スピッツ大学

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はじめに

■ スピッツ大学 沿革(2018年版)

http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/1000/01/01/000000

 

 

■ スピッツ大学 学長紹介(2018年版)

http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2016/06/20/215848

 

 

■ スピッツ全曲研究セミナー一覧

http://itukamitaniji.hatenablog.com/archive/category/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%84%E5%85%A8%E6%9B%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC

 

 

スピッツ大学ランキング企画 最終結

http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/8823/06/22/000000_5

 

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スピッツ大学 校歌

http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/1000/01/04/000000

 

 

■外部活動記録

http://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/1000/01/05/000000

 

 

その他、右の講義一覧より、上記以外の講義に飛ぶことができますので、そちらもよろしくお願いします。(PC版)

アルバム講義:14th Album『小さな生き物』

小さな生き物 【デラックスエディション(完全数量限定生産盤)】(SHM-CD + 2Blu-ray)

14th Album『小さな生き物』
発売日:2013年9月11日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. 未来コオロギ
→ 181時限目:未来コオロギ - スピッツ大学

 

02. 小さな生き物
→ 92時限目:小さな生き物 - スピッツ大学

 

03. りありてぃ
→ 199時限目:りありてぃ - スピッツ大学

 

04. ランプ
→ 198時限目:ランプ - スピッツ大学

 

05. オパビニア
→ 33時限目:オパビニア - スピッツ大学

 

06. さらさら
→ 58時限目:さらさら - スピッツ大学

 

07. 野生のポルカ
→ 189時限目:野生のポルカ - スピッツ大学

 

08. scat
→ 210時限目:scat - スピッツ大学

 

09. エンドロールには早すぎる
→ 28時限目:エンドロールには早すぎる - スピッツ大学

 

10. 遠吠えシャッフル
→ 101時限目:遠吠えシャッフル - スピッツ大学

 

11. スワン
→ 79時限目:スワン - スピッツ大学

 

12. 潮騒ちゃん
→ 63時限目:潮騒ちゃん - スピッツ大学

 

13. 僕はきっと旅に出る
→ 161時限目:僕はきっと旅に出る - スピッツ大学

 

14.エスペランサ(Bonus track)
→ 212時限目:エスペランサ - スピッツ大学

 

(デラックスエディション版Blu-ray、DVDに収録)
あかさたな
→ 213時限目:あかさたな - スピッツ大学

 


■アルバム『小さな生き物』は、前アルバム『とげまる』から、およそ3年後に発売になりました。

 

アルバム『小さな生き物』は、スピッツにとっては初めての、複数の形態で発売になったアルバムでした。何かの情報によると、複数形態でアルバムを発表した経緯としては(wikiにも情報がありますね)、「もうCDというものがどうなるかは分からない、ひょっとしたら無くなってしまうかもしれない時代なので、出来ることをしておきたい」というようなことを語っておられました。

 


ちなみに、発売の形態は3種類で、それぞれ「通常版」「期間限定盤」「デラックスエディション盤」があります。それぞれ、

 

<通常版>
①アルバム『小さな生き物』ディスクのみ

 

<期間限定盤>
①アルバム『小さな生き物』
②PV集
 収録曲:【さらさら】【野生のポルカ】【小さな生き物】

 

<デラックスエディション盤>
①アルバム『小さな生き物』
 +Bonsu Track【エスペランサ】収録
②PV集
 収録曲:【さらさら】【野生のポルカ】【小さな生き物】
③撮り下ろしライヴ映像ディスク
 1.運命の人
 2.あかさたな(未発表曲)
 3.さらさら
 4.りありいてぃ
 5.夕焼け
 6.潮騒ちゃん
 7.エンドロールには早すぎる

 


つまり、デラックスエディション盤でのみ、【エスペランサ】と【あかさたな】の新曲2曲を聴くことができるということですね。【あかさたな】に関しては、今のところCDで音源化されていなくて、このライヴディスクでの映像でいしか聴くことができない、レアな曲になっています。

 

PV集の【野生のポルカ】のPVとかもレアですよね(ちなみに、ぶちかっこいいPVです)。youtubeスピッツのチャンネルでも発表されていませんからね。

 


■ということで、まずは、アルバム発売前までの経緯について語っていきます。もうすでに何度も語ったことが出てきますが、重複して申し訳ございません…。

 


まず、前アルバム『とげまる』の発売は、2010年10月27日でした。スピッツは、1991年にメジャーデビューを果たしたので、来たる2011年にメジャーデビュー20周年イヤーを控えていました。アルバム『とげまる』は、そういう意味では、20周年の記念的な作品だったと言えるかもしれません。

 

しかしここで、2011年3月11日、あの未曽有の大災害、東日本大震災が起こってしまいます。

 

それによって、3月に発売予定だった『ソラトビデオCOMPLETE 1991-2011』の発売が延期になったり、さらには、草野さんが急性ストレス障害を患われて、スピッツの活動が少し止まったりしました。

 


それから時が経ち、確か2012年の終わりか、2013年の始まりだったか、とにかくその頃だったと記憶していますが、スピッツが2013年の発売を目指して新しいアルバムの制作をはじめて、そのアルバムから先行シングルが発売になるという、嬉しい情報が流れてきました。ちなみに、そのアルバムが『小さな生き物』であり、先行シングルは『さらさら / 僕はきっと旅に出る』でした。

 

シングル『さらさら / 僕はきっと旅に出る』は、前シングル『シロクマ / ビギナー』からおよそ2年半ぶり、アルバム『とげまる』から数えても2年以上も経っていたので、本当に久しぶりの新曲という感じがしました。その間に、スペシャルアルバム『おるたな』は出てはいるのですけど、スピッツの新曲という感じではなかったですからね。

 

【さらさら】は、”J-WAVE「春のキャンペーン TOKYO NEW STANDARD」テーマソング”に選ばれ、その後MVが発表されました。最初に、【さらさら】のMVを見たとき、何ていうか、粛々と鎮魂歌でも歌っているような感じを受けたんです。照明を比較的抑えたほの暗いスタジオで、静かに4人だけで演奏・歌唱をしている様子は、まさに鎮魂のように見えたのです。

 

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一方で、【僕はきっと旅に出る】の方は、これもタイアップとして、”JTB「夏旅2013」CMソング”に選ばれましたが、こちらは一聴すると、最初は明るい曲だなという印象を受けました。しかしながら、陽気にも思えるこちらの歌の方こそ、実は震災に際しての想いが詰め込まれた歌だったのだと知ることになるわけです。

 


■そういう流れを経て、アルバム『小さな生き物』が発表されました。

 

まず、このアルバムタイトルですよ。草野さん・スピッツらしいタイトルだと思うのですが、かわいらしさの中に、アルバムを発表したあの頃ならではの、伝えたかった想いが詰め込まれている重要な言葉だと思います。

 

そもそも、これまで草野さんが作ってきた歌には、生き物や植物(花)の名前が出でくる歌が本当にたくさんあります。特に、鳥の名前なんかは、とてもたくさんの種類で細かく出てきます。”鳥になって”から始まって、ヒバリ、トンビ、海ねこ、ハヤブサ、つぐみ、など…もっとありますかね。

 

ほんと色々出てきますよね、生き物や植物の名前…猫、ネズミ、モグラ、犬、狼、ウサギ、魚、トビウオ、ドルフィン、シロクマ、蛾、クモ、オケラ、アリ、蜂、鈴虫、あじさい、チューリップ、ハイビスカス(ヒビスクス)、コスモス、楓、桜、ヘチマ(の花)、トゲトゲの木(?)…などなど、キリがないですね。

 


書籍「スピッツ」の中で、草野さんが幼少時代の自分を語っているインタビューが載っているのですが、草野さんの生き物に対する想いというのは、そういう小さな頃の思い出が素地になっているようです。

 


「いやあ、物心ついた頃から、草ぼこだとか林の中に入っていったりとか、神社の鉄柵を乗り越えていったりとか、目に見えない部分に物凄い興味があったというのはすごく記憶ありますね」

 

「今考えたら汚ねぇとこだなあと思うんですけど。1回ね、なんか目の周りにデキモンがバーっとできて、すごくなったことあるんすよ」

 

「やっぱ、昔は昆虫が好きでしたね。今でもいろいろ興味はありますけれども。まずクモが好きで。あれを捕まえてきて、自分の家の庭に放して、次の日に巣が張ってあるのを見て楽しんだりとか」

 

などなど。子どもの頃、草原や林など、色んな場所に分け入っては、昆虫などを観察したり、採集していたというエピソードがたくさん出てきます。

 

何ていうか、草野さんに”生き物を讃える心”みたいなものが、強くあるんだと思います。そういうところが、詩のテーマにもなっている”セックスと死”に繋がったりしたんでしょうね。

 


アルバム『小さな生き物』にも同様に、たくさんの生き物が出てきています。

 

コオロギ、金魚、オパビニア、魚、スワン、初夏の虫、カモメ…あとは、生き物っぽいイメージの言葉としては、”遠吠え”や”野生(種)”などなど。

 

当然のことながら、生き物の名前が使われているからといって、その生き物自体のことを歌っているのではなくて、何かを比喩したものになっているのが通常です。

 

”コオロギ”は、スピッツなどのアーテイストを比喩した言葉だという解釈があったり、”金魚”は、自分の世界に閉じこもって外へ出られないような人物を、”オパビニア”は、恋愛に不器用で時代に取り残されているような人物を表していたりします。

 

草野さんは、人間と”人間以外の生き物”という垣根を越えて、全てを同じ目線で見ているような印象を受けるんですよね。【手のひらを太陽に】って歌であるじゃないですか、”ミミズだって オケラだって アメンボだって みんな みんな生きているんだ 友だちなんだ”って、あんな感じですかね。(ちなみに、作詞は、アンパンマンでおなじみ、ヤナセ・タカシさん)

 


■特に、震災があって、ご自身も体調を崩されたりして、それは一旦は回復したものの、新作が出るまでのおよそ3年という期間で、本当に色んなことを考えて悩んだりしたはずです。

 

もちろん、途方もない悲しみを感じたのは間違いないですが、結局最後に行き着く(行き着かなければならない)答えはきっと、”それでも懸命に生きていく”…ミュージシャンである彼らにとっては、”懸命に音楽を続けていくこと”だったと思います。

 

アルバム『小さな生き物』については、草野さんが、「聴いてくれた人が、少しでも気を楽に持ってくれるような作品に」と、どこかで語っておられました。ちょっと、物悲しくなるような曲も入っていますが、いつも通りスピッツらしい作品に仕上がっていて、長く待って、やっと聴けた喜びを強く感じました。

 


■アルバムを象徴する曲としては、何と言ってもやっぱり、表題曲の【小さな生き物】ですよね。

 


負けないよ 僕は生き物で
守りたい 生き物を
抱きしめて ぬくもりを分けた
小さな星のすみっこ

 

サビに、こんな歌詞が出てきますが、このアルバムに込めた想いがここに集約されている気がします。

 

”生き物”という言葉には、我々”人間”をも含めているのだと思います。昆虫や動物と同様に、人間もちっぽけな存在ですが、生きているという括りでは同じであり、生きているからこそ、生き物を大切にできるのだと。あの時は、誰もが助け合わないとって思ったはずですよね、”生きている”ことをとても大切に思ったはずですよね。

 

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あとは、【スワン】なんかも、とても印象に残りました。

 

この歌なんかはまさに、悲しみから少しずつ立ち上がって、光に向かって歩いていくような印象を受ける曲です。”スワン(swan)”という言葉は、白鳥、という意味がよく知られていますが、実は、詩人、歌手、という意味もあるということを、この歌を調べている時に初めて知って、ますますこの歌に対する想いが深まりました。

 


■それから、何と言っても、【僕はきっと旅に出る】という曲。

 

個人的に、とても大切な歌なのです。震災についても、色々と思い出すんですが、僕自身が、【僕はきっと旅に出る】という曲が出た当時、ちょうど仕事を辞めて、次の仕事への準備期間のような日々を過ごしていたので、なんか自分なりにこの歌と気持ちをシンクロさせながら聴いていたのです。

 

この歌の中に、出てくる歌詞で、

 


きらめいた街の 境目にある
廃墟の中から外を眺めてた
神様じゃなく たまたまじゃなく
はばたくことを許されたら

 

