【君だけを】
■アルバム『Crispy!』に収録されている曲。その後、約4年後に、16作目のシングル『夢じゃない』のカップリング曲としてシングルカットされた、ちょっと特殊な曲ですね。
wikipediaの情報によると、三輪さんが、この曲を「メタルのバラード」と評したらしいです。バラードではあるけど、メタルっぽいってことでしょうか。
■これは、あくまで僕の勝手な解釈なんですが(今更だけどな)、この歌は、前回の記事で書いた【君が思い出になる前に】という曲の、その後の物語だという想像をして、いつも聴いています。
まず、同じアルバムに入っているという点、そして、両方ともタイトルが”君”という言葉から始まる曲だという点、その2つの共通点からつながりを感じたと、非常に安易な理由ではあります。
一応、参考までに、前回の【君が思い出になる前に】の記事のURLです↓
http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2015/08/01/214535
■【君だけを】の感想・解釈を書いていきます。まず、出だしの歌詞から。
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街は夜に包まれ 行きかう人魂の中
大人になった哀しみを 見失いそうで怖い
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何となく、都会的な風景、サラリーマンなどの都会人が往来する道を歩いている光景が浮かんできます。その群衆の中に男は紛れて、憂いを吐露しているのでしょう。都会の生活に息苦しさを感じ、仕事にも疲れているのかもしれません。
続けて、こんなフレーズへとつながっていきます。
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白い音にうずもれ カビ臭い毛布を抱き
思いをはせる 夜空に
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”思いをはせる”…男の中で、時間が一気に巻き戻っていくのです。思い出すのは、恋人であったが、”僕”が旅立つことを機に別れた、あるいは、遠距離恋愛で恋人関係を続けている”君”のこと、その”君”と過ごした時間や町のこと。夜空を一人見上げて、その向こう側のどこかにいるであろう、”君”のことを思い出しているのです。
■そして、サビの部分ですが、”君だけを必ず描いている ずっと”というフレーズの繰り返しになっています。
もうすでに”君”と別れているのか、それとも遠距離恋愛が続いているのかは定かではありませんが、男の心の中に居るのはずっと、タイトル通り、君だけなのです。
都会の生活にもまれ、歳を取り、仕事に疲れ果てる毎日。色んなことが変わっていく。それでも、自分の中にひとつだけ、ずっと変わらないことがある。君と言う存在、君だけを思い描いていくこと…それが、それだけが、いつだって僕が僕として生きていることの証明なのだと。
■ということで、冒頭で言った通り、【君が思い出になる前に】の後のストーリーであると想像しながら、【君だけを】という曲をいつも聴いています。つまり、【君が思い出になる前に】で別れた”君”のことを、【君だけを】で僕が思い出している、という流れになりますね。
まぁ、別にこのつながりを無視しても、【君だけを】の解釈単体でも、十分に成り立つと思います。でも、僕も一応、時々自分で詩を書いたり歌を作ったりするからちょっとは分かっているつもりなんだけど、結構同じ時期に書いた詩ってのは、無意識に繋がりを意識しているもんなんです。