」「ノーミスできたからここで間違えそう」「9回の裏だね」「野球以外で9回以外ないよね」「ソフトボールって7回だっけ」…というゆるいトーク

 

***

 

13.ガーベラ

最初のノイズで、次の曲がまた分かってしまう【ガーベラ】です。テッちゃんが座ってギターを演奏しています。そういえば、このライヴが始まった頃は、建物の外が明るかったんだけど、いつの間にか外が暗くなっています。これは自然に時間が流れたのか?それとも少し時間を置いたのか?いずれにせよ、【ガーベラ】に似合う演出ですね。

 

で、この曲も途中まで、前曲の演出(画面両端に黒帯)が続いているんですけど、この曲の2番のサビから、映像が徐々に横に広がっていって黒帯がなくなっていく演出は、この【ガーベラ】という曲が持つ、夜空の壮大な広がりを感じさせる雰囲気に合っている演出だなと思いました。

 

***

 

MC

 

テッちゃんの「山は越えたね」という言葉に意を介さず、草野さんが「(建物について)何角形なの?」という一言に、建物が何角形なのかを確かめ出すおっさんたちが面白いです笑

 

***

 

14.名前をつけてやる

今回のライヴでやった曲の中では、一番古い曲になる【名前をつけてやる】です。こういう古い曲を新しいライヴでやってくれると、古い曲だからもちろんレア感もあるんだけど、その古い曲を最新のスピッツがやってくれて、アレンジが違っていたりして、何か2重の意味で楽しめます。

 

【名前をつけてやる】なんかも、2枚目のアルバムの表題曲なので、相当古い曲ではあるんだけど、最新のスピッツがやってくれると、また新しい曲として生まれ変わった感じ…極端に言うと、昔のスピッツを今のスピッツがカヴァーしている感じがして面白いなぁ…とは思うけど、草野さんのボーカルだけは変わっているようで全然変わっていないので、そこは圧倒的に安心できるところですね。

 

***

 

MC

 

ラスト曲前の最後のMCです。このライヴを振り返って総括するみたいにメンバーが話をしています。

 

まず、今回ライヴを行った場所について話が及びます。長くバンドを続けてきて、最近は、ライヴをやる場所やリハをやる場所が大体同じ場所であり、変わったところでライヴ演奏をすることがないので、今回のライヴでちょっと変わった場所でライヴができたことに、幸せだと草野さんが語っています。

 

ちなみに、今回ライヴを行った場所は、双葉幼稚園という…なんと幼稚園だったんですね。正確には、旧双葉幼稚園園舎であり、1911年に幼稚園として誕生したが、2013年に100回目の卒園式を迎えたあと、その歴史に幕を下ろしたそうです。

 

また、選曲については、お客さんと一緒に盛り上がるような曲ではなく、メロディーを聴かせるような感じの曲が多いと語っているように、まぁセットリストを眺めると明らかですよね。その中でも、【優しいあの子】と【雪風】は絶対にやりたいと思っていたようです。

 

個人的にも、【優しいあの子】と【雪風】あたりはこのライヴのメインテーマになっている”優しい”だったり、北海道でライヴを行うということを象徴している2曲だと感じています。

 

***

 

15.運命の人

最後は【運命の人】です。やっぱり、ライヴバージョンの【運命の人】は良いですよね。この曲が最後になることで、非常に多幸感に満ちたまま、ライヴが終わっていく感じがします。

 


■総評

 

草野さん自身も語っているように、ノリノリになるというよりは、ゆったりとメロディーや歌詞を聴ける曲が多かったなという印象です。

 

特に聴けて嬉しかった曲としては、【大好物】と【漣】でした。特に、【漣】にはやられました、イントロが始まった瞬間、「うぉ!来たー!」って、もう言葉通り飛び上がりました。やっぱり、【漣】は超名曲です、もちろんクージーの演奏込みで。

 

で、今回のライヴは、松居大悟さんという、一応”映画監督”という肩書きで載っていますが、MVを撮影したり、ドラマや舞台なんか演出のみならず主演なんかもされているようですが、そういう人が監督をしているようです。

 

なので、上述しましたが、ライヴのタイトルが入るタイミングだったり、映像自体の演出だったり、そういう映画的に感じる部分があったんだと、合点がいきました。スピッツのライヴとして、もちろんいつも通り楽しめるんですけど、それプラス、いつもとのライヴとは違った楽しみ方もできる映像だったと思います。

 


■はい、という感じですね。

 

早いもので、今年はスピッツは、結成して35周年を迎えるわけです。ここ何作かのスピッツのオリジナルアルバム発売の周期は3年なんですけど、それを照らし合わせると、今年2021年はそのアルバム発売の年に当たるので、ひょっとしたら新しいアルバム来る?という感じです。

 

まぁ、とにかく結成35周年ですからね、何かしら面白いことをやってくれそうですね。とても期待が膨らむ1年です!頑張って、一生懸命に日々を過ごしながら、待ちましょう!

事後講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~(まとめ&今年の振り返り)

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■おはこんばんちは、スピッツ大学学長itukamitanijiでございます。

 

ということで、12月1日から12月30日まで続けて行いました集中講義全30回、全て終了しました。ひとまず、書き切ることができて、ほっとしております。最後の方の記事は、結構追われていました…苦笑。

 

これまで、スピッツ大学で書いてきた記事は、アップする日付や時間などは一切気にしたことがなくて、ただただ書けたものから、書けた瞬間にアップしていくということを続けてきました。

 

それと比べると、今回の集中講義は初めての試みで、前もって記事のストックを溜めつつ、予約投稿なる機能を使って、擬似的にですが、毎日投稿されているように見せかけるということをしました。”集中講義”と勝手に名前をつけましたが、その名前の通り、大学で期間集中で講義を受けているようにしたかったからです…まぁ、そういうネタですね笑。

 

ただ、読んでくださる方には、別に集中講義とか何とかはお気になさらずに、お好きな時に、お好きな記事を読んでいただければ幸いです。

 


■草野さんの書く詩について

 

もうかれこれ25年くらい前になりますかね、僕は小学生の時にスピッツに出会いました。今思えば、すごく大きな意味を持つ出会いだったんだなって思います。

 