というところを読んだ時、気持ちが溢れて、涙が出たことがありました。本当に、草野さんはすごいなぁって、改めて思ったんですよね。

 

…ということを、延々と語っていくと止まらなくなるので、詳しくは個々の曲の紹介にお任せします。

 

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アルバム講義:Special Album『おるたな』

おるたな

Special Album『おるたな』
発売日:2012年2月1日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. リコリス
→ 200時限目:リコリス - スピッツ大学

 

02. さすらい
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:奥田民生

 

03. ラクガキ王国
→ 196時限目:ラクガキ王国 - スピッツ大学

 

04. 14番目の月
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:荒井由実

 

05. 三日月ロック その3
→ 177時限目:三日月ロック その3 - スピッツ大学

 

06. タイム・トラベル
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:原田真二

 

07. 夕焼け
→ 191時限目:夕焼け - スピッツ大学

 

08. まもるさん
→ 175時限目:まもるさん - スピッツ大学

 

09. 初恋に捧ぐ
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:初恋の嵐

 

10. テクテク
→ 98時限目:テクテク - スピッツ大学

 

11. シャララ
→ 65時限目:シャララ - スピッツ大学

 

12. 12番目の雨の日
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:はっぴいえんど

 

13. さよなら大好きな人
→ カヴァー曲。オリジナル・アーティスト:花*花

 

14.オケラ
→ 31時限目:オケラ - スピッツ大学

 


■今回紹介するアルバム『おるたな』は、アルバム『花鳥風月』、アルバム『色色衣』に続く、スピッツ史上3枚目の”スペシャルアルバム”になっています。

 

スペシャルアルバムについては、もうこれまで説明してきた通りなんですが…要するに、オリジナルアルバムに収録されなかったカップリング曲や、インディーズ曲・未発表曲などを収録した、オリジナルアルバムとは一線を画した、言葉通り”特別なアルバム”のことです。

 

そもそも、スペシャルアルバムというものが生まれた背景には、スピッツのベストアルバムに対するアンチテーゼの意味合いがあるのですが、この辺りのお話は、アルバム『花鳥風月』やアルバム『ハヤブサ』などの記事にまとめてありますので、そちらも読んでいただければ幸いです。

 


■ただし、今回のスペシャルアルバム『おるたな』に関しては、今までの2枚のスペシャルアルバムとは異なった構成になっています。

 

具体的に言うと、アルバム『おるたな』には、カップリング曲に加えて、スピッツが他のアーティストの楽曲をカヴァーした曲が多く収録されているところが、これまでとは異なっています。

 

そのカヴァー曲についても、各アーティストのトリビュートアルバムなどに収録されすでに音源化されていたカヴァー曲と、今回のアルバムのために新録されたカヴァー曲とがあるようです。この辺り、詳しくは後述します。

 

収録曲14曲のうち、6曲がカヴァー曲を占めており、スピッツのカヴァー曲がまとめて聴ける、今までとは趣の異なったアルバムになっています。個人的にはもっとスピッツ自身の未発表曲が聴きたかったなぁって思ったりしますが…まぁそういうアルバムとして、楽しんで聴くことができました。

 


■まずは、収録されているカップリング曲を、発売の早い順にまとめてみます。

 

【三日月ロック その3】(c/w 28thシングル『スターゲイザー』)
リコリス】(c/w 29thシングル『正夢』)
【テクテク】(30thシングル『春の歌 / テクテク』より)
【シャララ】(c/w 31thシングル『魔法のコトバ』)
ラクガキ王国】(c/w 32thシングル『ルキンフォー』)
【夕焼け】(c/w 33thシングル『群青』)
【まもるさん】(c/w 34thシングル『若葉』)
【オケラ】(c/w 35thシングル『君は太陽』)

 

※ちなみに、【テクテク】にのみMVがありますので、先に載せておきます。

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ある時期から、スピッツカップリング曲は、何ていうか実験場のようになっており、シングル曲やアルバム曲とは、雰囲気の違う曲が多くなった気がしています。特に、このアルバムに含まれているカップリング曲には、非常に変わった曲が多くて、1曲1曲が印象に残ります。

 

サビが一音階だけで構成されている【リコリス】、個人的にはヨーロッパで見たことがあるストリートライヴを思わせるアコーディオンが印象に残る【テクテク】、ハードロック全開な【ラクガキ王国】、アルバム『惑星のかけら』の時期のグランジ曲を思わせる【オケラ】など。

 

それから、人気の高い【三日月ロック その3】もありますね。”その1”と”その2”を華麗にスルーして、満を持しての”三日月ロック”ですよ。ここスピッツ大学で行ったランキング企画においては、第23位でした。今でも、ファンに人気のある曲です。

 

個人的には、【リコリス】と【夕焼け】が大好きです。【リコリス】に関しては、これは記事でも話していますが、実はあんまり聴いていなかった曲だったので、記事を書くときに、改めて繰り返し聴いたんですが、ある夜にイヤフォンで聴きながら眠ってしまい、そのイヤフォンが外れることなく、エンドレスに一晩中【リコリス】が頭の中で流れてしまった結果、洗脳されたように、しばらく頭の中で【リコリス】が流れているという状況に陥りました。

 


ここに収録されている曲は、発表時期が2003年~2009年という、およそ7年という長きに渡っています。オリジナルアルバムでも、収録曲の発表時期がこんなに長くバラけることはないので、こういうところが楽しめるのも、スぺシャルアルバムの醍醐味と言えますね。

 


■ということで、カップリング曲については、個々の曲の記事に任せるとして、カヴァー曲について、これまでほとんど触れてこなかったので、この記事でメインに紹介していきます。

 

また、各オリジナル・アーテイストや原曲について、知らないことの方が多かったので、付け焼刃的で申し訳ないですが、自分なりに調べてみたことを、少しだけまとめてみました。

 

 

02.さすらい

さすらい

さすらい

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オリジナル・アーティストは、奥田民生です。スピッツによるカヴァー曲は、2007年10月24日に発売された、民生さんのトリビュートアルバム『奥田民生・カバーズ』に収録されました。

 

バラエティ番組の『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』のテーマ曲として、本家の【さすらい】ではなく、(何故か)スピッツカヴァーの【さすらい】が選ばれています。広島では、よく土曜とか日曜とかの昼に放送されており、この曲がいつも流れています。

 

おそらく、民生さんの曲の中でも、一二を争うほどの有名曲なのではないでしょうか。ユニコーンは、ある時期に結構聴いていたのですが、民生さんのソロと、最近のユニコーンはめっきり聴いていないですね…。

 

それでも、このアルバムのカヴァー曲だったら、一番好みです。かなり原曲に忠実で、それでもギターの演奏・アルペジオは、ちゃんとスピッツっぽさを強調しているし、この曲のゆったりとした雰囲気が、草野さんのボーカルにも合っていると思います。

 

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04. 14番目の月

14番目の月(おるたな Mix)

14番目の月(おるたな Mix)

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オリジナル・アーティストは、荒井由実です。松任谷由実、あるいは、愛称でユーミンと呼んだ方が、馴染みがありますね。

 

スピッツによるカヴァー曲は、2002年12月11日に発売された、松任谷由実のトリビュートアルバム『Queen's Fellows:yuming 30th anniversary cover album』に収録されましたが、アルバム『おるたな』の【14番目の月】に関しては、新たに高山徹さんがミックスを行った”おるたなMix”が収録されています。

 

アルバム『おるたな』に同封されている「おるたな制作ノート」によると、”スピッツがカヴァーする曲の多くは、テンポやアレンジの基本を大きく崩さないパターンが多いが、この曲はオリジナルとはガラリと違うアレンジになっている”とあります。共同アレンジ&レコーディングメンバーとして、クージーが参加して、原曲とはかなり違ったアレンジがなされました。

 

本家の【14番目の月】は、おそらく当時だったら、最先端の新しい曲だったでしょうね。シンセサイザーの音もふんだんに使っていて、ポップで派手な曲になっています。一方で、スピッツカヴァーの【14番目の月】は、イントロからヘビーなギターで始まってからの、Aメロでいきなり落ち着いて、そこからまたサビへと盛り上がっていくという、ダイナミックでドラマチックな展開になっています。

 

ちなみにユーミンは、スピッツのトリビュートアルバムにて、【楓】をカヴァーしています。

 

14番目の月

14番目の月

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06. タイム・トラベル

タイム・トラベル

タイム・トラベル

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オリジナル・アーティストは、原田真二です。新録音のカヴァー曲です。

 

この曲は、カヴァー曲でありながら、ドラマ『僕とスターの99日』の主題歌に選ばれました。最初は、このカヴァー曲が聴きたいがためにドラマを見ていたんですが、ドラマ自体も面白い内容だったので、楽しんで見ていました。

 

これも、本家の【タイム・トラベル】に忠実なカヴァーになっています。原田さんも草野さんも、高音のボーカルが魅力的なので、草野さんのカヴァーも合っていると思います。個人的に、オリジナルから好きな曲だったので、スピッツのカヴァーはとてもうれしかったです。歌詞も、ファンタジー要素が強くて、映画でも見ているようで、面白いですよね

 

ちなみに、今回カヴァーしたアーティストたちのうち、民生さんと原田さんが広島出身の方なので、広島人の自分にとっては、何か嬉しいです。どうだ、広島はすごいだろ!っていう感じです笑

 

タイム・トラベル

タイム・トラベル

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09. 初恋に捧ぐ

初恋に捧ぐ

初恋に捧ぐ

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オリジナル・アーテイストは、初恋の嵐です。新録音のカヴァー曲です。

 

恥ずかしながら、初恋の嵐というバンドのことも、オリジナルの【初恋に捧ぐ】のことも知らなったので、スピッツカヴァーでいい曲だなって思った後、逆に辿って聴いてみたことがあります。これも、原曲に忠実なカヴァーになっています。スピッツの音楽性に、かなり近いポップなロックソングだと思います。

 

初恋の嵐というバンドについては、元々スリーピースのバンドであったそうなんですが、メジャーデビューが決まって、バンドとしてもこれから…というところで、ボーカル・ギターの西山達郎さんが、25歳という若さでお亡くなりになってしまったそうです。何ていうか、悲しい物語を辿ってしまったバンドだったんですね。

 

西山さんの死後、制作途中であった音源を完成させました。この時期、本家の【初恋に捧ぐ】が収録された1stアルバム『初恋に捧ぐ』も音源化されたようです。

 

ちなみに、スピッツのアルバム『ハチミツ』の発売20周年を記念して制作されたトリビュートアルバム『JUST LIKE HONEY ~『ハチミツ』20th Anniversary Tribute~』において、”初恋の嵐 feat. 曽我部恵一”名義で、【君と暮らせたら】をカヴァーしています。このカヴァーがね、本当に素晴らしいんですよ。本家よりも、個人的には好きかもしれない…。

 

初恋に捧ぐ

初恋に捧ぐ

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12. 12月の雨の日

12月の雨の日

12月の雨の日

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オリジナル・アーティストは、はっぴいえんどです。スピッツによるカヴァー曲は、2002年5月22日に発売された、はっぴいえんどのトリビュートアルバム『HAPPY END PARADE~tribute to はっぴいえんど~ 』に収録されています。

 

今思えば、細野晴臣大瀧詠一松本隆鈴木茂(この方のみ知りませんでした…すみません)という、すごいメンバーだった…ということだけは、詳しくない自分でも理解できます。はっぴいえんどと言えば、【風をあつめて】が有名ですよね…というより、それくらいしか知りませんでした。

 

はっぴいえんどというバンドを、調べれば調べるほど、日本の音楽史に残る、すごいバンドだったんだなってことがよく分かります。1969年~1972年という短い期間しか活動していなかったようですが、要するに、「日本語でロックをやる」ということ自体を世に広めた、まさに日本語ロックの神様のような方々なんですよね。

 

解散してからも、メンバーが個々に活躍しているのもすごいですね。大瀧詠一さんが、個人的には一番分かるかなって感じです…ドラマ「ラブジェネレーション」の主題歌の【幸せな結末】、最近のCM(思い出せなかったので調べてみると、金麦のCMでした)にも使われている【君は天然色】など、耳にしたことがある曲は多いです。

 


