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208時限目:ワタリ

【ワタリ】 

ワタリ

ワタリ

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■アルバム『スーベニア』に収録されている曲です。個人的ランキング、195曲中15位でした。かなり、高順位に位置しています。

 

僕は、アルバム『スーベニア』が本当に好きで、全部のアルバムの中でもベスト3には入ります。そして、その収録曲の中だと、とりわけロックな曲が好きなんですよね。個人的ランキングですと、10位【会いに行くよ】、15位【ワタリ】、16位【みそか】、25位【ほのほ】という感じです。

 

特に、【ほのほ】→【ワタリ】の流れは、本当にかっこいいですよね。アルバムの中だったら、この2曲が一番好きですかね。ロックはロックなんですけど、すごくドラマチックというか壮大というか。この辺りの曲は、ロックなスピッツをそこまで知らない人からしてみると、きっと驚くと思います。

 


■ということで、曲に関するネタも得られませんでしたので、早速曲の解釈を書いてみたいと思います。

 

まず、すごく疾走感を感じるカッコいいイントロから曲が始まるんですけど、最初から何となく、あせらされる感と言いますか、何かに追い立てられているような切迫感を感じます。Aメロなんかも、ボーカルにエフェクトがかけられていて、歌っている音程も抑揚がなくて、何か信号的(?)に聴こえてきます。

 


では、歌詞を読んでいってみます。出だしは、こんな歌詞から始まります。

 


誰のせいでもねえ すべて俺のせい
可笑しいほど白い花を手に持って
誰のせいでもねえ すべて俺のせい
マジメ過ぎただけ 君が見た夢

 

まず、”俺”という人物が、自分のことを執拗に責めています。何かが起こってしまったのが、自分のせいなんだと、しきりに言っています。

 

それに関連するワードが、”マジメ過ぎただけ 君が見た夢”ですかね。”君”という人物が居ること(居たこと)を示していますが、ここの歌詞だけでは、何を指し示しているのかは、うまく読み取れません。

 

そこで、この二つの話をつなぎ合わせるのが、”可笑しいほど白い花を手に持って”というフレーズですよね。ここらへんから、どんな物語が想像できますかね。僕は実は、2つの物語を想像したんですが、どちらかに決められなかったんです…ちょっと紹介してみますね。

 


■一つ目。
「夢を追うために遠くに旅立ってしまう、君に会いに行くという物語」

 


この歌のサビの歌詞は、こんな風になっています。

 


心は羽を持ってる
この海を渡ってゆく

 

それでも掟を破ってく
黒い海を渡ってゆく

 

ちなみに、タイトルの”ワタリ”とは、ここに”この海を渡ってゆく”とあるように、まぁ読んで字の通りですが、”俺”と”君”の間を阻んでいる海…”海”は何かの比喩かもしれませんが…を渡っていくという意味合いで、”ワタリ”=”渡り”ということになるかと思います。

 

あと、Bメロに”もう二度と会えない そんな気がして”というフレーズも出てきますが、これらと出だしの歌詞をつなぎ合わせて考えた物語が、「夢を追うために遠くに旅立ってしまう、君に会いに行くという物語」でした。

 


”君”は何か夢を持っていました。どうしても叶えたい夢です。それをマジメ過ぎただけ、という表現をしているのは、きっと”俺”との対比だと思います。”俺”は、”君”の夢を応援していなかった、マジメな”君”をよそに、”君”とのことをマジメに考えていなかったと。

 

そういうことに愛想を尽かせてしまって、”君”は”俺”と別れて、自分の夢を叶えるために旅立つことを決心します。どこか異国の地でしょうか、とにかく今の自分の生活や”俺”を捨てて、夢のために旅立つのです。

 

そういうことで、”俺”は取り残されました。この辺の心情は、2番のAメロの電車の下りで表現されているのでしょうか。何となく、毎日電車に揺られるだけの、単調なものになってしまったと読みとれます。

 

遠くへ旅立ってしまった”君”に、もう二度と会えないんじゃないかと思うようになり、そこへ来てようやく、”俺”は、自分にとって”君”がどんなに大切な人であったか気付くわけです。しかも、そうなってしまったのは、”君”とのことをマジメに考えなかった自分のせいだとも思うようになります。

 

ということで、”俺”は決心するのです。もう一度まっさらな気持ちを持って(”白い花”と表現しているか)、色んなしがらみを越えて君に会いに行こうと(”黒い海”や”掟を破って”などに該当か)。

 


■二つ目。
「死んでしまった君に会うために、自分も命を絶ってあの世に君に会いに行くという物語」

 

やっぱり、こうなっちゃいますよね、苦笑。

 


これは、一つ目の物語と変わらない部分もありますが、一点大きく違うのが、”君”は、夢を叶えるために遠くへ旅立ったのではなくて、夢を叶える志半ばで亡くなってしまったという出来事から始まる物語、というところです。

 

”君”が亡くなったのは、事故か、それとも夢の重さに耐えきれずに自ら命を絶ってしまったのか、それは分かりませんし、どちらでも成り立つように思いますが、少なくとも、”マジメ過ぎただけ”や、”誰のせいでもねえ すべて俺のせい”という表現からは、何となく後者のように思えますね。

 

例えば、先程と同様に、”君”とのことを”俺”はマジメに考えていなかったと。そういうところから、”君”は自分の夢のプレッシャーに耐えきれずに、自ら命を絶ってしまったとも考えられそうです。

 

そういうわけで、”俺”は罪の意識に苛まれてしまって、”君”と同じように、自ら命を絶つと…何とも悲しい物語になってしまいますが。

 


こっちの解釈で進めると、もう少し歌詞を当てはめることができそうです。

 

”白い花”…墓前や仏壇に供える花のことでしょうか。

 

”心は羽を持ってる”…心だけ羽を持っていたって、空を飛べるわけありません。これは、飛び降り自殺とか、その後の魂の昇天を表しているのではないでしょうか。

 

”黒い海”…この世とあの世を阻むものを海と表現しているのかもしれません。”黒い”のは、”白い花”との対比か、それともそういうイメージとして表現されているのか。

 

”掟を破ってく”…他でもない、”掟”とは”生きること”だということですかね。人は全うに生きていかなくちゃいけないものだと…それを”掟”と表現したとすると、この解釈の通り、自ら命を絶つという意味に繋がりそうです。

 


あとは、まぁここまでも飛躍した解釈かもしれませんが、さらに飛躍させるとすると、”誰のせいでもねえ すべて俺のせい”については、”俺”が事故を引き起こしたせいで(例えば自動車事故とか)”君”が亡くなってしまったとか、もっといくと、”俺”が”君”を殺めたということにつながるかもしれません…。

 


■まぁ、両方の解釈の共通点としては、やはりタイトルにもなっている”ワタリ”、つまり”渡る”という言葉と、”俺”と”君”の関わりですかね。

 

とにかく、大好きな曲ですよ!