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94時限目:月に帰る

【月に帰る】


月に帰る

月に帰る

 

■アルバム『スピッツ』に収録されている曲です。個人的ランキング、195曲中147位でした。順位こそ上がらなかったものの、良い曲だと思います。

 

ランキングをつけた後、もしくはランキングをつけながら、改めてデビューアルバム『スピッツ』を聴き直したんですけど、改めてこのアルバムは良い作品だと感じます。聴けば聴くほどに、深い作品で、分かるようで分からない感じが、またクセになってきます。

 

昔はそうでもなかったけど、今聴き直すと、何となくですが意味が分かったり、気付けなかった良さに気付いたりしました。今ランキングをつけ直すと、きっとこのアルバムの曲は、もっと上位にいくと思いますが、後の祭りです、笑。

 


スピッツの初期の頃の曲にはポツポツありますが、この曲の作曲者は、ギターの三輪さんです。wikiによると、「歌が始まっても、ずっとアルペジオを弾いているってのをやりたかった」そうです。

 

後述するように、あんまり明るい解釈のできる曲ではありませんが、曲調はそんなに暗いものではありません。アウトロとかも長くて、どこか宇宙っぽいものを感じます。タイトルに”月”という言葉を使っているからでしょうか。

 


■”月に帰る”というタイトルを聞いて、まず真っ先に思い浮かんだのは、日本の昔話の「かぐや姫」でした。原作だと、「竹取物語」という名称ですね。

 

<ストーリー概略>
その昔、おじいさんが山で竹を取っていると、一本の光っている竹を見つけます。不思議に思って、その光る竹を切ってみると、なんと中に小さな女の子が入っていました。
おじいさんは、その女の子を連れて帰って、おばあさんとともに、自分の子どものようにその子を大切に育てました。そして、女の子が家に来てからというものの、色んな不思議なことが起こって、おじいさんの家は、とても裕福になりました。
その娘の名前を「かぐや姫」と名付けて、大切に育てました。
(中略)
ある日の夜、かぐや姫は言うのです。私は、人間の世界の者ではなく、あの夜空に光り輝く月の都の者なのだ、と。もうすぐそこから迎えが来るので、月に帰らないといけないのです、と。
そして、その言葉通り、月から迎えが来て、かぐや姫は月に帰って行ってしまいましたとさ、めでたしめでたし。

 

…と、簡単に話すとこんな感じですね(いや、長くね?笑)。5人の人間に求婚された話とか、月に帰る時に不老不死の薬を残していった話とかあるらしいですが、きりがないので割愛します。

 

とにかく、このかぐや姫が”月に帰る”という部分を、最初はそっくりそのまま、スピッツの【月に帰る】という曲を聴いて、思い浮かべていました。

 


■しかしながら、こんなに長々と書きましたが、歌詞をよく読んだ限り、あまり関連は感じません。今は、別の解釈をしています。

 

もう何度も言ってきましたが、草野さんは”丸い物”を、”死”の象徴と考えているようです。特に、初期の頃の歌詞には、色々と丸いものが出てきますね、この曲に出てくる”月”、あとは、ビー玉、あわ、飛行船、星、などもそうなんですかね。全部が全部そうであるわけではないと思いますが、これらが出てくる歌からは、何となく人の生死のイメージが浮かんでくるんですが、どうでしょうか。

 

ということで、”月に帰る”とは、ずばり、”死ぬ”ということだと思います。もっと宗教的というか、非科学的に考えると、”死んで成仏して、魂があの世に帰っていく”ということですかね。

 


歌詞を見てみると、出だしからこんなフレーズで始まります。

 


真赤な月が呼ぶ 僕が生まれたところさ
どこだろう
黄色い月が呼ぶ 君が生まれたところさ
湿った木箱の中で

 

月、という場所を、僕(君)が生まれた場所である、と歌っています。そして、タイトルから、月に、つまり生まれた場所に帰っていく、ということになります。

 

生まれた場所に帰る、とはどういうことか、と考えた時に、”死”のイメージが浮かんできました。天国だとか、あの世だとか、そういう人の生死を司る場所があるとして、そこに帰っていくということで、死んであの世に行ってしまう、という解釈に繋がりました。

 


■ただ、ここからの解釈が微妙です。

 

まず、死んだ人物についてですが、この歌の中には、最初に紹介した出だしの歌詞のように、”僕”と”君”という人物が出てきており、さらにこんなフレーズがあります。

 


今日の日 綺麗に過ぎていく
もうさよならだよ君のことは 忘れない

 

ここを読んでどんな風に解釈するかですが、君が死んでしまったから、僕が君にさよなら、と言っているということなのか、僕自身が死んてあの世に行かなければならないので、君にさよならと言っているということなのか、どちらの解釈としても成り立つような気がします。君が死んだのか、僕が死んだのか、それとも、二人とも死んだのか、ですかね。

 


あとは、このフレーズ

 


湿った木箱の中で 
めぐり逢えたみたいだね

 

”湿った木箱”とは何を指すのでしょうか。どういう状況で”めぐり逢えた”のでしょうか。

 


■これらの言葉を総合的に考えると、色々な解釈ができそうです。


例えば、君が死んでしまったパターンで解釈すると、先述したように、ただ単純に、君が死んでしまったから、悲しいけどお別れをしないとね、さようなら、という流れになりますかね。

 

例えば、僕が死んでしまったパターンで解釈すると、これも単純に、成仏しながら君にさようならと言っている、と考えることもできますし、または、君の方も死んでいて、僕が後を追って死んだ、と考えることもできます。そして、やっとあの世でめぐり逢えたね、と言っているという解釈もできます。しかし、その時間にも限りがあって、お別れの時になって、さよならと言っている、という流れに繋がります。

 

あとは、二人とも死んでしまった、という解釈にすると、心中したとも考えられますかね。

 


などなど。この辺の詳しい解釈は、何となくはっきりしない感じですが、まぁ、無理やりに”死”に繋げなくても、ただ、君と僕の別れのシーンであるということにすればいいんですけどね。

 

まぁ、僕は丸い物=”死”の象徴だと思っているので、何処かで”死”に繋がっているんじゃないかな、と思いますがどうでしょうか。