そんなメンバーの中でも、スピッツの草野さんと特に関わりが深いのが、松本隆さんですかね。松本隆さんの情報をwikiで調べただけでも、ご自身の音楽活動はさることながら、作詞家として携わった曲に、これでもかというほど、有名な曲が並んでいます。先程紹介した、原田真二さんの【タイム・トラベル】も、松本隆さんの作詞のようですね。

 

そして、その中に、Chappieというバンドの【水中メガネ】という曲があるのですが、この曲の作曲者が草野正宗さんなんです。松本隆さんの作詞家生活45周年を記念して発売になったトリビュートアルバム『風街でうたう』にて、草野さん自身が、この【水中メガネ】をカヴァーしています。これがまた、素晴らしいんですよね。これを『おるたな』に入れてくれれば良かったのに…。

 

12月の雨の日

12月の雨の日

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水中メガネ

水中メガネ

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13. さよなら大好きな人

さよなら大好きな人

さよなら大好きな人

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オリジナル・アーティストは、花*花です。新録音のカヴァー曲です。

 

花*花は、2000年代はじまりの頃、かなりブームになりましたよね。今何してるんだろうって調べてみると、地道に活動をしているようですね。【さよなら大好きな人】も、この時代を生きた女子たちが、失恋した時に歌っていたのを何回か聴いたことがあります笑。

 

それを、スピッツがカヴァーするなんて、かなり意外なんですが、もう草野さんは何歌ってもお上手で驚きます。

 

さよなら大好きな人

さよなら大好きな人

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■ということで、全6曲の非常にバラエティに富んだカヴァー曲たちです。

 

音源化されているスピッツのカヴァー曲は、そこまで多くは無いのですが、ライヴなどではたくさんの曲をスピッツはカヴァーしています。スピッツのファンクラブ会員限定のライヴでは、カヴァー曲を披露するのが毎回恒例になっています。ひょっとしたら、第二・第三のカヴァーアルバムが、これから生まれるかもしれませんね。

226時限目:こんにちは

【こんにちは】

 

こんにちは

こんにちは

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■アルバム『醒めない』の14曲目に収録されている曲です。アルバムでは、これが最後の曲になります。

 

”こんにちは”なんていう、一見すると何の変哲もないタイトルですが、普通過ぎるが故、一周して奇妙に思えてくるのです。最後の曲だからこそ余計に、”こんにちは”という言葉が浮いているように見えてきますよね笑

 


個人的には、GREEN DAYを彷彿させる、ギターのリフが特徴的なポップパンク風の曲調であると感じました。若々しく、ひいては、ちょっと前時代的に懐かしく聴こえるのは、(当時)30周年を控えたスピッツが、その長い活動を振り返るように、原点回帰的な曲を狙ったんだろうかと想像しています。

 

そして、アルバム『醒めない』のプロデューサーは亀田誠治さんなのですが、【ブチ】とこの【こんにちは】に関しては、スピッツのセルフプロデュース曲になっています。【ブチ】がスピッツとクージーによって編曲された曲で、【こんにちは】がスピッツによって編曲された曲であるようです。

 


■さて。

 

アルバム『醒めない』に、草野さん・スピッツが込めたテーマは、”死と再生”というものでした。これについて、草野さんはMUSICAのインタビューの中で、このように語っています。

 


草野さん「(シングル『雪風』について)ドラマのお話をいただいてから作った曲だったからね。まぁ、『小さな生き物』が旅に出る前の不安と期待が入り混じったアルバムだとすると、”雪風”は再生を匂わすものになっていたと思うんで、そういう意味ではアルバムのスタートになってると思いますね」

 

草野さん「…再生の物語みたいなものを匂わせるコンセプトで作ってもいいかもって思ったところはありましたね。毎回あんまりコンセプトとか考えずに、できた歌をまとめましたみたいなアルバムになっちゃってたんだけど、今回は『死と再生』みたいなコンセプトを貫けているかな」

 

個人的には、もっと長い目で見て、アルバム『小さな生き物』からアルバム『醒めない』までが、長い長い物語だったと思います。そして、悲しいけれど、その中心にあるのは、東日本大震災ということになるのでしょう。インタビュー記事の中でも、直接の明言は避けていたものの…まぁ、影響がなかったということの方が不自然ですよね。

 


■アルバム『醒めない』には、ここスピッツ大学でこれまで紹介した曲ですと…

 

【みなと】は、もう会えなくなってしまった人を、それでも帰ってくることを待ちながら想っている状況を思い浮かべました。

 

【子グマ!子グマ!】は、親と子の関係だろうか、自分にとって愛おしい人が自分の元から旅立つことに対して、寂しく思いつつも、応援する気持ち・幸せになって欲しいという気持ちが歌われています。

 

【コメット】も、別れの場面で、送り出す側の気持ちを歌っているような描写があります。

 

そして、先程紹介した【雪風】についても、これも個人的な解釈では、もう会えなくなってしまった人のことを、回想や夢の中で思い出しているような、そんな状況を思い浮かべました。


などなど…これらのように、これまでの曲では、結局は、別れの場面や誰かを想っている状況が多くあったような気がします。

 

 

”別れ”というものは、当事者同士(二人)の物語の”一旦の休止”を意味するところがあります。その別れが、予め決まっていたことなのか、あるいは、予期せぬことだったのか、というものはあるとは思いますが、とにかくお互いが離ればなれになっている間は、それぞれがお互いに干渉し合うこともないまま、別々の生活を送るようになるわけです。

 

そういう風に思っていけば、”別れ”の反対にあるのは、新しい”出会い”や、離れていた人との”再会”というものが考えられると思います。なので、このアルバムで語られているところの”死と再生”というストーリーは、悲しみに打ちひしがれた状況(これが”死”ならば)から、立ち直ってまた歩き出す(こちらが”再生”)という物語とは別に(あるいは平行して)、”別れと出会い・再会”の物語に置き換えられるのかもしれません。

 


■そこへきて、今回の【こんにちは】という曲。

 

これは紛れもなく、”再会”の歌になっています。先程も少し紹介したとおり、ポップパンク風で明るい気持ちになるような曲調ですが、それは僕が(お互いが)”再会”を喜んでいることを表しているのでしょうか。

 


まず、そういう気持ちは、出だしの歌詞にも表れています。

 


また会えるとは思いもしなかった
元気かはわからんけど生きてたね
ひとまず出た言葉は「こんにちは」
近づくそのスマイルも憎らしく

 

アルバム『小さな生き物』から続いた物語を想えば、ここの歌詞は非常に感慨深いものがありますよね。今までは、会えなくなった悲しみや、遠くで暮らす人のことを想っているような曲が多かったのですが、これは紛れもなく”再会”の喜びを歌っている様子が見えるからです。

 

”また会えるとは思いもしなかった”、これに関しては、ただたまたま偶然に街で、友だちに出会い懐かしんでいる状況かもしれませんが、今までの流れを鑑みると、本当に”また会えるとは思いもしなかった”人、もう会うことはできないだろうと思っていた人に出会った状況という方がしっくりきそうです。

 

例えば、先程の震災の話に絡めれば、災害によって故郷を追われ、離ればなれになった人などもそうですよね。極端な話、お互いの生死も定かではない状況、何処へ行ったのか分からない状況であったならば、”また会えるとは思いもしなかった”という気持ちが、余計に高まると思います。

 

そうでなくても、とにかく長く会えなかった人、しかも、もう会うことはないだろうと思っていた人との再会に喜んでいる状況だという風に読めます。しかし、そこで出てくる第一声が、「こんにちは」とはね笑 「久しぶり!」とか、「元気しとった?」とか繋がっていきそうですが。

 


それから、最後のここの表現。

 


心に生えた足でどこまでも
歩いて行けるんだと気がついて
こんな日のために僕は歩いてる
おもろくて脆い星の背中を

 

アルバム『醒めない』の最後の曲の、そのまた最後のフレーズで、ここにたどり着くとは、何だか泣きそうになりますね。ようやく会えたんだって、長い物語の結末を想像します。

 

比較対象としては、アルバム『小さな生き物』の最後の曲が、【僕はきっと旅に出る】でしたが、この曲はタイトル通りですが、いつか旅に出ることへの憧れだったり、その準備段階のことを歌った曲でした。

 

そこから時が経って、【こんにちは】のここのフレーズです。”心に生えた足でどこまでも 歩いて行けるんだと気がついて”、ここが本当に好きなんですよ。身体的なパーツとしての足ではなく、”心に生えた足”という表現なので、ちょっと妙な表現にも思えますけどね。

 

長く続く悲しみの中に居たところから(今も完全には癒えていないかもしれないけど)、ちょっとずつ前を向くようになったんですよね。心が少しずつ歩き出す気持ちを取り戻していったことを、心に足が生えていくという、独特にも思えますが、言い得て妙な表現をしたんでしょう。

 


”おもろくて脆い星”という表現も、良いですよね。人間の心も比喩していて、簡単に壊れてしまうほど、脆いものであるかもしれないけど、気の持ちようで、前向きに生きていれば、思いがけない再会があることもあったり、中々人生も捨てたもんじゃないぜ、という思いを受け取ることができます。

225時限目:ブチ

【ブチ】

 

ブチ

ブチ

  • provided courtesy of iTunes

 

 

■アルバム『醒めない』の12曲目に収録されている曲です。この曲は、アルバムの情報が発表になる前に、もうすでにファンクラブ限定のライヴイベントにて、先に披露されていたそうです。

 

【ブチ】と、最後の曲の【こんにちわ】のみ、スピッツのセルフプロデュースになっていて(他の曲は、亀田誠治さんがプロデュースしている)、特に【ブチ】に関しては、編曲にクージーが加わっています。ということで、この2曲こそ、一番純度の濃いスピッツを感じられる曲と言えるかもしれません。

 

跳ねるようなリズムに乗って、身体が動いてしまいそうな、楽しい曲です。スピッツお得意の、”かわいらしい”と”かっこいい”を両方併せ持つ曲ですね。

 


■それで、いきなり主題になっちゃいますが、やっぱり気になるのが、タイトルの”ブチ”という言葉ですよね。

 

”ブチ”と言えばのう、わしぁ広島人じゃけ、たちまち”とても~”を意味する広島弁の”ぶち”が思い浮かんだんじゃ。それか、広島には”ぶち”っちゅう焼肉屋があってのう、そこのホルモンがもう絶品なんじゃ、もうビールがぶち進むわ。まーいっぺん来てみんさいや。

 

ほじゃけど、スピッツさんの”ブチ”を聴いた感じじゃ、その”ぶち”じゃなさそうじゃのう。じゃったらなんじゃっちゅう話なんじゃが…。

 

ところで、我らが広島カープのCS突破おめでとうございまーーーす!(2018年)新井さんもラストイヤーじゃけ、この調子で、日本一になってもらいたいのう。結局、今年も一度もマツスタに行けんかったが…飲み屋で見ながら飲んだことはあったんじゃ。今年のカープはのう、丸がようけホームランを打っt…

 


ということで、歌詞を読んだ限り、この歌の”ブチ”が表しているのは、動物の身体にある斑点模様のことを指していると思われます。犬とか猫とか、そういう動物の体に付いているような、水玉みたいな模様ですね。ダックスフンドとか、ダルメシアンとか…ちょっと思いつかないですけど。

 

とにかく、本来の意味では、人間の身体における特徴を表すような言葉ではないと思っているんですが、この歌における”ブチ”という言葉は、どうも人間に当てはめて使われていると読めるのです。

 


君はブチこそ魅力 好きだよ凄く
隠れながら 泣かないで yeh yeh

 


君はブチこそ魅力 小町を凌ぐ
本気出して 攻めてみろ wow wow

 

サビがこんな感じなのですが、”小町を凌ぐ”とは、また大きなことを言っているなという感じですね。あえて、人間の身体の特徴として当てはめるとすると、”ブチ”というと、シミ・そばかすとか、ほくろとか…?

