【アカネ】
アルバム「ハヤブサ」に収録され、トリを飾る曲です。僕は、この曲がものすごく好きなんです。なんとなく、目立って評価されていない曲のような気もしますが、僕はこの曲がものすごく好きなんです。
イントロから、まずすごく美しいです、景色が浮かんでくるイントロとは、まさにこのことを言うんだろうな。例えば、河川敷を、真っ赤な夕陽を背に歩いている、そんな光景がありありと浮かんでくるようです。
…しかし、歌詞の一部分に、
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晴れの予報も ハズれたけど
朱くかすむ 夕陽を待とうか
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とあるように、曇っていて、もしくは雨が降っていて、きれいには見えていないのかもしれない、ということに気付かされました…。
この歌、とにかく歌詞がきれいで、読んでいるだけでも、色んな物語を想像できる曲だと思います。
個人的には、失恋の歌なんじゃないかな、と思っています。告白してフラれたのか、付き合っていて何かの理由で別れたのか、色々あると思いますが、とにかく、大切な人へ気持ちが届かなくて、感傷的になりながらも、夕陽を背にとぼとぼと歩いている、というようなイメージです。こう読むと、実際に晴れていないということではなくて、心が晴れていない、という意味で、晴れの予報がハズれた、というイメージにもなります。
ゴミに見えても 捨てられずに…ここの表現は、それでもやっぱり諦めきれない、ということだろうか。
そして、この歌詞
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身体のどこかで 彼女を想う
また会おうと言った 道の上
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すごい詞だと思いました。最初に読んだ時から、もうずっと感動し続けています。普通は、心で思う、とかになるんだろうけど、身体のどこかで、としているところが何とも言えないんです。心がどこにあるのか分からないほど、全身全霊で彼女のことが好きなんだと、そういう強くも、どこか悲しい想いが伝わってきます。
そして、この歌の中で、「彼女」という言葉が出てくるのは、実はここだけっていうのが、何ともにくい。
他にも、好きだった人が遠くへ行ってしまうイメージ、ただ引っ越すだけなのか、あるいは死別なのか、など、たくさんの物語を想像できると思いますが、とにかく、共通してあるのは、彼女への一途な想いなんだと思います。
最後に、この【アカネ】というタイトルについてです。夕陽だとか、朱くかすむとか、そういう表現が出てくるので、まず夕陽の色を形容する色としての、「茜色」が思い浮かびますが、少し調べてみると、「アカネ(茜)」という植物があることが分かりました。植物の名前の由来は、赤い根→赤根→アカネ、らしいです。根っこを煮て、その煮汁で染め物が行われ、その色を「アカネ」とそのまま呼ぶことになったらしいです。
ちなみに、このアカネの花言葉は、「私を想って」です。