スピッツ大学

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138時限目:8823

【8823】

  

8823

8823

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■アルバム『ハヤブサ』に収録されている曲です。”8823”というタイトルは、数字の語呂合わせで”ハヤブサ”と読みます。なので、アルバムの表題曲ということになります。言わずもがな、鳥の”隼”のことですね。

 

個人的ランキング、195曲中11位でした、惜しくもベスト10入りは逃しましたが、大好きな曲で、自分の中でもすごく印象に残っている曲のひとつです。

 


アルバム『ハヤブサ』や、その表題曲【8823】については、ここのブログですでに、存分にしゃべったことがあるので、詳しくはそちらを参照してもらえればよいかと思います。↓

 

http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2015/07/26/080239

 

…と、言っても、少しだけ(になるかは分かりませんが、笑)、この辺りのことを改めてしゃべってみようかなと思います。

 


■このアルバム発売前にあった出来事と言えば、通称”マイアミショック”という事件(?)です。

 

この出来事は、要するに、自分たちの(スピッツの)意向とは関係なく、自分たちのベストアルバムが強行的に発売された、というものでした。

 

スピッツは、「ベストアルバムを発売するのは、バンドが解散する時だ!」と公言していました。しかしながら、ベストアルバムを発売するということが、スピッツがいないところで決定したわけです。

 

この出来事に、メンバーは、憤りや悲しみを感じたようです。レコード会社とも、良い関係を築くことができていたと思っていたそうで、その想いが裏切られた時の気持ちは、一体どんなだったでしょうか。ベストアルバム=解散、という公式が成り立っていたため、発売と同時にスピッツを解散させる、という話まで出ていたそうです。

 


しかしながら、スピッツは解散しなかったのです。色んな想いを抱えつつも、活動を続けていくことを決めたのです。まさに、スピッツの”死と再生”です。書籍「旅の途中」の中で、その辺りの心情を、草野さんは端的にこう語っています…

 


もしかすると、このとき一度スピッツは俺の心の中で”解散”したのかもしれない。そして、甦った。『フェイクファー』からずっと抱えていた悩み、気がつくと消えていた。

 


■そして、そういう経緯があって、アルバム『ハヤブサ』は作られました。それは、今までのスピッツにないとてもロックなアルバムで、まさに、先ほどの草野さんの言葉通り、スピッツの”死と再生”となった作品でした。

 

アルバム『ハヤブサ』が発売になった当時、僕は聴いてびっくりしました。自分の中に今まで染みついていた”スピッツ像”とは全然違う、今までにない、ロック色の強い、攻撃的な作品だったからです。最初は違和感を感じたのを、よく覚えています。これが本当に、自分が聴いてきたスピッツか、と。

 

しかし、何度も聴いていくうちに馴染んでいくのが、スピッツマジック、草野マジックですよね。僕の中でも、今では大好きな作品になりました。第三期(個人的な見解による)の始まりとして、このアルバムは、スピッツにとって最重要な作品と言えるでしょう。

 


■前置き長くなりました。今日紹介するのは、そんなアルバム『ハヤブサ』の表題曲である、【8823】です。

 

音的には、Aメロのギターの音と、ドラムの音が、とても心地よくて好きなんです。どうしても、タイトルが鳥の名前なので、鳥をイメージしますが、Aメロは何となく助走をつけている感じに聴こえてきます。

 

そして、サビでの音の爆発ですよ。一気に浮かび上がって、空へと飛び立っていくような、力強いサビが、テンションを上げてくれます。

 

この、Aメロとサビの緩急も、【8823】の特徴でもあります。

 


■タイトルに関しては、wiki情報によると、西岸良平さんという方のマンガに登場するキャラクターから連想したそうです。

 

西岸さんの作品で、”地球最後の日”という、SF短編集みたいなのがあるらしくて、その中に、「普通の浪人生が連れ去られて海底人に改造される」ってお話があるそうなんですが(中々、カオスな内容、笑)、その海底人の名前が8823なんだそうです。曲のタイトルは、そこからつけたそうです。

 

(ちなみに、西岸良平という方は、映画化して有名になった、あの有名な”三丁目の夕陽”を書いた人だそうですね。初めて知りました。)

 


タイトル自体にあまり意味は無く、マンガのストーリーが曲に大きく関わっているというよりは、スピッツのパーソナルな部分が関わっている部分の方が多いと思います。つまり、”死と再生”ですね、そんな想いをこの曲に込めたのではないでしょうか。

 


■ということで、今までの話を意識しながら、もう何度も何度も読んできた歌詞ですが、今一度読んでみます。

 



さよならできるか 隣り近所の心
思い出ひとかけ 内ポケットに入れて

 

これが、出だしの歌詞になります。”入れて↑”で、いきなり高音になるのがポイントですね。

 

歌詞の意味はどういう感じでしょうか。まず、”さよなら”という言葉が出てきますが、誰が、誰に・何に、言おうとしているのでしょうか。

 

やはり、”誰が”に当たるのは、スピッツ自身、ひいては草野さん、ということでしょうか。”誰に・何に”に当たるのは、例えば、今までの自分たちだとか、今まで信じてきたレコード会社とかが考えられますね。しかし、”さよならできるか”ですからね、決断はしているでしょうけど、ちゃんとさよならできるか、まだ悩みはあるようですね。

 



あの塀の向こう側 何もないと聞かされ
それでも感じる 赤い炎の誘惑

 

ここも印象的ですよね。何となく、音楽業界に縛られていたスピッツ像を思い浮かべます。「ここよりいいところはないよ、こんなに塀に守られて、ここから出ていくなんてとんでもない!」と、ずっとスピッツは言われていたのだと想像してみます。しかし、そうやって、自分たちのことを守ってくれていたレコード会社に、結局は裏切られることになるわけですね。それで、初めて、塀の向こう側に意識が向くわけです。

 


あとは、サビの歌詞、

 


今は振り向かず8823 クズと呼ばれても笑う
そして 君を自由にできるのは 宇宙でただ一人だけ

 

最後の大サビの歌詞を書かせてもらいましたが、最期のところに”8823”というフレーズが出てきます。過去に別れを告げて、未来へと飛んでいく決意が、この辺りからうかがえます。

 

そして、何度も出てくる、”君を自由にできるのは 宇宙でただ一人だけ”という表現。別の部分では、”君を不幸にできるのは 宇宙でただ一人だけ”となっています。君を自由にできる存在=君を不幸にできる存在、ということになりますが、これも自分たちのことを言ってるんですかね。

