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195時限目:夜を駆ける

【夜を駆ける】


夜を駆ける

夜を駆ける

 

■アルバム『三日月ロック』に収録されている曲です。個人的ランキング、195曲中35位でした。

 

現在進行形で行っています、ここスピッツ大学におけるスピッツランキング企画にて、まだ途中結果ではありますが、この【夜を駆ける】は、堂々の第3位になりました。リアルタイムで今現在も、ランキングでは上下していますので、さらに上位になる可能性もあります。

 

スピッツファンには、とても人気のある曲ですよね。こういうランキングを見たときには、大体いつも上位に入っている印象なんですが、どうでしょうか。

 

まぁとにかく、これを聴かずにスピッツファンは名乗れないとも言える、文句なしの名曲です!

 


■【夜を駆ける】は、アニメ「ハチミツとクローバー」の挿入歌として使用されたそうです。同アニメでは、スピッツ(とスガシカオさん)の楽曲が多く挿入歌として使われたそうなので、【夜を駆ける】は、数ある挿入歌の一つだったんでしょうけどね。

 

ちなみに、「ハチミツとクローバー」の原作者と言えば、羽海野チカ先生ですが、現在連載中の「三月のライオン」において、漫画のchapter.32のタイトルが、そのものずばり"夜を駆ける"だったりします。羽海野先生がスピッツ好きなのは周知な事実なので、これには関連性があると思わざるを得ません。

 


■とにかく、アルバムの一曲目からこの曲っていうのが、何ともにくいですよね。wikiによると、「アルバム『三日月ロック』中1番演奏時間の長い曲」だそうですが、もう一曲目からいきなり、スピッツ・草野さんの世界観に引き込まれてしまいます。

 

イントロから鍵盤とアコギの音にハッとさせられ、そこに草野さんのクリーントーンなボーカルが乗っかり、少しずつ音が増えて集まってきます。

 

後述のこの曲の解釈にも関係してきますが、この曲からは怪しさというか、危うさというか、何か迫られている感じがして胸がザワザワするんです。でも、それが心地よくて、クセになってしまいます。

 


■ということで、この曲の解釈を書いてみたいと思います。

 

まず、この曲の解釈において、よく見かけるのが、"不倫"だったり"忍んで会う男女"といったものですかね。いくつか歌詞を抜き出してみますと、

 


研がない強がり 嘘で塗り固めた部屋
抜け出して見上げた夜空
よじれた金網を いつものように飛び越えて
硬い舗道を駆けていく

 


似てない僕らは 細い糸で繋がっている
よくある赤いやつじゃなく

 


君と遊ぶ 誰もいない市街地
目と目が合うたび笑う

 

この辺りでしょうか。単純に、"夜に会う男女"と解釈するには、色々と余計で複雑な表現が出ています。

 


一つ目の4行は、そのまま出だしの歌詞になりますが、"金網"や"飛び越えて"などは比喩表現だとしても、全体的に、誰にも見つからないように、ひっそりと逃げるように会いに行こうとしている感が溢れています。しかも、それを"いつものように"とも歌っているので、二人が常習的に夜の逢瀬を楽しんでいると考えることができます。

 


二つ目の2行、これまたかなり独特ですよね。よく両想いで繋がっている男女のことを指して、"赤い糸で繋がっている"と表現しますが、ここでは、糸は糸でも"赤いやつじゃなく"と歌われています。

 

赤くはなくても、一応は繋がっているようなので、例えば、両者が想い合っているとしても、それが"健全な恋愛"ではないということを指していて、やはり"不倫"のような、一筋縄ではいかない恋愛を思い浮かべます。そういう危うい関係で繋がっている男女ということでしょうか。

 


三つ目の2行、"君と遊ぶ 誰もいない市街地"という表現。時間としては夜…というよりは、もう夜中と言うべき、とても遅い時間であると察します。

 

似たような表現として、"大きな木もざわめきやんで 二人の呼吸の音だけが浸みていく"という表現が出てきます。いずれにせよ、そういう誰もいなくなって静まり返った暗がりで、ようやく二人が自由に会うことができると、そういうことを指しているのでしょう。

 


■割としっかりと繋がってはいる解釈だと思うので、上述でも十分だとは思いますが、僕自身はずっと、この歌にもっと劇的な物語を妄想して聴いていました。

 

もう何年も前のことになりますが、「タイヨウのうた」という映画がありました…皆さん知っていますかね。アーティストのYUIが主演を務めて、それなりに話題になった映画でした。

 

その内容の大筋は、太陽の光に当たれない病気("色素性乾皮症"というらしい)を抱えた女の子の日常を描いたストーリー、というものでした。

 


要するに、この【夜を駆ける】の主人公にも、そういう"陽の光に当たることができない病気"を当てはめました。陽の当たらない夜だけが、僕が自由に活動できる時間で、夜になると"僕"はしょっちゅう病院を抜け出して、陽の出る朝までの短い時間だけ、"君"に会いに行った、という物語になります。

 

まぁこれだと、君の方も同じ病気であるとか、逆に君の方だけがそういう病気であって、僕は君を夜にこっそり病院から連れ出すとか、もっと言うと、陽の光に当たれない病気でなくても、重い病気なので、普段は外に出られないから夜にこっそり抜け出す(連れ出す)など…色々と(自分勝手に)妄想を膨らませています。

 


とにかく、そういう解釈になると、

 


夜を駆けていく 今は撃たないで
滅びの定め破って 駆けていく

 

この辺りが、主人公たちの何と悲痛な叫びに聞こえてくることか。"滅びの定め"というのが、"いつか死んでしまうという運命"を表していて…そうだとしても、"今は撃たないで"と…もうすぐ死んでしまうのは分かっているけど、今だけは二人で居させてほしい…と。

 


■まぁ、2つの別々の解釈を紹介しましたが、設定こそ(特に後半の解釈はぶっ飛んでいる、笑)違っていますが、大前提はどちらにも変わらず、"夜にこっそり会う男女"というものがありますね。