これまで生きてきて、僕は僕なりに、スピッツでもスピッツ以外でも、色んなアーティストの歌を聴いてきましたが、スピッツ以外のアーティストの歌を聴いても、やっぱりね、どこか物足りないんですよ。まぁそれは具体的に言うと、詩の部分ですね。本当にたくさんいい歌ってあるんですけど、とりわけ歌詞の部分では、スピッツ以外のアーティストで、スピッツよりも満たされることはありません。今でもずっとそうなんです。

 

やっぱり、小学生という、言ってみればまだ子どもで、音楽に興味を持ち始めるその入り口でスピッツに出会ってしまったから、というのは結構重大なことだったんだなって思います。

 

小学生の頃は、そんなに今のようには歌詞に気を配って聴いてこそいませんでしたけど、それでもスピッツの歌詞って特殊だなって思ってはいました。この集中講義でも古い曲をいくつか紹介しましたが…例えば、その当時の記憶として一番残っているのは、【フェイクファー】とかの歌詞ですね。恋愛だとか、大人の事情だとか、全然知らないくせに、色んな想像を膨らませていました。

 

例えば、【青い車】とかね、あれなんかも小学生の頃に初めて聴きましたが、記事でもしゃべりましたが、今でもどんな歌なのか全然よく分かってないですから笑 だから、今読んでもまだ考える余地がありそうだと感じるのは、本当に奥深いというか、草野さんの詩の世界はどこまで広く広がっているんだろうって、つくづくすごいと思うしかありません。まだまだ、その世界の旅は終わらないです。

 

スピッツの歌詞は、やっぱり他のどのアーティストのそれと比べても特別なんです。そして、自分にとっては、スピッツの歌詞が原点なんです。言ってみたら、どこか分かりにくく、変テコな歌詞に”慣れてしまった”自分だからこそ、もう他のアーティストの歌詞では、そこは埋めることはできないんだろうなって思います。

 


■集中講義の内容について&今後のスピッツ大学

 

今回の集中講義では、もうすでに説明している通り、スピッツの曲というより、草野さんが書いた”詩”や”言葉”にフィーチャーして書いた…つもりですが、個人的にはあんまりそうはならなかったかなって思っています。

 

ただ、スピッツ大学というブログで、本来はこんな感じで書きたかった、という形をイメージして書いた記事たちではあります。最初から、このスピッツ大学は、草野さんが書いた詩の素晴らしさや、それらの詩に対する、個人的な解釈や考察を伝えることが目的でした。音楽の部分は、そんなに詳しい知識があるわけではないけれど、歌詞の部分であれば、少しは伝えられることがあるんじゃないかなって思ったんです。

 

しかし実際は…大分その形は変わってしまいましたね笑 いつも脱線してしまったり、ただの情報を伝えるだけの記事になってしまったりしています。思いの外、たくさんの方に読んでいただけるブログになったので、自分が一番楽しくなっちゃって、あれも書きたい、これも書きたい、と思っているうちに、こういうブログになってしまいました。

 

だから、そういう意味では、この集中講義はスピッツ大学の原点回帰的な記事なんです。それと同時に、個人的には、ついにやっちゃったな、という感じです。何て言うか、その昔スピッツは、自分たちの意図しない形でベストアルバムを出してしまったことがあるのですが、そういう意味では、この集中講義はベストアルバム的な記事になってしまったのでね。

 

いつか、こういう記事は書こうと思っていたんですが、それはもう終盤になるだろうなって、集大成になるだろうなって思っていました。だから、もうスピッツ大学はこれで終わりでも良いかなっていうほど、満を持して書いたので、とても満足しています。

 

ただ、スピッツの新曲が出続ける限り、またスピッツ大学でも書いていけたらなと…まぁ今まで通りですけど、そう思っていますので、またその時はよろしくお願いします。

 


■今年の振り返り

 

2021年も終わりますね。来年は、当然2022年…何と、早くもスピッツは結成して35周年を迎えるんですね!

 

前作のアルバム『見っけ』が発売になったのは、2019年10月のことなので、”オリジナルアルバム3年周期説”に則れば、ひょっとしたら、来年はスピッツの新しいアルバムが出るかも!?

 

収録されるシングル曲としては、【猫ちぐら】【紫の夜を越えて】【大好物】は確定ですかね。個人的には、シングル『優しいあの子』の名カップリング曲【悪役】がまだ未収録なので、それもぜひ!という感じですけど。さぁ果たして、新しいアルバムは出るのでしょうか。

 

 

2021年は、自分にとっても、非常に大きな意味を持つ1年になりました。僕の2021年をスピッツの歌詞で表わすと、【砂漠の花】ですかね。

 


ずっと遠くまで 道が続いてる
終わりと思ってた壁も 新しい扉だった

 

ぶっちゃけ、ここ10年くらいですかね、具体的にはあんまり話せないけれど、僕はずっと旅を続けていた気がするんです。その旅が、一応は一段落ついたのが今年でした。非常に感慨深く思ってるんですが、ありきたりですけど、人とのつながりを感じた1年でした。

 

仕事場は、この1年は新しい場所に変わってるんですけど、前の職場の人からもたくさん声をかけていただいたりして、何かその時に一番達成感を実感しました。それまでは、今一自分のなかで実感もなかったし、そこまで喜びもなかったんですけど、やっぱり周りの人に声をかけられると、そこで初めて、「ああ、頑張ってよかったな」って思えたんですね。

 

で、そんな風に旅がひとつ終わったのですが、いやいや、まだこっからなのかよ!ってね。これまで以上に長く大きな旅が、この先に控えています。来年から、またさらに波乱万丈な旅が続きそうですが、頑張っていきます。

 


ということで、最後まで長くなりました。

 

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。皆さんとスピッツの来年が、素晴らしいものになりますよう、願っています。

 

では、また来年もお会いしますよ!皆さん、お元気で!