 

恋愛に関したことだとしても、音楽的な活動に関したことだとしても、自分という存在が、良くも悪くも、君にとって唯一無二なんだと、あるいは、そうなりたい、と歌っているのでしょう。だから、ついてこいよ!と、そう力強く歌いたかったんでしょうね、世間では癒し系バンドだと思われていたはずの、あのスピッツが…ね。

 


スピッツにとって、この【8823】という曲は、本当に大切な曲なんです。まさに、スピッツの"死と再生"を象徴する曲だと思います。

 

生でライブを見に行ったことはないですが、DVDなど見ている限りでは、毎ライブこの曲をやっている感じですね。BUMP OF CHICKENの【天体観測】のように、the pillowsの【ハイブリッドレインボウ】のように、どんなバンドにも一曲はあるであろう、そのバンドの魂となっている曲。スピッツにとって、【8823】とは、そんな位置付けの曲なんだろう。

 

これからスピッツのファンになりたい、と思っている方は、チェックしておくべき曲だと思いますよ!

 


ちなみに【8823】は、アルバム『ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2009』にも収録されています。アジカン主催のライブフェスで”NANO-MUGEN FES”というのがあって、それに主演したアーティストの楽曲を収録した、コンピレーションアルバムです。

 

大学の時、アジカン好きな友達が居て、そいつが俺の家でこのアルバムを流した時に、スピッツの【8823】を聴いて驚いていました…これスピッツ?という感じでしたね。その反応が、何だか懐かしくて、嬉しかったです、笑。

137時限目:ハヤテ

【ハヤテ】


ハヤテ

ハヤテ

 

■アルバム『インディゴ地平線』に収録されている曲です。個人的ランキングでは、195曲中131位でした。初めて聴いた時から、かわいらしい曲だなという印象がずっとありました。

 

改めて聴いてみると、アルバム『インディゴ地平線』には、かわいらしい女の子や恋愛を描いた曲が多いと気づきます。【花泥棒】、【初恋クレイジー】、【ハヤテ】、【ナナヘの気持ち】、【バニーガール】、【マフラーマン】…他の曲もあるかもしれませんが、ほとんどの収録曲が該当しそうです。

 


■”ハヤテ”とは、漢字で”疾風”と書き、”シップウ”とも読みますよね。意味としては、突然強く吹く風とかでしょうか。何となく、忍者っぽい響きもありますけどね。

 

この曲は、要するに、恋に落ちる瞬間を、相手を”ハヤテ”に例えて、自分の身体に”ハヤテ”が吹いた、と表現しているわけですね。

 


気まぐれ 君はキュートなハヤテ
倒れそうな 身体を駆け抜けた

 

これが、この歌の始まりのフレーズです。”恋に落ちた瞬間”について、草野さんは、色んな歌で色んな表現をしていますが、この歌の表現も、独特で面白いですよね。ビュッと吹いて、すぐに言ってしまう”ハヤテ”のように、恋に落ちたのは、一瞬の出来事だったということがうかがえます。”キュートなハヤテ”というのも、かわいらしですよね。

 


■ということで、この歌から、いくつか素敵な歌詞を抜き出して、紹介してみます。

 



言葉はやがて恋の邪魔をして
それぞれカギを100個もつけた

 

”言葉はやがて恋の邪魔をして”という表現が、何か哲学的というか、うまいことを言ったもんだな、と思ってしまいます。

 

相手に対する自分の気持ちを表現する方法としては、やはり”言葉”が一番有効であると思います。「あなたが好きだ」と言ってしまえば、伝わるんでしょうけど、なかなか言えない。代わりに口をつくのは、何てことない平凡な言葉ばかり。言葉を飛び越えて、この気持ちがテレパシーのように、相手に伝わればいいのに、あー、もどかしいなー、とそういう感じでしょうかね。

 



なんとなく君の声が聞こえて
はりきってハートを全部並べて

 

男の子、がんばってますね!しかしながら、この歌詞に続くのは、”振り向くところで目が覚めた”ですからね、夢でも見ていたんですかね。

 



晴れそうで曇り 毎日 小雨
もう二度と壊せない気がしてた

 

”小雨”っていうのが、また草野さんらしい表現だなって思いました。”大雨”でも、ただの”雨”でもなくて、”小雨”なんですよね。ここは素直に、恋に落ちたことで、晴れない毎日に光が差した、ということを歌っているのでしょう。

 

ちなみに、”ハヤテ”、”(邪魔)をして”、”並べて”、”口笛”、”小雨”という風に、語尾を”え”の段でそろえて韻を踏んでるんですね。そのおかげで、全体的にすごく聴きやすくなっていますね。

 

 

という感じですかね。結構分かりやすくて、聴きやすい曲だと思います!

136時限目:ハネモノ

【ハネモノ】


ハネモノ

ハネモノ

 

■26枚目のシングル曲で、アルバムとしては『三日月ロック』に収録されています。ちなみに、シングル『ハネモノ』は、シングル『水色の街』と同時に発売されました。何となく、”陽”の『ハネモノ』、”陰”の『水色の街』という印象を持っています。

 

個人的ランキング、195曲中75位でした。好きなんですけどね、この曲。ランキングをつけてみるとこんな感じですか。

 


■この曲についての情報を(wikiばっかりですが…)、少しまとめてみます。

 

まず、シングル『ハネモノ』は、2002年8月7日に発売されましたが、発売のおよそ1年前(2001年9月11日)に、アメリ同時多発テロが起こりました。ビルに飛行機が突っ込んでいくという、ショッキングな事件でしたね、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。僕も、当時は高校生でしたが、その出来事が起こった時代背景や理由などは詳しくは分からなかったけど、「とてつもないことが起こったんだ」ということは、すぐに感じ取りました。

 

wikiの言葉をそのまま借りるならば、「一年前に起きた911テロ事件の後、草野は少なからず音楽をやる意味に疑問を感じていた」だそうです。東日本大震災の時もそうですが、草野さんは感受性が強いんでしょうね。それは、悲しいと言うべきか、優しいと言うべきか、単純には言い表せません。

 

そんな時、スピッツにカルピスからの楽曲依頼がきました、CMソングの依頼です。その依頼は、草野さんが「人々の不安を少しでも和らげることができる楽曲を作ろう」と思い立つ、きっかけになったそうです。

 

そうやってできた曲が、【ハネモノ】だったんですね。何気なしに聴いていたけど、そう思って聴くと、また色々感じるものがありますよね。

 


■ところで、wikiにはこうも書いてありました。

 