 

それか、別に”ブチ”を、そういう身体的特徴にだけ限定させるんじゃなくて、もっと広義に、心身問わずその人に備わっている個性みたいなものを比喩していると考えるとどうでしょうか。

 

恐らく、この歌の”君”は、女性を表わしているのだと思うのですが、色んな個性を心身に備えた女性がいると思います。そういう個性について、広義で”ブチ”と置き換えて、その個性が君の魅力なんだよという風に歌われてるのかもしれません。

 


■ところで、これはアルバム全体の話になっちゃうんですけど。

 

この曲に限らず、というかこの曲を聴いて余計にそう思うんですが、このアルバムには、言い方が難しいのですが、人間と人間の関係や物語を、人と動物(ペット)の関係に置き換えているような節があったりしますよね。

 


例えば…

 

【子グマ!子グマ!】は、親子か恋人同士か、その辺りの関係はともかく、親しい関係にある者同士の別れの場面が歌われています。別れを惜しみつつも、離れていく者に向けて、”幸せになってな”という応援している言葉を、残る者が投げかけている場面ということになります。
この歌にしたって、まぁタイトルから”クマ”という言葉が使われていて、しかも、草野さんが”シートン動物記 くまの子ジャッキー”というアニメを思い浮かべながら書いたものなので、そのままストーリーをなぞって、クマと飼い主の別れを描いた物語を想像しても良いのです。

 

【コメット】は、”金魚のままでいられたけど”~”恋するついでに人になった”という言葉から、”せまい水槽に閉じ込められていた”=”自分の殻に閉じこもっていた”として、恋することで自分が変わることができたということを、”金魚”が水槽の外へ出ていくという比喩を使って表わしていると考えられます。

 

【ナサケモノ】は、これが一番分かりやすいんじゃないでしょうか。”足にもなる メシもつくる 涙はいただく”などというフレーズは、あくまで好きな人に尽くしているような表現で、人間的な表現ですよね。アッシーのように読み取れますが笑。
ただし、この歌も、タイトルが”ナサケモノ”(これは”情けない獣”を略したものだろう)になっていますし、全体的に読んでも、人間とペットの関係を表しているような歌詞に読めるのです。

 

あるいは、【モニャモニャ】。”モニャモニャ”とは、架空の生き物なのですが、スピッツはこの生き物の成長の物語に、自らのバンドストーリーを重ね合わせています。つまり、あんなに小さかった”モニャモニャ”が、こんなに大きくなるように、自分たちも、ロックに対する想いを育ててきたんだ、ということを歌っているのだと思います。

 


今回の【ブチ】もそうですよね。

 

先述のとおり、”ブチ”はどちらかと言うと、人間よりも動物に当てはまる言葉なのですが、それを人間に当てはめて、しかも、身体的特徴にのみ留めておくのではなく、もっと広義にその人の個性みたいなものを総称して”ブチ”と言っているのではないかと、個人的にですが読めました。

 

だから、シングル曲はともかく、アルバム曲に関しては、どれにも動物の姿がちらついているように読めます。一貫して同じ生き物のつもりで書いているのか、別の生き物で書いているのかは定かではないですけどね。まぁ、もともと、草野さんの書く詞には、動物や花の名前がたくさん出てきますのでね、珍しいことではないのかもしれませんが…。

 


■この歌は、とにかく詞が面白いんですよね。内容はともかく、韻を踏んでいるところがたくさんあります。

 


心は言葉と逆に動くライダー
鏡を見ながら手紙書くみたいな

 


しょってきた劣等感その使い方間違えんな
空見上げれば南に鶴が千羽

 


ムエタイの女の子みたいな蹴り食らって
足りないもの自問してさらにやばくなって

 

など、それぞれの文末で、韻を踏んでいるのが分かりますね。

 


それぞれの意味はなんでしょうね、言葉遊び的なので、ギャグの意味を解説するみたいに、意味をあんまり読み過ぎちゃうと興ざめしそうですけどね。

 


ムエタイの女の子みたいな蹴り食らって
足りないもの自問してさらにやばくなって
優しくない俺にも 芽生えてる 優しさ風の想い

 

君はブチこそ魅力 小町を凌ぐ
本気出して 攻めてみろ wow wow

 

この辺りが、この歌を一番表しているような部分ですかね。”蹴り”を食らったのは、”君”と考えると良さそうですかね。もちろん”蹴り”は比喩であり、自分の個性(ブチ)について、何か悪く言われたということなのかもしれません。それで落ち込んでしまい、自分に足りないものを自問して、さらにまた落ち込んでしまっている、という状況でしょうか。

 

そこで、”君はブチこそ魅力 小町を凌ぐ”と、”俺”がなぐさめているという場面ですかね。”そばにいてほしいだけ”という言葉も出てきますが、”俺”が”君”に抱いている想いは、恋心と言えるかもしれません。

アルバム講義:13th Album『とげまる』

とげまる

13th Album『とげまる』
発売日:2010年10月27日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. ビギナー
→ 147時限目:ビギナー - スピッツ大学

 

02. 探検隊
→ 90時限目:探検隊 - スピッツ大学

 

03. シロクマ
→ 68時限目:シロクマ - スピッツ大学

 

04. 恋する凡人
→ 48時限目:恋する凡人 - スピッツ大学

 

05. つぐみ
→ 95時限目:つぐみ - スピッツ大学

 

06. 新月
→ 69時限目:新月 - スピッツ大学

 

07. 花の写真
→ 134時限目:花の写真 - スピッツ大学

 

08. 幻のドラゴン
→ 173時限目:幻のドラゴン - スピッツ大学

 

09. TRABANT
→ 104時限目:TRABANT - スピッツ大学

 

10. 聞かせてよ
→ 38時限目:聞かせてよ - スピッツ大学

 

11. えにし
→ 27時限目:えにし - スピッツ大学

 

12. 若葉
→ 207時限目:若葉 - スピッツ大学

 

13. どんどどん
→ 109時限目:どんどどん - スピッツ大学

 

14.君は太陽
→ 42時限目:君は太陽 - スピッツ大学

 


■振り返ってみますと(僕自身はリアルタイムでは知らないのですが)、スピッツは、1991年3月25日にシングル『ヒバリのこころ』とアルバム『スピッツ』を同時リリースして、メジャーデビューを果たしました。

 

そこから時が経ち、2010年10月27日にアルバム『とげまる』は発売されました。2010年といえば、スピッツにとっては2011年でメジャーデビュー20周年を迎えるということで、アニバーサリーイヤーを間近に控えていました。

 

そういうわけで、アルバム『とげまる』は、スピッツのメジャーデビュー20年の集大成というべき作品と言えるかもしれません。

 

収録曲のタイアップは過去最多であるらしく、そういうところも、スピッツが特に勢力的に活動していたであろうことが分かります。ちなみにタイアップ曲は、以下の通りになります(タイアップと言えば、6曲になりますかね)。

 

【ビギナー】…ゆうちょ銀行CMソング
【シロクマ】…メナード「イルネージュ」CMソング
【幻のドラゴン】…ブリジストン『ブリザック』CMソング
【えにし】…ヤマザキ『ランチパック』CMソング
【若葉】…映画『櫻の園 -さくらのその-』主題歌
君は太陽】…映画『ホッタラケの島 ~遥と魔法の鏡~』
(【恋する凡人】…舞台の挿入歌に使われたそうです)

 


■そして、2011年3月25日、スピッツはメジャーデビュー20周年記念日を迎えます。この日には、これまでの全MVを収録した映像作品『ソラトビデオCOMPLETE 1991-2011』を発売させるはずでした。

 

しかしながら、2011年3月11日に起こった、東日本大震災という未曽有の大災害により、『ソラトビデオCOMPLETE 1991-2011』は発売延期になります。実際に発売されたのは、4月6日のことでした。

 

災害に際して、草野さんが急性ストレス障害を患ってしまい、スピッツの活動自体も一時停止してしまいます。感受性の強い草野さんのことですから、ショッキングなニュースや、人々が負った悲しみなどを、自分事に捉えた(捉えすぎた)ということなのかもしれません。まぁ、あれだけ大きな出来事だったので、誰もが色んなことを考えたでしょうけど。

 

その頃、スピッツはまさに、アルバム『とげまる』のリリースツアーの真っただ中だったため、その影響で、いくつかのライヴが延期になったりしましたが、程なく復帰したので、それは本当に良かったと思います。

 

アルバム『とげまる』の後は、スペシャルアルバム『おるたな』を2012年にリリースはしましたが、新作のリリースは2013年のシングル『さらさら / 僕はきっと旅に出る』まで、およそ3年間ありませんでした。

 


■さて。

 

すでに何度も話していることですが、僕は個人的に、オリジナルアルバムでスピッツの活動時期をいくつかに分けています。あくまで、個人的な分け方になるのですが、ここでちょっと振り返ってみますと、以下のような感じです。

 

・第一期「スピッツの不遇な時代」
1st『スピッツ』~4th『Crispy!』
出す作品出す作品が、非常にマニアックなものの、コアなファンを着実に増やしていった(はず)。徐々に作品の売り上げが下がっていく中で、行く末を案じたスピッツは目標を「売れること」と設定したものの、中々それも評価されなかった、まさに不遇な時代。

 

・第二期「スピッツの黄金期」
5th『空の飛び方』~8th『フェイクファー』
シングル御三家の100万枚を大きく超える売り上げを筆頭に、出す作品が軒並みヒットを記録し、スピッツの名前が日本全国に知れ渡り、言葉通り”国民的アーティスト”になっていった時代。しかし、そういう華々しい活躍とは裏腹に、世間が抱くスピッツ像と自分たちの描くスピッツ像に差異を感じていたり、自分たちの音作りに満足いかなくなってきたりと、実は壁にぶち当たっていた。

 

・第三期「スピッツの死と再生」
9th『ハヤブサ』~12th『さざなみCD』
レコード会社から、ベストアルバムを発売することを強行された、通称”マイアミ・ショック”により、スピッツは一時、解散・活動休止のピンチに立たされたものの、アメリカでの音探しの旅などを経て、本当に自分たちのやりたい音楽を追い求めていくことを決意。新たにロックバンドとして生まれ変わった。

 


そして、アルバム『とげまる』より、スピッツの活動は第四期に入ったと思っています。第四期にキャッチフレーズを付けるとしたら…個人的には、「古き良きスピッツと新しいスピッツの融合」みたいな感じが似合うのでしょうか。

 

何となく、このアルバム『とげまる』辺りから、どこかに”懐かしさ”を感じることが多くなってきたように思えます。いわゆる、”原点回帰”と言うべきかもしれません。

 

しかしその一方で、第二期や第三期の楽曲とも違う曲も出てきています。『とげまる』収録曲だと、【探検隊】や【TRABANT】や【どんどどん】辺りでしょうか。長く活動を続けているのに、まだまだ新しい曲を次々と生み出していくのは、本当にすごいことだと思います。

 


”懐かしさ”を感じることに関しては、僕自身が長く聴いてきたスピッツファンであり、歳を取ったということも関係しているかもしれません…それは、僕自身もスピッツ自身もそうだと思うのですが笑 同じようなファンの方々にとっても、もしかしたら、そういう”懐かしさ”を感じる瞬間っていうのはあるんじゃないかなって思うのですが、どうですかね?