 

 

 

***

 

■おまけ

 

惜しくも、最後の最後まで悩み、今回の集中講義にて紹介する歌詞から漏れてしまった歌詞を、さらに10選紹介だけしておきます。ちなみに、この10選以外にも、まだまださらに紹介したい歌詞がありまくるので、キリないっすね苦笑。

 

 

身体のどこかで 彼女を想う
また会おうと言った 道の上
(【アカネ】より)

 

 

 

 

必ず届くと信じてた幻
言葉にまみれたネガの街は続く
さよなら さよなら 窓の外の君に
さよなら言わなきゃ
(【田舎の生活】より)

 

 

 

 

あきらめないで それは未来へ
かすかに残るけもの道
すべての意味を 作り始める
あまりに青い空の下
もう二度と君を離さない
(【けもの道】より)

 

 

 

 

心に生えた足でどこまでも
歩いて行けるんだと気がついて
こんな日のために僕は歩いてる
おもろくて脆い星の背中を
(【こんにちは】より)

 

 

 

 

まだまだ醒めない アタマん中で ロック大陸の物語が
最初ガーンとなったあのメモリーに 今も温められてる
さらに育てるつもり
(【醒めない】より)

 

 

 

 

可愛い君が好きなもの ちょっと老いぼれてるピアノ
さびしい僕は地下室の すみっこでうずくまるスパイダー
(【スパイダー】より)

 

 

 

 

くるくる回る くる回る 空も大地も
始まりのチャイムなったらもう君に会えない
ふんづけられて また起きて道ばたの花
ずっと見つめていたよ
(【タンポポ】より)

 

 

 

 

猫になりたい 君の腕の中
寂しい夜が終わるまでここにいたいよ
猫になりたい 言葉ははかない
消えないようにキズつけてあげるよ
(【猫になりたい】より)

 

 

 

 

最低の君を忘れない
おもちゃの指輪もはずさない
不死身のビーナスいつでも傷だらけ
(【不死身のビーナス】より)

 

 

 

 

甘い言葉 耳に溶かして
僕のすべてを汚して欲しい
正しい物はこれじゃなくても
忘れたくない 鮮やかで短い幻
(【ホタル】より)

 

 

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第30回

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ヒーローを引き立てる役さ きっとザコキャラのまんまだろう
無慈悲な鏡叩き割って そこに見つけた道

 

 

■この集中講義も最後となりました。最後は【1987→】の歌詞を紹介します。

 

この集中講義は、スピッツのメジャーデビュー30周年を記念して企画したものなのですが、すでに2017年にスピッツは結成30周年を迎えました。ちなみに、来年(2022年)は、もう早くも結成35周年を迎えるんですね。

 

で、その結成30周年の”節目ソング”として、この【1987→】があります。ご覧のとおり、タイトルに”1987”とありますが、これはスピッツが結成された1987年のことを指しています。この曲がスピッツにとって、スピッツファンにとって、特別な曲であることは、そこからも分かっていただけると思います。

 


■これまで、ここの集中講義でもたくさんの詩を紹介してきましたが、どんな種類の歌詞があったでしょうか。

 

例えば、草野さんが掲げている”セックスと死”というテーマに沿って、”性”や”死”について書いた詩を紹介しました。また、恋愛系の歌詞もいくつか紹介しましたし、はたまた、僕自身を含めて、聴いた人を元気づけたり、気持ちを楽にしてもらえるように歌われた歌詞なども紹介しましたね。

 

そういう意味で言うと、この【1987→】は、珍しいかもしれません。【1987→】は紛れもなく、草野さんがスピッツのことを書いた歌詞なのだと捉えられるからです。

 

当然のことながら、草野さんが書いた詩なのだから、どの詩にも草野さんの考え方が一番投影されているはずで、つまりは、全ての詩に草野さんやスピッツ自体が投影されていると考えることはできます。

 

ただし、そのどれもが、スピッツ自体のことを書いている歌詞であるとは言い難いんですよ。というより、どんなバンドでも、そんなしょっちゅう自分たちのバンドについての歌を書くか(いや書かない)、というのもありますけどね。

 

ちなみ、草野さんが、スピッツというバンドについて歌っているように思える歌としては、例えばこの集中講義で紹介した歌詞ですと、【ネズミの進化】なんかはそんな感じがしますよね。

 

あとは、紹介しなかった歌で言えば、個人的には、【えにし】とか【放浪カモメはどこまでも】とか【醒めない】なども考えられます。しかし、あえて言うならば、これらの歌詞は自分に置き換えても、教訓になり得るような部分もあったりしました(【醒めない】は、あんまり無いかな…)。

 


■ただし、【1987→】はそういう意味では初めてかも知れません。この歌に関しては、最初っから自分に置き換えて考えてみようとか、そういう思いは一切浮かびませんでした。もう、スピッツスピッツのことを歌っている…これで完結しており、これで十分でした。

 

まぁ、強いて言うならば、何かひとつのことをずっと続けていくことに対するかっこよさだったり情熱だったり、そういうものは感じましたし、自分もこの先の30年間で、スピッツのような生き方がしたいな、と思ったのはあります。しかし、それは曲から受け取った想い…というよりは、スピッツの活動そのものから受け取った想いでありました。

 

【1987→】の歌詞を読んでみると、草野さんのパーソナルな考え方や、スピッツの歴史をなぞっているような描写などが、これでもかと言わんばかりに出てくるので、もう全部紹介したいくらいなんですが、一番スピッツの生き方が反映されていると思っている部分を紹介しておきます。

 


ヒーローを引き立てる役さ きっとザコキャラのまんまだろう
無慈悲な鏡叩き割って そこに見つけた道

 

これですよ、これが結成30周年を迎えて、日本の第一線で活躍し続けるバンドのボーカルが歌った言葉ですよ。独特とも思えるここの歌詞は、スピッツにとって、草野さんにとって、とても大事なことを歌っているのです。

 


■この集中講義の第9回、【ネズミの進化】のところでも同じようなことを書きましたが、草野さんはどこか、弱々しかったり、醜く変テコな生き物に対して、そういう生き物として生きていく美学や、誇りというものをお持ちだと思っています。【ネズミの進化】は、まさにそうでしたが、あとは【オケラ】とか【黒い翼】とか【オパビニア】とか、それらにも当てはまるのではないでしょうか。