「当初は歌詞なしで、「ラララ」のハミングのみの弾き語りバージョン(未発売)がオンエアされ、問い合わせが殺到した」

 

歌詞ありの【ハネモノ】のCMは、何となく覚えていますが、歌詞なしのハミングバージョンの【ハネモノ】は記憶にありませんでした、そんなのがあったんですね。

 

 

■ということで、【ハネモノ】の自分なりの解釈について、色々としゃべってみたいと思います。

 

まず、そもそも”ハネモノ”って何?ということですが、これまたwikiに書かれていることによると、これは草野さんの造語で、「羽のような生き物」という意味だそうです。具体的に、何かの生き物を指している言葉ではないんですかね。

 

個人的には、この”ハネモノ”でいつも思い浮かべるものは、例えば、タンポポの綿毛とか、例えば、雪虫とか、例えば、ケセランパサランとかですかね。(おそらく、ケセランパサランだけは、実物を見たことないと思います。)

 

とにかく、”ハネ(羽)”と名前についてますが、羽のある生物…虫とか(雪虫は虫ですが…)鳥とか、そういうんじゃなくて、何ていうんだろ、真っ白な”ハネ”だけがフワフワと浮かんでいる光景が浮かんできます。それも、自分の意思があるのではなくて、風に乗って漂っている感じですね。

 


(余談ですが、こういう想像をしていると、”クラムボン”を思い出します。忘れていたので調べてみました。クラムボンとは、宮沢賢治の「やまなし」という話に出てくる生き物(?)なのですが、明確にこれがどんな生き物なのか語られていません。なので、本の中の描写から、色々と想像するしかありません…魚?光?子ども?など。小学校か中学校の教科書で読んだ覚えがあります。)

 


■【ハネモノ】って、すごく不思議な歌ですよね。いつになく、一筋縄にいく気がしません、笑。

 

個人的に、この歌を聴いてイメージするのは、ざっくりと言ってしまえば、”生命の誕生”からの”人々への応援歌”です…何だか分かりませんね、笑。

 


まず、生命の誕生、と言うよりは、うーん…”魂が、何かある実体に憑依する瞬間”みたいなのをイメージしています。例えば、受精の瞬間とかですね。母体に生命が宿るような感覚…何も人間でなくても、生き物全て…犬でも、猫でも、鳥でも、何でも良いんです。

 

天国とかあの世とか、そういう場所があるとして、そこで魂が選ばれて、「じゃあお前は、あの生き物の、あの母親のお腹の中に宿るのだ!」と啓示を受ける。魂は、「分かりました!では行ってきます!」と、この世に降りてきて、自分の”体”になる場所を目指して、プカプカと漂っている、というような感じですかね。

 


ささやいて ときめいて
街を渡る 羽のような
思い通りの生き物に変わる

 

こういうところがね、何かそういう”生命の神秘”みたいなのを思い起こさせる表現だなって思うんです。ただ、ここを読むと、何に宿るかは、”魂”の意思に委ねられているのかもしれない、とも思えてきます。”思い通りの生き物に変わる”ですからね。

 


■で、そこからの、”人々への応援歌”ですよ。先述の通り、この曲は「人々の不安を少しでも和らげることができる楽曲を作ろう」と草野さんが思い立って作った曲でしたね。

 

新しく生き物が誕生する、というイメージと同時に僕は、生きている人が生まれ変わる、というイメージも持っています。

 

”思い通りの生き物に変わる”や、”望み通りの生き物に変わる”という表現。悲しいことがあっても、悲しみに打ちひしがれても、それでも気を確かに持って生きていこうよ!と、そう人々を応援する気持ちが、ここら辺の表現から受け取ることができます。気持ち次第で、あなたはどんな風にも生きていけるんだよ!という感じですね。

 


いつもならば、どこか特定の歌詞を紹介して、「ほら、ここがそういう表現になっているでしょ!」と語るんですけど、今回に関しては、全体ですね。全体から、ここまで書いてきたイメージを受け取りました。

 

あなたには、どんなイメージが浮かびますか?何か、イヤーンなイメージもあるらしいですけど、それでもいいんじゃないですかね?笑

 

ハネモノ MV

youtu.be

135時限目:ハニーハニー

【ハニーハニー】


ハニーハニー

ハニーハニー

 

■アルバム『惑星のかけら』に収録されている曲です。個人的ランキング、191曲中141位でした。

 

アルバム自体が、グランジ色の強い、歪んだ音色が特徴のアルバムだと評価されますが、そんなアルバムの中だと、割と軽い部類に入るんですかね。でも、曲名のゆるさとは裏腹に、しっかりとハードロックな感じもありますけどね。イントロから、おっ!と思わせるような、重厚なギターサウンドが響いてきます。

 

第一期(個人的な分類では)の曲ではありますが、今年に発売されました、武道館ライブのDVDで、【ハニーハニ―】を演奏・歌唱しているのを見ることができます。これも、いつも言っていることではありますが、昔の曲を今のスピッツでやると、とんでもなく化けますね!

 


■まず、この曲に関して、スピッツには(草野さんの詩には)珍しい、英語歌詞が入っています。サビの歌詞を書いてみると、

 


ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 僕らに
ハニーハニー It's so brilliant!! ハニーハニー 天国が
落ちてくる日まで

 

となっています。”ハニーハニー(honey honey)”もそうですが、それよりも英語歌詞と言えば、”It's so brilliant!!”の方が珍しいですね。この辺りを、草野さんは、「踏み絵を踏むような気持ち」だった、と言っていたらしいです。

 

そういえば、どこかの何かで聴いたラジオ音源で確か(伊集院さんのラジオだったと思います)、草野さんは、サビが英語歌詞になる歌について言及していたのを、微かに覚えています。流行もののように、そんな歌が出回っていることに関して、自分はそんな歌は作らない、というようなことを確かおっしゃっていました。

 

”踏み絵”とは、その辺りのことを指して言ったのかな、と思います、笑。自分が自ら、やらないと言っていたことに足を踏み入れた、ということでしょうかね。色んな可能性を模索した結果でもあるのかもしれないですけどね。

 


■では、この歌は、どんなことを歌った歌なのか、考えてみました。

 

全体的に、歌詞を読んでみて、この歌からはまず、”許されない恋愛”というイメージが浮かんできました。

 

”抜けがらの街で会おうよ”…抜けがら、とは、何となく寝静まった、ひっそりとした街というイメージです。忍んで会っている、という感じですかね。

 