 

それは何となく、長く聴いてきたことに対する”ご褒美”をもらっているような気がして、嬉しいんですね。メンバーもリスナーも歳を取り、「やぁやぁ、よく来たなぁ、まぁゆっくりしていきなよ」っていう感じですね笑 

 

まさに僕にとってスピッツは、一緒に歳を取っていってくれるような(まぁバンドメンバーの方がずいぶん年上ですが)、そんなバンドだと感じることが、この時期から多くなってきていました。

 


■ところで、アルバムタイトルの”とげまる”についてですよ。

 

当時、アルバムのタイトルに拍子抜けしたことを覚えています。”とげまる”って、何かのゆるキャラかよって、あるいは、ハットリ君の獅子丸の亜種かよって…知らない人は良いですからね笑

 

スピッツのアルバムタイトルは、個性的な名前の方が多いのですが、その中でも特に個性的だなと、悪ふざけが過ぎたなと、思ったほどでした。それと同時に、しかし、このタイトルには何か意味があるのではないかと、想像する余地も生まれてきます。

 

”とげまる”…とがっているようで丸い、丸いようでとがっている。これはまさに、スピッツを表している言葉なのではないでしょうか。

 


■まず、先程も書いたように、この頃のスピッツは、”懐かしさ”と”新しさ”を融合させつつあると、個人的には感じました。

 

”懐かしさ”と言うと、第二期に代表されるような、ポップ色の濃い、優しい感じの曲ですよね。あの時期のシングル曲は、どれも優しい雰囲気の曲ばかりだったように思えます。

 

スピッツの代表曲と言えば、未だに(というより多分永遠に…)シングル御三家が根強いですが、この辺りを聴けば、スピッツは優しくて聴き心地の良い歌を歌うバンドなのだというイメージになると思います。実際に、最初は僕もそういう感じでスピッツを聴いていました。

 


一方で、”新しさ”というと、第三期からのロックに目覚めたスピッツに当たると思います。”マイアミ・ショック”を経て、スピッツはロック色の濃い曲を作るようになりました。

 

特に、アルバム『ハヤブサ』以降の作品ですよね。第二期の作品とは違う、ロックな曲が多くなってきました。それには、最初は違和感を感じるほどでしたが、ちゃんとそれが新しいスピッツらしさに変わっていくのは、不思議というか、心地よかったのです。

 


ということで、”懐かしさ”=まる、”新しさ”=とげ、とすると、その融合ですから、”とげまる”ということになるのかなと、勝手にですが思いました。

 

スピッツの曲を聴けば明らかだと思いますが、例え激しくても、優しさを感じるし、逆に言えば、優しい歌の中にも、どこか暗い部分や過激な部分を潜ませているものが多いんですよね。そういうところを、”とげまる”と表現したのかなと思ったのです。



■あるいは、草野さんの書く詞についても考えてみました。

 

草野さんの書く詞のテーマとして、「セックスと死」というものがあります。特にそれは、初期の頃の曲に顕著であると思います。

 

”セックス”とは、人間の欲求の中でも、根元的なものの一つを表していて、かつ、人間の生命の誕生をも意味している言葉だと思います。つまり、”性”=”生”ということになります。

 

一方は、”死”です。これは、言わずもがな、人間に限らず、生命の終わりを意味しています。それは、肉体的にも、精神的にも言えるかと思いますが、とにかく”終わり”を意味しています。

 

ということで、この「セックスと死」で、草野さんは、人が生まれて死んでいくという、根元的なことを歌ってきたのだと、個人的に思って聴いています。そして時には、輪廻転生や生まれ変わり、死後の世界など、死を超越した何かをも歌っているようにも思えました。

 


そして、自分が何かで読んだのか、その何かを読んだ誰かに聞いたのか、それはもう何も定かではないのですが、草野さんの書く詞を読んでいると、とがっているものに「性的なイメージ」を、まるい物に「死のイメージ」を感じることがあるのです。

 

たくさんあるのでキリがないと思いますが、ざっとすぐに想い返せるものを、ちょっと挙げてみますね。歌のタイトルは伏せておきます、考えてみてください笑

 


<例:とがっているもの>

 


君がこのナイフを握りしめるイメージを
毎日毎日浮かべながらすごしてるよ

 


とんがったゴミの中
かたくなる身体をよせ合って

 


隠したナイフが似合わない僕を
おどけた歌でなぐさめた

 


いつか跳ねたいな 二人して 三日月 夜は続く
泣き止んだ邪悪な心で ただ君を想う

 


そんなのもうバレバレ キザに 狂った今を生きていこう
ハチの針だけ隠し持って イキがれ

 


<例 まるいもの>

 


機関銃を持ち出して 飛行船を追いかけた 雨の朝
あわになって溶け出した 雨の朝

 


真赤な月が呼ぶ 僕が生まれたところさ
どこだろう
黄色い月が呼ぶ 君が生まれたところさ
湿った木箱の中で

 


タマシイころがせ
チィパ チィパ チィパチィパ
タマシイころがせ 虹がかかるころに

(※これのタイトルは、【ビー玉】です)

 


いつもの交差点で見上げた丸い窓は
うす汚れてる ぎりぎりの 三日月も僕を見てた

(※とがっているものと、まるいものが、両方出てきていますね)

 


どうでしょうか、他にもたくさんあるかと思いますので、ご自身で見つけてみてください。

 

とがっているものに関しては、そもそも”スピッツ”という言葉自体が、ドイツ語で”とがっているもの”という意味だそうで、それ自体に、ロックなイメージや、過激で性的なイメージを連想させるものに繋がるかもしれません。


ということで、”とげまる”=「セックスと死」を具現化したもの、とも考えられるかもしれません。ここで言うところの、”とげ”=性的なイメージ、”まる”=死のイメージ、という感じですね。

 


■長く書きましたが、『とげまる』の収録曲に全く触れていませんね笑 まぁ、詳しくは、個々の記事に任せるとして、何曲か印象に残っている曲を紹介しておきます。

 


まず、1曲目の【ビギナー】について。

 

アルバムの中だと、この曲が一番好きだし、印象に残っています。この曲は、アルバム発売に先立って、シングルとして発売されましたが、その前にデジタルシングルとしてリリースされたんですよね。僕は、初めて、ネットで曲をダウンロードするということを、この【ビギナー】でしたんです。

 

個人的には、今も必要な時にしか曲をダウンロードするということはしないのですが、あの頃から考えても、そういうことがさらに身近になりましたよね。

 


当時、確か社会人になって2年とちょっとくらいだったと思うんですが、もう辞めてしまっているのですが、その会社の説明会で、新卒者に対して話をしてほしいということで、代表であいさつをしたことがあるんです。

 

新卒者はもちろんですが、僕自身も当時は社会人になって間もない頃だったので、初心者・初級者を意味する”ビギナー”という言葉を冠したこの歌は、何か親近感が湧いたのです。

 


同じこと叫ぶ 理想家の覚悟 つまづいた後のすり傷の痛み
懲りずに憧れ 練り上げた嘘が いつかは形を持つと信じている

 

この辺とかね、グッときましたよ。どっしりと構えているような演奏に、草野さんのボーカルがとてもきれいに聴こえる曲です。

 


■あとは、【えにし】という曲も印象に残っています。これはあれですね、ランチパックのCMで流れていた曲です。

 

例えば、2018年に結成30周年を迎えたスピッツですが、結成30周年の記念ソングといえば【1987→】、結成20周年の記念ソングと言えば、個人的には【ルキンフォー】、という風に、そういう”節目ソング”みたいなのがあると思います。

 

そういう意味でいうと、この【えにし】は、メジャーデビュー20周年の記念ソングなのかなと思っています。

 

タイトルが”縁”ということもありますが、長く続いてきたスピッツというバンドのことや、それに関わってきた人たちへの想いを歌った歌なのかな、という解釈を個人的にしました。

 


錆びた街角で 日だまり探して
しかめ面で歩いた 汚れ犬の漫遊記

 


伝えたい言葉があふれそうなほどあった
だけど愛しくて忘れちまった
はずかしい夢見て勢いで嘘もついた
そして今君に出会えて良かった

 

”汚れ犬の漫遊記”という言葉には、スピッツファンは反応してしまいますよね。ここは、スピッツのことを表しているのではないかと、思ったりします。

 

スピッツに関わってくれた人たち、何よりスピッツメンバーたちへ、そして、スピッツをずっと聴いてきたファンたちへ、ありがとうと、そして、これからの決意を歌った歌であると思っています。

 

まぁ、ファンからすれば、「こちらの方こそありがとうございます、これからもよろしくお願いします!」という感じなんですけどね。

 

youtu.be

 

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アルバム講義:12th Album『さざなみCD』

さざなみCD

12th Album『さざなみCD』
発売日:2007年10月10日

 


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. 僕のギター
→ 163時限目:僕のギター - スピッツ大学

 

02. 桃
→ 186時限目:桃 - スピッツ大学

 

03. 群青
→ 46時限目:群青 - スピッツ大学

 

04. Na・de・Na・deボーイ
→ 116時限目:Na・de・Na・deボーイ - スピッツ大学

 

05. ルキンフォー
→ 201時限目:ルキンフォー - スピッツ大学

 

06. 不思議
→ 150時限目:不思議 - スピッツ大学

 

07. 点と点
→ 100時限目:点と点 - スピッツ大学

 

08. P
→ 148時限目:P - スピッツ大学

 

09. 魔法のコトバ
→ 172時限目:魔法のコトバ - スピッツ大学

 

10. トビウオ
→ 103時限目:トビウオ - スピッツ大学

 

11. ネズミの進化
→ 127時限目:ネズミの進化 - スピッツ大学

 

12. 漣
→ 56時限目:漣 - スピッツ大学

 

13. 砂漠の花
→ 57時限目:砂漠の花 - スピッツ大学

 


スピッツが結成されたのは1987年のことになりますが、そこからちょうど20年という節目を迎えた2007年に発売になったのが、この12枚目のアルバム『さざなみCD』です。

 

結成20周年という時期に発売になり、”記念すべき”という感じはあるとは思いますが、個人的にはそんなに特別なものという感じではなく、改めて並べて聴いてみても、いつも通りのオリジナルアルバムだなという印象です。

 

元々は、このアルバムは”夕焼け”という名前になる予定だったそうですが、【夕焼け】は曲のタイトルとして使われてしまいました(ちなみに、シングル『群青』のカップリング曲です、超名曲です!)。

 

そこから、”大和言葉”にこだわって、収録曲の【漣】から、アルバムのタイトルを”さざなみ”としようとしたところで、インパクトに欠けるということで、”CD”をつけて『さざなみCD』ということになったようです。

 

ちなみに、『三日月ロック』も同じような感じでしたようね。”三日月”だけではインパクトに欠けるということで、”ロック”を付けたはずです。

 


■書籍やインタビューに書いてあるアルバムの情報を少しまとめてみます。

 

インタビュー『スピッツ』|エキサイトミュージック(音楽)

 

まず、前作のアルバム『スーベニア』は、作品自体を短期集中で3ヶ月くらいで作ったのに対して、アルバム『さざなみCD』については、プロデューサーの亀田誠治さんやエンジニアの高山徹さんなどとの時間の兼ね合いもあって、実に1年以上もかけて作ったアルバムなんだそうです。

 

長い制作期間だっただけに、いくつかのスパンに分けられてレコーディングされたそうなので、それだけに全体的に曲の雰囲気がバラけていて、色んなタイプの曲が独立して入っている作品であると、草野さん自身も語っています。

 


草野さん「曲の向かっていく方向が、アレンジは別にしても、なんとなく同じ方向に向いてたかもしれないですね、『スーベニア』の方が。今回は(これは『さざなみCD』のことですね)そういう意味では、良くも悪くもバラけてる、1曲1曲独立した雰囲気を持ってるアルバムになってるんじゃないかとは思いますね。」

 


個人的には、『三日月ロック』や『スーベニア』の方がロックなアルバムだとは思っているのですが、それらに比べて『さざなみCD』の方が、バンド以外の演奏が少なくて、バンドっぽい作品なんだそうです。

 


 『さざなみCD』は、亀田さんとやった三枚のアルバムの中ではいちばんアディショナル(バンド以外の楽器演奏)が少なくて、バンドっぽいアルバムだと思う。ライブを意識した内容になっているから、これから始まるツアーでどんな反応があるか、すごく楽しみだ。

 

書籍「旅の途中」の中で、草野さんはこのように語っています。そう言われると、『スーベニア』には、確かに色んな音が入っていて、ロシアっぽかったり、沖縄っぽかったりする曲が入っていましたが、『さざなみCD』は、素直にスピッツの演奏と草野さんのボーカルで構成されており、シンプルな印象は受けます。

 


■ところで、話題に挙げました、『三日月ロック』と『スーベニア』、そして、今作の『さざなみCD』の三枚は、亀田さんと作った最初のアルバム三枚ということで、”三部作”という風に語られています。

 

個人的に、オリジナルアルバムでスピッツの活動時期をいくつかに区切っているのですが、この『さざなみCD』で以って、アルバム『ハヤブサ』から続いていた、スピッツの第三期(個人的に「スピッツの死と再生」という風に呼んでいます)が終わったと思っています。

 


マイアミショックを経て、ロックに目覚めたスピッツが発表した、スピッツ史上最も攻撃的で激しいアルバム『ハヤブサ』。ここから、スピッツの第三期が始まりました。

 

9・11テロに影響され、草野さんが一時は音楽をする意味を見失ったものの、だからこそ人々を慰めるような曲を作ることを使命として、世の中を応援するように歌ったアルバム『三日月ロック』。

 

