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183時限目:胸に咲いた黄色い花

【胸に咲いた黄色い花】


胸に咲いた黄色い花

胸に咲いた黄色い花

 

■アルバム『名前をつけてやる』に収録されている曲です。個人的ランキング195曲中194位でした…低い、低すぎるぞ!

 

そんなに、自分の中に印象に残ってなかったんでしょうか…。うーん、聴き直してみると、もちろん良い曲だとは思うんですけど、聴き直すまで、Cメロのメロディーを思い出すことができませんでした。むしろ、Cメロあったっけっていう次元でしたが…。

 

しっかり、聴き直して、歌詞を読み返して、紹介しなければいけませんね!

 


■改めて、アルバム『名前をつけてやる』を聴いてみると、この辺から少しずつ、スピッツの路線変更が進んでいっていることが、今となっては分かります。

 

【恋のうた】なんかは、スピッツメンバー自ら、今のスピッツの路線変更へのきっかけになったと語られる曲ですし、この【胸に咲いた黄色い花】なんかも、メロディーもすごくキャッチ―で、歌詞なんかも優しい雰囲気で、聴きやすい曲になったなと…もしも当時リアルタイムでスピッツを聴いていたなら、そう感じたかもしれません。

 


■ということで、曲の解釈です。

  

割と読みやすい歌詞であることには違いないですが、その意味を考えてみると、まぁいつも通りですが、色々と想像しなければなりません。

 

そもそも、タイトルが”胸に咲いた黄色い花”という、ここから比喩表現になっていますからね。胸に花が咲くことなんて、現実には物理的にありませんから、きっと精神的なことを表わしていて、じゃあ”黄色い花”が何を指す言葉なのか、考えなければいけません。

 


そういうことで、歌詞を読んでみると、出だしのAメロで、”黄色い花”についてこんな歌詞が出てきています。

 


月の光 差し込む部屋
きのうまでの砂漠の一人遊び
胸に咲いた黄色い花 君の心宿した花

 

そしてサビ。

 


このまま僕のそばにいてずっと
もう消えないでね
乾いて枯れかかった僕の胸に

 


この辺りの歌詞から物語を想像すると、まず、この歌の主人公は、”きのうまでの砂漠の一人遊び”…つまり、独りで寂しく過ごしていた、と。”乾いて枯れかかった僕の胸”という表現から、”砂漠”は、僕の胸…つまり心(の状態)を表していると考えられると思います。

 

そんな乾ききった心に、黄色い花が咲くわけですが、歌詞を読んで、胸に咲いた黄色い花=君の心宿した花、という関係性になっていると考えられると思います。

 

じゃあ、君の心宿した花とは?普通に考えると、君のことを心で考えている…つまりそれは結局、君に恋をしたという描写なのかなと思いました。

 

ずっと独りで寂しく過ごしていたけど、君に恋をして、生きる希望を見出し、日々の生活が明るくなった、それを”黄色い花”という、きれいなもので表している、などと想像できます。

 


■という具合に、素直に読んでいけば、上述の流れで読んでいくことができると思いますが、残りの部分の歌詞についても、まだ考える余地があると思います。まぁ、この辺りは、どれだけ深読みするかだと思いますが、それもいつも通りですね、笑。

 


例えば、

 


君と笑う みんな捨てて
街の音にもまれながら

 


時の淀み 行く手を知り
明日になればこの幻も終わる

 

などという歌詞について。

 

”君と笑う”ためには、”みんな捨てる”必要があるし、しかもそれも”幻”で、”明日になれば”終わってしまう…と。この辺りを解釈に組み入れるとすると、どういう物語が考えられるでしょうか?

 


■まず、”みんな捨てて”というところに関してですが、これは、それくらいの覚悟で君に想いを抱いているだとか、君と居る時だけは悲しいことも忘れられる、などと読むと、先程の物語につなげられそうです。

 

ただ、後者には、”明日になればこの幻も終わる”という歌詞があり、どこか違和感を感じます。しかも、先ほど紹介したサビに、”このまま僕のそばにいてずっと”と願っているにも関わらず、明日には終わってしまう、と分かっている、と。

 


ということで、少し物語を妄想してみると、君はもう亡くなってしまっていて、僕はこの世に一人取り残されてしまったと。僕は、独り寂しく過ごしていたけど、どういうわけか、亡くなってしまった君が、この世に戻ってきた。それを、幽霊みたいな感じでこの世に君が降りてきたと考えると、もうファンタジーですね、面白いと思いますけど…。

 

僕としては、君が夢の中に出てきた、と考える方が妥当かなと思っています。夢に出てきた君と、現世の悲しみをみんな忘れて笑う。それは、とても幸せな時間で、もうこのまま消えて欲しくないと僕は願っています。しかしながら、これは全て夢の中の出来事なので、目を覚ませば(明日になれば)幻のように終わってしまうと…こういう感じの物語ですかね。

 


ちなみに、君が亡くなっているという根拠としては、冒頭の”月の光 差し込む部屋”という歌詞にあります。草野さんは、丸いものに”死”の概念を抱いていると言われています。この歌の中では、”月”がその役割を果たしているのではないかと考え、月の光=亡くなってしまった君、と繋げて考えてみました。

 

まぁ、夢で会う物語ですと、別に君は亡くなっていなくても成立しますね。密かに想いを寄せている相手と、夢の中でだけ会うことができて、一夜だけのランデブーを楽しんでいる…という感じです。