”罪の花をばらまきながら”…罪、という言葉が使われていますからね、その通りですね、罪深いことをしてしまっている、ということでしょう。

 


という風に読んでいくと、2番にこんな歌詞が出てきます。

 


ハニーハニー 本当のことを教えてよ
神の気まぐれ 箱庭の中
ハニーハニー 隠れた力で飛ぼうよ
高く 定めの星より高く

 

神、出ました、笑。ずっと言ってきましたが、草野さんが使う”神”や”神様”という言葉は、”死神”という意味で使われているのではないか説が、自分の中で定着しています。まぁ、死神は言い過ぎかもしれませんが、”死”や”運命”を司る存在として描かれているような気がしています。

 

とすると、ここの表現はどうでしょうか。”神の気まぐれ 箱庭の中”からの、”定めの星より高く”飛ぼうとしている、と。これは、決定づけられた運命や生活から抜け出そう、と読み取ることができそうですね。

 

例えば、不倫や浮気。結婚していて、もう一生を共に生きていこうと約束を交わした相手がいる…何なら、子どもも居たりして、決定づけられた生活が自分にあるという状況です。そんな時に、約束した相手とは別の人と、恋に落ちてしまった…落ちた、というよりここでは、堕ちた、ですかね。しかも、その恋に堕ちた相手も、結婚している人だった、ということにもなれば、余計にドロドロしてきますが…。

 

色んな状況が考えられると思いますが、そんな”許されない恋愛”をイメージしました。

 


■ここから、少し飛躍して考えてみます。先ほども言ったように、神=死神であるとして、この歌に”死”のイメージを付け加えて考えてみました。

 

先ほど書いたサビの中に、”僕らに…天国が落ちてくる日まで”とあり、これも先述しました2番の歌詞にも、”隠れた力で飛ぼうよ…定めの星より高く”とありました。

 

この辺りは、”許されない恋愛”に堕ちた結果の”心中”というものにもつながる表現であるかもしれません。”天国が落ちてくる”なんて、すごい独特な表現ですよね、あくまで天国なんですね。心中して、この世とおさらばして、好きなように愛し合えるあの世を、”天国”と表しているのでしょうか。

 


…まぁ、この辺りは想像が色々とできそうですけどね。Cメロが、少しイヤーンな感じの歌詞だと思ったので、”飛ぼうよ”とかっていう表現も、そっちの方に解釈できるかもしれませんけどね。

 

ただ、とにかく”許されない恋愛”説は、拭えませんね。”ハニーハニー”なんてかわいらしい言葉を使っているくせにね、草野さんったら…もう!いじわる!めっ!

134時限目:花の写真

【花の写真】


花の写真

花の写真

 

■シングル『つぐみ』のカップリング曲であり、アルバムとしては『とげまる』に収録されています。個人的ランキングでは、195曲中163位でした。この記事を書くに当たって、久しぶりにちゃんと聴いたかもしれません…。

 

何ていうんでしょうか、こういう曲調、カントリー調?カントリーロック?田舎の農道を走りながら、軽トラの荷台に乗って弾き語るような、そんな牧歌的な雰囲気ですね…まぁ、そんなこと、したことないんですけどね、笑。

 

wikiの情報をそのまま抜粋すると、”ペダルスチール&マンドリンが使われ佐橋佳幸が参加している”とのことです。ペダルスチールという楽器は、初めて知りましたが、マンドリンと同様に弦楽器ではあるんですけど、ピアノみたいに台の上において演奏する弦楽器、琴とかに近いんですかね。 

 


■曲の解釈について語ってみます。

 

個人的には、こんな明るい曲調なのに、悲しくて寂しい歌だな、っていう印象をこの曲にはずっと持っていました。

 

これはいつものことですが、僕は一曲一曲について、物語を想像してみるんです。それは、その曲その曲の”僕”や(曲にとっては”俺”や”私”)、”君”が主人公の物語ですね。聴き手である僕らにとってはフィクションでも、その曲の登場人物たちにとっては、日常の物語なわけです。

 

それで、この曲についても、歌詞を読んで色々と物語を想像してみるんです。僕なりにこの曲の物語を想像したとき、何か胸がジーンとして涙が出そうになってくるんです。

 


■まず何と言っても、この曲を象徴しているものは、タイトルにもなっていますが、”花の写真”ですね。

 

歌詞にも出てきますが、二人をつないでいるのは、”花の写真”ということになります。実際の花ではなくて、あくまでその”写真”なんですよね。これに関しての解釈は、色々想像できると思います。

 


例えば、単純にカメラが趣味で、その趣味が高じて知り合ったカップルだとかね、笑。だとしたら、非常にほほえましい関係ですね。

 

自然に、付き合っているカップルを当てはめてしまうんですけど、単純にカメラ仲間でも当てはまるかもしれませんね。”遠くの君に 届きますように”というフレーズがあるように、全国に散らばるカメラ仲間のひとりに、「こんなきれいな花の写真とれたんだよ!見てよ!」みたいな感じで、”どうでもいいような文そえて”届ける、そんなイメージです。

 


■ただ、やっぱり先述の通り、この曲に漂う、何とも言えない悲しく寂しい雰囲気を払拭できません。

 

あくまで、二人をつないでいるものは、実物の花ではなくて、”花の写真”なわけで、そこから、君が実物の花を見に行くことができない状況、というのを想像しました。この辺りは、もうどんな風に想像するかどうかですが、例えば僕は、”君は病気で入院している”という物語を想像しました。そういうつもりで聴いてみると、この歌は切ないんです。

 



いつかは終わりがくることも 認めたくないけど分かってる
大げさにはしゃいでいても 鼻がツンとくる

 


こんなことしか できないけど
泣きそうな君が 笑いますように

 

曲調が明るいだけに、この辺りの歌詞が、何とも…僕の空元気といいますか、本当は君が病気で悲しいはずなのに、それを見せちゃいけない、君の前では明るく振舞わないと、という風に頑張っている姿が思い浮かんできます。

 


病院から出られない君を少しでも元気づけようと、街で撮影した、”花の写真”やきれいな風景の写真を持って、毎日のように病院に駆けつけるというイメージです。

 

”遠くの君に”とか、”どうでもいいような文添えて”とかいうフレーズがありますので、直接届けるのではなくて、自分が暮らしているところと、彼女がいるところに距離があって、手紙に写真を同封している、という解釈の方が自然かもしれません。

 

”靴擦れの痛みも気にしない”というフレーズも、何とも言えないですね…君を励ましたい一心で、歩き回って、健気に頑張っている姿を想像すると、胸がジーンとなりますね。

 