三部作の中では、一番ロックな作品だったと思っていますが、色んな場所へ旅をするみたいに、色んな曲調の曲が入っている『スーベニア』。

 

そして、今作『さざなみCD』は、マイアミショックを経て一度”死”を迎えたスピッツが、本当の意味でロックに目覚め、そこから始まった”再生”の長い旅の、その集大成であるような作品です。

 


第三期の作品を経ていく度に、最初はロックの激しい部分が全面に出ていた印象でしたが、少しずつ研磨されていったという印象です。

 

草野さんが・スピッツが持つ本来の”優しさ”が、”ロック”にちょうどよく混ざっていき、激しいだけではない、まさに”スピッツロック”というしかない、これはもう唯一無二のジャンルですよね、そういうものが確立されていったのです。

 

第三期後期あたりを経て、また次回より話すことになる、第四期の作品からは、新しさはもちろん感じるのですが、どこかその中に”懐かしさ”を感じることが、個人的には多くなってきたと思っています。

 


■さて。ここからは、アルバムの紹介というより、個人的な思い出話になりますが…。

 

スピッツ結成20周年の時を迎えたはずなのですが、個人的には、僕はスピッツ20周年の記憶が全くないんですよ。喜んで祝った記憶も、感慨に浸った記憶も全くないのです。ミステリーとか、そういうのではないですけどね。

 

スピッツはずっと子どもの頃から聴いてきたし、もちろんこれまでもこれからも、一番そばに居る存在だと思っているんですが、スピッツをそんなに”熱心に聴いていなかった時期”というのがあるんです。新作のリリースなどを、チェックしていなかった時期があって、それがちょうど20周年前後の時期でした。

 


当時の僕は大学生でした。それも、最後の卒業研究に追われる5回生でした…何だって?大学は4年で終わりじゃないかって?ま、まぁ、そこは色々あったんすよ。

 

単純にスピッツを聴かなかったのは、研究・勉強が忙しかったからっていうのが、一番の理由だったと思います。あとは、他のアーティストの音楽の方を熱心に聴いていたというのもあると思いますね。とにかく、スピッツのことを頭の片隅に追いやってしまって、その当時のスピッツの活動や、作品のリリースなどを追っていなかったんです。

 

それで、忘れもしない、まさに勉強の合間に、大学の近くにあったコンビニに昼飯か何かを買いに行った時でした。コンビニの有線から、何やら知らないスピッツの曲が流れていました。何だろう、新曲かなって思って、研究室に帰って早速探してみると、youtubeか何かで、【群青】と【ルキンフォー】のMVを見つけることができました。その時に、両曲とも(フルで)初めて聴いたんです

 

コンビニで流れていたのは、どうやら【ルキンフォー】の方だったようです。そして、【群青】のMVでは、何故かアンガールズが踊っていて、何だこれ?って笑ったのを覚えています。【ルキンフォー】は何か新しい感じがしましたが、【群青】はどこか懐かしさを感じたのを覚えています。

 

どちらも本当に素晴らしい曲で、久々にスピッツを聴いたなって感じでした。何となく、久しぶりに友達に再会したような気分でした。そして、その友達は、何ら変わらず歌い続けていたのです。

 

その時に、アルバム『さざなみCD』がすでに発売になっていることを知り、すぐにレンタルショップでアルバムをレンタルして、研究室でせっせとCDに焼いたりして聴いたんです。だから、アルバム本体は未だに持ってないんです。

 


とまぁ、こういう経緯があって、アルバムを聴くことを後手後手に回してしまったし、結成20周年は全然感慨に浸らず、淡々と過ぎていきました。

 

しかし、僕の中でアルバム『さざなみCD』は、”スピッツとの再会”を果たした大事なアルバムです。

 


■このアルバムで印象に残っている曲は、最後の2曲です。【漣】からの【砂漠の花】という流れが、もう本当に大好きなんです。

 

まず、【漣】についてなんですが、この曲は、僕自身がこのスピッツ大学を始めたきっかけにもなっています。

 

僕は、スピッツの曲を個人的に聴くときも、ここで話すときもそうなんですが、歌詞に一番重きを置いているんです。スピッツ楽曲の最大の魅力は、草野さんが描く歌詞の世界観にあると思っています。もう子どもの頃からですね、正しい正しくない、しっくり来る来ない、そういうのはとりあえず置いておくとして、そういう歌詞のストーリーを想像するのが好きでした。

 


こぼれて落ちた 小さな命もう一度
匂いがかすかに 今も残ってるこの胸にも
翼は無いけど 海山超えて君に会うのよ

 

【漣】の歌詞の一部ですが、何度も聴いていくうちに、色々と世界というか、ストーリーが広がっていくのを感じた瞬間があったのです。個人的には悲しい解釈でしたが、深い歌詞の世界観に触れたような気がしたんです。

 

そうして、まだスピッツ大学など存在しない頃は、どこかの掲示板にそういう解釈を書いては自己満足していた、通称”暗黒時代”を経て、書きたい欲みたいなのが湧いてきて、少しずつスピッツ大学のようなことをしていったという感じです。

 


■それから、【砂漠の花】という曲について。

 

これも、何ていうか、すごく長い長い旅の果てに辿りついた場所というような感じがして、スピッツの歩んできた長い歴史をも感じることができます。

 

この【砂漠の花】にも、個人的に大好きな名フレーズがあります。

 


ずっと遠くまで 道が続いてる
終わりと思ってた壁も 新しい扉だった

 

先程もしゃべった通り、歌詞に重きを置いてスピッツの歌を聴くと、自分がその時に置かれている状況だったり、抱いている感情だったり、そういうものの違いによって、同じ歌詞でも、全然違って聴こえることがよくあります。だから、スピッツの歌詞は、何度も読むのが楽しいんです。

 

上述の歌詞も、自分が終わることを望んでいなくて、諦めたくないと思っている状況で読んだ時と、自分が何かを終わって欲しいと願っている状況の時とでは、読んて感じることが全然違うと思います。前者であれば、扉は”希望”になるし、後者であれば、”絶望”になり得るかもしれません。

 


■その他、草野さんがストリートシンガーをイメージして作られた【僕のギター】や、人気曲の【桃】、シングル曲だと【群青】、【ルキンフォー】に加えて、映画「ハチミツとクローバー」の主題歌になってヒットした【魔法のコトバ】などが収録されています。

 

何ていうか、全体的に爽やかな曲が多いですかね。シンプルに、スピッツの純粋なバンドの演奏と、草野さんのボーカルが楽しめる、良アルバムです。

 

youtu.be

 

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224時限目:ヒビスクス

【ヒビスクス】

 

ヒビスクス

ヒビスクス

  • provided courtesy of iTunes

 

■アルバム『醒めない』の11曲目に収録されている曲です。

 

この曲に関しては、アルバム発売前に新曲で聴けたんでしたよね。覚えてなかったので改めて調べてみると、スバル「フォレスター」のCMソングに起用されていました。

 

確か、この曲もシングル曲【みなと】(NTT東日本のCMソング)と同様、最初は曲名も発表しておらず、アルバムに入ることすら判明していませんでした。謎のCM曲として最初は発表され、そこから少しずつ情報が解禁されていって、曲名が【ヒビスクス】で、アルバム『醒めない』にも収録されると発表されていったのでした…確かそうでしたよね。

 


■これもまた特徴的なタイトル”ヒビスクス”ですが、とても読みにくく、造語かなとか思うのですが、これは花の名前で、僕らがよく知っている呼び名として、”ハイビスカス / Hibiscus”が有名…というよりこれでしか呼びませんよね。ハイビスカスのラテン語の呼び名が、”ヒビスクス”という解釈になるかと思います。

 

ハイビスカスというと、いかにもハワイなどの南国の植物というイメージが強いのですが、ずばり、ハワイ州の州花であるそうです。

 


それで、この【ヒビスクス】にはMVがあるのですが、このMVがまさにハワイで撮られたものなのです。ちなみに、【ヒビスクス】のMVと、そのハワイ撮影旅行のオフショットムービーが、アルバム『醒めない』の初回限定盤に付属しているDVDに収められています(MVは、【醒めない】【みなと】【ヒビスクス】が収録されています)。

 

まぁ、先述のように、”ヒビスクス”がハワイに関係の深い花だということで、ハワイでMVが撮られたという流れなんでしょうね。

 


■ところで、このヒビスクスという花について、先述の通りこれは、ハイビスカスと同義なのですが、色々と調べていく中で、”人の死”と多少関連がある花なのではないかという情報が得られました。

 

ここ日本では、ハイビスカスは”仏桑花 / ブッソウゲ”という名前でも知られています。この仏桑花は、wikiの情報をそのまま引用すると、”沖縄南部では後生花(ぐそうばな)と呼ばれ、死人の後生の幸福を願って墓地に植栽する習慣がある。”という花なんだそうです。

 

【ヒビスクス】という歌が、日本人が日本で作った曲であるということから、この話が引っかかりました。まぁ、そうでなくても、【ヒビスクス】の歌詞を読んでいくと、どうしても”死”のイメージがついてくるような気がしてなりません。

 


ちなみに、ハワイにおけるハイビスカスについても、”神様へ捧げる花”とされているようです。ただし、これには人間の死などとは直接結びついていないっぽいですね、むしろめでたいことを祝ったりするときの、神様へのお供え物という感じに思えます。

 


※余談ですが。

 

ここスピッツ大学で、以前…というより、記念すべき1時限目の講義で、【会いに行くよ】という曲の解釈を書いてみたことがありました。(最初期の記事なので、短い記事で語っていますが、最近は記事がめっきり長くなっていく一方だなぁ、ブツブツ…)

 

その中で、僕はこの歌について、”墓参り”という物語を当てはめたのでした。

 

1時限目:会いに行くよ - スピッツ大学

 

歌詞の中に、”赤い花咲く 真夏の道”という歌詞が出てくるのですが、その時はこの”赤い花”には、”彼岸花”を当てはめたんです。日本でも土葬(死んだ人を、そのまま土に埋めて供養する)が行われていた頃、お墓の周りには、”彼岸花”を植える習慣があったのです。理由としては、”彼岸花”(の球根)には毒があり、野生の動物が、死体を掘り起こさないようにするためだったんだそうです。

 

…という具合に解釈をしていったのですが、ハイビスカスについて、特に仏桑花のお話を呼んで、【会いに行くよ】の”赤い花”も、ハイビスカス(仏桑花)が当てはまったのではないか、と考えるようになりました。

 

こんな風に、ある歌の解釈を進めていくと、全く別の歌の解釈に繋がることって、まれにあるんですよ。それがまた、楽しいところではあるんですけどね。実に面白い。

 


■ということで、歌詞を少しなぞっていきます。

 


過ちだったのか あいつを裏切った 書き直せない思い出
幼さ言い訳に 泣きながら空飛んで クジラの群れ小さく見える

 

まず、こういう出だしで歌が始まります。最初は、草野さんのボーカルが目立つように、演奏も控えめに始まります。

 

さて、歌詞についてですが、この歌の主人公は、何やら”過ち”を後悔している節が見て取れます。そしてそれは、”あいつを裏切った”という、結構な強い言葉で表現されています。主人公と”あいつ”の関係は何だったのでしょうか。

 

それから、”泣きながら空飛んで”と”クジラの群れ小さく見える”という表現、ここを文字通り捉えるとすると、ちょうど海の上を、それもクジラさえ小さく見えるような、高い位置を飛んでいるような光景が浮かんできます。

 


似たような表現として、

 


悲しみかき混ぜて それでも引きずった
忘れられない手のひら

 

これは二番のAメロにあたるわけですが、ここもやっぱり忘れられない悲しみを思い返し、いつまでもそれを引きずっている表現と捉えられます。

 


■じゃあ、主人公が後悔している過ち、あいつとの関係、主人公はなぜ空を飛んでいるのか?、そもそも本当に飛んでいるのか?などは、具体的には何なのか、ということに関してですが、やはりそれぞれが物語を想像せざるを得ませんね。まぁそれが面白いところなんですが。

 


個人的に、想像したストーリーを書いてみます。

 

まず、この主人公は、とある島に住んでいました。それを、この歌の中では、”約束の島”という表現をしています。その島には、主人公と”あいつ”なる人物も暮らしていました。

 

主人公と”あいつ”は、同性の友達か(男同士)、それとも別に”あいつ”に女性を当てはめても良いわけで、ともすると、恋人かもしれません。まぁ少なくとも、何ならかの絆で結ばれていた関係にあったのでしょう。

 

しかし、具体的なことは不明としても、主人公が”あいつ”を裏切るという事件が起こり、二人の絆は壊れてしまいます。恋人同士なら、何か悪い理由で一方的に別れを切りだしたとかってのもあるかもしれませんし、友達同士で友情が壊れる出来事ってなんですかね…それこそ略奪愛とか?