 

というより、そもそも自分たちのことを、そういう風に説明している場面があったりします。そういう考え方がよく表れているものとして、自分たちを”ザコキャラ”というものに例えた、とあるライヴでのMCがあります。

 

そのMCは、2016年に発売されました、スピッツ日本武道館公演を収録した、映像作品『THE GREAT JAMBOREE 2014 ”FESTIVARENA” 日本武道館』にて見ることができるのですが、ちょっと文字起こししてみますね。

 


スピッツがデビューした1991年には、バンドブームの後半の方で、その年にデビューしたバンドは510組くらいあったらしいですけども、その中にはスピッツなんかよりもすごいバンドがいっぱい居たんですけども、何故かね、俺らがこうやって残ってやってるっていうのは、よくアニメとか、そういうゲームとかでも、何故か”ザコキャラ”が最後まで生き残っているってあるじゃないですか。そんな感じかなと思いながらも、最高にイカした”ザコキャラ”を目指して、これからも頑張っていきますんで、温かく見守ってください」

 

こんな風に、自分たちを紹介しているんです笑 紹介しています歌詞の中にも、”ザコキャラ”という言葉が出てきていますが、それをもっと詳しく説明している形のMCですよね。

 


スピッツにとって・草野さんにとって、”ヒーロー”とはなんだったのか。そして、”ザコキャラ”とはなんなのか。

 

スピッツにとっての”ヒーロー”として、一番思い浮かぶのは、例えばTHE BLUE HEARTSがありますかね。スピッツは、元々パンクロックバンドであり、そういう方向で活動をしていましたが、ライヴハウスで演奏するTHE BLUE HEARTSを見たことが一つのきっかけで、バンドを一時辞めてしまった、という経験があるのは、割と有名な話です。

 

MCの中でも、”スピッツなんかよりもすごいバンド”と表現なさっていますが、そういう”ヒーロー”達を引き合いに出して、自分たちは、あくまでそれらを引き立てる”ザコキャラ”なんだと歌っています。

 

この辺りからは、草野さんを含めたスピッツメンバーたちが、自分たちの名前がどんなに世に広く知れ渡るようになっても、決しておごらずに、自分たちのペースで活動を地道に続けていったことが、非常によく分かります。

 


■続く歌詞は、”無慈悲な鏡叩き割って そこに見つけた道”という歌詞です。

 

”鏡”は”鏡”、所詮は自分たちのありのまましか映し出すことはありません。小さい物は小さく、醜いものは醜く、そのありのままを映し出すだけなのです。

 

またブルーハーツの話を出すと、ブルーハーツライヴハウスで見たことがきっかけで、自分たちが、ブルーハーツコピーバンドであるように思えたらしいですが、所詮どんなにパンクロックバンドとして頑張っても、どこかで”鏡”に映った自分たちの姿に気づいたのでしょう。

 

そして、その”鏡”に映った自分たちに、失望したかもしれません。例えば、こうなりたいと思い描いていた自分たちの姿やバンド像があって、そこからかけ離れた姿がそ映っていたからです。

 

しかし、そこでスピッツは・草野さんは、その”鏡”を叩き割る決意をしたのです。”鏡”に映った自分たちの姿に、いつまでも縛られるのではなく、自分たちのやり方を新しく探していこう、と。

 

これは、デビューの時もそうですけど、”マイアミショック”の後の、ロックバンドとして新しく生まれ変わった時にも当てはまるようなことですよね。本当に、自分たちがやりたい音楽を、新しく見つけていこうとしたのでしょう。

 

その道を本当に長く歩んで行くことで、確かにスピッツは、今ではもう”スピッツロック”としか形容することができない、彼らにしかできなロックの形を作り上げました。そのことがね、一番すごいことなんだと思うんです。

 

まさしく、MCで語った通り、物語の序盤に登場しているくせに、何故か最後まで生き残ったザコキャラ…まぁ、僕たちは別に、スピッツのことをザコキャラなんて思わないですけど、”ザコキャラ精神”とでもいうのでしょうか、そういうものをいつまでも忘れずに活動を続けているから、スピッツはどこまでいってもスピッツなんでしょうね。

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第29回

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君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き
そんなこと言う自分に 笑えてくる
取り戻したリズムで 新しいキャラたちと踊ろう
続いてく 色を変えながら

 

 

■現時点では、スピッツの最新曲である【大好物】の歌詞です。やっぱり、一番新しいスピッツの歌詞も紹介したいということで、【大好物】を選びました。

 

これが、今年メジャーデビュー30周年、結成から数えると実に34周年を迎えたスピッツの最新作です。それにしても、なんと言うみずみずしさ、まだこんなにも爽やかな歌詞を書くんだってね、驚きです。

 

しかも、そういう爽やかさがありつつ、それと同時に、こんなにかっこよさを表現できるとは、こういうところが、まさにスピッツだなって思うんです。

 


■この集中講義でも、草野さんが書いた、いわゆるラブソングを新旧問わずいくつか紹介してきましたが、草野さんの書くラブソングは、時代と共にどういう変化をしてきたのか…そんなことを考えながら聴いていました。

 

皆さんはどう思いますか?草野さんが作るラブソングは、時代と共に、どのように変わっていったと思っていますか?

