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207時限目:若葉

【若葉】

若葉

若葉

 

■34作目のシングル曲です。アルバムとしては『とげまる』に収録されました。個人的ランキング、195曲中119位でした。

 

【若葉】は、2008年に公開された、映画「櫻の園-さくらのその-」の主題歌になりました。スピッツの映画主題歌としては、これは映画「ハチミツとクローバー」(2006年)の主題歌となった、【魔法のコトバ】以降2年ぶりのことだったそうです。

 

ちなみに、この頃のスピッツはタイアップが非常に多く、アルバム『とげまる』には、【若葉】を含めた7曲が、CMや映画や舞台の挿入歌(はタイアップには入らないか?だったら、6曲か)何かしらのタイアップになっています。

 


■ところで、この「櫻の園-さくらのその-」という作品ですが、僕自身は見たことがありませんので、作品についてはネットで調べてみました。付け焼刃的な説明で申し訳ないですが、紹介しておきます。

 

原作は、吉田秋生さんとい女性漫画家の方がお描きになった、80年代の漫画「櫻の園」という同名の漫画です。90年代にも、一度映画化されているらしくて(1990年版)、今作の映画化は2回目であるようです(2008年版)。

 

2008年版については、物語を一新しているようですが、内容としては、女子高の演劇部を舞台とした青春ムービーであるようです。タイトルになっている”櫻の園”とは、映画の中で大きなテーマとなっている、演劇部の演目であるチェーホフの戯曲「桜の園」から取られたものだと思われます。

 

…と調べていて、吉田秋生さんってどこかで聞いたことあるなぁって思っていたのですが、この方は「海街diary」を描いた方だったんですね。多分、そこで見たのを微かに覚えていたんだと思います。

 


■さて、【若葉】についてです。率直な感想、とてもきれいな曲です。

 

wikiにもありますが、1番は弦楽器隊の演奏と草野さんのボーカルのみで構成されていて、草野さんの弾き語りが楽しめます。そして、2番からドラムとベースが加わってくるという、これはスピッツのシングル曲としては初の試みなんだそうですね。

 

ちなみに、この曲にはマンドリンという楽器(小さい8弦ギターのようなもので、高音がきれいな弦楽器)が使われていて、1番の草野さんのアルペジオに合わせて美しい音が響いています。

 

このマンドリンは、レコーディングでは、シングルのクレジットによるとギターの三輪さんが弾いているようですが、LIVEでは、ベースの田村さんがマンドリンを弾いていました。この様子は、『さざなみOTR』の映像作品にて確認することができます。リーダーがマンドリンを弾いた後、途中でベースに持ち替えるという、ちょっと珍しいものも見ることができます。

 


■シングル『若葉』については、ネットにインタビュー記事がありましたので、紹介・引用させていただきます。”チケットぴあ”におけるインタビューです↓

( URL : http://www.pia.co.jp/interview/7/index.php

 

詳しくは読んでいただくのが良いとして、少し触れてみますと、【若葉】を”スタンダードな曲”(いわゆるスピッツらしい標準的な曲)としながらも、色々試した曲であると、メンバーが語っています。

 


草野「たぶんね、俺らって好きなものが多くて、やってみたいことがまだまだいっぱいあるんですよ。でね、意外と流行を気にしてて、それを取り入れたりするんだけど、気づいてもらえなかったりして(苦笑)」

 

田村「でも、その気づいてもらえなさ加減っていうのが、なんか俺らっぽいんだと思うよ」

 

草野「うん。だから長くやってこられたんだと思う。何をやっても結局スピッツにしかならないっていう着地点がある。でも、何でも試してみたいんだよね、着地点がそこにあったとしても。それがなくなったら、やっててもつまんないんだろうなぁ」

 

田村「だから、『若葉』もスタンダードな曲ではあるけれど、いろんな楽器の組み合わせを考えると、実はスタンダードな曲の中でおもしろいことをやってる曲で。たぶん、こういうタイプの曲だとストリングスが入るアレンジが正統なんだろうけど、ストリングスは入ってないんだよね」

 

草野さんがここでも語っている、”何をやっても結局スピッツにしかならない”という言葉は、色んなところでスピッツメンバーや関係者が語っていますね。もちろん良い意味で、どんなに珍しい曲を作っても、その時は「おっ!新しい!」と思ったり、時には違和感を感じることがあっても、何故か結局それもスピッツらしさになっちゃうんですよね。

 

まぁ、それは他でもない、草野さんのボーカルと詩の世界観による部分が大きいかなと思います。

 


■ということで、【若葉】がどういうことを歌っている曲なのか、考えてみたいと思います。

 

まず、先述の通り、この曲は映画「櫻の園-さくらのその-」の主題歌として作られた曲です。先程のインタビューの記事の中で、草野さんが語っておられることによると、曲自体が映画の内容にそんな沿っているわけではなさそうです。映画の内容を”何となく頭の片隅に置きつつ”作られた曲であるとしつつ、”櫻が散ったあとは若葉だなってイメージで作り始めました”とのことです。