 

とにかくその結果、主人公は島を出るわけです。それが、冒頭の”泣きながら空飛んで”に当たります。島を出るということで、飛行機を使ったのか、それともここは比喩の可能性もあります。

 

それで、その後についてですが、物語の分岐としては、この主人公が島に、「帰って来たエンド」と「帰って来なかったエンド」の2つがあると思います。

 


■「帰って来たエンド」については、Aメロからサビにかけての歌詞について、

 


後ろめたいままの心が憧れた
約束の島で 再び白い花が

 

咲いた変わらずに 優しく微笑むように
なまぬるい風 しゃがれ声で囁く
「恐れるな 大丈夫 もう恐れるな」
武器も全部捨てて一人 着地した

 

というところが、主人公が自分の故郷である”約束の島”に帰って来た、という場面かなと思いました。(”着地した”が、飛行機が島に着いた、つまり島に帰って来たという描写になるか?)

 

”約束の島で 再び白い花が 咲いた変わらずに”という表現があるのですが、ここが、かなり無理やりな解釈ですが、”白い花”に”ヒビスクス(仏桑花)”を当てはめて、花の話を思い出してみると、ここも【会いに行くよ】と同様、墓参りにきたのかな、と思ったのです。

 

誰の墓参りかというと、やっぱり”あいつ”でしょうか。”あいつ”は、何で死んだんでしょうか。例えば、それこそ主人公に裏切られたショックから、自ら命を絶ったとかも考えられるかもしれません。

 

”再び白い花が 咲いた変わらずに”=”あいつ”の墓を見舞う季節がまたやって来たな、という流れになります。

 

「恐れるな 大丈夫 もう恐れるな」は、何ていうか、”あいつ”がそう言ってるように聞こえた、みたいな場面でしょうか。

 


■じゃあ、もう一つの、「帰って来なかったエンド」だとどうなるでしょうか。

 

結局、島で”あいつ”と決別した主人公は、それから二度と島に帰ることはなかったとします。すると、先程の島の光景は、主人公の回想か、”あいつ”のことを思い出している場面になるかと思います。

 

こっちの解釈だと、主人公は島を出て、そのまま一人で違う場所で暮らしているということになります。裏切った”あいつ”を後ろめたく思いながらも、例えば、自分の夢のためか、あるいは、先程ちょっと触れた略奪愛とか…。

 

そして、ある時季節を感じた際に、故郷の島では白い花が咲く頃か…あいつはどうしているかな…気になるけど、僕はもう戻らないぞ…と決意を新たにするという場面ですかね。

 


■その他としては、

 


あの岬まで セミに背中を押され
戻らない 僕はもう戻らない
時巡って違うモンスターに なれるなら

 

という部分に焦点を当てると、”あいつ”を裏切った罪悪感から、主人公は、”あの岬”なる場所から飛び降りて自殺を図っている、という場面かもしれません。

 

こうなると、”約束の島”という言葉がまた違う意味を出し始めるわけですが、つまり、主人公と”あいつ”は、島で再会をする約束をしていた、とか。

 

だけど、結局会うことが出来なかった。それはつまり、主人公にとっては、”あいつ”に許されなかったということに繋がり、自ら命を絶つという決断につながった、という風に考えられるかもしれません。

 


■あとは、これは結構たくさんの人が書いているようですが、この歌に、”戦争”だったり、”特攻隊”を当てはめている解釈が存在します。

 

ちなみに、”特攻”とは、「爆弾を、戦闘機や潜水艦などに載せて、乗り物と乗組員がそのまま自らの命と引き換えに、相手側に突撃する攻撃」のことです。

 

特に、”特攻隊”に関しては、かなり物語をつなげることができそうです。古く、第二次世界大戦の時に、アメリカとの沖縄戦でも特攻が行われていたそうで、【ヒビスクス】が、”沖縄”などの南国を舞台にしている節がありますし、歌詞の中にも、”特攻”を思わせる言葉がたくさん出てきます。

 

まぁ、この辺り解釈は、他の教授の講義にお任せしたいと思います。

 


■まぁ、とにかく【ヒビスクス】は、アルバムの中でも、とても壮大でドラマチックな歌です。

 

それゆえに、考えれば考えるほど、想像がどんどん膨らんでいく歌です。あなたはどんな物語を想像しましたか?

特講:スピッツ歴およそ23年の筆者が今の気分で本気で選んだ スピッツで大好きな曲ランキングBEST10

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■おはこんばんちは、スピッツ大学学長のitukamitanijiです。

 

最近は、暑かったり寒かったり、何だかよく分からない天気が続いておりますが、体調の方はいかがでしょうか?私の暮らす広島は、とにかく最近は雨が多くて、何となく気だるい日々が続いております。

 

そんな天気を吹き飛ばすように、我が広島が誇る広島カープの優勝を控え、最近の広島は何となく浮足立っております。頑張れカープ

 


■さて、早速本題に入りたいと思います。

 

ここスピッツ大学(という名前で始めたブログ)が創立されてから、今年の7月で以って、早3年の月日が流れました。

 

そこからさらに時間が経ち、冒頭の画像は8月に撮影したものですが、スピッツ大学は、”投稿記事数が300本”を越え、それからしばらく後、”総アクセス数が300万PV”を越え、さらに”読者数が300人”を越えたのです。

 

このことを、私は冗談も交えて「トリプルスリー」という風に呼んでおりますが、トリプルスリーを達成できたのも、他でもない、ここスピッツ大学を訪れて下さった、皆様が居たからでございます。

 

スピッツ大学なんて、仰々しい名前を勝手に名乗りはじめ、「スピッツの全曲を紹介・解説する」なんていう、変態的なことを、よくもまぁこんなに続けてこられたものだな、と自分自身の変態的な部分を振り返っているところでございます。まぁそんなスピッツ大学を訪れてくれた皆様も、随分と変t…。

 

いやいや、本当にここまで続けられたのも、一重に皆様のおかげだと思っております。何度でも、ありがとうございます、を言いたいのです。

 


■ということで、トリプルスリー記念で、何かをしたいなとか思ったんですが、あんまり気の利いたことは思い浮かばずにいましたが、ここは初心に帰って、シンプルにいこうと思います。

 

題して、

 

投稿記事数300本越え &
総アクセス数300万PV越え &
読者数300人越え
略してトリプルスリーを達成したスピッツ大学の学長である
スピッツ歴およそ23年の筆者が今の気分で本気で選んだ
スピッツで大好きな曲ランキングBEST10

 

をお送りいたします。早いもので、スピッツの全曲解説も終盤に差し掛かっておりますので、今の気分で、スピッツで好きな曲のランキングを改めて作ってみようじゃないか、とそういうことでございます。


あくまで、"今の気分"でのランキングになります。明日には変わっているかもしれないし、極端な話、出来上がったランキングを見てすでに、「あの曲の方が好きなんじゃね?」的に自問自答を繰り返しています。

 

まぁとにかく シンプルに好きな曲を並べました。スピッツをよく知っているファンの方々は、自分の好みなどと照らし合わせて楽しんでいただき、またスピッツをよく知らない&これから知りたい勢の方々は、よかったら自分に合いそうな曲を見つけてみてください。

 

 

 

第10位 猫になりたい 

猫になりたい

猫になりたい

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シングル『青い車』のカップリング曲、アルバム『花鳥風月』に収録

 

もう文句なしで、スピッツの超名曲の一つですね。この曲と僕との出会いはとても古く、もうかれこれ20年以上も前になります。僕が小学生の頃でした。

 

当時の僕は、カセットにアルバム『インディゴ地平線』『フェイクファー』『花鳥風月』の3枚を吹き込んで(個人的通称:カセット3部作)、兄から譲り受けたカセットウォークマンで、擦り切れるくらい何度も、このカセット3部作を聴いていました。

 

その頃の僕には、少し難しい曲だったかもしれませんが、子ども心にとても印象に残った曲で、ずっと長く聴いてきました。僕が大学生の時に、僕がスピッツファンであることを知らずに、バイトの女性の先輩がこの歌をいきなり歌い始めて、シンパシーを感じて、そのまま恋に落ちたこともありました。

 

好きな人や恋人と一緒に居たいという想いを、”猫になりたい”と表現する草野さんの視点は、やっぱり天才的としか言いようがありませんね。

 

 

 

第9位 旅の途中

旅の途中

旅の途中

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アルバム『三日月ロック』収録

 

アルバム『三日月ロック』には、その名前通り、ロックな曲が多いイメージなんですが、この【旅の途中】は、ロックとフォークソングの中間のような、これぞスピッツの真骨頂と呼ぶに相応しい曲であると思うのです。

 

アルバムの中で、あんまり目立ってないんですかね、個人的には『三日月ロック』の収録曲でも2番目に好きな曲です。やっぱり、草野さんの弾き語りは美しいですよね、好きなイントロランキングでもあれば、間違いなく1、2位を争う曲だと思います。

 

 


第8位 放浪カモメはどこまでも

放浪カモメはどこまでも

放浪カモメはどこまでも

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第22作目『メモリーズ / 放浪カモメはどこまでも』、アルバム『ハヤブサ』収録

 

自分たちの意向に反して、レコード会社より、ベストアルバムを強行的に発売させられてしまった結果、スピッツの活動は一旦止まってしまいました。しかし、そこから、アメリカでの音探しの旅などを経て、新たに純粋なロックバンドとして、スピッツは生まれ変わり、再スタートを切ることになりました。この一連の出来事の流れは、長いスピッツ史の中では、”マイアミショック事件”と呼ばれています。

 

そして、そんな”マイアミショック事件”の真っただ中、迷走しながらも、自分たちのロックを模索しながら作り出した曲こそ、この【放浪カモメはどこまでも】に他ならないのです。

 

そういう背景を思い浮かべながらこの曲を聴くと、胸がジーンとくるのですが、とにかくロックな曲なので、テンションがどこまでもぶち上がってきます。酔っ払った時とかに、メチャクチャになりながら、カラオケで歌ったりしていました。

 

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第7位 夢追い虫 

夢追い虫

夢追い虫

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第24作目『夢追い虫』、アルバム『色色衣』に収録

 

これも、スピッツ屈指のロックナンバーなのですが、この頃のスピッツはもうすでに、ベテランの域に達していて、単純なロックナンバーに留まらず、渋さというか、重厚なイメージを曲にまとわせています。まさに、いぶし銀というにふさわしい、渋い感じの曲です。

 

ただし、歌詞はあいかわらず、

 


吐きそうなくらい 落ちそうなくらい
エロに迷い込んでゆく

 

などと歌っているので、やっぱりスピッツスピッツなんだなって思い、ちょっと安心します笑。

 

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第6位 魚

魚

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EP『99ep』(2004年に製造中止)、アルバム『色色衣』に収録

 

99ep』という、2004年に製造中止になってしまったEPがありましたが、その作品に収録されていた曲のひとつです。『99ep』曲は、個人的に好きな曲ばっかりなのですが、その中でもダントツで、この【魚】という曲が大好きなんです。

 

確か、ラジオで初めて聴いたんだと思うんですけど、これもすごく不思議な曲ですよね。僕はこの曲の解釈として”都会の隅っこで、何かに不安を感じながらも、慰め合いながらつつましく生きる男女”というのを当てはめましたが、何かそういう、ちょっと物悲しい雰囲気を感じる曲です。

 

鍵盤の音は、クージーが演奏しているもので、それがまたさらに、この曲の雰囲気に合っていて好きです。

 

 

 

第5位 フェイクファー

フェイクファー

フェイクファー

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アルバム『フェイクファー』に収録

 

この曲との出会いもとても古く、もうかれこれ20年以上も前になります。【猫になりたい】と同様、カセット3部作時代の曲ですが、その中でも、アルバム『フェイクファー』は特別に好きな作品だったと思います。そして、またそのアルバムの中でもお気に入りだったのが、表題曲の【フェイクファー】でした。