 


■個人的に思ったのは、基本的にはずっと変わっていないのかなぁ、ということでした。

 

大前提としてあるのは、恋に落ちることや、想い人のことを考えることなどは、基本的には”おかしなこと”なんだと歌ってきたんだと思います。

 

今までの自分が、想いを寄せる相手によって変わっていく…今まで好きじゃなかったものを好きになったり、今まで絶対にしなかったような行動をとってみたり…

 

時には、好きになるべきではない相手を好きになってしまったり(もとい、好きになってはいけない相手など居ない、という考え方かもしれませんが)、ストーカー(?)みたいなことをしてみたり、果てには、相手と心中したり、後を追って命を経つような描写があったり…

 

かなり個人的な解釈も含めますが、そういう恋によってもたらされる変化を、全部ひっくるめて”おかしなこと”だと歌っているのかな、と思いました。

 

だから、直接的に相手のことを”好き”だとか”愛してる”とか言わずに、その”おかしなこと”を歌詞にすることで、恋に落ちていることや、相手のことを想っているということを、間接的に歌っている節があると思っています。

 


■今回の【大好物】においては、

 


君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き
そんなこと言う自分に 笑えてくる
取り戻したリズムで 新しいキャラたちと踊ろう
続いてく 色を変えながら

 

これなんかも、まさに恋によってもたらされる変化を描いていますよね。素直に、”君が大好き”と言えばいいものを、”君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き”ですからね笑。

 

君にとって大好きな物があって、ひょっとしたら、僕にとっては嫌いだった物なのかもしれないけど、一緒に時間を過ごすことで、気持ちが通じ合ってきたのか、自然とその物が、僕も好きになってきた、と。

 

例えば、音楽や食べ物の好みだったり、趣味だったり、本や映画だったり、何でもアリだと思います。

 

ただし、ここに”多分明日”という言葉が引っ付いているのも、絶対じゃないんかい!?今日じゃないんかい!?と思ってしまいますが、これも草野節なんですかね。

 

あとは、”取り戻したリズム”という表現がありますが、これは逆に考えると、これまではリズムを乱していたと捉えることもでき、やはりここも、君との生活によって、僕が変わっていくことを歌っているのだと思います。

 

”新しいキャラたちと踊ろう”、この”新しいキャラ”とは、紛れもなく”君”に恋をしたことで、また”君”と過ごすようになって、変わった”僕”のことを指しているのだと思います。

 


■とまぁこんな感じで、恋愛をしていない状態を通常の状態として、恋愛をしている状況を、その通常の状態から変わった状態だとして…つまり、”おかしな状態”だとして、草野さんはそれを描くことで、人が恋に落ちることがどういうことなのかということを示してきました。

 

【大好物】は、それでも割とストレートですよね。自分の好みが、想いを寄せているその人と似通ってくると。自然とそうなるのか、それとも、気を引きたいがためにそうなるのかはともかくとして、そういうことって誰しもあるんじゃないでしょうか。

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第28回

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きらめいた街の 境目にある
廃墟の中から外を眺めてた
神様じゃなく たまたまじゃなく
はばたくことを許されたら

 

 

■シングル『さらさら/僕はきっと旅に出る』やアルバム『小さな生き物』に収録されています、【僕はきっと旅に出る】の歌詞です。

 

この集中講義で紹介している歌詞は、別に好きな順番に並んでいたりとか、ランキングを作りたいとか、そういうことはないんですけど、この【僕はきっと旅に出る】のこの部分の歌詞に限っては、断トツですね、一番印象に残っています。

 

”好きな歌詞”というよりは、”大切な歌詞”という言い方が相応しいんだと思います。

 


■まず、この曲自体の記事は、もうすでに書いていますが、その記事では、東日本大震災とこの曲の関連について書かせていただきました。

 

紛れもなくこの曲は、東日本大震災の影響を受けていると感じますし、それによって受けた心の傷を描いていると共に、そこから立ち上がろうとしている、人々や町の様子を励まそうと歌われています。

 

やっぱり、【僕はきっと旅に出る】には、この側面が一番表れていると感じるのですが、今回の記事ではその部分の考察は省かせていただきます。

 


■僕が、この【僕はきっと旅に出る】を聴いていたのは、ちょうど仕事を辞めて、次の仕事の準備期間としてあれこれとやっていた時期でした。

 

第20回の記事で、【ビギナー】について書かせていただきましたが、その後の話ですね笑 仕事を辞めることは、一旦踏みとどまり2年くらいは粘って働きましたが、27歳の時に辞めました。

 

仕事を辞めた時に、次に就きたい仕事を、子どもの頃に夢に見ていた仕事と決めたのですが、すぐに就けるような仕事では無かったので、仕事を辞めて即就活を開始したわけではなく、その仕事に就くことを目標とした勉強や準備を始めるわけです。

 

結局、そうやって2年くらいですかね、バイトをしながら、必要な知識だったり、コネだったり、そういうのを身に付けていって、そこから改めて再スタートを切ることになるわけです。現在も、その仕事をずっと続けてやっていて、おそらく死ぬまで続けていく仕事になるのだろうと思います。

 


■準備期間は、孤独ではありました。親友と呼べる先輩が2人居て、しょっちゅう飲みに行ったりして、本当に救われていたんですけど、心の底からは楽しめてなかったかもしれません。それは、何も成し遂げていない自分に、後ろめたさがあったからだと思います。

 

周りに居る友達は、バリバリに仕事をしていて、家庭を築き子どもが居るやつもいる。一方の僕は、仕事も家庭もなく、未だに次の仕事に就くことに悪戦苦闘している段階である、と。

 

めちゃくちゃ焦ってた、というわけではないけれど、全然焦ってない、と言うのも嘘になります。自分はどうなるんだろう、という不安もありました。

 

【僕はきっと旅に出る】に出会ったのは、そんな時でした。

 


■何て言うか、自分のことを歌ってくれている、自分のための歌だと思うほど、自分の気持ちに寄り添ってくれたんです。

 

長くスピッツを聴いてきた、そのご褒美をもらっているような、あるいは、古くからの親友が励ましの声をかけてくれているみたいな、そんな気持ちになりました。

 

その想いが一気に溢れてきて、本気で号泣したのが、紹介している歌詞を読んだ時でした。

 


きらめいた街の 境目にある
廃墟の中から外を眺めてた
神様じゃなく たまたまじゃなく
はばたくことを許されたら

 

まず、ここの歌詞を読むと、震災のことが思い出されますが、その説明は今回は割愛します。

 

この辺りの歌詞を、自分の気持ちに当てはめて聞いていました。

 

まず、”きらめいた街”と”廃墟”の対比…この歌の人物は、”廃墟”の中にいて、そこから”きらめいた街”を眺めている、という構図ですよね。

 

