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219時限目:ナサケモノ

【ナサケモノ】

 

ナサケモノ

ナサケモノ

  • provided courtesy of iTunes

 

■アルバム『醒めない』の5曲目に収録されている曲です。

 

曲調は、スピッツロックの一つの王道と言える、カッコかわいい(カッコいい+かわいらしい)ロックチューンになっています。ミドルテンポで聴きやすく、ギターやドラムの音も軽いので、さくっと聴いて楽しくなれる曲だと思います。

 

そして、草野さんのボーカルやメンバーの演奏に合わせて…何の音と形容すればいいのか分かりませんが、曲の後ろで子どもがおもちゃで遊んでいるような音が随所で鳴っています。一番分かりやすいのがイントロの部分ですね、時計の針が動くような音、電話の受話器から聴こえるような音、おもちゃのゼンマイを巻いているような音などが、曲の終わりまで随所でガチャガチャなっていて、騒がしいですが、何だか楽しくなります。

 

ちなみに、wikiの情報によると、「曲中に聴こえるねじを巻いた音は、田村の家にあったムーミンキッチンタイマーの音」だそうです。

 

こういう曲は、スピッツにとっては珍しいんじゃないでしょうか…というより、これまでにこういう曲はありましたっけ?
(全然関係ないですが、僕はこの曲で、カミナリグモというバンドを思い浮かべました。残念ながら現在は活動休止中ですが、ボーカルの上野啓示さんのソロプロジェクトのかけらフィルムもおすすめです!)

 


■さて。

 

あんまり曲の情報が見つかりませんでしたので、早速自分の考えを語っていきたいと思います。

 


まず、このタイトルですよ、”ナサケモノ”って一体何だ?という感じですよね。最初は、”ナマケモノ”と空目した程です、笑。

 

”ナサケモノ”とは、この歌詞の中に、”情けない獣”というフレーズが出てくるのですが、それを縮めた言葉だと思われます。つまり、”ナサ”けない”ケモノ”で、”ナサケモノ”ということですね。

 

ただ、やはり言葉自体の意味は分かりません。”ナサケモノ”=”情けない獣”としたところで、じゃあ”情けない獣”って何だよって話です。その辺りは、歌詞を読んでいくしかなさそうです。

 


■ということで、少しずつになりますが、読んでいってみます。

 


憧れたり コケにしたり 愛おしい二文字
君の名前 つけた人は すごくセンスがいい

 

まず、出だしの歌詞ですが、いきなり草野節ですよねぇ。

 

ここの部分は、”君の名前”について触れられている部分ですね。”愛おしい二文字”とは、”君の名前”を指しているのでしょう。つまり、”君の名前”が二文字なんでしょうね。しかも、その名前を”つけた人は すごくセンスがいい”と、”君の名前”が素敵なことに加え、その名前をつけた人物まで含めて褒めています。

 

この歌には、”君”は出てきても、”一人称 / 僕、私、俺など”がひとつも出てこないですが、紛れもなく一人称側の目線でこの歌詞は描かれていると思われます。つまりは、”君の名前”が素敵だと、名前をつけた人のセンスが良いと褒めている”主人公”が居ること、合わせて、その”主人公”は、”君”のことを大切に思っていると、出だしの2行から読み取れると思います。

 


じゃあ、”主人公”と”君”の関係はどういうものなのでしょうか。両者の関係性が分かりそうな部分は、この辺りでしょうか。

 


本能でさらに強く 伝えたい気持ちがある
これを恋というのなら 情けない獣さ

 


足にもなる メシもつくる 涙はいただく
ギリリとゼンマイ 巻き上げたら すぐに元気だし
夢中で生きていられた ありがとう

 

キーワードは、まず”恋”という言葉。”これを恋というのなら”と、言葉を濁らせていますが、”伝えたい”と思っている以上、もう恋に落ちていると解釈しても差し支えは無いのだと思います。

 

後半3行も、面白いですよね、笑。要は、”主人公”が”君”に尽くしているということなんでしょうね。”夢中で生きていられた”とあるように、そういう日々に、”主人公”は喜びを感じていたことも読み取れます。

 


あとは、この両者の関係がどんな方向に向かっていったのかという様子が描かれいるような部分として、最後のサビにこんなフレーズが出てきます。

 


寂しさ消してやる そんな約束したのにさ
ついに叶えられず 逝けてない屍さ

 

つまり、何かの形で、両者の関係が終わってしまったことを読み取ることができそうです。

 


■ということで、少しまとめてみます。

 

まず、一番単純に読めば、「”君”に恋をした”主人公”が、”君”のために一生懸命尽くしたんだけど、”君”とずっと過ごすことが、何らかの形で叶わなくなってしまった」という物語を想像しました。

 

”主人公”は、”君”への恋心を自覚しつつも、恐らくそれを伝えることができず(それか、伝えたが、”君”にいい様にあしらわれているか)、それでもずっと”君”に尽くし続けたのでしょう。

 

”君”がどこへ行く時でも送り迎えをし(足にもなる)、”君”のためにご飯まで作ってあげ(メシも作る)、”君”が悲しんでいる時はなぐさめ元気づけてあげる(涙はいただく)、もう全てが”君”を想ってのことですかね。

 

しかしながら、最後の方で、”約束したのにさ ついに叶えられず”という表現があるように、”主人公”の願いが叶うこともなく、”主人公”と”君”の生活は終わりを迎えてしまいます。

 

終わった原因は何だったのでしょうか。”主人公”は、具体的に”君”に気持ちを伝えてなかったかもしれないので、甲斐甲斐しい努力がただの徒労に終わった、ということなのかもしれませんね。要は、友達関係の範疇を越えることが出来なかったということですかね。

 

ということで、一応は”君”の”寂しさ消してやる”と約束をしていたようなので(両者で誓い合ったか?それとも、”主人公”の一方通行か?)、それを叶えることが出来なくなって、自分は情けないなぁ…と思い、そんな自分自身を”情けない獣”と揶揄し、そのままタイトルの”ナサケモノ”にもつながるのでしょう。

 


■あとは、ちょっとひねくれて読んで、何ていうか、ペット(動物)と飼い主の関係を歌っているのかなって考えたりもしました。

 

そうなると、どうなるんですかね…”主人公”の方がペットで、”君”の方が飼い主になるんですかね。

 

”情けない獣”の”獣”は、そのまま自分が何らかの動物(獣)であることを表しているだとか(イメージは、猫や犬などのかわいらしい動物)、”涙はいただく”や”寂しさ消してやる”などは、飼い主を癒すという自分自身のペットとしての役割を表しているだとか、色々考えました。

 

ただ、結局はうまくつなげることができませんでした。例えば、”足にもなる”とか”メシも作る”とか、ここはむしろ逆だろうってね、ここだけ”主人公”ではなく”君”目線なのか?とか、色々考えてみたんですけど…どうですかね?