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集中講義:草野正宗 ~詩の世界への招待~ 第13回

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蝶々になる 君のいたずらで
ただ朱く かたちなき夢を
染めていくような夕暮れ

 

 

■アルバム『空の飛び方』に収録されている【恋は夕暮れ】という曲の歌詞です。

 

この歌の歌詞には、草野さんの”恋”というものに対する考え方や、恋とはこういうものだ!という格言のようなものがたくさんできています。いわば、草野さん節満載の恋の格言ソングと言ったところでしょうか。

 

Aメロの歌詞は、一節ごとに”恋は…”という風に始まっており、そこに上述のように格言がたくさん出てきます。まとめて書いてみますと、

 


恋は昨日よりも 美しい夕暮れ
恋は届かない 悲しきテレパシー

 


恋は待ちきれず 咲き急ぐ桜
恋は焼きついて 離れない瞳

 


恋は迷わずに 飲む不幸の薬
恋はささやかな 悪魔への祈り

 

個人的には、”恋は迷わずに 飲む不幸の薬”というのが、パンチが聞いていて好きです。

 


■という感じで、ひとつひとつの格言だけでもとても素敵で面白いんですけど、個人的には、冒頭で紹介しています、サビの歌詞が一番好きなんです。

 


蝶々になる 君のいたずらで
ただ朱く かたちなき夢を
染めていくような夕暮れ

 

まずは、”蝶々になる 君のいたずらで”という部分についてですが、これは例えば、第3回の【恋のはじまり】などでも話したように、恋に落ちるということを、草野節で表現した歌詞ですよね。

 

ひらひらと舞い上がる”蝶々”の姿に、君に恋をしたことで、心が浮かれている自分の姿を例えているのでしょう。君の”いたずら”という表現も、どこか微笑ましいですよね。

 


■そして、後半部分についてですが、タイトルにもなっています、”夕暮れ”という言葉が出てきています。

 

草野さんが書く詩には、時々、”夕暮れ”や”夕陽”などの言葉が出てきます。いくつか紹介…してもいいのですが、記事が散らかってしまうだけなので、曲名だけにしておきます。

 

例えば、【夕焼け】【アカネ】【夕陽が笑う、君も笑う】【涙がキラリ☆】など…少し、狙いを持って選ばせてもらってますが、こんな感じで考えていくと、草野さんが”夕暮れ”や”夕陽”などの言葉を使う時って、何となく大切な人のことを思ったりしている時が多いような気がします。

 

【恋は夕暮れ】なんてのは、その象徴のような曲であり、まさにって感じですよね。もうタイトルから言っちゃってますし。

 


ただ朱く かたちなき夢を
染めていくような夕暮れ

 

”かたちなき夢”という言葉が、そのまま”大切な人への想い”を表していると考えてみると、そんな想いを胸に秘めたまま、感傷的に夕焼けを見て黄昏ているような、そんな光景が浮かんできます。