 

今では、色んな想像を膨らませて聴いていますが、当時小学生の僕には、あんまり意味が分かっていなかったと思います。ただ、曲のタイトルに”フェイク”という言葉が使われていることや、歌詞の中にも、”嘘”や”偽り”と言った言葉が使われていたので、何と言うか、得体のしれない恐怖を感じていたことを覚えています。僕にとって、【フェイクファー】は、最初はどこか”怖い曲”でした。

 

しかし、アルバムの最後に入っているこの曲の魔力に引き込まれ、この曲だけを何度も繰り返し聴いては、その余韻に浸ることが好きでした。今思えば、ちょっと変な少年でしたね笑。

 

 

 

第4位 1987→

1987→

1987→

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アルバム『CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection』に収録

 

昨年(2017年)、スピッツは結成30周年を迎えました。個人的にも、その30周年イヤーという節目に、生まれて初めて、スピッツのライヴに参加させていただきました。本当に素晴らしくて、今でもその光景が焼き付いています。

 

そんな、結成30周年を高らかに歌い上げた曲が、この【1987→】という曲です。見ての通り、スピッツ結成の年である、1987年を曲のタイトルにそのまま掲げています。ここからも、すでにスピッツがこの曲に特別な想いを込めたんだなと、ファンたちは皆、ニヤリとしたでしょう。

 


らしくない自分になりたい 不思議な歌を作りたい
似たような犬が狼ぶって 鳴らし始めた歌

 


ヒーローを引き立てる役さ きっとザコキャラのまんまだろう
無慈悲な鏡叩き割って そこに見つけた道

 

曲の内容は、まさしくスピッツの生き様を書いたそのものになっており、これでもかと言わんばかりの草野節が連発されるものだから、またしてもファンのニヤニヤが止まらず、それが程なく感動に変わっていきます。

 

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第3位 漣

漣

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アルバム『さざなみCD』に収録

 

スピッツの魅力は、何と言っても、草野さんが書く詞にこそあると、個人的には思っています。ここスピッツ大学でも、最初から、草野さんの書く詞の魅力を伝えることに一番力を注いできました(つもりです)。

 

何だか最初はよく分からなくても、読めば読むほど、深まって広がっていく詞の世界、しかもそれは、自分がその時に立っている立場や現状などによって、違って読めるものだから、何度も読む価値があるし、その度に新しい出会いがある。

 

そういうことを気づかせてくれる場面(楽曲)は、本当にたくさんあるのですが、ここスピッツ大学を始めてみようというところまで、気持ちを高めてくれた曲こそが、この【漣】という曲でした。いわゆる、スピッツ大学の原点となった曲ですかね。

 

 

 

第2位 僕はきっと旅に出る

僕はきっと旅に出る

僕はきっと旅に出る

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第38作目のシングル『さらさら / 僕はきっと旅に出る』、アルバム『小さな生き物』に収録

 

何ていうか、聴けば聴くほど、想いが深まっていくような曲です。この曲の背景には、どうしても東日本大震災がちらついてしまい、だから、大好きな曲というよりは、大切な曲という言い方の方が相応しいと思っています。

 

”僕はきっと旅に出る”という、このタイトルも、草野さんらしい、優しい背中の押し方だなと思うのです。今すぐではなくて、いつか旅に出ることを、焦ることなく優しく後押ししてくれているのだなと、本当に草野さんという人柄が出ている言葉だと思います。

 


きらめいた街の 境目にある
廃墟の中から外を眺めてた
神様じゃなく たまたまじゃなく
はばたくことを許されたら

 

ここの歌詞を聴いた時、本当に感情が溢れて、涙が出たことがありました。とても大切なことを歌っている曲だと思います。

 

youtu.be

 

 

 

第1位 けもの道

けもの道

けもの道

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アルバム『三日月ロック』に収録

 

動かざること、山の如し!もう文句なし、不動の第1位です。色々とこれを越える曲を考えてみるのですが、考えれば考えるほど、やっぱりこの曲しかありえないなぁと、ここに戻ってくるんです。

 

この曲には、これまで何度も何度も力をもらってきたし、それはこれからも一生変わらないんだろうなって思います。

 

ライヴでもお馴染みの、ゴリゴリのリーダーのベースから始まる、これぞスピッツロックの真骨頂と言うべきロックな曲です。


そして、あれだけストレートな言葉を避けていた草野さんから放たれる、渾身の”諦めないで”という言葉や、最後に繰り返される、”フレーフレーフレー”というエール。


スピッツは紛れもなく、ロックバンドなんだということを力強く表明する、強くて優しいスピッツ流の応援歌です。

 

 

 

■追記…


ちなみに、(僕も含めて)スピッツ大学に訪れて下さったファンの方々の投票により作った、スピッツランキングBEST10は、以下の通りでした。

 

第1位   スピカ
第2位   夜を駆ける   
第3位   ロビンソン   
第4位   運命の人   
第5位   8823   
第6位   桃   
第7位   渚   
第8位   愛のことば   
第9位   フェイクファー 
第10位  冷たい頬 

223時限目:モニャモニャ

【モニャモニャ】

 

モニャモニャ

モニャモニャ

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■アルバム『醒めない』の9曲目に収録されている曲です。

 

割と明るい曲が続いてきた中、この【モニャモニャ】はバラードになっていて、アルバムの明るいテンションが、一旦ここで少し落ち着きます。静かな演奏の中、草野さんのボーカルが引き立っていて、存分に楽しめる曲になっています。

 

映像作品『SPITZ JAMBOREE TOUR 2016 “醒 め な い”』のLIVE映像では、三輪さんが12弦ギターを弾いていたり、崎山さんもブラシでドラムを叩いていたり、クージーのグロッケンの音が聴こえてきたりと(ただし、キーボードで音を作っている)、落ち着いた雰囲気を演出しています。

 


■さて。

 

何はともかく、このタイトルですよね笑。”モニャモニャ”って何よ?ふざけてるのか?笑、と一旦は思うのですが、でもまぁ、スピッツはいつだってこんな調子だったし、こういう変な言葉こそ、色々想像する余地があって面白いと思うのです。

 


ということで、この”モニャモニャ”の意味ですが、ずばり、アルバム『醒めない』のジャケットに写っている、正体不明の生き物の名前なんだそうです。犬のようにもウサギのようにも見える、個人的には「ネバーエンディングストーリー」に出てくる聖獣ファルコンを思わせる、大きくて角の生えた生き物のことですね。

 

そして、この”モニャモニャ”についても設定があるようで、MUSICAのインタビューにお話が載っていたので、ちょっと紹介しておきます。

 


草野さん「…一緒に写っている人とモニャモニャとの物語みたいなのが自分のイメージとしてあったんです。だから曲によって、この人が歌ってる曲、モニャモニャが歌ってる曲っていうふうに視点を変えようって最初は思ったんです。実際そうやって聴いてもらえると、『これはモニャモニャの視点かな?』『これは私の視点かな?』って思うと思うんですけど」

 


草野さん「…このジャケットのモニャモニャとこの子は小さい時から一緒にいて、その頃はこの子に抱かれるくらい小っちゃかったモニャモニャがこんなにデカくなっても、こうやって一緒に『醒めない』でいられるっていう」

 

ということなんだそうです。

 


■このアルバムのタイトルであり、1曲目に入っている表題曲のタイトルにもなっている”醒めない”という言葉について、スピッツが込めた想いはつまり、「いつまで経っても”醒めない”ロックに対する自分たちの想いや情熱」というものでした。

 

バンドの結成30周年を間近に控えていたことや、未だ東日本大震災との関連を形を変えながら引き継ぎつつ、コンセプトとして、「死と再生」の物語をアルバム1枚で表現しようとしたことも踏まえて、自分たちの活動を振り返りつつ、”醒めない”という気持ちを新たにしたのだと、個人的に想像しています。

 

その”醒めない”という気持ちを具現化させたものが、つまり”モニャモニャ”であるということなんです。

 


草野さんのインタビューの中に、”この子に抱かれるくらい小っちゃかったモニャモニャがこんなにデカくなって…”という言葉がありますが、実際に、アルバムのジャケットの表表紙には、もうすっかりデカくなって、人の大きさを優に越えた姿のモニャモニャが写っていますが、裏表紙にはちゃんと、人の腕の中に抱かれている”子モニャモニャ”が写っています。

 

自分の腕の中に収まるほど小さかったモニャモニャが、自分の何倍もの大きさに育つまで、ずっと長いこと同じ時間を共にしてきた。苦しかったり悲しかったりした時は励ましてくれたり、逆に、一緒に居ることが嫌になったこともあった。それでも、いつだって心は繋がっていて、離れることはなかった。

 

こういうところは、スピッツのロックに対する想いに通じるものがあるのではないでしょうか。スピッツは長く長く活動を続けてきて、もう30年以上ですよ。僕自身がスピッツに出会ってからも、すでに23年くらい経っています。そういう、長く続けてきたバンドの物語を、モニャモニャが育っていく物語に投影させたのかもしれません。

 


■あと、”曲によって、この人が歌ってる曲、モニャモニャが歌ってる曲っていうふうに…”という言葉に関しては、確かに思いますよね。

 

例えば、この人(以下、”飼い主”)が歌っていると思える曲としては、【子グマ!子グマ!】なんかは、”クマ”という生き物の名前が使われているので、自然に”クマ”の物語を思い浮かべましたが、これもモニャモニャが巣立っていく場面で、飼い主が歌っているところを思い浮かべることもできます。

 

あるいは、まだ書いていませんが、最後の【こんにちは】に関しても、モニャモニャと再会を果たした飼い主が、その再会を喜んで歌っているような感じにも聴こえます。

 


逆に、モニャモニャが歌っていると思える曲に関しては、例えば、【ナサケモノ】なんかは、僕はペットが飼い主に対しての気持ちを歌っているという解釈も少ししましたが、そのペットとして、モニャモニャを当てはめてもいいかもしれません。

 

また、【グリーン】なんかも、今考えると、自由な世界へ解き放たれたモニャモニャが、その気持ちを高らかに歌っているのかもしれません。

 


■じゃあ、そこへ来て、【モニャモニャ】という歌はどういう歌かというと、これはもうダイレクトに、飼い主とモニャモニャの関係、過ごした時間などを歌っていると思われますが、歌詞を読んでみても、結構難しいんですよね、考えすぎでしょうか?



優しい眼で聞いている 僕には重要な言葉
感情は震えても 余裕なふりして隠し続けてた

 

例えば、出だしの歌詞なんですが、いきなりここの解釈に迷うんですよね。”僕”とは、モニャモニャではない方、つまりは飼い主の方を指していると思われるのですが、どういうことでしょうね?モニャモニャがまさかしゃべるとは思えませんが、ひょっとしたら第三者からの言葉かもしれません。

 

例えば、飼い主とモニャモニャが別れるきっかけになる、何か話があったのかもしれません。確か、草野さんが、アルバムのコンセプトを思いついたきっかけになった「くまの子ジャッキー」というアニメは、確かクマがサーカスに売られるとか何かで、飼い主とお別れになってしまうという展開があったと思いますが、そういうのもあるかもしれません。

 

とにかく、アルバムの中で、モニャモニャとの別れが、何らかの理由であったのだとしたら、そういう話が、僕とモニャモニャに言い渡された場面なのかもしれません。”優しい眼で聞いている”のは、事情をよく理解できないモニャモニャの方で、”余裕なふりして”感情を隠し続けているのは、”飼い主”なんですかね。

 



モニャモニャが一番の友達
なだらかな草原を走りたい
つまづくまで 燃え尽きるまで

 


やがて雨上がり 虹が出るかも 小窓覗こう
笑うことなど忘れかけてた 僕を弾ませる

 

この辺りは、別れることを知った後の描写なのでしょうか。飼い主、つまり”僕”にとって、モニャモニャは一番の友達であり、悲しいことがあっても、笑うことを思い出させてくれる存在なのだということを歌っているのだと思われます。

 


■なんか、モニャモニャモニャモニャ言い過ぎて、よく分からなくなってきそうですが、そういう曲名の陽気でふざけたような感じとは裏腹に、このアルバムのひとつの核を成している重要な曲だということですね。