 

まぁ別に、病院云々の話は、個人的な想像ですからね。遠距離恋愛中の恋人や、遠く離れた友達とか、大事な人を元気づけようと”花の写真”を送っている、という解釈でもいいですけどね。よりドラマチックに物語を想像してみよう、とするのは、自分のクセではありますね。

 


■あと、これも個人的な解釈になるんですけど、僕はこの曲と、アルバム『ハチミツ』に収録されている【あじさい通り】という曲が、繋がっているように思えるのです、どうでしょうか。

 

あじさい通り】という曲も、落ち込んでいる”あの娘”を、何とか元気づけようと頑張る男の子の歌なんです。花を届けようとしている場面が伺えるフレーズがあったり、雨の描写も出てきたりと、共通点が多いです。

 

同じ場面を歌っているのか、それとも続きを歌っているのか、あるいは、やっぱり全く関係ないのか。まぁ、その辺は、聴いてみて確かめてみてください。

特講:貴重な草野さんのリンダリンダジャンプ

■とりあえず、先月発売になったアルバム『醒めない』の表題曲【醒めない】のPVがフルバージョンで公開になったので、貼り付けておく!

 

まだ見たことない方も、曲すら聴いたことない方も、何度も何度も繰り返し見たい方も、大人も子供も、おねーさんも、この機会に29年目のスピッツの勇姿を目に焼き付けておこう。

 

【MV】醒めない / スピッツ

youtu.be

 

最後の革ジャンのメンバー、渋くてかっこいいね。あの格好での演奏風景をもっと見たかった気もするけどね、短い!というね、笑。あと、パンクロッカー姿の草野さんの挙動が、完全に甲本ヒロトを彷彿とさせるよね、人形姿ではあるけど、貴重な草野さんのリンダリンダジャンプが…笑える、笑。パンクロックの路線でいってたら、こんな風に飛び跳ねてたんだろうか、笑。

133時限目:花泥棒

【花泥棒】


花泥棒

花泥棒

 

■アルバム『インディゴ地平線』に収録されている曲です、アルバムの1曲目ですね。個人的ランキング、195曲中134位でした。印象には、かなり残る曲ですけどね。

 

前回紹介した【初恋クレイジー】が、同アルバムの2曲目でしたので、奇しくも、連続で収録曲を紹介することになりました。

 


■この曲の印象は、短くて(1分50秒)潔いパンクロック、といったところでしょうか。作詞は草野さんですが、作曲は三輪さんです。この曲を、草野さんは、「俺には絶対に作れない」と評したそうです。

 

三輪さんが作曲した曲だということで、他のアルバムの曲と感じが違いますよね。アルバムの始まりに弾みをつける、パンチの効いた曲ですよね。

 

その辺の話について、ネットでインタビュー記事を見つけたので、少し抜粋して載せてみます。(イ:インタビュアー、三:三輪さん、草:草野さん)

 



三:俺は、どっちかっていうとマサムネよりの曲を作ってくることが多くてね。マサムネには作れないような曲を作りたいとも思っていたし、こういう曲はマサムネは作ったとしても、アルバムには入れないだろうし。こういう曲を入れることによって、アルバムに広がりが出来たと思いますよ。

 

イ:1曲目でド胆を抜かれましたね。

 

草:1曲目でもう”スピッツ、ノッてま~す!”って感じだよね(一同爆笑)

 

三:現在しか出来ないことをいつもやりたいと思っているから、そういう意味でも勢いもつけばいいと思って。それにこの曲2分もないし、一体なんなんだ!と思わせといて2曲目でホッとさせるという。(一同爆笑)これはねセ~の!で音を出して、マイク2本立てて録ったのね、ほぼ一発録り。

 

イ:そういう勢いは充分に感じられますよね。

 

草:こういう曲だからこそ、泣きの入る詞にしたかったのね。悲しいイタリア映画みたいな。一人よがりの恋であり、ストーリーを考えていて自分で泣いちゃいました(笑)。それから、1曲目候補にはこれと『渚』しか考えられなくなって、結果的に『花泥棒』になりました。

 

”そういう意味でも勢いもつけばいいと思って。それにこの曲2分もないし、一体なんなんだ!と思わせといて2曲目でホッとさせるという。”って辺り、すごい分かりますよね。確かに、おっと思いますよね。それで、2曲目に【初恋クレイジー】ですからね。

 


ちなみに三輪さんというと、この時期の三輪さんは、突然ギターが弾けなくなるというスランプに陥って大変だったそうです。

 

アルバム自体も、作るのに相当苦労した作品で、メンバーでも「一番思い出深いアルバム」と言われている作品です。この【花泥棒】に関してもそうですけどね、田村さん作曲の曲(ちなみに、【ほうき星】という曲)も収録されてましたし、色々試していた時期でもあったんでしょうね。

 


■この歌に関しても、色んなストーリーが想像できると思いますが、何と言っても、歌の中で何度も連呼されている、”花泥棒”というフレーズが目立ちますね。

 

”花”というのは、そのまま”花”としても良いとも思いますが、僕の”あの娘”への気持ちを例えたものと考えるのが妥当かと思います。

 

”あの娘に似合いそうな花を見つけたぞ”からの、”この花を渡せたら それが人生だ!”というフレーズの流れになっていますが、”あの娘に似合いそうな花”とは、口説き文句か、シャレていなくても、いよいよ自分の気持ちを伝えようと考えた言葉などが当てはまるんじゃないかと思います。

 

それを渡そうとしているわけですからね、何なら、”それが人生だ!”とまで言ってるわけですからね、並々ならぬ想いを抱いているのでしょう。

 


しかしながら、2番では、”逆に奪われて すべて奪われて”からの、”夢で会う時は すごくいいのにさ”となっています。

 

”逆に奪われて”という部分の解釈が、少し迷いますかね。例えば、想いを寄せているあの娘は相当モテる娘で、モタモタしていたら、他の輩に取られてしまっていた、というのとか、例えば、単純に気持ちを伝えることができずに、なかなか夢で見るようには(頭の中のシミュレーションのようには)うまくいかない、というイメージですかね。

 


■ということで、”花泥棒”っていうのは、彼女の心を奪おうと頑張っているけど、うまくいかずに、逆に彼女に自分の心を奪われている男、ということでしょうか。

 

ただ、草野さんが思い描いたストーリーは、イタリア映画みたいな、という例えもありましたが、もっと切なくて、凝ったストーリーだったかもしれませんね。”ストーリーを考えていて自分で泣いちゃいました”、それほどなんですからね、笑。