”廃墟”とは、そのまま場所的な意味でも読めますが、僕の場合は、当時は何にもない今の自分の状況を当てはめていました。家庭はまぁ別に良いとして、仕事を辞めて、次の仕事に就くために勉強や準備をしてはいましたが、孤独で不安定な自分の状況については、まさに”何もない”と形容される状況でした。

 

一方の、”きらめいた街”とは、その反対の意味…これも場所的な意味でも読めるのですが、先程の”廃墟”と比較すると、精神的には自分が目指す自分像や生活ですね。

 

あとは、”神様じゃなく たまたまじゃなく”からの”はばたくことを許されたら”という歌詞について…”神様”は、まぁ”神頼み”という言葉があるように、何か願いが叶うように、奇跡が起こるように願いをかけるものですよね。そして、”たまたま”という言葉からは、”必然”ではなく”偶然”何かが起こるということが思い浮かびます。

 

”神様”も”たまたま”も、願いが勝手に叶ってくれることを願っていたり、偶然何かが思い通りにいくようなことを待っていたりと、決して自分の力で動くというのとはかけ離れているような気がします。

 

ただし、この歌詞では、神様”じゃなく”やたまたま”じゃなく”という風に、”神様”や”たまたま”に頼ることを否定しています。そして、そこに”はばたく”という言葉が続いているので、繋げて考えると、自分の意思や力でいつかはばたきたい、という強い気持ちを受け取ることができます。

 

”許されたら”という言葉も、とても印象的です。震災に絡めると、また少し違う意味合いに取れそうなんですけど、この言葉からも、タイトルにもなっていますが、”僕はきっと旅に出る”と、つまりは、今すぐはまだ無理だけど、いつかまた必ず旅に出たい、という気持ちが込められていると思っています。

 


■もうね、この歌はとにかく全体的に歌詞が素晴らしいんです。

 

2番のサビ前に出てくる、”でもね わかってる”からの”またいつか旅に出る 懲りずにまだ憧れてる”なんかも、ほんとに自分に言ってくれているような気がしていました。

 

切り替えて前向きになろう、また新しい旅に出よう、と…そういう励ましを否定するつもりは全くないのですが…”今”がつらい人には、「ちょっと待ってよ…」と言いたくなるかもしれません。ましてや、あの未曽有の大災害の後には、そういう風にすぐに立ち直れない状況にあったかもしれません。

 

決して、無理に背中を押すのではなくて、これも歌詞で出てきますが、”今はまだ難しいけど”と、少し考える余白をくれるような歌詞を書いてくれたのは、本当に草野さんの優しさだと思います。

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第27回

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果てしなく どこまでも続く くねくねと続く細い道の
途中で立ち止まり君は 幾度もうなづき 空を見た
飛べ ローランダー
飛べ ローランダー
棕櫚の惑星へ 棕櫚の惑星へ たどり着くまで

 

 

■アルバム『惑星のかけら』に収録されています、【ローランダー、空へ】という曲です。

 

アルバム『惑星のかけら』の最後の曲は、【リコシェ号】という、珍しくインストゥルメンタルの曲なので、何となくアルバムを締め括る歌、と言われると、どちらかと言うと、【ローランダー、空へ】を思い浮かべます。

 

壮大なバラードで、草野さんのボーカルにもエフェクトが加わっているのか、天から降ってくる声のようにも聞こえてきます。

 

この歌で歌っていることは何なのか。個人的には、”死”について歌っているのだと思っています。具体的には、”成仏”であったり、”死後の世界”みたいなものが描かれていると思っています。

 


■人は死んだら、どうなるのか。

 

これは、僕らにとって、永遠の問いであり、今のところは、その答えなどは存在しません。死後の世界があるのか、新しく別の生き物に生まれ変わるのか、同じ自分として別の場所でセカンドライフがはじまるのか、それとも、ただの”無”が続くのか…。

 

考え出すとキリがないし、眠る前に考えすぎて、眠れなくなってしまう、なんて経験をしたことがある人も居るのではないでしょうか。

 

僕は子どもの頃、”眠る”ということ自体が怖くなったことがありました。眠って意識がない状態…あれって、結局は”無”の状態だなって思ったんです。つまり、死んだ状態って、ああいうのがずっと続くのかなぁ、とか思っていたら、何だか眠るのが怖くなったことがありました。

 


■そういう意味では、この歌には、死ぬとどうなる?という問いの、草野さんなりの答えが、ひとつ示されているような気がしています。

 

何度も言ってきたように、草野さんが書く歌詞のテーマとして、「セックスと死」というのがありますが、この【ローランダー、空へ】は、個人的には”死”をテーマとした歌だと思っています。というより、”死”をテーマに書かれていると思われる歌詞の中で、一二を争うくらい、この歌詞は印象に残っています。

 


紹介している部分を、改めて載せてみると、

 


果てしなく どこまでも続く くねくねと続く細い道の
途中で立ち止まり君は 幾度もうなづき 空を見た
飛べ ローランダー
飛べ ローランダー
棕櫚の惑星へ 棕櫚の惑星へ たどり着くまで

 

亡くなった人が降り立ったのは、果てしなく広がる広野みたいなところ。火星みたいに、見渡す限り何にもなくて、そこには前へ伸びる道がずっと続いている。

 

その道を歩きながら、自分が生きていた時の思い出などを回想しつつも、少しずつ自分が死んだことを受け入れていくと、身体が宙に浮かび上がっていく。

 

そして、徐々に大地から身体は離れていき、無限の宇宙へと旅立っていく、”棕櫚の惑星”なる場所を目指して…

 

とまぁ、こんな感じの物語でしょうか。

 


■”ローランダー”とは、英語で”Lowlander”とでも書くのでしょうか。直訳すると”低地に住む人”となり、これはまさしく、地に足つけて生きている我々を指しているのかなと思っています。

 

その”ローランダー”は亡くなってしまって、魂となって空へと浮かび上がっていく、そういう光景をこの歌で描いているのだと思います。

 

謎なのは、”棕櫚の惑星”という場所…棕櫚は”シュロ”と読みますが、調べてみると、ヤシの木みたいな植物が出てきましたが、分かったところで、”棕櫚の惑星”の意味は分かりません。

 