 

映画の内容が、ざっくりと学園の青春劇だということもあり、そういうイメージが膨らんでくる歌詞だと思います。ただ、青春真っただ中、というよりは、全体的に読んでみて、この曲からは何となく、そこからの”旅立ち”みたいなイメージを受け取りました。

 

まぁ、あえて”旅立ち”としなくても、青春時代の素敵な思い出を振り返りつつも、そこから離れていく(離れていかなくちゃいけない)ような、そんなシーンが思い浮かびます。

 

ちなみに、”若葉”というと、草野さんも語っている通り、桜の季節の後って感じがしますので、時期的には4月~5月ってところでしょうか。だから時期的にはちょっとずれていますけど、つながりを考えると、青春が終わって、そこからまた一人一人が新たな道へと進んでいくという意味では、”卒業”というイメージも想起します。

 


■まぁとにかく、色々とイメージしながら歌詞を読んでいくのですが、この歌詞が本当に美しいんです。もう草野節満載の名言の宝庫なんですよ。ちょっと紹介してみますね。

 



忘れたことも 忘れるほどの 無邪気でにぎやかな時ん中
いつもとちがう マジメな君の 「怖い」ってつぶやきが解んなかった

 

2番のAメロです。”マジメな君の 「怖い」ってつぶやきが解んなかった”というところが秀逸だなって思うんです。

 

明確な意味は分かりませんが、僕のイメージとしては、これは”別れ”が近づいている季節に、逆に、楽しくみんなではしゃぎ回っていることに対して「怖い」と、いつもと違うトーンで君がつぶやいたという印象です。今は今で楽しいんだけど、もうすぐ別れてしまうんだよね、寂しいね…という感じを思い浮かべました。

 

気持ちは分かります。こういう時って、何かわざとらしくなっちゃうんですよね。誰もが、もうすぐ来る”別れ”を少しずつ意識しているはずなんだけど、ちょっと恥ずかしくなっちゃくくらいの思い出作りに専念する感じを思い出します。

 



暖めるための 火を絶やさないように
大事な物まで 燃やすところだった

 

先述のAメロから続く、2番のBメロの歌詞です。

 

ここもすごく独特ですよね、色んな意味に捉えることが出来そうです。うまく説明出来そうにありませんが…苦笑。

 

”暖めるため”とは、きっと思い出を忘れないように、その灯を絶やさないように…という意味合いに捉えました。そうすると、”大事な物”とはなんでしょうか。僕としては、ここは”未来”や”夢”を指しているのかな、って思ったりしました。思い出は思い出で美しいし、忘れたくないので、ひっそりと暖めていくんだけど、その思い出に縛られて、これからくるであろう素晴らしい未来をほったらかしにしないように、という感じに捉えましたが、どうでしょうか。

 



思い出せる すみずみまで
若葉の繁る頃に 予測できない雨に とまどってた
泣きたいほど 懐かしいけど ひとまずカギをかけて
少しでも近づくよ バカげた夢に
今君の知らない道を歩き始める

 

で、最後の大サビにたどり着きます。ここに、タイトルにもなっています、”若葉”という言葉が出てきています。具体的には、”若葉の繁る頃に”という言葉で出てきますので、この歌の主人公にとっては、卒業のシーズンというよりは、もうその先に進んでいて、卒業のシーズンを思い出しつつ、まさに新しい日々へ旅に出ようとしている、そんなシーンの方が相応しいと思います。

 

”少しでも近づくよ バカげた夢に”…ここを”バカげた”としているのが、草野節なのでしょうか。何ていうか、若気の至りから、ちょっと無謀な夢でも見ていたりするんでしょうか。

 

”今君の知らない道を歩き始める”…こういうフレーズで、しんみりとこの曲は終わり、何か余韻のようなものを残していきます。これから歩いていく道は、君と離れて進んでいく、僕だけの新しい物語が待っている道であると、ここからも”別れ”や”旅立ち”のシーンが浮かんできます。

 


■あとは、この歌に”君との死別”という解釈を当てはめたりもしてみました。

 

ここでいう”別れ”とは、”卒業”ではなくて”死別”だということですね。君が「怖い」とつぶやいたのは、自分の死期が近づいているからだとか、”君の知らない道”なのは、もう君は亡くなってしまって、主人公が一人で歩いていく(しかない)道だということだとか、色々と妄想しました。

 

しかし、この歌が映画の主題歌であったことや、他の部分の歌詞の雰囲気から、それはあんまり相応しくないのかなと、あんまりしっくりきませんでした。なので、僕の解釈としては、”卒業”からの、新しい日々への”旅立ち”というところで留めておきます。

 

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