 

メンバー全員で連呼する、最後の”花泥棒”が、花泥棒へのエールに聴こえてきますね。

132時限目:初恋クレイジー

【初恋クレイジー


初恋クレイジー

初恋クレイジー

 

■アルバム『インディゴ地平線』に収録されている曲です。個人的ランキング195曲中76位でした。

 

僕が、アルバム『インディゴ地平線』を初めて聞いたのは小学生の頃で、もう20年近くも昔になります。その中で、個人的にこの【初恋クレイジー】は、当初から印象に残っていました。

 

アルバムは、1曲目が【花泥棒】というパンクロックな曲で、それに続いて2曲目に【初恋クレイジー】が収録されています。【花泥棒】がノリノリなパンクナンバーである分、きれいなピアノの旋律で始まる【初恋クレイジー】は、イントロからはっとします。

 

それで、調べていたら、これはピアノで作曲した曲らしいです、草野さん自身が、「今までになかった」と語っていますので、ピアノ作曲は珍しいことだったのでしょう。

 


■今回はネットにて、【初恋クレイジー】という曲についての情報を色々と探した結果を、少しまとめて載せてみたいと思います。

 


まず、wikiの情報をまとめてみます。

 

この曲は、メンバーが最初、「シングルにして、ドラマの主題歌に。」と希望したそうです。しかしながら、「どうしても新曲を。」との意向があって、新曲の【スカーレット】を書き下ろしたそうです。そういう経緯があったんですね、この曲にはメンバーの特に強い思い入れがあったでしょう。

 

ちなみに、ドラマのタイトルは『メロディー』です…ちょっと記憶にないですね、笑。

 


あと、ネットを調べていたら、アルバム『インディゴ地平線』や、その収録曲についてのインタビューをまとめたのを見つけましたので、そこから少し引用してまとめてみます。(もっと早くに見つけておけば良かった!)

 

そこには、【初恋クレイジー】の話、というより、”初恋”というものへの、草野さんの想いがつづられていました。

 


(初恋という言葉が、最近はあまり使われない、死語のようだ、というインタビュアーの言葉に対して…)
草:昔、村下孝蔵さんのアルバムであった気がしますけど。昔のアイドルってイノセントな存在で、よく初恋を歌ってたけど、今はアイドルでもすぐにヌードになっちゃうような時代だから、初恋なんていってもしらじらしくなっちゃうんでしょうけど。あえて空々しい言葉を逆手にとったという意図もあるんですね、今回は。

 

草:でも、いい子ぶるわけじゃなくて、”初恋”ってイメージは僕にとってはすごくいいイメージで、愛しい言葉なんで、いつか使いたかったんですね

 

ということで、まぁ言わずもがな、【初恋クレイジー】という曲は、”初恋”というものを、草野さんなりに歌った歌であるということですね。

 


■まず、タイトルが”初恋クレイジー”です。”クレイジー”は、もう説明不要であるとは思いますが、英語で”crazy”と書き、意味は、気が狂ったとか、熱狂している様子などを表わす言葉ですね。時として、良い意味でも使われたりもしますけどね。

 

ということで、”初恋クレイジー”という言葉の意味は、そのまま”初恋に狂っている人”などと訳すのが適当かと思いますが、まぁ、狂っている、という言葉があまりに強すぎるので、”初恋に浮かれている人”みたいな感じでしょうか。

 

曲は、男性目線で描かれていますね。男性、というより、男の子、と言った方が、かわいらしくて良いかもしれませんね。

 


■全体的なイメージは、もう上述のようなことだと思いますが、素敵な歌詞がこの歌にもたくさん出てきますので、解釈・感想も踏まえて、少し紹介していきます。

 



見慣れたはずの街並も ド派手に映す愚か者
君のせいで大きくなった未来

 

これが出だしの歌詞ですが、いやぁ、これぞ草野節ですね、笑。”初恋”を、こんな言葉で言い表すとはね。もうすっかり見慣れた、いつもの景色も、恋をすることで、やけにきれいに見えたりするものだと、そういうことを歌っているのですね。それを、”君のせい”と言ってしまうのも、またニクいですね!

 

似たような曲で、【恋のはじまり】という曲がありますが、そこでも同じようなことを歌ってましたね。普段は、絶対に気にも止めない、花とか星とか、そういうものも、きれいだなってセンチメンタルに思っちゃう感じなんでしょうね。

 



軽いベーゼで満たされて 遠吠えしてた常日頃
違う四季はあっという間に過ぎて

 

ここもイイ!”ベーゼ”というのは、フランス語で、キスという意味だそうですね。ここで”キス”と言わないのが、またひねくれ者ですね、笑。要は、初キスに浮かれて、街中を叫びながら走りたくなるような衝動なんでしょうね。

 

”違う四季はあっという間に過ぎて”という表現も、また独特ですね。おそらく”違う四季”というのは、”春”以外の季節を表しているのだと思います。春という言葉は、恋愛とセットで使われるような言葉ですが、その”春”以外の季節があっという間に過ぎていった、ということで、心の中は常に”春”状態であることを表しているのだと思います…クレイジーですね!笑

 


あと、サビはこんな感じです。

 


誰彼 すき間を抜けて おかしな秘密の場所へ
君と行くのさ 迷わずに
言葉にできない気持ち ひたすら伝える力
表の意味を超えてやる それだけで

 

全体的に可愛らしい歌詞ではあるんですが、ここの”超えてやる”という言葉だけが、何か男らしい印象を与えます。まぁ、男らしいって言うより、頑張って強がっちゃおう感が漂ってきますけどね、笑。

 


初恋、と言っても、その意味合いをどう感じているかで、全然印象が違うと思います。幼稚園の時に、好きな女の子と結婚の約束をしていて、それを思い出して初恋と呼ぶ人も居れば、僕なんかは、本当に初めて人のことを好きになった経験は、大学生の時だったと思ってます。

 

きっと、この曲を懐かしんでいる方は、もう初恋からは大分遠ざかってしまっている年代の方々だと思いますが、この曲を聴いて、今一度、自分の初恋を思い出してみてはいかがでしょうか?笑

131時限目:ハチミツ

【ハチミツ】


ハチミツ

ハチミツ

 

■アルバム『ハチミツ』に収録されている曲です。見ての通り、表題曲になっています。アルバム自体が可愛らしい曲が多い作品ですが、特にこの曲は可愛らしい曲だと思います。

