105時限目:鳥になって
【鳥になって】
■シングル『魔女旅に出る』のカップリング曲で、その後、時が経って、カップリング曲やインディーズ時代の曲を集めたスペシャルアルバム『花鳥風月』に収録されました。
個人的ランキング、195曲中61位でした。案外上位だったな、というのが率直な印象です。もともとインディーズ時代の曲であることもあって、パンクロック色の強い、ワイルドで荒削りな曲だという印象を受けますが、この時期でもうすでに、メンバーの演奏技術の高さを垣間見ることは十分できます。
■【鳥になって】は、インディーズ時代からあった曲で、当時のスピッツにとっては代表曲だったらしいです。
1988年11月、この【鳥になって】と、【UFOの見える丘】というインディーズ時代の曲を合わせて、2曲入りの”ソノシート”が、限定1000枚で自主制作されたそうです。
”ソノシート”とは、wikiの説明によると、レコード盤の一種だそうです。通常のレコードとは違って、薄くて柔らかいため、当時は雑誌の付録などに利用されたそうです。CDやレコードを作るよりも、非常に安価であるらしく、ソノシート『鳥になって』も、1000枚10万円で作られたそうです。
もちろん、現在は生産はされていません。調べたところによると、市場に出回ったソノシート『鳥になって』が、5万円で取引された記録が確認できました。本当に貴重な物なんですね、そもそも生産が限定1000枚ですからね。
■単行本『旅の途中』に、当時の話が少し載っていましたので、抜粋して少し紹介しておきます。
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88年11月にスピッツはソノシートを作った。タイトルは『鳥になって』。A面が「鳥になって」、B面が「UFOの見える丘」だ。
インディーズのバンドはとりあえずソノシートを作ってみる、作ると箔がつくという感じだった。
『鳥になって』は、五番街のチャートの10位に入ったことを覚えている。売れる数全体が少ないから、5、6枚売れれば10位くらいにはなったのかもしれないけど、ベストテンの中にスピッツの名前が入っているのは、やはり嬉しかった。
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ということで、ソノシート『鳥になって』は、主目的はもちろんバンドのPRだとは思いますが、スピッツにとって初めて販売目的として作られた音源だったのでしょう。
この時代のスピッツは、曲を作って、音源を作って関係者に聴いてもらったり、精力的にライブを行ったりして、とにかく自分たちを売り込もうと頑張っていたのでしょう。ソノシート『鳥になって』は、そんな時代の産物なのでしょう。持っている方は、お大事にしてください。
■前置き長くなりました。それでは、【鳥になって】とはどんな曲なのか、考えてみます。…と言っても、正直、あんまり分かりませんが、笑。
印象的な歌詞と言えば、タイトル通り、”鳥になって”というフレーズと、”モグラになって”というフレーズです。何故か、モグラにもなってしまいます。
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君は鳥になって
鳥になって 鳥になって
僕を連れて行って
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僕にだって 誇れるものがある
モグラになって モグラになって
僕にしのびこんで
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この歌の中で、2つのお願いを、僕が君にしています。
1番では、鳥になって、どこかへ連れて行ってくれ、というお願いを。
2番では、モグラになって、僕にもぐりこんで、というお願いを。
もちろん、何かの比喩表現になっているとは思いますが、それは何なのでしょうか。
■例えば、これをイヤーンな解釈につなげるとどうでしょうか。具体的には、性行為中だと考えてみました。
まず、1番では、絶頂に連れて行ってほしいという願望だと解釈しました。空を飛んでしまうほどの快感を味あわせてくれ、君が鳥になって、そこに連れて行ってくれ、と歌っているのだという解釈です。
2番は…これはなんでしょうか。”誇れるものがある”、”モグラになって僕に忍び込んで”ですからねぇ…”誇れるもの”は、男性器でしょうか。そこに、モグラになって忍び込んでほしい、と、一体何をさせようとしてるんでしょうかねぇ。誇れるもの…自分のものに、相当な自信でもあるんでしょうかね。
別にイヤーンな解釈につなげなくても、単純に、ラブソングにつなげることもできそうです。
1番は、君と過ごす時間自体に、空を飛んでしまうほどの喜びを感じているということを歌っているのかもしれませんし、2番は、モグラになって僕の心に忍び込んで、君への気持ちの大きさに気付いてほしい、と歌っているのかもしれません。
あとは、”きっと明日は僕らは空になる”や、”覚悟ができないままで 僕は生きている”などのフレーズから、心中や自殺などの解釈にもつなげることができるかもしれません。
■ということで、いくつかの解釈を紹介させていただきました。いつも通り、どんな風に思うかは、あなた次第だということにさせておいてください。