112時限目:流れ星
【流れ星】
■20枚目のシングル曲です。アルバムとしては、スペシャルアルバム『花鳥風月』に収録されています。というより、アルバムが先ですね、そこからシングルカットされたんですね。
この曲の発表までの流れについて、wikiの情報をそのまま追っていきます。
まず、そもそもこの曲は、アマチュア時代からあった、とても古い曲だったらしいです。
確か、何かの動画で、古いバージョンの【流れ星】を聴いたことがあるんですけど、あんまし覚えていないんですよね…。やっぱり古かったので、草野さんの声質が違っていましたね。今のように優しく歌う感じではなくて、ワイルドな感じでした。音源もLIVEバージョンでしたし、くぐもっていました。
同曲は、セカンドアルバム『名前をつけてやる』の時期くらいまで、レコーディングの候補に挙がっていたらしいですが、結局は見送られたみたいです。
そして、時が経って、1996年になって(スピッツが『インディゴ地平線』を発表した頃でしょうか)、辺見えみりさんのアルバムに収録されたそうです。というより、アルバムのタイトルが『流れ星』であり、他に【夢じゃない】【ハニーハニー】【サンシャイン】も収録されたらしいです。
これも、少し聴いたことがありますが、こっちの方は、はっきり言って全然印象にはありません。
そして、1999年、満を持してセルフカバーをして、スペシャルアルバム『花鳥風月』に収録、その後シングルカットという運びになったそうです。
なんか、こういう曲いいですよね。発表までに長く長く時間がかかって、満を持してようやく自分たちの手で!って感じでね。
■僕は、個人的にも、この曲が大好きなんです。個人的ランキング、195曲中14位でした。シングル曲の中でも、かなり上位に入っていると思います。
特に、これという思い出があるわけではないですが、僕がスピッツを聴きはじめた一番古い記憶が、カセットテープに吹き込んだ『インディゴ地平線』『フェイクファー』『花鳥風月』なんです。その3つのテープはほんとに宝物のように大切にしていました。
小学生・中学生の頃、本当にテープが擦り切れるくらい、実際に擦り切れてると思いますが、それくらい何度も聴きました。その中のひとつ、『花鳥風月』の1曲目が、【流れ星】だったんです。
うまく説明できないですけど、『花鳥風月』の1曲目が、【流れ星】であることに、何となく特別なものを感じていたんです。いや、今でも感じているんですけどね。
■一言、すごくきれいな曲です。メンバーの静かながらもロックな演奏と、草野さんのきれいなアコギの演奏がうまく混ざり合って、何となく、夜に満天の星空を眺めているような情景が浮かんできます。
ボーカルもきれいですよね。この曲は、2回転調がある…のかな。その度にキーが高くなっていく草野さんのボーカルが、とてもきれいなんです。まぁ、自分で歌うのには、カラオケ泣かせの曲ですけどね…。
■そして、歌詞の解釈ですが…これはどういう歌なんですかね。
まずね、僕はこの曲の二番のAメロの歌詞が、本当に好きなんです。スピッツの全曲の歌詞の中でも、特に印象に残るフレーズのひとつですね。
(いつか、気に入ったフレーズ特集でもやってみようかなぁ…)
こんな歌詞です。
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君の心の中に棲む ムカデにかみつかれた日
ひからびかけていた僕の 明日が見えた気がした
誰かを憎んでたことも 何かに怯えたことも
全部かすんじゃうくらいの 静かな夜に浮かんでいたい
*
この辺り、読んでみて、どんな想像ができますかね。色々想像させるような、こういう歌詞は、本当に草野さんの詩の魅力が詰まっていると言えます。
僕の想像では、まず素直に読むと、”僕”が”君”に恋をしていて、ベッドに横になっているけど、君に思いをはせていつまでも眠れない、という感じでしょうか。”ムカデにかみつかれた”とか、何となく、一瞬のうちに恋に落ちてしまった、という感じがしますし、”明日が見えた気がした”とかも、君と言う存在が、平凡だった自分の生活を変えてくれた、とも考えることができます。
後半の2行も、すごく素敵じゃないですか。君のことを思い浮かべると、憎らしさや不安なんかも、全部吹き飛んじゃうくらい、心が純粋になる、ということでしょう。
■という、上述のような解釈になると思うんですが、もう少し読んでみると、この部分が僕は気になります。
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流れ星 流れ星 本当の神様が
同じ顔で僕の窓辺に現れても
*
ここに”神様”という言葉が出てきます。ここのブログでも何度か言ってきましたが、個人的な意見ですが、草野さんが”神様”というフレーズを使う時は、何となくそれを”死の象徴”として使っているんじゃないか、と思うのです。
だからと言って、ここの部分をどう解釈すればいいのかは分かりませんが、とにかく”死”がこの歌に関わっているのだとしたら、君は故人である、という解釈に繋げることができるかもしれません。
例えば、誰しもあると思うんですけど、眠る前に、やけに壮大な想像をしてしまって、眠れなくなることありませんか?具体的には、宇宙はどうなっているんだろうとか、何で自分は生きているんだろうとか。それは、”死”に関してもそうですね、死ぬとどうなるんだろうとか、死ぬのは怖い、とかね。
ということで、”本当の神様”というのは、”誰しもにいつかは訪れる死”、ということを表しているのかもしれません。
この場合だと、死んでしまった君を思い浮かべて、僕もいつか死んでしまうんだよな、って思っているのだという解釈になりそうです。
だから、別にこの場合だと、君は恋愛対象じゃなくても成立しますね。親でも友達でも。草野さんは、確かおじいさん…だったっけ、小さい頃に続けて2人失くされて、それが”死”を考えるきっかけになったって、本でしゃべってましたが、そういうのも繋がっているのかなって思います。
僕も、高校生の時に、父親を亡くしたので、何か気持ちがこの曲に重なります。友だちの群れから離れて、何となく一人になりたかったことが、この時期に時々ありました。
この歌からは、なんかそういった、壮大でとてつもない”死生観”を感じるんですが、どうでしょうか。
■他にも、この歌に関しては、エロい解釈もできそうだと、個人的には考えているんですが、それを話すと雰囲気が壊れるので、今回は自重します。上述のような解釈で、ファイナルアンサーにしておきます、笑。
流れ星 MV
MVも素敵ですよね、ちょっと笑えますけど。草野さんが居なくて3人だけの演奏風景も珍しいですし、3人が宇宙を漂っている草野さんを見上げて、物思いにふけっているところは、何か泣きそうになってきます。
不吉な言い方ですが、草野さんが死んでしまって、メンバーが草野さんへ思いをはせながら演奏をしているみたいに思えます。