 

個人的ランキング、195曲中176位でした…個人的になんですけど、アルバム単位でも、『空の飛び方』『インディゴ地平線』などと比べて、『ハチミツ』は個人的に評価は低めです…まぁ結局は、全部好きですけどね、順位を見てもそのような傾向にあるようです。

 

表題曲ということで、アルバム『ハチミツ』自体の情報なども書いていこうと思います。

 


■まず、この時期のスピッツは、”スピッツ・バブル”の真っただ中にいました、笑。『ロビンソン』の大ヒット、『空も飛べるはず』のセカンドヒット、続く『涙がキラリ☆』『チェリー』『渚』も大ヒットしましたね。

 

その中で、メンバーの生活や、音楽に対する姿勢が変わっていったことが、書籍「旅の途中」を読んで知ることができます。

 


ドラマーの崎山さんは、この時期スランプを経験したそうです。詳しい状況は分かりませんが、自分のドラムプレイに悩んでいたようです。でも、読んだ限りでは、スランプと言うより、さらにうまくなるために越えるべき壁にぶち当たったような感じでした。

 

それで思い切って、一軒家を借りて、一日中練習できる防音スペースを設営したらしいです。素人目から見ると、この時期でもうすでに超絶うまかったですよ!って感じですけどね、プロフェッショナルですね。常に安定しているドラムプレイは、こういう努力から培われたものだったのでしょう。

 


草野さんは、『ロビンソン』のヒットを皮切りに、自分の音楽に対して、自信を持つようになってきた様子がうかがえました。アルバム『ハチミツ』も、草野さんやメンバーにとって自信作であったそうです。

 

その一方で、増え続けるファンの迷惑行動に悩まされていたことも書いてありました。自宅のチャイムを連発され、部屋で留守番していた当時付き合っていた恋人が怯えただとか、冬に自宅に雪だるまを作られ、それのせいで車が出せなくなって困ったりしたそうです。困ったでしょうね。

 


■作品自体に関しての情報を書いてみます。こちらは、書籍「スピッツ」の方にたっぷり書いてありました。少しだけ抜粋してみます、語り手は、全て草野さんです。

 


今は聴き手の顔も何となく見えるし。そう考えると、『ハチミツ』っていうのは、空を飛ぶということから一歩こう歩み出た形かなあ。『空の飛び方』っていうのは、一人で空を飛んでてみんなに「みんなも飛べるはずなんですよ」って言ってるようなアルバムだったけど…

 

というのが、アルバム『ハチミツ』という作品に込められた想いだったようですね。

 


そして、インタビュアーの「”空も飛べるはず”辺りから曲がガラッと変わってきたのは新しい彼女のせいじゃないか」という質問に対して、

 


彼女の変わり目が曲の傾向の変化をもたらすのはやっぱり大いにありますよ。…すごい自信を与えてくれる感じの子だから、自信を持ってやれるような感じかなあ。

 

だそうです。というわけで、【ハチミツ】という曲は、ご自身の彼女を思い浮かべながら作ったのでしょうか。

 


■ということで、長くなりました、肝心の【ハチミツ】の紹介・解釈に話を移します。

 

草野さんのアルバムイメージの説明にも、”一歩歩み出た形”というのがありましたが、それは”スピッツ・バブル”という言葉もあるように、自分たちの音楽が世間に認められはじめて、そこから自分たちの音楽に自信を持てるようになった、ということでしょう。

 

そういうところから、何となく、雲を突き抜けたというか、霧を抜けたというか、何かを乗り越えた感じの明るさを、このアルバムや、この【ハチミツ】という曲から感じ取れます。

 


■あわせて、この【ハチミツ】という曲は、恋愛系の歌になっています。

 


一人空しくビスケットの しけってる日々を経て
出会った君が初めての 心さらけだせる

 

素敵な恋人 ハチミツ溶かしていく
こごえる仔犬を 暖めて

 

これが一番の歌詞ですが、これはまさしく、すさんでいた気持ちが、”君”と出会うことで救われた、明るくなった、ということを歌っていると思います。

 

しけってるビスケット=男の心、そして、ハチミツ=彼女、ということですかね。しけって味気なくなってしまったビスケットに、ハチミツがかかって混じりあっていくような、そんな甘い恋愛が思い浮かびます。

 

”こごえる仔犬”とは、スピッツのことでしょうか。だとしたら、恋人は、自分はおろか、スピッツ自体も救ったのかもしれません。

 


ということで、ビスケットは草野さん自身、ハチミツは先述した、当時の恋人のことであると、読み替えてもいいかもしれません。

 

それまで(『ハチミツ』以前)のスピッツだったら、恋愛における別れの場面だったり、自分の想いを伝えきれない草食系男子のストーリーだったり、そういうのを歌っている印象が強かったですが、この【ハチミツ】は、言うなればラブラブな状況ですからね。何なら、ビスケットにハチミツが溶け込んでいくというのは、ちょっとエッチな場面かもしれませんが…どうでしょう。

 

そういう意味でも、このアルバムや【ハチミツ】からは、非常に前向きな草野さんの、スピッツの姿が思い浮かんできます。

 


■ということで、あまり歌詞は紹介できませんでしたが、他にも可愛らしい表現が多いですので、良かったら自分で確かめてみてください。

 

ハチミツ MV(メンバーが若いね!&アルバムジャケットの女の人の素顔が発覚!)

youtu.be

 

 

■ちなみに、アルバム『ハチミツ』が発売されたのは1995年ですが、アルバム発売20周年を記念して、2015年にトリビュートアルバム『JUST LIKE HONEY 〜『ハチミツ』20th Anniversary Tribute』が発売になりました。

 

様々なアーティストが、アルバム『ハチミツ』の楽曲をカバーしている作品です。この作品に関しては、別記事にて語っていますので、興味がありましたら読んでみてください↓

http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2015/12/22/235526

130時限目:裸のままで

【裸のままで】


裸のままで

裸のままで

 

■6枚目のシングル曲であり、アルバム『Crispy!』にも収録されている曲、というより、アルバム『Crispy!』からの先行シングルという位置づけらしいですね。個人的ランキング、195曲中73位でした。

 

6枚目のシングル曲ということですが、シングル曲をここまで続けて聴いてみれば、これまでとこの曲の雰囲気の違いには、容易に気が付くと思います。簡単に言うと、とても陽気でキャッチーだな、という印象を持つと思います、僕もそうでした。4枚目のシングル曲【惑星のかけら】とかと比べてみると…大分違いますね。