ただ、アルバムのタイトルが『惑星のかけら』であり、”惑星”という言葉が共通しており、さらに”ホシ”と読ませるところも被っているので、意味合いとしても、同じものを指すんじゃないかと思っています。

 

僕は、このアルバムや歌における”惑星”という言葉は…一言では表せないけど、生命の誕生や死、人々の妄想や夢、この世の中の真理などがごちゃごちゃになったような場所…と言うより概念的なものを想像しています。人間の考えなどは、到底及ばないような、そういう超越的なもの、としか説明がつきません。

 

”ローランダー”は、そういうところを目指して旅をしている…それがまさに、この歌で意味するところの”死”なのだと、そういうイメージですかね。

 


■それから、【ローランダ―、空へ】に出てくる歌詞では、

 


このまま静かに羊の目をして終わりを待つコメディ
疑うことなど知らずに 何かに追われて時はゆく

 

という歌詞も、めっちゃ印象に残っているのですが、あんまりうまく説明ができそうになかったので(人生はコメディみたいなもので、何にも知らないでただ笑っているだけで終わっていく、みたいなことを歌っているのでしょうか)、この歌のイメージがよく湧くような歌詞として、冒頭の部分を選びました。

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第26回

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晴れた空だ日曜日 戦車は唾液に溶けて
骨の足で駆けおりて 幻の森へ行く
きのうの夢で 手に入れた魔法で
蜂になろうよ
このまま淡い記憶の花を探しながら

 

 

■アルバム『名前をつけてやる』に収録されている【日曜日】という曲の歌詞です。

 

この曲の曲調だったり、歌詞を全体的に読んだ感じは、非常にメルヘンチックというかファンタジーというか、どこかにピクニックにでも行くような陽気さを感じます。

 

その一方で、間奏部分ではいきなり、女の甲高い笑い声というか、喘ぎ声というか、狂ったように聞こえる声が入っていて、ちょっと不気味なんです。

 


■さて、歌詞の内容の考察なんですが…これは、もうエロさ全開の歌詞ですね!もちろん、個人的な解釈も大いに含めますが…いや、でも割とそのまんまに読める部分もありますかね笑 

 

何度も語っている通り、草野さんの書く詩のテーマとしては、「セックスと死」というのが知られているのですが、それは割と初期の作品に色濃く反映されているイメージです。

 

【日曜日】は、そういう意味ではエロの方向へ全振りしてるような曲なのですが、例えば、この集中講義で紹介しましたが、ヌードが見たい!と宣言している【ラズベリー】や、おっぱい最高!と叫んでいる【おっぱい】などとは少し違い、先述したようにメルヘンチックな歌詞に、その本心を隠しているような歌詞です。

 

そういう読み方をすれば…というのもありますが、歌詞の中に、性的表現の隠語がたくさん隠れているような気がします。

 


■例えば、紹介している部分の歌詞について。

 


晴れた空だ日曜日 戦車は唾液に溶けて
骨の足で駆けおりて 幻の森へ行く
きのうの夢で 手に入れた魔法で
蜂になろうよ
このまま淡い記憶の花を探しながら

 

包み隠さずに言いますと…

 

”戦車”…男性器の隠語

 

”唾液に溶けて”…”戦車は~”からのこの表現なので、おそらく口淫を表している

 

”骨の足”…これも何かを表しているような気がしますが、何でしょうね。繋がりを考えると、舌とか?

 

”幻の森”…女性器の隠語

 

”蜂”と”花”…そのまま男性器と女性器の隠語で、セットでできているから、イヤ~んな行為にも繋がる表現か。

 

などなど。他の部分の歌詞だと、”峠”が女性の身体のラインを表していたりするかもしれません。と、読んでいくと、途端にどの言葉も、そういう風に読めるような気がしてきます笑

 


■ただし、紹介している歌詞の部分だと、後半部分、もう一度抜き出して書くと、

 


きのうの夢で 手に入れた魔法で
蜂になろうよ
このまま淡い記憶の花を探しながら

 

”きのうの夢”や”淡い記憶”などの言葉があるように、この歌全体が、夢や妄想である可能性もありますね。

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第25回

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変わっていく空の色と 消えていく大好きなにおい
だけどこんな日にはせめて 僕のまわりで生き返って
プカプカプー プカプカプー プカプカプー ラララララ
プカプカプー プカプカプー プカプカプー

 

 

■インディーズ時代のとても古い楽曲である、【晴れの日はプカプカプー】の歌詞です。

 

インディーズ時代に発表した、『ハッピー・デイ』というカセットテープに収録されているようですが、そのカセットテープはレア物過ぎて、現在はほとんど入手が不可能である代物です。

 

しかし、2016年に発売されました、スピッツ日本武道館公演を収録した、映像作品『THE GREAT JAMBOREE 2014 ”FESTIVARENA” 日本武道館』において、【晴れの日はプカプカプー】のライヴ映像や、(限定CDには)ライヴ音源が収録されており、この曲を聴けるようになりました。

 


■そんなインディーズ時代の楽曲【晴れの日はプカプカプー】ですが、さすがインディーズ時代、歌詞の世界観が非常に奇天烈なんです。

 

メジャーデビューした後の初期の楽曲、例えば【テレビ】や【ビー玉】など、デビュー初期の歌詞の雰囲気に近いというか、そのもっと根源にあるような世界観ですね。

 

そもそも、タイトルから当たり前に出てきていますが、”プカプカプー”ってなんだよって思うわけです。幼い子どもが読む絵本なんかにも出てくる言葉や、赤ちゃんをあやすためのオノマトペみたいにも読めます。

 

最後の”プー”は分かりませんが、”プカプカ”という言葉から連想されるのは、何かが浮かんでいるような状態ですよね。水の上だったり、空の上だったり、”プカプカ浮かんでいる”みたいな感じで使ったりします。

 

あとは、たばこを吹かすときに、”たばこをプカプカ吸う”みたいな感じに使ったりしますよね。実際に、どこで読んだか忘れましたが、この【晴れの日はプカプカプー】の”プカプカプー”は、たばこを吹かしている状況、みたいなのを読んだことがあります。確か、草野さんがそう語ったのをどこかで見たことがあります。

