スピッツ大学

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集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第10回

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おかしいよと言われてもいい ただ君のヌードを
ちゃんと見るまでは僕は死ねない

 

 

■アルバム『空の飛び方』に収録されている【ラズベリー】という曲の歌詞です。もう、歌詞を紹介したところで、出オチのような気がしますが笑

 

僕が【ラズベリー】を初めて聴いて、この歌詞に出会ったのは、中学生の頃でした。第5回で書きましたが、高校受験の時に【スピカ】を聴いて気分を上げたり、落ち着かせたりして、勉強を頑張っていたのですが、【ラズベリー】も同じ時期に聴いていました。

 

中学生の時に、この歌詞に出会うわけですよ。それはもう悶々としていましたね、なんか知らない世界が広がっていく感じがしました。

 


スピッツ大学でもすでに何度も触れていますが、草野さんが書く詩のテーマとしては、”セックスと死”というものが知られています。

 

そういう意味でいえば、【ラズベリー】は”セックス”の方向に全振りしたような歌ですね。【ラズベリー】の歌詞は、紹介している部分以外にも、性的と感じる表現がたくさん出てきます。

 


泥まみれの 汗まみれの 短いスカートが
未開の地平まで僕を戻す

 


駆け出したピンクは魔女の印

 


でこぼこのゲームが今はじまる
穴を抜けてこっちへおいでと

 

などなど。ただし、大抵はこんな風に、性的に読めるんだけど、直接は表現せずに、何かエッチだなぁって思わせる感じが多いんです。上に紹介している3つの歌詞も、そんな感じですよね。

 


■ただ、そういう風に読んでいくと、紹介しています2番のAメロの歌詞で、!?ってなるんです。

 


おかしいよと言われてもいい ただ君のヌードを
ちゃんと見るまでは僕は死ねない

 

おいおい、まじか!?こいついきなり何言い出してんの!?ついに、本心を言いやがったな!って感じですよね笑

 

まぁ、もう言わずもがな、全男性に課せられた永遠の欲求ですけどね。ですけど…にしても、正直すぎるわ!っていうね。一周回って清々しささえ感じます。

 

こんなこと、ストレートに歌で歌っていいんだ(いいことはないけれど笑)って、衝撃的でしたね。特に、中学生の頃の自分には、刺激的でした。

 


■もう紹介した時点で、出オチで説明不要な気がしますが、一点だけ少し深掘りしておきます。

 


ちゃんと見るまでは 僕は死ねない

 

ここの歌詞ですよ。”君のヌード”を”見るまでは僕は死ねない”とか、めっちゃ本気さが伝わってくるのですか、ここにくっついている”ちゃんと”という言葉なんですよ。

 

そう、ただ”見る”のではなく、”ちゃんと見る”ことを欲しているのだと。

 

例えば、妄想の中ならば、もう何度も”君のヌード”を思い浮かべてきたと…だけど、まだ”ちゃんと”見てないんだ!だから、”ちゃんと”本物が見たいんだ!ムラムラする!という切実さが伝わってきます。

 

あるいは、”ちゃんと”ではないけど、ふとした時にちらっと、イヤーンな何かが見えたのかもしれません。それで、余計に悶々としてしまった、と。

 

という風に、この”ちゃんと”という一言があるだけで、色々と想像が膨らむなぁ、と思いました。

 


■ということで、まぁ読んだまんまなので、もう多くは語りません。

 

ただ、それを差し引いても、【ラズベリー】という曲は超名曲です。アルバム『空の飛び方』の曲だと、個人的に一番好きかもしれません。割と古い曲ですが、聴いたことない人は、ぜひ聴いてみてください。