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92時限目:小さな生き物

【小さな生き物】

 

■アルバム『小さな生き物』に収録されている曲です。見ての通り、表題曲になっています。最近の曲なので、個人的ランキングには反映されていませんが、良い曲だと思っています。

 


■何度も同じことを書きますが、また書かせていただきます。

 

2011年3月11日、東日本大震災という、未曽有の災害が日本を襲いました。僕は直接その被害にあったというわけではないが、日々繰り返される報道に、心を痛めた人間の一人ではあります。

 

その影響で、同年3月25日に発売を予定していた、スピッツメジャーデビュー20周年を記念して作られた、20年分の全PVを収録したDVD『ソラトビデオCOMPLETE 1991-2011』が発売延期されたり、草野さん自身も、繰り返される報道に心を痛めて、急性ストレス障害(真偽は定かではない?まぁとにかく心を痛めたわけだ)を患って療養をされて、ライブを延期させたりしました。

 

自身の音楽観はおろか、きっと死生観にも影響を与えたであろう、そんな災害を乗り越えて、2012年終わりだったか、2013年始まりだったか、スピッツが新しいアルバムを作ろうと活動をしている、という知らせが届きました。本当に、これほどスピッツの新曲が聴けるんだってことに喜んだことはありませんでした。

 

そして2013年、シングル『さらさら / 僕はきっと旅に出る』の発売を経て、オリジナルアルバムとしては3年ぶりになる、アルバム『小さな生き物』が発売になりました。本当に本当に嬉しかったです。

 


■色んなことを乗り越えて発売されたアルバム『小さな生き物』、そんなアルバムの表題曲にもなっている曲なので、今一番伝えたかったことが詰まっている曲と言っても過言ではないでしょう。

 

そういうわけで、この曲を初めて聴こうとした時に…確かPVが先に発表されたんじゃなかったでしたっけ、そのPVを見ようとした時、なんて言うんだろう、変な緊張感を感じていたと言うか、変に構えていたのを覚えています。何なら、ディスプレイの前で正座をしていたかもしれません…嘘です、していません。

 

この曲のひとつ前に発表された【さらさら】は、曲の印象はそうではありませんでしたが、PVの感じがとてもシックで、何となく粛々と鎮魂歌でも歌っているような、そんな印象を受けたものでした。

 


そこへ続いて、【小さな生き物】という曲のPVでしたが、僕はこのPVを見た時、この曲を初めて聴いた時、妙に安心したのを覚えています。あ、やっぱりスピッツスピッツなんだなって感じました。何となく、一昔前のスピッツを思い出しましたが、同時に新しさも感じる…新しいんだけど、どこか懐かしさを感じる、不思議な感覚でした。そして、歌詞の内容はともかくとして、曲やPVの雰囲気はさわやかで明るく、陳腐な言い方かもしれませんが、”光”や”希望”を感じました。

 

とにかく、メンバーのみなさんが若々しくて、特に草野さんの半パン姿(三輪さんも)には、少年かと思ったほどです…嘘です、ちょっと盛りました。まぁ、とにかくみなさん若々しいなぁって感じました。

 

小さな生き物 PV

youtu.be

 


■歌詞の紹介・解釈です。

 

まず、アルバムタイトルにもなっている”小さな生き物”という言葉。そのタイトル通り、アルバムには生き物の名前や、生き物を感じさせる言葉が色々と出てきています…コオロギ、オパビニア、野生、遠吠え、スワン、など、他にありますかね。元々、草野さんの書く詩には、生き物の名前がたくさん出てきますので、珍しいことではないのかもしれませんが、タイトルがタイトルなだけに、やけに目につきました。

 

そこへきて、【小さな生き物】という曲。この曲は何となく、それらアルバムの楽曲をまとめている曲というか、本で言うとプロローグ的な位置付けの曲だと感じました。

 


出だし(サビ)の歌詞はこうでした。

 


負けないよ 僕は生き物で 守りたい生き物を
抱き締めて ぬくもりを分けた 小さな星のすみっこ 

 

ここがこの曲の、ひいては、このアルバムの内容を集約させている部分だと感じます。印象的だったのは、”僕は生き物で 守りたい生き物を”というフレーズです。初めのうちは、何となく違和感を感じた表現だったけど、妙に納得できるようになりました。

 

例えば、道端に捨てられている、段ボール箱の中の子犬や子猫を抱きあげる場面。抱き上げる側(人間)も、抱き上げられる側(子猫や子犬)も、どちらも生き物であると。ペットを飼っている人ならば、それをイメージしても分かりやすいかと思います。飼っている側も、飼われている側も、どちらも生き物なんだと。

 

生き物だからこそ、生き物を大切にする気持ちを持てるもの。それは、生きとし生ける人間の、基本的な感情なのではないでしょうか。それは、何も人間とペット、という関係だけでなくて、人間と人間の間でも、同じことが言えるのではないでしょうか。

 

というより、あの時は、誰もがそういうことを感じたはずです。助け合って生きないと、困った人にはできるだけ手を差し伸べようと、自分に少しでもできることはないか、と。

 

僕ら人間も、地球規模で見れば、本当にちっぽけな生き物だし、その地球もまた、宇宙からみれば本当にちっぽけです。まさに、何もかもが”小さな生き物”だと思えてきます。しかし、紛れもなく、ちっぽけな存在がつながりあって、犇めくように生きて、この世界が作られているのです。

 


■あとは、

 


知らないままで 過ごせるのなら その方が良かったこととか
たくさんあるよ だけど今だに アホな夢見てる

 

臆病な背中にも 等しく雨が降る
それでも進む とにかく先へ 有っても無くても

 

などのフレーズ。先ほどのサビの歌詞にも、”負けないよ”という、強い言葉がありました。ここらへんは、先述しましたが、未曽有の災害を乗り越えた、あるいは、乗り越えようとしている人たちへ、希望や光を与える、草野さんなりのエールだと思いますし、それと同時に、草野さん自身もその一人であったということが、切に感じ取ることができます。

 

歌を聴いて励まされるリスナー側も、素晴らしい歌を届けるアーティスト側も、どちらも生き物なのだと。生きているからこそ、音楽の力に励まされるわけです。音楽の持つ力を、今一度感じることができた瞬間だったと思います。