76時限目:スターゲイザー
【スターゲイザー】
■28作目のシングル曲です。アルバムとしては、スペシャルアルバム『色色衣』に収録されています。
個人的ランキング、全195曲中181位でした。これに関しては、本当に無意識ですよ。シングル曲は、全部もっとランキング高くていいはずなんですけどね。印象には、すごくすごく残っている曲なんです。それは、後述からも明らかだと思います。
■まず、何と言っても、この曲を聴くと、テレビ番組「あいのり」を思い出さずにはいられません。若い人は「あいのり」って言って、分かりますかね?番組の形は全然違いますが、今でいうと「テラスハウス」のような立ち位置の番組でしたかね。
まず、斬新だったのが、この番組は旅番組の側面が大きくあったということですね。男女が、世界中を旅しちゃうんです、”ラブワゴン”という名前のワゴンに、タイトル通り”相乗り”して。その旅の中で、男女の恋愛が発生し、メンバーがメンバーに思いを告げ、その思いが繋がれば、晴れて二人で帰国というのが、この番組の大きな枠組みでした。
一応は、恋愛が一番大きな基軸でしたが、それだけではなく、世界中の色んな風景や名物、時にはその国が抱えるシビアな現状を放送したりしてて、そういうところも楽しめたりしました。
僕は…ある時期から、毎回見てました。理由は単純、当時の恋人が好きだったからです。それからはもう習慣になって、その恋人と別れても、ひとりで見てました、笑。こういう番組は、いつの時代もヤラセだなんだって話題になったりしますけど、正直どちらでもいいですよ。僕は結構、毎週楽しみに見てました。
■そんな番組の主題歌として、【スターゲイザー】が、ある時期使われていました。なので、その時期は、毎週【スターゲイザー】が聴けました。
「あいのり」の主題歌になった歌は、全てヒットすることが約束されたようなものでした。「fragile / Every Little Thing」、「明日への扉 / I WiSH」、「My Love / 川嶋あい」などがありますが、【スターゲイザー】も、「あいのり」効果もあってか、オリコン1位を獲得しました。それは、シングル「スカーレット」以来、実に7年ぶり(!)だそうです。
ところで、これまた余談ですが、あいのり主題歌に”fate”という曲がありました。歌っているのは、遊吟(ゆうぎん)という男性デュオでした、ゆずとかコブクロとかみたいな感じですかね。
で、この遊吟なんですが、島根は松江で活動していた(今でも拠点か?)グループでした。そして、実は僕、松江に住んでたことがありまして…まぁ、先述のあいのりを一緒に見ていた恋人も松江の人なんですが、その恋人が働く飲食店に、遊吟がよく来ていたそうです、まだ”fate”がヒットする前からです。
僕自身も、松江駅でストリートライブをしている2人を、遠目から見たことがあります。2人とも、本当にうまいんですよ。だから、”fate”ヒット時は、仲間内で本当に湧きました。まぁ、残念ながら、この曲だけでしたね、スマッシュヒットを記録したのは。もっとヒットしても良かったんですけどね。ゆずやコブクロには続けませんでしたか…実力はあって、応援してたんですけどね。
■さてさて、肝心な【スターゲイザー】の話ですよ。
情報によると、草野さんはこの曲を、「あいのり」から依頼されて、そこで初めて番組を視聴して、楽曲を作ったようです。”スピッツ色色衣リリース記念特別座談会”の中でも、「うらやましいやら恥ずかしいやらで、あのー、観るのもイヤな番組のひとつだった…」と述べながらも、「はからずもはまり込んで観られた」とありました、笑。
タイトルの【スターゲイザー】とは、英語で”stargazer”と書き、直訳すると「星を見つめる者」となります。そこから転じて、「天文学者」や「夢想家」などの意味を表しますが、何だか一番しっくりくるのは、直訳の「星を見つめる者」のような気がします。
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遠く遠く果てしなく続く 道の上から
強い思い あの光まで 届いてほしい
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と、サビのフレーズにあるように、自分の思いが相手に届くように、夜空に輝く星を見上げて祈っている、そんな光景が浮かんできます。
■結構、番組の内容に沿っているようなフレーズも出てきている感じです。
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ひとりぼっちが切ない夜 星を探してる
明日 君がいなきゃ 困る 困る
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番組を視聴した上で、草野さんは、「告白の返事を待つ間の一晩」を想い浮かべながら、この歌の詞を書いたようです。
「あいのり」という番組のルール上、告白をされた相手は、その思いを受けるか断るかを、一旦持ち帰って夜を過ごして、次の日に相手に伝える、という決まりです。”明日君がいなきゃ困る”とは、まさに、告白した側の気持ちですね。断られれば、一人で帰国になっちゃいますからね。明日も君と居られるように、ひとりきり、夜に祈っているのでしょう。
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明かされていく秘密 何か終わり また始まり
ありふれた言葉が からだ中を巡って 翼になる
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この辺りのフレーズも素敵ですね。”明かされていく秘密”というところらへんが、なんかテレビ的な表現だと感じました。色んな物語があって、じゃあ結末は?みたいな、そういうドキドキ感を思い出します。