スピッツ大学

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238時限目:YM71D

【YM71D】

YM71D

YM71D

  • provided courtesy of iTunes

 

■アルバム『見っけ』の8曲目に収録されている曲です。

 

ギターのカッティングの音が印象に残る感じで、こういうのを、ファンクっていうんですかね。何か、これまでのスピッツにあったようで、あんまりなかったような珍しい曲です。

 

スピッツの曲だと、何に似てますかね…インタビューでは、【ヘビーメロウ】が引き合いに出されてますけど、AOR系のちょっと大人っぽい、おしゃれな感じの部分は、個人的には【夏が終わる】とかに近いかなって思いました。

 


音楽雑誌「MUSICA」のインタビューによると、この曲は山下達郎さんに影響を受けて作られた曲だそうです。

 


草野さん「これはね、実は山下達郎さんの”SPARKLE”みたいな曲を作りたいと思って作ったんですよ。それで”Y&T”って仮タイトルにしてたんで、タイトルを付ける時にYで始まるタイトル考えようと思って。さすがに”Y&T”のままだと”山下&達郎”になっちゃうから」

 

少し聴いてみましたが、なるほど確かに、意識していらっしゃる笑 山下達郎さんが、AOR系の代表格のような人ですからね(多分…)。

 

ちなみに、何で山下達郎さんの【SPARKLE】っだったのかというと、古くは草野さんが高校生の時に、1年間ギター教室に通ったことがあったそうで、その時の課題曲が【SPARKLE】だったことがあって、その曲を最近ラジオ番組でかけて、かっこいいと感じたから、という話もインタビューで語っておられました。

 


■あとは、そもそも謎の曲名”YM71D”についてですが。

 

このアルバムが発売になる前に、当然のことながら収録曲が先に発表されました。スピッツだけに限りませんが、好きなアーティストの新しいアルバムの収録曲発表はワクワクしますよね。

 

スピッツには、おかしな曲名も多く、それはアルバム『見っけ』にも当てはまることでした。その中でも、さらに異彩を放っていた【YM71D】という曲名…もはや読めないというね笑。ツイッターなどでは、この曲の名前の読み方の予想が発売前から始まったほどでした。

 

答えは、”YM71D”で”やめないで”でしたね。歌詞の中に、”やめないで”というフレーズが出てくるので、自然とゴロ合わせ的に読むことができました。まぁこの読み方にしたって、実際には草野さんは「そこはなんでも大丈夫」とインタビューで語っていますので、別に決まったものはないのかもしれません。

 


■では、この曲の解釈を考えてみます。

 

しかしまぁ、多少独特な表現はあるものの、この曲は分かりやすい感じの歌詞だというのが結論ですかね。

 

歌詞を追って読みながら考えてみると、まず1番の出だしの歌詞から。

 


誰かと一緒にいたいけど 誰でもいいわけじゃなく
演じてた君に恋して 素の君に惚れ直して
平和だと困る街 駆け抜け
新しいヨロコビが ここにある

 

まず、始まりがこんな感じなんですが、ここだけ読むと、まぁまぁ健全で普通な恋愛と読める気がします。

 

”演じてた君”と”素の君”の対比に関しても、ここだけだと例えば、みんなの前に居て自分をよく見せるために演じている君と、そういう集団から離れて僕と居る時にだけ見せる素の君、という対比と考えることができます。そして、そういう君に、僕は恋に落ちたという展開ですね。

 



反則の出会いなんだし 目立たぬようにしてたけど
きまじめで少しサディスティックな 社会の手ふりほどいた

 

続いて、2番のAメロの歌詞ですが、”反則の出会い”、”目立たぬように”、”社会の手ふりほどいた”などの、ちょっと怪しいフレーズが続きます。

 

とくれば、これはもうスピッツの歌詞によく出てくる、例えば不倫のような、不貞な恋愛関係を考えることができそうです。

 

”反則の出会いなんだし 目立たぬようにしてたけど”というところは、”反則”という言葉が、いわゆるルール違反を意味する言葉なので、この2人は、何かしらのルールを破ってしまっていると…つまり、すでに結婚相手や恋人が居るにも関わらず、逢瀬を楽しんでいるということでしょう。

 

”社会の手ふりほどいた”も同様ですね、”社会”とはルールを守る場所や人の象徴であるので、その手を振りほどく=これもやはり、ルールを破って不貞な恋愛に走ると考えることができそうです。

 


■あとは、タイトルになっている”YM71D”、つまり”やめないで”という言葉が出てくるサビの歌詞としては、

 


やめないで 長すぎた 下りから ジャンプ台にさしかかり
マグレにも 光あれ どこまでも 跳べるはずさ二人

 


やめないで 僕らまだ 欠片すら 手に入れちゃいないさ
初めては 怖いけど 指と指 熱を混ぜ合わせよう

 

この辺りは、性交渉中の表現と読むこともできそうですね。”ジャンプ台にさしかかり”や”跳べるはずさ二人”という表現は、今まさに絶頂を迎えようとしていることを表現していたり、”指と指 熱を混ぜ合わせよう”も、ベッドの上での行為中を表現している言葉だと考えることができそうです。

 

だから結局、”やめないで”の意味は、”性交渉を止めないで”という意味になるんですかね。

 

ただ、この曲に関しては、先述の通り、ファンキーでおしゃれな大人っぽい曲調とも相まって、そういう解釈とすごくマッチしているので、全然いやらしくは聴こえませんよね。