 

この曲を世に送り出すことに関しては、草野さんの、あるいは、スピッツメンバーの、今までとはちょっと違った想いが込められています(そうであると思います。)

 


■まず、シングル『ヒバリのこころ』とアルバム『スピッツ』でメジャーデビューしたスピッツでしたが、そもそもスピッツというバンドは、最初っからコアな方向を突き進むバンドで、おそらく、「売れよう!」という気持ちをメンバーが持っていなかったのだと思います。全く持っていなかったわけではないでしょうけど、そんなにこだわってはいなかったのだと思います。

 

それでも、デビューして活動をしていく中で、そろそろ何か成果を出さなければならない、という想いをメンバーが持つようになります。

 

そんな時期に、発表された作品が、シングル『裸のままで』やアルバム『Crispy!』でした。この時期の曲の特徴は、ホーンやストリングスなどを多用した明るい曲が多くなっています。歌詞もそれまでと比べると、明るくなっている…ような気がします…いや、でも相変わらず、そこはコアではあるかな。

 


■シングル『裸のままで』や、アルバム『Crispy!』は、非常に売れ線を意識した作品でありました。そして、草野さんの自信作でもありました。「ミリオンいく!」とさえ豪語していたそうです。並々ならぬ力を、これらに注ぎ込み、多大な期待を込めていたのでしょう。

 

しかしながら、これらがまた、これまでと同様にオリコンチャートに入ることはありませんでした。自信作として発表した作品だったはずが日の目を見ず、草野さんは相当なショックを受けてしまいます。

 

それでも、『Crispy!』収録曲で、後にシングルカットされる『君が思い出になる前に』がオリコンチャートに入り、そこからスピッツの名前が世に広がっていった、ということを考えると、この頃の活動は身を結んだ、ということにはなりますね。

 


■上述のようなことを、書籍『スピッツ』の中で、もっと草野さん風にしゃべっているところがありましたので、少し紹介しておきます。以下、語り手は、全て草野さんです。

 


…だから、もう『君を愛してる』って言葉は意味を持ってないって考えてもいいと思うんですよ。なんか『ポパイに載ってたからこの服を着てみよう』っていうような感じの。みんなが歌っているから一度ぐらいは歌ってみようっていう(笑)。

 


その服を着ることによってみんなと同じように見られちゃうっていう恐れがあったという。だけど、今はそういう服を着たって別に自分は自分だって思えるから。

 

色々、気持ちの変化があったんだということが分かる語りですね、笑。流行ものは嫌いだったけど、売れ線を狙うために使ってみようか、という感じでしょうか。

 


■それでは、この曲はどんなことを歌っているのか、考えてみます。

 

タイトル、【裸のままで】です。もうここから何か、エッチな歌なんじゃないか、という印象を受けますね、どうなんでしょうか。

 

僕の印象では、そういうエッチな側面はあるだろうとは思いますが、先に喋った事柄から、草野さんの決意表明的な側面もあるのではないか、とも思いました。

 


部分的に歌詞を読んでみます。

 


ひとりの夜くちびる噛んで 氷の部屋を飛び出したのさ
人は誰もが寂しがりやのサルだって 今わかったよ

 

これが出だしの歌詞です。読んでその通りのイメージが浮かびます。一人で過ごして物寂しい夜に、その寂しさに耐えきれずに、部屋を飛び出した、ということですね。歌詞を読んでみて分かることですが、この歌には”二人”というフレーズが出てきますので、部屋を飛び出して、誰かに会いに行く、ということだと想像できると思います。

 



そして時は ゆっくり流れ出す
二人ここにいる 裸のままで
どんなに遠く 離れていたって 君を見つめてる
ほら 早く! 早く! 気づいておくれよ

 

これがサビの歌詞です。ここに、タイトルにも使われています、”裸のままで”というフレーズが出てきますね。”二人ここにいる 裸のままで”ですからね、裸の男女が一緒にいる、とイメージするのが自然ですね。そこから、SEX中だったり、SEX後にイチャイチャしているところなどを想像しますね。

 


ただ、ここの男女は、どういう関係にあるのでしょうか。”どんなに遠く 離れていたって 君を見つめてる”というフレーズもありますが、ピロートークっぽくも聴こえますね、ベッドの上で口説いている感じです。

 

ただ、”ほら 早く! 早く! 気づいておくれよ”ですからね。あっちは、男の気持ちに気づいていなくて、気付いてほしい!と思っている、と考えるならば、相手は例えば、そういう商売をしている女…ということにもなるかもしれませんね。

 

悶々とした気持ちが収まらずに、”そういうサービス”をしてくれる店にやってきた、と。女の方は、仕事なので、相手をする男には恋愛感情などを持つことはありませんが、男の方はわがままに、自分だけを見てくれよ!と思っていると、そういう感じでしょうか、笑。

 


■まぁ、相手の解釈はさておき、エッチな解釈をするとするならば、上述のようになりますかね。

 

ただ、先に述べたように、この曲には、草野さんの決意表明的な側面もあるのではないか、とも思っています。この曲は、草野さんが売れ線を意識して作った曲だ、と説明しました。”君を愛してる”なんて、いつもは使わないような、ポピュラーなフレーズを使ったりして、要するにちょっと方向性を変えて、無理したわけですね。

 

そういう気持ちが、”裸のままで”という言葉に含まれている、と考えるとどうでしょうか。”裸”というものは、要するに”精神的に”という意味合いで、ゼロからまた始めてみよう、という気持ちを込めたのかもしれません。

 

まぁでもそうなると、”二人ここにいる”というフレーズに矛盾が生じてきますかね、相手がいると考えると、やっぱりエッチなのでしょうか、笑。



■あとは、おまけとして、これが心中の歌である、という解釈もあります。そう考えると、死因はクスリですかね。”そして時は ゆっくり流れ出す”とか、”地下道に響く神の声を 麻酔銃片手に追いかけた”などから、前者は、クスリを飲んで朦朧としているところ、後者は、度々出てきます、”草野さんの書く詩の神様は、死を象徴している”説にも由来していますね。

 

そう考えると、またちょっと歌詞も色々と別の読み方ができそうですか、長くなりそうなので、自由研究として置いておきます。”そういうつもりで”歌詞を読んでみる、というのも、また面白いですよ。

 

裸のままで MV

youtu.be

 

MVも、とてもカラフルで、ユーモアが効いたものになっていますね、色々カオスですけど、笑。スピッツなりの、これらも売れ線ねらいなのでしょうか。