 


■個人的には、全体を読んだ感じから想像したのは、”プカプカ”からは、何かが空に浮かんでいる様子が連想されました。で、何が浮かんでいるかなんですけど、僕は”魂”を当てはめています。

 


変わっていく空の色と 消えていく大好きなにおい
だけどこんな日にはせめて 僕のまわりで生き返って
プカプカプー プカプカプー プカプカプー ラララララ
プカプカプー プカプカプー プカプカプー

 

紹介している部分だと、”僕のまわりで生き返って”という表現がありますが、こんな風に全体を通して、この曲の歌詞からは、人の”死”が見え隠れして読めて仕方がないんです。

 

そこで、”魂”が浮かぶ、とはどういうことが想像できそうかと言うと、具体的には、①魂が成仏してあの世へと帰っていく場面、②魂があの世からこの世に帰ってくる場面、この二つを考えました。

 

①だと、これは集中講義の第2回で紹介しました、【テレビ】の歌詞に近い考え方ですね。こちらの解釈でいくと、この歌の始まりが、”自転車走らせてる”という歌詞なので、【テレビ】と同様、この歌の主人公にも、子どもの姿を当てはめています。

 

身近な人が亡くなって、その人の魂が成仏して空に浮かんでいくところを想像しているのですが、こっちの解釈だと、火葬場から上がる煙が空へと舞いあがっていく光景も想像しました。

 

ちょっと不穏なのが、”見えない翼で舞い上がる”のところが、後追い自殺という解釈へ繋がりそうなところですかね。

 


■個人的には、②の解釈を当てはめて聴いています。

 

例えば日本には、故人を偲ぶ風習のひとつとして、お盆がありますよね。古くから、お盆には故人の魂が、あの世からこの世へ帰ってくると言われており、色んな方法で故人を迎えます。

 

タイトルにもなっている”晴れの日”だから、夏の暑い、雲一つない青空をイメージしていますが、そこから故人の魂が降りてきて、一緒に過ごすことを願っていると、そういうことですよね。

 

ただ、紹介している歌詞には、”変わっていく空の色と 消えていく大好きなにおい”というのが出てきていますが、ここは時間の経過とともに、故人との思い出が薄れていってしまっている、ということを意味しているのかなと思いました。

 

それでも、”僕のまわりで生き返って”や、他の部分だと、”今日は眠りの奥深く 逃げ込んだりしなくていい”という歌詞にある通り、今日1日だけは、故人の在りし日に想いを馳せながら過ごすという光景が浮かんできます。

集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第24回

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分かち合う物は 何も無いけど
恋のよろこびにあふれてる

 

 

■アルバム『フェイクファー』に収録されている、表題曲【フェイクファー】の歌詞です。

 

ここスピッツ大学でも何度も話してますが、僕がスピッツに出会ったのが、もうかれこれ25年くらい前、当時僕は小学生でした。シングル曲【チェリー】を聴いて、スピッツの存在を知り、そこからずっと活動を追い続けています。

 

特に、自分がスピッツ愛を深めたきっかけの作品としては、アルバム『インディゴ地平線』『フェイクファー』『花鳥風月』でした。

 

この三作品を、当時中学生の自分は、何度も何度も聴いていました。今までで、一番スピッツを聴いていた時期かもしれません。その時期があったからこそ、スピッツ愛が深まったんだと思います。

 


■ここスピッツ大学では、まぁこの集中講義がその最たる例ですが、この曲はどういうことを歌っているのだろう、どういう物語なのだろう、とあれこれ考察し、そしてそれを発表することに重きを置いています。

 

ただ、スピッツの楽曲でそういう聴き方をし始めたのは、高校生や大学生の頃で、中学生や、ましてや小学生の自分は、やはり曲の表面的な雰囲気を感じ取りながら聴いていました。この曲は、何だか楽しい雰囲気だなとか、悲しい雰囲気だなとか、そういう感じ方を重視して聴いていたんです。

 

それでも、件の三作品を聴きながら…おそらく小6~中3の頃に聴いていたと思うのですが、少しずつ、歌詞から何かを感じ取りながら聴き始めていたのだと思います。

 


■その三作品の中でも、特別な想いを持って聴いていたのが、アルバム『フェイクファー』、特に、表題曲の【フェイクファー】でした。

 

僕が、子どもの頃にこの曲に抱いたのは、怖いという感情でした。何か、子どもの自分には読んではいけないもの、大人の世界にあるものを読んでいるような気持ちでした。

 

そもそもタイトルが、フェイク=fakeで意味は偽物、ファー=furで意味は毛皮、ということで、繋げて意訳すると、”偽物の温もり”となり、この曲が最後に入っていることもあり、何て言うか小説で言うところの、結末の大どんでん返しという感じ、幸せだった物語は実は全くの偽物だった、というオチのように思えたのです。

 


■ただ、この歌で一番重要だと個人的に思うことは、例えば紹介している部分の歌詞が示しています。

 


分かち合う物は 何も無いけど
恋のよろこびにあふれてる

 

全体的な歌詞の内容から、大きくは恋愛がテーマであることは想像できるのですが、歌の主人公は、自分が相手と”分かち合う物は 何も無い”と歌っているのです。

 

これは、この歌で描かれているのは、特殊な形の恋愛…例えば、僕が想像したのは、お互いに正式な相手が居る状態での恋愛、つまりは浮気や不倫などだったり、個人的には、体を売る女性との恋愛なども想像しました。

 

そういう、叶えることが難しい…それ以前に、そういう形の恋愛自体が許されないような状況の中でも、はっきりと主人公は、”恋のよろこびにあふれてる”と歌っているのです。

 

ここの部分を読むと、何とも言えない気持ちになるんですよ…これを、気持ちの強さの表れと捉えるか、はたまた、不貞な恋愛へ堕ちた愚かさと捉えるか、どうなんでしょうね。

 

しかし、”偽物”と名付けられてしまった恋愛でも、当事者にとっては、好きになったという気持ちは、やはり”本物”であり、純粋であり、何か切ない恋愛ドラマでも見ている気持ちになります。